野尻抱介「南極点のピアピア動画」

南極点のピアピア動画
早川書房 (2013-01-25)
売り上げランキング: 786
仕事の都合でまたも本を読む時間のない日々を過ごしておりました。
気になってた本作品、セール入りしてくれたので購入。ほとんど前知識無しで読み始めた。短編集だということすら知らなかった。やけにとんとん拍子で話が進むな、御都合主義もいいところだ、と思ってたら1話目が終わって「短編集だったんか!」という。
現時点ですでに確立している技術や、ある程度目処がついている理論なんかをちょっとだけ進めた、日常の延長上のSFという感じか。なんて思いつつ、2話目まで読んだあたりで本を読めない日々に突入して、一ヶ月くらい経ってまた読める生活に復帰して、3話目から続きを読み出したら、なんじゃこらー!!と魂消まくり。ええええまじで!? そんなの出てきちゃうの? そんなことになっちゃうの? と本当にワクワクした。特に4話冒頭の辺りは、もう半分泣きながら読んでた。よくわかんないんだけど。話の展開で予想を大きく裏切られた(いい意味で)衝撃に、作中で常識が完全に1回破壊されてまた組み立てられていく様がリンクしたのかもしれない。本当に貴重な感覚を味わった。感動、感情が動くという意味ではすでに今年一かもしれない。あー、本当に面白かった。

Kindleストア 今週のセール

Amazon.co.jp: Kindleストア: Kindle本セール

マニマニ
マニマニ
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祥伝社 (2013-01-25)
とても好きな作品なので買おうかとも思ったのだけども、前に書いたように漫画はPaperwhiteやiPhoneでは読む気にならないし、iPadは持ち歩かないから電子版を所有する意味が薄い。電子版を買って本を手放すつもりもない。なので今回は見送ることにする。

ゆらぎの森のシエラ (創元SF文庫)
東京創元社 (2012-01-01)
売り上げランキング: 22
この人の作品は「永遠の森 博物館惑星」だけ読んだことがあって面白かったのだけども、じゃあ他の作品もあれこれ読んでみようというところまでは行かなくて。他に読む本がなかったら買ったかもしれないけど、今回はスルー。

天使の囀り (角川ホラー文庫)
角川書店 (2012-12-04)
売り上げランキング: 3
貴志祐介はかなり信頼している作家ではあるが、ミステリ系ばかり手を出していてまだホラーサイドは読んだことがない。なので読んでみてもいいのだけど、どうもレビューをちら見してみるとグロも入ってるっぽいし、どうせなら「黒い家」が読みたいなあ、ということでスルー。

というわけで今週は1冊も買わなかった。

Kindleの付き合い方

セールと通常価格

今のところセール本しか買っていない気がする。
セール本は毎週金曜に入れ替わる。一週間の仕事を終えて家に帰って、PCの電源を入れブラウザを立ち上げ、「お、今日は入れ替えの日だな」と思いだしてKindleストアを覗く。欲しい本が1冊もない週もあるけど、多い時は「読んでみたいな」程度の本なら4~5冊ある時もある。1冊もなければ当然買わないし、複数あればある程度優先度を決めて2,3冊ほど買う。いずれ読むなら安いうちに買ってしまえばいいのかもしれないけれど、まだちょっと読むペースも安定していないので抑え目に。
紙の本で持っているけどすごい好きなので電子版で手元に置いておきたい、という作品は、セールになってたらパッと買っちゃう。今のところ既読で買ったのは「しゃべれどもしゃべれども」だけだけど。大崎善生作品も欲しいのだけど、セールにならないかなあ。待ちきれなくなったら買っちゃうかも。あと「夕凪の街 桜の国」も迷ったのだけどPaperwhiteで漫画は厳しいし、iPhoneでも到底無理だし、iPadは持ち歩かないから電子版を所持する意味は薄いし、ということで見送った。
今のところセール本でじゅうぶんに時間を潰せる、というと言葉は悪いけど、興味が持てる本に巡り会えている。この調子でいくと、仮に月に4冊、すべてセールで250円オフと仮定すれば、年で12000円節約できる。Kindleの端末代分を完済しておつりがくる。素晴らしいなあ。
セール以外の本については、やっぱりまだちょっと価格的に手を出しにくい。紙の本の5%引き程度だと、売る気ないのかなーなんて思っちゃう。それでも本当に欲しいなら買うと思う。今迷ってるのはミーハーだけどビブリア。ドラマが悪い意味で話題になって、みんながそこまでこだわる本作はそんなに面白いのか、栞子さんとはそんなに可愛いのか、あらすじを読んだらおれ好みじゃないか、と気になっていたところに颯爽とKindle化。まだセールで買った未読本があるので踏みとどまっているが、そのうち買ってしまうかもしれない。

KDP

KDP作品は今のところ「Gene Mapper」1冊しか読んでいない。さすがにある程度の数のレビュー(ストア外も含めて)が出てきていないと手を出しにくい。あれだけ話題になった「Gene Mapper」も、さすがに編集の手が一切入ってないということで読みにくい部分も多々あったし。同人小説を読む習慣が無いのでバイアスがかかってしまうというのも多分にあるとは思うけど。
個人的には素人の荒削りな小説よりある程度筆力が担保されている有名ブロガー(好きな呼び方じゃないけど)の厳選記事まとめみたいなものを安価(あるいは無料)で売ってくれないかなあと思う。時事ネタは厳しそうだけど。今でいえば、残念ながら先日逝去した飯野賢治氏の作品「風のリグレット」のシナリオが無償公開されたけど、あれも体裁を整えてKindle化してくれればある程度の金額で買うのになあと思う。

端末

元々“本”というものが好きだったので、電子書籍にうまくなじめるか不安もあったけど、正直杞憂だった。読み始めてしまえば同じ“物語”だった。逆に、何となく欲しいかなあ、買ってみようかなあと思った本がKindleになくて、その時に「紙の本で買ったら荷物になるから止めよう」と考えていることに気付いて愕然とした。でも別に本が嫌いになったわけじゃなくて、好きな作品は本で持っていたいと思う。突き詰めて言ってしまえばおれが求めているのは“お話”、“物語”であって、それが紙の本であろうとデータであろうと構わないのだな。それとは別の話で、本というメディアが好きだし電子書籍というメディアは便利だ。そういうことなんだな。

伊坂幸太郎「SOSの猿」

SOSの猿 (中公文庫)
中央公論新社 (2013-01-11)
売り上げランキング: 113
五十嵐大介「SARU」と対になる作品。Kindleストアにあったー、読みたいなーと思ってたらすぐにセールになってくれたので飛び付いた。嬉しい。
「SARU」を先に読んでいたので、符号が見つかるたびにニヤニヤしてた。いつもの伊坂の文体と、他作品のリンクも健在。まあ面白くはあったけど、 「SARU」がすごいスケールの大きな話だったのでこの“町内サイズ感”はちょっと拍子抜けだったか。
なんかこう、伊坂って毎回読む前はすごい期待しちゃうんだけど、読み終わると「それほどでもなかったな・・・」って思う、のにまた読む時はとても期待しちゃう。なんでだろう?
SARU 上 (IKKI COMIX)
SARU 上 (IKKI COMIX)
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五十嵐 大介
小学館
SARU 下 (IKKI COMIX)
SARU 下 (IKKI COMIX)
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五十嵐 大介
小学館 (2010-10-29)

鈴木みそ「僕と日本が震えた日」

僕と日本が震えた日
僕と日本が震えた日
posted with amazlet at 13.02.25
鈴木みそ (2013-01-29)
この人の作品は全く読んだことが無かったのだけど、Kindleストアで「限界集落温泉」が売れてるっぽいなーという話と、自身のブログで売り上げについて言及しているのが目に入ってきていて、しかも電子書籍に関してとても前向きな意見を持っているようで気になってはいた。というところで本作がKindleストアでセールになった、というのと、正直Kindle Paperwhiteでは漫画を読むつもりはなかったのだけど、iPadが手に入りそちらのKindleアプリなら漫画もありかと思っていたタイミングだったので、サンプル版を落としてみた。冒頭を読んでみたら売り上げが寄付に充てられるらしいので、ああじゃあもう買っちゃおう、と購入。・・・してから、寄付になるならセールじゃない時に買った方が良かったんじゃんか! と思ったけど、まあセールにならなければ読むこともなかったかもしれないわけだし、巡り合わせよね。
内容はあまり深く掘り下げているわけでもなく、今となっては目新しさはないかもしれないけど、作者自身の家族の話は印象深かった。
で、iPadで読み終わってから試してみたけど、やはりPaperwhiteでは見れた物じゃないな、漫画は。

Fujii Taiyo「Gene Mapper」

Gene Mapper (ジーン・マッパー)
Taiyo Lab (2012-07-12)
売り上げランキング: 332
Kindleストアで人気あるみたいだなーとは気付いてたけど、セルフパブリッシングとは知らなかった。何それすごい、と安いうちに買って読んでみた。
プロの編集者の手がいっさい入っていないということで、さすがに読みにくさがある。いまいち状況が浮かんでこない。拡張現実という、現状では(まともに)実現していない技術が核にあるせいもあるのか。最初にもう少し丁寧に説明しても良かったのかも。
それでも中盤は盛り上がってワクワクもしたが、最後の山場では盛り上がりきれず、尻切れトンボな感じ。勝手に出てきた周りの人が勝手に終わらせちゃったみたいな。もったいない。 まあいちばんすごいのは、作品としてちゃんと発表にこぎつけたという点だな。そこは最大級の賛辞を送る。
本筋と関係ないけど主な舞台となったベトナムが好きなのでいろいろニヤニヤできた。

星新一「きまぐれロボット」

きまぐれロボット (角川文庫)
角川書店 (2012-10-16)
売り上げランキング: 126
星新一ショートショート。Kindle版が306円と多少安くなってたので買ってみたが、正直期待しすぎた。時代もあるんだろうが。しかもあっという間に読み終わってしまってコストパフォーマンス的にお得感がない。

フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
早川書房 (2012-08-01)
売り上げランキング: 220
キャッチーなそのタイトルは何度も目にしてきたけど、読んだこともなければ内容も知らなかった本作品。Kindleストアで323円と多少安くなってたので買ってみた。
元々海外作品の翻訳ものが大の苦手なうえに馴染みの薄い硬派古典SF、しかも2年ちょっと読書から離れていたというのもあって、下手すると途中で挫折するかなあ、と思っていたのだけれど舞台設定がわかってくるにつれて意外とすんなり入り込めた。そして読み進めるうちにがっつりはまっていった。中盤の二転三転するあたりがもうドキドキで。なんか本来のテーマとは別のところを面白がってる気もするけど。
ところで読みながら「映画化したらカッコよさそうだなあ」とか考えてたら、ブレードランナーなのか! しかも「トータルリコール」とか「マイノリティリポート」の原作者でもあるのか。全然知らなかった。SFには本当にうとい。他の作品も安くならないかなあ。