14年4月 diary

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4月1日(火) 

「ヒッグス粒子を追え」フランク・クローズ

この辺りの理論は知っていたが、発見のドラマの方について読んだのは初めてだったので面白かった。朝永らのくり込みの時代から始まって、標準モデルが確立するまでの過程を「無限大の問題」を軸にしてまとめたもの。原題は"the Infinity Puzzle"でこっちの方が内容を正確に表している。発売時期からしたらこう言うタイトルになるのは仕方ないのだろうけど。(ヒックス機構の発見者は少なくとも7人はいるという話はちゃんと入ってますが。) 著者はオックスフォード大の物理学の教授。

この手の本を読む時は物理学として知っていることでも、説明の仕方に得るところがあるので、退屈でも読むようにしていたのだけど、この本についてはそういう事は無かったので物理について知っている人は物理の説明は読み飛ばして良いと思う。

普通の本はもっとドロドロした人間ドラマがあるもんだけど、この本は抑えめ。どうも、噂で流通しているバージョンには他の話がありそうだと、ほのめかされてはいるのでちょっと欲求不満にはなる。 ただ、これは著者が書かれた資料で確認出来る事に限るとしている事からくるのかもしれない。そうなら好ましい事だし、するとむしろこちらが事実に近いのかもしれない。

主人公ではないけどサラムの登場が多い。各章にばらまかれているのだけど、読み直してつなげてみたら、面白い話だった。論文ないのに、講演でノーベル賞がとれる事もあるのかとか。

このトピックでゴーストの話がないのはちょっと意外だった。というか非可換ゲージ場を理解しようと思えば必須なのだが、これはスルーされていた。これなしでも確かに話がつながるというのはちょっと驚きだった。


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T. Mogami
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