2024/05/04

Japan Chess Championship 2024 Day3 Tournament Report

全日本選手権は折り返しの3日目を迎えました。4連勝のTuさんとの差を詰めたい私は、午前中の試合で麻布の後輩、長瀧くんとの対戦です。昨年の全日本選手権では黒で勝っていますが、別の大会では2敗しており、海外大会の経験も積んできて油断のできない相手です。Grunfeldは予想通りでしたが、早い段階で知らない変化に突入しました。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Nagataki, K (JPN, 2024)
Japan Chess Championship 2024 (5)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d5 6. cxd5 Nxd5 7. O-O Nc6 8. Nc3 e5!?

8... Nb6を中心に多くの変化をチェックしてきたつもりでしたが、これは記憶にありませんでした。いきなりピース交換が進みそうですが、その中で白が良くなりそうな変化を探します。

9. Nxe5 Nxc3 10. Nxc6 Nxd1 11. Nxd8 Nxf2


f2を取る変化はナイトの行き場が難しく、おかしな手ではないかと読んでいましたが、進めてみると難しかったです。11... Rxd8 12. Rxd1 Rxd4とポーンを取り返す手順もありえるでしょう。

12. Nxb7 Nh3+ 13. Kh1 Bxd4 14. Na5 Bg4

次のNa5-Nc6を食らわないためには、a8のルークを諦めざるをえませんが、これで黒は十分に戦えます。白マスビショップが抜けた後、白はキング周りの弱さを気を付けなければいけません。

15. Bxa8 Rxa8 16. Nb3!?


これは長瀧くんにとって意外だったようですが、私はeポーンを無理に守るよりも返してしまい、ナイトは早くゲームに戻すほうが良いと考えました。

16... Bxe2 17. Nxd4 Bxf1 18. Bh6 Nf2+ 19. Kg1 Ng4

しかし、私もこのナイトの動きがぴったりビショップに当たるため、f1のビショップを無視できることを見落としていました。黒がビショップを逃がすことを優先し、h6にビショップが残るようであれば、バックランクの弱さとナイトの逃げ場のなさでポーンが無くとも有利に戦えると考えていました。

20. Bf4 c5?!


ここでビショップを逃がさないのは小さなミスで、単にc7を返して良かったと思います。私はRa1-Rc1から様子を見てポーンを取り返し、クイーンサイドのポーンマジョリティに期待するつもりでしたが、それで勝ちに繋げられるようなアドバンテージがあるかは疑問です。

21. Rxf1 cxd4 22. Rd1 Rd8 23. h3 Nf6 24. Be5 Ne4 25. Rxd4 Rxd4 26. Bxd4 Nxg3?

d4でポーンを取り返し、ルークも交換してビショップvs.ナイトのエンドゲームになったところで、黒から再び大きなミスが出ました。ここでg3とa7の取り合いにすると、白がクイーンサイドに2コネクテッドパスポーンを持つ、とても勝ちやすいエンドゲームに入ります。ここは26... a6とポーンをかわすべきだと思いますが、それでもクイーンサイドにポーンマジョリティを持ち、キングサイド、クイーンサイド両方に広く利くビショップを持つ白が指しやすいでしょう。

27. Bxa7 Kf8 28. a4 Ke8 29. Kf2 Nf5 30. b4 Kd7 31. b5


ビショップを持つエンドゲームでは、ポーンはビショップの色を逆に置き、白マス黒マス両方を抑えるのが基本です。

31... Kc7 32. Bc5 Nd6 33. Ke3 Nb7 34. Bd4 Nd6 35. Be5! Kd7 36. Bxd6!

このポーンエンディングが1手差で白勝ちだと分かると、このエンドゲームはとても楽に指せるでしょう。

36... Kxd6 37. Kd4 f5 38. a5 f4 39. a6 Kc7


39... f3 40. Ke3ならばポーンを取って勝ちです。

40. Kc5 f3 41. b6+ Kd7

41... Kb8 42. Kc6 f2 43. a7+ Ka8 44. Kc7 f1=Q 45. b7+ Kxa7 46. b8=Q+ Ka6 47. Qb6# があり、黒に先にプロモーションを許しても白が勝つ教科書的なエンドゲームです。

42. a7 f2 43. a8=Q f1=Q


互いにクイーンを作り合いましたが、白の残ったパスポーンとキングの位置が良すぎるため、これは問題なく白勝ちです。

44. Qd5+ Ke7 45. Qe5+ Kd7 46. Qd6+ Ke8 47. b7 Qf2+ 48. Kc6 Qc2+ 49. Qc5 Qe4+ 50. Kb6 Qe6+ 51. Qc6+ 1-0

何度も辛酸をなめたクイーンエンディングでしたが、今回はスタートの局面が良かったため特に事件も起こらず助かりました。クイーンのチェックするマス、正しいキングの逃げかた等、大会後に確認しておこうと思います。

Japan Chess Championship 2024 R7 Pairings


続く午後のラウンドは初戦以来の中継ボードに戻りました。松尾さんを破って上がってきた前嶋くんをここは退け、5連勝でトップグループに追いついています。この日はTuさんが2ドローで連勝が止まったため、5/6が7人並ぶという大混戦です。明日誰かが抜け出すか、目の離せない4日目をこれから迎えます。
中継ボードに戻れたため、スポンサーから配布されている水をようやく受け取れました。明日は1Bで頑張ります!

2024/05/03

Japan Chess Championship 2024 Day2 Tournament Report


全日本選手権2日目です。初日に痛い黒星を食らいましたが、この日は連勝で上位ボードに戻ってきました。しかし、どちらの試合も途中でアドバンテージを捨てるようなまずい手があり、そこは反省しなければいけません。初対戦となる山本くんを午前中に下し、午後は同級生の汐口くんとの対戦です。

Shioguchi, T (JPN, 1973) - Kojima, S (IM, JPN, 2299)
Japan Chess Championship 2024 (4)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 a5 9. h4 h6 10. f3 e6 11. e4 Bh7 12. Be3 Be7 13. Qb3 Nfd7 14. O-O-O O-O 15. g4 Bxh4 16. f4 Be7 17. Nf3?!

序盤を少し割愛し、ここから始めます。少し私に不正確な手順があり、危ない局面になりました。本譜ではナイトを退いてg4-g5を準備しましたが、17. g5! hxg5 18. Qc2!+-という手をお互い見落としていました。

17... Nf6!


ここはe4への反撃を作るチャンスだと思い、ナイトをキングサイドに戻します。いかにもg4-g5は危なそうですが、e4を取る手で白マスビショップの利きを開けば黒は十分に戦えます。それよりも気になるのは、b6の浮いたナイトです。

18. d5 Nxe4!


黒はピースを捨てざるをえませんが、どうやって捨てるかは難しい選択です。18... Nbxd5? 19. exd5 Nxd5 20. Nxd5 cxd5 21. Bd3+- ならば、白はキング前をカバーして3ポーンピースながら勝勢です。18... cxd5? 19. Bxb6 Qb8 20. e5!+- もf4を守って白十分でしょう。黒が勝負できるのは、f4に反撃できる本譜だけです。

19. Bxb6 Qd6!

b6でナイトを捨てるアイディアを思いついた際、最初に考えたクイーンの位置はb8でしたが、ルークが連携できないうえ、d5-d6を許してしまいます。19... Qb8? 20. d6! Bxd6 21. Bd3+- こうなるとf4取りチェックがビショップからになってしまうため、パワーが半減して黒失敗です。

20. Nxe4?


指された瞬間、これはf3のナイトが負担になりすぎてしまうため、黒にチャンスがきたと感じました。代わりの良い手はよく分かりませんでしたが、ナイトをかわす手が良かったようで、20. Ne5! Qxe5! (20...cxd5!? 21. Nxe4 Bxe4 22. Bd3 Rfc8+ 23. Kb1 Bxh1 24. Rxh1もありえる変化です) 21. fxe5 Bg5+ 22. Kb1 Nd2+ 23. Ka2 Nxb3 24. Kxb3 exd5 これで形勢不明というコンピュータの評価です。

20... Bxe4 21. Qe3 cxd5 22. Bd4

22. Qxe4 dxe4 23. Rxd6 Bxd6 24. Ne5 f6 25. Ng6 Rfc8+ 26. Kb1 Kh7-+ 3ポーン2ピースルークにする駒交換も考えましたが、3ポーン多ければ黒は十分でしょう。

22... Rfc8+ 23. Bc3 Bf6


23... Rxc3+! 24. bxc3 Qa3+ 25. Kd2 Bc5-+ いくつかのタイミングでルークを切る手は考えていたつもりでしたが、黒マスで揺さぶりをかけ、f3のナイトからクイーンの守りを引きはがす手は見えませんでした。

24. Rh3 Bxc3 25. bxc3 Qa3+ 26. Kd2 Qb2+ 27. Ke1 Rxc3

これで4ポーンvs.ピースとなり、白キングが危険なことも相まって黒は十分に勝勢です。

28. Qe2 Qa3 29. Ng1 Rac8 30. g5 hxg5 31. fxg5 Qxa4 32. Qh2 Rxh3


hファイルにヘビーピースを重ねられたタイミングで予定通りのルーク交換ですが、ここは32... Qxd1+! 33. Kxd1 Rc1+ 34. Kd2 R8c2+ 35. Ke3 Rxh2 36. Rxh2 Rxf1-+ というタクティクスは見えなければいけませんでした。

33. Bxh3 Qb3 34. Ne2 a4 35. Nf4 Qe3+ 36. Kf1 Rc2 37. Ne2 Bf3?!

勝ちまであと一歩というところで、少し見落としがありました。37... Rxe2! 38. Qxe2 Qxh3+ 39. Ke1 a3-+ で圧倒的なリードだと分かっていたものの、本譜で白にはディフェンスのチャンスが無いと思ってしまいました。

38. Qb8+ Kh7 39. Bf5+! exf5


試合中も試合後も、このビショップを取らずにポーンを挟んで黒勝ちだと思っていましたが、それこそ黒が負けになるひどい手でした。39... g6?? 40. Qh2+ Kg8 41. Bxc2+- f5のビショップはc2のルークに当たっているため、クイーンを戻してe2を守れば、ルークを取ることができます。

40. Qh2+ Bh5?

g6にキングを上がった際、Ne2-Nf4がチェックになることを見落とし、37... Bf3+を指しました。しかし、ここはナイトチェックを食らっても、クイーンを捨てて依然黒が勝勢です。40... Kg6! 41. Nf4+ Qxf4! (41... Kxg5?? 42. Qg3+ Kf6 43. Nxd5++- これは白のクイーンがあえなく落ちます) 42. Qxf4 Bxd1-+ このクイーンvs.ビショップ+ルーク+複数ポーンも考えたのですが、時間のない中で自信が持てず、本譜を選択しました。

41. Qxh5+ Kg8 42. Rxd5 Qe8 43. Nf4??


黒がパペチュアルチェックを切るためにビショップを捨て、さぁ勝負は分からなくなったというタイミングで勿体ないミスが出ました。43. Qf3! g6 44. Qd3 Rc8-/+ ならば黒良しながらまだ分かりません。

43... Rc1+ 44. Kg2


ルークを退く変化にはe3にクイーンが跳びこむ手が良いでしょう。44. Rd1 Qe3! 45. Ng2 Qd3+ 46. Ke1 Qc3+ 47. Ke2 Qc4+ 48. Ke1 a3-+

44... Qe4+ 45. Kg3 Rg1+ 46. Kf2 Qe1+ 0-1

今大会、青嶋くんに土をつけた汐口くんをここでは退け、なんとか3/4で2日目を終えることができました。まだ半分も終わっていないので、また気を引き締め直して折り返しの3日目を迎えたいと思います。

Japan Chess Championship 2024 R5 Pairings


4連勝はTuさん1人となり、明日は注目の南條くんとTuさんの直接対決です。昨年と色が逆なので、どんな戦いになるか見ものですね。私も5Bまで戻ってきましたので、近くで見守りつつ自分の試合もしっかり指してきます。
今大会中、会場の写真を撮り損ねているので、夜ご飯に食べた上海風焼きそばをお届けします。

2024/05/02

Japan Chess Championship 2024 Day1 Tournament Report


今年もGWの全日本選手権が開幕しました。私は初戦、中国のChenくんにかなり良い局面から優位をどう活かすか分からず、逆転を許してあえなく負け。16歳から参加している全日本選手権で、黒星スタートは今回が初めてです。2戦目は慶應チェスクラブの後輩、竹内くんに黒でした。彼とは今回が初対戦です。

Takenouchi, A (JPN, 1744) - Kojima, S (IM, JPN, 2299)
Japan Chess Championship 2024 (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. g3 Bf5 5. Nc3 e6 6. Qb3 Qb6 7. c5 Qxb3 8. axb3 Be7 9. b4 O-O 10. b5 cxb5 11. Bf4?

近年、Slav Defenceに対して4.g3とするのはよく見かけますが、ここでポーンを捨てるのはやりすぎです。11. Nxb5 Nc6とすべきですが、これでも黒はナイトがc6に展開できてd4を攻撃でき、満足な流れでしょう。

11... b4 12. Nb5 Nc6 13. Ne5 a5 14. Nxc6 bxc6 15. Nc7 Ra7


白のナイトは帰るマスがなく、いかにも怪しい跳びこみです。これに上手くつけこめばあっという間にゲームが終わるかと思いましたが、ここからとんでもないことになります。

16. e3 Rc8?!

16... g5! 17. Be5 Ng4! 18. Na6 Be4 19. Rg1 Nxh2-+ gポーン突きは考えていましたが、h2を落としにいくという発想はまったく思い浮かびませんでした。ここからf3でのチェックを狙うと、白はビショップを捌かなければいけなくなり、結果としてa6のナイトが落ちそうです。

17. Na6 Ne8


d6へのビショップ跳びこみを消し、g7-g5を狙うつもりでしたが少し悠長でした。17... Nd7 18. Bd6 Bxd6 19. cxd6 e5!とするくらいで満足すべきです。

18. h4 h6


h4-h5を誘うことで将来的にh5がターゲットになるかと思いましたが、これも上手くいきませんでした。18... f6! 19. Nxb4 e5! 20. dxe5 Be4! 21. Rg1 g5! 22. exf6 Bxf6 23. hxg5 Bxb2-+ eポーンとgポーンを両方突く手は考えていたつもりが、ビショップトラップを避けてf6を取った際、b2への反撃があるところまで読めませんでした。

19. h5 Be4 20. Rg1 Rb7?

一度ルークをbファイルに振ってa5取りを誘う手は遅いと分かりつつ、時間をかけても正解が見つけられませんでした。20... Nf6 21. g4 Nd7 22. Rxa5 Bd8 23. Ra1 Rca8 24. Kd2 Bf6 ここから再度e6-e5を狙って黒は悪くないでしょう。

21. Rxa5 Bd8 22. Ra1 Ra8 23. Be2 Rba7


ルークをダブルaファイルにしたものの、Ra7-Rb7-Ra7のテンポロスがあり、上記の理想的な展開から離れてしまっています。白も2つ目のルークをaファイルにまわす余裕があり、a6のナイトはもはや負担ではありません。むしろb4が弱点の黒が気を付けるべき展開です。

24. Kd2 Nf6 25. g4 Nd7 26. Bd6 f6 27. f4 Kf7 28. Ra4 Bh7 29. Rga1 f5 30. b3


30. gxf5 Bxf5 31. b3 Nf6 32. Kc1! と逃げる手がここは上手く、e4でのナイトチェックをかわして白が大きなアドバンテージです。

30... Nf6 31. gxf5 Ne4+ 32. Ke1?

なんとかNd7-Nf6-Ne4を実現し、息を吹き返したと思っていましたが、単にキングの逃げる位置の問題でした。32. Kc1! Nc3 33. fxe6+ Kg8 34. Nxb4! Nxe2+ 35. Kd2 Rxa4 36. Rxa4 Rxa4 37. e7!! (37. bxa4? Ba5!=) 37... Bxe7 38. bxa4+- は白がフォークでピースを取り返し、勝勢となります。d6でのピース交換の際に白のパスポーンが止まらないことがポイントですが、かなり難しい変化です。

32... Bxf5 33. Bd1 Nc3


すでに互いに時間がなく、かなり焦って指していました。33... Rb7! 34. Nxb4 Rxa4 35. Rxa4 Rxb4-+ 一度冷静にb4を守る手も良く、Bd8-Ba5があるため、白はb4を取ることができません。e1のキングの位置が悪いことがよく分かります。

34. Bb8?


試合後の検討でb4を取る手を指摘しました。34. Nxb4 Nxa4 35. Nxc6 Ba5+ 36. b4 Nxc5 37. Kf1 Ra6 38. Ne5+ Ke8 39. bxc5 これでも黒有利ですが、時間のない状況ではまだ難しいでしょう。

34... Rb7 35. Be5 Nxa4 36. Rxa4 Bd3 37. Nxb4 Rxa4 38. Nxd3 Ra2 39. Nc1 Ba5+ 40. Kf1 Ra1 0-1

初日連敗も覚悟したゲームでした。序盤の優位をどう活かすかは課題ですね。他のボードを見ても、初日の2試合でだいぶ上位勢も星を落とし、かなり混沌としたスタートになりました。私は中間くらいのボードから浮上を狙っていこうと思います。

Japan Chess Championship 2024 R3 Pairings

2024/04/29

シモキタ名人戦2024


昨日4/28は、下北沢でシモキタ名人戦が開催されました。シモキタ名人戦は将棋、囲碁を始め、多くのボードゲームが出展する屋外イベントで、今年で13回目を迎えます。チェスも2年前から出展し、シモキタ名人戦でチェスが楽しめることも段々と周知されていているように思えます。今年は天気にも恵まれ、多くのお客さんに足を運んでいただきました。
シモキタ Street Chess 2024と称した今年のチェスブースの内容は、一般のお客さんの自由対局コーナー、チェス連盟スタッフによるルール説明、巨大チェス駒のあるフォトスポット設置などです。さらに私は今年、このイベントの中で午後の早い回と夕方、同時対局を2回行いました。2回とも定員を超える多くのお客さんに参加希望をいただいたこと、とても嬉しく思います。

同時対局前半は6面指しで、お客さんの白黒は自由に選択していただきました。後半は9面に増やしたため、こちらが全て白をいただきました。全15ゲームの中から、面白かった局面をピックアップしてご紹介します。
Position after 25.b4

久々に指したSveshnikov Sicilianでこのポジションを迎えました。白のクイーンサイドのポーンマジョリティは脅威になりますが、黒もセンターに居座るビショップが強力で、白キングに攻撃を仕掛けるチャンスを持ちます。

25... Bxh2! 26. Nxd7 Rxd7 27. Kxh2?


ここでビショップを取る手は素直すぎる反応で、黒がそのままポーンアップのエンドゲームになります。ここは一工夫必要で、白はまだ互角に戦えました。27. Bd1! Rde7! 28. Kxh2 Re1 29. Ba4 Rxb1 30. Bxe8 Qe5+ 31. Qf4 Qa1! 32. Kg3 Rh1 33. Bd7 Qe1+ 34. Rf2 Qc3+ 35. Rf3 Qe1+= こうしてパペチュアルチェックのドローです。

27... Qe5+ 28. Kg1 Qxe2 29. Qxe2 Rxe2-+


ビショップを取り返したうえ、ルークが好位置に入ったエンドゲームでこのまま勝ち切りました。

Position after 16... Qc5

次はこちらです。QGDからこの局面を迎えました。白はa,cポーンがバラバラですが、b7にプレッシャーをかけて白マスビショップの展開を妨害し、孤立したd5も上手く攻撃できそうです。

17. Rfd1 Bf6 18. Qb3!?


ここは18. Nd4でも良かったのですが、d4でのナイト交換の際に可能であればcポーンで取り返し、バックワードポーンのないポーンストラクチャーにしたかったです。そこでc3、d5の取り合いならば少し白が良いと考え、Nf3-Nd4を遅らせることにします。

18... Rd8 19. Nd4! Bd7 20. Bf3


Bc8-Bd7はなるほどと思ったのですが、ここで実はポーンを取ることができました。20. Qxb7! Qxc3 21. Nb3! これでナイト交換を避けると、c3のクイーンが行き場に困っています。ナイトを退く手の代わりに21. Rdc1? Nxd4! 22. Rxc3 Nxe2+ 23. Kh1 Nxc3-+ だとクイーンを取っても駒損であることを読み、先にビショップを避けてNd4-Nxe2+を避けることにしました。

20... Be8?

これでは先述のタクティクスが成立せず、b7を取られてしまうことになります。代わりに20... Na5! と指すべきで、ビショップがa4にあたるため、白はd5を取っても得にはなりませんでした。

21. Qxb7 Qxc3 22. Rdc1 Na5


22... Nxd4 23. Rxc3 Nxf3+ 24. gxf3 Bxc3 ならばまだ戦えそうですが、いずれにせよ白の駒得です。

23. Rxc3 Nxb7 24. Rxb7+-


以下ピースアップを勝ち切りました。

15面の同時対局では昨年、今年のカデッツ選手権で好成績を収めた小学生たちとも指しましたが、皆さん強いですね。普段指すことのないメンバーともチェスができ、私自身とても楽しむことができました。また来年以降もこのイベントが続いていくことを願っています。

2024/04/19

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第30回予告

4月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、4/21(日) 20時からスタートです。

4月のYouTubeの講座テーマは『正確な局面評価』です。チェスを進めていくうえでは次に何を指すかはもちろん大切ですが、そのためには現在の局面がどうなっているか、それを正確に評価、判断することが欠かせません。現状を把握せずに次の手を決めることは、現在地が分からないのに進む方向を決めるようなものです。そして丁寧に現在の局面を把握できれば、自然と次に指すべき手も見えてきます。今回は次にどうするかよりも、現在どうなっているかに着目して解説をしていきます。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第30回『正確な局面評価』|2024.04.21

2024/04/05

麻布学園チェス部春合宿2024

今週の火曜から水曜にかけ、会津若松で行われていた麻布学園チェス部の春合宿に、指導者として顔を出してきました。コロナ禍で合宿を開催できなかった期間も長かったですが、昨年の春から私も再度合宿に呼ばれるようになっています。ちなみに、現役時代から現在にかけてチェス部の合宿には数えきれないほど参加してきましたが、福島県の会津若松は最も合宿地として遠い場所でした。
後輩たちは月曜日から会津若松に来ていたため、1日遅れで合流した私は早速初日のプログラムを始めます。今回考えてきたのは試合形式で15手目まで指し、それを観察して何かしらの意見、質問を出してもらうというものです。このプログラムの狙いは部員たちのレベルを把握すること、スムーズにコミュニケーションを取れるようになること、自分の知らないチェスのアイディアを学んでもらうことなどです。例えば1局目は私が白を持ち、以下のようなゲームの進行になりました。

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Be2 e5 7. Nf3 Be7 8. O-O O-O 9. Bg5 h6 10. Bxf6 Bxf6 11. Nd5 Be6 12. Bc4 Nc6 13. a4 Rc8 14. Qe2 Bxd5 15. Bxd5 Qb6

次に16.c3と指すつもりの局面で15手目を迎え、ここでストップです。これを初手から並べなおしながら、意見と質問を募集しました。部員たちからの質問は例えば以下のようなものです。

・13. a4と指したのはなぜか?
・14. Qe2と指したのはなぜか
・Bf1-Be2-Bc4と指し直すくらいなら、最初からBf1-Bc4と指せば良かったのではなかったか。

どれも良いですが中学1年生からでた最後の意見は、部員間での議論を盛り上げるという点で素晴らしかったですね。オープニングやチェスの理論をしっかり学ぶと、逆にこうした意見が出にくくなってしまいます。チェスを始めたばかりの後輩がこのような意見を持ち、それを素直に場に出せることはとても良いことです。こうした意見や質問には部員に先に考え、回答してもらいつつ、ポーンの特性やマスのコントロールについての説明をしました。さらにこの後、3人グループを3つ作り、2人で対局、残った1人が意見と質問をして、3人で考察という形式にしました。
初日の夕飯後は恒例の同時対局です。今回の合宿の現役部員参加数は9名だったため、以前よりも少なく比較的多面指しも楽でした。とは言え、簡単に土俵を割る部員もおらず、多少苦戦するゲームもありました。
翌朝は前日の同時対局の内容を踏まえ、ポイントになった局面や考え方を説明しました。単に最初にポーンを伸ばすだけではない、ピースも含めたセンターのコントロールの重要性というのものは、何人かの部員に欠けている意識だったので、そこを最も強調しました。最後に余った時間でブリッツを2局ほど指しましたが、前夜の同時対局よりも指し方、考え方の改善が見られる部員が多く、少し安心しました。後はもっとたくさん試合経験を積んで、学んだことを定着させるのが大切ですね。
今回の合宿では初日、2日目ともにいつもよりも指導に割ける時間が少なく、伝えられることも限られていました。それでも後輩たちにとって良い学び、良い刺激になったのであれば幸いです。宿泊先であるホテルを離れた後は、新選組所縁の地や鶴ヶ城(会津若松城) を見てから郡山に移動。そちらでもう1泊してから東京への帰路につきました。また次の合宿で指導できる機会を楽しみにしています。

2024/03/15

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第29回予告

3月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、3/17(日) 20時からスタートです。

3月のYouTubeの講座テーマは『ユニークなピース交換』です。ピースの交換はポーンの前進と同様に、後戻りができない重要な決断です。同じピース同士の分かりやすい交換から、インバランスで複雑な交換まで、様々なピース交換がチェス盤上では起こり、ゲームが進んでいきます。以前は正しいピース交換というテーマを扱いましたが、今回はユニークなピース交換を見ていきましょう。今月は池田さんの講座テーマが『ビショップとナイトの交換』ですので、こちらも併せてご視聴いただき、ピース交換に対する理解を深めていただければと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第29回『ユニークなピース交換』|2024.03.17

2024/03/05

Tokyo Chess Championship 2024 Day2 Tournament Report

週末の東京チェス選手権は日曜日に無事に閉幕しました。最終戦でTuさんを下し、逆転で単独トップにたった弘平くんが優勝です。今年は2000未満のプレーヤーが上位勢を削る試合が多く、入賞争いは大混戦でしたね。入賞した皆さん、おめでとうございます!

1st Place Yamada, Kohei (FM, JPN, 2294) 5.5/6
2nd Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2575) 5/6
3rd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2471) 5/6
4th Place Furuya Masahiro (JPN, 2004) 5/6
5th Place Togawa Kentaro (JPN, 1455) 5/6

Tokyo Chess Championship 2024 Final Standings


私は全体の調子自体は悪くなかったものの、最終戦で負けて去年同様に4P止まりです。最終戦のBhatiaさんとの試合をご紹介します。

Kojima, S - Bhatia, P
Tokyo Chess Championship 2024 (6)

1. Nf3 Nf6 2. g3 g6 3. Bg2 c5 4. O-O Bg7 5. d4 d5 6. c3

この大会では白番で1回、黒番で1回Grunfeldになり、この最終戦は白番でReversed Grunfeldになりました。4Rの東野さんとの試合では相手のcポーンを取った後でセンターを抑えられ、予想より良い展開にならなかったので、この試合では少しcポーンを取るのを慎重にします。

6... Nc6 7. dxc5!


しかし、ナイトがc6に出たのを見て取ります。Nb8-Na6-Nxc5や、Qd8-Qc7-Qxc5のアイディアが無くなると、黒はポーンを取り返すのが少し大変です。

7... a5 8. a4 O-O 9. Na3 Ne4 10. Be3

ここは4R同様のポーンの守り方をしたのですが、より良い手がありました。10. Ng5! Nf6 (10... Nxc5 11. Bxd5 e6 12. Bg2 Qxd1 13. Rxd1 Nxa4 14. Nc4! (ゲーム中、d5のポーンが消えたことでこの手が可能であることを見落とし、検討戦で指摘されて驚きました。) 14... Nc5 15. Nb6 Ra6 16. Be3 Nb3 17. Ra3 a4 18. Nxa4+-) 11. e4! d4 12. e5 Nxe5 13. cxd4 Nc6 14. Be3+/- g5にナイトを跳ぶアイディアは知っていたのですが、a4が弱点となるので本譜ではあまり働かないと勘違いしてしまいました。

10... e5 11. Nb5 Be6 12. Qc1!?


12. Nd2 Nf6 13. Bg5 h6 14. Bxf6 Bxf6 15. c4 d4 16. Ne4+/- こちらも1つの流れで、ポーンアップをキープしたままナイトをアクティブに使って白優勢です。

12... Qe7 13. Ng5! Nxg5 14. Bxg5 Qxc5 15. Nc7 Rac8 16. Nxe6 fxe6 17. h4?!

ポーンを返しても相手のポーンストラクチャーを崩し、ダブルビショップを持てば有利だと考え、16手目まで上手く進めてきました。ところがこの手が緩手で、黒に十分なプレーを許してしまいます。ここは17. e4! d4 18. Bh3 Rfe8 19. Ra3+/- が良いアイディアでした。e4に先にポーンを刺してしまえば、黒のe5-e4からナイト、黒マスビショップをアクティブにするアイディアを防ぐことができ、はっきりと白が有利でした。通常、g2のフィアンケットビショップの前にポーンを差し出す手は、ビショップの利きを止めてしまって良くないのですが、どうせBg2-Bh3からダイアゴナルを切り替えるつもりだったので、e4にポーンが残ることを気にする必要はありませんでした。

17... e4! 18. Qd1 Ne5 19. Bh3 Rce8 20. Qb3 Qc7 21. Qb5 h6?!


これはビショップをf4に切り替えるチャンスを与えるだけに思えます。21... Nc4 22. Bf4を想定していました。

22. Bf4 Qe7 23. Rad1 Rxf4!?

e8のルークをクイーンで当て、十分に警戒しているつもりだったエクスチェンジサクリファイスを実行してきました。白キングを多少危なくするため、実戦的な判断だと思います。

24. gxf4 Nc6?!


ルークをカバーし、クイーンがh4を取りにいく準備にはなりますが、b7が落ちた際にナイトもターゲットになるのが難点です。ルークはクイーンに当てられたままでも、24... Nc4! 25. e3 Nd6 26. Qe2 Qxh4 27. Kg2 で白が良さそうですがまだまだ分からない局面でした。

25. e3 Qxh4 26. Kg2?

ビショップはe6に当てたままにしておき、Rf1-Rh1のチャンスを作るのが良いと考えたのですが、ビショップの退き場所がなくなるのが予想よりも痛手でした。26. Bg2! Re7 27. f3! exf3 28. Rxf3+- くらいで白は満足でした。hファイルにルークをまわすアイディアは考えていても、fファイルから出てくる手は全く考えていなかったので、今振り返るとかなり視野が狭くなっていたことが分かります。

26... g5! 27. Qe2 h5 28. fxg5?!


ここはg5-g4を受ける手がこれしかないと思い、黒からのパペチュアルチェックを覚悟しました。しかし白から勝負にいく手として、28. Bxe6+! Rxe6 29. Rh1 Qg4+ 30. Qxg4 hxg4 31. Rxd5 gxf4 32. exf4+/- とする手があったようです。ビショップを思い切って捨てる手はどこかであると思いましたが、2ピースvs.ルークの局面が評価できず、なかなか思い切れませんでした。

28... Qxg5+ 29. Kh1 Qh4 30. Kg2 Ne5!?

まさかQg5-Qh4からのパペチュアルチェックを蹴り、勝負にくるとは思いもしませんでした。Nc6-Ne5-Nf3のアイディアは少し考えていましたが、キングが逃げ出す時間が生まれるので、きちんと指せれば白にチャンスがあると感じます。

31. Rh1 Qg5+ 32. Kf1 Nf3?!


ナイトが白キングに急接近して危ないようにも見えますが、f3に入る駒はクイーンかナイトか、保留しておくほうが白も判断が難しかったと思います。32... Re7 33. Qb5 Qf6! だとe6を守りつつ、Qf6-Qf3を見せて形勢不明です。

33. Qb5! Re7 34. Qxa5?!

a5のポーンにさほど価値は無いと思いながらも、とりあえずいただけるものはいただき、Qa5-Qd8+をメインの狙いにしようと思いました。しかしここで代わりに34. c4!が5段目の横利きを利用した厳しい1手で、黒のセンターポーンを崩し、dファイルも突破して一気に白勝勢となります。

34... Qe5 35. Qd8+ Kf7 36. Qc8 Bh6 37. Bg2


f3に刺さるポーンも嫌ですが、ナイトをいつでも消せるように準備しておきます。hファイルも開いたことでh5のポーンもターゲットになります。

37... Qf5 38. Qh8 Qg6 39. Ke2??

残り数秒で指した手が、なかなか出ないレベルのひどいブランダーでした。クイーンは攻め入るだけ攻め入って、帰れなくなることを全く想定していません。しかし代わりにどうすれば良いかは少し難しいです。f3のナイトを消しておくのは考えましたが、f3に残るポーンは厄介で、Qg6-Qg2とQg6-Qc2の狙いが同時に生まれます。正解は39. Rh3! Ng5 (39... Re8 40. Bxf3! Rxh8 41. Bxh5+-) 40. Rh2 としてナイトを追い返してしまうことでした。

39... Re8!


クイーンがトラップされ、ゲームは終わりました。がっくり。

40. Qxe8+ Kxe8 41. Bh3 h4 42. a5 Qh5 0-1

クイーンを落とすブランダーだけでなく、再三あった細かなチャンスを逃した甘さは反省します。またそれだけでなく、エクスチェンジを捨てる、明らかなパペチュアルチェック蹴って勝負するといった相手の姿勢も見習いたいですね。最近、安全に指そうとする傾向が強すぎて良くないように感じます。全日本に向けて、もう少し自分のチェスを見直そうと思います。

最後になりますが、今年最初のビッグトーナメントの運営、お疲れ様でした。これからの時期、各地の地方予選の様子を見るのも楽しみにしながら全日本選手権を迎えようと思います。また次の大会でもよろしくお願いいたします。

2024/03/02

Tokyo Chess Championship 2024 Day1 Tournament Report


今日から2日間、東京チェス選手権に参加します。今年は初めて2試合目まで上位にハンデポイントをつける加速スイス式が採用されており、初日の1、2試合目でポイントを落とす上位が多かったです。かくいう私も2試合目で米満くんとドローになり、一歩後退で全勝者を追いかけることになります。今夜は中継の無かった3Rの木下さんとの試合をご紹介します。

Kojima, S - Kinoshita, A
Tokyo Chess Championship 2024 (3)

1. Nf3 d5 2. g3 e6 3. Bg2 Nf6 4. O-O Bd6!?

ドイツ代表のBluebaumがたくさん指しているようですが、この手は調べておらず、どうするか少し悩みました。結局、4... Be7と同様のセットアップにしますが、黒からe6-e5の突き直しがしやすいのが気になります。

5. c4 O-O 6. b3 Nc6!?


e6-e5の突き直しを積極的に狙う、面白いナイトの配置です。6... c6 7. d4 Nbd7 8. Bb2ならば通常のCatalanで、クリスマス大会でも同じ局面を1試合持っています。

7. Bb2 dxc4 8. bxc4 e5 9. Nc3 Re8 10. d3 Nd4 11. Nd2 c6?!

b7のポーンをビショップで取ってもRa8-Rb8の反撃があるため、すぐにb7を守る必要はありません。簡単にe2-e3を許すと、黒のナイトは手数をかけた割りにあまり良い位置とは言えないでしょう。ゲーム中は11... Bg4を一番に考えていました。

12. e3! Ne6 13. Qc2 Qc7 14. Rad1 Bd7 15. Nce4!


黒のd5と白のc4を交換したため、黒はe4のマスを抑える力が弱くなっているのが白の狙い目です。f7-f5はキングを弱めるために指しづらいので、e4が白のナイトにとって絶好の位置と言えそうです。

16... Nxe4 16. Nxe4 Bf8 17. f4! exf4 18. gxf4!

あまり自分で持った経験のないポーンストラクチャーですが、Tuさん、野口さんたちの試合でこうしたアイディアを見た記憶がありました。e4のナイトとあわせてキングサイドにプレッシャーをかけるには、自身のキングを少し危険にしてもe5のポーンを取り除き、b2のビショップの利きを通すことが重要です。加えてd3,e3ポーンは十分にカバーでき、この後でd3-d4,e3-e4と伸ばすことで、強力なセンターポーンを築くチャンスがありそうです。

18... Rad8 19. Kh1


この時点で将来的なNe4-Nf6を画策しており、gファイルが開いた際に素早くアタックするにはどうしたら良いか考えていました。Kg1-Kh1はa7-h1ダイアゴナルを外しつつ、Rf1-Rg1のチャンスも作っておく慎重な1手です。代わりに19. Be5! Qa5 20. d4!としてクイーンを隅に追いやり、d6のマスを抑えておくアイディアもあったようです。

19... b5 20. Rc1!? bxc4 21. Qxc4 Qb6 22. Ba1!?

一見するとb2,e3を同時に狙われて困っているようですが、これはちゃんと考えていました。本譜も悪くないですが、22. Rb1 のほうがすぐにe3取りを催促できるので良かったかもしれません。

22... Qxe3?


ここは22... f5とするしかないと思っていましたが、これでも23. Ng3 Qxe3 24. Nxf5 Qc5 25. Qe4+/-くらいで白が良いようです。

23. Rce1 Qb6 24. f5 Nc7 25. Nf6+!

狙っていた手が決まりました。f4-f5によって4段目が開いており、Qc4-Qg4が黒キングを即狙う決め手になります。

25... Kh8


25... gxf6 26. Qg4+ Bg7 27. Bxf6もメイトです。

26. Qxf7 1-0


初戦に白は勝ちはしたもののいまいちの指し回しだったので、こうしたゲームができて一安心です。明日の2日目も上位に追いつけるように頑張ります。

Tokyo Chess Championship 2024 R4 Pairings

Tokyo Chess Championship 2024 R4 実況中継


加速の影響で、3連勝の中でもかなりレイティング差が見られます。誰かレイティング上位者に一矢報いるか、楽しみにしています。
試合後はとんかつ激戦区蒲田のいっぺこっぺに足を運びました。隣のとんかつ檍は並びますが、こちらは並ばずに同じ檍のとんかつがいただけます。
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