2010年6月3日木曜日

全日程終了!

学期、試験が終わってからは、あっという間でした。


イエローストーン国立公園、その後シアトルのミュージックフェスと、とりあえずでかいイベントは全て終了。荷造りも終り、あとは未だここに残ってる友人にお別れするくらい。明日の昼にサンフランシスコを立ち、6/5に東京につきます。



また帰ってからきちんと書こうと思いますが、今は、とりあえず、
一年間、このタイミングで、好きなことやアカデミアのありかた自体も学び、ベイエリアという東京とは違う文化にどっぷりつかり、松葉杖を初体験し(笑)、やりきった、という感じです。


最近、バークレーに来ることが決まった子たちから連絡をもらったのですが、
本当に、1年たったのが信じられず、まだここに来たばっかりの感じしかしません。1秒くらいしかたってない気がします。

けれど、この一年は、人生のなかで、あとから振り返っても、大きな一年になってるだろうな、と強く感じていて、

留学前、また留学中にお世話になった、友人、ゼミ同期、同じく留学中の友人、LIPのみなさん、家族など支えてくれた人、みんないなければ今の自分はいないわけで、本当に感謝です。

自分の文章力では十分に言い表せないくらいです。ありがとうございました。



さて、離れるのはつらいですが、そのうち戻ってきます。どんな形になるかはまだわからないけど、シリコンバレーでの活動など、今回このエリアでやらなかったことも含め、近いうちにやることになるんだろうな、と感じています。


では、日本で!


[イエローストーン。実物はもっと綺麗です。]
[フェス。絶景の中のメインステージ。最近のバンドやDJの他に、生Public Enemyなど伝説をみれて最高だった。]


2010年5月5日水曜日

De-growth:プロダクトとしてのGDP

更新あいてしまいました、、

報告ですが、帰国日は6/5になりました。社会人も学生も忙しい時期だとは思いますが、みなさん飲みましょうー。




さて、今日はエントリー
「経済成長なしの世界」で書いた内容についてのアップデート。




まずは、この”成長を超えた生き方”というビデオを紹介。

Life After Growth - Economics for Everyone from enmedia productions on Vimeo.




登場するのは、環境活動家かつ哲学者のVandana Shivaや、ここのエネルギー資源グループの教授Richard Nogaard、や生態系の活動家Debal Deb(彼も、前学期住んでいたI-Houseに住んでいました。)


内容は、現実:世界全体で経済というパイの成長が続く中で、先進国と途上国がそのパイを奪い合う、を踏まえたうえで、その現実にどのように挑戦できるか、というきわめて前向きな内容。

方向性としては、


  ・世界経済のパイが一定のもと、先進国側が途上国に譲り、分配の割合を変える
  ・De-growth(逆成長)によりパイ全体をヘらし、そのうえで分配の比率を変える


の2つがある。また切り口としては、測り方の問題、ここではGDPに代わりうるものさしが紹介される。例えば、知ってる人も多いであろう、ブータンのGNH(Gross National Happiness)や、カナダのWell-being、後者でカナダを図ると、GDP基準のそれの遙か上をいくようだ。この尺度の側面からアプローチするのは現実的かつうまいやり方だと思う。一見、「なかみを変えずに尺度を変えても、何も変わらない」と思えるが、経済学者スティグリッツの言葉をかりると、


  
"Information about how we describe happiness affects what we strive for, and so if GDP is what we think as happiness we strive for it."

(人が目指すものは幸福の定義に左右される。GDPで幸福を定義しているから、みなGDPを目指しているだけだ。)



そもそも、開発経済の歴史をたどると、GDPは、差異こそあれ成長をめざす点でGNPと同じであり、そのGNPはWWⅡ中、ドイツに対峙していたアメリカで、戦力として自国の富の生産能力かを経済学者クズネッツが測ろうとしてつくられたもの。つまり、
GDPは70年も昔につくられた古いプロダクトであるということ。壊れかけた温度計を使っているようなもので、新らしい製品が必要だ。GDPに代わるには厳密性や単純性などクリアすべきハードルは多いのは事実だが。もっとも、ステグリッツ自身は、GDPの欠陥について、サステナビリティーや格差問題を捉えていない点を問題視するにとどめ、”成長”自体を問い直そうとはしていない。


しかし、以前、エントリー:フランスの超学歴社会でとりあげた、仏の典型的なエリートシステムに載っていないサルコジ*が、スティグリッツやハーバードのアマルティア・センを集め、2008年にThe Commission on the Measurement of Economic Performance and Social Progressという委員会を設置し、幸福やサステナビリティーの尺度としてのGDPの妥当性を検証・提言するとのこと。いまのところ見張った成果はでていないようだが、こういうイニシアチブはもっとされるべきだし、期待は高い。




最後に、経済成長について、”成長”がいいことなのか捉え直すことは、一見ネガティブな印象を与えるかもしれない。例えば、産業革命以前のような、マクロな生態系レベルでみてバランスが保たれていた時代に完全に戻ることは不可能にみえる。その意味で、ビデオにでてきたような森林での自足時給の生活は解決策にはなりえない。
(バークレーの影響でヒッピーを目指しはじめたわけでもないので、あしからず(笑))


しかし、世界すべての国が先進国並の水準になることは不可能にみえるし、また、過去10年でインターネットが世界を変えたように、既存よりベターなもの、GDPよりよい尺度をつくるのは十分に可能だ。次の10年で何でも変えられる。



*ビデオではサルコジが幸福に着目する理由は、カーラ・ブルーニとの私生活が幸せだから、と揶揄されている。


■参考

The Commission on the Measurement of Economic Performance and Social Progress
Richard Nogaard

2010年4月30日金曜日

イスラエルの起業家精神

授業も残すところ明日がラスト!と、時の流れのはやさには本当にびっくりさせられる。

今日は最後のDigital Marketの授業を終えたあと、2時間ほど各自これからどうするのかや、授業のトピックにあがらないテーマについてランダムに談話+情報交換。




Carmel Veuturesというイスラエルのベンチャーキャピタル(VC)で働いてたクラスメイトからの話を少々。彼が指摘するのは、


  ・アメリカのスターカルチャーの存在が、革新的なベンチャー企業の創出・育成成功の大きなカギ


になっているということだ。というのも、イスラエルでは、いくらよいビジネスプランやアイディアを持っていたとしても、社会は経営者の資格として必要以上に年齢を重要視するために、十分な資金を獲得できないことが多いそう。もしくは、それに関連した理由で年配の経営者をもってくることもあるよう。さらには、VC自体もマネジメントの新陳代謝が低いため、20年前からいる人が今まだポジションにいることがあり、そのため、例えば40代の起業家が目の前にいたとき、そのVCのマネジメントは”相対的”に若いと捉える。対照的に、アメリカでは、社会的な評価が年齢と強く結びついていないため、むしろ若ければ若いほどインパクトが大きく社会がこぞって応援する、というようにスター・カルチャーが良い方向に働いているのである。


これは尤もだと思う。一つ注意したいのは、決して40代の起業家が革新的な企業を生み出せない、という話ではなく、

  ・若くて20代30代の人の最も生産性の高い時期を経営者として捧げようとしてるヒューマンキャピタルに、社会がリスクを取らないのは、大きな機会損失である

ということ。


日本でも、若く勢いのある起業家はアメリカにくらべてしまうと、まだまだ少ない。facebookのMark Zuckerbergは、若干25歳。また、日本のVC業界は、大手銀行銀行系列が多いために、シードマネーと呼ばれるアーリー・ステージのベンチャーを支えるリスクマネーの不在が指摘されている。幸い、イスラエルでは、政府の支援策が長く続いていることもあり、シード・マネーは不足してないそうだ。




ーーー
Carmel Ventures
http://www.carmelventures.com/index.asp

2010年4月28日水曜日

夢と自由

「夢をみることは自由だ」っていうけれど、「夢をかなえることも自由だ」と、思う。


そして何よりも、そういうマインドセットを持てるよう育ててくれた親と友達と環境に感謝。

2010年4月27日火曜日

Disciplineとしての学問

唐突ですが、最近自分の思考方法の変化によくも悪くも気づくので、メモります。



経済学では、個人は理性的に行動する、や、個人は効用を最大化する、などの仮定をおいている。
実際には、その過度に単純化した仮定にそぐわない行動ばかり。例えば、タバコをやめたいが禁煙はことごとく失敗、などの消費者行動。
ここらへんの矛盾にいま行動経済学が答えようとしている。つまり、行動経済学は経済学の”可能性”を追求している。


ここまでは、一つの学問の”内容”について。Disciplineとして経済学を捉えなおすと、
観察・分析・理論化の繰り返し。競争政策などに携わり、観察・分析後に主体的な実践ができるなら話は少し異なるが、思考方法としては、可能性を追求するのではなく、一歩引いて原因をさぐる、といった感じのDisciplineだと思う。


一方で、”経済学は共通言語”といわれるように、学問をツールとして使うのであれば言語と同じで、自由に複数のDisciplineを扱えるはず。例えば、母国語+外国語のように。


その意味で、自分がどこまでそのDisciplineが必要かを見極めて行動したい。
あとは、Disciplineの習得過程が楽しいことが大事だ。もちろんすべき苦労はいくらでもする。
それでも、それを含めて楽しまないと損だと思う。

2010年4月26日月曜日

残り20日

はやいもので、来週で授業も最後。今日は天気もかなりよかったので、庭でリラックスしながら課題。


PP290:Digital Marketの最終課題のおそらく一番めんどうそうな問題を意外に早く片付けられたので、量はまだまだ残っているが、一安心。その問題は、ちなみに、マイクロソフトがEUで独禁法にふれたケースを題材にした、競争政策のモデリングの問題。ちなみに、このクラスのスーザンは授業のシラバス・題材・課題をすべてオンラインで公開している。例えば今回の課題はこんな感じ。(http://socrates.berkeley.edu/~scotch/digitalmarkets/assignment9.htm


競争政策の授業は、欧米*では、一般的に、弁護士とエコノミストをペアにして、寡占・独占の法的側面・経済学的側面をライブで検討していくのが主とのことなのだが、日本だと両方の側面からあたるライブな授業はどこにあるんだろう。BAだと、セミナーも学部を越えることはないのがほとんどだから、うちの大学にもなさそうだ。院なら東大のGrassPPとかではあるのかもしれない。こんな感じで、ある学問を学ぶ際のアプローチのベストプラクティスや、各学校のアプローチの特色を生で体験できるのも、この留学の魅力のひとつ。



*ヨーロッパでは、日本では全く知られていないものの、Toulouseが競争政策/イノベーション/知的財産/産業組織といった分野は一番とのこと。競争政策の遅れた日本自身だけでなく、アジアも共同体としてEUの競争政策に学ぶことは多いと思うので、有意義な学びができそうな場所。



さて、明日からも気合いれていくぞ。

では。

2010年4月25日日曜日

ビル・ゲイツと貧困・教育 〜NPO業界に必要なこと〜




さて、先日ここにきたのは、ビル・ゲイツ。「カレッジ・ツアー」と題した講演ツアーをここでキックオフ。大学からの人材流入が圧倒的に不足している社会問題:グローバルヘルス、教育、の問題点と展望を語った。その後は、東海岸は、MIT・ハーバードに向かったよう。


抽選にはずれたので、自分は大学のサイトでみましたが(笑)
先日かいたYoutubeにも早速アップされたようなので、ぜひみてみてください。




概要としては、世界の公衆衛生と教育について、ポリオなどワクチンが劇的な効果をあげたこと、”Teach for America(TfA)”というアメリカの大学生が途上国で先生という実地経験をつみながら修士がとれる人気プログラムの話、をそれぞれひきあいに、投資銀行など金融業やエンターティメント業界に優秀な人材が流れすぎていると訴えていた。

この、公衆衛生と教育分野における人材の需給不均衡という問題に対し、抜本的な解決策の提案がなされていないのは残念だった。自身の公衆衛生にフォーカスするビル・メリンダ財団ではポジションの数は十分ある、一方でTfAのポジションを増やすことは、プログラムの背景上難しいと言及。


一番よいポイントだったのは、公衆衛生、教育双方に通じる課題である、非営利業界の人材の質と流動性についての指摘。
特に、アメリカではブームもさり定着した感がある社会事業について、モデリングの難しさ、具体的には、

  ・(ダブルないしトリプルボトムラインだけに)成功と失敗を定義しにくい
  ・(ゆえに)各組織のリーダーの評価がしにくい
  ・(その結果)人材のターンオーバーが活発でない

という点を指摘、改善のために客観的、統計的な評価基準の必要性を指摘した。


これは当たり前のようだが、かなり重要な点だと思う。なぜなら、構造的に民間と異なり株主が存在しないので、極端に言えば、NPO業界には、リーダーや組織への自動的なチェック機能が働かず、人為的に作る必要があるからだ。さらに、日本のコンテキストにおとせば、いくつか成功例(マザーハウス、かものはし、フローレンス、HRW、手前味噌ですがLIP、など)が出てきているものの、構造的なNPOセクターへの評価体制はアメリカよりさらに確立していない。

ここでのNPOセクターへの評価体制というのは、まずは官民学でもどこからでもよいのだが、日本では学からは比較的存在してるように思うので、民の例をとる。例えば、アメリカに存在するBridgespanというベイン・アンド・カンパニーからスピンアウトした、NPOをクライアントとする戦略コンサルティング会社。こういった存在は、NPOという組織のベストプラクティスをみいだし、NPOマネジメントの体系化を加速させる。日本でも、ベインの方々が若手を中心にこのNPOコンサルティングを近年始められたり、大学の先輩でもある入住さんがNPOのマネジメント支援の活動をされているが、米に比べてしまうととりあえず数が追いついていない、という状況だ。



帰国次第、LIPの皆さんをはじめ、様々なかたとあって日本の現状にキャッチアップすることからはじめたい。

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-Bill & Melinda Gates Foundation
http://www.gatesfoundation.org/Pages/home.aspx

-Teach for America
http://www.teachforamerica.org/

-Bridgespan
http://www.bridgespan.org/