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【マイラーズC】史上5頭目の偉業を達成 パワーに溢れたソウルラッシュ

  • 2024年04月22日(月) 18時00分

安田記念での上積みはいかに


重賞レース回顧

マイラーズCを制したソウルラッシュ(c)netkeiba


 小雨が降り続く稍重発表の芝コース。開幕週のため芝コンディションはそう悪くなかったが、ゴール前は完全に迫力のパワー勝負。2番人気のライバル5歳馬セリフォス(父ダイワメジャー)より、先にスパートをかけた1番人気の6歳馬ソウルラッシュ(父ルーラーシップ)の完勝だった。着差は1馬身3/4(0秒3)差だが、ゴール寸前、内から伸びてきたセリフォスを突き放すようにさらに力強く伸びていた。

 上がり3ハロンを34秒台でまとめたのは34秒6のソウルラッシュと、34秒8だったセリフォスの2頭だけ。ソウルラッシュは重賞3勝を含めこれで1600mは通算【6-2-1-4】、一方のセリフォスはマイルCSなど重賞4勝を含め1600m【5-3-0-4】。ともに安田記念に向かうことになるが、2頭の持つ最高タイムはともに1分31秒6。

 ソウルラッシュはこれまで安田記念「13、9」着。一方、セリフォスは「4、2」着。今回のセリフォスはプラス12キロの馬体重で自身最高の498キロ。完調にはもう一歩かと思える面があったので、安田記念では若いセリフォスの方に上積みがありそうだが、今回も元気いっぱいだったソウルラッシュはタフ。59キロでも勝っている。渋った馬場では「重馬場の芝で1勝。稍重の芝で3勝」の大きな強みがある。今回も午後から雨脚が強まると、ソウルラッシュの単勝オッズは200円台の前半に下がった。

 ソウルラッシュは2022年に続きマイラーズC2勝目。第1-2回のトウメイ、ダイタクヘリオス、ローエングリン、シルポートに続き史上5頭目になる。

 松山弘平騎手の土曜日の落馬事故で急な乗り替わりとなった団野大成騎手(23)はまったくのテン乗りの代打騎乗だったが、「この馬のリズムでレースをすれば結果はついてくる」。自信にあふれた素晴らしい騎乗だった。道中は同じような位置を進んでいたので、内のセリフォスを視界に入れていたはずだが、一歩も二歩も早くスパートして勝ちに出て、馬場の中央に進路を取ったあたり、かなり自信があったのだろう。

 見せ場を作ったニホンピロキーフ(父キタサンブラック)は、最後は地力上位のセリフォスに差されて0秒4差の3着だが、前走の小倉2000mで3勝クラスを勝ち上がったばかりで、文字通り格上がりの一戦で初重賞挑戦。それもいきなりGI級が相手だった。まだキャリアの浅い4歳馬だけに、この健闘は光った。母方にはニホンピロ…の冠名のつく馬が連続する。3代母ニホンピロポリーナの父には、第1回、第2回のマイルCSを連勝し、1985年のマイラーズC、安田記念も制し、種牡馬となっても大成功したマイルの王者ニホンピロウイナー(父スティールハート)が登場する。もう一世紀以上も続く牝祖アストニシメントから発展する牝系で、1996年の勝ち馬ニホンピロプリンス(父ニホンピロウイナー)も同じファミリーに属する。

 3番人気の5歳馬トランキリテ(父ルーラーシップ)は、まだ格上がり2戦目。再三1分32秒台の記録があるように、どちらかといえば時計の速いレース向きと思えた。

 4番人気の4歳馬コレペティトール(父ジャスタウェイ)は、前回と同じようにインから進出を図ったが、今回は前走より3キロ増の別定57キロ。上位とは少し差があったか。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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