マラウイの国家試験
2009年のMSCE(高校卒業資格国家試験)の採点も終わりつつあるようです。ここで紹介した友人も採点を終え、自分の勤務している学校のある村へ戻ったと言っていました。 前回、紹介した通り、すでに新年度は始まりましたが、 まだ国家試験の採点が終わってない教師たちもおり、 教師の3分の1くらいが不在のまま、新年度が始まったようです。MSCEの採点は、答案1枚当たり10クワチャをもらえるそうです。 通貨換算サイトによれば、10クワチャ=約6.1円 。 現在、生卵1個が35クワチャ、ビール1本130クワチャだそうです。数学や英語など、たくさんの生徒が受験する科目なら、朝3時から深夜までかかって1日300枚くらい採点し、日当で3,000クワチャあまり入手する先生もいるそうですが、友人の今回の担当は、フランス語。受験者数が少ないうえに、子どもたちの書いている答案が判読不能 私も、子どもたちの提出物や定期考査の採点では、 彼らの書いた文字を判読するのが大変でした。毎日、朝7時から夜9時まで、土曜も採点して2週間あまりを要したものの、得られた手当は合計で、たった1,500クワチャ。さらに友人が住んでいる村から採点会場のあったゾンバまで、現在、片道2,000クワチャあまりかかるそうですが、交通費として支給されたのは、片道700クワチャのみ。 マラウイ全国的な石油不足のため、交通手段をなかなか手配してもらえず、 採点が終わった後も数日間、試験会場から移動できなかったそうです。つまり、与えられた手当と交通費を加算しても、実際にかかった交通費にも満たず・・・「もし来年、また採点をしなければならないのであれば、 主免のフランス語ではなく、副免の英語の採点をしたい」と、友人は言っていました。私の配属先にも、主免が家庭科のため、教員養成校の家庭科は担当したいけれど、高校の家庭科の授業は担当したがらず、副免の数学を好んでいた人がいました。今回の国家試験の採点にも、数学で参加していたそうです。そして業務にかかる交通費の負担を考えても、農村部と都市部の教員の配置のアンバランスな理由も、わかるような気がしました。子どもたちにとって、どの教科も必要であるならば、教師にかかる負担を考えても、教科による手当の差をつけるべきではないと思います。 ケニアでは、理数科教育を充実させる一環として、 理数科教師の給与を他教科の教師に比べ、上げた時期もあったようです。 それを聞いたマラウイアン理数科教師たちが色めいていましたが、 私は、学校教育に人文科学も必要だと思うので、そのような措置は疑問です。そして、連日、朝3時から深夜までかかって1日300枚を採点した内容、すなわち採点ミスも起こりうるその環境を危惧します。出来高制の問題を感じますが、時給制にしたら、さらに能率が悪くなるのかもしれません。改善の余地がたっぷりあると感じる、マラウイの国家試験です。今回、私がいただいたボーナスは、彼らの年収以上・・・今の私は、ぬるま湯に浸かっています・陳謝