ヨーロッパ中世の社会史 増田四郎 講談社学術文庫
2024.03.28 Thursday | by sanasen
1985年に岩波書店から出された本が2021年になって講談社学術文庫から再度発行したもの。著者は1997年になくなっているので書き足しなどはあるはずもない。参考文献も岩波版が発行された年より古いものである。
それでも出版する価値があると講談社に思われたことが関心を引いた。
著者は西ヨーロッパが世界の覇権を一時握った理由が気になって、日本と比較する目的などを持って、あちらの事情を研究している。
ゲルマン人の大移動から地域ごとに生まれた違い、西ヨーロッパと東ヨーロッパの違いなど分析されているが、北ヨーロッパと南ヨーロッパの違いの方が印象に残ったかもしれない。北と南と言っても西ヨーロッパ内部でのことに近い。
この2つの間に違いがあったことで交易が盛んに行われ発展に繋がったわけだが、それが東西の関係では行けなかった理由はなんだろう。違いすぎず似すぎない適度な距離感が必要なのかもしれない。
もっとも東西交易が産んだ都市についてもハンザ同盟の都市とイタリアの都市が話には出てきた。まず東西交易で発展した南北の都市が、今度は西ヨーロッパの内側で南北交易するときに完成するものがあった?
南北での商習慣の違いなども説明されていたが、そこも化学反応を起こしたのだろうな。
辺境からこそ変革が起こるという著者の「辺境変革論」は、例に挙げられなかったが中国の燕雲十六州にも当てはまるかな。辺境ゆえに軍事力が集まっていることも、かなり効いている気がする。
だから今の日本では東京以外から変革が始まるのは難しいかもしれない。もしかしたら、北海道に軍事力を集中して開発に税金を投じ続けていたら何か起こったのだろうか。
地名の語源に関する知識がたくさん出てきて著者の博学ぶりを味わえた。日本の地名と比較して考えれば現地の人には何となくで感じられることなんだろうなぁ。
それでも出版する価値があると講談社に思われたことが関心を引いた。
著者は西ヨーロッパが世界の覇権を一時握った理由が気になって、日本と比較する目的などを持って、あちらの事情を研究している。
ゲルマン人の大移動から地域ごとに生まれた違い、西ヨーロッパと東ヨーロッパの違いなど分析されているが、北ヨーロッパと南ヨーロッパの違いの方が印象に残ったかもしれない。北と南と言っても西ヨーロッパ内部でのことに近い。
この2つの間に違いがあったことで交易が盛んに行われ発展に繋がったわけだが、それが東西の関係では行けなかった理由はなんだろう。違いすぎず似すぎない適度な距離感が必要なのかもしれない。
もっとも東西交易が産んだ都市についてもハンザ同盟の都市とイタリアの都市が話には出てきた。まず東西交易で発展した南北の都市が、今度は西ヨーロッパの内側で南北交易するときに完成するものがあった?
南北での商習慣の違いなども説明されていたが、そこも化学反応を起こしたのだろうな。
辺境からこそ変革が起こるという著者の「辺境変革論」は、例に挙げられなかったが中国の燕雲十六州にも当てはまるかな。辺境ゆえに軍事力が集まっていることも、かなり効いている気がする。
だから今の日本では東京以外から変革が始まるのは難しいかもしれない。もしかしたら、北海道に軍事力を集中して開発に税金を投じ続けていたら何か起こったのだろうか。
地名の語源に関する知識がたくさん出てきて著者の博学ぶりを味わえた。日本の地名と比較して考えれば現地の人には何となくで感じられることなんだろうなぁ。
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