森香澄ファースト写真集『すのかすみ。』発売記念お渡し会@HMVエソラ池袋


森香澄さんを初めて認識したのは彼女がまだテレビ東京のアナウンサーだったときに流れてきた TikTokの動画だったと思う。アナウンサーが会社ではなく個人アカウントで TikTokの投稿をしていることと、彼女の投稿が他のインフルエンサーに負けず劣らずこなれていることが不思議でそれから繰り返し見るようになってしまった。見れば見るほど不思議なもので彼女がテレビに出てアナウンサーとして振る舞っている姿を見るよりも、 TikTokやInstagramで個人で発信している方に興味が湧いてしまう。アナウンサーなのにこれほどまでに個を前に押し出してくる人を今まで知らなかったからかもしれない。田中みな実も、宇垣美里も、弘中綾香もみんな好きだが、みんな社会に個人として自ら売り込んでいったという印象ではなく、その個性がじわじわと社会にウケていったことによって彼女たちの個が光るようになったという印象を持っている。だからこそ森さんから感じられる圧倒的に個として認識されたい欲望は、ちょっと怖くてちょっと羨ましく、今までにない感情でウォッチするようになった。

森さんは去年2023年の3月にテレビ東京を退社した。フリーのアナウンサーになるのかと思いきや、タレントとしての活動に注力している印象がある。大学時代は財布を持ち歩かなくても良いくらい毎日色んな人から声をかけられていたというモテエピソードをテレビで披露していたが、実生活でそういう経験を経た人が纏うありのままで余裕に見えるオーラとは違って、彼女の場合はそのエピソードを披露することで自分の立っている基盤を強固にしているように聞こえた。というのも、そのあと別のバラエティ番組では友だちが少なく自分の誕生日に誰にも声をかけられず誰からも誘われず一人で過ごした、友達が少ないのでいつか結婚式を開く際に、新郎側と新婦側で友達の数の差が出ないか心配、という話をしていたのだ。また別のバラエティ番組では、千鳥の大吾に男友達ができにくいことを相談していた。男性側が恋愛対象として自分を見てしまうので友達になれないという相談だったが、大吾に「人間として本質的に好きなら、たとえ恋愛対象から自分が外れたとしても友だちとして付き合いを続ける」という鋭い返しをもらってショックを受けていた。こういったエピソードを踏まえると、何だかただモテて人生ハッピーだった訳でもなさそうで、どこかに個としてしっかり受け入れてもらいたいという気持ちが森さんの中にあり、それが今こうしてインフルエンサー的な行動に繋がっているのかもしれないと思うと、すごく人間的で親しみが湧いてしまったのだった。それから森さんが出る番組によく目を向けるようになった。

そんな森さんが写真集を出すというのでお渡し会に行ってきた。私はライブや舞台などに出かける推し活動は大好きだが、お渡し会や握手会などの接触イベントは、1to1のコミュニケーション力が求められるのでそんなに好きではなくとても久しぶりだった。コロナ禍でそういったイベントから暫く離れていたこともあるので最後にそういうイベントに参加したのは2019年の田中みな実さんの写真集お渡し会で、それ以来かもしれない。アイドルの握手会はいわゆる剥がしがありスタッフがきっちり時間管理をするイメージがあるが、こういったタレントのお渡し会はその辺りが少し緩く「お時間です」と言われることが少ないように思う。なので割とゆっくりとお話ができる一方で、1to1コミュニケーション苦手勢からすると、何を話そうか迷っているうちにアワアワして終わる可能性がある。接触イベントはコミュニケーションの事前準備命。

当日の会場はHMVエソラ池袋店のイベントスペース。初めて行く会場だったが、そこまで大きくないHMVの店舗内の一角にイベントスペースがあり、到着すると陳列棚にぐるぐると人だかりができ始めていた。ほとんどが男性で女性は1割程度。田中みな実さんのお渡し会の時はもう少し女性比率が高かったこともあり、森さんのファンもそれくらいの女性比率かと思っていたので何だか意外だった。男性のファンは坂道系とかの女性アイドルが好きそうな方が多かった。指原莉乃さんが以前番組で人気が出るには同性ファンを増やすことも大切と仰っていたことを思い出したが、そう考えると森さんはこれからまだもう一ブレイクするポテンシャルがあるのかもしれない。急に整列がスタートした場所が自分が立っていたところに近かっため、前から10番目くらいで列に入ることになった。

自分の2人前の人がブースで話している辺りから、列から森さんの姿が見えた。照明が当たっているからか、メディアで見るよりも数倍キラキラして見えた。2人前の人は女性でAKBの話をしていて、森さんは大島優子推しだったという話が聞こえてきた。やはり剥がしはなく会話がひと段落したら森さんが「ありがとうございます〜」と手を振って区切りをつけていた。前の男性は福岡から来ましたという話をしているなと思ったらあっという間に会話が終わり、森さんの視線が私のところに来た。か、かわいい…。変な声が出そうになるのを堪えながら、「最近のおすすめコスメを教えてください!」と準備していた質問を森さんに投げかけた。もしかしたら悩ませてしまう質問かもしれないなと思いながら投げかけたが、森さんはすぐに頭を巡らせて、「おすすめコスメは〜、んー、ローラメルシエのアイシャドウパレットかな!すごいかわいいよ!」と教えてくれた。私が「このあとすぐ買いに行きます…!」と言ったら、「うん、ぜひ!今ならあると思うよ!」と返ってきた。推しとコスメの話をするの、めちゃくちゃ楽しい。当然剥がしはないのだけれどもうその会話をしただけで十分に満足してしまい、「写真集しっかり拝読します!」と言って次の人へバトンを渡した。フワフワとした状態で荷物を受け取り帰ろうとすると出口でステッカーを渡された。これは高校の同級生である漫画家の山科ティナさんが森さんを描いたものらしい。かわいい。パソコンに貼りたいが勿体無くて貼れない。

会場を出たらすぐにローラメルシエのアイシャドウパレットを検索した。森さんらしい可愛いコスメだった。そのまま池袋の街に繰り出したが商品は見つけられなかったので、後日ネットで購入した。ナチュラルな色味が多く入っているアイシャドウで普段使いしやすくて良い。

写真集の森さんはタイトルの通り素の状態の森さんの姿が多く、童顔な顔立ちからかどこかにあどけなさも残っているようで、それは普段の森さんから大きくかけ離れたものではなく人間的であったり親近感を感じた森さんの姿のままちゃんとそこにあった。彼女にとってのこの写真集発売は自分の個を出していくためのまだ通過点でしかないと思うので、今後も色んな形で自分の存在を展開してくのだろうと思っている。彼女自身がこれでいいと思える位置はどこなのか、まだ私もよく分かっていないので引き続きウォッチを続けていきたいと思う。