こんにちは。shu-mae 前支部長の江塚です。

今年度shu-mae発足10周年を記念して、

前橋文化服装学園アートスペースをお借りし、イベントを開催しております!!!


shu-mae ★リニューアルサイト
http://shu-mae.info/index.html

イベント詳細
http://shu-mae10th.heteml.jp/

末筆になりますが、長らく更新しておらず、特にOBの方々、申し訳ありませんでした。。
これ以後は、リニューアルサイトの方で、shu-maeの活動をチェキラしてみて下さい。
来週のサザエさんは…
最終回「磯野家、海に帰る」の巻です。
みんなで無事に見送りましょう。
(※本当のテーマは「海」です)
待ってるよー!
ついに長い闘いに終止符が打たれました…同じテーマで開催すること4週間…作品数はなんと3作品!
忙しい中みんなよくがんばりました。
今回は数が少なかったので一等は決めませんでした。
では作品紹介でーす。


尾形案
shu-mae
仮設→「可動」「身体性」と捉えた案。某コンペ案でもありますが、引き出せる出窓により、そこに空間を挿入し、建築の絶対的テーマである、不動性を崩すというものです。引き出し方により、内部の人の心情をも伝えることにより建築が身体化していきます。


渡辺(陵)案
shu-mae
住宅の機能が都市に分散していく現在で、ベットルームのみを個人の空間とし、そこを引き連れ都市で生活するというもの。車1台分の空間はコインパーキングなどに泊め宿泊可能。学校で生活している僕はこの収納バージョンが欲しい…


清水案
shu-mae
「枷、つまり風か接合する火星2」という清水ワールド全開のタイトル。柱だけのフリープランによって好きなように増殖・縮小可能という完成がない家=仮設(火星2)という案。ぜひプレゼンをお聞かせ願う。


以上「仮設」でしたが、可動的な尾形・渡辺案に対し、完成がない家を仮設と提示した清水案は新鮮でした。個人的にですが、やはりテーマに対する個々の解釈の違いを楽しむのはモチロン、建築議論をできる場としてshu-maeは貴重なものだと感じました。そこからいうとそれぞれ忙しいときならば、自分の課題案に対し意見をもらいにくるなどという活用法もありだと思います。(それがメインになってはマズいですが…)そうなればshu-maeもやらなければいけないという重荷がはずれ、自然と楽しめるものになっていくと思います。いずれにせよ、建築熱を交わし合う場として続いていけばいいのではないかなと思う今日この頃です。

shu-maeで建築見に行ったりとかも楽しそう。

今日は江塚がプチ先生としてがんばっていたため、尾形が代筆しました。
というわけでまた来週ー




来週のテーマは、「仮設」です。
うっわーおもしろそーなテーマ!!
みんなもっと参加してね!!!
んが。
8擬音 終了しました。
はじめに一等!

♥矢端案
shu-mae-8夜端
生活や機能を擬音という記号に還元し、もう一度関係性を持たせる事で、擬音というFX(効果音)と建築の架け橋を造ります。住宅の各部分は関係性の強い擬音でプログラムミックスされます。
うまいことプログラムが組み合わされています。ただマッパのリビングは少し…

shu-mae-8辻本
キッチンを音の台所ととらえます。台所で響く音、お母さんの包丁の音とか、電子レンジのチーンはなんだかほっこりしますよね。そうでしょう。そんなあなたは、この家に住んだら如何ですか。

shu-mae-8黒岩
音と視覚を組み合わせ、確かな生活者の存在を覚えさせる。視覚は柔らかなシルエット。障子のようなスクリーンに映り込む。

shu-mae-8清水
擬音はもともと舞台用語です。雨が降っているシーンでは、本当に雨を降らせる訳には行きませんよね。だから雨が降っているような音を作り出す必要があります。
人工的に作り出した代替用の音が擬音なのです。擬音はニセモノ。だからファサードをニセモノにする。藤森さんに看板建築!とののしられそうですが。。。

shu-mae-8江塚
ジャアアアン! コツーーンコツーーン… モグモグ コツコツ ミャアアアア ザザアアア ゴゴゴゴゴゴ…

擬音の捉え方は各人に通っているようで、異なっているような感じでした。
本来の意味は清水さんの「ニセモノの音」ということです。ニセモノ、と言う観点からみれば、ファサード=ハリボテという論理も分からなくはないかな。ただその先の住空間がどうなっているか描いて欲しかったです。
難しかったのは、擬音をどのように建築に落とし込むかということです。
それに関しては矢端が一番うまかったように思います。
そしてどうやら私は漫画家には向いていなかったようです。
罰として裸で暮らすというライフスタイルに兆戦してみようと思います。
興奮冷めやらぬshu-mae。次回6/11のテーマは
「擬音」です。
「ドカーン」でも「ぴちゃぴちゃ」でもいいよ!
記念すべき第一回shu-mae×proが終了しました。
まずはJIAの方のものを紹介します。

曾田案(ソダアキラ建築設計事務所主宰)
shu-mae-7ソダさん1
建築が重ね着するのではなく、重ね着を楽しむ住人が住む家。住人の性癖として、重ね着=ファッションを自己表現と捉えている、という設定です。そのため住人は自らが重ね着している様を表現したい、という欲求があります。それを建築に落とし込むと、主たる居住部分は、半外部=外部に常にさらされている、ということになります。そしてクローゼット=コレクションとして、内部空間としています。
shu-mae-7ソダさん2
こちらは若干詰めた案。上記の案が図式的なのに対して、建築になっています。
 建築基準法の事が書いてあるのは、「おじさんなりのひねくれ」らしいです。
曾田さんいわく、建築家の立場というものは、「クライアントの要求をそのままかなえる事」ではなく、それ以上のものを提案して「こっちのほうがイイ!」と言わせる事だといいます。だから建築後の感想で「思っている通りの家が出来ました」というのは建築家としてはまずいことなんだと。それ、僕最近忘れてた(笑)確かに受注産業の建築設計においてはそれが重要なんだ。。。
 これ、シュウカツでも聞いた。広告業界のセミナーに行った事があるんですが、売り主の要求を、広告代理店がそのまま受け取るのではなく、それを上手く変換させなければいけない、と。キャッチコピーをつくるのでも、ライターは消費者の「インサイト」に触れるコピーが重要なんだという。面白いコピーを目にした時の面白さ。それを建築家は空間で提案する事が重要ですね。大切な事を再確認させていただきました。

神澤案(かんざわ一級建築士事務所主宰)
shu-mae-7神沢さん
人間は本能的に、「チラ見え」に対する魅力を感じている。建築に対して日頃買わされる奥行き感。商業建築においてはそれは人を誘うような手法であるのですが、実は建築一般に対してそれは言えます。
左の写真のようにチラリと見えているとなんだか魅力的に見える。それは人間なら当然持っている
 下の写真は、神澤さんの師である池原義郎氏設計の早稲田大学所沢キャンパスです。私の少ない知識では池原氏は、日本のモダニズムを支えた方です。僕が思うに、その頃の建築家というのは、あまりコンセプトを突出して表現する事が目的でなかったかのように思います。もちろん近代化というのは住宅の大量供給が目標であったり、西洋に追いつきたいと言う気持ちがあり、コンクリート、鉄の使用、それをどのように建築に応用して行くか、それをどのように日本に浸透させて行くかが目的であったと思うのです。そのかわり、建築家の思想はディテールに現れる、という言葉を良く聞きますが、この写真の壁のスタディを池原氏の事務所では幾度となくおこない、それはもう「血の匂いのする図面」だったそうです。現代の建築は幾ばくかコンセプト重視になっている、それは好ましい一方で、実現性から目を背け、一般人が欲しいものとかけ離れているものが評価されてしまっている現在の建築界に多少の違和感は感じていると話して下さいました。(コンセプトを追求するのが悪い訳ではなく…)理想の実現半分、身近なところを精緻にして行くのが半分、それが重要だと。貴重なご意見です。私なんかも最近、コンセプトを追求するよりも、ちゃんとしたカナバカリ図が描きたいと言う気持ちが強くなってきました。(私も修士の端くれなんで…)

ではこちらは学生の案。まずは1等です。
渡辺R案♥
shu-mae-7渡辺R
幾何形態を重ねて行く事で、建築の輪郭はぼやけていくのではないか。それはまさに重ね着して「着膨れ」した建築のようである。図面が不思議。コレはどうやら地球上の空間ではないようです。

では後は得票順で。

尾形案
shu-mae-7尾形1
どこかで見たようなプランですが(笑)プレゼン法が秀逸。トレペにベクターの建築の構成要素ごとのレイヤーを印刷し、それをそのまま住宅に適用させた。重ね着は、当然ですが能動的に行う行為であります。尾形案は未来の住宅を構想し、「建築は現在よりフレキシブルになるであろう」という考えを表現しました。屋根の上に家具を簡単に移動させたり、はたまた風を感じたい日には屋根を取っ払うという事が、日常的に、ごくノンシャランにできるようになるのではないか。ipadなどユビキタスが進行している社会で唯一それに乗り遅れているのが建築。でも、いずれかは建築でさえユビキタスになるかもしれない。
shu-mae-7尾形2
このようにトレペを重ね合わせる事で、住宅の要素が変わって行きます。
shu-mae-7尾形3
ベクターのレイヤーが現実化したら、こういう事になるのかー、と実感。。。

深澤案
shu-mae-7深沢
若干のドタバタの後につくった「カーテンハウス」イエガタを覆うようなガラスのフレーム。それに大きなカーテンが取り付けられていて、入れ子内部の開口部から自由に開閉が出来る。なんか「まんま」だけどすごく面白そうで僕は投票しました。

戸井案
shu-mae-7とい
重ね着できる空間とは、自由に快適性を選べる住宅ではないのか。戸井案では、シンプルに開口部と空間の面積を操作する事によって、季節によって居場所を選択できる住宅を表現。僕的には素材に切り込んでいくとかなりリアリティのある提案になりそうだなと思いました。冬はコンクリートの分厚い部屋で過ごし、夏期は木のルーバーの快適な空間で過ごすとか。直観ですが、海外なら受け入れられそうですね。

黒岩案
shu-mae-7くろいわ
壁にレールが取り付けられていて、自由に空間を構成できる住宅。壁が構造ではないモダニズムだからこそできる空間です。でも個人的に構造体がどうなっているのか気になる…

吉田案
shu-mae-7吉田
コレはもはや建築ではない屋根はないけど、吉田案は壁に着目しました。壁の素材をファッションのように着せ変える事によって、重ね着は表現できる。プランはかなり図式的で詰め切れてない様子。
素材の変化が平面とか外部環境の話に発展して行くともっと受けたと思います。
現代なら何となく建っちゃいそうな住宅です。

江塚案
shu-mae-7江塚
重ね着をシンプルに2つの素材の違いと捉えました。この空間は、入れ子形の構成で、筒状のカタチを拡大反転させたのが外側のボリュームです。その2つを重ね合わせた時のスキマで、空間が仕切られます。内部の広い空間はLDKとして。狭間に出来た空間は寝室として使用します。南面の大開口から風と日射を取り込み、冬はコンクリートの輻射熱で寝室を暖めます。(夏暑いじゃん、というのは伏せておいて下さい泣)

菅野案
shu-mae-7かんの
四角形の図式的な空間を重ねる事によって、温かい空間、冷涼な空間、その中間の空間の3つが出来上がる。必然的に出来た回廊の部分が個人的にはすごく静謐な空間のように思います。f本氏の住宅に似ている?

清水案1
shu-mae-7清水2
これは、なに…?「傘ねぎ」です。
清水案2
$shu-mae-7清水1
という冗談はおいといて、清水案は建築じゃないのですが、年輪のように増築を繰り返して行く空間の概念をイメージしました。中心に居住者がおり、そこから放射状に住処を延ばす、という事をイメージしているようです。建築が見たかったー。

佐藤A案
shu-mae-7佐藤A
住宅の構成要素を拡大させて行き、それを恣意的に重ね合わせた案。このような手法で作り出された空間はなんだかザハ・ハディドを彷彿とさせています。サニタリーなんかはまさに…!
それが住まい方と何らかの関係は持つはず。しかも断面的にものすごい事になっていそうです。

ふー江塚はここでリタイア。ここで副支部長尾形にバトンタッチ!


えー、支部長の江塚に代わりまして、代打尾形ー、尾形ー
言葉足らずではありますがまとめをさせていただきます。

総評
今回はついにproの建築家とのコラボということで、どうなることやらと思いましたが、参加人数が最多の16人、作品が12案ということで盛り上がりもみせ、ひとまず成功だったかなーと思います。

「重ね着」というテーマに対し、傾向として①住宅が重ね着をするもの→空間構成の自由化/素材の変化/、②住民が重ね着をする家、③重ね着という概念を噛み砕いたもの(着太り→輪郭のぼやけ/チラ見せ→奥行き、など…)と大きく3つに分類されると思います。

JIAのお2人の作品はといいますと、曽田さんは「住民が重ね着をする家」という学生からは出なかった案で、実際のクライアントとの進め方も織り交ぜ説明して下さいました。神澤さんは「チラ見せ」というキャッチーなテーマから、学生にもっとリアルなプロポーションであるとかディティールまで詰められるようになるなど完成度を高めてほしいというメッセージを含んだ作品を出していただきました。

建築家の方からみたら遊びにみえるような、僕たちの行ってきた活動をどう捉えられるかと思ってましたが、作品自体の完成度は低くも、学年を越えて意見を言い合えるいい場だというありがたい言葉をいただけました。
全体を通して和やかな雰囲気ではありつつ、するどい意見も出つつで、学生にとっては実際の建築家に見ていただくことができ、またJIAの方々にとっては学生と交流がもて、学生の意見も理解してもらうことができ、お互いいい機会になったと思います。(そうであったと願います 笑)

実は今回のテーマは「第7回日経アーキテクチュアコンペ」(日経アーキテクチュア 2010.3-22 NO.922 掲載)のテーマでもあったので、知っていた方も知らなかった方もコンペ案との比較をしてみてはいかがでしょう?

JIAの方々、お忙しい中ありがとうございました。また次もあればぜひよろしくお願い致します。
学生のみなさん、この刺激を次に活かしつつ盛り上がっていきましょー
そろそろ、夜中の明かりに誘われ迷い込んだ蛾との格闘がしんどくなってきたので、今日はこの辺で…


次回はお待ちかねshu-mae×proです。テーマは告知してある通りで、場所も今んとこいっしょなんでぜひ参加して下さいね。
変更があったら、告知いたします。
第6回「映画」終了しました。

♥戸井案
shu-mae-6とい
開口部を通して自分の生活の痕跡を確認することで、若干の陶酔感を得ることを表現した。平面的には全く同じ部屋が並んでおり、住人は2つの部屋を交互に使用する。恣意的に投げ出されたモノや家具の配置が開口部を通して小道具や大道具に映り込むことが想像できる。

江塚案
shu-mae-6江塚
映画館の座席に着目し、フラットではなく、斜面の床で住宅を構成するという案。座席に相当する部分を、fixのイスやテーブルとして扱う。

渡辺R案
shu-mae-6わたなべr
「建築は日常であり、映画は非日常的な感覚を与える」という観念に疑問をもち、建築に非日常感を持ち込んだ案。ここでは「スリル」という感覚に着目し、雲の上に建っている住宅を想定した。

神田案
shu-mae-6神田
建築、およびその内部の空間で織りなされる生活を一つの映画としてみた時、住人は役者である。神田案では、住人自身がその「演技」を意識する事によって、ナルシスティックな気分に浸る事が重要である、と説いた。

増山案
shu-mae-6ましやま
映画には3つのエッセンスがある。すなわち「スジ・ヌケ・ドウサ」(脚本 映像美 役者)である。それは住宅にも同じようなことが言える。生活そのものがストーリーであり、開口部から除く風景が映像美、そして住人が役者である。

渡辺h案
shu-mae-6渡辺
映画とは、シーンを見せる装置である。そのシーンは、スクリーンという無機質なモノの上に投影される、美しく編集された情景である。渡辺案では、予めシーンを想定して限られた開口部を開けることで、その風景があたかも編集されたようにうつり、特別なものとして受け取れるのではないか、と表現している。

総評
今回は4年生以上の参加という事で、非常にシニアなものとなりました。
全体的にコンセプチュアルな案が多かったですね。案というよりは、映画に対する考えをみんなで意見交換した感じでした。件のコンペでも多かったのですが、映画の虚構性や演技性に着目した案が多かったですね。
今回の案は2つに大別できると思います。すなわち映画と言う概念なのか、その空間なのか。私江塚を除く5名は全て映画の概念に触れていましたね。概念とは具体的に、映画が何から構成されているか、又は制作者の意図は何か、という事です。神田、増山案は住人が役者になる事が出来ると説き、戸井、渡辺hは視線、つまりカメラに着目し、渡辺rは映画がもたらす感情について触れていました。
つまりこの5名はそれぞれ別の製作セクションであると言えそうです。
 映画も建築もともにつくられたものである以上、このように分類出来る事は非常に示唆的であります。とくに住宅の場合、設計する際にはストーリーが重要になりますよね。これは設計意図というものです。つまり脚本(増山案が言うところの「ヌケ」)に相当します。それを成り立たせるために設計することになります。5名がそれぞれ別の要素を提案して一つの住宅を提案して行く事も出来そうだな、と思いました。
 こうなってくると建築もある意味虚構ではないですかね。設計意図と実際は必ず乖離する、という話をある社会学者が言ってましたし…

そこは各人の解釈に任せます。江塚