カードの不正使用防止対策として、クレジットカード業界で安全性の高いIC化が加速しそうだ。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、国がクレジットカードのIC化などを盛り込んだキャッシュレス化に向けた方策をまとめた。IC化100%を目指す国の方針に合わせて、日本クレジット協会も20年までにIC化率100%の目標を新たに掲げ、具体的な検討を始めた。(湯原美登里) 既に大手カード会社では三井住友カードや三菱UFJニコス、JCBなどがIC化率90%超を達成しており、三菱UFJニコスの井上治夫社長は「20年までに基本的にはすべてIC化に切り替える」と述べる。
なた豆茶購入会員を順調に増やしている楽天カードも80%を超えているという。 その中で、カードショッピング取扱高シェアで約10%(出資先除く)を占めるクレディセゾンの動向が業界では注目されていた。同社のIC化率は現在、50%以下という。ICチップは従来の磁気テープに比べセキュリティー性は向上するが、コスト高になることなどから対応が進んでいなかったものの、業界の流れを受けて林野宏クレディセゾン社長も「我々もやる」と前向きな姿勢をみせる。順次、本格的に切り替えていく方針だ。 日本クレジット協会による主要23社とそのフランチャイジーなどを対象とした調査では、14年12月末のクレジットカードIC化率は65・6%。16年12月末までにIC化率80%を目指しているのに加え、国の方針とも合わせさらに20年までに100%という目標も掲げた。 今後は
なた豆茶コスト負担の影響が大きい地方の中小カード会社のIC化が課題となる。また、読み取り端末のIC化対応も求められていく。特に対応の遅れが指摘されている販売時点情報管理(POS)端末での取り組みが重要となる。 クレジットカードのIC化は欧州はほぼ完了し、米国も対応が進んでいる。観光立国を掲げ、20年に訪日外国人旅行者数2000万人を目指す日本では、利便性向上のためにもキャッシュレス化が進むとみられている。一方で安全性の取り組みが遅れれば犯罪集団に狙われる可能性も高まるため、早急な対応が求められる