平和憲法を護り、活かすために地道に活動を続けます

[弁護士 佐藤 真理]

 78年回目の終戦記念日を迎えました。
 日本は、憲法9条を持ちながら、安保条約の下、米軍の駐留が続き、自衛隊の戦闘力年々増大してきました。
 憲法9条があるので、1950年代の朝鮮戦争、1965年から75年のベトナム戦争で、韓国やベトナム人民が多大の犠牲者を出しましたが、日本の自衛隊員が犠牲になることはありませんでした。また、2001年の9・11同時多発テロ後のアフガン報復戦争には、小泉内閣は、テロ特措法をつくって、自衛隊の護衛艦をインド洋に派遣し、2003年のイラク戦争には、「イラク特措法」により、非戦闘地域に陸上自衛隊が派遣されたものの、1度も自衛隊員が武器を使用することはありませんでした。米軍に追随して自衛隊派遣を強行しようとする政府も、憲法9条を守れと自衛隊派遣に反対する民衆の運動の力で、かろうじて「戦争しない国」を続けることができたのです。
 しかし、今、「新たな戦前」ではないかとの指摘がなされているように、日本は、「戦争か平和か」の歴史的岐路に立たされています。
 
 岸田政権は、あの安倍政権以上に危険な政権です。岸田政権が昨年末に国会にも図らずに閣議決定で決めた「安保三文書」の狙いは3つあります。
 第一は、中国との軍事対決、「台湾有事」に際して日本が武力も含めて加担することができるように自衛隊を「攻撃的軍隊」に全面改造することです。
 第2の狙いは、日米軍事同盟を文字通り「戦争する同盟」に変えることです。日本が配備するミサイルも、日本単独で行動するのではなく、米国の対中軍事包囲網の一角として米軍の指揮統制下での運用です。岸田政権は、外交においても、従来の対米追随外交の枠をはるかに超えて、G 7、米・日・印・豪のクワッド(QUAD)、NATO諸国との連携など米国中心の対中包囲網外交に精力的に動いています。
 第3の狙いは、こうした憲法蹂躙の軍拡を実現するための大増税、国民負担増の正当化です。

 これらを実行するには、政府自身が積み重ねてきた自衛隊に対する憲法の制約を根こそぎ破棄しなければならなくなります。自衛隊は憲法9条が禁止している「軍隊」ではないと強弁するために自ら設けてきた制約をなくすために、9条自身を変えなければなりません。岸田政権は安倍政権もできなかった明文改憲を急がざるを得なくなっているのです。憲法との矛盾は明らかで、その追及が不十分なメディアの責任も重大です。

 9条の会呼びかけ人の澤地久枝さんは、長年『アベ政治を許さない』のプラカードを掲げて、国会正門前の「3の日行動」に参加されていますが、猛暑の今夏も背中の痛みをおして『平和の旗 降ろしません』とプラカード掲げて、国会前行動に参加されています。

 平和を希求する私たち一人一人が、声を挙げ、行動に立ち上がるときでしょう。「平和、いのち、くらしを壊し、市民に負担を押し付ける軍拡、増税に反対する請願署名」を急いで広げましょう。
 少人数でも、憲法を護り活かすための学習会を開いて下さい。ぜひ、一緒に議論したいと思います。
                          (2023年8月15日)

改造内閣、がっかりから絶望へ

[弁護士 吉田恒俊]

 8月8日の新内閣・自民党役員の顔ぶれを見た印象は、がっかりした、ということでした。一つは、日本を戦争する国にしようとしていた安倍元首相の影響力が薄まるかと期待したのですが、逆に維持・増強されたことです。そのことは、第2の安倍とも言える高市氏が再び入閣したこと、安倍派の官房長官が留任したこと及び安倍側近の萩生田氏が政調会長と髙木国会対策委員長の留任にはっきり見て取れます。二つは、防衛大臣に新国防族と言われる浜田靖一氏を登用したことです。浜田氏は、これまでに防衛政務次官や防衛庁副長官、防衛大臣、党国防部会長を歴任した人です。

 残念なことに、その印象がますます強くなってきたことです。岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三各氏と統一協会との深い関係はますますはっきりし、新大臣8人が旧統一教会との関係が続々と発覚しました。さらに、副大臣・政務官を加えれば30人を超えるといいます。

 驚くべきは、旧統一教会の集まりに岸田首相が参加していたという写真まで流れていると聞けば、岸田統一教会内閣と言わざるを得ません。もはや岸田改造内閣には絶望です。短命内閣になる予感がして来ました。

 統一教会の教義は、「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を教祖文鮮明にひれ伏させること」としており、本来まともな保守政治家ならば真っ先に排斥すべき団体ではないでしょうか。選挙のためには日本を韓国に売ることも辞さないような売国的政治家によって我が国の内閣が汚染されていることは耐えられない思いです。

(2022年8月22日)

1週間、夫にワンオペ家事育児をしてもらった

[弁護士 大久保 陽加]

先日、あまりの忙しさに1週間だけ、夫に保育園のお迎えから寝かしつけまでの時間を一人で頑張ってもらいました。

前提として、私たち夫婦は割と家事育児の分担をしている「方」ではあります。ただ、どこまでいっても、私(=母)が主導で、夫の「お手伝い」感が抜けないのです。

1週間、夫にワンオペ家事育児をしてもらって、感じたことをまとめたいと思います。

「家事労働」の見える化の重要性

夫に対して、「家事の負担が大きい。」と愚痴ると、決まって、「え?炊事、洗濯、掃除だけでしょ??」と言われていました。

ちょっと待ってよ・・・「炊事」って言っても、調理だけでなくて、保育園のメニューとかぶらないようにとか、栄養バランスとか色々考えながら買い物をしたり、仕事のスケジュールを見て出勤前に下ごしらえをしたり、食事の後には皿洗いやコンロ周りの掃除をしたり・・・複数の工程があるのよ・・・

さらには、炊事、洗濯、掃除に分類されない「見えない家事」も無数にあって、常に頭の中に家事のTO DOリストが並んでる状態です。

夫にこのことを説明してもなかなか理解して貰えませんでした。   

しかし、数日間(さすがに1週間は放っておけなかった・・・)夫1人が家事育児を担うことになり、家の中はゴミ屋敷化・・・日分の食器は溜まってるわ、コンロにはカピカピになった物体が貼り付いてるやら、ストックの補充はされてないやら・・・れは悲惨なことになりました。

この惨状を見て、はじめて「想像していた以上に私が家事労働を担っていたこと」に気付いてもらえたようです。

家の中での「家事」って、主にそれを負担している人以外は、項目自体も把握しにくいのですね。主な家事負担者も各項目を全て説明するのも大変です。

「今まで、全部やってくれてたんだね。ありがとう。」と言ってもらえて、何だかとても救われた気持ちになりました。

今まで、分かってもらえない!と怒りまくっていたのですが、私の説明も十分じゃなかったのかもしれないと反省しました。各家事の必要性とか時間コストを説明するのは面倒ですが、分担をするためには初期投資としての説明が不可欠ですね。

2 育児という感情労働にはパワーが必要

毎日、ワンオペ育児が続くと可愛い我が子がモンスターになることがあります。

どんなに可愛くても、仕事を終えて疲れ切った後、自分の欲求を極限まで抑えて、子ども最優先に動くことは簡単ではありません。1日、2日なら簡単ですが、毎日となると、「もう!」と思ってしまうこともしばしば・・・(それでも、感情を抑えてニコニコし続ける・・・)

このような感情労働の大変さって理解されにくくないですか?!!

経験していないと、「子どもと一緒に過ごすなんて楽しいだけじゃん!」と思いがち、この勘違いによって喧嘩になることって本当に多いと思います。

1週間、ときにはモンスターになる我が子と過ごして、育児が楽しいだけじゃないと分かってもらえたのか、夫がとても協力的になりました。

私の方は、そんな我が子との時間が激減してさみしくってさみしくって・・・どんなに大変でも、やはり我が子との時間はかけがえのない宝物ですね。

3 仕事を終えてから帰宅できるという「心の余裕」

出産して最も変わったのは、仕事が終わっているか否かに関わらず、保育園のお迎えの時間が来ると、強制的に仕事を終えなければならなくなったことです。出産前は、「やろう!」と思った日に、ときには徹夜で、仕事に没頭できました。これができないというのは本当に辛い。

(もちろん長時間労働を是としているわけではありませんが)やらなければいけない仕事をその日のうちに片付けられるというのは、ストレスが全く違います。

帰宅した後も「あの仕事しないと・・・」考えながら家事をして、子どもと遊んでというのは、なかなかしんどいですよね。

ただ、時間内に終わらせるというプレッシャーがない分、無駄な時間が増えたようにも思います(保育園のお迎えダッシュの直前30分くらいの処理スピードは半端ない)。

時間制限は、ワーママの弱さだと思っていたのですが(もちろん、それで辛いことは多い)、弱さではなくて、強さなのでは?と考えて、とにかく17時に仕事を終えることを目標にすることにしました。

起床時間を1時間早めたり、スケジュールに余白の時間を多めに入れたりと試行錯誤しています。

よくやくコツが掴めて、17時にTO DO リストを消化して、スッキリとした気持ちで家に帰ることができるようになりました。

ストレスが減り、睡眠時間も規則的になって、処理スピードが格段も上がりました。

なくなった時間を嘆くのではなく、ある時間をどう使うのか工夫することで、ワーママでもストレスなく仕事を回せるのだと気付きました。

まだまだ改善の余地ありですので、時間制限のある方で工夫をしている時間術を教えてください。

4 パートナーと「家事」「育児」を分かち合うことの大切さ

パートナーとの関係を良好にするためには、「分かち合うこと」がとても大切です。

と言っても、それぞれ見ている景色(家事育児の認識)が違いすぎて、分かち合うことは、本当に難しいですよね。

今回、実践を通じて、少し理解してもらえて、とても楽になりました。

逆に、私も毎日残業をして子どもの寝顔しか見られない夫の気持ちも分かるようになりました(これもこれで辛いですよね)。

毎日の忙しさで、コミュニケーションを後回しにしがちですが、コミュニケーションって本当に大事ですね。

ワーママ、ワーパパのみなさん、頑張りましょう!!

Noteでも更新していますので、覗いてみて下さい。

https://note.com/0_0qbo_h/n/n260d975319a7

一票一揆で野党連合政権を実現しよう

 

[弁護士 佐藤真理]

 安倍政権を継承した菅義偉政権は、国民の命と暮らしを犠牲にして東京五輪を強行しました。医療関係者や識者、広範な国民の懸念が的中し、新型コロナ感染症のパンデミックを引き起こし、感染者は連日、2万人を越えています。救急車を呼んでも入院先が見つからず、自宅療養を強いられる人が激増し、もはや医療崩壊です。

 無為無策を続けた菅政権、小池都政の失政であり、明らかな人災です。
国民の命も暮らしも守る意思も能力もない、自民公明の菅政権には退陣してもらうほかありません。


 二月(ふたつき)以内に行われる総選挙は、憲法を軽視し、貧困と格差を広げる政治を変える絶好のチャンスです。一番大事なことは、主権者国民が棄権せず、怒りの一票を投じることです。5割前後に留まる投票率を20%以上引き上げる「一票一揆」が実現すれば、政権交代は間違いありません。


 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合の6項目の共通政策提言(①憲法に基づく政治の回復、②科学的知識に基づく新型コロナウイルス対策の強化、③格差と貧困を是正する。④エネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行、⑤自由で公正な社会の実現、⑥権力の私物化を許さず、公平な行政を実現する)を受けて、市民・労働者と野党の共闘により「野党連合政権」を実現するために、微力を尽くしたいと決意しています。

(2021年8月23日)

戦没者への慰霊と戦争責任

[弁護士 吉田 恒俊]

 6月23日は沖縄の慰霊の日でした。76年前(昭和20年)の沖縄戦で、日本軍は住民を巻き込んで地上戦を行い、日本軍に強要されて自決した人々を含めて24万人を超える人が亡くなりました。沖縄県は組織的な戦闘が終わった6月23日を「慰霊の日」として、戦没者追悼式など各地で平和への祈りがささげられました。来年で沖縄が本土復帰50年の大きな節目を迎えます。

 沖縄県主催の戦没者追悼式で、菅総理大臣はビデオメッセージで「引き続き『できることはすべて行う』との方針のもと、沖縄の基地負担の軽減に向け一つ一つ確実に結果を出していく決意だ」と述べたそうですが、その言葉の軽さと白々しいことにあきれます。政府は多くの県民が反対している辺野古基地建設工事を強行し、非道にも戦没者の遺骨の含まれている土まで掘り出して基地の埋め立てに使おうとしています。菅総理は「慰霊」とは真逆のことをしているのです。このメッセージは、米軍基地建設のためには「できることはすべて行う」と宣言しているとしか読めません。

 同じ日、種子島の西之表市沖に沈んでいる旧日本海軍の九七式艦上攻撃機、通称「九七艦攻」の一部が、海底から引き揚げられました。遺骨は確認されなかったそうです。そもそも、政府は海外の遺骨収集に消極的で、海外戦没者240万人の内、戦後76年の今も約半数の112万柱も放置されたままです。相手国の事情によって収集が困難な遺骨が23万柱あるそうで、それを除いても約90万柱が収集しようともされないで、今もそこに眠っているのです。

 与党も野党も遺骨の収集に熱心ではなかったと言えます(※1)。その理由として、野党には侵略戦争の先兵となった兵士に対する敬意がなかったこと、与党は遺族会を集票マシーンとして取り込んだので、その幹部が納得する程度の遺骨収集を予算が少ないことを口実にちんたらやってきたことにあると言わざるを得ません(※2)。

 大事なことは侵略戦争を起こした原因と戦争犯罪者を日本人の手で究明すること、亡くなったほとんどの兵士は戦争犯罪者らに赤紙一枚で狩り出されて非業の死を遂げた犠牲者であることを全国民が確認すること、その上で、国を挙げて海外の戦没者の遺骨をできるだけ早く収集することだったのです。国民の中には、亡くなった兵士は国を守るために戦った英霊(犠牲者)という人もいるでしょう。

 それはともかく、大事なことは太平洋戦争の戦争責任と責任者を明らかにすることです。本土を含めて300万人もの死者をもたらした戦争の原因とその責任者を具体的に明らかにすることこそ、今後の日本国民の団結と遺骨収集を進める力になると信じます。戦没者への慰霊のために今からでも決して遅くありません。

※1 遅ればせながら、国は2016年成立の戦没者遺骨収集推進法に基づき、16年度から24年度までを収集の集中実施期間とする収集事業の体制を強化した。高齢化する遺族の思いを受け止めるべきである。
※2 一昨年、ロシアやフィリピンで日本人以外の遺骨も収集された可能性があると専門家に指摘されながら、厚労省が無視していたことが分かった。そのため同省が再調査せざるをえなくなり、460人分もの遺骨が外国人のものと判明した。
(2021/06/25)

福島原発事故10年目このまま震災遺構にしよう

                 

[弁護士 吉田恒俊]

 3月11日は東北大震災10年の記念日でした。嬉しくない記念日ですが、災い転じて福となすという発想も必要ではないでしょうか。特に、原発の廃炉について、政府と東電は2041~51年に完了を目標としているが、道筋が見えない、と誰もが言っています。現在の科学技術水準では100年経っても無理と思われます。


 その上、差し迫った課題として放射性物質「トリチウム」を含んだ処理水の処分があります。政府は昨年10月、薄めて海に流す方針を固めていましたが、漁業関係者からの強い反対で実行できませんでした。しかし、敷地内の貯水タンクは22年秋ごろには満杯になります。それが分かっていながら、政府も東電も具体策を出せていません。また、福島県内で出た汚染土は東京ドーム11杯分に相当し、国は44年度までに県外での最終処分を目指していますが、未だ候補地探しも始まっていません。こんな状態で、原発そのものの廃炉なんて先のまた夢です。


 私は、2019年12月のこの欄で、「福島第1原発に石棺をかぶせよう」と投稿しました。10年目の今日、ますますその必要性を感じます。先日の新聞に出ておりましたが、チェルノブイリでは、広い意味で観光地として売り出しているそうです。戦争を除けば人類史上最大の負の遺産としての原発事故遺跡を、今後の研究の場あるいは反省の場として広く開放したい。世界中から沢山の見学者が訪れることで、原発の有する核の恐ろしさを体感する場とします。こうして、原発反対を日本と世界に訴えるシンボルにしましょう。同時に、福島第1原発周辺の自治体と住民が経済的にも潤うようにしたいものです。

 残念ながら、有識者、マスコミ、政党など責任ある人たちは、「廃炉の道筋が見えない。」と言うばかりで、誰も「廃炉は無理だ。このままチェルノブイリ化するべきだ。」と言う人はいません。確かに、この提案は、国民なかんずく福島周辺の人々の感情的な反発を免れないでしょう。しかし、これしか方法はないのだ、と説得することこそ指導的立場の人たちの責務と言えます。

 この記事は、ミミズの戯(たわ)言(ごと)にすぎませんが、多くの人たちが賛成していただければ大きなうねりとなるに違いありません。
2021/03/11

歴史的な非核条約の発効が確実となる身近な議員への働きかけを

     [ 弁護士 吉田恒俊]
                                                   

 ご承知のとおり、去る10月24日、核兵器禁止条約(「非核条約」といいます。)が来年1月22日に発効することが確実となりました。人類の存亡がかかった核兵器廃絶に向けて歴史的な一歩となりました。


 非核条約は、国連で2017年07月07日に122国の賛成多数(反対はオランダのみ。核保有国は不参加)で可決され、50カ国が批准すればその日から90日後に発行することになっていました。

 当初簡単だと予想された批准はアメリカの妨害があってなかなか進みませんでしたが、本年10月24日に中米のホンジュラスが国連本部で批准の手続を終えて50カ国に達しました。唯一の被爆国日本はアメリカの核抑止力を維持するために国連決議に不参加とし、菅内閣も国民と被爆者の切なる願いに反して、批准はしないとしています。


 私ごとですが、34年前に非核の政府を求める奈良の会の立ち上げに参加して以来、非核平和の集いの開催やニュースの発行など、核廃絶に向けての運動をして参りました。非核条約の発効はいよいよ非核の会の出番だという気持ちを強くします。


 政府が動かない現状を打開するために、地方自治体から内閣と国会に対して、非核条約を署名しかつ批准せよという声を上げていくことが大事です。既に全国で非核条約への参加・署名・批准を求める意見書を上げている議会は495自治体に達しており、奈良県でも県を含めて12自治体が同様の決議を上げています。


 そこで、本年10月16日の県議会で、政府に対し核兵器廃絶の署名を求める動議が共産党から提案されました。既に県議会は平成29年に全国でいち早く核兵器廃絶を求める決議を採択しています。動議には他の野党からも賛成の意見表明がありました。これに対して決議に反対する意見はありませんでした。ところが、動議は反対多数で否決されたのです。反対議員は内心では賛成だが所属政党の意向に反することが怖いのでしょう。しかし、それを乗り越えて賛成してもらわないと世の中は変わりません。地方議員だけでなく、奈良選出の国会議員にも菅内閣の意思を条約賛成に変える活動をするよう働きかけることは出来ます。


 私たちは,国民、県民の一人として、身近な議員に直接要求することは出来ます。政府や議会への署名活動、あるいはデモ・集会などとともに、身近な議員への働きかけをする必要を感じます。自治体に対するとともに、地元選出の国会議員に対し、直接非核条約を批准するよう要請しましょう。核兵器廃絶は政党政派を超えた国民の願いです。

2020/11/26

§マスク美人

[弁護士 吉 田 恒 俊]

 コロナ禍第3波が押し寄せてきました。腰の重い政府もようやく動き出しました。皆さんマスクをしている方が多いです。私は忘れるのでいつもカバンに2つぐらい入れております。マスクをしていないと,買い物に行っても会議に出ても,お客様と面談するにしても肩身が狭い、どころかひんしゅくを買いそうです。


 今年はインフルエンザが極端に少ないのですが、これはマスクのせいだそうです。マスクは万病を防ぐのでしょうか。ますますマスクが手放せません。


 私は人の顔を覚えるのが苦手なのですが、マスクをされているとよけいに分かりません。「こんにちは」と声をかけられても分からないので、相手は気を利かせてマスクを外してくれますとようやく思い出すような始末です。


 その代わり、マスクをしている女性はきれいに見えます。老若を問わず女性は皆さん可愛くて美人になりました。そう思うのは私だけでしょうか?私は「マスク美人」と呼んでいますが、それは日本人の顔の上半分は美しく出来ているからだと思います。


 男女ともマスクの時代、相手方の視線はどうしても目に集中します。だから目力(めぢから)を養なうことがコロナの時代を生き抜く上で心がける必要を感じます。男性も付け睫毛(まつげ)が必要かもしれません。
2020/11/24

「奥西勝さんの冤罪を晴らす奈良の会」への参加を呼びかけます。

[弁護士 佐藤 真理]

国民救援会をご存じでしょうか。1928年に結成された人権団体で、私は、現在、奈良県本部の会長を務めています。戦前は、治安維持法の弾圧犠牲者の救援活動を行い、戦後は、日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤として、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支え、全国で100件を超える事件を支援しています。

奈良県にも「名張毒ぶどう酒事件」と呼ばれる著名な冤罪事件があります。59年前、1961年3月に、名張市の実質飛び地と隣接する奈良県山添村にまたがる葛生という集落の懇親会酒席で振る舞われたぶどう酒に毒物が混入され、ぶどう酒を飲んだ女性17人が中毒症状を起こして、5人が死亡した事件です。

逮捕・起訴されたのは奥西勝さん、当時35歳でした。刑事裁判で死刑判決が確定したが、冤罪を訴えて9度にわたる再審請求を起こし、死刑確定後43年間にわたり死刑執行が見送られ続けたものの、奥西さんは、2年前、89歳で獄死しました。

冤罪が晴らされる可能性があったのは3度。最初は1964年の1審・津地裁の無罪判決です。二度目は第7次再審における2005年4月の名古屋高裁第1刑事部の再審開始決定です。3度目は、前記再審開始決定を取り消した名古屋高裁第2刑事部決定に対する特別抗告に対して2010年12月の最高裁決定が、原決定は審理不尽として破棄しながら、審理を名古屋高裁に差し戻した時です。日弁連は、「すでに重大な疑いが存在することは明らか」であるから原決定を取り消した上で、最高裁が自ら再審開始決定をすべきだったと、再戻しについて厳しく批判しました。

私は弁護士として42年。刑事事件に力を入れていた時期があり、無罪判決も3つ、経験しました。現在は多忙をきわめているため、弁護団に加わって全力投球する余裕はありませんが、名張毒ぶどう酒事件は、地元の事件でもあります。「名張毒ブドウ酒事件奈良の会」の皆さんと力を合わせて、奥西さんの遺志をついで、第10次再審に取り組んでおられる妹の岡美代子さんを支え、再審開始・再審無罪を勝ち取るために、尽力していく決意です。
2020年9月22日

カテゴリー: sato

タンタンタンゴはパパふたり

【弁護士 大久保 陽加】

今回は、私と娘のお気に入りの『タンタンタンゴはパパふたり』(文/ジャスティン・リチャードソン&ピーター・パーネル、絵/ヘンリー・コール、訳/尾辻かな子、前田和男)(ポット出版)という絵本を紹介したいと思います。

オス同士のペンギンのカップルがタンゴという名前の赤ちゃんペンギンを育てていくという、実在するペンギンの家族のお話です。

まだ幼い娘には少し難しいかもしれませんが、絵本を通して、「パパが2人のこともあるよね〜!」という感覚を身につけて、性の多様性や家族の多様性を受け入れられる土壌ができることを願っています。

というのも、電通ダイバーシティ・ラボによる「LGBT調査(2015年)」では、LGBTを含む性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)に該当する人は約7.6%と報告されています。つまり、30人学級であれば、クラスに1〜2人は確実にいることになります。

ちなみに、LGBTと一言でまとめていますが、「性的指向(sexual orientation)」に関する「L レズビアン」「G ゲイ」「B バイセクシュアル」の問題と「性自認 Gender Identity」に関する「T トランスジェンダー」の問題とは性質を異にします。

また、LGBT以外にも、Xジェンダーと呼ばれる第3の性と性自認している方や人間に対して性愛を抱かないアセクシュアルという方もいらっしゃいます。これらの方を含めてLGBTQやLGBTsということもあります。

私は、LGBTQのどれであるかよって人を分類することではなく、目の前にいる「その人」として理解をするべきだと思っています。

「配偶者が同性と肉体関係を持っていたことが分かったがどうしたらいいのか?」、「同性のパートナーから暴力を受けているがどうしたらいいのか?」という法律相談を受けることも多いですが、これらの相談も、日本の法制度が異性愛を前提にしてしまっているという重大な欠陥をはらんでいることが前提とはなりますが、私としては異性との不倫や異性のパートナーからの暴力と同様に問題解決をしていけばよいと考えています。

奈良市や大和郡山市でも同姓パートナッシップ制度が認められたり、奈良女子大学ではトランスジェンダー(MtF)の女性の入学を認めることとなったり、奈良県内でもLGBTQに関する問題についての制度の改善が進んでいますが、娘が成長したときによりよい社会になるように、よりよい制度・法律の整備を進めていきたいと思います。

刑事弁護のはなし②

[弁護士 松本 恒平]

前回「刑事弁護のはなし①」では、私も含めて、刑事弁護に関わる弁護士の多くが、今の刑事司法における身体の拘束のあり方について、疑問を持っているということをお話しました。特に、逮捕されて72時間以内に勾留請求されると、まずは10日、さらにその後、検察官が勾留延長の請求をすると、10日間の勾留の延長が、とても簡単に認められてしまいます。つまり、逮捕されると、20日以上の身体の拘束がされることを覚悟しなければなりません。

さて、ここで、多くの方が、逮捕されるようなことをしなければよいだけではないか、と思われるかもしれません。確かに、その通りかもしれません。

それでは、次のような事件についてはどう思われるでしょうか。事案については、大幅に簡略化した事実関係についてのみ、お話します。

Aさんは、初めて訪れた飲食店で、初対面のBさんと口論になりました。店内には他にCさんがいました。つまり、店内には3人だけでした。口論の後、警察が店にかけつけました。警察に対し、Bさんは、Aさんに手首を強くつかまれたと伝えました。Aさんは、自分は手首などつかんでいないと、最初から警察に対して強く訴えていましたが、Cさんが、手首を掴んでいるところを見たと言ったために、逮捕されました。

まずは、このような状況をどう思われるでしょうか。確かに、Cさんが目撃したと言っている状況からは、逮捕されることはやむを得ないでしょうか。また、腕をつかんだことで逮捕されるということは意外に思われるでしょうか、それとも当たり前だと感じるでしょうか。ちなみに、Bさんは、全く怪我はしていません。

もちろん、この事件には続きがあります。
Aさんは、まず10日間の勾留がされることになりました。Aさんは、手首などつかんでいない、むしろ、自分が何度も胸を小突かれた、店内には防犯カメラがあり、そのカメラの映像を見てもらえれば、一部始終が映っており、自分が手を出していないことはわかるはずだ、なぜ自分が捕まっているのかわからないと、逮捕直後からずっと、弁護人にも捜査機関にも、なんども訴えます。

みなさんが弁護人や検察官の立場なら、この事件の真相はどのように考えるでしょうか。防犯カメラ映像を見て欲しいと、なんども訴えるAさんは、嘘をついているのでしょうか。Aさんは、防犯カメラ映像が確認された時点で、釈放されるという希望を持っていました。しかし、どれだけ待っても、映像が確認されることはありませんでした。なぜなら、後に明らかになるのですが、防犯カメラは、ダミーカメラであり、映像は存在しなかったからです。そうして、この事件は、取り調べにおいて、Aさんが腕を掴んだことを、認めるか認めないかということのみが焦点となりました。

被疑者が、無実を主張するような、否認事件と呼ばれるものは、最初の10日間の勾留だけでなく、さらに10日間の勾留延長されることが大半です。被疑者は、20日間、取調べにおいて、無実を主張し続けなければなりません。さらに、20日もの間、警察署に勾留されたなら、会社員でも自営業者でも、仕事はどうすればよいのでしょう。会社や取引先にどのように伝えればよいのでしょう。すでに、たくさんの仕事の予定が入っていた場合、それらすべてキャンセルするしかありません。

そもそも一般論として、なにもしていないかもしれない人が、安易に20日もの間勾留されるということ自体、疑われた以上は、仕方ないことなのでしょうか。最初の10日間の取調べをなんとか乗り越えた人が、さらに、10日間延長されたと告げられたとき、どれだけ絶望的な気持ちになるか、弁護人なら誰もがよく知っています。

結局、この事件でも、勾留延長が認められました。そして、Aさんは、なんとか約20日間無実を訴え続け、最後には、不起訴となりました。なんの客観証拠もありませんでした。不起訴というのは、なんの処分もなく釈放されるということです。もっと早く釈放することはできなかったのでしょうか。そもそも、この事件で、20日間も一体、何を調べることがあったのでしょうか。客観証拠がなにもないので、ただ自白を得ようとしていただけではないのでしょうか。

取調べにおいて、無実を訴え続けることは想像を絶する苦しさです。ずっと否認していた人が、心が折れてしまい、やったと認めれば外に出られるのではないか、そうであるなら、もう認めて外に出たいと言い出すことは、全く特殊なことではありません。このあたりに関連して、取調べを受ける人々が陥る、特殊な心理状態についても、機会があれば、お話したいと思います。

私の戦中戦後 ――戦後75年に思う

[弁護士 吉田 恒俊]

今年は戦後75年になります。戦後生まれの人は人口の85%になり、戦争を知っている人は10%ぐらいになりました。振り返れば、私にも戦中戦後がありました。

私は昭和17年2月生まれなのですが、戦争の記憶は全くありません。戦前生まれですが、戦争を知らない部類になります。父は召集されなかったので、戦場の話を聞くこともありませんでした。不思議に身の回りの人から戦争の話を聞いたことはありません。これは、復員してきた人たちが、戦場での話を封印していたということがあります。意識的に聞き出さなければならなかったのです。

生まれた直後から住んでいた大阪市内の私の自宅は大阪大空襲で丸焼けになりました。母は私と弟を連れて母の出里の斑鳩町に疎開していたから焼けた日のことは知りません。しかし、3月の空襲には私をおんぶして逃げ回ったそうで、私は10歳ぐらいまでよく飛行機から落ちる夢を見てびっくりして飛び起きた記憶があります。父からは背中の赤ちゃんが空爆で死んでいるのに母親が逃げ惑っていたのを見た話を聞きました。

自宅で特定郵便局長をしていた父は、公務上最後まで自宅に残っていましたが、昭和20年6月7日の空襲でB29の編隊が爆撃するのを近くで見ていたそうです。大阪大空襲は第1回目が3月13,14日で、2回目が6月1日だったので、3回目の空襲でやられたわけです。父は自分の家が丸焼けになって何だかホッとしたというかこれで終わったという感じがしたと言っていました。私は意外に思いましたが、その空襲は3回目で父も覚悟していたのではないかと思いました。悲壮感もなかったようです。それ以前に大事な通帳類や切手などと自分の家財は持ち出していましたから、突然の火災とは異なっていた感覚だったのでしょう。

父は今の天満から法隆寺の近くの母の実家まで、リヤカーに焼け残った中から必要な物を積んで歩いて帰ったそうです。途中、車の人が助けてくれたとも言っていましたが、リヤカーはどうなったか聞き忘れました。それ以来自分の家に行ったことはない、と言っていました。借家だったそうですが、借家権が保障されていることを知らなかったそうです。知っておれば家で苦労する必要はなかったかもしれません(罹災都市借地借家臨時処理法)。

米軍の非道な空爆による民間人の死者数は広島、長崎、沖縄を含めて約66万人、被災家屋は沖縄を除いて約230万戸にのぼると言われますが、私の住んでいた家も被災家屋の一つということになります。疎開が遅れたら死者の中にも数えられていた可能性もあります。

家財道具をなくした両親は実家の支援を受けながらも、住むところを求めて奈良市七条町と斑鳩町の各実家、それから岸和田市と短い間に居宅を転々として、落ち着いたのが昭和23年の八尾市でありました。母親は敗戦前後のわずか数年間の経済的につらかったことやそこからくる人間関係について、亡くなるまでことある毎に家族や友人に話をしていました。

私は、生まれて間もなくから1,2年間、肺結核の女中さんの世話を受けたのと、戦後の食糧事情の悪さから右股関節結核に罹患し、13歳の時に手術をして、右股関節が動かなくなりました。戦争がなくて結核予防行政が尽くされており、食糧事情が悪くなければこんな病気にならなかった可能性が高いので、その意味では私も戦争被害者の一人であると思っています。

ちなみに空襲被害者は2007年3月の東京地方裁判所への訴えに続いて、大阪でも国を相手に損賠賠償を求めて提訴されました。訴訟は最高裁で敗訴が確定しましたが、軍人や原爆被災者と比較して何の補償もなかった空襲被災者の要求は正当なものであり、今後は運動で政府を追い詰めていく必要があると思います。
(2020/08/17)

奈良学園大学整理解雇事件      1審勝訴判決の報告

[弁護士 佐藤 真理]   
                   
1 7月21日、奈良学園大学事件で画期的な原告勝訴判決が奈良地方裁判所(島岡大雄裁判長)から言い渡され、テレビ・新聞で報道されました。

 少子化などを理由とする大学再編・学部閉鎖を口実に、奈良学園大学の教授ら7名を2017年3月末に整理解雇・雇止めした事件に関し、奈良地裁は、教授ら7名のうち5名に対する解雇が違法・無効であるとして、奈良学園に対して、地位確認とともに、未払賃金・賞与として総額1億2000万余円を支払うよう命じました。

 なお、65歳定年後再雇用中の2名については、70歳までの雇用継続の期待に合理的理由があると認めつつも、無期労働契約の労働者と比べて、雇止めによる経済的打撃は大きいとは言い難く、有期労働契約の労働者を優先的に雇止めすることには合理性があるとして、雇止めを有効とされたのは残念です。

2 事件の経過
 奈良学園は、1984年に奈良産業大学を開校し、2014年に奈良学園大学と改称。2012年、ビジネス学部・情報学部を現代社会学部に改組し、新たに人間教育学部、保健医療学部を新設する「再編」を計画しました。現代社会学部の認可が下りない場合は、ビジネス学部・情報学部は存続させるとの教授会の付帯決議がなされていましたが、奈良学園は、2013年に現代社会学部の申請を取り下げながら、付帯決議を撤回させ、2014年4月からビジネス学部・情報学部の学生募集を停止した上、両学部の教員約40名が「過員」になったとして、2017年3月末までに「転退職」するように迫ったのです。

 これに反対した大学教員らが、2014年2月に関西私大教連傘下の教職員組合を結成し、その後、組合員を増やして奈労連一般労組にも加入して、団体交渉等の活動を続けました。奈良学園は、解雇回避の努力を尽くさず、転退職に応じなかった約40名の教員に対し、2017年3月末、解雇・雇止めを強行したため、組合員8名が、原告となって本裁判を提起したのです。

3 争点と本判決の意義
 最大の争点は、少子化を理由とする学部の統廃合の際に、学校法人は、廃止される学部(ビジネス学部・情報学部)に所属する大学教員を解雇することが許されるのか否かということでした。

 奈良学園は、大学教員は、学部、職種とも限定されており、配置転換の義務はなく、整理解雇法理は適用されないと主張しましたが、本判決は「本件解雇は、被告の経営上の理由による人員削減のために行われた整理解雇に他ならない」として、学部閉鎖を理由とする解雇・雇止めにも、整理解雇法理を適用しました。

 整理解雇法理とは、整理解雇の4要件、即ち、①人員削減の必要性、②解雇回避の努力、③人選の合理性、④説明協議義務、のいずれかを満たさない解雇は労働契約法16条に違反し、解雇権の濫用に当たり無効とする法原則です。

判決は、①人員削減の必要性について、ビジネス学部・情報学部の学生募集停止により大学教員が「過員」状態になったといえるとしましたが、奈良学園は646億円もの純資産を有している上、社会科学系の第3の学部の設置検討をすすめ、これを合理的な理由なく凍結し、整理解雇・雇止めの意思表示後に第3の学部の設置検討を再開していることを指摘し、これらの対応は大学教員削減の必要性を強調することと整合せず、法人は、原告らを「解雇しなければ経営破綻するなどの逼迫した財政状態ではなく、人員削減の必要性が高かったということはできない」と判示しました。

 ②解雇回避努力については、希望退職の募集、事務職員への配置転換希望の募集などの奈良学園の対応を認定しましたが、「原告らは、大学教員であり、高度の専門性を有する者であるから、教育基本法9条2項の規定に照らしても、基本的に大学教員としての地位の保障を受けることができると考えられる」とし、奈良学園が、「原告らを人間教育学部又は保健医療学部に異動させることができるかどうかを検討する前提となる文部科学省によるAC教員審査を受けさせる努力をした形跡は認められない」とし、「解雇回避努力が尽くされたものと評価することは困難である」と判示しました。

 ③人選の合理性についても、選考基準が制定されてはいるものの、当該選考基準を運用する前提となるAC教員審査を受ける機会を付与していないから、当該選考基準を公正に適用したものとはいえないと判示しました。

 ④手続の相当性についても、奈良県労働委員会において、2016年7月に組合と法人が受諾したあっせん案(「労使双方は、今後の団体交渉において、組合員の雇用継続・転退職等の具体的な処遇について、誠実に協議する。」)を踏まえた「組合との協議が尽くされたと言い得るかは疑問が残る」と判示しました。

4 労働委員会の不当決定を乗り越える。
 私は、自交総連の小林明吉議長(故人)と二人三脚で、奈良県及び三重県の労働事件を多数取り扱ってきましたが、労働者・労働組合の救済機関である労働委員会を活用するのが、常套手段でした。奈良県労働委員会で取扱う不当労働行為救済申立事件の7割以上を担当し、次々と勝利命令を勝ち取り、これをベースに裁判でも勝利解決を図るという時期が長く続きました。

 今回の奈良学園事件でも、組合は、裁判と併行して、奈良県労働委員会に不当労働行為救済申立てを行いました。大学教員の中で年齢の若い3名の原職復帰を柱とする和解案が労働委員会から提示された経過もあり、全面勝利の救済命令は確実と判断していたところ、不誠実団交が認められただけで、不利益取り扱い及び支配介入の不当労働行為が棄却されるという想定外の不当決定を受けたため(2019年1月)、心機一転、これを乗り越えるために、弁護団と原告団は総力を結集して主張立証を重ねてきたのです。

 大学教員に対し、希望退職や事務職員ないし中学・高校教員への配置転換募集等を提案するだけでは、大学教員の雇用継続とはならず、「解雇回避努力としては不十分」と判示した本判決は、大学教員としての雇用確保努力を尽くすことを求めたものと高く評価できます。久しぶりに明快な労働勝利判決を得られたものと嬉しく思っています。

5 奈良学園は控訴し、原告側も雇止めの無効が認められなかった二人が控訴し、大阪高裁に舞台が移ることになりました。全面勝利を目指して、引き続き奮闘していく決意です。
 弁護団は、大阪の豊川義明・鎌田幸夫・中西基・西田陽子弁護士と私の5人が担当しました。

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コロナ禍での「憲法」をテーマに出前授業

【弁護士 大久保 陽加】

先日、立命館宇治高等学校であすわか出前授業をしてきました。

出前授業では、あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)所属の弁護士が講師となって「憲法」をテーマに授業をしています。
私が担当したのは、「コロナ禍で脅かされる生存権」というテーマの回でした。

緊急事態宣言後、コロナ関連でのホットラインだけでなく日常の法律相談でもコロナ禍での自粛の影響での解雇・雇い止め、過重労働、破産・債務整理、離婚などの相談が増加しており、私たちの生活に多大な影響が出ていることを実感しています。
(7月12日、日本労働問題弁護団の全国一斉ホットラインを奈良県でも実施したのですが、たくさんの労働者の方からのご相談をいただきました。)

そんな実感を少しでも共有できたら・・・と思い、当日は、
「緊急事態宣言の影響でバイトが休みになってしまいました。お給料はもらえるでしょうか?」
「緊急事態宣言を受けて、営業時間を短縮した飲食店のオーナーは従業員にお給料を支払うためにどうしたらいいでしょうか?」
「個人事業主ですが、収入が減ってしまって家賃も光熱費も払えません。財布には2000円しかありません。どうしたらいいでしょうか?」
といった相談事例に対して、弁護士の立場になって、アドバイスを考えてもらいました。

生徒の皆さんもニュース・新聞での報道を見て、日頃からコロナ禍での社会問題について真剣に考えているようで、想像していた以上に様々な意見をいただけました。

今回の授業、ZOOMを使ってオンラインで実施しました。
初めてのオンライン授業だったので、授業前は、学生さんの反応も分からへんし・・・と不安だったのですが、チャット機能を利用して質疑応答ができ、対面でのもの以上に双方向での授業をすることができました。
対面だと遠慮して発言しにくいこともありますが、チャットだとタイミングなども遠慮しなくてもいいところがいいのかもしれません。

コロナ禍で対面での講演や憲法カフェが実施しにくい状況ですが、オンラインを使って、どんどん実施していきたいと思いますので、どうぞお声がけください!

2020.7.28

刑事弁護のはなし①

[弁護士 松本 恒平]

先日、私が国選弁護人を担当した人から、不起訴処分となったとの報告の電話がありました。とても弾んだ声でした。不起訴というのは、なにも処罰されることなく、釈放されることです。

私が担当した被疑者事件は、これで5件連続不起訴となりました。当事務所の吉田弁護士に報告したところ、5件連続というのは、なかなか興味深い成果なので、ブログに書いてみればどうかと言っていただき、この文章を書くことにしました。

私は、不起訴処分となることは、身体拘束を解かれ、すぐさま日常へと復帰できるという点で、無罪判決に勝るとも劣らない価値があると考えています。そのため、不起訴となるべき事件であるならば、私なりに最善の弁護活動をしてきたとの多少の矜持はあります。しかし、それでもやはり、私が担当した事件で不起訴とされたような人々は、そもそも、最大20日間にもわたる勾留をされるべき人たちではなかったのだと考えています。

勾留中は、主に警察署の留置施設に囚われ、捜査官から連日長時間の取り調べを受けます。まずは10日間勾留され、検察官が勾留の延長を請求すると、ほとんどの場合、さらに10日間の延長がなされます。私は、弁護人のなかでは、捜査の必要性をそれなりに認める立場です。しかし、それでも特に、現在の勾留延長の運用は、異常なものといわざるをえません。

このあたりをうまく説明したいところなのですが、なかなかに難しいところです。というのは、やはり、逮捕されたような人は悪人なのでしょう、やっていないといってもそう簡単に信用してはいけないのでは、という感覚が一般的にあるように思われるからです。刑事弁護を始める前は、私自身もそのように思っていました。ですので、私が、逮捕勾留されている人の多くは、どこまでも私達と変わらない一般人なのだとか、推定無罪なのだとか言ってみたところで、弁護士が、被疑者や被告人の権利を声高に主張しているに過ぎないのではと思われるかもしれません。

ですので、次回は、私が実際に経験したケースをもとに、お話をしたいと思います。刑事弁護人のほとんどが、現在の身体拘束のあり方には、強い問題意識をもっています。次回は、このあたりの感覚をうまくお伝えできたらいいなと思います。

NHK裁判が結審

[弁護士 佐藤真理]

私のライフワークの一つである「NHK受信料裁判」が今月11日に結審しました。最終準備書面の提出に向けて、ゴールデンウイーク以降、作業に忙殺され、まともに休みを取ることはできませんでした。146頁に及ぶ最終準備書面は、弁護団と原告団の努力の結晶です。
この機会に、本裁判の中間総括をしておきたいと思います。

<国民のためのNHKをめざして>
NHKの視聴者は、受信料を支払うだけの存在であってはならないと考えています。主権者として、NHKに働く人達と共同して、「政府のためのNHK」から「国民の権利を擁護し、民主主義の前進に寄与するNHK」に変えていくために、主体的な役割を果たすことが求められているのです。奈良地裁の受信料裁判はその一つの実践です。

<放送法4条の遵守はNHKの義務>
放送受信契約は、受信の対価として、受信料を支払うという「有償双務契約」です。
放送は、国民の知る権利に奉仕するものですが、知る権利に応える情報の多様性は、放送事業者の自由競争に委ねるだけでは十分に確保できません。そのために、放送法4条は、放送事業者の放送番組編集の自由に対する「公共の福祉」に基づく制約として、放送番組の編集にあたって、「政治的に公平であること」、「報道は事実を曲げないですること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などを義務付けているのです。
私達は、本裁判において、NHKがニュース報道番組において、放送法4条および同趣旨の国内番組基準を遵守して放送する義務があることの確認を請求しています。

<最高裁判決は放送内容は判断せず>
2017年12月の最高裁大法廷判決は、「放送は、憲法21条が規定する表現の自由の保障の下で、国民の知る権利を実質的に充足し、健全な民主主義の発達に寄与するものとして、国民に広く普及されるべきものである。」と判示の上、テレビの購入者がNHKの放送を視聴していないとして受信契約の締結を拒否している場合にも、放送法64条により受信契約の締結が義務付けられているとして、「放送法64条は合憲」と判示しました。
しかし、この最高裁判決は、NHKの放送内容については判断していません。ニュース報道番組が「アベチャンネル」状態に陥っていないのかどうか、公共放送にふさわしいニュース報道を行っているか否かについては、全く判断していません。

<歴史的裁判>
本件訴訟は、国民の知る権利と民主主義の発達に寄与する公共放送の在り方を正面から問う歴史的裁判だと確信しています。
NHKは、本裁判において、「請求の棄却」や「訴えの却下」を求めるだけで、原告申請の証人5名、原告代表者5名の尋問に対する反対尋問も放棄しました。
私たちは、2016年7月以降、丸4年に亘り、19回の口頭弁論を重ね、訴状・準備書面等を30通、407点に及ぶ書証を提出して、主張・立証を尽くしてきました。

11月12日には、人権擁護の最後の砦である裁判所が「歴史的な判決」を言い渡されるものと期待しています。
無論、第一審判決は、私たちの運動の第一歩の到達点を刻むに留まる可能性もあります。
いずれにせよ、「国民の知る権利」と「民主主義の発達に寄与」する公共放送の実現をめざす私達の運動に収束はありません。高裁及び最高裁とたたかいは続き、同種訴訟が他地域でも提起されていくことでしょう。
2020年6月14日

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検事長の辞職で幕引きは許されません 出処進退が大事です

[ 弁護士 吉田 恒俊]

 東京高検検事長が、コロナ禍での賭け麻雀で賭博罪という犯罪容疑までついて、失脚しました。8月には検事総長だったはずですから、正に「天国から地獄へ」、松本清張の小説のテーマそのままの人生の逆転劇です。

 検察庁法改正反対の世論が高まる中で、親しい検事仲間から違法な定年延長で検事総長になるより、自ら辞職しなさいと暖かい声をかけられていたのがつい先日のことです。検事の仲間意識はとても強いものと聞いています。定年延長の時から約3ヶ月も全国的話題の渦中にあったのですから、考える暇はあったはずなのに、黒川氏はどうして仲間の声に耳を傾けなかったのでしょう。先に辞職しておけばと後悔しているに違いありません。検事総長という地位の魅力よりも、自分を引き立ててくれた安倍首相に忠誠を尽くそうとしたのでしょうか。

最近の朝日新聞の調査で安倍内閣の支持率は29%、不支持率は52%となって過去最低です。自民支持率も26%にまで下がっています。コロナ対策の不首尾に加えて、検察庁法改正案がごうごうたる世論の非難を浴びていることが理由と考えられます。

 安倍内閣は、自らの誤りを認めず、黒川検事長の辞職で幕引きをはかろうとしています。例えば、黒川検事の定年延長はあくまで間違ってなかったと言い、検察庁法の改正はこの時期国家公務員の定年延長はまずいと「事情の変化」を口実に撤回を匂わせ、悪法を持ち出した責任を免れようとしています。

 人間というものは出処進退が大事だと言われます。また相当の地位に就くには運とともにそれに相応しい器量が必要であります。器量もないのに高い地位に就くと、やがて身を滅ぼすことになりかねません。過度な遠慮はいけませんが、過度な出世を望んでもいけません。人生の節目に敏感に対応して出処進退を誤らないようにする必要があります。誰でも人生には節目がありますから人ごとではありません。

 黒川氏が検事総長の器であったかどうかはともかく、進んで辞職する前に切られたのが真相だと思います。このまま8月になって、安倍内閣が黒川氏を予定通り検事総長に任命すれば世論の批判はもっと激しくなることが予想されます。安倍内閣にとって、黒川氏が任意に辞職すれば定年を延長したメンツ丸つぶれなので、黒川氏個人の不行跡で世論も辞職やむなしとなれば、辞職に対する風当たりを避けることができます。安倍首相が知っていたかどうかはともかく、黒川氏の麻雀好きは部内では皆知っていたはずです。まして、スパイ組織である公安警察や内閣情報調査室が知らなかったはずはありません。誰かがたれ込めば、週刊文春の手配で1ヶ月ぐらいの尾行と張り込みで記事を書くことは容易だったと思います。誰が文春に垂れ込んだのかの詳細がはっきりしないことも不思議です。

 友人間で点ピン(1000点10円)のレートで麻雀をすることが賭博に当たるかどうかは、微妙なところですが、常習とされない限り処分は軽くて済むのが普通です。しかし、黒川氏に常習性を認めなかった法務省内の調査は身内に甘すぎます。仮に常習性がなければコロナ自粛の「3密」に反して賭け麻雀をしたとしても、普通なら検事長辞職の理由にはならないと思います。今回の黒川辞職劇は、週刊文春に書かれることにより、常習性の有無を問題とするまでもなく、世論の反発を誘った結果ではないでしょうか。

 2月に東京高検検事長として定年退職しておれば、黒川氏は元検事長である弁護士として平凡に余生を全うできたに違いありません。黒川問題のそもそもの原因は安倍首相にあります。解釈の変更という違法な理由で前例のない検事の定年延長をしたのですから。誰も黒川氏の定年延長が法務省から提案されたという弁解を信じていません。

 ひるがえって安倍さんはこれまで何人もの他人の運命をもてあそんで来ました。妻昭恵氏の親友であった森友学園の籠池泰典・諄子夫婦は今や犯罪者として裁かれています。多くの公務員が虚偽公文書作成を職務として強制され、その中の一人は自殺に追い詰められました。財務省理財局長であった佐川宣寿氏は国会で苦渋の偽証をさせられ、国税庁長官に栄転したものの針のむしろで、退職後はひっそりと暮らしています。「桜を見る会」では、しばしばテレビで放映される当日の写真で、安倍夫妻と並んで何人もの有名人が能天気に笑っています。恥ずかしいだろうなと同情します。
 森法務大臣も黒川氏の定年延長や検察庁法案提出の責任を負わされて、国会や記者会見でろくな応答もできずに生き恥をさらしており、最近は美しい顔立ちが鬼のような形相になっていると思うのは私だけでしょうか。日本人の行動様式は「恥の文化」と言われますが、これ以上恥をかかないために早く大臣をお辞めになることをお勧めします。

 「#検察庁法改正案に抗議します」というつぶやきが700万件も上がって、普段は政治的な発言をしない有名人たちも怒りを示しました。違うハッシュタグの意思表示も含めれば1000万件、2000万件を数えているかもしれないと言われます。
 安倍首相は、いつも「私に責任がある。」と言いながら何の責任も取らず、今回もこのまま逃げ切れると思っているかもしれません。時間が経てばまた支持率も回復するとタカを括っているのでしょう。それを許すかどうかは今後の世論の動向にかかっています。黒川検事長の辞職で検察庁法改正問題の幕引きは許されません。現に、訓告という軽い処分でなお批判を浴びています。安倍首相もそろそろ出処進退を明確にしないと恥をかくことになりますよ、と申し上げておきます。

2020/05/27筆

火事場泥棒と言われて恥ずかしくありませんか?

[弁護士 吉田 恒俊]

 安倍首相のお友達がまた一人。今度は、「官邸の門番、官邸の代理人、官邸の用心棒」などと評価されている黒川弘務東京高検検事長を検事総長にするため、違法に定年を延長させたことです。検事総長に任命されたら63歳の黒川氏は最長68歳まで居座ることができます。検察官は国民を刑事犯罪者として起訴する権利を独占する国家機関です。そのトップを安倍首相の「用心棒」が握ることは、自分はどんなことをしても起訴されないということにつながります。

 これでは検察への国民の信頼が失われると心配して、元検事総長ら元検察幹部の14人が法案に反対する意見書を提出しました。時の政府の政策に検察OBが公然と反対を表明することは例のないことです。

 安倍さんは、土地代8億円も値引きした森友学園、むりやり獣医学部を認めた加計学園、そして桜を見る会など自分たちが検察の捜査の対象になるのではないかと心配しているのでしょう。実際、桜問題では私たち弁護士が先日安倍首相を告訴しました。これから検察庁で審理されます。

 森法務大臣は、何故今かかる法改正が必要なのかはこれから決めると答弁しました。つまり、今急いでやる必要のない不急の法案だと自白していることになります。

 他方、安倍内閣のコロナ禍に対する対応は厳しい批判にさらされています。疾病対策では、2月27日突然4日後の3月2日から全国全ての小中学校と高校などに対し臨時休校の措置を取るよう要請して大混乱を生じさせたこと、感染症に対するPCR検査を制限し、医療現場を混乱させ助かるべき患者を死亡させたこと、そのために介護施設での対応も混乱しました。

 また、経済対策では、本年4月7日緊急対策として、108兆円の財政対策を過去最大規模と自慢していましたが、真水(真に国民に届く資金)は16兆円ぐらいしかないそうです。その後全国に緊急事態宣言を発出し、沢山の国民が困窮に陥ったのにその対応が後手に回り、決まっても迅速に実行されていないこと、貧困層や学生及び中小業者に対する支援額が少ないことなど、安倍内閣の方針は右往左往しています。私の周りの人には未だにマスクも特別低額給付金の案内すら届いておりませんから、他は推して知るべしでしょう。

 憲法改正論議も同様です。今緊急に解決すべき問題ではありません。必要ならコロナ対策が一段落して落ち着いて議論すべきです。

 緊急を要するコロナ対策にみんなが懸命になっているときに、不急の検察庁法改正案や改憲改正論議を持ち出すことは火事場泥棒的であり、恥ずべきことです。安倍さん!汚れたマスクに470億円もかけるのならワクチンや特効薬開発に使うべきでした。犬とリラックスしているのもいいですが、もっとコロナ対策に励みなさい!

憲法記念日

[弁護士 大久保 陽加]

4月7日に新型インフルエンザ特措法に基づく緊急事態宣言がなされて1ヶ月ほどが経とうとしています。

多くの方が見えない敵に大きな不安を抱えて、毎日を過ごしていらっしゃるかと思います。
私も「幼い我が子が感染したら…」「高齢の祖父、両親が感染したら…」と気が気でありません。

そのような状況で迎えた5月3日の憲法記念日、安倍晋三氏は、自民党改憲案4項目のうちの一つである「緊急事態対応」規定(所謂、緊急事態条項)の創設を含む改憲の必要性を訴えました。

最近、ネット上でも緊急事態条項の創設を望む声がちらほら見られます。

ですが、緊急事態宣言の実効性を高めるために罰則を付加することは、憲法を変えなくても、立法により可能です。

大事なことなのでもう一度言いますが、政府が実効性に乏しい対応しかできていないのは、憲法のせいではありません!!

政府の意識と能力の問題です。

そして、自民党改憲案における緊急事態条項は、政府への立法権を付与及び基本的人権の制限をその内容としていますが、これに対する歯止めの規定はありません。
(よく諸外国の対応が強硬なのは憲法に緊急事態条項があるからだ!という意見を見ますが、諸外国の緊急事態条項と自民党改憲草案とは、政府の暴走に対する歯止めの規定の有無において「全く別のもの」です。)

今回のような緊急事態にまともな対応もできず、人命よりも目先の経済と東京オリンピックを優先するような政府にこのような権限を与えてなにが解決するのでしょうか?

国民が新型コロナウイルスへの不安、それによる生活の困窮や疲弊と闘っている今、その不安感に付け込んで改憲を持ち出す人にそのような権限が与えられて、どうなるのでしょうか?

私には、暗い未来しか見えません。

我が子が幸せな未来を歩んで行けるように、緊急事態条項を追加することは絶対に阻止しなければなりません。

ちなみに、私も所属している「明日の自由を守る若手法律家の会」から「憲法カルタ」が発売されました。家で過ごす時間が長くなっている今、楽しみながら憲法を知っていただければ嬉しいです。

下記のURLから購入していただけますので、是非ご覧ください。

https://mailform.mface.jp/frms/asunojiyuu/7zmamuigg76d?fbclid=IwAR029uQmZt1YukouvBSII26O89UGBRnBzJP_DSuo3Kov_hMurytebDEUIbE

2020年5月8日

私の友人

[弁護士 松本 恒平]

去年の夏、福岡から5歳の甥っ子が、ひとりで、祖父母である私の両親宅へ遊びに来ました。5歳の彼にとっては大冒険です。ただ、実は、4歳の夏もひとりで両親宅へ遊びにきたので、なにやら彼のなかでは、ひとり旅が、夏の定番行事となっているようです。

わたしは、彼が2歳の頃から、「いーちゃん」と呼ばれています。
自分で言うのもおかしいですが、わたしと彼は随分と仲良しです。わたしとしても、せっかく遠くから来たのだから、全力でもてなそうということで、週末ごとに、色々なところへ一緒に遊びに行きました。何十年ぶりかに行った、生駒山頂遊園地では、フリーパスポートで40回くらい、乗り物にのりました。大阪南港ATCでの昆虫博にも行きました。

彼の滞在中は、もっぱら私が両親の車を運転し、彼は、助手席が定位置でした。本当にいろんな話をしました。
昆虫博からの帰り、彼は唐突に、「僕は、いーちゃんのことが大好きだよ。」と言ってくれました。わたしは、咄嗟に反応できず、思わず聞き返してしまいました。彼は、わたしの目を見ながら、もう一度、「僕は、いーちゃんのことが大好きだよ。」と言いました。

彼が福岡に帰る日の朝、わたしは、彼と、福岡まで彼に付き添う両親を、車で駅まで送りました。車を降りて駅の階段に向かうあいだ、彼は、10歩あるくごとに、わたしの乗った車を振り返り、小さな手を何度も振ってくれました。

そんな彼は、今年の4月から小学1年生です。新型コロナウイルスの影響で、入学式はまだありません。弟から、桜の木の下で、嬉しそうにランドセルを背負っている甥っ子の写真が届きました。

どうか、この先、彼にとって幸せな世界になりますように。

外出を控えて、コロナ禍をやり過ごそう

[弁護士 佐藤 真理]

新型コロナウイルスが世界中を席巻し、大変な毎日になっていますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

学校の休校も長引き、家では保護者の方も毎日の子供のことで大変な思いをされていると思います。

休業要請を受け、家賃、もろもろの支払い、生活費などが重くのしかかり、来月からの生活が心配でならないという方がたくさんおられます。
「内定取り消し」を受けて就職できない、「自宅待機」を命じられ、賃金が大幅に減らされて困っているという方もおられます。

そのような方々が、当事務所にも、ご相談に来られています。
しかし、今は、外出しない方が安全ですので、奈良合同法律事務所では、当分、電話相談を活用することにいたします。
心配なこと、お悩みのことや解決できない問題を抱えた方は、ぜひ、奈良合同法律事務所に気軽にお電話ください。

事務局の簡単な聞き取りの後、できるだけ弁護士が、直接お話をお伺いいたします。
基本は、10分間の相談となりますが、経験上、10分程度の相談でも8割以上は解決の目途が立てられます。

問題の解決は早ければ早いほど納得のいく結論がでますので、問題が大きくなる前にご相談下さい。全力でお手伝いさせていただきます。

もちろん、資料などを持参してもらい、直接お会いした上でのご相談が原則ですので、体調が悪くない限り、来所してくださっても大丈夫です。

人類にとって初めてのウイルスですが、なんとか乗り切り、また、平穏な日々を取り戻すべく、所員一同、頑張りたいと思っています。

電話 0742-26-2457

2020年4月16日

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コロナ禍で忘れてはならないこと

[ 弁護士 吉田 恒俊]

新型コロナウイルスの対策を検討する政府の専門家会議が4月1日、「都市部を中心に感染者が急増している」との現状分析を公表し、尾身茂・副座長は、5都府県では対策を進めなければ「オーバーシュートの前に医療崩壊が起こる」と言いました。諮問委員会もこれをよしとしたのを受けて、4月7日政府は東京・大阪など7都県に5月6日までの緊急事態宣言を発令しました。

今回のコロナ禍のために多くの人が予定した会合が延期や中止になって、気が抜けたような気分になった方も多いと思います。私も東京3件、奈良ではそれより多い会合がなくなりました。依頼者の方の来所や法律相談も減っているようですが、目に見えて暇になったという感じはありません。

考えてみれば、自分は恒例の花粉症が例年より軽症で、コロナ禍の影響としては、手洗いをよくするようになったこと、人混みに行かないようにしていることぐらいで、逆に自由時間が増えたくらいです。

テレビや新聞でコロナ騒ぎが持ちきりになって、気分が落ち着きません。他のことを考える精神的余裕も奪われかねません。こんな時こそしっかりと自分を見つめて、やるべきこと、やりたいことを見失ってはならないと思います。

国連事務総長のグテーレス氏は、3月31日、コロナ禍について「全人類にとって脅威となる病であると同時に、かつてないほどの景気後退をもたらす」と強調し、政治的な争いをやめ、人類の今後が問われていると、各国に呼びかけました。今も世界の方々で戦争や軍事紛争が起こって、何千何万の人々が死んでいます。特に、シリア、イラク、アフガニスタン、ナイジェリア、 メキシコ、ソマリアなど日本から遠く離れているので実感がわかないのですが、決して日本と無縁ではありません。

戦争とは政治の延長ですから、政治的な争いをやめよというグテーレスさんの呼びかけは、今こそ戦争をやっている暇はないと戦争当事者だけでなく、背後の大国を含め世界の人々に訴えたものです。

現在の地球の二大危機である原爆・原発と地球環境問題への取り組みがコロナ禍のために先送りになっていることも憂えます。今月末から予定されていた核不拡散条約再検討会議が延期されました。さらに、政府も国民も差し迫った健康と経済問題に集中するようになって、気候変動の長期的な危険は後回しにされる可能性があります。こんな時こそ、地球の二大危機に向き合うよう互いに声を掛け合う必要を感じます。

2020/04/07

自己紹介

[弁護士 大久保 陽加]

はじめまして、2020年4月1日より奈良合同法律事務所に入所する大久保陽加(はるか)と申します。

滋賀県で生まれて、中学校・高校は生駒山の向こう側の大阪桐蔭に通っていました。

大学進学をきっかけに上京して、2017年12月から東京で弁護士として執務をして参りました。地域に根差した法律事務所で、離婚、自己破産、労働問題、相続問題、交通事故、刑事事件…など本当にたくさんの事件に携わらせていただきました。

約2年間の弁護士業務をしてきて、「人情」の大切さをひしひしと感じております。

民法学者である我妻榮先生は、法律家としては一般的確実性(=理屈)と具体的妥当性(=人情)の二兎を追うべきであるが、この調和が難しいとおっしゃっています(「法律における理屈と人情」我妻榮著)。
私は、弁護士としては、人情(具体的妥当性)を大切に、目の前の依頼者の方の心情に寄り添った解決を実現すべく尽力したいと考えています。

依頼者の方おひとりおひとりとのコミュニケーションを大切にして、依頼者の方と共に解決を目指していきたいと思っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

2020年3月27日

新進気鋭の女性弁護士を迎えます

[弁護士 佐藤 真理]

今年も、早いもので、もうすぐ4月となります。
いつもでしたら、春爛漫で心うきうきの季節ですが、今年の春は様相が違いますね。

新型コロナウイルスが、なかなか収まらず、毎日、どのように過ごせばいいのか、悩みは尽きません。

私も、先日、トイレットペーパーを買いに行ったら「一人にひとつ」ということでした。もう少し、辛抱してじっとしている、ということでしょうか。

今年のこの経験は、ぜひ、記録して次に生かしたいと思い、メモにしています。

「奈良合同法律事務所」は、この4月に
大久保陽加弁護士を迎えて『弁護士4人体制』になり、
よりパワーアップします!

☆ 判断力と人間力に卓越した超ベテランの吉田恒俊所長
☆ 不屈の戦闘性を誇る私、弁護士の佐藤真理
☆ 新進気鋭の切れ味鋭い松本恒平弁護士
☆ 東京で2年のキャリアを積んだ女性の大久保陽加弁護士

この4人で、日常の小さな悩みから、相続、離婚、解雇問題など、人生の分かれ道になる大きな問題まで、その他のあらゆるジャンルのご相談をお受けさせていただきます。

悩んだらすぐに相談すると解決も早いです。
相談料は、30分3300円(税込み)です。一人で抱え込まず、まずは気楽に電話予約して私たち弁護士にその悩みを話してみませんか。

お待ちしております!
2020年3月23日

カテゴリー: sato

東京電力元会長らの無罪判決は不当                  政府の長期評価を意図的に否定した裁判所

[弁護士 吉田 恒俊]

はじめに
去る9月19日、東京電力の旧経営陣の刑事責任を問う裁判で、東京地方裁判所刑事4部(永渕健一裁判長)は、勝俣恒久・元会長、武黒一郎・元副社長、武藤栄・元副社長の3名の被告人をいずれも無罪としました。この裁判は、直前まで起訴しようと準備していた検察官が、上司の圧力に屈して不起訴にしたため、検察審査会で起訴相当となり、指定弁護士が検察官役となって起訴したものです。

争点は津波の襲来の予見
争点は、被告人らに津波襲来の予見可能性があったと認められるか否かでした。「予見可能性」とは、予め予測できたかどうか」という意味です。政府の地震調査研究本部(「推本」)は2002年7月に「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」(「長期評価」)を公表しました。
民事の損害賠償訴訟では裁判所はこの長期評価を信用できるものとしているのに、この判決では、「客観的な信頼性、具体性があったと認めるには合理的な疑いが残る。」として無罪を言い渡したのです。長期評価の内容は、福島県沖でマグニチュード8.2前後の地震が起きる可能性があり、それを基に津波の数値解析をした東電は、2009年6月に15.7メートルの津波対策が必要と分析していたのです。しかし、東電は国にも福島県にもその分析結果を隠し続け、国に報告したのは震災の4日前でした。

予見可能性はあった
東電は防潮壁の設置をしなかっただけでなく、建屋の入口である大物搬入口の水密化(水の浸入を防ぐ工事)、主要機器の設置されている部屋の水密化、代替電源などの高台設置などの対策を何ら取らなかったのです。どれか一つでもやっていたらあのような大災害は避けられた可能性が高いのです。
スリーマイル島やチェルノブイリなど外国での原発の大事故にもかかわらず、東電は日本の原発は絶対安全だと宣伝して、国の長期評価をも無視して国民を騙してきたのです。福島の事故で嘘がばれて、国民に重大な被害を与えているのに、被告人ら東電元幹部は自分らの刑事責任を否定するという無責任な態度をとり続けています。

裁判所の理屈
裁判所の理屈は、「当時の法令上の規制や国の指針、審査基準は絶対的安全性の確保までを前提にしていなかった」と言うのです。しかし、指定弁護士は絶対安全性などという高いハードルを要求していません。あと10メートルの防護壁の設置と上記の対策をすればよかったのです。部下からの進言があったのに、被告人らはこれを無視し何らの津波対策をしなかったのです。過失は明らかです。
2008年2月16日の御前会議で推本の長期評価に基づいて津波対策を講ずる方針が了承されました。判決はその証拠となる部下の山下原子力管理部長(中越沖地震対策センター長)の調書の信用性がないとしました。
本件では地震による15メートルの津波の可能性は指摘されていました。部下から対策も進言されていました。それを無視して何もしなかったのですから、有罪は当然だと思います。判決はこの点で、被告人らを無罪にするために、長期評価と山下調書を否定するという、意図的と言える誤りを犯して、強引に無罪にしたのです。
控訴中の東京高裁での裁判を見守りましょう。
(2019.12.13)

福島第1原発に石棺をかぶせよう デブリを持って行くところはありません

[ 弁護士 吉田 恒俊]

デブリをどこに捨てる気?
2011年(平成23年)3月11日に発生した東電福島第1原子力発電所大事故から8年9か月が経ちました。東電は廃炉工程表で、当初から最終工程を「原子炉施設の解体等」と明記し、事故から30~40年後の作業完了を目指しています。しかし、無責任な願望であり未だに収束の見通しが立っていません。最近、溶融核燃料(デブリ)撤去を始めるかのような記事を見かけましたが、撤去したデブリをどこへ持って行くのでしょう。まさか海洋や奥山に捨てようと考えているのではないでしょうね。日本と世界のどこを探しても何十年も放射線をはき続ける危険なものを受け入れるところなどないに決まっています。

石棺で覆うしかない
だから、私はチェルノブイリと同様その場を石棺でおおって永久に付近を立ち入り禁止にする以外にないと考えています。廃炉費用も格段に安くて済みます。これ以上税金を無駄に使ってほしくありません。誰もそのことを言わないのは、地元の人たちに遠慮しているからでしょう。12月5日の朝日新聞社説でも「作業はきわめて難しく、難航が予想される。」としながら、はじめに撤去・搬出ありきの論調で、現地凍結の話はありません。しかし、冷たいようでも言わなければならないこともあります。

早く再生可能エネルギーへの転換を!
現実を直視すれば、二度とこんな被害を受けないために、原発を全廃していち早く再生可能エネルギーに移行する必要があります。先日来日されたフランシスコロ-マ教皇も「安全が保障されない限り、核エネルギーは使うべきではない」と明言しています。無責任な東電と政府の原発事業の尻ぬぐいのために、これ以上無駄な廃炉費用まで国民に負担させること自体許しがたいことです。

原発廃止は選挙の争点
原発問題が選挙の争点にならないのはなぜでしょうか。私はいらいらする思いです。時間はありません。今度同じ事故が起こったら日本は壊滅するでしょうから。
(2019/12/05)

夏の思い出

[弁護士 佐藤 真理]

ようやく秋の訪れを感じる今日この頃です。
今年の夏の思い出は、8月に長女が参加した千葉県習志野市での水泳大会に二日がかりで応援に行ったことです。
東日本の医学部のある38大学の大会で、長女は50メートル背泳で8位入賞。200メートルリレーでは、第2泳者を務め、見事に銅メダルを獲得したのです。

何故か秋田大学の応援席から観戦しましたが、40数年前の、私の学生時代を思い出しました。武道館で開かれた少林寺拳法の関東大会・全日本大会に3回ほど、選手として参加したことがあります。多少の違いはあるものの、各大学が選手の応援を競い合う熱気と雰囲気はほぼ同じで、思わず熱くなりました。

長女が小・中学生のころ、あちこちの温水プールに毎週のように通ったことを思い出します。長女は私の両足の間を潜って通り抜けるのが得意でした。来年は4回生で、記録の更新が今から楽しみです。

昨年11月には、三男のアメフットボールの最終試合に応援に行きました。アメフット観戦は初めてでしたが、激しいぶつかり合いの中、残り1ヤードで相手が新規攻撃権を得て攻めようとした際、三男が相手のランを読んで見事タックルで潰し、攻撃権を奪い返すなど大活躍。結局、大差で勝利を収めることができ、親子ともども大喜びでした。

学生時代、長男はサッカー部、次男は野球部で熱心に活動しましたが、忙しさにかまけて応援に行けず、少し、後悔しています。

2019年9月16日

カテゴリー: sato

イギリスは本当にEUを離脱するのか?

[ 弁護士 吉田 恒俊]

イギリスの新首相ボリス・ジョンソン氏は来る10月末のEU離脱の強硬派であります。国民投票の時から強行離脱を吹聴して、とうとう首相になってしまいました。メイ前首相は離脱の合意に向けて最大限の努力をしたと思いますが、イギリスの国会はこれを否決しました。否決の中心にはジョンソン氏がいました。保守党の党員達はその彼を党首に選んだのです。世論調査ではEU離脱反対が多数ですから、国民の意思と政権の意思とが食い違っています。民主主義の危機です。

独裁国でなくとも最近権力の意向と民意とが食い違うことが多くなっているように思います。その典型はアメリカのトランプ大統領ではないでしょうか。ジョンソン首相は小型トランプと言われていますが、このまま離脱すれば、ヨーロッパで孤立したジョンソン氏はトランプ氏の召使いに落ちぶれるかもしれません。

もしかしたら、ジョンソン首相は強固離脱を避け、メイ首相がEUと合意した方向に転換するかもしれません。それは彼が希代の大嘘つきであることを世界にさらすことになりかねません。権力を握るために、「離脱、離脱」と叫び続けて、国民と保守党の党員を欺いて党首に当選したのですから。

結果的に約束通り、EUとの合意なき離脱をした場合は、今は開いているアイルランドとの国境は完全に閉鎖されることになります。そうすると北アイルランドで独立運動が復活して、再び武装闘争が発生しかねません。私は30年ぐらい前にロンドンの裁判所を見学したときに、手荷物検査をされて驚きましたが、当時IRA暫定派による武装闘争でパリの裁判所の外壁には爆破された跡が残っていました。2005年7月にIRA暫定派が武装闘争の終結を宣言して武装解除(武器の放棄)してまだ15年にしかならないのです。

その他ブレグジットによる影響は、①英国経済に対し、1970年代の石油危機に匹敵する大きなマイナスのショックを与える。②貿易障壁が高くなることで、英国、EU双方の企業が打撃を受ける。③港湾・空港での通関手続きや検査、企業倒産、部品の備蓄などの措置の必要など種々の対応(莫大な時間と費用)が必要になる。④英ポンドの下落や株価への影響など、はかりしれないと言われています。

ブレグジットは少なくとも短期的には世界の政治と経済に大きな影響があり、直接的には全ヨーロッパにダメージが及ぶに違いありません。米や中ロは内心喜んでいるかもしれません。では日本にはどんな影響があり、私たちはどのように対応すればいいのでしょうか。一緒に考えましょう。

新元号「令和」の意味(続)   (友好と平和の時代に)

[弁護士 吉田 恒俊]

桜とぼたんの華やかな時が過ぎて、鮮やかな新緑の季節が巡って参りました。前回令和の裏の意味を考えましたが、今回はそうは言っても戦争のできる国を目指す安倍首相の思い通りにはすべきでないとの思いで、「令和」をとらえ直しました。

新元号で騒々しかった世間も早くも落ち着いてきたようです。読者の皆様は1ヶ月半を経て、新元号「令和」に対する印象は変わりましたか。考案者の中西進氏によれば、令は「麗しい」、和は「平和」と「大和」を表現し、令和は『麗しき平和をもつ日本』という意味だそうです。前回述べた「令和」の裏の意味に加えて、この間私は「レイワ」という語感が冷たい感じがしてきました。令と冷の字が似ている上、発音が「霊」を連想させるからでしょうか。それに「令」の字は命令の令ですから、そこからも冷たい政治を感じさせます。

そうは言っても、令和はこれから元号としてあり続けるでしょうから、私は前向きにとらえたいと思い直しました。2つの文字は万葉集から採られましたが、それはまた中国の古典である文選という書物に源を持つものということが明らかになりました。

これまでの日本の元号は全て中国の古典(漢籍)から採用されたそうですが、だからといって今の中国を感じた人はいなかったと思うのです。中国の古典は同時に日本の古典であり、日本文化に根付いています。何ら恥じることはありません。仏教も中国から伝わって今や中国より日本で定着しています。西洋文化もルネッサンスでギリシャ、ローマの文化を承継して発展したものであり、ドイツやフランスの文化にとっても原点であることを誰も否定しません。文化を語るのに国にこだわる必要はないのです。

安倍首相があまりに「国書」を強調するので、逆にこれまで意識しなかった「中国」という国を私たちに印象づけることになりました。そこで、私は、新元号が日本と中国の双方の古典から採用されたものと受け止め、日本と中国ひいては日本と同じ漢字圏である北東アジアの平和と友好を象徴する言葉として、前向きの気持ちでとらえたいと思うのです。それよって、令和という時代が戦争のない平和な社会を作ろうとする人々を励まし、日本人の真の願いと現天皇並びに考案者の期待にも応える、本当に「麗しき平和をもつ日本」を実現させることにもつながるのではないでしょうか。

もっとも、仕事上年号と西暦との換算にいつも苦労しています。明治、大正、昭和、平成に加えて令和が入りますと、さらにややこしくなります。暦は一つに統一されるべきと考えます。裁判では1年でも間違いますと時には致命傷になりますから、換算にはことに気を遣います。それでも政治は年号を押し付けてきますから、それなら前向きにとらえようと思った次第です。
2019/05/12

新元号「令和」の裏の意味

[ 弁護士 吉田 恒俊 ]

4月1日に発表された新元号が「れいわ」について、安倍首相がもっともらしくその意味を語っているのを聞くと、何か裏があるのではないかと勘ぐりたくなるのは私だけではないと思うので、あまのじゃくと言われることを承知で投稿します。

ラ行が異例であることはさておき、漢字の碩学白川静先生は、令という文字は、「みことのり、言いつける、よい、せしめる、たとえ」などの意味があるとされる。令の本来の形は礼服を着けて跪いて神意を聞く人の姿である。黎明、令弟などいい意味で使われることが多いが、巧言令色の「令色」のようにうわべだけの愛想よしのように悪く使われることもある。せしめる、という意味は支配することを連想するし、もし・・・とかたとえ・・・のように仮にという意味もある。

そうすると、「令和」の裏には、平和を支配するとか、仮の平和などの意味が含まれているとも言えるのである。起案者がどんな学者であろうと安倍首相の意思を忖度して、このような表向きはいいことずくめであるが、裏には毒を含んだ元号を考え出したのではないかという疑問が消えない。国民を騙すことに長けた政権ならやりかねないと思うのはうがち過ぎであろうか。

新元号の名がレイワと聞いて、ラ行の読み方に違和感を感じた人は多いのではなかろうか。元来、ラ行音というのは外来音で、大和ことばにはなかったとされます。これまでラ行で始まった年号は霊亀、暦仁、暦応そして令和しかない。あえてラ行という異例の語感を持つ「令」という文字を持ってきたのは、安倍首相の深謀遠慮があると思わざるを得ない。

令和の時代の始まりにあたり、これまで以上に権力監視を強めて、裏の毒が表に出てこないように用心しなければならないと気を引き締めるのであります。
2019/04/03記す

夢のような10日間

[弁護士 佐藤 真理]

阪神タイガースファンの次男が、昨年からシーツ君(ポメラニアンの雄1歳)を千葉県の賃貸マンションで飼育していました。4月から研修医を終えて大学に戻るため、シーツ君と別れ、私たちが預かりました。

シーツ君は私が夜、帰宅すると、すぐ飛んで迎えに来て、私の手や顔をぺろぺろとなめまわします。散歩に連れて行くとチョコチョコと勢いよく駆けては、草をクンクンとかぎまわります。
妻が東京に出かけて留守をした夜は、シーツ君がすぐ足元で休んだため、私はよく眠れませんでした。

可愛いシーツ君との夢のような10日間が過ぎ、昨日、知人にお譲りすることになり、お届けしました。忙しい私は無論、妻も、最近、講演などに出かけることが多く、残念ですが、シーツ君との別れを決断しました。高校生のお嬢さんもおられ、可愛がってくれることは確実で、安心しています。

10年後、シーツ君の孫でも飼える日が来ることを楽しみに、心新たに、当面、弁護士業務と人権擁護活動に専念します。

シーツ君、本当にありがとう。元気で、長生きし、子犬も沢山つくってくださいね。
君のことは決して忘れません。

2019年3月11日

カテゴリー: sato

「臭い仲」

[弁護士 吉田 恒俊]

 新年から臭い話でお許し願います。
 正月の仕事始めの翌日、ばったりトイレで隣室の弁護士と会った。彼はちょうど小用を終わったところであることは腰を振っていたので分かった。こちらはトイレの入り口付近の洗面台のところにいたが、彼がこちらを振り向いたので構わず新年の挨拶をした。彼は慌ててチャックを挙げて「本年もよろしく」と言ってくれた。正月早々臭い仲になった。

 とは言え、最近トイレが臭くなくなったので感心する。公共のトイレも女性用は当然として男性用も臭いが少ない。我が事務所のビルはほとんど臭わない。禅寺での修行で一番つらいのは便所掃除だそうだが、最近はどうだろう。お寺のトイレも近代化しているのではなかろうか。

 理由は水洗に加えてウォッシュレットの普及であるが、男性用は立位トイレでの水洗の仕方もあるのではないか。立ったと同時に水が流れ、終わって離れる間際にも水が流れる。それも惜しみなく流す。その上でしっかり掃除すれば、トイレは座敷の仲間入りだ。ホテルで、バスタブと一緒にウォッシュレットがあるのに、かつては違和感を持ったが、最近はなくなった。文明の勝利と言えよう。

 私は奈良の田舎が祖父の家で、小学生の頃よく泊まったものだが、トイレは家の外にあった。冬は寒く、いつも臭ったが、外気と混ざるのでさして気にならなかった。田んぼの隅っこには肥料用の小便たんごがあって、屎尿が溜められていた。発酵させて野菜類の根元に撒くのだ。私も手伝ったことがある。小便たんごは始めは臭いが発酵して次第にそれが表面を覆い、落ち着いた臭いとなる。時にはいたずら小僧が誤ってそこに落ちると悲劇である。発酵しつつある屎尿でもやはり臭い。落ちた人は名前を変えるしきたりとなっていた。

 私のトイレでの新年の挨拶も、もう臭い仲と言えなくなったかもしれない。しかし、田舎の田園風景を思い出すと少し寂しい気がする。発酵してきれいな空気と混じって落ち着いた小便たんごの臭いが懐かしい。

<地球生命体の話 下> 宇宙は1400億年、地球生命はあと100年?

[ 弁護士 吉田 恒俊]

さて、宇宙は1400億年安泰という話から始まったお話も最後になりました。皆さんは宇宙人はいると思われますか?これまでの観測結果では「いない」という話になっています。何故いないのか?今回は宇宙的規模で高度な文明を持った生命体の存亡について考えたいと思います。

現在の人類は既に高度な文明を持ったと言えるでしょう。著名なアメリカの科学者は、人類は今後1000年スケールで太陽系に満ち、10万年スケールで銀河系宇宙に満ち、宇宙生命体として発展するであろう、と予測しています。それが事実なら、地球より何万年か前に発達した生命体により、今や宇宙は生命で満ち、宇宙人が頻繁に地球を訪問していなければならないはずです。

なぜなら、この銀河系だけでも太陽と同じような恒星が1000億個あります。その内1億個に地球型生命を持つ惑星があると仮定しますと、太陽を含めて1億個の恒星が高度な文明を持った地球型社会を持っていることになります。その10分の1すなわち1000万の惑星で宇宙旅行が出来るほどの高度な文明が発達したとすれば、銀河系だけでも1000万の星から何台ものUFOが宇宙を飛び回っているはずですね。ところが宇宙人がいないということは、宇宙旅行が出来るほど発展する前に、途中で滅んでいることになります。何故か?

詳しい計算根拠は分かりませんが、学者の計算では、宇宙では高度な文明を持った地球型社会は100年で滅んでいるそうです。歴史時代が始まって3000年で人類は地球生命の頂点に立って,今や地球を滅ぼすほどの高度な文明社会を築いていますが、この計算で行くと今から100年以内に人類は滅ぶことになります。その原因でもっとも可能性の高いのは核戦争・原発と環境破壊です。

第三次世界大戦はもう始まっている、という人もいます。アメリカでは最近も「人類滅亡後の地球」というドラマが作られています。
何だか嬉しくない結論ですが、現実を直視する叡智をもたなければならないと思います。

私たちは諦めてはなりません。このすばらしい地球を滅ぼしてなるものか!現代は、世界の中の「地球破滅やむなし勢力」と「絶対平和勢力」との対決の時代です。私たちは「絶対平和勢力」となって、「破滅やむなし勢力」と話し合い、時には身を挺してこの地球を守り、未来に引き継がなければなりません。

焦眉の課題は核戦争のおそれ、次に原子力発電と環境破壊が地球破滅の原因であることを肝に銘じて日々努力を怠らないようにしたいと思います。

<地球生命体の話 中> 宇宙は1400億年、地球生命はあと1万年?

[弁護士 吉田 恒俊]

前回、宇宙はあと1400億年は続くと申し上げました。ご承知のとおり、最新の宇宙科学によれば、この宇宙は147億年前にビッグバンから生まれ、約46億年前地球が誕生し、生命は、地球の誕生から6億年後の40億年前誕生しました。人類はおよそ800万~500万年前に現れ、現生人類ホモ・サピエンスは約25万年前に現れて現在に至っています。

この間、地球と生命体は様々な危険にさらされてきました。
例えば、①「ポールシフト」という地磁気の逆転です。逆転の境目の地磁気の存在しない状態では生物に有害な太陽風や電磁波、放射線などが地球に直接降り注ぐことになります。例えるなら、地球全体を電子レンジにかけるようなものです。人類は生き残ることはできないでしょう。地磁気逆転は数十万年ごとに起こることは地質学で明らかにされています。

さらに、②最近土星の気温が一気に84℃まで上昇したというのです。科学者たちは重力崩壊により土星内部で核反応が起きていて、近い将来大爆発を起こす可能性があると考えています。その影響でバランスを失った月が地球に衝突、または宇宙へ飛び去ってしまうと、地球の環境は大きく変化し、生物の大量絶滅を引き起こします。人類も例外ではないはずです。

その他、③米の巨大火山「イエローストーン」の噴火、④小惑星の衝突(既に国際スペースガード財団が設立され、日本も含め各国が小惑星の軌道を監視しています。)などが指摘されています。

その他、⑤新人類による侵略(現生人類がネアンデルタール人など他の人類を滅ぼしたように、新人類が発生すれば、現生人類は生存競争に敗れて滅ぼされる。)や⑥氷河期の到来(地球は今から約22億年前、約7億年前、約6億年前の少なくとも3度、全凍結したと考えられている。地球の全域が凍り「氷の惑星」と化してしまう。)、又は⑦遺伝子コピーミス(将来的には、完全にY染色体がなくなってしまうのではないかといわれています。)など、真面目に議論されています。

以上のいずれも、数百年ないし数万年単位の現象で、今日明日の問題ではないし、ほとんど人類の能力の限界を超えた問題です。しかし、100年単位で人類の滅亡をもたらす事態が懸念されるものがいくつもあります。

例えば、⑧スーパーウイルス(ヒトの免疫系を完全に回避できるインフルエンザが作られたところ、封じ込めに失敗し漏出。エイズよりずっと重い病気を引き起こすことになります。)、⑨コンピューターの暴走(囲碁のように人工知能が人類の知能を上回るとどうなるか、人類にはその先に待ち構えるものが全く分からない。飛躍的な進化した高い知能と自我を持った人工知能が、人類を絶滅に追い込むかもしれない。)、⑩大規模なシステム崩壊(世界規模での経済システムもしくは社会システムの崩壊。リーマンショックの何倍もの経済危機が想像される。)、又は⑪ガンマ線バースト(地球大気のオゾン層の約半分がなくなり、太陽からの紫外線が地上や海・湖沼の表面近くに生息する生命の大半を死滅させ、食物連鎖も破壊される。)など、人類の科学の発展が逆に滅亡の原因となるものが指摘されています。

これに⑫核兵器と原発そして⑬環境破壊がのしかかってきます。人類は四面楚歌の状態にあると言えるでしょう。高度に発達した生命体の行き着くところはどこか、次回は宇宙的規模からその話をしたいと思います。最終回をご期待下さい。
2018/10/08

<地球生命体の話 上> 宇宙は1400億年、地球生命はあと5億年?

[弁護士 吉田 恒俊]

ご存じですか?この宇宙が膨張を加速しています。だから、いつか風船が割れるように宇宙がばらばらに引き裂かれる日が来るに違いありません。その日は「ビッグリップ」と呼ばれて、宇宙最後の日であります。先日(9/26)、日米の研究チームがハワイ島のすばる望遠鏡を使った観測成果として、ビッグリップは1400億年先の話と発表したのです。私は、そんなに長く宇宙は安泰なんだと一瞬ホッとしました。ところがみなさん、地球の命はもっと短いらしいです。

地球は太陽のお陰で今の生命体を維持していますが、今から46億年後には太陽が寿命を迎えて膨張して、地球が丸焦げになって飲み込まれるか、今より大きな公転周期をとるかのどちらかになるそうです。しかし、実際はそれよりもずっと前の10億年後には、地球上の生命圏が終わりを迎えるんだそうです。

なぜかと言うと、太陽が今後光量を上げ続けて、遅くとも10億年後には海水が全て蒸発するか、蒸発しなくても5~7億年後には海水がマントルに吸収されて海は消滅してしまうからです。だから、天文学的には、地球生命の寿命は控えめに見てこれから5億年というところでしょうか。当然、水がなければ生命を維持することはできないので、地球上の生命は5億年後には終わりを迎えるということです。

何だ、5億年も先のことか、と安心しないで下さい。確かに、現生人類が誕生して25万年、そして人類の歴史が始まって約3000年ですから、5億年は途方もなく長い先のことです。しかし、だからといって我々は5億年安心して暮らせる、と思ったあなた、実はそうはうまく行かないのです。そのわけは次回に。
2018/10/02

安倍首相の「改憲暴走」が懸念される

[弁護士 佐藤 真理]

安倍首相が、今月20日の自民党大会で総裁3選を勝ち取り、その勢いで改憲国民投票に向けて暴走する危険性が高まっています。

来年4月の統一地方選挙、4月末から5月初めの天皇代替わり等の関係から日程的には困難との見方もありますが、96年参議院選挙時のように野党共闘が進展すると、来年7月の参議院選挙で改憲勢力が3分の2を割り込むことは確実です。

「改憲のチャンスは今しかない」と、安倍首相の意を受けて、自民党衆議院議員100人が秋の臨時国会に「改憲原案」を提出し、年内にも衆議院・参議院で採決を強行する可能性は否定できません。両院各3分の2以上の賛成で改憲原案を成立させて、改憲「発議」とし、2ヶ月間の国民運動期間を経て、来年3月までに国民投票の実施に踏み切る可能性が否定できません。

欠陥だらけの国民投票法の下での国民投票で護憲派が勝利できるというのは幻想と思います。3000万署名を成功させ、改憲発議そのものを阻止するために全力を上げることが、今、求められていると思います。

自由と人権、平和と民主主義の憲法を守り、活かすために微力を尽くします。
(2018年4月1日)

カテゴリー: sato

父との別れと非戦の決意

[弁護士 佐藤真理]

昨年12月13日、大分市内のホームで暮らしていた父が94歳で死去した。
6年前、母を肺がんで亡くしており、ついに両親がいなくなった。

十数年前から、親と別れる日が来ることを自覚し、なるべく、多く大分に帰省するように努めてきた。母が死去後は、どんなに忙しくとも月に1度は、帰省し、夕食を父と共にし、いろいろな話をしてきた。やはり我が家の子ども達の話が中心であった。家に一泊して翌日午前中に再訪問し、「男はつらいよ」などのDVDを見たり、囲碁を楽しむなどして来た。大津に住む妹も月に一度は帰省して種々の世話をしていた。

「100歳まで生きる」と言っていたのに、残念至極だが、4人の子ども達がそろって第1志望大学に合格し、長男と次男は、既に研修医として働いており、おじいちゃんとしては大満足であったようだ。

しかし、親は存在するだけでありがたいとしみじみ思う。父のこと、母のことを時々思い出しては、もっともっと大事にしておけば良かったとの悔いの思いを禁じ得ない。

あの悲惨な戦争の時代を生き抜き、戦後の苦難の中、私と妹を大学まで育ててくれた両親への感謝の念は尽きない。

まもなく終戦から73年。二度と愚かな戦争への道を歩んではならない。非戦の平和憲法を守り、活かしていくために、自由、人権、平和と民主主義の前進のために、微力を尽くす決意を新たにしている。
(2018年7月17日)

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§米英仏軍のシリア攻撃の危険性

[ 弁護士 吉田 恒俊]

シリアの首都ダマスカス近郊での化学兵器使用疑惑を巡り、化学兵器禁止機関(OPCW)は4月10日、調査団を近く現地に派遣すると発表した。シリアと後ろ盾のロシアも派遣を要請しており、シリア外務省は調査団を「歓迎」し、「調査団に対して全ての必要な支援を提供する」と強調したと報道されている。

しかるに、米英仏軍は、その調査結果を待たないで、その数日後の14日、ダマスカス近郊の化学兵器関連施設3箇所をミサイル攻撃した。105発を発射し、その内14発は迎撃されたという。1回限りの非人道的兵器に対する破壊であり、戦争と言えないとの抗弁は成り立たない。明白な他国侵害であり、戦争とも言える事態である。

アメリカは事前にロシアと落としどころも含めて暗黙の了解を得た可能性はあるが、大戦争に至る危険な行動であると言わねばならない。ロシアが、シリアに対する攻撃はロシアに対する死活的に危険な攻撃と考えれば、国連憲章で認められている集団的自衛権の行使として、米英仏本土又は艦船に対する攻撃が国際法的には可能と考えられるからである。
集団的自衛権の行使は、かならずしもあらかじめ条約や協定によって約束されている場合にだけ許されるわけではない。条約上の根拠がなくてもこの権利を行使することが認められるとされている。
従って、ロシアとシリアの密接な防衛・軍事関係からすれば、両国の間にそのような条約がなくても、ロシアによる集団的自衛権の行使が可能であり、現実性を持っている。今後のロシアの出方に目を離せない。

さらに、今回のダマスカス攻撃は、シリアの化学兵器生産工場を破壊するものであり、その証拠を隠滅するものとも言える。OPCWの今後の調査は非常な困難を伴うこととなろう。ここにも、ロシアの暗黙の了解を推測させるものがあるが、だからといって今回のシリア攻撃が大戦争の危機をはらむものであるという評価は変わらない。核戦争が起これば人類は破滅に近い損害を受けることを忘れてはならない。          (2018年4月16日、記す)

9条改憲を許してはならない

[弁護士 佐藤 真理]

昨年5月、安倍首相は憲法9条の1項・2項はそのままにした上で、自衛隊の存在を明記する条項を付け加える9条改憲を2020年に実現したいと発言しました。

6年前公表の自民党改憲草案では「陸海空軍その他の戦力は保持しない。国の交戦権は認めない。」との9条2項を削除し、「国防軍を保持する」と明記していました。国防軍との名称ですが、その任務は、自衛のための活動だけでなく、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」=米軍指揮下の多国籍軍に参加し、海外での武力行使や兵站活動を行うことが含まれていたのです。

首相の自衛隊明記加憲案は、憲法9条の恒久平和主義に対する国民の支持が高いことから、国民投票を視野に、公明党などの抱き込みを意図した「変化球」です。首相は、「自衛隊の存在を憲法に明記するだけで、自衛隊の任務や活動にはなんら変化はない。」と述べていますが、真っ赤なウソです。首相がいうように、自衛隊が今でも合憲で、自衛隊明記加憲によって自衛隊の任務や活動内容になんら変化がないのであれば、800億円もの国費を使って国民投票をする意味はないはずです。

そもそも、憲法9条の改定は、国民の声ではありません。自衛隊明記加憲案には、立法事実(立法の基礎となり、その合理性を支える社会的経済的事実等)が存在していないのです。

首相らの本心は、自衛隊を「戦力=軍隊」と位置づけ、米軍とともに海外で武力行使できる「軍事大国」を目指そうとしているのです。

3月下旬に自民党が取りまとめた自衛隊明記加憲案は、集団的自衛権の「限定」行使を認めた安保法制=戦争法を合憲化し、集団的自衛権の全面行使を可能とし、憲法9条2項の空文化・死文化をもたらすものです。

森友学園の国有地取引をめぐる公文書改竄事件で、安倍政権による国民主権と議会制民主主義の蹂躙が大問題となる中、改憲に突き進む首相らの姿はあまりに異常です。

安倍内閣を早期退陣に追い込み、政治の流れを変えましょう。
(2018年3月26日)

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安保法(戦争法)下の自衛隊で何が?

[弁護士  吉田 恒俊]

今回は、あるジャーナリストが収集した生情報をお伝えします。

全国の自衛隊では、いま米軍と同じ服装で、同じ武器を持ち、同じ軍事訓練がされているそうです。その結果、自衛隊の中の雰囲気は大変悪く、松島基地でも自殺、いじめ、鬱等神経の異常、強姦事件、更に殺人まで起きているそうです(極秘扱いになっています)。

さらに、航空自衛隊基地でファントムの整備士をしている方の話によると、今基地も雰囲気は非常に悪く、リストカットをする隊員も大勢いる、それに加えて家族への影響は大変なものがある。子どもたちの不登校、引きこもり、いじめ、鬱、家庭内暴力、家庭崩壊など、隊員の周りの人達への影響も計り知れないものだそうです。
こういうことが安保法の陰で進んでいるのです。

その中でも、安倍総理は、戦争をする自衛隊をめざして、本気で憲法特に9条の改正を進めているのです。自衛隊基地で起きていることは、遠からず大きな社会不安を起こすでしょう。

私の知人で、息子さんが自衛隊員で、いじめに遭って怪我をして、実家に逃げ帰ってきた人がいました。両親の抗議で警務隊(戦前の憲兵に当たる)が出てきて、調査をしましたが、予想通り有利な結果にならず、結局除隊することになりました。しかし、出動命令はないので脱走(脱柵というそうです)扱いにならないとしても、傷病扱いにならなければ懲戒処分がありうるので、正式の除隊までなかなか大変でした。

自衛隊は見え見えとして、日本の制度全般をアメリカナイズさせる企てが陰に陽に粘り強く進められています。司法制度も同様に例外ではありません。このことをしっかり認識して、抵抗する必要があると思います。

「家族農業年+10」(国連決議)

[ 弁護士 吉 田 恒 俊 ]

・私はこの40年間、家庭菜園をしています。もっぱら無農薬と有機肥料の野菜を食べたいという思いからです。最近25年間は自宅の隣の100坪の畑に食卓に上るものを中心に作っていますが、10分の1もまかなえていません。不足分はどうしても店で買う必要があります。

・市場に出ている野菜類も、最近は農薬や食品添加物への関心が高まって、一時とは違ってずいぶん改善されたと思います。とくに、私の知る良心的な農家は自身が食べる野菜を含め、売り物の野菜にもなるべく農薬を使わないように気を付けています。しかし、市場に出回る大規模農家の作る野菜類は、輸入品とともに、どんな農薬が使われているか油断できません。

・野菜類は地産地消であるべきで、市場原理に任せる大規模栽培はふさわしくありません。小規模・家族経営で顔の見える生産者の作るものならまだ安心できます。しかし、私は、家族経営農業で野菜を購入するなど夢のようですが、不可能と思っていました。ところが、世界的には、既に2014年を国際家族農業年として、小規模・家族農業の役割が見直され、支援に乗り出すための国際的な啓発活動が展開されたそうです。

その成果を踏まえて、昨年12月国連総会で、2019年から2028年までを国際的に家族農業の10年間(「家族農業年+10」)とすることが決議されたのです。日本も共同提案国だそうで歓迎したいのですが、素直に喜べません。政府は、現在さらなる農業経営の規模拡大や企業の農業参入、輸出戦略の強化を進めており、家族農業と矛盾するこのような路線を改めてもらわねばなりません。

・現在、世界約60か国にキャンペーンのサポーター組織があります。我が国でも、昨年6月、2014年以来運動を進めてきた関根佳恵(愛知学院大学) さんらが呼びかけ人となって「小規模・家族農業ネットワーク・ジャパン」が結成され、12月には都内で設立発表会が開催されました。私は、早速賛同者となりました。これからどんな運動が展開されるか楽しみです。

あっという間に

[ 弁護士 吉田 恒俊 ]

あっという間に松の内も過ぎました。しかし、松の内と言う言葉を聞かなくなりましたね。本来松の内とは玄関前に門松が飾られている期間のことで、慣習的に関東では1月7日まで、関西では1月15日までとなっています。だから、今でも15日頃までは、今年初めて会う人には「新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。」と互いに挨拶を交わすことが多いようです。

最近は門松はもちろん玄関の注連飾りもしない家庭が多くなって、松の内という言葉が忘れられるのも仕方がないかもしれませんが、寂しい気もします。年の功か、私などは15日が過ぎると正月気分を捨てて今年も頑張るぞという気持ちが沸き上がってくるから不思議です。

正月気分が抜けたところで今年の課題ですが、政治の動き、社会の動き、仕事のこと、家族と自分のことなど、しっかり認識して生きていきたいものです。

政治では安倍首相の任期が続くかどうか。これは国民の人気と関係が深いです。社会では冬季オリンピック・パラリンピックが順調にいくかどうか、そして核兵器禁止条約の国際的広がりと日本政府の対応が重要でしょう。

私の仕事では事務所の移転があります。今の事務所が建て替えのために出ることが決まっています。家族と自分のことでは平凡ですが健康の維持となります。思慮深く、思いやりを忘れず、天から与えられたこの命を大事にしたいと思います。

アベノミクスが崩壊して円の暴落と物価の急騰という大混乱が来ないことを願っています。そうなれば今年の課題など吹っ飛んでしまいますから。

 

大人の階段

[弁護士 山下 悠太]

最近、高校時代の友人と会う機会がありました。彼は大のヒップホップ好きで、学生時代はドレッドヘアーに上下ダボダボの服、という完全なB-BOYファッションだったのですが、その日京都駅に現れた彼は、なんと!ポロシャツにチノパン、ジャケットという出で立ちだったのです!曰く、「最近はこんな感じにしていこうと思って。」とのこと。

彼は高校時代は学年1、2を争う落ちこぼれで、どんなに留年の危機が迫っても決して午前中に登校することはなく、また決して授業中に目覚めていることもありませんでした。ロースクールに進学後も決して勉学に打ち込むことはなく、彼は私にとって最後の砦であり、大変心強く思っていたものです。

ところが彼も30を過ぎ公務員となり父となり、さすがにB-BOYという訳にもいかなくなったのでしょう。爽やかな出で立ちで、「今度の土曜は息子の100日健診やから。」などと言い出すのです。

思い出はいつも綺麗だけど、前に進まなくてはいけません。ということで、私も最近、服の断捨離をしています。断捨離した(しつつある)服をいくつか紹介したいと思います。

① ノースリーブのデニムのライダースジャケット(ダメージ加工あり)
大学時代に原宿で購入しました。さすがに着れないので従兄弟に送ろうと思います。

② トルネードマートの花柄シャツ
大学時代に渋谷で購入しました。当時花柄シャツが流行っていたこともあり、我が家には花柄シャツばかりが大量にあります。従兄弟に送ろうと思います。

③ ゴルチエの足首まである黒いロングコート
大学時代に尊敬する先輩からいただきました。90年代のビジュアル系バンドが着ていたようなコートですが、さすがに着れないので古着屋に売りました。3000円でした。無断で売ってすみません。

④ 真っ白なヘビ柄でブーツカットのズボン
大学時代に渋谷で購入しました。当時ブーツカットが流行っていたこともあり、我が家にはブーツカットパンツばかりが大量にあります。従兄弟に送ろうと思います。

⑤ 黒い革パーカー(コウモリのマーク付き)
大学時代に原宿で購入しました。従兄弟に(以下略)。

こんなものばかり送りつけて、さすがに従兄弟もキレかねないので、いくつかは普通に使えるアイテムも混ぜておくのがコツだな、と思っています。
クローゼットを整理して、大人スタイルを目指して行く所存です。

秋祭り

[長畑 学]

田舎の祭りに帰って来ました。見物にというより、要員としてです。両親ともに亡くなり、実家には誰も住んでいないので、知らない顔をしていてもよいと思うのですが、「帰る、どうする」と電話がかかってきた上、家もそのままあり、お世話になることもあるし・・・。そんなこんなで田舎との縁を切れぬまま、部落務めの真似事をしに帰りました。

神社は、元々氏子が6つの小字からなる小さなものです。それでも私が子供の頃は、各字が輪番で(要員の)当番を務め、祭りの中心である獅子舞の奉納は、青年団が務めていました。加えてあまり記憶がないのですが土俵もあったように思います。

今は、超高齢化と超過疎化で小字単位で当番を行うなど到底無理。それで、氏子全員が神社の清掃から始まる準備・運営を行っています。獅子舞は保存会が結成され何とか継承されています。祭り囃子の太鼓を担当するのは、父と同級生の90歳を目前に控えた方。笛はラジカセ頼りです。

いつ、絶えてもおかしくないようなお祭りですが、今年は、ちょっと嬉しい場面がありました。これまで、長年、獅子頭を務めてきた方に代わって、その息子さんが後を継いだこと(81歳から53歳へのバトンタッチ)。また、保存会メンバー9人の内、3人は移住者で、1人は定年退職組ですが、後の2人は30代とのこと。1人は今年8月に移住してきたばかりだそうですが、立派に獅子の後ろ足を務めていました。

私自身、後何年お務めできるかわかりませんが、できる限りやろうか。そんな思いでいるこの頃です。

(追伸)
田舎が氏子の神社はもう一つあります。こちらは旧村全体をエリアとする神社で、上記神社の本社のようなものです。
こちらの祭礼は、「梶並神社」でネット検索してもらえば、ヒットします。ちょっと変わった祭りです。

2017年10月23日
長畑 学

総選挙で安倍政治を終わらせよう

[弁護士 佐藤 真理]

安倍内閣は、本年6月、「森友学園」「加計学園」問題での安倍政権による国有財産や国政の「私物化」疑惑に対する野党の追及を避けるために通常国会を早々と閉幕しました。

野党4党が6月22日、憲法53条に基づいて、臨時国会の開催を要求したところ、安倍政権はまともな理由も示せず、拒否し続けました。憲法53条には、「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならない。」と明記されています。期限の明記はありませんが、「すみやかに召集」する義務があることは明らかです。(ちなみに、自民党の2012年改憲草案には、「要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない。」とあります。)

野党の要求から3ヶ月余りも遅れて、臨時国会が9月28日にようやく召集されることが決まりましたが、突然、安倍首相は、臨時国会の冒頭で衆議院を解散し、10月下旬に総選挙を実施する公算が確定と報道されています。
民進党から離脱者が相次ぐなど混乱しており、立憲野党4党(民進・共産・社民・自由)の本格的な共闘態勢が整っていないとみて、森友・加計学園問題での野党の追及を受ける前に解散に踏み切ろうというのです。
「国会で追及されるのを逃げる自己保身解散」(前原民進党代表)であり、党利党略のご都合主義解散といわなければなりません。
しかし、解散権行使のご都合主義批判よりも、ついに主権者国民が安倍暴走政治「ストップ」の明確な審判を下す時が到来したと歓迎すべきではないでしょうか。

安倍内閣は、この3年間、国民の批判の声を無視して、特定秘密保護法(2013年)、戦争法(2015年)、そして今回の共謀罪法と、強行採決を繰り返してきました。
7月2日の東京都議選挙で自民党は歴史的な敗北を喫し、安倍首相は「スケジュールありきではない」と改憲日程について「軌道修正」的発言もしましたが、任期中の改憲(それも「9条」改憲)を目指すとの方針に変更はありません。

憲法施行70年の5月3日、安倍首相は、憲法9条の1項、2項はそのまま残し、新たに自衛隊の存在を憲法に明記する憲法「改正」を東京五輪開催年の2020年に施行することを目指すと公言しました。
「9条加憲案」は、国民の多くが支持している自衛隊の存在を憲法に明記することで、違憲の疑いを晴らし、いざという場合に命がけで働く自衛隊員の士気を高めるために必要で、自衛隊の役割に何ら変更を加えるものではないとの説明がしきりにされています。

しかし、重要なことは、自衛隊は、かつての「個別的自衛権の行使のみを認める」(1972年政府見解)の自衛隊=「専守防衛」の自衛隊ではなくなっているということです。今日の自衛隊は、7・1閣議決定(2014年)に基づいて制定された「戦争法制」で容認された存立危機事態での集団的自衛権の行使や戦闘地域での米軍等への弾薬輸送を含む兵站活動等を担う自衛隊です。
9条加憲案は、戦争並びに武力の行使及び威嚇を禁止し、一切の戦力の保持と交戦権を否認した9条1項、2項と激しく矛盾し、9条1項、2項の空文化を招くことは明らかです。

安倍首相は、祖父岸信介が果たせなかった憲法「改正」を実現した首相として歴史に名を残したい、日本を再び「戦争する国」、軍事「大国」にしたいとの異常な執念に取り憑かれています。
自公と維新は衆参両院で3分の2以上の議席を保有していますが、今度の総選挙で、昨年夏の参議院選挙以上に、立憲野党の選挙協力ができると、与党は議席を減らし、衆議院3分の2を大きく割り込むことは必至です。安倍改憲を許すか否か、財界大企業に奉仕し、国民の暮らしを蔑ろにする安倍政治を転換する道に踏み出せるのか、重大な岐路に立っています。

安倍改憲阻止、野党連合政権樹立のために微力を尽くす決意です。
今月8日に発足した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提唱する3000万署名にも、是非、ご協力下さい。
2017年9月19日

カテゴリー: sato

孫達との夏休み

[ 弁護士吉田恒俊 ]

 静岡に住んでいる専業主婦の娘は夏休みにはいつも3人の孫を連れて帰ってくる。今年も8月1日に来て19日に戻っていった。その間、私と妻は大忙しである。特に私は遊びと宿題の相手をしたり、おもちゃや本を買ってやったりとスキンシップでのお付き合いである。ゆっくり新聞を読む暇もない。

 女児4歳、同6歳、男児9歳の3児は同い年のように遊んでいる。喧嘩をしても、お兄ちゃんだから譲ってやるという発想はない。最近の傾向のようだが欧米流に対等に育っている。3人とも昆虫が好きで動く物はムカデや蜂を除いて何でも捕る。セミ、トンボ、バッタからカエルやザリガニも好きである。上の子と下の子などは平気でカエルやトカゲをつかむ。私と違って蛇も恐くないらしい。

 感心なのは夜になったら、その日に捕った生き物は全部逃がしてやることだ。男の子は始めは悔しそうにしていたが、死んだら可哀想という娘や私の教えに従ってくれる。

 東吉野村の旅館に1泊して川遊びをしたときは、子供らは澄んだ冷たい川に浸かって魚を追いかけていた。空気も綺麗である。ところが、部屋は掃除が行き届いているとは言え、ススメバチが紛れ込んできたりすると、大騒ぎになる。生の自然と接することの少ない子供らには驚異のようである。都会派の娘などはお化け屋敷のようだとひどいことを言う。ディズニーランドや遊園地など人工の「快適な」施設での遊びに慣れている子ども達には、もっと自然と付き合ってほしいと思う。
 
 宿の女将さんは、沢山の子ども達のグループは、来ても川遊びをしないで離れたプールに言ってしまうと嘆いていた。20日から静かな時間が戻って、土日返上で溜まった仕事をやるという毎年のパターンも、終わったら寂しいものである。

目に余る安倍内閣の暴走 ――「共謀罪」成立

[弁護士 佐藤 真理]

生命、身体、財産などを侵害する犯罪「行為」を処罰するのが刑事法の大原則。これをくつがえし、犯罪を「計画」(合意)しただけで国民の内心を処罰し、「監視社会」をもたらすのが「共謀罪」です。共謀罪の対象犯罪は277もあり、刑法に規定されている約170の犯罪数を大幅に超えています。

人権擁護と社会正義の実現を標榜する弁護士会は、強制加入団体(どこかの弁護士会に登録しないと弁護士業を行えない)ですが、日弁連及び全国の52単位弁護士会はこぞって、共謀罪法案に反対してきました。共謀罪法の成立を受けて、この違憲立法の廃止を目指して、適用させない取り組みをすでに開始した弁護士会もあります。

法曹界のみならず、学者・文化人、日本ペンクラブ、9条の会、ママの会、未来のための公共(若者)など広範な市民が反対運動に立ち上がりました。どの世論調査でも、「今国会で急いで成立させる必要はない」が7割、8割を超えていました。

ところが、共謀罪法案は、衆議院の法務委員会と本会議で強行採決され、参議院では、わずか18時間しか審理が行われていない段階で、本会議へ「中間報告」して、法務委員会の審理を打ち切り、委員会採決を省いて、本会議採決を強行するという暴挙に及んだのです。

安部首相は「丁寧に説明を積み重ね、国民の皆さんのご理解を得たい」などと口では言いながら、特定秘密保護法(2013年12月)、戦争法(2015年9月)そして今回の共謀罪と、対決法案の強行採決が常態化しています。

今回の「加計学園」の獣医学部新設に安倍首相や萩生田副官房長官ら側近が深く関与しているとの文科省文書が次々と明らかになる中、追及を逃れるために政府は国会閉幕を急いだのです。「森友学園」を含め、安倍政権による国有財産や国政の「私物化」は目に余ります。

共謀罪の強引な採決と露骨な「疑惑隠し」を狙った国会閉幕・審議拒否に対し、国民の怒りが広がっており、安倍内閣の支持率は10ポイント前後も急落しました。

ようやく、安倍首相の本質が国民的に露呈されつつあります。「憲法改正」を実現した首相として名を後世に残したいとの安倍首相の野望を阻止するために、今年の暑い夏も頑張る決意です。
(6月26日)

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まさか

[田原 隆子]

数年前から 友人に貰い受けたメダカを飼っています
冬の間はじっと鉢の底に沈みこんでまったく姿をみせませんでしたが
春の陽気とともに水面に顔をのぞかせるようになりました

数日前から糸のように細くて小さい稚魚が泳ぎ始めました とてもかわいい
卵はたくさん産んでいるはずだけど 泳いでいるのはたった3匹だけ
がんばれよ 一所懸命食べて大きくなれよ などと話しかける
心安らぐひとときです

ところで 昔は小川で当たり前に泳いでいたのにその姿を消しました
農薬が原因とも言われていましたが 近ごろ様子が違うようです
報道によると 川へ捨てられた外来種の魚が繁殖し ふなや日本メダカがいなくなっているらしいです
恐ろしいカミツキガメもあちこちで繁殖しているとか

そういえば 近ごろ外資系の会社が台頭していますね
日本企業が外資系に食べつくされやしませんか
まさか

そして 安倍一強で やりたい放題がまかり通っている現状
株価の高値と就職率の高さが魅力らしいですが
目先の利益に目を奪われている間に 個人は国家権力に監視され 物言えぬまま戦争に巻き込まれる社会へと・・・
まさかではない

NO BEER, NO LIFE

[弁護士 山下 悠太]

先日、人生で初めて健康診断に引っかかるという憂き目に遭ってしまいました。特に数値が高かったのが尿酸値で、プリン体を含む食物を極力控えないといけなくなりました。プリン体の多い食物といえば、なんといってもビール。私は全てのお酒の中で一番ビールが好きという生粋のビール党なのですが、しばらくの間は我慢せざるを得ません。

しかし友人からはぽつぽつとビアガーデンの誘いが舞い込んできています。もうそんな季節なのですね。ビアガーデンへの誘いを断れるのか、あるいはビアガーデンに行ってもビールを飲まずにやり過ごせるのか、真価が試されているといえましょう。

まさに今も(5月31日夜)、打合せを全て終えた佐藤弁護士から缶ビールを勧められました。解放感たっぷりに喉を鳴らす佐藤弁護士を尻目に、ビールの誘惑と戦っています。

違憲の「共謀罪」を廃案に追い込もう

[ 弁護士 佐藤 真理 ]

今月11日、自民・公明と維新が「共謀罪」法案について修正合意に達し、今週にも衆議院で同法案が強行採決される危険が高まっています。
しかし、3党の修正合意は、共謀罪の捜査にあたり適正の確保に十分配慮すること、取り調べの録音・録画の制度のあり方を検討すること等に過ぎず、修正の名にも値しません。

共謀罪法案は、「犯罪行為」に及んだ場合に処罰するという刑法の基本原則をくつがえして、二人以上の人が犯罪行為を「計画・相談」しただけで処罰できるとする人権侵害の恐れの強い違憲の法案で、過去3回廃案となっています。

安部首相は、テロ対策の法律であり、従来の共謀罪と違い、一般市民が対象とされることはないと繰り返していますが、事実を偽るものです。
労働組合の活動、憲法改悪反対・原発反対・沖縄辺野古基地建設反対などの市民団体の活動に対し、捜査当局の判断だけで「組織的犯罪集団」に一変したと認定されて、不当弾圧を受ける危険性があります。

例えば、労働組合が賃上げを要求し、社長が応諾するまで徹夜覚悟の団体交渉をしようと皆で意思統一すると組織的監禁罪の共謀成立となりかねません。地域住民が高層マンション建設反対運動として座り込みを相談・計画し、住民を動員する連絡を分担したら、組織的威力業務妨害罪の共謀が成立となりかねません。

「共謀罪」の処罰のためには、捜査手段のいっそうの強化が必要となり、盗聴、盗撮などの拡大につながります。昨年5月の刑事訴訟法の一部改正で警察による盗聴(通信傍受)の対象が一般犯罪まで拡大され、電話やメールの盗聴が可能とされています。さらなる盗聴、盗撮等の拡大により、警察国家化が懸念されます。

特に、恐ろしいのは、自首すれば刑を減軽又は免除するとの規定が用意されていることです。戦前の治安維持法時代には、特高警察が共産党や民主団体にスパイを潜入させて、スパイの自首により、活動家を一網打尽にし、スパイだけは刑を免れるという事例が頻繁に見られたことを想起すべきでしょう。
相互監視の息苦しい社会、警察国家は戦争への道です。

共謀罪法案を4度、廃案に追い込むために、皆さん、語り合い、街頭にもでかけましょう。
(2017年5月15日)

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