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See, that’s what the app is perfect for.

Sounds perfect Wahhhh, I don’t wanna

Perfume LIVE 2023 “CODE OF PERFUME”

 過去のツアーを網羅するOP映像(Reframe 2021やPOLYGON WAVEをスキップして直近の上演がImaginary Museum “Time Warp”なのは後述する海外公演および海外からアクセス可能なツアーや上演に限ったからか)最後に見上げるPerfumeの三人は質感から実写ではなくボリューメトリックキャプチャーかも知れない、またいつか実際のPerfume Museumを…という発言から、この時点から先のツアーやタイトル有り単独上演はこのミュージアムに集約されるという新しいストーリーを意味するのかも

01 FLASH

2021年後半に日本国内で行われたReframe 2021ツアーで着用された(「Dream Land」歌唱時から)コルセット状の追加フラップをつけた白い衣装で登場。本公演を通して衣装は(COVID-19禍を挟み)ほぼ9年の間イギリスの圏外で行われたツアーなどから意図的に選択されている。自走LED6台(通称コロ助、オムニホイールを搭載した架台を赤外線マーカーによる位置補足で体系的に制御するシステムにつながっている)を3角形の2辺に沿わせる形で左右に3台ずつ配置、歴代のムービングライトを使った演出をブラッシュアップして再現

02 エレクトロ・ワールド

FUTURE POPツアーから追加された機械学習による自由視点CGI演出に加え、細かな変更(振り付けのパンチに合わせて画面上にもポリゴン状のパンチが出るなど)を加えて上演

03 レーザービーム

ここで初めて照明にレーザー演出が加わる。”P Cubed” in Domeの冒頭ステージを思わせるCGIと絡めてレーザーでスクリーン上のシルエットをなぞる演出も加えられているように見えるが、フィジカルなのか(現地で実際に客席後方から投射されているのか)そのように見える映像なのかは不明。

04 ポリリズム

先立つプリマヴェーラ・サウンド2023バルセロナ公演から採用されたBorn Slippyのようなイントロが加えられたVer.でポリリズムに新しい装いが。ここでもポリループ前後でリアルタイムに収録した映像をポリゴン風に変換する演出、ただしプリレンダで単に映像として映し出されているのか全てリアルタイムなのかまでは分からないようになっている(ポニーテールなど揺れものを正確に反映していれば判断可能かも、そこまで高精細ではないので配信では判断できず)これだけに限らず、続く「∞ループ」でも見られるようなシンクロ系映像は全編にわたってPerfumeがどんなコンディションでも正確に振り付けをこなしつつ現場状況に対応して上演できるからこその図と地を反転させたような「ハイテク演出」が実は多いのです

05 ∞ループ

暗転後に紗幕を降ろし、冒頭に新しいブリッジのインストを加え、プロジェクション映像と共にPLASMAツアーとは逆に最初はフィジカルで踊りながら後半衣装替えのために退場するアイディアが非常に秀逸、またツアー当時はPerfumeの掟2022とも言える演目だったことも特筆すべき点。またマリオネットのようにダンスするCGIと本人が繋がれながら重なっていくシークエンスは正面固定で画角が限定されているのでPLASMAツアー時よりさらに効果的にシンクロを感じられる(この映像は事前に作成したツアー時のもの、あ〜ちゃんのツインテールからそれが確認できる)

06 Spinning World

2度目の衣装替えでSpinning Worldのオリエンタル風へ、ただしこれに続く3着目のReframe基本衣装まで重ね着した状態で三人がパフォーマンスしている点にも注目(背面の機材ポケットが隠れている、のっちの右足首にも注意)PLASMAツアー時は円筒の紗幕内(正確には分割された円弧のフレームで支持されたもの)のパフォーマンス用に作成された映像を前面・背景・側面自走LED6枚に再構成したもの。これも奥行きが感じられ非常に効果的。ただし演じるPerfumeはブーティではなくこの時点までダンスヒールなので負荷が高いはず(余談だけど円筒に切れ目なくプロジェクションする演出がPLASMAツアーでは一番ハイテク度が高い、会場内の4基のプロジェクタ側から見ると分割された曲面になる紗幕に歪みや重複なく映像を映す複雑さを想像してみましょう)

07 アンドロイド&

ここでプリマヴェーラでも着用したReframe基本衣装へ(同じ型でブラッシュアップしたもの、ここからReframeとは逆にさらに脱着する必要があるので、恐らくのっち衣装の右下半身などは隠しホックやジッパーが増えているはず)MIKIKO先生によるevolution of danceともいえる楽曲、お馴染みになったスリラー風の振り付けやアンドロイドダンサーとの共演も楽しい、ステージ上で可動するLEDスクリーンのポータブルさは続く「FUSION」や後半の6台全てを接続して一面として扱う場面でも非常に印象的。

08 FUSION

イントロでの歓声で意外な期待度と人気が明らかに。機材を使ったテクノロジー演出が含まれるツアーがスキップされてきたUKならではの現象かも。初演のReframeではNHKホールのステージ上から吊り下げられた巨大な緞帳のような紗幕に投影するダイナミックな演目、近年「edge」と共に自走LEDで再構成され、より重層感のあるものに。この時点で40分が経過、暗転や特定の曲目のイントロを伸張する(「アンドロイド&」)などでリカバリーや水分補給、衣装替えの時間を確保しつつ個人差はありながら体力的にはギリギリのはずで、画面上からも伝わってくるものがある

09 edge

次に来るのがこの曲の時点で長さや複雑さから言っても正にデスリスト、揺れるのっちさんの表情にも鬼気迫るものが(中盤の展開で座ることができるけどもちろん振り付け付きだし)デジタルクロックやシルエット、強烈な光の演出と儀式めいた展開で総合的なメディアパフォーマンスの趣もある楽曲だけど、以前はテクノロジー演出と思わせつつ映像とのシンクロも移動も全て人力だった事を考えると経緯を含めて今後のコアであり続けそうな演目

10 Atmospheric Entry(Perfumeの掟)

リリースされないド名曲ことPerfumeの掟インスト(ここで4着目のポリゴンウェイヴ衣装へ、これは背面に機材ポケットのない早着替えVer.で5着目のミラーボール衣装との重ね着)セリフには英訳が追加され、これまでの掟を総括するように映像がコラージュされる

11 ポリゴンウェイヴ

自走LEDに囲まれた状態で披露するのは実は初(基本は2021年末NHK紅白でイレブンプレイとの共演・操演だったものをブラッシュアップ、パネルは8枚から6枚へ)自走LEDは全てキャリブレーションの妙と全映像と位置を一元的に管理するシステムのおかげで成立している演出、現地場内でのWi-Fi系の注意喚起アナウンスがどうだったか気になるところ

12 無限未来

Perfumeの一瞬が映像に取り込まれて薄墨のように流れていくエフェクトは機械学習で顔や衣装のフレームなど特定の特徴点を抽出している印象、パフォーマンス自体はある意味コンテンポラリーダンスとして受容されている側面もあるかも

13 ラヴ・クラウド

ここで5着目のミラーボール衣装へ(それ自体が縫い付けたミラーや反射する仕立てでアシンメトリック、丈感は全員揃えつつ形が異なり、フリル構成で腰まわりのかわいさを引き出す天才の仕事)サプライズ発表の新曲、公演の2週間前に完成、ゲネプロ時には振り付けが存在せず、出発6日前に完成したとは俄かには信じられないほどネクストレベルを感じさせる。システマチックながらフォッシースタイルや前半と後半で同じ振り付けでも腕や足の開きを変化させて躍動や解放感を表現する仕掛けがシンプルながら効果的。楽曲もUKガラージを連想させる掠れたキックやジャジーなホーンを含み、明るい00年代のハウスやSEGA系のインストを思わせる今だからこそ新鮮な構成、完成まで間がないことからも映像も突貫だったはずだけど、そこに含まれるレインボーカラーと特定の性別を与えない歌詞からプライド月間へのエールを感じたファンもSNS上には見受けられた。日本や海外でのPerfumeの支持層が多様で包摂的であることに答えているのかも

「P.T.A.」のコーナー

先立つプリマヴェーラからこれまでのPerfumeのスタイルからはコール&レスポンスやMCを極限まで圧縮したスタイルで行われている。セットリストと合わせ(例えばきゃりーぱみゅぱみゅからの影響やコーチェラでの構成上の反省点を踏まえて)英語でのMCを全て自分たちでまかなう都合など複数の理由があるはず

14 FAKE IT

これまでもこれからも沸かせる定番であり続ける全くすり減らない驚異の一曲

15 チョコレイト・ディスコ

続くラストの「MY COLOR」と合わせて定番でありながらこのセットリストに組み込むといつもより更にエモーショナル、かつてMIKIKO先生の振り付けになる「チョコレイト・ディスコ」を評して「かわいさを表現する天才の仕事」というものがあり、年齢を重ねたPerfumeが踊るごとにその時々の深みが加わる、変わらずに新しい曲としてこの先も続いていくはず

16 MY COLOR

今回の9年ぶりロンドン公演で改めてこれはPerfumeのアンセムなんだなと理解(コール&レスポンスとしては初手から一発勝負だし外内外外の振り付けも崩れがちで決して簡単ではないのにこれだけ愛されるのは空間を超えた繋がりを示す歌詞と合わせて簡単には追いつけないけど難しすぎることもないという絶妙さもあるはず)

全体を通して

イギリス(というよりほぼ全てのヨーロッパ圏のファン)にとっては待望の一夜限りのライブとなった”CODE OF PERFUME” は失われた9年間を補完するものでありつつ、PLASMAツアーを通過した感覚ではPerfumeとエッジなテクノロジーというイメージに立ち返って更に上を向いているような印象さえ受ける挑戦的な内容で今後の活動のヒントがあり、これまでの全てを組み合わせて全く違う感情を起こさせる自由さもあり

Prfm CODEOFPERFUME

Perfume Talks ‘Plasma,’ the J-Pop Industry & Their Desert Island Album Picks (Interview)

JUST JARED 2022年7月26日掲載

訳出元: https://www.justjared.com/2022/07/26/perfume-talks-plasma-the-j-pop-industry-their-desert-island-album-picks-interview/

 Perfumeは過去を振り返ると同時に未来も待ち望んでいるが、今はこの瞬間に集中している。

 広島でローカルアイドルグループとしてデビューしてから20数年を経た現在、数々のヒットを携え、J-Popの枠を超えた最先端のグループとしての次の一歩は、水曜リリースの最新作『PLASMA』(7月27日)。

 結成以来、プロデューサー 中田ヤスタカの手になる風変わりなエレクトロニック・ビートと、演出振付家 MIKIKOのロボットのような振り付けで特徴づけられるその近未来的センスは、J-Popガールグループとして初のコーチェラ出演を達成し、「Love the World」「Dream Fighter」「ワンルーム・ディスコ」「Spring of Life」「STAR TRAIN」「Flow」「Time Warp」など数々のチャート上位曲もさることながら、アルバムチャート連続1位を更新し続けている。

 最新曲である「ポリゴンウェイヴ」「Spinning World」を含む新アルバムでは、より人間的な側面を見せつつも、Perfume独自の楽しさをもたらすために様々な音の表情を探求している。

 今回のインタビューでは現在のJ-Pop業界に対する考えや、長年にわたっていかに変化し続けているか、「無人島に持っていく一枚」、メタバースについて、そしてPerfumeにとって未来とはどんなものかを尋ねてみた。

8枚目のアルバムを発売中ですね!J-Popシーンで確固たる地位を築いたPerfumeですが、今作で初めて取り組んだテーマやサウンドは何でしょうか?

かしゆか「あるひとつのテーマだったり固有の雰囲気を持っていた過去のアルバムとは違って、『PLASMA』にはいろんな要素がありますね。みんなには自由に感じてもらいたいかな。メッセージがあるとすれば、このアルバムを日常の一コマにして、リラックスして楽しんで欲しいんです」

アルバムタイトルが『PLASMA』に決まった経緯を教えていただけますか?

かしゆか「プロデューサーの中田さんが、このアルバムは有機的だけど科学的でもあるし、未来的でアナログ感もあるって言ったんです。PLASMAっていうタイトルがPerfumeのアナログで人間らしい面にもぴったりだし、同時にハイテクで最先端な音楽とパフォーマンスの面も言い表せるって」

ファンにより深く知ってもらいたい1曲と、その理由は何でしょう?

かしゆか「「Spinning World」ですね。この曲がアルバムに先駆けてリードトラックになったのが私には驚きで。歌うにはとてもリラックスして楽しい曲だったし。いつもは感情を込めずに歌うように要求されるんですけど、この曲にはある種の温かみを加えても大丈夫じゃないかなって思ったんです。なにか優しくて心地よい雰囲気というか。今でも気がつくと口ずさんでいて、頭から離れないんです。

MVも面白いですよね。象徴的で。どことも正確には説明できないんですけど、外では雲がすごく速く流れていってるし、私たちはどこか高い所にいるっていうヒントにもなっていて。それが分かっていること全部なんですけど、その中でループして生きている感じ。パラレルワールド的な、過去を追いかけているおとぎ話みたいな。抽象的なMVが歌に深みを与えていますよね」

のっち「わたしも驚きました。リードトラックなんだけど、すごくくだけた陽気な感じだし。”艶やかないい香り”っていう歌詞があるんですけど、これって本当に現在の私たちのことを表現してるんじゃないかなあって。成長したPerfumeのイメージ」

あ~ちゃん「「Drive’n The Rain」ですかね。シティポップの雰囲気があって、優雅な生活スタイルの邸宅の中で流れるのがふさわしいような。「Spinning World」ともまた違う色をアルバムに加えてくれとるし、何より完璧なドライブソング!車の中で大音量で流してほしい!」

『PLASMA』制作で大きなチャレンジだったことはありますか?

あ~ちゃん「私みたいに三半規管が弱い人が、アルバムカバーの撮影でくるくる回るのはそれこそ大きなチャレンジでしたね。乗り物酔いにもすぐなってしまうから、3Dグラス付きのライドとかも無理で。ハリーポッターが大好きなんですけど、USJのハリーポッターライドにも乗られないぐらい!このカバー写真は実際に回転したりレーザーを当てたりして実現しているし、回っている間に上を見上げにゃならんかったし、なんにもハイテクなんてない!

同じく「Drive’n The Rain」も歌うのがすごく難しかった。思うに中田さんは自分の頭の中にしっかりしたボーカルのイメージがあるんですけど、自分自身では歌えないんですよ。それを理解するのに少し時間がかかりましたけど。最後のパートは特に低く歌ってて。中田さんに「もうワンオクターブ低く歌えないかな?」って訊かれて「いけますよ!」って実際に試してみたら、…誰なん?っていう声になって。それが面白かったですね」

Perfumeがデビューしてから20数年とは驚きですよね。Perfumeが一番変化した部分と変わらない部分はなんでしょう?

のっち「私たち、広島のご当地アイドルとしてデビューして、CDの発売もインストアイベントも地元だけだったんです。20年以上経って、世界中のすごくたくさんの人たちが私たちの曲を聴いてくれているのが一番大きな変化ですね。変わらない部分はお互いの絆かな。いまだに三人だけでステージに立つし、ずっと長いこと、ケガや病気でメンバーが離れることもなかったし。それってすごいことですよね」

今までにPerfumeとして成し遂げたいちばん誇りに思うことはなんでしょうか?

かしゆか「もうそれはコーチェラですね。日本語でパフォーマンスしたんですけど、それでもPerfumeが誰なのかも知らない観客が集まってくれて、私たちの音楽で踊ったんです。やってきたことは正しかったんだなあって確信しました。Perfumeの音楽…中田さんの楽曲やMIKIKO先生の振り付けは世界に届くし、素晴らしいチームもいますから」

J-PopシーンもPerfumeのデビュー当時から大きく変化しましたね。どのように変わったのか、現在の音楽シーンが「こうだったらいいな」という意見はありますか?

かしゆか「音楽に合わせてダンスを取り入れるミュージシャンやアーティストが増えていると思いますね。ダンスのクオリティ自体もかなりあがっているし。音楽自体はヒットするサイクルが早くなったと感じます。一曲ごと、アルバムごとに大切に聴いてくれたらいいなと思います」

あ~ちゃん「日本にも世界に広まるべき素晴らしい音楽がたくさんあるんです。私はPerfumeが素晴らしい日本の音楽を世界中のファンに届ける架け橋になれたらいいなと思いますね」

今までの作品から、もっと注目してほしいとか、またはすごく特別に感じる曲やアルバムと、その理由は?

のっち「海外のファンには、Perfumeが海外進出を決めた当時にまとめたアルバムなので「Global Compilation」を試してほしいです。ライブの定番曲を集めたコンピレーションだし、このアルバムを聴けばライブがどんな感じか想像できてもっと楽しめると思うから」

Perfumeの踊る姿をTikTokで見るのが好きです。TikTokを気に入っていますか?

あ~ちゃん「最初はきゃりーちゃんにTikTokを教えてもらって、私たち遊びで始めたんだよね。でも今や趣味が仕事に変わりまして、それってすごい!」

ライブツアー開始までまもなくですね。Perfumeのライブは本当に壮大で、斬新なビジュアル面でも絶賛されています。Perfumeのライブはどこから着想するのか、それが常にクールな理由はなんでしょう?

のっち「ライブの発想源は(いつでも)ツアーを共にする最新のアルバムや楽曲からですね。ステージ演出を担当するMIKIKO先生が最初のアイディアを演出に取り込んで、それを私たちみんなで持ち寄ったアイディアで完成させる感じです。中田さんがPerfumeに常にかっこいい曲を作曲してくれるから、かっこいいのはむしろ自然なんです。今までに挑戦したことがないものだったり、常に音楽のトレンドを先取りしていますからね」

Perfumeは常に未来を見据えてきました。メタバース、バーチャル・リアリティやAIといった要素が加わった現在をどう思いますか?

のっち「それってすごくクールだとは思います。例えばPerfumeはレーザーやCG、最先端で未来的なイメージを大量に使ってきましたけど、いっぽうでアルバムのジャケットはすごく手作りなんですよ。レーザーは少しだけ使ってますけど、限定版のフワッと広がるスカートは実際にクルクル回ってるんです。人力で実際に撮影されてるんですよね。Perfumeはメカっぽくてバーチャルに見えるかも知れないですけど、すごく人間的でもあるんです。未来は「ポリゴンウェイヴ」や「アンドロイド&」でSFのように描かれていますけど、そこでもPerfumeは人間らしいままで、それが自分たちなんです。実際に今でもどんどん人間っぽくなっていますよね」

J-Popの女性アーティストグループとして初のコーチェラ出演で歴史を作りましたが、次に達成したい国際的な記録やゴール、目標はありますか?

かしゆか「世界中のもっとたくさんのフェスに出演したいですね。たくさんの国や地域の皆さんからメッセージが届くんですけど、ヨーロッパやオーストラリアにも行ってみたいし、本当にどこでも」

あ~ちゃん「でも今は、海外のファンのみんなに最新アルバム『PLASMA』を聴いてみてほしい。全編日本語なんですけど、言葉の意味は分からなくても、耳で楽しめると思うから。私たちがかっこいいと思える音楽を海外のファンもかっこいいと感じてほしいんです。ファンには今現在の私たちを感じて楽しんでほしいし、「楽しそうじゃね!」って伝えたい」

ビジュアル面でも音楽的にもアーティストとしても、まだ挑戦してみたいと思うことはありますか?

あ~ちゃん「挑戦したいことはまだまだたくさんあります。でも未来的なイメージがあるから、実際にはまだやっていないこともやったはずと思われがちかも。例えば「Spinning World」MVのカラクリ人形は新しかったけど、必ずしもそうは思われないみたいな(訳注:「Spring of Life」のイメージから?)そういったイメージやカテゴライズもそれはそれで楽しんでいますけどね」

Perfumeが無人島に持っていくアルバムベスト3は何でしょうか?

Perfume「えっ?アルバム?料理道具とかじゃなくて?(笑)」

かしゆか「私は最新アルバムの『PLASMA』かな。今までのPerfumeらしいハイテクなエレクトロサンドと比べても、生っぽくて有機的な音だから。すごく有機的な環境の無人島の風景で、この音楽がどう感じられるか興味深いし」

のっち「ジャック・ジョンソンの『In Between Dreams』です。どこにいてもリゾート島に連れて行ってくれるから。無人島だとパニックを起こすと思うし、このアルバムを聴いてせめてリゾート気分を味わいたいから」

あ~ちゃん「トム・ミッシュの『Geography』単純にすっごく気分がアガるから。無人島でひとりだとおかしくなりそうだし、テントを立てたり枝を拾って火おこしとかするあいだ、このアルバムをかけたいと思いますね。現実にはサバイバルするためにアルバムよりナイフを持って行きたいけど(笑)」

Perfumeの未来はどうなると思いますか?

あ~ちゃん「明日の世界を歌っているように思えて、実は未来の普通の人たちの人生を歌っているのかも。生き続けるうちに未来になるから、今を楽しむことが大切だと思います」

のっち「私は影響されやすいから、中田さんから「明るい未来に向かって走ろうよ」って言われて、前向きでいれば明るい未来が待っている気がします。未来はとても楽しみですね」

かしゆか「未来を見たいとか、たくさんの希望を抱えて明日に向かって行きたいというより、焦らず立ち止まっても大丈夫ということを伝えたいです。未来はそんなに遠くない。走る必要もなくて、今立っている場所から道を下っていったところ。このアルバムの未来は、自分のペースでゆっくりと進むことでたどり着ける場所だと思うから」

Perfume『PLASMA』は7月27日発売。

Prfm Perfume PerfumePLASMA

Is J-pop girl band Perfume destined for US stardom?

SCMP News 2019年6月20日掲載

執筆 Jason Yu

訳出元: https://www.scmp.com/magazines/style/news-trends/article/3015205/j-pop-girl-band-perfume-destined-us-stardom


「左側のみんなは「ショッピング(shopping)!」右側のみんなは「夢中(spree)!」って言って!みんなで一緒に「ショッピングに夢中!!」」Perfumeのメンバー、のっちが観客にそう指示する。

 しばらくして、カリフォルニア州サンノゼでのライブに集った2700人の観客が、合図の通り「ショッピングに夢中!!!」と揃って叫ぶと、のっちをはじめとするPerfumeのメンバーを喜ばせた。

 Perfumeが爆買い(shopping spree)した様子をあらわす言葉を叫ぶのはちょっとばかり安っぽく聞こえるかもしれないが、観客全員が日本のエレクトロポップグループのテクノポップを夢中で楽しんでいる。彼女たちのライブはエネルギッシュで明るく、これは最も重要なことだが、観客にとって楽しいことで知られている。

「Perfumeのライブはいつでもエネルギッシュでやかましくて、楽しいんだ」ある男性ファンはそう答える。「言わなくてもだけど、彼女たちはいつでもファンと交流するし、それをとても大事にしてるんだよ」

 こうしたPerfumeファンの結束は、中毒性の高いエレクトロポップや複雑な振り付け、きらめくSF的な要素に支えられ、そのテクノロジーに裏付けられたライブパフォーマンスが、彼女たちを日本国内で最も有力なグループのひとつにしたのだ。

 芸名である、のっち(大本彩乃)かしゆか(樫野有香)あ~ちゃん(西脇綾香)を名乗ってからというもの、彼女たちは長いあいだ音楽業界で活動している。グループが広島のタレントスクールで結成されたのは、彼女たちがまだ11~12歳だった2000年のことだ。

 程なくして2003年、東京へと移ると、地元広島の小さなアイドルグループから、彼女たちを日本で最も成功したアーティストのひとつへと変化させる二人の人物と出会う。長らくグループの作曲家でプロデューサーの中田ヤスタカと、演出振付家のMIKIKOだ。

 Perfumeにおける中田ヤスタカのビジョンは、エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)とテクノロジーの融合だ。コンサート中、Twitterからのメッセージを表示したり、シルエットを背景に伴ったりする傍らで三人はテクノポップを歌う。MIKIKOによる振り付けは足元のルーチンではなく、特に上半身に焦点を当てており、ロボットアーム的な手先の振り付けが、彼女たちのダンスをアイコニックなものにしている。

 その結果、この二人はPerfumeを日本の代名詞的存在にし、本国でのジャンルとしてのテクノポップの復活を果たす立役者となった。

 2008年のヒット作『GAME』は50万枚を売り上げ、ダブル・プラチナを獲得。翌2009年の『⊿』は30万枚で再びプラチナに達する。2010年、彼女たちは有名な東京ドーム公演をソールドアウト。ライブには5万人に及ぶファンが参加した。

 たった三年間で、この広島出身のグループはわずかなアーティストしか到達し得ない成功を体験した。2010年以来、彼女たちの6枚のアルバムはナンバーワンを記録し、コンサートに巨大な観客を引き寄せ、ソールドアウトを重ねている。

 2019年のアメリカ訪問は、Perfumeにとって大きな出来事だった。初の女性J-Popアーティストとしてカリフォルニア州インディオで開催されたコーチェラ・フェスティバルへ出演。同時に最新アルバム『Future Pop』のプロモーションと北米ツアーも敢行した。

 日本国内における三人は信じられないほどの名声を浴びているが、比較してアメリカでの一般的な知名度はまだ低い。彼女たちのライブへ参加したアジア音楽の海外ファンや、実際に会った何人かのセレブたち、コーチェラ滞在中のメディアインタビューなどを通じても、アメリカ訪問の大部分は隠密下にあった。サンノゼでのライブ滞在中も、三人はより自由に公然と歩き回り、食べ、ショッピングを楽しんだ。

 しかし日本でのPerfumeの生活は全く違うものだ。彼女たちが外出すればたちまち人を引き付けるだろうし、それは「私たち、歩いてると自然とミュージックビデオみたいにフォーメーションを組んじゃうから」と冗談めかして言うほどだ。彼女たちの独特の髪型や出演する多くの広告が、彼女たちをよりいっそう公共の場で認識されやすいものにしている。

 Perfumeの北米ツアーは、日本の音楽のアジア圏外へのプロモーションとして大きな一歩だろう。コーチェラへの出演は好評を持って迎えられ、ローリング・ストーン誌は同音楽フェスでのベスト16パフォーマンスの一つとして挙げた。

 ローリング・ストーン誌のスージー・エクスポジートは、このEDMグループのコーチェラでのパフォーマンスを賞賛し、「広島出身の三人が超最高のレイブ・パーティで日曜の夜を盛り上げた」と述べている。グループはまた、トークショーの司会でおなじみのジェームズ・コーデンと出会い、そのテクノビートでプエルトリコのスター、バッドバニーを踊らせた。

 西洋圏での日本音楽の需要は近年急増している。日本人アーティストの多くの来訪にPerfumeが続くことは理にかなっているだろう。

 他にはHYDEやBABYMETAL、ONE OK ROCK、MIYAVIといった日本人ビッグアーティストが、2019年に北米でのコンサートツアーを計画している。またPerfumeを含む日本人音楽グループは、SXSWのようなメジャー音楽イベントにも招待される存在だ。BABYMETALやきゃりーぱみゅぱみゅなどのメガアーティストは、アメリカでの巨大なファン層をも獲得している。前述したアーティストたちがメタルやロックといったジャンルの境界を押し広げる一方で、Perfumeも自身のニッチな層をかたち作っている。

 彼女たちとプロデューサーの中田ヤスタカは、エレクトロポップとテクノポップのジャンルを常に最前線へと押し進め続けているが、その音楽性は、シティ・ポップや渋谷といった地名がポピュラーだった1980年代の東京を思い起こさせる。数十年が過ぎ、シティ・ポップサウンドが竹内まりやの1980年代の古典「Plastic Love」と共に2018年のYouTube上でブームを巻き起こした。

 竹内まりやの歌はこのジャンルに新しい世代を呼び込み、より上の世代の音楽ファンには1980年代のお気に入りを追体験する二度目のチャンスを与えている。Perfumeは、今現在のシティ・ポップの新たな需要に対して(おそらく)寄り添う形で続いていくのだろう。

Perfume Prfm Perfume_um FuturePop Coachella SCMP

Japanese Girl Group Perfume Share Their Cherished Scent Memories and Skin-Care Routines

allure 2019年6月7日掲載

執筆: DEVON ABELMAN

訳出元: https://www.allure.com/story/perfume-j-pop-beauty-interview-skin-care-routines?utm_brand=allure&utm_social-type=owned&mbid=social_twitter&utm_source=twitter&utm_medium=social


 未来を先取りしたような80年代の映画では、2019年には空飛ぶ車やロボット服、信じられないほどリアルなホログラムが存在すると予測していたが*- Perfumeがライブを行うたびに、それは現実になる。彼女たちのエレクトロ・ポップな楽曲、ハイテク・セット、発光する衣装、アンドロイドのような振り付けが、未来的なファンタジーを呼び寄せるから。2019年のコーチェラ・フェスティバルも例外ではなかった。遡って4月、Perfumeは初の日本人女性グループとして、コーチェラ・フェスでパフォーマンスを行った。

*(訳注:『バック・トゥ・ザ・フューチャー pert II』この作品での未来は正確には2015年)

 グループはアメリカでその歴史の歩みを刻み始めたが、Perfumeが音楽の世界に足を踏み入れたのは2000年代初頭のこと。あ~ちゃん、のっち、かしゆかの三人は高校生時代に広島でグループを結成し*2007年にブレイク。わたしが女性グループに期待し、精神的な体験を高める要素でもあるふたつのこと - 象徴的なルックスとコンサートを、およそ20年に渡って届け続けている。

*(訳注:原文の通り・実際はアクターズスクール広島での小学生時代)

 ワールドツアーでのニューヨーク訪問時、わたしはPerfumeのメンバーと美容についての全てと、それに限らず、ええ、香水(perfume)についても語り合いましたとも。

 正直なところ、これがビデオインタビューだったならと想う。なぜなら、あ~ちゃんがいちばん印象的だった香りについての思い出の再現と、夢の美容ハイテク機器でわたしを大爆笑させたから。残念だけど、わたしは自分の言葉でこのふたつの事と、グループと過ごした時間について説明しましょう。

Perfumeの象徴的なすがた

 Perfumeに初めて接したとしたら、メンバーを特徴づける一つの側面は、個々にはっきりと異なる美学を漂わせていること。2007年からずっと、彼女たちはある決まったヘアスタイルで通している。わたしは最近、2011年の写真を見て、誓ってそれが今年撮影されたものだ、と言えるほどだった。これは彼女たち三人がその姿をずっと厳守している、ということ。

 のっちはいつでも、顎ほどに揃えたボブカット。「ある時期はロングヘアだったこともあるんですけど」彼女は思い出しながら「でも三人が並んだ写真を見たときに、ちょっと重すぎるかな、って。それで短くすることを選んだんです」結果を気に入った彼女は、それ以来、ショートカットで通している。ボブカットを短く滑らかに保つために、三週間ごとにカットしているとか。その頻繁さにわたしがびっくりすると、それって多すぎます?と彼女は尋ねる。

 わたしの髪の長さも同じくらい、だけど怠け者だから二ヶ月かそこらごとに美容室に行くだけ、と答えると「わたしも少し似てるかもです」と彼女は認めた。

 かしゆかの場合「わたしは超ロングでストレートでぱっつん、なんです」彼女が説明する。ロング、の意味は腰まで長い、ということ。実際に会ってみれば、想像した通りに素敵だ。驚くことに、かしゆかが言うにはシャンプーの量は普通の人と変わらないとか。いずれにせよ彼女は普通の人より、もうひと押しヘアトリートメントが必要だとは思っている。髪を乾かすのには30分、夜には傷みから守るために低めに結わえてまとめている。そのぱっつんを保つのも、かなりのお手入れが必要。彼女は2週間に一度、切り揃えている。

 あ~ちゃんは他のメンバーとは異なり、その髪の毛に雰囲気を加えている。「小学校の頃から、パーマをあててるんです」全部自費でトリートメントしてたんです、とも付け加えて。「最近、ヘアスタイリストさんがストレートにしてくださいって言ってて。(結局)彼がそれをカールするんですけど」あなたはほとんどの場合、ポニーテール姿のあ~ちゃんを目にすることになるでしょう。そしてご想像の通り、それは頭痛の元にもなる。「もしスターだったらアタマ痛い~とも言えないし」彼女は冗談めかして言う。

 三人とも異なるヘアスタイルだが、一つだけ共通する点がある。「今まで一度も髪を染めたことがないんですよね」と、あ~ちゃん。

Perfumeのテクノロジーへのこだわり

 彼女たちのショーはテクノロジーによって支えられていて、それは尊敬に値するのだけど、完全には理解できないのもまた確かで、わたしは美容の習慣にテクノロジーをどうやって応用しているのか尋ねるのにかなり興奮した。

 Perfume御用達のメカって?それはハイテク頭皮マッサージ機。のっちのオススメはシャンプーするときに使う300$のReFa Grace Head Spa。「ほかの二人が使ってるのを真似したんです」彼女は言い、「これって4つの小さいブラシが付いてて、全部別々の方向に動くんですよ。ちょうど誰かにマッサージしてもらってるみたいな感じです」

 もう一つのPerfumeお気に入りの美容ツールは、顔のハリを保つフェイス用電動ブラシ、とあ~ちゃん。彼女はかしゆかとのっちより前にこれを購入していて「お高いですけど、その価値ありです」とのこと。

 もし自分で新しい美容テクノロジーを開発できるとしたら、かしゆかは寝室のドアの上にバーを取り付けたいそうで、そこを通り抜けるときに全身に日焼け止めをスプレーしてくれるようなもの。それにあ~ちゃんが少しだけ手直しを加えた。彼女はかしゆかのSPF(日焼け止め)バーの下手に立つと、どうやるか再現してみせる。「もし(バーの下を)ただ通り抜けるだけだったら、全身には均等に振りかからんから」あ~ちゃんは説明し「フレームにしたら全方向から日焼け止めがスプレーされるじゃろ」わたしも混ぜてもらえます?

Perfumeの香りの思い出

 もちろん、どんな香りが思い出を呼び起こすのか、Perfumeに尋ねることもした。それはありきたりな質問だったかも知れないけれど、英語のインタビューでこれまで答えたことはなかった、と聞いて驚かされた。

 たちまち、あ~ちゃんはGucci Guiltyを思い出す。高校生の頃のマネージャーが、バイクに乗っているときにその特徴的なオードトワレを常に振りかけていたという。仕事のあと「Gucciの香りだけを背後に残して彼がバイクで走り去るんですけど」あ~ちゃんは思い出しながら、パチョリとピンクペッパー*の目も眩むような雲を背後に残し、夕焼けに向かって走り去る、かつてのマネージャーの姿を再現してみせる。「あ、マネージャーおったんだって残り香で分かるんですよ」

*(訳注:いずれもGucci Guiltyに含まれる特徴的な香りの要素)

 新築の家やビルの匂いは、のっちが15歳の時に、完成したばかりの東京ドームへ初めて行った頃を思い起こさせるという。香りについての特別な思い出はないんです、とかしゆかは明かしてくれた。それでも、金木犀の微かなカオリが彼女は好きだという。

 Perfumeは最近、完璧な名前のハンドクリーム、その名も「Perfume of Perfume」をリリースしていて、そのレモングラスのスパイシーな香りは彼女たちにとって、とても意味を持つ。「この香りってまさに私たちがライブの前に付けるオイルそのもので、自信が出るんですよ」小さなホワイトとブラックのチューブをつまんであ~ちゃんが説明する。「使う人やファンのみんなの日常で、背中をちょっと押してあげたいんです」

Perfumeのスキンケア・ルーチン

 Perfumeがこれまで ーお互いですらー 話題にしていなかったもう一つのトピックは、正確なスキンケアの手順。メンバーそれぞれが、時間帯によって6から7ぐらいの手順で日々ケアしているのだそう。うちらって、オーガニック製品探しがちで。とあ~ちゃん。あ~ちゃんの素晴らしい肌の状態を見たほかのメンバーも影響され、彼女たちの専属メイクさんが約束させたこともあって、全員がオーガニック派になったという。あ~ちゃんはアメリカこそ自然派スキンケアの先端でしょう、とわたしを驚かせた。「みんなアメリカ製だし」あ~ちゃんが付け加えて「まるでオーガニックの楽園みたい」

 あ~ちゃんの手順は、アイメイクをリムーバーで落とすところから始まる。「(スキン)ソフトナーを使ってから」続いてダブルクレンジングに移り、そこから三分間。わたしはなぜ彼女が普通はエッセンスにも似ているソフトナーを洗い流してしまうのか分からなかったけれど、あ~ちゃんは優しく仕上げるものを使っているのだろうと思う。前述のソフトナーを洗い落とすと、セラミドかもしくはビタミンC入りの美容液(セラム)をぱたぱた(もし毎週のように使っているのならセラミド・ワンかも知れない)。続いてトナーと乳液。「気分が乗っていたら、マスクもします」あ~ちゃんが付け加える。

 かしゆかも同じくアイメイクから落とし始めるが、彼女の場合は一回だけ、普通はジェルクレンザーで洗顔するという。それからトナーをはたく。夜だったらオイルとクリームを重ねつける。朝ならオイルは省略して、すぐにクリームだけ。「シンプルですよね」彼女は最後に付け加えて「サン・ケア・ローションって呼ばれてるんですけど」わたしが今まで聞いたことがなかった日本の美容製品を教えてくれた。「日焼け止めとは違うんですけど、メイク下地に使うと紫外線から肌を守ってくれるんですよ。外出するときは使いますね」あー、ちょっと調べるからごめんなさいね。

 最後に、とはいえ、他と劣らず大事なのっちのスキンケアの手順はこう:アイメイクリムーバー、オイルクレンジング、それからトナー。そして彼女はある美容液(セラム)に絶対的な信頼を置いているのだとか。「この美容液は肌の水分と脂のバランスを整えてくれるんです」とのっち。次に、髪を乾かしているあいだにフェイスマスク。それを終えたら、オイルを肌に乗せる ー「とにかくたくさんのオイルだから」のっちが強調する。最後に、クリームをのせておしまい。

 彼女たちが語ってくれた全ての手順は、ちょうどわたしが日本にいるあいだに発見したJ-ビューティに関係することだった:肌は丁寧に扱われるべきものなのだ。Perfumeにとって「ケア」とは、可能な限り肌を保湿して、過度の角質除去や刺激性の成分を避け、肌色を全力で太陽から守ること。Perfumeと費やした時間は、わたしにもう一つのJ-ビューティについて教えてくれた:その鍵はスキンケアとヘア・テクノロジーに投資すること。それがちょうどあなたが10年経っても同じように見える助けになるかも。

Perfume Prfm Prfm_um allure

BEHIND THE SCENES WITH PERFUME, JAPAN’S MOST FUTURISTIC POP GROUP

The Verge 3月29日掲載

執筆  Sam Byford

訳出元: https://www.theverge.com/2019/3/29/18286681/perfume-future-pop-tour-tech-rhizomatiks

 Perfumeは日本においてもっとも知られ、また最高の売り上げを誇るアーティストの一つとして、そのスタイリッシュかつ未来的なイメージに支えられた独特のエレクトロポップサウンドとともに長年君臨してきた。しかし三人の音楽的表現はその方程式の一部に過ぎない。Perfumeのライブショーはテクノロジーと振り付けとの鮮やかな衝突に彩られ、アリーナの広大な空間をSF的な異世界へと変貌させるのだ。

 Perfumeの『FUTURE POP』ワールドツアーは、明日のニューヨーク・ハマーシュタインボールルームでのライブを皮切りに北米に上陸する。筆者は昨年12月、横浜での公演を鑑賞し、彼女たちと会っているが -  それもひとえにPerfumeにおけるテクノロジーとポップカルチャーの融合の背後には何があるのか - そのライブ制作の立役者は誰なのかを探るためでもある。

 Perfumeは広島のタレントスクールで今世紀の変わり目に結成されたが、人気が急上昇したのは2008年リリースのアルバム『GAME』からで、これは近年のJ-POPの歴史上、もっとも影響力のある作品の一つであることが証明されている。プロデューサーの中田ヤスタカは、自身のユニットCapsuleでの「渋谷系」に影響を受けたエレクトロニカをもとに、革新的なテクノポップがぎっしりと詰まったコレクションを創り上げた。Perfumeは国際的なEDMの盛り上がりとともに注目を集めはじめ、その未来的イメージは中田ヤスタカのエレクトロニックな楽曲群に自然と寄り添うようになった。「私たちが若かったころ、歌うときはディーヴァ(歌姫)みたいに、って教わったんです」あ~ちゃん(西脇綾香)は言うと「でも中田さんと初めて出会って、エレクトロニックな音楽を始めたとき、ロボットっぽいイメージと繋がってて。それが他のもろもろを引き寄せたというか」のっち(大本彩乃)が付け加える。

 「ポリリズム」のような初期シングル曲のミニマリズムなMVが印象を決定づけ、より注目を集めるPanasonicやNHK、NTT Docomoのような企業とのコラボレーションがそれに続いた。「私たちはいつもファンとの絆を感じているんですけど、テクノロジーを使うことによって実際にはそれがもっと近づくんです」かしゆか(樫野有香)が答え「例えばTwitterの(ファンからの)ツイートを3Dモデルの一部としてライブ中に見せるとか - テクノロジーを通してファンがライブを体感できるんです」あ~ちゃんが続け「テクノロジーがPerfumeらしさ、というわけではないんですけど、それが存在する以上、Perfumeとしてはそれを最大限に生かしたいかな」

 確かにその通り - Perfumeのライブはおよそあなたが今まで観たことがないようなものだ。進化したモーションキャプチャーによって実現するビジュアル、複雑な透過スクリーンの配置、それぞれの曲が独自の振り付けで音楽それ自体を引き立てるアグレッシブで驚くような美学を持っている。

 この先端的なライブ演出は、真鍋大度らによって2006年に創立された実験的アート集団・ライゾマティクスに依るところが大きく、彼らは「1mm」などのMVも監修している。筆者は真鍋氏と東京のスタジオで1時間ほどインタビューし、その内容の大半は彼のMacBook Proから様々な度胆を抜くような進行中のプロジェクトを披露してもらうことだった。ライゾマティクスは非常に多くのプロジェクトを同時に進行しており、真鍋氏は300年後の未来から来た東京の地下鉄路線図のようにも見えるフローチャートで、各プロジェクトがどのテクノロジーを互いに共有しているのか追跡しなければならないほどだ。

 ライゾマティクスはまた、Perfumeの演出振付家でダンスカンパニー・イレブンプレイを主宰する水野幹子氏(MIKIKO先生)とも密接な関係にある。「まず最初に何かとても実験的なプロジェクトをイレブンプレイで行って、それがうまくいったならPerfumeに応用する感じですかね」真鍋氏が答える。「ちょうどR&Dをイレブンプレイで行なって、その大規模な応用をPerfumeで実現するみたいに。とても大勢の観客がいるPerfumeのライブでは絶対に失敗できないので、最初にテストを大量に行うんです」

 ライゾマティクスの技術の多くは独自のものだ。2014年末の『NHK紅白歌合戦』の放送を例にとると、彼らはPerfume「Cling Cling」のパフォーマンスのために、9つの瞬く灯としてメンバーの周りを飛び交うドローンを開発しなければならなかった。

 「どこの誰も安全なドローンを売っていなかったんですよ!」真鍋氏は説明する。「僕らが心配したのは、一般的なドローンではケガの原因になることでした。もし誰かが僕らのドローンにぶつかったとしても、それ自体は壊れますが、誰もケガはしません。(その意図に合うように)充分に軽くするためにはバッテリーは3分しか持たなかったから(当時は)市販できるようなものは無かったんです - でもライブにはいい選択でしたね。大勢の人々が市販のドローンを採用したパフォーマンスでケガをしていましたから」

 いずれにせよ『FUTURE POP』ツアーでライゾマティクスは、その演出の一部に初めて市販品のガジェットを採用した。「Tiny Baby」では、マイクスタンドに設置されたiPhone Xが、三人のメンバーそれぞれのパフォーマンスをステージ背後の巨大なスクリーンに映し出し、iPhoneのTrueDepthカメラ *1を用いることで、彼女たちの口から言葉が飛び出すような様々な演出が加えられた。

 この演出のためのソフトウェアは、2名のライゾマティクスのエンジニアによって開発された。「僕が思うに、iPhoneは今の時点でもっとも安定した顔面認識技術です」真鍋氏は続けて「扱うのが楽だし、API *2はかなり洗練されてますね。(ライブでは)とても多くの照明も同時にコントロールするので(照度がダイナミックに変化するような環境では)一般的なRGBカメラではこれほどの堅牢さは出せないかもです」

(訳注1:複数の技術によって構成されるiPhone独自の被写体認識カメラのこと)

(訳注2:あるプログラムや機能を他のプログラムや機能で使用する際の定まった手順のこと)

 これは驚くことだが、Perfumeのメンバーは実際には彼女たちのパフォーマンスで起こっている全貌を知らないのだという。「私たち、まだ誰も演出と一体になった状態を見ていないので、こんな風でって説明できないんですよね」これは筆者がメンバーに「もしFUTURE POPツアーから特に好きな曲を選ぶとすれば?」と質問していた時に、のっちから出た言葉だ。「「Tiny Baby」も想像するしかないんですよね。自分自身では見られないから」かしゆかが引き継ぎ「でも口からこぼれてくる文字を表現した振り付けはとてもシンプルだし、それを観客が観るのもとても楽しいと思いますよ」

 Perfumeからすれば、もっとも困難な部分はステージに足を踏み入れる前にうまく整っているという。「大度さんがものすごく簡単にしてくれるので - 私たちは振り付けを完璧にこなせば、残りの部分を大度さんがコントロールしてくれる感じです」のっちが言う。「でもその演出を実現するには、3D映像を撮影するために振り付けをグリーンバックで何回も繰り返さないといけないから、そこが一番難しいところかな」

 FUTURE POPツアー中、Perfumeはコーチェラ・フェスでも二週に渡ってパフォーマンスを行うが、必然的にその演出もはるかに削られたものになるだろう。筆者が初めてPerfumeを観たのは2011年サマーソニック・フェスティバルの大阪会場だったが、それは想像通り、全く違う体験だった - 日中で、しかも少ない転換時間で可能なことは少ないのだ。

 「フェスでPerfumeを初めて知って、初めて観る機会になることがあるし、ステージの上には私たちだけですから - それってチャレンジですよね」かしゆかが答える。「テクノロジーと生身の演出が合わさると、より私たちの理想に近い形で音楽や振り付けを伝えることが出来るんです。テクノロジーはそれを手助けしてくれるんですね」

 「フェスだとただ自分たちが何者なのかをみんなに伝えるために、よりアグレッシブになりますね」(「フェスだと爪痕残すために無茶もしよるんですけど」)とあ~ちゃん。「だけど(FUTURE POPツアーのような)ライブではみんなが最後までショーを楽しめるようにする責任がありますから。片やリラックス、片やプレッシャーという感じで。でもそのプレッシャーに打ち勝った後にはすごい達成感があるから、ライブはやめられないんです」

その名声と未来的イメージにも関わらず、Perfume自身が公の場所に現れるのは日本の有名人に比べても控えめで、それはSNSを個人ごとに使っていないことにも表れている。「事務所の方針なんです」初めて手に入れたスマートフォンはiPhone SEだったと語るのっちが笑いながら「私たちが最初にやるべきなのかも知れないですけど、出来なくて。それはプライベートの安全のためでもあるので。オフィシャルアカウントでアルバムを告知したりするのは好きなんですけど、自分たち自身のことは違いますね」

彼女たちはTikTokアカウントを開設し、全員iPhone XSに機種変更したことも伝えておかなければならないだろう。付け加えるなら、かしゆかはiPhone 3Gからスタートしたのだが、それは日本では最初期のユーザーであることを示す。「わたし、なんでも乗り遅れるほうで「え、今このスマホわたしの顔が分かった?!」って驚くぐらい」のっちが語り「でも挑戦していこうかと。時代は動いてるし」

アルバムとしての『Future Pop』は、中田ヤスタカの初期作品に比べ、音響的に画期的というものではないが、それは世界的なEDMとエレクトロポップの趨勢に合わせれば避けられないことだろう。しかしメンバーの理解は、中田ヤスタカの狙いは「Perfumeそのものの反復」

だという。「中田さんがタイトルを思いついて、自分自身のアイディアを持っていたんだと思うんですけど」かしゆかが言いながら「Perfumeの楽曲制作を始めたころ、みんなが「これはFuture Popだね」って言ったんですけど、当時の中田さんはその通りだとは思わなかったらしいんです。でも制作を重ねて、Perfumeの全てを今振り返ってみると、まさにその通りになっているって。その最終的な結果がこのアルバムなんです」

では明白な質問はどうだろう - Perfumeにとって、Future Popの後の未来とは?「それは中田さんだけが知ってます!」と、あ~ちゃん。「わたしたち中田さんを信じてますから、中田さんが導くところへ着いて行きますよ」のっちが同意する。

そのあいだにも真鍋氏はライブパフォーマンスに使用できる新たなテクノロジーを常に考えているのだが - なかでも彼が特に興味を持っているのはfMRI *1(磁気共鳴機能画像法)脳スキャンによって映像を生成する手法で、それはおそらくライブ会場よりも自宅などの環境のほうが向いているだろうと認めてもいる。

 (訳注1:磁気による脳活動の観測手法のうち、血流の状態を付加したもの)

より直近では、5Gネットワークの実現がライゾマティクスを沸かすだろう。「5Gの持つ、観客のスマートフォンからステージへ映像を送信する機能が楽しみなんです」真鍋氏が説明し「以前僕らは旧国立競技場で行われた『SAYONARA国立』と呼ばれるイベントで、観客が撮影した写真をサーバーに送ってもらって、それを使用した3Dモデルを作り上げたんです。でもリアルタイムではなかったんです - Wi-Fi経由だったし、とても時間がかかった。もし5Gがあったら、カメラからリアルタイムにサーバーへ送信して、3Dモデルも瞬時に作れたでしょうね」

これらが今現在ライゾマティクスがすでに取り組んでいるものだ。彼はその概念を実演するビデオを観せてくれたが、ケーブルでつながれた数台のスマートフォンでのみ実現可能だった。真鍋氏は、Wi-Fi経由での圧縮されたビデオ送信は少数のデバイス間では可能だろうが、観客で一杯のアリーナに展開するには5Gなしでは無理だろうと述べた。

インタビューに先立つこと数日、筆者は真鍋氏のインスタグラムに投稿されたAppleのSVPフィル・シラー氏との写真に気付いていたので、そこでは何が語られたのか尋ねてみた。「ARに関する雑談をほんの少し」と真鍋氏。「5Gが実現したらAR技術は大きく変化する、そんな未来についてです」

iPhone Xを使った「Tiny Baby」のことをAppleは知っているんですか?「ええ、彼にも観せました。気に入っていましたよ」

Perfume Prfm Prfm_um FuturePop Rhizomatiks TheVerge

A conversation with Perfume, Japan’s most futuristic pop band

DAZED 2019年1月15日掲載

 Claire Marie Healy 執筆

訳出元: https://www.dazeddigital.com/music/article/42903/1/perfume-j-pop-band-future-pop-interview


我々はコーチェラ出演を含む北米ツアーを控えた、偉大なガールズグループのパイオニアを日本の片田舎に訪ねた。

 日本の静岡県掛川、それは地味な場所だ。そこへ行くには新幹線に乗って東京から1時間半、だいたい雲に覆われている富士山を過ぎたあたり、大雑把に言ってロンドンからシェフィールドぐらいの距離にある。小さな町はごく控えめに南の海岸沿いにあり、おもな名所は、空から町なかに投げ落とされたように見える15世紀の城。私が訪ねたのは10月で、過去に取り残されたようなガソリンスタンドとセブンイレブン、ビジネスホテルから連れ立っていくウェディングパーティの一団など、この眠そうな、10代の強迫観念を育むには完璧な条件を備えた町が、私の心を打った。偉大なテクノポップアーティスト、Perfumeのファンにとってはとりわけそうだったろう。15年以上に渡って日本の偉大なガールズバンドとして君臨する彼女たちは、ソールドアウトとなったスタジアムライブを掛川の同じ夕方に投げ落としたのだ。

スタジアム外の雰囲気は、サッカーの試合の興奮とバチカンにおける静けさの間のどこか。わずかな、しかしはっきりそれと分かるファンの熱気が、アリーナを取り囲んでいる。そこかしこでファンによる即興のダンスコピーなどが行われ、さながらメインコースの前のおつまみのようでもあり、中年も10代も同じくテントの周りでガヤガヤと、CDやグッズを買い求めている(Perfumeの広報で、通訳も兼任するアヤがあとから説明してくれたことによれば、ファン層は多様で、年配の男性は彼女たちのアイドル時代を思い出し、新しいZ世代(2000年代生まれ)のファンにとって彼女たちは強く、フェミニスト代表として映っているのだという)。P.T.A.会員しか -それは言い換えるとPerfumeオフィシャルファンクラブのことで、PTA(保護者会)ではないのだが-購入できないTシャツの存在が、よりカルトっぽさを盛り上げる。コンクリートのエントランスホールに入ると、凝りに凝った花飾りが辺りを盛り上げていて、まあ普段なら葬式でしか見かけない種類のものだが、実際のところは、他のJ-Popバンドから送られ、今夜のライブでの無事を祈るものなのだとか。ここではアルコールは売っていない。ライブの純粋な興奮があるだけだ。

Perfumeは依然影響力を保ち続ける孤高の存在だ。その未来的なサウンドにふさわしく、世紀の変わり目に結成された彼女たちだったが、本当の意味でメジャーに登り詰めたのは、日本の新しく文化的に開かれた世代が自身を十分に投影できる、刺激的でエレクトリックなそのビジョンが好まれ、2000年代の「10代のアイドル」期を過去のものにしてからだ。ライブが始まり、光を伴った超高速の年表とともにバンドの歴史が紐解かれ、2000年代から現在までと、さらに光速で未来へと歳月が流れていく(ある程度は「Future Pop」MV冒頭でも窺い知ることができる)。我々はライブ終演後にメンバーと会見したのだが、その感情のほとばしりは止めようがないようだった。彼女たちはビルボードのグローバルチャートTOP100では初登場4位につけた(K-POPの巨獣BTSと『クレイジー・リッチ!』サウンドトラックに続く唯一の(アジア系))、7枚目のアルバム『Future Pop』を提げたワールドツアーの中盤だ。しかし現在のPerfumeは、超キャッチーで耳から離れない「Let Me Know」のMVが示唆するように、テクノで未来的な美学より、内省的なモードに入っているようだ。ここでは、あ~ちゃん、かしゆか、のっちがスタジオジブリ作品そっくりの幽霊バスに乗って旅する様(さま)を、幼少期の自身たちが物深げに見守るのだ。

実際に対面してみたPerfumeの3人は用心深く、しかし優しげで、楽屋で好みに合わせて用意されたフレッシュなデザートに囲まれながら、甘そうなドリンクをストローで飲んでいた。2時間超もの間、激しくハイヒールで踊っていたとは見えないほど、本人たちもフレッシュだ。あ~ちゃんは明らかにグループを代表する人物で最もよく喋り、のっちはクールで孤高、グッズのTシャツを「ママの太デニム」に合わせている。かしゆかは注意深く、最も大人っぽい雰囲気だ。彼女たちはお互い気負わないように見え、インタビュー終了後も、独特の話題で雑談に応じてくれた。私のリキッドアイライナーがどこ製なのか、とか(Rimmel)ローラ・アシュレイはまだイギリスで人気なのか、とか。K-Popのような、また日本で大量に製作される人工的なJ-Popの背後には、そこに多くの製作者が関わっている。アルバム『Future Pop』の場合は、長年バンドと歩み、メガ・プロデューサーでもある中田ヤスタカが考案者だ。しかしアンドロイドのようなビジュアル、つまりPerfumeの背後にいる彼女たち自身は今年30歳を迎え、欧米の観客が彼女たちをより良く知るためにちょうど間に合うタイミングで、自らを少しづつ明かし始めた。

2019年、特筆すべきテクノポップサウンドを持つPerfumeのようなバンドは、世界的に新たなファンを獲得する試みを続けている。英国や米国におけるデジタル漬けの視聴者は、こういった未来的趣向のライブを、インディ500レースを観るような感動的な距離で観覧できるチャンスを待ち望んでいるだろう。これを執筆中の1月、Perfumeはコーチェラ・フェスティバルへの出演を発表した。アリアナ・グランデ、khalid、Bad Bunnyと同日だ。目を見張れアリアナよ。ひとたびPerfumeが登場すれば、そこが眠りに落ちた掛川だろうと、カリフォルニアの砂漠に広がるポロ競技場だろうと、そのライブは2039年のスーパーボウルの日曜になる。

ライブ中、今まで見たこともないようなテクノロジーには完全に度肝を抜かれました。このツアーで、あなたたちが最も興奮したテクノロジー要素は何なのか興味があるんですが。

あ~ちゃん「一番はスクリーンにシルエットが映る「FUSION」かな。この技術をどう呼んでいいのか、よう分からんのんですけど(笑)でも基本的にはスクリーンに映った巨大なシルエットが、私たちのダンスの動きと連動するんです」

今日(こんにち)のテクノロジーのまわりにはデータの保護や機械学習など、それ自体に関する恐怖がありますよね。『Future Pop』にはある意味、もう一度テクノロジーと親しもうという考えがあると思いますか?

「ある意味では、そう!みんなはPerfumeを通してテクノロジーを体験しようとしているように思えますね。同じような例だと、新しく始まる5G通信は世界中の人たちと繋がって、みんなが同時に体験を共有できるんです。(私にとっては)本当に未来の話ですけど、それが「Future Pop」のMVのテーマでもありますね。みんなはPerfumeをポップの未来のように見てくれていますけど、観てもらったライブのように、そこにはテクノロジー主体の面と、「天空」っていう曲の「まだボクは小さいかもしれないけど、いつか大きな羽で高く飛び立ちたい」っていう歌詞みたいに、人間っぽい温かさが同時に存在するんです」

当然ですけど、とても長い間あなたたちはパフォーマンスを重ねてきて、今まで何回のライブをこなしてきたのか私には想像すらできないんですけど、ステージに立つ前に神経質になりすぎないよう、努めていることはありますか?

かしゆか「もしお互いに緊張する~って言い合うと余計に緊張しちゃいます!だからライブ直前まで、はしゃいで、緊張感を忘れるようにしてますね」

Perfume未経験者が最初に聴くべき曲はなんだと思いますか?その世界観に飛び込むにはどんな道が最良でしょう?

のっち「むっずかしい質問!(笑)これは『Future Pop』には入ってないんですけど、「Spending All My Time」かな。MVの中では、私たちはすごく退屈な部屋に閉じ込められてて、無表情なんですけど…それがみんなが最初にイメージするPerfumeにぴったり合ってると思うので。それがいい出発点かなあ」

でもそれが別の何かへと発展すると思いますか?それって一種非人間的で、あまり個性を他人に明かさないことだと思うんですけど ー 今ならもっと自分自身のことを明らかにできると感じているとか?

あ~ちゃん「アンドロイドっぽさは今でも私たちの一部ですけど、ライブを観てもらって分かるように、少しだけ人間っぽさもあるんです。何年もかけて私たちの色んな面を見てもらって、期待をますます高めていって、その期待に応えて私たち自身、もっともっと、って。そうやって成長し続けているんです」

憧れの人はいますか?

全員「MIKIKO先生!」

のっち「MIKIKO先生は(私たちの)最初のダンスの先生なんですけど、それ以来18年間ずっと一緒で ー 最初に会った日みたいに、まだ憧れてますね。先生の夢が私たちの夢でもあるんです!でも先生はめちゃくちゃ落ち着いてて、ホントに本当にかわいい人なんです」

10,000円札の肖像にふさわしい人物は誰だと思いますか?

かしゆか「ベネディクト・カンバーバッチとか?(笑)」

いやいや、日本の人で!

かしゆか「神木隆之介くんかな。すごくハンサムで若い役者さんなんです。おんなじ所属事務所だし。すごく小さな頃から知ってますけど、20代になっても、まあ天使ですね」

ファンからのプレゼントで一番奇妙だったのは?

あ~ちゃん「結婚指輪!15歳のころ、ラブレターと一緒に。「あ~ちゃん、ボクはキミと恋に落ちてしまったんだ。これをプレゼントするよ。それと、ライブにはもう行かないから」って。彼はアーティストとしての私ではなくて、女としての私と恋に落ちてしまったんですね。自分だけのものにしたくて、ステージに上がって欲しくないって(笑)」

それって怖くないですか?…好きな日本映画は?

あ~ちゃん「『千と千尋の神隠し』」

のっち「『ハウルの動く城』」

スタジオジブリ(が日本にあること)を思い出しますね、ホントに。みんなが自分について知っているほど、かえって驚くようなことはありますか?例えば変な習慣とか。

のっち「私の髪の毛がスプレーでいつもカッチカチなのはあんまりみんな知らないと思う!ホントに本当~に固いから。そうしないと内側の髪の毛がまつげに引っかかっちゃう。どんだけ固いか、今日のライブまであんまり実感が湧かなかったけど(笑)」

ステージ上では本当に動いてなかったですから、ヤバいですよね。睡眠を除くと、ツアーのオフ中には何をして過ごしますか?

あ~ちゃん「今はみんなで集まってボードゲームみたいなもので遊びます。あとは脱出ゲームに行くのも好きかな。英語で遊べる脱出ルームもいくつかあるんですよ。なんで好きかというと、いつでもお互いにこれでもかっていうぐらいお互いを良く知ってるから、それにとても感動的だし!謎解きをする時も、まるで奇跡が起こるような…お互いに会話しなくても理解しあえるんです」

つまり得意だから余計に好き、ということですよね?

あ~ちゃん「(笑)違うジャンルでも違う方法でちゃんとこなせますよ ー それってチームワークの賜物ですね」

Perfumeは3月と4月に北米において、FUTURE POPワールドツアーを行う。

Perfume Prfm Prfm_um FuturePop Dazed

Perfume Is the Global Future of J-Pop

Paper Magazine 2019年1月14日掲載

Erica Russell 執筆

訳出元: http://www.papermag.com/perfume-j-pop-2625743387.html

 それは暖かな10月の夜、わたしは東京都心部から新幹線で1時間半ほどの、比較的閑静な沿岸に位置する都市・静岡にある屋内スポーツスタジアムのプレスボックスで、暗闇のなか座っていた。満員のアリーナとスタンドが眼下に広がり、20代のおしゃれな若い女の子たち、パリッとしたスーツとアーティストグッズを身に付けた40過ぎのサラリーマンなどが、おとなしくスマートフォンをしまい込み -このコンサートの決まりごとのようだ- めいめいにうちわやお手製のポスターを掲げている。わたしを含めた観衆は、日本で最も有名なアーティストグループの一つがステージ上に登場するのを忍耐強く待っている。時おり、会場の片隅から誰からともなく掛け声が響く。「のっちー!」女性が絶叫し、その背後から男性が「あ~ちゃーん!」と叫ぶ。「かしゆかー!」別の声が鳴り響く。この痺れるような開演前のコール&レスポンスは、我々が今からここで観ることになる女性グループの一人一人にファンから向けられたもの。:Perfumeである。

数分が経ち、場内が暗転すると、レーザーがネオンの流れ星のように縦横にスタジアムを切り刻む。音楽がスピーカー・アレイから弾け出す -まるでエイリアンの宇宙船が屋上に着陸しようとしているかのように聴こえる、未来的なビートのモンスターが- そしてステージ背後の巨大なLEDスクリーンには、踊る3人のシルエットが投影され、パネルが一枚ずつステージ上で開いてゆくと、あ~ちゃん、のっち、かしゆかがアリーナの下から迫り上がり、金属製の高いリフターの上でアンドロイドのようなポーズをとる。爽快なEDMの花火とキラキラのダンスポップシングルからなる脈打つセットリスト、その最中(さなか)で彼女たちが魅せた革新的なビジュアル・パフォーマンスがわたしの度肝を抜いた。: 踊るホログラムとイメージ・マッピング!シンクロする影のプロジェクション!振り付けそのものが彼女たちの背後にある画面とシームレスに相互作用するなんて!レーザーについては言及したっけ?わたしは虜になってしまった。これってマジでポップの未来だ。

3月30日、グループは静岡とまるで異なる場所でライブを行う -具体的には6,812マイル離れた、マンハッタンのミッドタウン地区、ハマーシュタイン・ボールルームで。ニューヨークからその後のワールドツアーを開幕すると、春に向けて5つの都市(シカゴ、ダラス、シアトル、サンノゼ、そしてロサンゼルス)を巡り、そしてカリフォルニア州インディオで開催されるコーチェラ・フェスティバルに出演した初の女性J-Popグループとしての地位を確立するはずだ。待望されたこのフェス・セットは、欧米におけるJ-Popの転換点になるだけでなく、アジア圏においては既に現象になっているほどの高い評価を、国際的にグループにもたらすだろう。これはPerfumeにとっても大きな契機になるが、それ以上にアメリカの音楽産業におけるアジア系の顕在化をもたらすだろう:Perfumeと同年に出演予定のBLACKPINKは、韓国で最も急成長しているアーティストの一つだが、彼女たちもまた、このフェスで最初の女性K-Popグループとしてラインナップを飾る。

Perfumeのきらめく「フューチャー・ポップ」という称号- それは同時に昨年8月にリリースされた最新アルバムのタイトルでもあり- 表面的には前向きだが、核となる部分には、彼女たちが過去の負け犬時代に培った強烈な同志の絆が鼓動として息づき、それは間違いなく彼女たちの未来への勝利宣言だろう。2000年代初頭、広島のタレント養成スクールに通っていた西脇綾香(あ~ちゃん)樫野有香(かしゆか)大本彩乃(のっち)の3人が結成したグループは、2002年、ぱふゅ~むとしてカワイイ系で賑やかなシングル曲「OMAJINAI⭐︎ペロリ」でインディーズデビューを果たす。翌年、東京へと移ると、Capsuleのメンバーとしても著名な音楽プロデューサー、中田ヤスタカと出会った。続く数年、彼女たちはポスト渋谷系サウンド -渋谷系はキッチュなサブジャンルで、90年代後期、主に東京の渋谷界隈で人気を博したレトロ趣味なポップサウンドだ-を志向し、弾むようなビットサウンドに着想した「Sweet Donuts」「Monochrome Effect」などのシングルを発表、若く早耳なインディーズファンの一定の支持を集めるが、一連の音楽的イメージにそぐわず、不定期なリリースでは、商業的な成功を収めるには至らなかった。2008年に至るまでの数年間、インディーシーンの外へと一瞬の躍進を求めて奮闘を続けたのち、彼女たちのスタイルはより洗練され、エレクトロニックかつ紛れもない未来的なものに進化した。中田ヤスタカに導かれ、Pefumeを象徴するサウンドやスタイルを見つけ出した結果、商業的なブレイクを迎える。

ほぼ同じころ、グループは7枚目のシングル「ポリリズム」をリリース。この爆音にきらめくシンセポップが、日本のメジャー放送局NHKのキャンペーンソングとして採用されたおかげで、J-Pop地図の一隅にその名を記すこととなった。オリコンチャート(米国におけるビルボードチャートに相当)でトップ10入りを果たすこと数ヶ月ののち、デビュースタジオアルバム『GAME』を発表。これが彼女たちの最初のNo.1アルバムとなる。5枚のチャートトップアルバム、多くのワールドツアー、3つのファッションコレクション、そしてOK Goのミュージックビデオへのカメオ出演(もちろん、事実だ)などなど、輝くメロディアスなテクノポップ、スペーシーなAuto-Tuneやヴォコーダーへの傾倒よりも、このトリオにはるかに多くのことをもたらした。

Perfumeは過去10年間に渡り、そのきらびやかなビジュアルやハイテク演出(日本のビジュアル・アートとメディアのフルスタック集団ライゾマティクスが専属でプロデュースする)、シャープに仕上がったスタイル、実に印象的な振り付け(長年の指導者であるMIKIKOによる)を世界に知らしめてきた。今日(こんにち)の日本においては、Perfumeは現代のスーパースターであり、彼女たちの顔はトレンドの町・原宿のビルのいたるところに掲げられ、六本木の豪奢なデパートでは音楽が溢れだしている。ひょっとすると彼女たちの成功において最も重要だったのは、個性を重視したアイコン化だったかも知れない。それがメンバー交代を避けられない日本のアイドルグループからは一線を画す事になったのだろう。

謹んでご紹介しましょう。彼女たちがPetfumeです。:グループの実質上のリーダーであり、天真爛漫なあ~ちゃんは、その賑やかな性格にトレードマークのポニーテールがよく似合う。優雅なかしゆかはロングのストレートヘアで、日本の伝統工芸を愛している。そしてピリッと静かなのっちは、自然体なクールガールで、東京のどの美容室でもいい、フラッと立ち寄ったあなたが「のっちで」と言えばボブカット、というぐらい有名だ。わたしはソールドアウトとなったライブの終了後、楽屋で彼女たちと出会ったのだが、そのエネルギッシュさに驚いてしまった。ハイヒールで一糸乱れずノンストップで踊り続けた後だというのに。鑑賞したその振り付けの多くが、ごく最近になって習得したものばかりだということを知ったわたしは、畏敬の念を覚えた。

「最初にフューチャー・ベース(「Future Pop」のような)に取り組んだときは、どうやってテンポを合わせるかすら分からなくて。それはMIKIKO先生が振りを付けた後も同じだったんです。それまで踊ったどんなダンスとも違うリズムだったので」あ~ちゃんは通訳のアヤを通じてそう認めた。かしゆかが付け加えて「FUTURE POPツアーの振り付けがどうなるかほんとうに楽しみにしていたので。アルバムを受け取ったあと、MIKIKO先生がどんな振り付けを思いつくのか想像したんですよ」

わたしが気付いたのは「If You Wanna」でボーカルパートがお互いにステージ上で補完し合う様(さま)であったり、新曲「FUSION」で一種の完璧な状態を作ろうとする様(さま)だったのだが、かしゆかは驚いた様子で「私たちのダンスのシンクロがどうやってうまくいくのかご存知みたいですよね?それって興味深いです。(アクターズ)スクールに通っていた頃からなんですけど、一緒に歌おうとすればするほど、お互いの個性が発揮される感じだったので」

どんなに良い香水(”good perfume”)でも、多種多様な成分の化学反応に依存するものだが、このJ-Popグループは、その個々においても全体を超えるような素晴らしい香りを放つ。のっち、かしゆか、あ~ちゃんがトップノートとすれば、バックステージのスタッフやマネージャーはボトムノート、共にプロジェクトをまとめ上げ、ビートに精通し、20年に及ぶ広い賞賛を浴びるプロダクションの天才、プロデューサーの中田ヤスタカはPerfumeにおけるミドルノートに相当するだろう。

「私たち、基本的には中田さんの意思を汲み取ろうとするんです」のっちがビート職人との仕事の様子を語る。「とってもシンプルなデモ音源を(どんなアルバムを制作するときでも)まず頂くんですけど、ものすごくシンプルな感じの。私たちの歌を録音すると、中田さんが他の音と一緒に最終的な形にまとめ上げて完成させるんです。たぶん中田さんにとって歌声って、最終的に仕上がる音楽の要素の一つにすぎないんだと思いますよ。とにかく中田さんのファンなので、彼とはあえて良い距離を保つようにしていますね。その距離感が音楽をとても新鮮にするのかも」

高度に調和した楽曲、アートワーク、パフォーマンス、プロモーションなど、全てを含んだこの完璧な完成品が、国内はもとより海外でのPerfumeの存在感を確立した。海外ツアー当時、彼女たちは熱狂的な反応を熱心なファン、特にアメリカのファン達から率先して受け取っている。「海外のファンの皆さんは大声で自己主張しますよね」あ~ちゃんが教えてくれ「日本だと、一種のチームワーク的な礼儀正しさがあるというか。周りを見渡して、友達が楽しんでいるのか確かめて、誰にでも礼儀正しくしようとするんです。でも海外のファンの皆さんは、自分の「好き」を直接ステージにぶつけてくる感じ。あと、とっても正直ですよね。もしある曲を知らんかったら、ほんとうに知らんから。もし知ってたら一緒に歌ってくれるし」

もちろんテクノロジーも、この日本のポップグループが持つ底知れぬ神秘性に欠くことのできない役割を果たしている。ドローンからAIまで最先端のテクノロジーに手を染め(一度観たら)忘れられないような、パフォーマンスと呼応するオーディオビジュアル演出を発信しているのだ。(昨年)11月には、力強いステップとともに度肝を抜くような「FUSION」をパフォーマンスした。日本の先端企業(NTT)Docomoと組んだ「FUTURE EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ」では、あ~ちゃんは東京、のっちはニューヨーク、かしゆかはロンドン、3人が世界の異なる3都市で同時にダンスを踊り、全くの同時刻になめらかにつなぎ合わされたそのパフォーマンスが、サイバーテックなライブストリーム・ショーとなった。

3人にとってテクノロジーは個人的にも、毎日の生活にも深く浸透しているようで、それはオフのときでも変わらない。「スマホなしでは生きていけないですよ」笑いながらかしゆかが言う。「自分が何時に起きて、何時に寝たか把握してますから。この新しいアプリは先週スマホを何時間使ったか教えてくれるんですけど、私の場合だとSNSに24時間、ゲームアプリに22時間も使ってるんです」(彼女はARゲームアプリ『妖怪ウォッチランド』を見せてそう言った。同名のアニメが元になったゲームで、目下のお気に入りだ)

「技術によるディストピアの未来」の可能性を恐れ、うんざりしている人たちもいるいっぽうで、PerfumeはARナイトクラブ、自己増殖するクリーンな都市、VRショッピング、『宇宙家族ジェットソン』風の家電製品、便利な自動運転カーなど、希望に満ちたユートピアを「Future Pop」MVの中で表現している。アルバム『Future Pop』において、Perfumeは「TOKYO GIRL」「無限未来」のような紛れもない傑作で未来の理想と隠しようもない楽観主義を高らかに歌い上げているが、本人たちにとっての未来とは、果たして正確にはどんなものなのだろう?結局、彼女たちが想像する未来は、テクノロジーよりもはるかに人間的なものだった。

「メールやスカイプ、SNSを使って、みんなが実際に合わなくても、対面しなくてもコミュニケーションできるようになりましたよね。でもちょうど今みたいに、同じ場所で直接会話するのも時には重要なんじゃないかなって思います。あなたがはるばる静岡まで、私たちに会いに来てくれたみたいに!それってすごいことですから」のっちがそう伝えてくれた。

「世界はどんどん便利になっていって、私が思い描いていたものはぜんぶ現実になりましたけど、それでもオーガニックなものや人間性って、将来的にますます特別になると思うんです」かしゆかが続けて「例えばハイテクなセットもプログラムするのは人間だから。それに私はスタッフのみんなが後ろで支えてくれる、ハイテクじゃないパートも大好きなんです。今日だったら200~300人のスタッフさんがライブに参加してくれてるんですよ」

「誰でも自分の意見をはっきり言えて、個性に自信を持ちながらもお互いを気遣うことができれば、それって理想的ですよね。」あーちゃんが微笑み、うなずきながら答える。「年齢も性別も、肩書も関係ないような、それが私が望む世界かな」

Perfumeはほぼ20年に渡り、日本で最もエキサイティングで予想もつかない、洗練された音楽と映像を絶え間なく発信し続けてきたが、たった一つだけ変わらない真実がある。:それは、あ~ちゃん、のっち、かしゆかのシンクロしたその手の中に、未来がしっかりと握られているということ。

Perfume Prfm Prfm_um FuturePop PaperMagazine

perfume are still japan’s most experimental girl group

i-D 2019年1月11日掲載

Ilana Kaplan| 執筆

訳出元: https://i-d.vice.com/en_uk/article/59vxaz/perfume-future-pop-coachella


コーチェラでのパフォーマンスを控え、Perfumeがi-Dに語ったニューアルバム『Future Pop』と、未だにkawaiiを受け入れない理由について。

 ほぼ20年に渡って、Perfumeは日本で最も成功しているバンドの一つだ。2000年に結成されて以来、このJ-Popトリオは繰り返し変化を遂げてきたが、一貫して「スーパーカワイイ」というジャンルからは距離を置いてきた。それどころか、あ~ちゃん、かしゆか、のっちの3人は、よりハイテク演出のライブや先端領域へとそのスタイルを変化させた(彼女たちは自身のクロージングラインさえ持っている)。Perfumeは最新アルバム『Future Pop』(9月リリース)によって、J-POP ”女性グループ”であることの意味の限界を押し広げている。それはまるでGrimesやZedd、CHVRCHESたちが私生児を育んだようだ。

今やPerfumeはコーチェラに出演するまでになり、この3月から2年ぶりのワールドツアーを開始するが、それはテクノロジーと身体、観客とメンバーの関係性を特徴とするものになるだろう。ツアーを控えたPerfumeに、どのようにJ-Popの可能性を最先端の音楽と共に広げていくのか、また自身のファン層やライブにおけるテクノロジーの進歩についても語ってもらった。

PerfumeはどうやってJ-POPシーンを変化させたと思いますか?

かしゆか「私たち、みんながシンクロしたダンスの動きを楽しんでくれていると思います。シンクロしたダンスなんですけど、個性を見せることもできて、そこがパフォーマンスの面白いところですね。みんなはそこに注目してるんじゃないかな」

あ~ちゃん「大きなチームでしか表現できないダンスもありますけど、そこを私たちが3人だけでやり切るところ。限られた人数でも複雑なバリエーションや表現を見せられますから。みんなはPerfumeのダンスやパフォーマンスに可能性を見いだしてくれてるんじゃないかな」

全米に知名度が広がることが最終目標ですか?

かしゆか「確かにそれも一つあります。でもアメリカに限らず、世界中の人たちにJ-POPやPerfumeを知ってもらって、私たちのライブがどんなに楽しいかを知ってもらいたいですね」

アメリカでファン層を獲得する上での課題はなんでしたか?

のっち「(もともと)日本やJ-POPに興味を持っているアメリカの人たちが、文化を知る上で私たちにたどり着く方法はあるでしょうけど、必ずしもJ-POPファンではないメジャー音楽のファンの人たちに届けるのは難しいんじゃないかと思います。もっと努力しないと」

かしゆか「日本国内で公演しているライブのおかげで評価していただいているように見えるんですけど、大掛かりなステージをそのままの形で海外には持っていけないので。最新のテクノロジーやセットを丸ごと全部ワールドツアーに持ち込めない点は難しいところですね」

J-POPの「カワイイ」系からはなぜ距離を置くのでしょう?

のっち「たぶんアメリカだと、日本のアイドルグループはぜんぶカワイイと思われてるかも」

かしゆか「私たちは日本のいわゆるカワイイ系ではないし、今まで一度も自分たちがそれに合うと感じたこともなかったんですよね」

あ~ちゃん「なになに系とかジャンルに一度もぴったり合ったことがなくて、自分たちで一からジャンルを創れたからブレイクできたんです。続けられたから少し有名になれて、それでも続けることをやめなかった。そうしているうちに、ある時みんなが応援し始めてくれたんです。もちろんカワイイでもないし、ロックでもなかったんですけど。シンガーソングライターじゃないから自分たちの曲も書かないし。何かを変えようとか、どの方向に進もうとか狙ってはいなかったんですけど、結果として自分たちのジャンルが出来上がって、今ここにいるんです」

最新のリリースにはどうやってテクノロジーやファションを取り込んでいますか?

あ~ちゃん「このアルバムに取り込まれた新しいテクノロジーは「FUSION」がいい例かな。3人が離れて、それぞれ別々の3カ国から一緒にパフォーマンスしたんです。新しい5G通信技術を使った私たちのダンスのシンクロに対する挑戦でしたね。ファッションについてだと、その時の衣装も面白かったんですよ。ライブの配信中は私たち3人が切り取られて、一人みたいに編集されてたんですけど、右腕がわたし、左腕はかしゆか、のっちの体に右足、わたしの左足、って感じ。衣装も三色で、観た人がどれが誰の体の部分なのか分かるようになってたんです。衣装のデザインはモリモリで左右も非対称だったんですけど、おかげで編集された映像がより面白く仕上がりました。最新の技術を取り入れる時には技術の決定が先で衣装はあとだったんですけど、今は同時に取り組むことでパフォーマンスもより面白くなっていますね」

なぜエレクトロ・ポップへと踏み出す決断をしましたか?

のっち「プロデューサーと出会ってからですね。当時のマネージャーがPerfumeに合うプロデューサーを探していて、それで中田ヤスタカさんに会ったんです。彼の音楽はエレクト・ロポップだったんですけど、当時の私たちはテクノって呼んでて。そうしてこの方向性を目指したんです。最高の出会いでしたね」

他のJ-POPアーティストたちに対してどういった道を切り開いたと思いますか?

のっち「アイドルがロックフェスに出演できる道、かな」

あ~ちゃん「J-POPのアイドルは私たちがやったように、武道館を目指すようになったと思います。今でこそお決まりですけど、それまで誰もやってなかったから。当時のマネージャーはロックな人だったから、ミュージシャンはライブ活動が全てで、アーティストとしての価値はライブに何人のファンが来てくれるかに比例するって。私たちは若いアイドルのみんなに、そういう道を与えられたかな、と思います」

『Future Pop』の背後にあるテーマを教えてください。

 あ~ちゃん「アルバムには新曲もありますけど、聴いてもらえたらちょっとだけ懐かしく感じてもらえるかも。音もメロディも、アルバムの全てが過去の私たちを思い出させてくれるんです。「未来」っていう言葉を聞いた時、はるか先の時代と考えるかもしれないですけど、中田さんが言うには今の私たちが「Future Pop」というジャンルになっているって。彼が信じて導いてくれたんですけど、本当のテーマは中田さんしか知らないかな」

のっち「日本のメジャーなアーティストはまだ「フューチャー・ポップ」的な音楽をリリースはしていないんですけど、Perfumeがそのジャンルに挑戦して広げてくれることを期待してこのアルバムを書いたって中田さんは言ってましたね」

新作にあたってインスパイアされたアーティストはいますか?

かしゆか「特にはいないんですけど、今はトロイ・シヴァンを聴いています」

あ~ちゃん「わたしはトム・ミッシュかな」

のっち「ペンタトニクスがPerfumeをカバーしてくれて、それを日本のライブで披露してくれたんですけど。すごく印象的で、それからファンになりました」

Perfume Prfm Prfm_um FuturePop i-D

Perfume goes back to dance basics ahead of Coachella debut

The Japan times 2019年1月10日掲載

PATRICK ST. MICHEL 執筆

訳出元: https://www.japantimes.co.jp/culture/2019/01/10/music/perfume-goes-back-dance-basics-ahead-coachella-debut/#.XDr-UqRcUlT

Perfumeは15年に及ぶそのキャリアの中で、新たなチャンスを掴み続けてきた。この春、エレクトロ・ポップトリオはアジア、北米を含む自身最新のワールドライブツアーを開始するが、真のハイライトはこの旅の終盤、カリフォルニア州インディオのコーチェラ・フェスティバルに於ける、4月の二週末に渡るライブだ。

「私たちにとって大きな挑戦になりますね」「あ~ちゃん」として知られる西脇綾香は、渋谷に所在するアミューズ本社でジャパン・タイムスにそう語った。「タイムテーブル上も厳しいものがあるだろうし、もちろんほとんどの観客は私たちを知らないでしょうから」

この最大級の人気を誇る音楽フェスティバルに、彼女たちJ-Popアーティストが登場するのは初めてのことだが(捉えかたによってはX-JAPANだと思う方もいるだろう)Perfumeはここでは四番手に甘んじている。

この立ち位置を、あ~ちゃん・樫野「かしゆか」有香・大本「のっち」彩乃の3人は、出身地である広島でUKポップをカバーしていたライブ時代から、2000年中期に東京へ拠点を移し、解散の危機を迎えるまでを含む、自身のキャリアの中で充分に演じている。しかしながら、今世紀における日本人アーティストのトップ・グループのひとつとして成長するまでになり、日本国外での根強いファン層を持つ稀な例となった。2019年が始まり、3人組はたゆまず新たな道を-音楽世界の探求を続ける。

何よりも優先されるだろう前述のワールドツアーは、2月の終わりに上海からスタートし、3月始めには台湾を経由、北米へと歩を移すと、4月いっぱいまで続く。アメリカでは3回目の公演であり、その経験を生かした流れだ。

「このワールドツアーが、いちばん新しい(2018年のアルバム)『Future Pop』国内ツアーから続くひと区切りになるし、少しだけスケールを小さくする必要があるんですけど」のっちが答え「私たち、どうやったら海外に同じメッセージとパフォーマンスを届けられるか常に考えてるんです」

過去10年に渡り、日本国内でのPerfumeのライブは、近年ライゾマティクスによって提供されている最先端技術との融合で名高い。あ~ちゃんが語るには、ライブにおいてはこういった未来的な演出がファンに期待されているという。しかし、より狭い海外の会場にこれらの演出を持ち込むのは不可能だと。

「結局は私たちのダンス技術に行き着くんです」あ~ちゃんは言う。12月11日の横浜アリーナ公演を観る限り、それは確かな事だと明らかになった。ソールドアウトしたこのライブの特色は、レーザー、気の利いた映像トリック、そしてシンクロしたCGIの背景ビジュアル(そのうちひとつは今年のNHK紅白歌合戦でのパフォーマンスに似ている)だが、『FUTURE POP』ツアーの焦点は3人のダンスへと移っている。なぜなら、アリーナ級の(演出)技術よりも、これらの技を観客に伝えるほうがはるかに簡単だからだ。

「最初のワールドツアーの間じゅう、日本と海外の観客との、反応の違いを心配していたんです」グループの長年の振付家で、MIKIKOとして良く知られる水野幹子氏は語る。「でも(実際は)ライブがすべての国で好評だったので、とても嬉しかった。特にアメリカの観客ですね。海外での公演だからといって、何かを変える必要はないと確信したんです」

MIKIKOによれば、現在のツアーセットはメンバー自身の身体的な動きに焦点を当てるために、よりシンプルに作られたという。

「私が思うに、彼女たちのライブの本当の楽しさは舞台装置に左右されないことなんです」彼女は言い、「会場の広さに関係なく、あらゆる場所で楽しめるものを作りたいと考えたんですね」

「めっちゃ緊張しますね」彼女たちのダンスへ最大の注目が集まるライブ、その開幕準備の様子を、あ~ちゃんが笑いながら語る。「ただただ練習を積み重ねて。でも二人が一緒にいる限り、なんでも大丈夫だって知ってますから」

特別版のBrutusマガジンが、アミューズ本社のロビーに飾られている。このタレント事務所の40周年を特集したものだ。始めのページには、10代のPerfumeが野外で踊っているように見える写真があり、これはまだ無名のころ、駐車場やアップルストアの片隅で踊っていた時代へと遡るものだ。こういった過去の思い出をたずねた時、3人はライブのために(3曲しか持ち歌がない時代に)3曲の順番を決める長時間のセットリスト会議のことを思い出してくれた。「私たちと一緒にダンスを踊りましょうっていう企画もあって、ベストダンサーにはステッカーをあげたよね」と、のっち。

「長い長いマジックショーもやったんです」かしゆかがくすくす笑いながら思い出す。「あ~ちゃんがマジシャン、のっちが助手で、私がMCでした」

しかし素人マジックの日々は、Perfumeがメインストリームへと踊りだした2007年を機に消え去った。その背後には、長年のプロデューサーである中田ヤスタカの手になる、うなるベースライン、加工されたボーカル、耳に残るサビを含んだ楽曲群の制作がある。3人のダンススキルもまた重要な要素で、シャープで精密な動きに重きを置くことで、バタバタした赤ちゃんアヒルのような振り付けを避け、それらを多用するアイドル音楽の世界から彼女たちを切り離した。

MIKIKOが回想するには、彼女たちがダンスに捧げる情熱は初めて出会った日々から変わらず、それは貴重なことだという。

それがコーチェラで心を掴むための鍵かもしれない。北米ツアーではファンの前でライブを行い、そのファンの一部がカリフォルニアの砂漠へ飛び出すとしてもだ。コーチェラの観客の大多数はPerfumeが何者なのか知らないだろうが、彼女たちはその大観衆に立ち向かうことになるだろう。

メンバー自身もこの挑戦を認識しており、それを克服する方法を考え始めているところだ。

「日本語の挨拶から始めるのはインパクトがあると思いますか?」かしゆかが付け加えながら「観客の注意を引きたいんですよね。どうしたらいいと思います?」咳払いしてから私が答えたのは-外国の言葉はうまく響かないでしょう、単に音楽的に聞こえてしまうかも、だった。あ~ちゃんが身を乗り出し「たぶん大声で騒いで叫んだらええんとちゃう。何かしら爪痕が残るじゃろ?」

「自分たちのパフォーマンスや音楽をカッコいいと思ってますし、私たちをよく知らないアメリカの観客にもきっと伝わるはずです」あ~ちゃんは続けながら「コーチェラに出演できるなんて思いもしなかったし、夢はもう叶ってます!私たちはただベストを尽くして、それを最大限に生かしたいですね」

こういったやりとりのすべてが、国内での成功に安住することなく、Perfume自身がチャレンジを続けている事を思い起こさせる。

成功は音楽活動だけに留まらない。Perfumeはまた、エンターテイメント業界の別の分野にも進出しており、それは過去にはバラエティ番組の司会だったりもするのだが-目下の挑戦は衣服のブランドラインを擁する「Perfume Closet」であり、動画SNSのTikTokへの参加だ。

「変化を恐れずに、もっとたくさんの活動をしたいんです。ソロ活動も同じくらい」あ~ちゃんが言う。この話題が、メンバー各自が次にやりたい活動についての会話を促した。

かしゆかはCasa BRUTUS誌に日本の工芸品を扱う連載を持っているが「日本の伝統工芸を扱うお店を開きたいな。本当にいま一番興味があることだから。今なら海外で日本のいろいろなものを紹介できるポジションや機会を持ってるし、日本の素晴らしいものを知ってもらいたいですね」

のっちは将来的に自分の趣味を共有したいと言い(「わたしひとりっ子なので、なんでもひとりでやりがちなんですよね。興味のある事を誰かに知ってもらおうなんて思わなかったし」)

そこへ- あ~ちゃん最大のチャレンジでもあるペットのポポちゃんが、インタビュー中盤にグルーミングの予約から帰って来ると- 室内はkawaii混乱になった。

「犬のお洋服を作りたいかな」他のメンバーがポポちゃんと遊ぶあいだ、あ~ちゃんが答える。

「たくさん洋服を買うんですけど、それをワンちゃん用にリメイクしたい。でも、あくまで個人的になんですけど」

Perfumeには少なくともあとひとつ、活動上のマイルストーンの兆しがある。

「2020年にオリンピックが東京にやってきますよね。エンターテイメント業界全体がその一部になろうと準備を始めていますから」あ~ちゃんは続けて「もちろん私たちもそこに参加したいと思っています。技術を向上させて最高のパフォーマンスを続けていければ、それも可能なはずです」それが3人のもうひとつの挑戦なのだ。

春の北米ツアーはPerfumeにとって3度目の大陸横断となる。以前のツアーでは、3人組はアメリカのファースト・フードを楽しみ、ピクサースタジオを訪問し、大型スーパーに駆け込んだ。

今回のツアーオフで何が楽しみかを聞いてみると

かしゆか「食事!(笑)でも新しい公演場所、例えばダラスとかシアトルで何が有名なのか知らないからなあ。どんな場所に行っても、地元の名物が好きなんですよね…ピザみたいな(笑)その他なら、いつも3人でお買い物するのが楽しいですね」

あ~ちゃん「ナイアガラの滝!滝が大好き!」

なぜそんなに滝が好きなんですか?

あ~ちゃん「匂いからして違う。まわりの空気感もぜんぜん違うし、滝に近づくと気温もさがるし。それって凄いでしょ!」

のっち「五大湖!学生時代、湖の名前を答えるテストがあって、ぜんぶ記憶したから」

あ~ちゃん「あ~、それいいよね」

のっち「本物がどうなってるのか見たいなあ」

Perfume Prfm Prfm_um FuturePop Thejapantimes

J-Pop Trio Perfume Discuss Their Music And Their Future After Nearly 20 Years Together

Forbes.com 2018年12月31日掲載

Tamar Herman 執筆

訳出元: https://www.forbes.com/sites/tamarherman/2018/12/31/j-pop-trio-perfume-discusses-their-music-being-positive-about-their-future/

Perfumeは結成からほぼ20年を迎え、日本国内で最も知られたポップグループのひとつとなった。長年にわたり-大本"のっち"彩乃、樫野"かしゆか"有香、西脇"あ~ちゃん"綾香 -は、シンセポップ、テクノ、EDMを融合した未来的かつカリスマ的な演者としての役割を、中田ヤスタカのプロデュースのもと成長させてきた。彼らの音楽性と同じように知られ、シャープで精密な振り付け、その特異な演劇的スタイルもまた長年培われたものだ。Perfumeの芸歴は多くの女性グループを超え、若者主導のJ-Popシーンすら越えて、ごく少数の日本人アーティストだけが可能な世界ツアーをこなすまでになった。8月には新作『Future Pop』を発売、2018年後半からはアルバムツアーを開始し、北米での7公演と恐らくはいくつかのサプライズ公演が3月と4月に控えている。ツアーに先立ち、Perfumeのメンバーは東京でフォーブスとのインタビューに臨み、自身のキャリア、アルバム『Future Pop』について、またJ-Pop業界と自分たち双方の変化について語った。

年末を控えていかがですか?

かしゆか「今年を振り返ると、2年ぶりにアルバムを発表して、そのツアーを行いましたね。いつもなら大掛かりなセットを使うんですけど、より多くの事を観客の皆さんに伝えるために、シンプルさを追求したんです。ステージセットを豪華にするのは簡単なんです。それをどんどん大きくするのはとても簡単で。でも思い切ってシンプルにすることで、私達にとって何が重要なのかが明確になって、観客によりメッセージを伝えやすくなったんです。そのおかげで観客とより良くコミュニケーションを取って、より一体感を感じられるようになったんですね。私たちが伝えたいメッセージは曲によって様々なんですけど、アルバム全体を通して伝えたいことは、未来は明るいっていうこと。今この場所にいる幸せと、この先の幸せですね」

アルバム『Future Pop』でも続く、Perfume自身のアーティスト的進化をどのように捉えていますか?

のっち「私たち、十代の頃に知り合ってからずっと一緒で、プロデューサーも一緒なんですけど。今までずっと、活動のあるタイミングごとに、中田(ヤスタカ)さんはまるで音楽が一緒に成長するみたいに曲を書いてくれてたんですけど、このアルバムでは若々しい気持ちに戻ったみたいな曲も作ってくれて。私たち、たくさんの経験を積んできたから、今の年齢に関係なく、自信を持ってその気持ちを表現できるんじゃないかって思うんです」

あ~ちゃん「私たちは『Future Pop』に隠された意図や、中田さんが作る音楽については今までも何も知らされてなかったんですけど、このアルバムを聴かせてもらうまで、より若い世代にバトンタッチして、音楽業界の中では後退する時期に来ているんじゃないかって考えてもいたんです。でもそうじゃなくて、まるでこの曲達が中田さんが話すみたいに「君たちにはまだ未来があるでしょ。まだまだ頑張らなきゃ。何も終わってないよ、何やってんの?」って語りかけてくるみたいで。中田さん流のメッセージみたいでした。おかげでより積極的になれたんです」

観客や音楽業界と向き合うためにはより若々しく装う必要があると?

あ~ちゃん「いやいやそうじゃなくて。がんばって若者っぽく振る舞うんじゃなくて、いまカッコいいと思ったことはなんでもやるべきなんだって中田さんは考えてるんだと思います」

キャリアを通じてたったひとりのプロデューサーの元で、自分たちでは音楽を主導していない事をどう感じていますか?

かしゆか「みんな100%信用してますね。今だったらフューチャーベースに挑戦しているところですけど、最初は驚いたんです。でも中田さんは今だからこそ私たちがこの音楽ジャンルに挑戦するべきだって確信していたんでしょうね。彼にはそうするだけの理由があって、私たちは流れに従うことにしたんです」

あ~ちゃん「歌詞を書かせてくださいってお願いしたこともあったんですけど、全部自分だけで完結するのが理想みたいで。でもそれって、例えば日本で歌手に専属のライターさんが付くのはよくある事なんです。私たちはとても相性がいいと思うし。私たちは中田さんの作曲を信用しているし、中田さんも私たちのパフォーマンスを信用してくれているし、とてもいい関係ですね」

日本におけるPerfumeは、音楽もファッションもアイコン的存在ですが、2017年にオリジナルブランド「Perfume Closet」を展開するのが適切だと判断したのはなぜでしょう?

かしゆか「ファンの皆さんがステージ衣装のコスプレをライブ会場に着て来てくれるのを見てからですね。でも日常で身につけるにはやっぱりステージ衣装過ぎるので。衣装から着想しつつ、見る人が見れば「あの曲かも」って想像できるような、日常でふつうに身につけられるものが理想だったので。それが基本コンセプトでした」

皆さんはそれぞれのスタイルをずっと変えていないですよね。例えばのっちは常にショートパンツ、かしゆかさんはロングヘアといったふうに。ステージ上での姿を常に変えないのが重要なのはなぜでしよう?衣装や髪型を一度でも変えたいと思ったことはありますか?

かしゆか(お団子頭に結い上げている)「ふだんオフの時だと、長い髪はとても大変ですね。だから時には変えたいとも思ってます。でもステージ上でのアーティストとしての自分と、このスタイルはもう同じものなんです。みんなは髪型や衣装のスタイルで私たちだって気付いてくれるので、この姿を保つことが重要だって考えてるんです」

あ~ちゃん「でもある日突然何もかもぜんぶ変えるかも分からんもんね、急に髪を染めたりして。めちゃ短くするとか、モヒカンか何かにしちゃったり。かも知れんけど。実際のところ、誰にも分からんけんね」

長年に渡ってミュージックシーンに影響を与え続けた結果、Perfumeのスタイルはアーティスト性と不可分のものになった訳ですが、活動を開始してからほぼ20年の間に日本のミュージックシーンはどう変わったと思いますか?

あ~ちゃん「私たちも30そこそこのただの人間だし、日本にはもっとキャリアの長いアーティストさんがたくさんいますから。それでも、最近ファンに支持されているひとつひとつのヒットソングには、隠された物語があるんじゃないかって考えるようになりました。事実に基づいた要素があることで、全部が本物らしく感じられるんじゃないかって。アリアナ・グランデの"ThankU,Next.“みたいな。ぜんぶ彼女自身と彼女の関係性についての歌ですよね。とっても好きです。すごく本物っぽい」

ということは将来的にはもっと自伝的内容の歌をリリースしたい?

あ~ちゃん「私たちが思うに、中田さんが書いてくれる最近の曲は、もっと私たちがどういう人間なのかとか、私たちについて実際に起きたり感じたりした事を説明しているような気がしますね。例えば(2015年の)「Star Train」は私たちのドキュメンタリーソングですね」

もし個人的に共感できる曲をひとつ選ぶとしたら、その理由はなんでしょう?

あ~ちゃん「その質問大好き。私は2012年の「Spring of Life」かな。人生にはどんなふうに春が来るかという歌なんですけど、積極的に前向きになるのは結局自分次第じゃし、っていう。今の私はポジティブなエネルギーでいっぱいなので」

かしゆか「私が曲そのものではないから、どの曲がいちばん今の自分を表しているかは難しいですね。でも2016年の「FLASH」は好きかな。すごくPerfumeっぽくて、ポジティブな気分にさせてくれるから」

のっち「「無限未来」ですね。「Future Pop」にも収録されてる新しい曲だし、明るい未来についての歌だから。わたし、いつでも未来に期待してるんですよね、なにか大きな良いことが未来には待ち受けてるんじゃないかって。そう、ホントにわたしみたいな曲だな。いつでも楽天家で夢に向かって一直線な感じ。完璧にわたしっぽい」

かしゆかさん、「すごくPerfumeっぽい」ってどんな感じでしょう?

かしゆか「根気強さとかシンクロ、ですかね。一見機械的なんですけど、そこには人間的な温かみがある。何かが同調していたり、そこに何かのテクノロジーが関わっていたとしても、その後ろには人間の力が潜んでいて、それを可能にしているというか。観客の皆さんはたぶん気付いていると思います」

より手触り感がある、あるいはアコースティックな音楽をリリースして、Perfumeっぽさを感じるのは不可能だと思いますか?

かしゆか「過去のライブやラジオ番組だとアコースティックバージョンを披露したことがあります。それぞれ私たちの歌には今までなかった要素が含まれているから、とても気に入ってます。でも公式にリリースしたことはないですね」

PerfumeはYouTubeを国際的に活用した初めての日本人アーティストグループのひとつで、世界中のファンたちが音楽やミュージックビデオを視聴できますよね。今日(こんにち)のJ-Popシーンも追いついて来てはいますが、未だ洋楽界では存在感を発揮できていません。最初に外の世界を見た存在として、J-Popの国際的成功についてどう考えますか?

のっち「私たち、本当に自分たちがJ-Popの国際化の先駆者だなんて思ってもいません。なんでも石橋を叩いて渡る性格だし。「これってまだ早すぎる?ホントに今で大丈夫?」って。今ならもっと若い人たちがすごく積極的に海外へ進出してますし、実際にも日本の音楽シーンを海外へ広めていると思いますよ」

とても長い間一緒に活動されているわけですが、お互いの関係性をどうやって良い状態に保っていられるのか、なぜそんなにも上手くいっているんでしょう?

あ~ちゃん「それは親に聞いてもらわにゃ(3人笑)

こんなにも長いこと続くとは思いもしなかったですし、ほとんど奇跡みたいですね。誰かにこの事について本を書いてもらって、それを読んだら少しは理解できるかも」

Perfumeの皆さんは高校以前から一緒ということですが、昔と今で変化した事はありますか?

[メンバーは輪になって相談を始め、お互いの変化についてコメントすることに決めた]

のっち「かしゆかはミニスカートを履くような女の子じゃなかったよね。今だとライブでは常にミニスカートだけど。たぶんスタイリストさんが選んだのが始まりかなあ。可愛く見えるし、ファンが声からイメージする女の子っぽさに合ってたからかも。もっと若い頃は女子〜って格好はしてなかったよね。ぜんぶ真っ黒で。でもステージ衣装が女の子っぽくなってからは、色が入るようになったよね」

かしゆか「あ~ちゃんが犬を飼い始めたことかな。子供の頃は動物大好き、ではなくて、家族でペットにリスを飼っていたけど興味はない感じだったもんね。私にとってはえらい驚きよ。あ~ちゃんがペットを欲しがって、しかも溺愛しとるって。ぜんぜんイメージになかったから」

あ~ちゃん「今でこそのっちはいろんな人とよく喋りますけど、この人めちゃくちゃシャイで。ひとりっ子だからなんでしょうけど、ひとり遊びは上手で。まだ学校に行ってたころかな、美容院の予約か何かが必要なのに、私に電話してきよるんですよ。シャイすぎでしょ!でもお酒が飲める年齢になったら、友だちを作るようになったよね」

Perfumeに対するファンのイメージはどの程度当たっていると思いますか?

かしゆか「たぶん一部は。半々ぐらいかな?」

国際ツアーを控えて、2019年に何を期待しますか?

あ~ちゃん「私たちみんな30代を迎えるんですけど、何が起きるかめっちゃ興奮してるんです。もっと自由に楽しくなれればいいかな」

Perfume Prfm Prfm_um FuturePop Forbes

Perfume On New LP ‘Future Pop,’ Hairstyles & Solo Projects: Interview

IDOLATOR 2018年9月18日掲載

Jacques Peterson 執筆

訳出元: http://www.idolator.com/7685786/perfume-on-new-lp-future-pop-hairstyles-solo-projects-interview?view-all&safari=1

 女性グループは短命な傾向にあるが、日本のPerfumeは10年に渡ってファンを楽しませてきた。三人組のカミソリのように鋭いダンスと、きらめくテクノサウンドは日本のチャートトップを捉え、J-Popアーティストでも稀有な国際的ブレイクを果たした。

 彼女たちの最新アルバム『Future Pop』は高密度で、ブレイクの立役者・中田ヤスタカプロデュースによる独自のエレクトロポップ12曲から構成され、より欧米的EDMの影響を受けた今回のサウンドは、Perfumeを真にグローバルな存在にしている。

 Idolatorでは『Future Pop』の国内チャート1位獲得を受け、このJ-Popトリオに、彼女たちの国際的成功や変わらぬそのヘアスタイル、もちろんお気に入りの香水についてまでインタビューした。アジア最大の女性グループについて、ほんの少しでも詳しくなりたいなら以下のQ&Aを。


 新アルバムおめでとうございます。最高傑作ですね。12年間に渡って音楽業界で活躍されて、今だナンバーワンでいることにプレッシャーは感じますか?

あ~ちゃん「プレッシャーはないですね。自分たちがトップとも思えないです。上には上がいるので。私たちのやっている事はとても独特で、他のアーティストさんとも被らないですし。誰か他の存在を目指したり真似しようともしませんから。「いま 私たちにできること」に限界もないし、どこまでも行けますよ!」

 Perfumeは国際的に最も成功した日本人アーティストとしても知られていますが、それは音楽制作に影響を与えていますか?また英語圏のリスナーを想定してアルバムを作っていますか?

かしゆか「私たちは自分たちで曲を作るわけではないんですけど、少なくともプロデューサーの中田さんは考えているように思いますね、ほんの少しは。海外ツアーの時は、地元のファンに合わせてより楽しめるようにセットリストを作ったり、英語で歌うようにとか、英語の歌詞を多めにしたりします」

 長いあいだ、Perfumeだけが欧米圏で知られる日本の女性グループだったわけですが、いまやBABYMETALやMaison Book Girlなども海外活動を行なっていますよね。J-Popが国際的に知られるようになった現状をどう思いますか?

あ~ちゃん「わたしはPerfumeだけが海外で知られている女性グループではないと思うんですけど…」

かしゆか「海外だと「カワイイ」文化で知られているアーティストも多いですよね」

あ~ちゃん「アニソン歌手さんとか、きゃりーぱみゅぱみゅちゃんとか。そんな皆さんより有名だなんてちょっと信じられないですね。ニュースで聞いたんですけど、アニメフェスやアジアの音楽フェスに参加するアーティストが増えているので、海外へ行くっていう考え方がより簡単になってはいるみたいです。とはいえ、ウチらももっとできるはずじゃし、頑張らにゃね。ここ(日本)にはたくさんのアーティストがいますし、海外でもその音楽を聴きたがっている人たちや、私たちの音楽を受け入れてくれる人たちがもっとたくさんいるみたいだし」

 中田ヤスタカさんと『Future Pop』で再び組んだわけですが、中田さん以外のプロデューサーと仕事をする日は来そうもないですか?それとも中田さん抜きにはPerfumeも成立しない?

のっち「今のところ、それって「ノーナカタ、ノーPerfume」ですけど、わたしは未来にはたくさんの予想もできないことが起こると思うし、だとしてもそれを楽しむ準備は出来てるので、別のプロデューサーで新しいPerfumeを見つけることもできると思いますね」

 ソロ活動はどうですか?

かしゆか「音楽以外だと、それぞれ趣味や興味のある分野でソロ活動に取り組んでいますけど、出来ればそういった活動から何かを学んで得たものをグループの活動に役立てたいですね。あ~ちゃんはラジオ番組を持ってますし、私は雑誌に連載があるんですよ。次はのっちが何か始めないか待ってるところです」

 Perfumeはとても長く活動を続けていますが、明らかに影響を受けているCallmeのような新しい女性グループも登場していますよね。それをコピーされているように感じますか、それとも賛辞として受け取りますか?

のっち「わたしは褒められてると思いますね。私たちは監督やスタイリストさんたちと何かカッコいいものを作るために考えたり苦労しているんですけど、そこから同じように感じて私たちを真似してくれるアーティストがいるなら、それは嬉しいですね」

 長年、髪型を変えられないことに不満はありますか?他に試したいヘアスタイルはありますか?

Perfume「不満はないですね」

のっち「わたしはすごく怠け者だから、この髪型は簡単でいいんです。ショートって楽だし。できるなら坊主にしたいぐらい(笑)」

あ~ちゃん「この髪型を変えるなんて考えたこともないから、他の髪型の自分は想像できないですね」

かしゆか「不満というわけではないんですけど、サマーフェスみたいな暑い日だと、髪が長くて量も多いから、もっと暑いし、みんなより汗をかきますね。それが問題かなあ。パフォーマンスする時は髪を結い上げないっていう自分ルールがあるんです。他のヘアスタイルに挑戦できるならショートヘアですね。頭を軽くする方法が知りたいし、どれだけ髪を乾かす時短になるか。わたしの頭っていつでも重いんです」

 あるファンの子から託されたんですが、Perfumeの皆さんお気に入りの香水はなんでしょうか!

のっち「今まさに探しているところなんです。バニラかキャラメルみたいに甘い感じの。デザートっぽい香りを試したいですね」

かしゆか「わたしが好きなのはMiuMiuの香水ですね。このピンクのL’eau Rosee(ロー ロゼ)かな」

あ~ちゃん「わたしはこの赤いエルメスのEau de rhubarbe ecarlate(オー ドゥ ルバーブ エカルラット)ですね。香水じゃなくてコロンかも知れんけど」

 最後に、読者にチェックしてほしいおすすめの日本人アーティストはいますか?

かしゆか「わたしはLittle Glee Monsterを推します!」

あ~ちゃん「好きなアーティストはたくさんいるけど、わたしのおすすめはチャットモンチー。残念ながら解散しちゃったんです」

のっち「フレデリックっていうバンドは良いですよ」

 お時間を頂きありがとうございました!

Perfume「ありがとうございました!」

Prfm Perfume Perfume_um FuturePop IDOLATOR

Hi, We’re Perfume, A Japanese Pop Group (Interview)

BY KATY CASTILLO

訳出元: http://yattatachi.com/perfume-interview

yattatachi 2018年9月13日掲載

We had the wonderful opportunity to sit down with Perfume in a roundtable interview! 

 2018年8月16日、Perfumeは7枚目のアルバム『Future Pop』をリリース。20カ国のiTunes ・エレクトロニックアルバム部門で一位を成し遂げた。アルバムはヒットシングル「Tokyo Girl」「If You Wanna」そして「無限未来」を含み、完全新作トラックも収録。リリース初週に79,282枚を売り上げ、オリコンウィークリーチャートでたちまち一位を獲得すると同時に、自身7枚目の国内ナンバーワンアルバムになった。まもなくPerfumeはメジャーデビュー13周年のアニバーサリーである9月21日、長野を皮切りに全国アリーナツアーを開始。

 リリース直後ということを考えれば、私たちは光栄なタイミングに彼女たちメンバー全員(あ~ちゃん、のっち、かしゆか)との座談インタビューに招かれ、自身の新作アルバム、食べ物やアニメについて、そして次なる目標を語ってもらいました。


『Future Pop』という発想をどう捉えましたか?

あ~ちゃん「タイトル曲でもある「Future Pop」って、本当の一番最後にアルバム用に収録したんですよ。中田さんや関係者の方々が一ヶ月近くも仕上げにかかりっきりで、まとめ上げるのに試行錯誤してくれたみたいです。みんなとにかく忙しくて。でも私たちの為にすごい新曲を作ってくれてるんだって信じてました。中田さんが新しいジャンルを取り入れるのを見ていたんですけど…成功しましたね~!彼は歴史を作れる人ですね」

のっち「わたしが思うに、『Future Pop』っていう発想は、フューチャー・ベースをよりメジャーなところ、例えばTVとか、ほかの分野に広めるために重要だったんじゃないかなあ。中田さん、すごうまくやり遂げたと思う。それから『Future Pop』ならではのバラエティ感。例えば「FUSION」と「Tiny Baby」の繋ぎってめちゃ興奮するでしょ。思い付かない!って」

あ~ちゃん「「If You Wanna」のリリース前に、どうするべきか、チームを含めてえらいこと議論したんです。ある人たちはシングルにはふさわしくないと思っていて、でも中田さんはシングルとして出すべきだって信じて擁護してくれて。ちょうど2007年の「ポリリズム」の時みたいに。中田さん、自分の名前で曲を出すことも出来るけど、Perfumeの曲としてリリースすることがJ-Popにとっても重要なんだっておっしゃって。それって衝撃でしたね。そんなに大事な曲をPerfumeに与えてくれるんだって感動してしまって…」

のっち「たとえ曲のコーラスに-とっても大事な部分だけど-ほんとに歌詞らしい歌詞がなくてもね!(笑)」

あ~ちゃん「でもみんな中田さんと同じ船に乗った、ということで。曲をリリースした直後の反応は私たちですらちょっと鈍くて。それから時間が経って、ほかの曲のリリースやファンクラブツアーを通じて、一緒に成長したんだって実感しましたね。みんなで曲を育てた感じがして。「If You Wanna」と「Every Day」のデモは同じCDに入ってたんです。「Every Day」はより一般的な曲で、TV向けというか。ならなぜ「If You Wanna」をシングルでリリースしたかっていう。中田さんが言ったんです、知らないかもしれないけど、世界ではこれがもう一般的なんだよって。フェスの動画を観せて「ほら、盛り上がってるでしょ」って指摘して。先生みたいでした」


『Future Pop』を初めて聴いた時の、最初の印象は?

あ~ちゃん「はじめは「Start Up」、とても優しく聴こえて。絵本を開いた時みたいに、物語が始まったばかりの感じ。でも物語を追いかけるというより、アルバムと一緒に歩いているみたいな印象かな。旅の仲間みたいに。中田さんは良い意味で、いつも私たちを裏切るんです。音楽で驚かせてくれる。ボーカルを全部収録したあとだったのに、最終的な形になったアルバムを聴いてすごく感動したんです」

かしゆか「基本的にはわたしも同じことを考えてました。新しい世界が始まるような感じ。「Future Pop」を初めて聴いた時にはホントに泣いちゃったんです(笑)アルバムが完成して、初めて聴く時にはいつも驚かされたり感動するんですけど、嬉しくて泣いてしまったのはこれが初めてでしたね。中田さんからの指示は、あらかじめ曲順を知らずに聴いて欲しい、可能な限り良い再生環境で聴いて欲しいっていう事だったので。今までそんな指示があったことは無かったから驚きでした。でも今は私たちにどう感じて欲しかったのか、分かりますね」

のっち「中田さんは今までずっと曲を作ってきてくれて、それを共有してくれるんです。何回も何回も聴いたはずの曲なのに、アルバム全曲を聴いた時にはまるで違って聴こえて!完成したアルバムの中ではめちゃくちゃ魅力を増していて、それにも驚きでしたね」


 『Future Pop』はiTunesエレクトロニック部門チャートで20カ国一位を達成しました。この成功を踏まえた次の活動予定は?

 あ~ちゃん「こんなに大勢の人たちが聴いてくれたなんてホントに信じられなかったですね。いまだに飲み込めなくて。私たちをこんなにも多く待ってくれている人たちがいるから、ライブしに行きたい!」


 アルバム制作における中田さんとの関係性はどんな感じですか?

あ~ちゃん「このアルバムほど中田さんと音楽について話し合ったものは無かったですね。あの人ほんまに音楽オタクですよ!いつも「こんな感じの音で」って限定しないんです。自分の最高の曲をPerfumeとして発表することを気にもかけないっていうか。いつでも音楽を届けるのに最良の方法は何かを探ってるんですね。これは中田さんが話してくれたことで、自分の音楽にいつでも何か懐かしい要素を入れようとしているんですって。だから私たち、いつでも中田さんと繋がってる感じがするのかな」

かしゆか「わたしが思ったのは、チームとPerfumeにとって、三カ国に分かれて同じ時刻にパフォーマンスした「FUSION」」はすごく重要なんじゃないかなって。誰も成功するか失敗するか知らなかった。ほんとに実験だったんですよね。でも私たちのチームを信じていたので。チームは「FUSION」成功後により強くなりましたね。もっともっとみんなを信じれるようになったし。以前なら常に三人同士で抱えていたことが、それをやるとなった時と、そのあといくつもの課題を乗り越えたら、私たち、このチームとならなんでも出来るぞって何か安心感みたいなものを感じて。強くもなったし、より自由にもなったんです。20代はずっとプレッシャーがあって、何をするにも常に100%全力だったんですけど、今はより経験を楽しめるようになってますね。試行錯誤はもっと楽しくなったし。歳を取るのって楽しいです!」

あ~ちゃん「わたし、ゆかちゃんに25歳理論を推してたじゃろ。25までに何か大きなことをせにゃ大成しないけぇって。でも今なら歳を取るのは楽しいってはっきり分かる」

のっち「Perfumeは私たちが最初に出会った頃より、もっともっと仲良くなってます。この関係はただの友情以上のものになってますね」

あ~ちゃん「こんなにもチームを大切に思えるなんて知らなかった!(笑)」


 Perfumeを知ってもらうための最良の曲はアルバム『Future Pop』でいうと何でしょう?

のっち「たぶん「FUSION」かな。『Future -Experiment VOL.1 距離をなくせ。』の為の曲だったんですけど、本当に自分たち自身へ挑戦しなければならなかったし」

かしゆか「贔屓して「Future Pop」ですかね。もちろんタイトル曲っていうこともあるし、中田さんが完成に丸一ヶ月もかけてくれたので。この歌にPerfumeの未来へのヒントがあると思う。みんなにオリエンタルな香りがちょっと隠れた日本語を楽しんで欲しいですね。それはフューチャー・ベースだったり、フューチャー・ポップだったり…全部が一つの歌の中に存在するから」

あ~ちゃん「「Tokyo Girl」です。なぜかって東京はすごく大きくて、挑戦しがいのある街だから。ここにはみんなが夢を叶えようとやってくるけど、あんまりにも大きすぎて、簡単にそれを見失う事もある。この混乱した大きな街で…日本人から見ると、海外の人たちって、自分自身を自由に解き放っているように見えるんです。だけど日本人は他人と自分を比較しがちな傾向があって。この曲は日本人というものをよく表してる、って考えてます」


 Perfumeは過去のアルバムリリースやツアーで海外のファンも獲得しましたが、『Future Pop』ではどんな新しい要素や側面を海外のファンへ伝えたいですか?

のっち「それは音楽だけに限らないんですけど、過去のツアーを参考にすると、海外のファンの皆さんは私たちの個性を好きでいてくれるみたいです。もしそうじゃなくても、楽しんでもらえると思う」

かしゆか「日本語の歌詞がフューチャー・ベースの音にうまく馴染んでいるのが好きなんです。言葉遊びや、音楽と言葉が互いに共鳴し合うのをみんなが楽しんで欲しいですね」

あ~ちゃん「それって難しい質問。大きな車に乗って、アルバムを爆音でデコボコ道を飛ばして欲しいかな。デッカい車って!!!東京ではできんわ。普通の車でも運転するには道路は狭すぎるし、まして大きいのなんて」


 最後の海外ライブツアーは『Cosmic Explorer』でしたが、その体験からは何を学びましたか?

かしゆか「このツアーは同じ国内ツアーから連続した初めてのツアーだったんです。同じ内容でも、より小さい会場で公演するのはとても難しかったですね。アメリカ各地の会場ごとに違うサイズだったのは言うまでもないんですけど。それってハードで、時にはセットリストから前もって三曲しかリハーサルできないこともあって。集中力をとても要求される事だったんですけど、ツアーを追うごとにさらに増しましたね。でもそのおかげでNTT DocomoさんのFuture-Experimentでは、それを三ヶ所の異なる状況でこなせたので。困難な状況で演じるために備えることが出来たんですね」


 海外に広めたい日本のイメージはありますか?

あ〜ちゃん「素直に個性を発揮する代わりに、チームワークとシンクロを通すことで、よりはっきりと個性が伝わることもある、かな。そんな微妙さがとても日本らしいって考えてます。もしみんながPerfumeからそれを感じてくれたら、それって日本らしさをすごく良く反映していると思う」


 近い将来、アメリカツアーを行う予定はありますか?

あ~ちゃん「はい!来てくれますか?」

 もちろん!最近のお気に入りは何かありますか?コメディアン?食べ物ですか?

Perfume「タピオカティー!東京にはたくさんのタピオカティー屋さんがあるんですよ。お仕事中は毎日違うお店から頼んじゃいます!」


 かしゆかさんは尾田(英一郎)先生に会ったことはありますか?最近ハマっている少年ジャンプの漫画は?

かしゆか「尾田先生にお会いました!とても落ち着いていて気さくな方で。お会いした時におっしゃってたんですけど、『ワンピース』はまだ半分しか描き終えてないんですって!今は『ブラック・クローバー』を読んでます!新しいお気に入りですね!」

のっち「わたしは『約束のネバーランド』大好き!」


 Perfumeの『Future Pop』は現在 iTunes、CDJapan、Amazonで購入可能。Spotifyでも配信中!

 スペシャル・サンクス

私たちとのインタビューに応じてくださったPerfumeの皆さん

Perfumeへのインタビューの機会を与えてくださったBMF Media

通訳担当のユニバーサルミュージック・国際マーケティング担当 ノガミ・アヤさん

インタビュー内容について助言を与えてくれたAnime Intensityの Paula GaetosとAlyssa

Perfume Prfm Perfume_um FuturePop yattatachi

J-Pop Trio Perfume Make Music for the Future

訳出元: https://www.lofficielusa.com/music/perfume-2018

L'OFFICIEL 9月14日掲載

J-POPトリオPerfumeが形作る、未来への音楽

7作目のアルバム『Future Pop』を控え、ガールユニットのアイコンたちが見据える未来とは

09.14.2018 by Maxwell Williams

「企業のネットが星を被い 電子や光が駆け巡っても 国家や民族が消えてなくなるほど 情報化されていない近未来…」『 Ghost in the shell / 攻殻機動隊』(1995)より

 その週…大規模な暗号通貨の国際会議が開催され、ロボット・サイボーグ・AI、全ての近未来技術の神秘的な中心となった東京では、Perfumeの三人が私の目の前に座っていた。私の左にかしゆか(ゆかちゃん、とも)、右にのっち、正面にはあ~ちゃんが。

 Perfumeの新アルバムタイトルは『Future Pop』。彼女たちのライブには、AI、プロジェクションマッピング、顔面認識や音響認識技術が組み込まれ、そのスタイルはウェアラブル技術をも融合したもので、ステージ上ではある種コンピュータで生成されたような気配をまとうダンスも同様だ。過去のワールドツアーでは、振り付けられたドローンの群体が観客の上空を舞った。

 アルバム収録曲のうち、日本の通信事業会社・NTTドコモの超高速通信規格5Gネットワークの立ち上げと共に、去年の11月8日に先行発表された-クラフトワークを連想させるモータリック*1なドラムとロボティックなコーラスを備えたchugger *2といった趣きの-「FUSION」では、ニューヨークにのっち、ロンドンにかしゆか、東京にはあ~ちゃんが、分割された画面上で生中継のライブを行い、Perfumeの象徴的で複雑な振り付けを完璧にこなしてみせた。

*1(訳注:ポストロック/クラウトロックの特徴的・機械的なリズム構成のこと) 

*2(訳注:カラフルな列車モチーフのCGアニメ"chuggington"とクラフトワーク『ヨーロッパ特急』または狭義のtechno/disco chuggerからの連想か ・@CRePerfume さんよりご指摘頂きました。thanx! )

 彼女たちは同じ宇宙船に搭乗し、衛星を介して信号を送り合い、電波と電子のつながりによって同じ場所に存在し、まるでそれはデジタルで繋ぎ合わされた三位一体の精彩なグリッチ*1のようだった。

*1(訳注:広い意味でのデジタル上の画像の乱れやバグのこと)

 かしゆかが、あや-グループの担当者で通訳もこなす-としばらく日本語で話しこむと、彼女がそれを取り次ぎ「振り返ると(アート的なテクノロジーとの関わりは)最初の東京ドームライブからですね。それからというもの、衣装も含めた全てがその方向に向かったというか。私たちがやっているような音楽ジャンルで、みんなが話題にし始めたのはテクノロジーとの融合ですね。ステージセットやMVとか。徐々にではあるんですけど。人間じゃなくてちょっとアンドロイドみたい、とか。衣装を光らせたあたりからだと思う。でもそういった方向性が具体的になると、それが本当に私たちの未来を切り開いてくれたんです」

 「アンドロイドと呼ばれ始めた時はどう感じましたか」と尋ねると

 「うれしかった」とかしゆか。

 「うれしい!?」「ええ」彼女は続けて「それはいいことだと思ってて。シンクロしたダンスが私たちを象徴してくれているおかげで、個性を押し出さなくてもいいから。アンドロイドって呼ばれ始めた時は褒め言葉だと思いましたね。私たちがみんなにそういう風に見てもらいたかった」

 Perfumeにハマりたい人に私からのアドバイス: 聴き始めは2008年のアルバム『GAME』収録のファンキーでかわいい歌もの「チョコレイト・ディスコ」から、ブレイクした「ポリリズム」へ。これは『ダンスダンスレボリューション』だけでなく、ピクサーの『カーズ2』にも採用されている。続いて2009年、明らかにより洗練され、テクノロジーを内包したスタイルへと変化しているアルバム『⊿』から「Love the World」。

 私がPerfumeを紹介するならこの一曲「Spending All My Time」を。2013年『LEVEL3』からのシングル曲は、そのシンコペート・ビートに、超能力訓練やオカルトの象徴主義を像取った複雑な振り付けを伴っており、スタートレック的な精神共有(psychokinetic mind-meld)をも連想させる。『Future Pop』は、これら全ての上に成り立っているのだ。

  「Tokyo Girl」を例にとると-私が聞いたところでは-都市に住む女性への応援歌であるこの曲では、コーラスが現代的な東京の女性たちを、都会の倦怠(「平凡を許してくれない水槽で/どんな風に気持ち良く泳げたら」)から「イケてる」踊りへと誘う。またドライブするビートとワクワクとしたコーラスに、スムーズな歌詞が乗る完璧な一例のタイトル曲『Future Pop』や、キャッチーさのウラに重く壊れたビートが潜む「If You Wanna」そして過去のカワイイ(kawaii)曲を思い起こさせるような「Tiny Baby」。

“ほんの三日前ですよ。私たちみんなそう。プロモーションがあまりにも忙しすぎて二回しか聴いてなくて。だからインタビュアーさんの方がもっと聴いとると思う”

 ここで思い起こすべき重要なことは、Perfumeのメンバーは互いに29歳で今やベテランであり、日本の観衆の目にさらされながら影響力を保ちつつ成長してきた、ということだ。彼女たちの最初の歌は、より「アイドル」していたが(アイドル・ミュージックは日本の若者によって構成される大量生産的ポップスのこと)ここでは特異なメッセージ性をもち、超絶に洗練されたテクノポップへと到達している。

 『Future Pop』は7作目のアルバムであり、2005年のメジャーデビュー曲「Sweet Donuts」から数えて結成13周年のアニバーサリーを迎える。あ~ちゃん(西脇綾香)とかしゆか(樫野有香)は10~18年近く前、お互い広島のダンススクールで出会った。三人目のメンバーが学業に専念するため脱退した当時、のっち(大本彩乃)が同じスクールに通い、二人組に憧れており、その後まもなく参加したという。日本の音楽史上で知られるグループの中でも、大きな存在であることは間違いないだろう。

 (曲の)売り上げに不安が残るなか、少し遅れて中田ヤスタカが登場する。Perfumeを現在の姿にしたプロデューサーであり、J-POPの世界では伝説的存在として知られる(Perfumeの後輩きゃりーぱみゅぱみゅもプロデュース)。8枚に達する多くのNo.1アルバムを手掛け、発売後の『Future Pop』が9枚目になることは確実だろう。そしてハイテクな国内アリーナツアーも目前だ。

 「スケジュールがあんまりにもキツキツで。アルバムを通しで聴く前にシングルを選んで、コンセプトを考えて、衣装を決めて、アートワークにMV撮影も。やっとアルバムが到着して」あ~ちゃんが言い「結局、二日後にMV撮影と写真撮影を控えた時にやっとアルバムが来たんです。ほんの三日前ですよ。私たちみんなそう。プロモーションがあまりにも忙しすぎて二回しか聴いてなくて。だからインタビュアーさんの方がもっと聴いとると思う」

 それはPerfumeを取り囲むあらゆるものが機械仕掛けである証拠でもある。彼女たちのライブは驚きに満ち、前述のドローンのような巨大なテクノロジーの成果を特色とする。今年3月に行われたライブのオープニングは、AIが過去のMVを解析し、同じポーズや同じ表情をグリッチ・バージョンのMVとして出力したものだった。PC上で再生されたライブの模様を見守る-Perfumeはサイボーグのように行き交い、オープニングから思いがけず渓谷に迷い込む-どちらにせよ、私が今まで見た中で、ポップグループが挑んだ最も独創的な試みであることは間違いない。

 ショーの後半、Perfumeの低音のテクノが響くなか、プロジェクションマッピングを施されたセットが可動し、『トロン』のようなコンピューターワールドへと変貌する。彼女たちのダンスは精密かつサイボーグのようだ。振付けはPerfumeともっとも長い付き合いであるMIKIKOによるもので、彼女は同じくメタルアイドルグループBABYMETALも手掛け、噂によれば2020年の東京オリンピックに向け、Perfumeの近未来的セットや技術的進歩を生み出すチーム、ライゾマティクスと共同作業をしているという。Perfumeを取り囲む集団(machine)は国内最高、おそらく世界でも最高峰で、テクノ・スペクタクルを共にまとめ上げている。簡単に言えば、日本におけるPerfumeとチームは、そのハイテクと共に国宝級の支持を受けている。

 日本での名声について尋ねると「私たち、いろんな人たちからとても興味深い反応をもらうんです。すごく幅広いお客さんがいるから」と、のっちが話して「ファン同士、違ったジャンルの人たちが出会って、実際に結婚して、子供が生まれて、その子供をライブに連れて来てくれたり」

 Perfumeの永続的な成功の裏にあるものは何か?それはおそらく統一されたビジョンへの献身かも知れない。Perfumeはもっとも長く続くポップグループで、メンバーは思い出せる限りにおいて、結成以来の髪型で通している。グループが有名になるにつれ、のっちのボブカットは、山火事のように東京じゅうの女の子の頭に広がった。かしゆかの揃えた前髪に長いストレート、波打ち、編み込まれたあ~ちゃんのような髪型は、首都圏の街角でも見つけることができる。

 一息つき、ライムタピオカティーを一口飲むと「印象的なそれぞれのキャラクターを作りたいと思っとって」完璧に手入れされ、ピンクでツヤツヤのネイルと共に感情豊かにあ~ちゃんが語る。「のっちはいつでもパンツスタイル、私はドレスだし、ゆかちゃんはいつでも超ミニスカート。もう長いこと髪型も色も変えていないから、今ではみんなスタイルを覚えてくれとる。それが私たちの隠されたこだわりで、ヒールもそうなんです。いつでもハイヒールでダンスするっていう。自分たちのハイヒール(Perfumeダンスヒール)も作ったんですよ」

 やがて、彼女たちの努力は疑いようもなく調和しているのが明らかになるにもかかわらず、個々は信じられないほど違っているのが分かった。あ~ちゃんは数少ない存在感でこんな人には出会ったことがないと思わせ、そのほほえみの甘い力はフォースフィールドのようにあたりを包む。のっちは物静かで、そこにオタクっぽいクールさがあることを秒で理解した。ゲーマーだということも知っていたし、彼女は一種ゴスチックな闇を放っている。かしゆかについてはやんちゃな側面があって、それを冷静さで抑えている。

 でも彼女たち自身の口から聞きたかったので、お互いをどう思うか尋ねてみた。練習がてら、アメリカでいくつかのバンドやポップグループに同じように質問してみたけれど、こんな感動を受けたのはひょっとして初めてかも知れない。後からあ~ちゃんが教えてくれたのだが、日本のマスコミは、彼女たちの内面についてはそれほど質問しないのだとか。

かしゆか「あ~ちゃんはみんなを熱中させて笑顔にするのが本当に上手だと思う。のっちは「出来ません」って言わない人。何かを決めるときに怖いもの知らずで突き進む感じ」

あ~ちゃん「ゆかちゃんはなんでも観察しとる。チームの全員を知っていて、誰が何をするのか、とか。なんでも知ってるんです。のっちは…変な人。キレイだけど、すっごく変。それがみんながずっと友達でいられる理由かな。チームのバランスをとってくれてます」

のっち「ゆかちゃんはものすごく聞き上手。だけどみんなで変な声に変なキャラでふざけあってるときも同じくらいメチャ上手。いつもみんなで楽しむんです。あ~ちゃんと同じくらいペットのワンちゃんもいい子。「Let Me Know」のMVを撮ったばかりなんですけど、朝4時にソロパートを失敗し続けちゃって。最後にはOKが出て、控え室に戻って。そしたらその子が駆け寄ってくれて。泣けちゃいました」

Prfm Perfume Perfume_um FuturePop l'officiel

PERFUME TAKE ON THE WORLD AND THE UNIVERSE

訳出元:  http://ladygunn.com/music/perfume-takes-on-the-world-and-the-universe

LADYGUNN 12月6日掲載

執筆者: Erica Russell

直接会ってみると、Perfumeはまさに私が想像していた通りの人たちだった。ふんわりと美しく、ごく自然にオシャレで、天真爛漫な、のっち(大本彩乃)、あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)。ソールドアウトとなった、ニューヨーク・ハマースタイン・ボールルームでのショウを前に、私が腰を下ろして語らった時の喜び。私たちの会話は言葉の壁が邪魔にはなったけれど、ファッションから国際的なファンについてまで、あらゆることに及んだ。

広島出身で、東京を拠点に活動するPerfumeは、BABYMETAL、宇多田ヒカル、きゃりーぱみゅぱみゅのように、いくつかのJ-Popアーティストが到達したエリート級の国際的な成功を西洋の音楽市場で成し遂げ、アメリカでのファン層の拡大を続けているー 彼らは日本国内のファンに負けず劣らず熱狂的で情熱的で、この成功を裏付けている。驚くことではないが、前述のファンたちの前で、エネルギッシュ、ダンス指向で有名なライブを展開する時、彼女たちはもっとも力を感じるという。

「踊ってる時に、すっごく心の中で感じるんです」のっちが通訳を介して答える。そうした観客の反応が、彼女と他のメンバーを勇気づけると教えてくれ、「あんまり自分に自信が持てない時って、お客さんを見渡して、その中に笑顔を見つけるんです。私のまわりや、目の前とか。どれくらい盛り上がってるかな、って」

日米のファンの違いについて尋ねた時、このエレクトロポップグループが教えてくれたのは、双方のファン層が異なる曲に惹かれているだけでなく、観客としての行動もまた、文化的な色を映すようだ、ということだった。

「アメリカのファンの人たちって、すごく自分たちの感情に正直ですね。代わりに日本のファンの人たちは周りに合わせて抑えがちというか、あまり興奮を表に出さないっていうか」かしゆかが説明する。「日本の観客の前でパフォーマンスする時、それは「私たち三人と、みんな」なんですけど、アメリカだと「私たち三人と、ひとりひとり」なんです」

アメリカにおける彼女たちの人気は、きらめくリリースごとに急速に拡大しているが、それも不思議なことではなく、3人のパフォーマーは英語を習得中だ。

日本国外の国際的な市場でブレイクするために最も困難な点は、いうまでもなく言葉の壁。彼女たちは(英会話の)レッスンのおかげで、前回のアメリカツアーよりも、現在はより深みを持って理解できているようだと教えてくれた。しかし彼女たちはまだ、感じたことやその全てを英語で伝えることは出来ず、それがちょっとした苛立ちのようだ。にもかかわらず、ファンと心が繋がった時、それが彼女たちをよりハッピーに、そして励ましてくれるのだという。

のっち、かしゆか、あ〜ちゃんを突き動かすものが献身的なリスナーたちであるいっぽう、彼女たちを結びつけるもの、それは友情(”yuujou”)だ。

「私たちは友達なんですけど、でも。それ以上のものを持っとるというか。もっと、家族っぽいんです」あ〜ちゃんが語る。「でもおんなじように、同時に働く関係性もあるというか、あります。私たちの間にはいろんなことがあるんですけど、夕食に出かけたり、一緒に飛行機に乗っとる時は、友達っぽいかなあ」「すっごく楽しいよね」のっちが付け加え、「どうしてかっていうと、私たち、一緒に歳をとって、一緒に同じ景色を見てきましたから。言葉がいらないんです。お互いに顔を見渡して、同じ理由で笑い始めたりできるし」

「私、他の誰ともツアーしたことないけど、もしもそっちがもっと楽しかったらどうする?」かしゆかが皮肉っぽく言って、友達の三人は笑い始める。

私が彼女たちに、共に過ごしてきた中で一番変化したことは何?と尋ねると、15周年を迎えたPerfumeは再び笑って、自分たちの年齢を教えてくれ、「私たち、こんなに長いこと一緒にいるなんて思わんかった!でも、今でも毎日、おかしなことでおんなじように笑い合ってますね」

2016年4月、Perfumeは5枚目となるスタジオアルバム『Cosmic Explorer』をリリースした。きらきらと輝く宝石のようなシンセ・ダンス・ポップのコレクションには、レコーディング終了までアルバム名が付けられていなかったのだとPerfumeは明かしてくれた。『Cosmic Explorer』という名の最後の曲が収録されると、それはたちまち運命のように、広大な銀河を渡るビートとポップの開拓者たちの新たな音色(ねいろ)の完璧な礎となった。

私は練習した日本語で、好きな曲は『STAR TRAIN』だと彼女たちに伝えた。喜びに満ちた、躍動感のある、メロディアスなエレクトロポップで、ここアメリカのTOP40も簡単に射程に収めるんじゃないの、と私は想像する。メインストリームのラジオ局が、言葉の壁を少しばかり緩めてくれさえすれば。

かしゆかにとって、お気に入りの一曲は『Baby Face』。「私たちのラブソングって、基本的には密かに思ってる年上か、同い年の誰かについてなんですけど、これは年下の男の子で、歌詞もすごく可愛くて。歌うのが楽しいんです!」「私は『FLASH』が好き」のっちが答え、「一回のライブで、この一曲のためだけに60%ぐらいのエネルギーを使うんです」あ〜ちゃんはタイトル曲である『Cosmic Explorer』が好きだという。なぜなら「とんでもなく大きな曲で」彼女は説明し「何世代も何世代も海を眺めているみたいな。すごく普遍的な歌だと思う。まだ見ぬ冒険みたいな ー 私たちの夢やモチベーションと歌詞がシンクロしてますね」

それは確かに普遍的な物語で、このアルバムの残りの部分とも通底するテーマだ。リスナーは国籍や言葉、年齢を超えて自分自身をそこに投影できるだろう。そして、まさにその通りなのだけれど、Perfumeにみんながこのアルバムを聴いた時に何を感じて欲しいかと尋ねたら、彼女たちはにっこりと笑って、ただシンプルに「幸せです」と答えてくれた。

「私たち、みんなに踊って欲しくて」のっちが言って「朝に聴いて、一日を元気に過ごして欲しいなって思います」

管制室よりコスミック・エクスプロラーへ:ミッション完了。

Prfm Perfume LADYGUNN CosmicExplorer

Meet the J-Pop Band With the Best Hair in Music

訳出元: http://www.vogue.com/13476790/perfume-j-pop-band-hair-beauty-routine/

VOGUE 10月10日掲載

執筆者: MONICA KIM

 ロウアー・マンハッタンのスタジオで、三人のありえないほど小柄な女性たちが、気を付けの姿勢から艶やかな髪をなびかせ、数秒ほどのひと続きのジェスチャーをその手でかたち創る。即興ダンスの披露のようなこのシーンは、かしゆか、のっち、あ〜ちゃんからなるPerfume ー愛すべきJ-Popトリオー が5枚目のスタジオアルバムのプロモーションでこの街を訪れた際のことで、彼女たちはかれこれ13年もの間、予測不能で催眠的なハーモニーが惹き寄せる、ゾクゾクするような囁きを保っている。

「こういったシンクロに現れる美しさが、鳥肌ものだと思うんです」振付師のMIKIKOが何年も前に考案し、グループのトレードマークとなった振り付けについて、のっちが答える。色褪せない魅力の秘密のひとつだ。「実際、完璧には程遠いんですけど・・・まだ」ふざけながらも大まじめにあ〜ちゃんが付け加える。彼女たちの、この世のものとも思えない素早く波打つ動きを得るためには、何時間という骨の折れるリハーサルが必要だと思えるが、実のところ、それぞれの曲にかける時間は二〜三時間で、あとは個人練習で習得するのだという。「朝、顔を洗いに行って、(洗面所で)振り付けを一通りやって」あ~ちゃんがパントマイムで手首をせわしなくひねったり振ったりしながら説明し、「電車に乗ったら、窓で自分を見ながら、デパートへ行けばお店の鏡で、繰り返し繰り返し、やりよるんです。しまいに覚えとる」

このグループがこれほどの長寿を維持しているのは驚くことでもなく、ニューリリースがチャートの上位に食い込み、いくつかのワクワクするようなプロジェクトが現在進行中で、国際的なスポットライトの元へ彼女たちを押し上げている。魔法のような効果を付け加える彼女たちの輝く髪は、スタイルをこの10年以上一度も変えたことがなく ーパーマ、ボブカット、切りそろえた前髪に腰長の広がりー 小学校以来だという。「過去には変えたいなって思ったこともあるんですけど」かしゆかが回想し、「今は何を着ていても、みんながかしゆかだって分かるし ーそれってすごいことですから」人生を変える魔法と呼ぶにふさわしい、正真正銘の美の証だ ーそしてもう一つの理由、私たちはPerfumeから目が離せない。

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