重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探究メモなど。

開催記録:オンライン勉強会「AI科学を哲学する?」(w/高木史郎さん)

2024年4月4日に、独立研究者の高木史郎さんとともに、オンライン勉強会「AI科学を哲学する?」を開催しました。以下はその簡単な記録です。 開催の経緯 発端は、昨年末に高木さんがArxivに投稿されたプレプリント論文でした。機械学習の研究者として、自律的…

進退報告メモ:JSTを退職して個人事業主になります

年度の変わり目。皆様変化の季節を迎えていることと思いますが、私(丸山)も一区切りのタイミングとなりました。今月末をもって、現職の科学技術振興機構(JST)を退職し、4月からは個人事業主となります。すでに口頭で説明済みの方も多くいらっしゃいます…

【再掲】読書メモ:『うつ病 隠された真実』(ヨハン・ハリ著)

うつ病 隠された真実: 逃れるための本当の方法 作者:ヨハン・ハリ 作品社 Amazon 5年前に読んだJohann Hari "Lost Connections"の翻訳が出たようなので、読書メモを再掲します。 ==== Lost Connections: Why You're Depressed and How to Find Hope 作者…

読書メモ:『エッセンシャルワーカー:社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』(田中洋子 編著)

エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか 旬報社 Amazon 本書は、日本のエッセンシャルワーカー、つまり「社会に不可欠な仕事をしている人たち」に焦点を当て、その処遇が悪化してきた実態とその背景を、10を超える業種のケ…

2023年を振り返る

一年の振り返りに今年は1時間くらいしかとれない。 本業のこと 現職に来てから丸3年経った。自分の限られた経験と能力、そして組織から与えられた任務という制約の下で、税金で雇われている自分の存在をどうしたらネットポジティブにできるか悩みながら、結…

2024年、AIニュースをどう追っていけばいいのか? ~「AIメディアリテラシー」試論~

2016年12月、このブログに「人工知能をトランスサイエンス問題として考えてみる」という記事を書いた。トランスサイエンスというキーワードを使って、AIが社会や自分の生活に与える影響について考える心構えを整理してみたものだった。 それから7年たち、202…

読書メモ:The Worlds I See (by Fei-Fei Li) 米国アカデミア屈指のAI研究者の半生

The Worlds I See: Curiosity, Exploration, and Discovery at the Dawn of AI (English Edition) 作者:Li, Fei-Fei Flatiron Books: A Moment of Lift Book Amazon 近年の人工知能分野を牽引している研究者と言えばOpenAIやAnthropicなどのスタートアップ、…

読書メモ:『励起(上・下)』(伊藤憲二 著)――今読まれるべき1000ページの「科学史的伝記」

励起 上――仁科芳雄と日本の現代物理学 作者:伊藤憲二 みすず書房 Amazon 励起 下――仁科芳雄と日本の現代物理学 作者:伊藤憲二 みすず書房 Amazon 日本の物理学者、仁科芳雄(1890~1951年)の伝記である。 上下巻、2段組ハードカバーで合計1000ページ*1に迫…

記録メモ:日経サイエンス2023年10月号への寄稿

久しぶりの投稿は、仕事(業務外)の記録。 日経サイエンス2023年10月号 [雑誌] 日経サイエンス Amazon 科学雑誌『日経サイエンス』の2023年10月号(8月発売号)の、二つの記事に関わらせていただいた。 1)「脳とAI 溶ける境界 大規模言語モデルが開く脳の…

読書メモ:Nita Farahany ”The Battle for Our Brain” …ニューロテクノロジーの時代に守るべき「自由」とは

The Battle for Your Brain: Defending the Right to Think Freely in the Age of Neurotechnology (English Edition) 作者:Farahany, Nita A. St. Martin's Press Amazon 脳から情報をとる、脳に直接働きかける。5年前なら「未来の話」だったであろうニュー…