ノラブログ。               

 
 
 
 
 

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が面白くて『スティーブ・ジョブズ』がそうでなかった理由。

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 昨日は映画の日、ってことでMOVIX亀有にて『劇場版TIGER&BUNNY RISING』と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を鑑賞。タイバニも普通に面白くて良かったんだけど、その後に観たこいつ↑がこれまたなんとも凄まじい作品で、おじさんとバニーちゃんのキャッキャウフフを堪能してほのぼのと暖まったはずのハートが一気にダークサイドに堕ちたあげく、そのまま腐臭を放ちながら今日にいたるというわけですよ。

 

 えー、どういう映画かってのをざっと説明しておくと、80〜90年代のアメリカ金融界で暗躍し、のちに実刑判決を食らったジョーダン・ベルフォートという人の伝記映画ですね。26歳で証券会社を設立し、金とセックスとドラッグに溺れる彼が破滅していくまでを描く、と。監督は『ギャング・オブ・ニューヨーク』のマーティン・スコセッシ、主演はレオナルド・ディカプリオ

 

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 この映画の何が凄いって、そりゃ主演のジョーダン役のレオ様ですよ。ケツにローソク挿すわ、女のケツにヤク入れて吸引するわの大暴走で、最低のクズ野郎を惜しげも無く見事に演じていてもう最高でした。そのほか俳優陣は総じて良かったわけだけど、特に主人公の父親役のロブ・ライナーが個人的にはヒット(電話のシーンと「援交費」のくだりは観客みんな爆笑してました)。

 3時間以上の上映時間にも関わらず、観終わったあとに「え、もう終わり?」と素で思ってしまうくらいの素晴らしいドライヴ感、そしてスピード巻。それはやはり、ハイテンションでラストまで一気に突き進むテンポの良い脚本と、それを加速させる演出の賜物だろう。総じて素晴らしかったし、そして何より、素晴らしくゲスかった。

 

 で。

 この作品を観た帰り道で思ったのは、スティーブ・ジョブズもこういう風に作ってくれれば面白かっただろうになぁ、ってことである。

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 最初に断っておくと、世間で酷評ムードのこの作品、僕はけっこう擁護派である。主演のアシュトン・カッチャーをはじめとした俳優陣の熱演に文句は無いし、音楽は映画を観終わった直後に思わずサントラを買ってしまったほど素晴らしい(特に「Think Different」という曲は絶品)。草原でカメラがぐるぐる回りながらジョブズがトリップするシーンなど愉快な演出もあるし、画面全体の「あの時代」の再現度なんかも充分合格点だと思う。少なくともブルーレイが出たら買うかな、程度には好きなのである。

 

Jobs

Jobs

 

 

 にも関わらず映画『ジョブズ』が明確にダメな点というのは結構はっきりしていて、要は脚本がダメ。テンポがダメ。同じ伝記映画で、個々のエピソードを矢継ぎ早に繋げていくという手法を撮りながら、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と『スティーブ・ジョブズ』の出来栄えは天と地ほど違う。

 その違いはどこから生まれるのか、と聞かれれば、たぶん「映画全体のテンション」そして「脚色の度合い」なのだと思う。いずれもハチャメチャにアクの強い人間を扱うわけだから、普通のテンションで「それなりの」色付けをして淡々と事実を重ねていったところで、単に総花的で散漫な出来になるだけで面白くなるわけがない。そんなわけでこの映画は「ジョブズ」の話ではなく「Apple」の話になってしまうのである(そしてそのわりに、ジョブズについてある程度知っていないと意味不明なシーンも多い)。

 

 とはいえさすがにジョブズ実刑は食らってないし、後年までドラッグでキメまくっていたというわけでもなさそう(たぶん)なので、『ウルフ・オブ〜』のようなレイティングでR18食らうレベルのお下劣ジェットコースタームービーに仕立てあげるという手法も使えない。となるとやはりお手本とするべきは、事実とフィクションを絶妙に織り交ぜ、キャラ設定とストーリーから余計な要素を徹底して省き、アイゼンバーグという主人公の人生を描くことにのみ焦点を絞って、結果大成功したソーシャル・ネットワークであったと思う。

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 …なんか『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の話からはだいぶ逸れてしまった気がする。要は伝記映画作るのって難しいね、ということですね、はい。レオ様は今後しばらく俳優業をお休みするそうなので(この映画観たらそりゃ納得するよ)、とりあえずお疲れ様でした、カムバックお待ちしていますってことで。

 

 それでは最後に。

 

 

 

ん〜ん♪  

 

 

ん〜ん♪ 

 

 

ん〜ん〜ん〜ん〜ん〜ん〜♪ 

 

 

 

 

            \オゥ!!/

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  このネタ、『ウルフ・オブ〜』観た人だけしか分からないよなぁ。