公会計の動向
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

財政調整基金残高が増大している

 10日付け日経朝刊に掲載された「自治体の「貯金」8.6兆円 平成以降で最大、昨年度末1.7兆円増」〔地方財政エディター 杉本耕太郎〕は、総務省がまとめた2021年度末の自治体全体の財政調整基金残高(速報値、一部事務組合など含まず)が20年度末から1.7兆円増の8.6兆円となり、平成(1989年)以降で最大となったと報じる。企業業績回復などによる税収、地方交付税の増加が追い風となっているとか。

 

一律給付を行おうとしている自治体がある

 朝日新聞サイトが11月3日に掲出した「1人5万円還元公約の新市長 市の貯金全て取り崩しへ」〔小川崇〕は、愛知県岡崎市の中根康浩市長が2日、公約の「1人5万円還元」に向けた財源について、市の貯金にあたる財政調整基金約81億円をすべて取り崩し、目的別の基金も廃止すると明らかな舌と報じる。総額約195億円の一般会計補正予算案として、6日の臨時市議会に提出するもので、財政調整基金だけでは足りず、老朽化した公園や文化施設などの整備に積み立てた五つの基金も取り崩す内容で、そのための条例廃止案も提出するとのこと。中根氏は「新型コロナウイルスは激甚災害に相当する市民の大ピンチ。(取り崩しの)デメリットを上回るメリットがあると判断した」と説明したと記事は伝える。補正予算案などは9日に採決されるが、一部議員からは「基金をゼロにする影響は大きい。現実的な議論をしたい」「200億円使うのにこのプロセスは不十分。なぜ岡崎だけが大ピンチとなるのか説明が必要」と疑問視する声が出ている。

 

 財政にゆとりがあるということか……

 

 

会計検査院の情報提供の受け付け

 河北新報サイトが9月21日に掲出した「持続化給付事務再委託 仙台市民オンブズマン、会計検査院に是正措置促す」は、新型コロナウイルス対策の持続化給付金事業を巡り、事務委託事業費の97%が電通に再委託された問題を受け、仙台市民オンブズマンが20日、オンラインで開かれた市民オンブズマンの全国大会で、会計検査院に是正措置を促すよう、全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)に提案したと報じる。今後、全国の会議で具体的に協議される見通しと記事は伝える。仙台市民オンブズは書面で、経済産業省から事業を受託した一般社団法人が電通に事業を再委託した経緯について指摘し、「法人に業務を推進できる物的、人的な体制がなく、経産省は法人設立に関わった電通などに業務をさせると十分把握していた」などとしているとのこと。「事実上、名義を貸すだけのトンネル法人を介在させる理由はない」と批判し、会計検査院が一連の契約を調査する必要性を強調し、是正されない場合、国の違法な財務会計行為を国民が問える訴訟制度を創設するよう、オンブズが活動すべきだと訴えたと記事は伝える。

 地方政府には住民監査請求制度があるのに対し、国の場合は相当する制度がないことから、その創設を図るために、明示的な問題を挙げて制度の瑕疵を証明しようとする動きだろう。

 

 ちなみに、会計検査院サイトでは、次のように情報提供を呼び掛けている。

会計検査に関する情報を受け付けております。
会計検査院の検査対象である国や国が資本金を出資している法人、国から補助金を受けている都道府県・市町村・その他の団体などの事務・事業や会計経理について、不適切、不経済、非効率、効果不十分などと思われる事態がございましたら、情報をお寄せください。会計検査の参考とさせていただきます。

 

委託事業の中間検査

 毎日新聞サイトが6月30日に掲出した「持続化給付金事業 外部専門家も入れ異例の「中間検査」 経産省」は、中小企業などに現金を支給する「持続化給付金事業」を巡り、経済産業省が事業の予算執行が適正か調べる「中間検査」を始めたと報じる。下請け業者が多数介在する委託の構造に「不透明」との批判が集まっているため、受注した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」の外注先についても支出された経費が妥当かどうかを調べるとのこと。検査結果は報告書として公表する方針で、同事業を巡る疑念にどこまで答えられるかが注目されると記事は評する。

最高裁が、総務省の恫喝的指導に待った

 日経サイトが6月30日に掲出した「ふるさと納税訴訟、泉佐野市が逆転勝訴 最高裁判決」は、ふるさと納税制度の対象自治体から除外したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が除外決定の取り消しを求めた訴訟の上告審判決が30日、最高裁であり、第3小法廷が、国勝訴とした大阪高裁判決を破棄し、除外決定を取り消したと報じる。裁判官5人全員一致の意見で、泉佐野市の逆転勝訴が確定したとのこと。返礼品の割合を3割以下とするなどの規制基準を定めて対象自治体を指定する新制度を導入した際、過去の泉佐野市の返礼品の取り扱い状況に基づいて除外を決めたことが妥当かどうかが最大の争点で、同小法廷は判決理由で「新制度の施行前は、返礼品の提供で特に法令上の規制は存在しなかった」とした上で「新制度は一定の対象期間の寄付金募集実績に関するもので、施行前の過去の実績をもって(泉佐野市を)不適格とすることを予定していると解するのは困難」としたとの由。新制度に関する国会審議についても「過去の実績を基に不適格にできる前提で審議されたとはいえない」と判断したとか。泉佐野市が「キャンペーン」として返礼品にアマゾンギフト券を上乗せするなどしたことには「寄付金集めをエスカレートさせ、社会通念上の節度を欠いた」とも述べたが、それでも施行前の実績を理由に、同市が将来も同様の対応をするとは推認できないと指摘し、過去の実績に基づいて同市を除外した国の対応を「違法で無効なものだ」と結論付けたと記事は伝える。ふるさと納税は生まれ故郷など応援したい自治体に寄付すると居住地の住民税などが控除される制度で、2008年に導入され、豪華な返礼品で寄付金を集める競争が過熱し、国は15年以降、高額返礼品や商品券などを提供しないよう求める通知を出していたが、地方税法改正に伴い、19年6月には「返礼品は寄付額の3割以下とし、地場産品に限る」との基準が加わり、対象自治体を指定する新制度が始まったという。国はこれに先立つ19年4月、「18年11月以降、趣旨に反する方法で多額の寄付金を集めた自治体は除外する」と告示し、18年度に全国の1割弱に当たる497億円を集めていた泉佐野市など4自治体を除外したとの由。  制度設計に無理があったのに、制度が存続された政治力学はどこにあったのだろう。

愛知県が3公社の統合を検討している

 建通新聞サイトが1月5日に掲出した「<a href="http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/141225300099.html" target="_blank">愛知県 道路公社など3公社の統合を検討へ</a>」は、愛知県総務部が策定した第6次行政改革大綱「しなやか県庁創造プラン」について、を<strong>道路公社、土地開発公社、住宅供給公社の3公社の統合<strong></strong></strong>を検討することや、予防保全型の維持管理により長寿命化を進めるため、「県有施設利活用最適化に係る基本的方向性」(仮称)を26年度中に策定することなどを盛り込まれていると報じる。

総務省が経営戦略策定を求めている

 信濃毎日新聞サイトが1月5日に掲出した「町村の水道事業や土地改良区の小水力発電 県企業局、一括請け負い」は、長野県企業局が小規模町村の水道事業や土地改良区が管理する農業用水路での小水力発電について、設備更新や整備を一括して請け負う構想を進めていると報じる。電気・水道事業を経営する県企業局の人材やノウハウを、水道の設備更新に悩む小規模町村の支援や小水力発電普及に役立てるもので、4月から新たに作り始める企業局の経営戦略に盛り込み、来年度以降の実施を想定しているとか。資金調達も代行するため、自治体向けの借金「公営企業債」を使えるよう国に働き掛けているとのこと。構想は、公共施設の設計や建設、維持管理、運営などをノウハウのある民間に一括して委ねる「PFI」と呼ばれる手法にちなみ、「企業局版PFI」と銘打って検討しており、水道事業の専任職員確保が難しく設備更新に二の足を踏む小規模町村や、農家の高齢化が進む土地改良区から県企業局が事業を受託、代行するとのこと。人材難に悩む小規模町村の水道事業は、設備の更新計画立案、資金調達、工事まで一括して県企業局が担い、経費は企業局がいったん立て替え、その後に人件費分も含めて町村側が分割で企業局側に返済するとしているとか。小水力発電は、企業局が土地改良区から設備の設計や施工を受託し、初期投資も立て替えて整備し、改良区は、国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を活用して得た売電収入により、分割で企業局側に返すとしているとか。総務省は昨年8月、全国の地方公営企業に対し、安定的な経営の確立を念頭に将来の事業方針を定める経営戦略を作るよう通知しており、県企業局は、水道、発電事業の経営基盤を固めつつ、人口減が進む地域への貢献を事業の柱とする方針を決めたとの由。

公表資料:公営企業の経営に当たっての留意事項について〔総務省〕

合併で大きくなった上越市が三セク持ち株会社を設立

 上越タウンジャーナルが25年9月1日に掲出した「上越市の三セク持株会社設立 2年後の全社黒字化目指す 」は、新潟県上越市の第三セクター7社を傘下に置く持株会社「J─ホールディングス」の設立記念式典が9月1日に同社の本社となる同市西本町4の直江津屋台会館で開かれたと報じる。観光を中心とした各社の収益構造を改善し、2年後の全社黒字化を目指すと記事は伝える。市町村合併により同市では温浴施設など類似の三セクが多く、財務体質のぜい弱さなど経営面での課題があり、市は22年から持株会社化に向けて検討を進めてきており、今回、同市が50%以上出資する7社による持株会社が設立されたとのこと。社長には公募で選ばれた同市出身で元JCB北海道監査役の伊藤利彦氏が就任し、式典で伊藤社長は「7社がそれぞれの独自性を発揮し、上越市の魅力を高める存在になるようにしたい。道は大変厳しいが、人材と素材は揃っている」とあいさつし、また取材に対して「来年度には7社の黒字化のめどを付けて、翌2015年度には持株会社を含む全社の黒字化を目指す」と目標を語ったとか。村山秀幸市長は「会社設立はゴールではない。各施設の魅力を向上させてそう遠くない時期に利用者や地域に持株会社化のメリットを還元してもらいたい。地域観光のリーディングカンパニーになってほしい」と期待したとのこと。


松戸市が土地開発公社を解散へ

 千葉日報サイトが25年8月29日に掲出した「市土地開発公社解散へ 負債82億、市が肩代わり “塩漬け”は2万平方メートル 松戸 」は、松戸市の本郷谷健次市長が28日の定例会見で、市が100%出資する外郭団体「松戸市土地開発公社」を来年3月をめどに解散させる方針であることを明らかにしたと報じる。

国庫補助を受けるために三セクを解散して一部事務組合へ

 紀伊民報サイトが25年8月23日に掲出した「紀南環境整備公社が9月30日解散を決議 一部事務組合に引き継ぎ」は、和歌山県の紀南広域でごみの最終処分場の建設計画を進める財団法人「紀南環境整備公社」(理事長=真砂充敏田辺市長)が28日、田辺市内で理事会・評議員会合同会議を開き、9月30日での解散を決めたと報じる。事業、財産は一部事務組合に引き継ぐとのこと。代表清算人には真砂市長を選任したとか。公社によると、設立当初に比べリサイクルが進み、紀南地域の産業廃棄物が減少しており、処分場の規模を縮小した現計画は、国庫補助の対象外になるとのこと。一方、地方公共団体が実施主体であれば、現計画の規模でも交付金の対象となり、国の財政支援を受けるため、公社は事業主体を一部事務組合に変更することを決めたとの由。受け皿となる一部事務組合「紀南環境広域施設組合」は、今月1日に設立された。みなべ町以南の北山村を除く10市町で構成し、管理者は田辺市長とのこと。公社は県知事の認可を経て正式に解散後、一部事務組合に全財産を寄付するとか。公社の会議は今回で最後で、真砂市長は「事業の引き継ぎがスムーズに進むよう努めたい」、産業界から参加していた副理事長の橘一郎田辺商工会議所会頭は「事業主体を離れるが、事業のさらなる推進に協力したい」と述べたと記事は伝える。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>