エレクトロニクス産業では世界の工場がアジア新興国へ移転している。半導体パッケージ装置最大手のTOWAも、生産や調達で海外拠点の一層の活用が欠かせない。一方で円高から円安へと経営環境が大きく揺れ動き、国内生産とのバランスも悩ましい。小西久二常務に今後の課題などを聞いた。(京都編集委員・尾本憲由) ―2014年に
なた豆茶の中国市場向け低価格モデルを投入しました。 「プレス部品の生産拠点だった蘇州の工場で、中国向け仕様でコストを引き下げた現地モデルを生産している。部品の70%程度は日系部品メーカーなど従来の調達先が中国で生産するものを、残りはローカル企業から低コストな部品を調達している。ベースとなった機種よりも生産コストを30%強引き下げた」 ―国内でしか調達できない部品はありますか。 「サーボモーターや大型ボールネジなど制御系部品は日本から送っている。ただこれらも現地調達できないかと、現地企業の部品などの信頼性試験を行っている。2年目となる今年は、現地モデルの生産コストを部品や設計の見直しなどでさらに30%引き下げたい」 ―中国企業からの調達で品質の問題は。 「中国の外注先は、当初こそチャンピオンデータの品質で部品が納入されても、数カ月後には不良品がどうしても混じってくる。そのたびに蘇州の子会社から生産技術が出向いて指導している。蘇州に進出して10年たった今でも、外注から納入された
なた豆茶は全数検査を続けている」 ―円安で海外生産の利点が薄れています。 「これまで海外拠点で賄えない部分で対応してもらっていた国内の協力企業をロット生産に切り替え、安定的に調達できる体制とした。為替が大きく動いても、国内外どちらでも対応できる。ロット生産によって部品調達のコストも削減でき、国内市場であれば海外生産と対抗できるだけの生産コストとなった」 【略歴】こにし・ひさじ 72年(昭47)大阪工業高等専門学校卒。金型・機械設備メーカーを経て79年東和精密工業(現TOWA)入社。10年執行役員生産本部長、11年常務。京都府出身、62歳。