2024/04/20

昼間の旧営巣地で走り回って独り遊びするニホンアナグマの幼獣【トレイルカメラ】

 




2023年8月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地に、元気いっぱいの幼獣が明るい昼間に単独で戻ってきて独り遊びをする様子を示した動画です。 


シーン1:8/5・午後12:12・晴れ・気温33℃(@0:00〜) 
暑い昼下がりに巣穴Lから外に出た幼獣が右へ走り去りました。 
…と思いきや、しばらくすると右から走って戻ってきました。 
巣口Lで立ち止まり、辺りの様子を伺っています。 
巣口Lを飛び越えて左へ行ったり来たりしました。 
林床の落枝の匂いを嗅いでから、右へ駆けて行きます。 


シーン2:8/6・午後12:13・晴れ・気温34℃(@0:32〜) 
翌日も同じ時間帯に、幼獣が獣道を右奥へ駆けていく後ろ姿が写っていました。 

しばらくすると、左からまた幼獣が現れました。 
同一個体の幼獣がぐるっと一回りしてきた可能性もありますが、別個体かもしれません。 
広場や獣道の匂いを嗅ぎながら、仲間(兄弟姉妹)の後を追います。 


シーン3:8/6・午後12:20・晴れ・気温34℃(@1:04〜) 
巣口Lの手前から幼獣が左へ駆け抜けました。 
林冠からハラリと落ち葉が舞い散りました。 


シーン4:8/6・午後12:20・(@1:10〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラで続きが撮れていました。 
幼獣が広場から右へ駆けました。 


シーン5:8/6・午後12:21・晴れ・気温33℃(@1:19〜) 
左上奥の(ヒメアオキ?の)茂みの奥で単独活動していた幼獣が広場に猛然と駆け戻ってきました。 
とにかく独りではしゃぎ回り、また左へ走り出しました。 


シーン6:8/6・午後12:43・晴れ・気温33℃(@1:36〜) 
右から帰ってきた幼獣が素早く巣穴Lに入りました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
この幼獣は迷子になって(家族とはぐれて)パニックになっているとか仲間外れにされているというよりも、仮想敵と追いかけっこを繰り広げる「独り遊び」に熱中しているようです。 
ヒトの幼児でも「いるいる、こういう子(男子)が居るよなぁ」と微笑ましく思います。
同腹から生まれた4頭の兄弟姉妹の中でもどうやら「性格の違い」があるようです。 
他の幼獣3頭と違って単独行動を好み、空想力豊かで、元気があり余っている個体が1頭だけいます。
野生のニホンアナグマにもイマジナリーフレンドと遊ぶ幼獣がいる、と解釈するのは行き過ぎでしょうか?



つづく→

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるキンバエを襲って狩るキイロスズメバチ♀

 

2023年7月下旬・午後14:30頃・晴れ 

東北地方南部が梅雨明けを宣言した日、スギ防風林の倒木横に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを見に行きました。 
タヌキの新鮮な糞が追加されていた中に黄色い顆粒状の糞が大量に含まれていたのは、未消化のトウモロコシですかね?(真面目に糞分析をしていません。) 
タヌキの溜め糞場phから生えてきた実生は、常緑低木のヤブコウジかもしれません。 
だとすれば、ヤブコウジの赤い実を食べる種子散布者はヒヨドリだけでなく、タヌキになります。 

キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀1匹が低空で溜め糞上を飛び回り、獲物を探しています。 
何度も繰り返し通ってきていました。 
キンバエの仲間やニクバエの一種が糞塊に多数群がって吸汁していましたが、キイロスズメバチ♀が低空で飛来すると素早く飛び去ってしまいます。 
たまたま溜め糞phに来ていたザトウムシの一種が目の前のキイロスズメバチ♀を牽制するように立ち向かった(ように見えた)のが意外でした。 
あんなヒョロヒョロの歩脚で勝ち目はあるのでしょうか? 

キイロスズメバチ♀の探餌飛翔を粘って動画に撮り続けると、逃げ遅れたキンバエに襲いかかり、見事仕留めました。 
溜め糞場で獲物を待ち伏せするキイロスズメバチ♀はこれまで何度も見てますが、狩りの成功シーンを観察できたのは初めてで興奮しました。

関連記事(2、10、11年前の撮影)▶  

捕らえたキンバエを抱えてすぐに飛び去ったので、キイロスズメバチ♀が肉団子を作るシーンは撮れませんでした。 
どこか近くに止まり直して獲物を噛みほぐしながらじっくり肉団子を作り、それを自分の巣に持ち帰って幼虫に給餌したはずです。 

狩りの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:44〜1:34) 
キンバエの方が圧倒的に敏捷で反射神経も優れているのに、鈍臭い個体が慌てて逃げ損ね、キイロスズメバチ♀の目の前に落ちてしまったのが運の尽きでした。 

その後も溜め糞場phで私がしばらく待っていると、キイロスズメバチ♀が再び飛来しました。 
おそらく狩りの成功体験を得た同一個体が学習して同じ狩場に戻ってきたのでしょう。 
再びキンバエに襲いかかっても、素早く逃げられてしまいます。 
オオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫・幼虫やワラジムシPorcellio scaber)、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)など体が硬い外骨格で守られている虫には決して襲いかかりませんでした。 
溜め糞に着地したキイロスズメバチ♀は、ちょっと身繕いしてから再び飛び立ちます。 
動画素材の順序を編集で入れ替えて、狩りの失敗シーンを成功シーンの前にもってきました。

2024/04/19

夜のスギ林で倒木を高速道路(獣道)として利用する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年8月上旬〜中旬 

スギの防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phを自動センサーカメラで見張っていると、野ネズミ(ノネズミ)が夜な夜な登場しました。 


シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
たまたま明るい日中に撮れた現場の様子です。 
真っ直ぐなスギの倒木が林床に放置され、その左横で立木の下に黒々としたタヌキの溜め糞場phがあります。 
真夏のスギ林床はシダ植物が繁茂しています。 


シーン1:8/4・午後19:33(@0:04〜) 
晩に野ネズミがスギ倒木の上を伝い歩いて奥へ向かっています。 
倒木から右に跳び下りたようで、右上の林床をウロチョロする野ネズミの白く光る目が動いています。 


シーン2:8/6・午前3:21(@0:16〜) 
2日後の未明に、野ネズミが再びスギ倒木を伝って奥へ走り去りました。 
画面の上端からなぜか手前に戻って来かけたものの、結局は奥に姿を消しました。 


シーン3:8/7・午前2:23(@0:29〜) 
翌日の未明、野ネズミがいつものようにスギ倒木上を伝って一旦奥へ行ってから、なぜか途中で方向転換して手前へ引き返して来ました。 

余談ですが、スギ立木の幹に止まっている黒い2匹の虫が何なのか、気になります。 


シーン4:8/10・午前2:59(@0:42〜) 
3日後の未明にトレイルカメラが起動したときには、野ネズミはスギ倒木に乗ってじっとしていました。 
倒木上を右往左往してから手前に向かって来ます。 
珍しく倒木から左の林床に飛び降りると、溜め糞場phへ慎重に近づきました。 
約1時間45分前にタヌキが排便しに来たばかりなので、新鮮な糞便臭で嗅ぎ当てたようです。(匂いによる定位) 
それと同時に、黒い糞虫(種名不詳)がスギ立木の根本から溜め糞phに誘引されています。 
すぐ目の前を黒い糞虫が歩いているのに、野ネズミは見えていないのか、捕食しませんでした。 
暗闇では虫がヒゲに触れないと野ネズミは気づかないのかな?
新鮮な溜め糞phの匂いを嗅いで点検しただけで、野ネズミは左下に立ち去りました。 


シーン5:8/11・午前3:28(@1:40〜) 
画面中央の林床を左から来た野ネズミが、右のスギ倒木の上にピョンと身軽に飛び乗りました。 
そのまま倒木上を伝い歩いて奥へ向かいます。 
奥から少し戻ってくると、右の林床にピョンと飛び降りて、右上に立ち去りました。 

ところで、手前の空中に斜めに張られたクモの糸に大きな粘球が2つの連なり、暗視カメラの赤外線を反射して白く光っています。 
ピンぼけで人魂のように見えますが、静止しているので全く怖くありません。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
野ネズミにとって、シダ植物などの下草が繁茂し落葉落枝が散乱する林床は歩きにくいのか、それとも捕食者が潜んでいる危険性があるのかもしれません。 
スギ倒木を見通しの良い安全な高速道路として、野ネズミはよく利用していることが分かりました。 
自然界でこれほど真っ直ぐな獣道は他にありません。
倒木という高速道路から下道に降りるのも、高速道路に戻るのも自由自在です。 
まるで川に架けられた丸木橋のように、陸地でも頻繁に倒木を渡り歩いています。 


倒木とは樹木の遺体です。
林業の観点からは、植林地内で倒木を放置しておくのは良くないことなのでしょう。
今回の倒木ぐらいの太さだと跨いで歩けますが、巨大な倒木があると我々ヒトは歩きにくくなりますし、様々な作業の妨げになります。
「手入れが行き届いていない荒れた山林」と呼ばれて問題になっているのをよく耳にします。
しかし、生態学の観点からは、菌類の分解力によって長い年月をかけて朽ち果て土に還っていく倒木もまた森を構成する一つの重要な要素である気がします。
倒木自体がさまざまな生きものに餌や隠れ家や道などを提供しています。
林内で朽木や倒木をありのままに残しておく方が生態系のバランスが保たれ、長い目で見たときに森の健康が守られるのではないでしょうか?
ただし、住宅地にすごく近い森の場合は、朽ちた倒木からシロアリが発生するとトラブルの元になりそうですし、理想論などは言ってられないかもしれません。
原生林ではシロアリの捕食者が何種類もいますから、シロアリの数が増えすぎることはありません。

つづく→ 


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