2024年4月25日木曜日

トンカ豆はバニラの代用品として世に出ましたが、最近の日本のある出来事にそっくりの事実から使用が禁止されました。

きのうはオーストラリアのフィンガーライムとか、聞いたことないフルーツを紹介しましたが、(CIR1月号P.5)の料理で一番謎だったのは、fave tonkaです。
始めて聞いた名前です。いったい何なのか、想像もできません。

ドイツで行われたアイスクリームのワークショップでトンカ豆に初めて出会って興味を持ち、ネットなどで色々調べた人の話が下の動画です。ちなみに彼は庭師で医師ではなく、専門家ではありません。でも、とても興味深い内容です。

そもそもトンカ豆は南アメリカの果実の種。昔から、その香りが料理や香水に使われてきました。イミテーションバニラとも言える成分、クマリンが含まれています。ちなみにバニリンはバニラ風味の化合物で、そのトンカ豆版がクマリンです。バニラ風味の食品添加物として合成されるようになったんですね。でもラットに投与したところ肝臓疾患を発症したそうです。そこで市場から回収し、その使用が禁止されました。なんだか聞いたことがあるような話。
タイムリーすぎて怖いですね。

チョコレートを食べた犬が病気になって死亡ましたが、そのせいでチョコレートを禁止したら過剰反応となるでしょう、とも語っています。ネズミとトンカ豆の話は、たまーに誰かかせ思い出すのかな。

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2024年4月24日水曜日

そういえば、柑橘フルーツ天国イタイリアで注目度上がってるゆず。次に注目の日本の柑橘フルーツはミヤガワこと早生の温州ミカン。

(CIR2022年1月号)の料理から、今日の料理は、P.4のパスタ、“柑橘フルーツとナッツのペーストのリングイーネ”です。
柑橘フルーツはイタリアの得意部門。レモンやオレンジが代表的ですが、柑橘フルーツとパスタの組み合わせは、イタリア人の超得意分野。柑橘フルーツの皮の香りの活かし方は、参考になりますねー。

柑橘フルーツとピスタチオのペーストのスパゲッティ

ちょっと変わった柑橘フルーツ

イタリアならではの柑橘フルーツ
まずは時々リチェッタには登場しますが、日本では見たことも聞いたこともない、“マポmapo”。グレープフルーツpompelmoとみかんmandarinoを交配させてシチリアで生まれました。
マポ

“ベルガモットbelgamotto”は食用ではなく精油のために栽培されている世界中の香水に欠かせない柑橘フルーツ。

レッジョ・カラブリアのベルガモット

カラブリアのチェードロは、ユダヤ人と結びつきが深い柑橘果実。

さて、このリングイーネですが、使われている柑橘フルーツは、ゆずとオレンジです。多分、ゆずが使われているリチェッタは初めて訳します。
ゆずはイタリア語でlo yuzu“ロ・ユズ”です。
イタリアで知られるようになったのは最近で、日本、韓国、東南アジアから伝わり、その強い香りが蒸したり炒めた野菜によく合う、と言われています。

ゆずの話。初めて知ることばかり。

ゆずはどんな味?

柑橘フルーツ大国で、ゆずの次に注目されているのが“ミヤガワmiyagawa”。早生の温州ミカンだそうですが、日本人より詳しい。

全然知らなかった。


私の田舎は青森ですが、横浜まで親戚が遊びに来て、近所に夏ミカンがなってるのを見てびっくりしてました。柑橘フルーツよりりんごの方が珍しいけど、北国の人にとって、柑橘フルーツって温かさの象徴なのかも。

今、イタリアで注目されてる柑橘フルーツは、透明なキャビアことオーストラリアのフィンガーライム。


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2024年4月23日火曜日

乾麺のパスタを赤くするには・・・。パスタ・コロラータのバリエーション。

(CIR    2022年1月号)のリチェッタから、今日は真っ赤なスパゲッティのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノです(日本語訳はP.3)。

写真を見ると、これ以上はない赤いスパゲッティです。もちろん、フレッシュパスタではなく、スパゲッティです。
いったいどうやってこんなに赤いパスタにしたのか。
リチェッタを読むとすぐに分かります。
ビーツですねえ。

ビーツのスパゲッティ。

ただビーツのソースとあえるだけで、プレーンなスパゲッティがこんなに赤くなります。クリームチーズを加えているのでトマトとは違う、ピンク色がかった赤さです。

応用編 ビーツとロビオーラのリングイーネ

色付きパスタはパスタ・フレスカのバリエーションの基本。
中でも、ほうれん草入りの緑色のパスタ、pasta verdeはエミリア地方やロンバルディロア南部の定番パスタ。
イカ墨の黒いパスタpasta neraも地方料理の定番。
乾麺のパスタに赤い色を着けるのは、すごくレア。
よくあるのは、トマトペースト、赤ピーマン、パプリカで色を着けたパスタ・フレスカ。
他に、粉自体に色があるものを使う、という方法もあります。

ビーツのタリアテッレ

赤いニョッキ

色付きパスタの応用編、2色のパスタのラビオリ。

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2024年4月22日月曜日

一時消費量を落としたベルモットは、地元のワインや植物を使う小さな生産者の個性的な製品によって復活しつつある。


ベルモットの話、続けます。
イタリアのベルモットと言えば、チンザノや

ガンチャ

マルティーニ・エ・ロッシ

これらの大手メーカーはベルモットを世界中に広めました。
20世紀にはカクテルが普及し、ネグローニやマルティーニ・ドライなどのカクテルがベルモットの象徴になります。

ネグローニに最適のベルモットは?

ドライ・マルティーニ

イタリアのベルモットのリーダー的存在はベルモット・ディ・トリノ。管理組合もあり、トリノと名乗る表示は法律で守られています。ベースはイタリア産ワインなので、メーカーもワインの作り手ってことになりますよね。


何言ってんのか全然わかんないカンパリ・アカデミーのベルモット・ディ・トリノのカクテルの動画。カクテル作る人は錬金術師か・・・。

カクテルは世界的に普及しますが、合成フレーバーによる大量生産で、ベルモットは一時人気を落とします。でも、地元のワインや植物を使った小さな作り手の個性的なベルモットの登場によって、復活します。

ベルモットのカムバック

オリジナル・ベルモットの造り方。

ところで、ベルモットはワインがベース。なので当然料理にも使えます。ワインよりアロマがもっと強い食材で、白肉や魚によく合います。

帆立て貝のベルモット風味


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2024年4月19日金曜日

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。


今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事)
その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。
白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。
ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が語源なんですね。
よもぎというと、お餅のイメージですが、ヨモギはハーブ(薬草)。べアムートとドイツ語で言うと、やたらかっこいい。
現在知られているベルモットのリチェッタを考え出したのは、トリノのパティシエ、アントニオ・べネデット・カルパノ。

よもぎについてドイツ人が熱く語ってます。

よもぎは道端に生えている草というイメージあるけど、ドイツ人にとっては地中海の植物なんだねー。

トリノ人にとってはベルモットはベルムッティ―ノvermuttino。
ちなみに英語ではvermouth。イタリア語もvermouth。

トリノで夕食前に飲む習慣が行き渡っていたvermuttino。

ベルモットの生産の中心地はトリノ。

中央ヨーロッパの香りを色濃く漂わせたサボイア家の都市、トリノ。イタリアの他の街とは全然違います。確かに、ベルモットがよく似合いそう。

マンチーノ・ベルモット

イタリアのアペリティーボの習慣の発祥地もトリノ。


アペリティーボを飲む習慣は、社交的な時を過ごす、という意味を帯びていました。
ベルモットを作ったカルパノのカフェは今でカフェ・エレナと名前を変えましたが、カクテルを作る人たちの聖地です。

トリノのカフェ・エレナ


トリノのカフェ巡りはトリノ観光の必須イベント

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2024年4月18日木曜日

質問、去勢鶏のチョウザメ風て、どんな料理でしょう。想像するとちょっと面白いけど、チョウザメもキャビアも一切入りません。

今日は、ブリュットの意味をトラウマ級に教えてくれたスプマンテ、トレント。クラッシコ・ブリュットに合う料理の話です。リチェッタの日本語訳は(CIR2022年1月号P.35)です。
トレント・クラッシコには、“トレント・クラッシコ・ミッレジマ―ト”と、“トレント・クラッシコ・リゼルバ”があります。
トレント・クラッシコ・ブリュットは、各カンティーナのベースとなるワインです。
ブリュットは“ドライ”なんてもんじゃない。“カライ”です。イタリアのスプマンテメーカーの辛口の基準は容赦ないです。ちなみに残留糖分がないスプマンテは“パ・ドセpas dosé”。ド素人でも一口で、わずかな甘みなんて一切ない、女子供は相手にしてないと分かります。

“ミッレジマ―ト”は最高の収穫年のこと。最高の畑の最高の年のぶどうから造り、最低24ヵ月精錬するとトレント・クラッシコ・ミッレジマ―ト。36ヵ月熟成させるとトレント・クラッシコ・リゼルバです。

トレント・クラッシコ・リゼルバ

さて、こんなスプマンテに合わせる料理は、cappone alla storionaです。
capponeは去勢鶏、storionaはチョウザメ。つまり去勢鶏のチョウザメ風、という、ちょっと不思議な料理です。去勢鶏もチョウザメもクリスマスの主役になりがちなご馳走の食材。

でも、鶏が魚風?、これはどう考えても不自然。さらに調べてみて分かりました。これは七面鳥のチョウザメ風としても知られる料理で、アスピックのことでした。リチェッタを訳しながらチョウザメはいつ出てくるのかと期待して待ってましたが、最後まで出てきません。
代わりに、クリスマスの時期は去勢鳥でブロードを取るのがこの地方の定番。トルテッリーニ・イン・ブロードにするために去勢鶏のブロードはたっぷりあるので、時期的にも、ぴったりの料理という訳です。

クリスマスの去勢鶏のロースト。

トルテッリーニ・イン・ブロード


トレント・クラッシコは複雑で手の込んだ料理に合うワイン。さらに辛口のものは脂肪分やトリュフに合います。この去勢鶏のアスピックは、複雑な香りと優しい味の料理で、トレント・クラッシコ・ブリュットによく合うそうです。

エクストラ・ブリュットだって。ひえ~もはや恐怖。

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2024年4月17日水曜日

フェラーリと聞いて思い浮かぶのは、車?それともシャンパン?

今日はイタリアを代表するスプマンテメーカー、フェラーリの重要人物、カミッロ・ルネッリという人物の話。波乱万丈で劇的な人生ですよ。転生もののアニメの原作になりそう。

フェラーリ・トレント

カミッロはフランス出身で。1703年にヴァンドーム侯爵の軍隊の一員としてトレンティーノ地方にやってきて、そのまま住みつきます。
侯爵はルイ14世の宮廷にシャンパンを紹介した人物と言われていますが、トレンティーノでは城を燃やした侵略者として知られています。
トレンティーノとシャンパンのつながりが始まりましたねー。トレンティーノと言えばドイツとつながりが強そうですが、意外にもフランスともつながっていたんですね。
それから200年後に第一次世界大戦が始まります。ハプスブルグ家の家臣だったカミッロは、当時39歳。トレントで果物を輸出する会社を経営し、シチリアで柑橘果実を仕入れてウイーンの上流階級に売っていました。
オーストリアと戦うことを拒否したカミッロは、一時チェンブラ渓谷に身を潜めます。しかし、出頭したものは実の安全を保障するという通達が出て、軍に入隊します。でも、そこで与えられたのは、自殺的な任務でした。
大怪我を負って、家族に消息も告げられないまま3年間を病院で過ごしたカミッロは、戦後奇跡的に家に帰りつきます。日本だったら横溝正史のミステリーの主人公がたどりそうな人生。クリスティーのミステリーにもよくこんな経歴の人物が登場しますねー。
彼がドイツとオーストリアの貿易で設けた大金はすでに紙屑となっていました。なんとか城の管理人の仕事を見つけますが、子供たちは学校をやめて働きに出なくてはなりませんでした。
カミッロの三男ブルーノも、薬屋に見習いとして入ります。そしてあっという間に店長になります。後にフェラーリのカンティーナを買い取って世界的なブランドにするビジネスの才能がすでに芽生えていたのです。

ここからブルーノのターンです。
フェラーリ・ブルーノ・ルネッリ・リゼルバ。

彼は1927年21歳で2年間の兵役を終え、仲間と一緒にワインを売る店を始めます。2年後には単独でパスティッチェリーアを始めます。そして結婚し、トレントでは「ルネッリの店で合おう」というのが人々の挨拶になります。
店はグルメのたまり場で、ブルーノは常に最高のワインやドルチェを用意していました。第二次世界大戦後、ブルーノはスプマンテ、当時の呼び方ではシャンパン(1947年まではイタリア産でもシャンパンと呼ぶことができた)に取りつかれて、彼の店のすぐ近くに住む70歳代の紳士の店を毎日訪れています。その人物こそが、ジュリオ・フェラーリでした。
こんどはジュリオ・フェラーリのターンです。


ジュリオ・フェラーリはアディジェの農業学校に通った後、フランスでワイン醸造学と発酵学を勉強して、シャンパンの本場で働いています。
1952年には製造したスプマンテを家の前で販売していました。流行には無関心で、ひたすら最高を追求したため、値段は驚くほど高かったのです。アスティ・スプマンテが2.4クローネだった時代に、フェラーリのスプマンテは4クローネし、2400本の注文があった時も、「うちはレモネード屋ではない」と断ってしまったそうです。
ジュリオは66歳の時に32歳年下の女性と結婚し、生涯子供がいませんでした。73歳の時に自分の宝物のカンティーナを誰に継がせるか思い悩み、北イタリアの主要カンティーナを巡ってみます。しかし、結局適任者は見つからず、とうとう、カンティーナを現金で売りに出します。しかし、その売値は、パネットーネで有名なアンジェロ・モッタでさえ購入を断念するような高い値段でした。
当初ジュリオは、ブルーノ・ルネッリに対し、「彼はワインのことは知っているが、醸造者ではない」と、否定的でした。結局商業会議所が仲介に入って、正しい人物、ルネッリが選ばれたのでした。
ルネッリに調達できた金額は売値の半分で、残りは手形の山ができました。契約をしたのは1952年の11月。ブルーノはすぐに生産量を2万本に増やし、19521年には手形を清算しています。
1965年、86歳でジュリオ・フェッラーリは他界し、ブルーノ・ルネッリは1973年に66歳で亡くなります。ブルーノはその5年前にすでにカンティーナを5人の子供たちの手に渡しています。フェラーリの生産量は年々増え、1962年には6万本、72年には30万本、82年には100万本、92年には300万本、フェラーリ創業100周年の2002年には450万本に達します。
この記事は、『ア・ターヴォラ』誌、2002年7月号に載った記事を訳したものです。
その数百何本のうちの1本を飲んだ私は、メトド・クラッシコのスプマンテ自体よく知らないド素人で、アスティ・スプマンテ大好きな大の甘口派。フェラーリの瓶内再発酵を完全に甘く見ていました。トレント・クラッシコ・ブリュットが、こんなにブリュットなんて聞いてないよー状態。それ以来パドセのスプマンテが苦手になり、トラウマ級の体験として刻まれました。でも、ジュリオ・フェラーリの頑固な生き様を知ると、苦くても超一流の味かも・・なんて考えるようになりました。

フェラーリ・トレントはF1の公式スプマンテ


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