折り紙作品(固定記事:最新記事はこの下)2038/01/18 18:51

自分で折った作品の写真数点を、冒頭に載せておくことにしました。

Devil&Pyramid
Devil & Pyramid
悪魔(設計:1978 正方形)、ピラミッド(設計:1993 正方形)

Peacock
Peacock
孔雀(設計:1993 正方形)

Beetle
カブトムシ(設計:1994 正方形)

Turkey
七面鳥(設計:2005 正方形)

Sections of the Cubes
立方体の断面(設計:2000 特殊用紙形)

折り紙教室@府中 など2024/04/21 07:56

◆折り紙教室@府中
4/28(日)13:00-15:00、「郷土の森博物館出張体験イベント」で、折り紙教室を担当します。会場は京王線府中駅前の商業施設「ミッテン府中」9階のオープンスペースで、無料です。作品は「飾り兜」です。
飾り兜

◆『あやとりの楽しみ』
『数学セミナー』の4月号から長谷川浩さんの『あやとりの楽しみ』という連載が始まっている。4月号の記事中、あやとりを折り紙に対比する話に関連してわたしの名前もあがっていた。別のことろにも書いたが、わたしは、日本あやとり協会の初期メンバーで、あやとりの「手タレント」としてTVにでたこともあった。

この記事から、あやとりと数学の関係ということをあらためてすこし考えたのだが、直感的な数学らしい数学(?)より、順列組み合わせ的にパターンを確かめてゆくようなコンピュータ援用数学に向いた研究対象かもしれない、などと思った。

◆人形改造コンテスト
鳥山明さんが、タミヤ模型(田宮模型)主催の「人形改造コンテスト」という、1/35分の1のプラモデルの人形を用いてさまざまな造形を競うコンテストの常連で、金賞も受賞していることは、知るひとぞ知る話である。

じつは、わたしの名前がはじめて活字になったのは、その「人形改造コンテスト」の作品集で、中学生のときであった。作品は「考える人」、ロダンのあれである。応募したのは一度だけで、その後、前川少年はモデラーになることはなかった。作品集はどこかに紛れて手元からなくなってしまい、ずっと「第1回』だと思っていたのだが、いろいろ調べるとどうも『第2回』のようだ。

鳥山さんが亡くなったのは驚いたが、歳をとるのは、知っているひとたちが先に逝ってしまうことだとあらめて思う。今年になって葬式に2回参列し、先日もわたしより若いひとの訃報を受け、家族の悲しみを思うと胸が痛くなった。

読書で折り紙に出会った話2024/02/17 07:33

北村薫さんの、文芸に関する謎を解くシリーズの新刊『中野のお父さんと五つの謎』の中の一編に、笠原邦彦さんの『おりがみ新世界』や、『千羽鶴折形』の解説本がでてきて、意想外な登場ながらもうなずきながら読んだのだが、落ち着いて考えると、北村さんが折り紙まで守備範囲にしているのが、まずは驚きである。
なお、作中、『千羽鶴折形』に関して秋里籬島の名が出てこないのは、作中で取り上げられる本が、すばる書房『おりがみ2 千羽鶴折形 江戸の古典 魯縞庵・作』(笠原、1976)で、これは主に折りかたの解説の本だからである。わたしもこれで『千羽鶴折形』全49種を折った。なつかしい本だ。同書の狂歌など含めての解説は、岡村昌夫さんの『つなぎ折鶴の世界―連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』が詳しい。

小津夜景さんのエッセイ『ロゴスと巻貝』が面白かったので、小津さんの『いつかたこぶねになる日』も読んだところ(文庫にもなっていたし)、『紙ヒコーキの乗りかた』という一編の中にハリー・スミスの『Paper Airplanes』が紹介されているのに遭遇した。これはわたしの『空想の補助線』でもとりあげた本で、紙飛行機の軌跡がかすかにつながったような思いになった。

本を読む動機には、いつもの自分を忘れたくて(?)ということもすくなからずあるのだが、それでもなぜか、折り紙や天文の話に出逢ってしまう。

折り紙教室2024/02/12 07:50

2/23(金、祝)13:00-15:00、府中郷土の森ふるさと体験館で、折り紙教室を担当します。府中郷土の森博物館は入場料が必要ですが、教室自体は無料です。作品は、「おひなさま」です。
おひなさま

『空想の補助線』の補助線2024/01/30 08:19

昨年末に刊行されたエッセイ集『空想の補助線』に関して、共同通信による著者インタビュー記事がいくつかの地方紙に掲載されたほかに、1/27の毎日新聞に、若島正さんの書評が載った。ありがたいことである。若島さんは数学科出身の英文学者で、詰将棋・詰チェスの世界でも知られたひとだ。この書評でも折り紙と詰将棋の類似性について触れていた。詰将棋といえば、今から約30年前、同人誌『折紙探偵団新聞』に、以下のように始まるエッセイを書いたことがあった。

◎おりがみのルール
「手順の構成美」「配置の簡潔美・自然美・象形美」「パズル性を含んだ難解巧妙な作品」「趣向の持つ叙情や浪曼性」「数学的才能と芸術的才能」「誰もが手を出してみたくなる」「クラシック作品」「無駄を省く、不純を省く、簡素化する」「好ましい意外性と驚き」「すでに完成された作品に関する知識」… 
 以上は、コンピュータ雑誌「bit 」92年10月号に載った「詰将棋・詰チェスにみる知的作品の美」(井尻雄士氏)からの引用である。コンピュータ雑誌に載った以上、システム設計やプログラム作成に関連づけた話なのだが、ご覧のように「我々」にもけっして無縁の話ではない。本格ミステリ作家、ゲームデザイナー等々、この文章に首肯する向きは多々あろうが、「我々」以上にピッタリくるのは「詰将棋・詰チェス」を除けば、たぶん「詰碁」ぐらいなものだろう、と詰まらない冗談が言いたくなるほど、ここで述べられているのは「我々」のことだ。

そして、『空想の補助線』には、奇妙な偶然に関しての話題もあるのだが、この書評にもまた、ちょっとした巡り合わせがあった。

まず、紙面において同書の隣りで紹介されていた短編小説集『ブルーノの問題』(アレクサンダル・ヘモン著)の訳者のひとりである秋草俊一郎さんが、X(twitter)で「となりの若島先生評を読んで『空想の補助線』を注文。前川淳さんの「悪魔」を一時期繰り返し折っていたことがありました」と記していたのだ。意外なところにわたしの読者いることに驚いた。

そして、それらの記事の下にある「なつかしい一冊」というコーナーでは、東直子さんにより、杉崎恒夫さんの歌集『食卓の音楽』が紹介されていたのだが、杉崎さんは、国立天文台に勤務されていたかたで、5年ほど前、このブログ(歌のあれこれ:長い記事で、杉崎さんの話はうしろのほう)でも氏の歌に触れたことがあった。読み返すと、『空想の補助線』に書いた内容ともすこしリンクしている。

『最後の三角形』など2024/01/22 21:06

◆『最後の三角形』
『最後の三角形』(ジェフリー・フォード著、谷垣暁美訳)を読み了わった。奇想に溢れ、テッド・チャンさんや安部公房さんを思わせる短編小説集で、最近読んだ小説では出色だった。所収の『アイスクリーム帝国』の以下の言葉からは、折り紙造形の勘所ということを思った。

表現の抑制は、表現の複雑さに劣らず、技術の熟達を示す重要な特色だ。

◆九角形
九角形のコップ
餃子の王将のお冷のコップが九角形だった。これはプラスチック製だが、ガラスの九角形のコップも前に見たことがある。

◆濡れない文字
石碑の「中」の文字は濡れにくい

雨から天気が回復していった日、墓参りに行った。共同埋葬施設の横の墓碑も濡れていたが、ふと見ると、「中」という字だけが乾いていることに気がついた。他にも乾きやすい字はあるようだったが、「中」は特別だった。このかたちに水が溜まりにくいのは間違いないが、単に中心が縦に長い直線であることだけではないようでもある。