ただいまにご用心
『不倫の恋の品格』の著者がある作家の亀山早苗氏/日刊ゲンダイ 2008年3月5日 私の知人女性で、夫の「ただいま」の声だけで浮気を予見した女性がいます。ある日、夫の「ただいま」のトーンに微妙な差異があることに気付いた彼女は、試しにメモ帳に印を付けてみた。すると、不規則と思われた「ただいま」の声の違いに規則性があることが分かった。そんな時、たまたま「プリン2個」という東京都S区のコンビニのレシートを夫の上着ポケットから発見。ただし、これぐらいで女性は動きません。 夫の手帳の住所録からS区に住む人物を割り出し、年賀状をチェック。案の定、会社の部下の女性から年賀状が来ていました。決定的な証拠をつかんだ上で、「ただいま」のトーンが違う日が集中する日に女性宅に乗り込みました。修羅場は想像にお任せします。この記事に震撼させられたのは私ひとりではあるまい。不規則なカオスの中から規則的なパターンを見出す科学者のような冷徹な目。それは時に残酷な結果を生む……。ま、なにごとであれ、小まめにメモすることが大切なようだ。書くことで、連続的な時間に目印をつける。不規則性のなかに秩序を見出す。それがパターン認識を可能にする。それとレシートは億劫がらず、その場で捨てよう。「プリン2個」はいかにもまずい。申し開きのしようがない(笑)