星出宇宙飛行士と小型衛星放出機構

2012年1月25日 NVSの取材として、小型衛星放出機構を見てきました。

これは、国際宇宙ステーション(ISS)のきぼう日本実験棟にある
エアロックとロボットアームを利用して、キューブサットクラスの衛星を
宇宙空間に放出することが出来る装置です。

星出飛行士による説明の動画はこちら


ニコニコ動画はこちら

■各部分の紹介

小型衛星放出機構は土台の部分の「親アーム先端取り付け型実験プラットフォーム」
と「衛星搭載ケース」に分かれてHTV(こうのとり)3号機の与圧部に搭載される予定です。
きぼうのエアロックを通過できるサイズとなっています。


衛星搭載ケース(ダミー搭載状態)です。
小型衛星を詰めた状態で輸送し、宇宙ステーションで飛行士がプラットフォームに取り付けます。
そうすることで、太陽電池など微細で影響が出やすい部分が多い衛星に直接触れることなく、作業することが出来ます。


衛星搭載ケース(放出後)
放出後、押しだし用のばねがよく分かります。
ケース自体は再利用することが可能なのですが、現段階ではケースに詰めて運ぶことが前提のようです。


電気コネクタ付グラプルフィクスチャ
きぼうのロボットアームで把持する部分。
特徴として、把持をした後、電気コネクタを結合し、電力などを供給することが出来ます。
放出する信号はロボットアームを通じて送られます。


分離機構へ電力を送る電気ボックス。
ロボットアームからの電力を受ける部分です。


分離機構のアップです。
半円状のカムが回転することにより、留め具がはずれ、ドアが開きます。
ドアが開くと、衛星がバネで押し出されて、1.3m/sで放出されます。
放出方向はISS進行反対方向、地球側となります。(つまり高度がさがる)


衛星ダミー

大きさは10×10×10cm を1Uとして、3Uまで(10×10×30cm)
重さは1Uあたり1.3kg以下

通常のキューブサットとの違いは、ケースにあわせた形で四方にガイドレールがついていること。
さらに、衛星のレール部分にスイッチをつけるようになっております。
放出時にそのスイッチがはずれる事によって、衛星が起動します。
衛星の伸展アンテナなどの展開物と電波発信はISSに影響を与えない配慮があり、起動後30分からとなっています。

ISSの高度は300km~400kmとなりますので、小型衛星の軌道寿命は数ヶ月から1年程度
のようですが、実験の機会としては十分でしょうし、
・ISSの共通輸送バックに入るため、輸送機会も多く見込める。
・ロケットの振動を直接受けることもないため、耐振動という面でもメリットがある。

ということで、大学、企業をふくめ小型衛星の利用促進と機会が増えればと思います。
放出ギミックも面白いので、放出だけではなく、もっとエネルギーを与えて別の軌道にのせる射出
まで拡張しないかななんて期待しちゃいます。

■星出飛行士の会見
今回、小型衛星放出機構を説明してくださった星出宇宙飛行士ですが
5月下旬に ISSの長期滞在クルーとしてソユーズに搭乗予定です。
今回がミッション前の最後の帰国とのこと。

記者会見の模様は
ニコ生
UST
でリプレイできます。

H-IIB3号機とHTV こうのとり3号機の打上げ時期がまだ確定していないので
星出飛行士が先行して、ISSに向かいHTVを把持するのか
先にHTVが向かうのかはまだ確定していません。
せっかくであれば、星出宇宙飛行士が日本のHTVをキャッチする所を見てみたいものです。

小型衛星の放出も同様で、まだ時期が確定していません。
こちらも星出飛行士が、 小型衛星をリリースしてもらえるといいなと思います。

国際宇宙ステーションとしても、「駅」としての機能がもう一つ新しく追加されますので
今後のためにも、実証を積み重ねていって、地球と宇宙のハブ機能取得となればいいな。

S-520-26号機の打上げ(宇宙花火)は12日以降

S-520-26号機の打上げ(宇宙花火)ですが、公式発表が有り12日(木)以降となりました。

twitter ISASのアカウントより

@ISAS_JAXA ISAS (宇宙科学研究所)

【お知らせ】 観測ロケット S-520-26号機の打上げは、天候判断の結果1月12日(木)以降に行うことにしました。 なお、新たな打上げ日については、決定し次第お知らせします。また、地上観測は、内之浦(鹿児島)、宿毛(高知)、室戸(高知)で行うこととしました。

地上観測に関しては、冬季晴天が少ない傾向がある奄美の観測点から
高知県室戸へと変更になりました。


※打上げ方位と距離には推測が含まれます。

打上げ方位等に変更がなければ、このような形での観測になるでしょう。

本来ですと、大きく角度をとって3次元的に観測したかったところでしょうが、
天候条件がなかなかそろわないですので、観測点変更は仕方が無いところでしょうか。

打上げ条件ですが
観測点が変更となっても、地上観測点から、リチウム発光方向が晴れていることが条件となるでしょう。

また、月の位置も気にする時期が近づいてきており
15日前後になると打上げ時刻(05:50前後) において、南に月がいることになりそうです。
月の位置も観測条件に有り、カメラ視野に月がないことが条件となってきます。

天候条件がそろい、早めに打ち上がることを願っております。

S-520の打上げは1月9日以降

2011年12月末にから、打上げ準備に入っているS-520-26号機ですが
天候条件が合わず、延期が続いています。

年明けは1月8日からとなっていましたが、
天候判断の結果1月9日以降となっております。(2012年1月5日現在)
2011年度第2次観測ロケット実験の実施について


※打上げ方位と距離には私の推測が含まれます。

今回の実験では、ロケットを南東に打上げ、上空210km、160km、130kmで、蒸気リチウムを放出します。
そこに太陽光があたりますと、リチウムが励起されて赤く発光します。
その発光の拡散の様子を地上から観測して、超高層大気の風や動きを知ることが目的です。

地上観測点がある、鹿児島県の内之浦、高知県の足摺、鹿児島県の奄美大島 
の3方位からみて、発光が観測できないと、条件がそろわない事になり、打上げは行われません。

週間予報を見ても、3箇所が完全に晴れる予報には中々ならないようで、はやく条件がそろうことを
願うばかりです。

S-520-26号機打上げについて

25日現在でのS-520-26号機打上げの予定は
27日 午前5:47となっています。
残念ながら、スケジュールの関係で今回は取材出来ない
事となりましたが、関係者のためにも年内に無事上がることを願っております。

S-520-26号機諸元と実験について

・全長8.3m
・直径520mm
・重量2.2t
・実験は「熱圏中性大気とプラズマの結合過程解明」

燃焼時間は30秒で、その後273秒で高度285kmまで上昇
下降時、以下の様にリチウムを放出します。
1回目 210km 406秒
2回目 160km 446秒
3回目 130km 464秒

リチウムは太陽光を浴びると励起して赤く発光します。
その拡散の模様を観測することで、熱圏中性大気と電離大気の関係
高層大気の風の観測をおこないます。

観測、ならびに打上げ条件ともなりますが
内之浦、足摺半島(高知県)、奄美 からリチウム発光
に適したバンドフィルタを用いた光学機器で観測を行います。
打上げ時に発光方向が晴れていることが条件で
3方向から見える必要があります。

(この図の打上げ方位は推測が含まれています)

前回2007年に、夕方に同様の実験を行いましたが
今回は朝方となり、明るくなるため、観測可能時間は短くなると予想されています。
今後の目標としては昼に実験を行い、大気状態を観測すること。
(今年、昼間に同種の実験を米国で行っているようですが
 このときは、リチウム雲の確認ができなかったとのこと
 日米共同ロケット実験による昼間下部熱圏リチウム共鳴散乱光観測の挑戦と
WIND-2実験による定量的検証
 )

アマチュアの観測に関してもデータがあると嬉しく
その際は、撮影時間。 さらに撮影方位が分かる用に、人工オーロラと星が映っている静止写真が望ましいとの事でした。

(※26日補足、リチウム雲の移動様子がわかる連続写真だとなお良い
  3箇所の観測点が打上げ後に急に曇ると言うケースも
  あるかも知れないので、バックアップ的な意味でもデータが多い方がよいそう。
 ※2 下記、事前勉強会の質疑応答で見解を頂いています。) 

事前勉強会に関してNVS宇宙科学チャンネルのニコ生にて
タイムシフト視聴ができますので、
S-520-26号機 打上げ前記者勉強会(録画)
観測などの参考になればと存じます。

今回は、赤いオーロラを観ることが出来ませんでしたが、
実験成功を願っております。

(※27日1時追記:
高知工科大学 冬の夜空に輝く「宇宙花火」を見てみよう!
に今回の実験の詳細データと、アマチュア天文家向けの観測紹介などの解説がございます。
観測データに関して、参照されるとよい撮影データとなりそうです!)

S-310-40号機打上げ

S-310-40号機 諸元
S-310-40号機
全長7.4m
直径310mm
重量727kg (うち観測機器60kg)
今回、アビオニクスを更新し、通信帯域が拡充されており。
観測データを細かく送れるようになりました。
今後観測ロケットのアビオニクスの標準になります。

S-310-40号機
この直径310mmのノズルから30秒間噴射し、高度180kmまで約3分30秒で駆け上ります。
ノズルには蓋がしてあり、シリカゲルが封入、湿度を一定に保っています。

19日、打上げ当日
朝からほぼ快晴で、風もなく穏やか。
寒さだけが南九州としては厳しいか。 もう少し重装備すれば良かったでしょう。

S-310ロケットの見学は報道・一般とも美濃峠よりおこないます。
場所は内之浦宇宙空間観測所入り口の反対側にあるトイレ・・・の脇に坂道が有り
そこを登っていきます。(10分はかからないぐらい)
美濃峠見学場所
来るまでの足下は登山道ですので、短距離とはいえ、はき慣れた靴が良いでしょう。 お気を付け下さい。
大体、100人もくると満員になりそうなぐらいの広場があり、そこからみんなで見学となります。
ランチャードーム昼間
ランチャードームまでの距離はおおよそ550m
H-IIAの待避距離3kmなどと比べると、かなり近くからの見学となります。

夜22:00
ランチャードーム夜
ランチャードームのみ照明がともり、時折「不要不急の電気を使わないよう」アナウンスがあります。
この体制は、M-Vの大型ロケットだけではなく、観測ロケットでも徹しています。

22:30から、NVSでの中継を始めます。
観測ロケットの目的などの解説も行っているので、是非。 寒く、口呼吸になっており聞き苦しい点もありますが・・・
ニコ生タイムシフト
UST録画
宇宙教育TVでも機材を搬入し、中継を行っていました。 途中うずまき先生が参加して頂きましてありがとうございます。

22:50 YACの1日記者の子供達も見学所に集まり、大体50人ぐらいに。
結構な坂道だったけど、みんな元気ですね(笑)
自分は機材持ち込みで登ってしばらくはへろへろでした。

22:55 打上げ5分前のアナウンスですが、現象確認待ちでホールドの案内。
今回の観測は、夜間よく飛ぶAM放送が突然聞こえづらくなる現象が報告されておりまして
電離層D層とE層に、夜間高密度プラズマ層が現れ、減衰、乱反射されるためと推測されており
それを調べるために上げられます。
雲もなく、快晴で見学側にとっては嬉しいのですが、現象が起きていない・・・
満天の星
長時間暗いところに居たので、この写真より多くの星が輝いておりまして、流星観察をしている人たちも
ときおり、歓声があがっていました。

23:30 再度、現象待ちのアナウンス。
今日の打上げ時間は23:00~23:50。 現象確認から5分で打上げなので45分までにGOがかからないと
延期となります。
こんなに天気が良いのに、延期かなあ・・・ と思っていたら

23:43 現象が出たので、GOのアナウンス!
あきらめかけていた雰囲気の所、一転 拍手と歓声があがる。

23:47 内之浦のカウントダウン「コントローラースタートします。 よーい、1分前!」
カメラのフォーカスの固定、アイリス下げるなどの調整を行い、打上げに備えます。

23:48 「3、2、1、0!」 ちょっとの間でバシューと轟音。
大型ロケットとは違う、加速感のある音です。
ロケットはあっという間に暗闇に飲まれていきました。 燃焼は30秒なので、必死に追いかけていると一瞬です。
動画はこちら
S-310-40号機打上げ ニコニコ

カウント7分で観測ロケットの着水。 観測も終了したとのアナウンスで運用、見学共に拍手!
逐一状況の分かるアナウンスは運用と見学が一体になれる感じがして良いですね。

観測ロケットしては、絶好の天候で打ち上がりました。
E層にプラズマ層の確認も出来、今後の解析に期待がかかります。 いわゆるEスポとは空間的なスケールが違うようです。
超高層大気の研究は、直接観測機会がすくなく(大気球では届かない、衛星では低すぎる)
電離層を利用して電波伝搬を行っている技術は多くあれど、まだ分かっていないことも多いようですので
観測ロケットでの観測はまだまだ貴重という事になります。

次の打上げは24日S-520ロケットとなりますが、天候がどうなるでしょうか。

本日S-310-40号機打上げ予定

本日、23:00~23:50の間で、観測ロケットS-310-40号機が打上げ予定です。
現在の天候は快晴で、風も殆どありません。

今回、観測目的が「夜間中緯度電離圏領域における電波伝搬解析」となっており
打上げ時刻に電離層D領域、ないしE領域に高密度プラズマが発生している
状況になっていないと、打ち上がりません。

中波(AMラジオ)は夜間になると、遠くまで届く様になるのは、経験的にも
知られていますが、夜間突如、聞こえが悪くなる現象が報告されています。
その時、D層、E層にプラズマ領域が現れていると考えられておりまして
それを観測するのが目的です。
地上で電波受信強度をモニタして、現象が出ているようなら打上げがGOとなります。

幸い、見学所から携帯電波が受信出来る見込みが立ちましたので
22:30より中継を行います。
http://nvs-live.com/event.html
予定日 : 2011/12/19 (JST)
打上時刻 : 23:00~23:50 の間 
※観測に適した状態になっていないと判断された場合は打上げがおこなわれません。
※天候、通信環境、その他状況により延期や中止、中継の不成立になる場合もございます。
※モバイルで配信となりますが、特に携帯電波状況の変動が大きい場所ですので、不成立の場合はご了承ください。

S-310-40号機とS-520 26号機の打上げ

NVSの取材として、内之浦宇宙空間観測所に来ています。

現在のステータスでは
S-310 40号機が12月19日(月)23:00~23:50
S-520 26号機が12月24日(土)5:10~6:10  と予定されています。
(※S-520に関しては22日→24日に変更になりました。)

本日の天候は快晴。 少々寒いですが、気持ちの良い天気です。

また、310打上げの状況によって520の予定変更の可能性もありますので
打上げ見学を予定をされている方は、しばらく情報を注視をした方が良さそうです。

まずは、打上げ予定に関する速報でした。

H-IIA 20号機 打上げの様子

H-IIA 20号機の見学と中継に行ってきまして、暫く時間が空いてしまいましたが
その際のレポートです。

今回は12月11日の予定日から、氷結層発生の見込みで2日前(9日)に1日延期決定となりましたが
その後の天候は概ね予報通りとなりまして、夜には満天の星空となりました。
機体移動は11日22:00より行われ、予定通り25分程度で移動完了となりました。

翌日、H-IIA 20号機は 12月12日10:21 に晴天の中打上がりました。
打上げの様子はこちら

USTハイライト
H-IIA 20号機ハイスピードハイライト
H-2Aロケット20号機打上げ(音あり広角)

今回、上空はとても晴れておったのですが、射点西側からですと10:20分という時間もあり、逆光ぎみ。
しかも、地上付近の水蒸気量が多く、撮影に苦労する形に。
中継中、打上げ時の音声が届けられないというトラブルも有り、中継運用をさらに工夫する必要がありますね。

打ち上がってからのロケットの様子は、とても安定しており、また上空の視野は良かったので
SRB-A分離とその後、東に向かったロケットが徐々に南に向かっていく様子がわかりました。
この東から南に向かう軌道は、実際に観てみるとやはりちょっとスマートではないなあなんて思ったりもします。
一方、見学している側もH-IIAは安定して上がるようになったなあ。 という印象も強いですね。
これで、初号機から10周年 20回目の打上げとなりました。

冬の打上げは氷結層との戦いが中心になっていまして・・・

H-IIA F11(きく8号)   1回
H-IIA F12(情報収集衛星) 2回
H-IIA F15(いぶき)    2回
H-IIA F17(あかつき)   1回
H-IIB F2(こうのとり)  1回
H-IIA F20(情報収集)  1回
氷結層理由の延期はこれで8回目となります。 
対応策があると、冬季オンタイムの確率は高まりそうですが、安全第一でしょうしもう少し時間がかかりそうです。

次回はH-IIBかH-IIAかの確定情報はまだありませんが
H-IIAの2段目のアップグレードの話が出てきており、21号機からは2段目の部分が
白いversionに変化する可能性があります。(まだ推測)
これは、推進能力の向上というアプローチではなく、2段目の慣性航行時間を長く出来る様にして、
ペイロードをもっと最適な軌道まで運べるようにすること。
H-IIA upgrade(注PDF)
H-II,IIAシリーズの象徴のような機体のオレンジ色も10年たって変化していくかもですね。

あかつき軌道制御1回目

2011年11月1日 NVSの取材として、相模原の宇宙科学研究所に行ってきました。

金星探査機「あかつき」は2010年12月の金星軌道投入に失敗した後
軌道制御エンジン(OME)の破損状況の確認・試験噴射を行いましたが
OMEの破損状況が激しかったため、姿勢制御スラスタ(RCS)を使用して
軌道変更、金星再投入を行う事となりました。
今回、11月中3回に分けて行われる、金星再会合に向けた軌道制御運用の様子を
取材出来ましたので、お伝えします。

13時30分頃(以後日本時間表記)
「あかつき」は13時22分から噴射を始めており
地球との距離はおよそ1億7000万km、電波が地球に届くまで約10分かかります。
運用室でリアルタイムに分かる事は、電波のドップラーシフトによる、地球と「あかつき」間の速度変化です。
RCSによる噴射が行われば、速度が変化しますので、電波周波数の変化に現れます。
それにより、「あかつき」の速度変化を知ることが出来ます。


運用室のプロジェクタには、「あかつき」の速度変化を示すグラフが表示されており
変化が起きるのを、プロジェクトのメンバーはじっと見守っていました。

日本時間の13時31分ごろから速度グラフが傾きだし、一定の角度で伸びていきます。

ずっと傾きが変わらずに伸びていっているので、噴射は安定して行われているように感じられました。

13時41分ごろ速度のグラフが水平になり、噴射終了の模様。 
それまで、じっとプロジェクタの様子を伺っていたメンバーも、ようやくほっとした表情を浮かべましたが
すぐに、テレメトリを取得する運用の準備に移行したようでした。
衛星の状態や詳細な速度変化は「あかつき」からのデータを取得して解析する必要があり
日本の臼田のアンテナ、他JPLのDSNのアンテナを使用し、正確な状態を取得していくようです。

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噴射の確認後に行われた中村プロマネの記者会見の模様は
NVS宇宙科学チャンネルのニコ生タイムシフト
【JAXA】金星探査機「あか​つき」金星再会合に向けた軌道​制御【1回目】の実施について​ の記者会見
USTREAMのアーカイブ
【JAXA】金星探査機「あか​つき」金星再会合に向けた軌道​制御【1回目】の実施について​ の記者会見
を参照ください。

興味深いところを箇条書きとしますと

・速報の値としては、予定の速度変化とほぼ一致しているようだ。

・元々、11月の軌道変更はΔ100m/s ,Δ100m/s, Δ70m/s を想定していたが
 OME用の酸化剤投棄の際、Δ20m/sの推力を得られたため、Δ90m/s,Δ90m/s,Δ70m/sと推進剤の節約が出来たこと。

・長期間にわたるミッションで、チームの士気を保つためには
 金星のサイエンスは素晴らしいと言える、若く新しい研究者、メンバーを加えいく新陳代謝が必要であり、鍵である。
  
・11月の3回の軌道制御が行われると、「あかつき」の軌道、RCSの正確な推力と推進剤残量が確定するため
 2015年以降の金星軌道再投入のバリエーションが選択できるようになる
 どのような理学的な観測が最適であるかを検討、選択していくことになるようだ。
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一度金星投入に失敗した後は、探査機の状態調査から始まり、再度金星に迎えるようにリカバーしてきましたが
今回の成功で道が開けてきました。
この後、予定通り10日、21日の軌道制御がうまくいき、一歩ずつ、金星軌道再投入へ近づいていくことを期待します。

筑波宇宙センター特別公開

2011年9月15日の筑波宇宙センター特別公開に見学行ってきました。
午前中はあいにくの雨と風でいくつか展示が中止になってしまいましたが
NVSの活動で、ブースや職員講演を配信させてもらいましたので、ハイライトにして紹介します。

地球観測衛星たち、いぶき、しずく、だいち、DPRセンサー紹介
みどころは、いぶきのクイックルック動画、しずくのアンテナの稼働の様子。
だいちの3D動画と、パルサーの受信波の音。 球形モニターに映し出された世界の降水のもようです。

職員講演 地球の健康を宇宙から見守るGCOM-W1衛星「しずく」

職員講演 わかる!「だいち」後継機

職員講演 小型実証衛星(SDS)について

職員講演 宇宙と健康~宇宙医学の挑戦~

講演後は、いろいろ施設を散策しましたので、幾つかピックアップで・・・

セントリフュージ紹介
筑波宇宙センターの片隅にひっそりとおいてある、生命科学実験施設(セントリフュージ)
本来はISSに結合され活躍している予定でしたが、規模縮小の際に計画から除外されてしまいました。
人工重力を作る、良い設備だったようですので、いつの日か技術が活用されることを・・・

6m真空チャンバー紹介
主にパーツ単位で真空試験にかけるためのチャンバー、つい先日まで地震の被害を復旧していたそうです。
他に13mチャンバーもあるのですが、そちらも被害が大きく復旧中の模様。

という感じで、今年は講演を中心に特別公開を楽しみました。 まだ、回っていない施設があるので
次回も参加したいと思います。 このペースだといつまでたっても回りきらないかも(笑)