2024/05/01

夜のニホンアナグマ旧営巣地で野ネズミがホンドタヌキとニアミスすると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年8月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後も旧営巣地(セット)を新旧2台のトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:8/19・午前4:20頃・(@0:00〜)日の出時刻は午前4:54。 
夜明け前に奥の二次林からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場しました。 
一旦左の死角へ消えてからセットに戻ってきました。 
アナグマの巣口Rを覗き込んで匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 

その間、画面の右端から1匹の野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
 暗闇でタヌキの気配に気づくと、手前の灌木の陰に隠れました。 
左からタヌキが近づくと、野ネズミは慌てて右へ走り去りました。 
タヌキは野ネズミの存在に気づいていないようです。 
獲物を追いかけて狩ろうとする行動は見られませんでした。


シーン2:8/19・午後19:21頃・(@0:49〜) 日の入り時刻は午後18:31。
同じ日の晩にも、左へ立ち去るタヌキの後ろ姿が写っていました。 
タヌキが居なくなると、アナグマの巣口Lから野ネズミがピョンと飛び出しました。
広場を走って横切ります。 


【考察】 
タヌキvs野ネズミという異種間のニアミスは初見です。 
ネコやキツネなどと違ってタヌキは生きた野ネズミを狩る能力はないようです。 
それでも野ネズミは用心して、夜の森ではタヌキを避けて暮らしていました。

水田の畦道に並んで羽繕いするカルガモ3羽の群れ(野鳥)

 

2023年7月上旬・午前11:15:頃・くもり 

カルガモAnas zonorhyncha)3羽の群れが田んぼの畦道に並んで羽繕いしていました。 
右端で少し離れた個体は、後ろ向きで片足立ちしています。 
やがて左の2羽が相次いで奥の水田に降りて、姿が見えなくなりました。 
おそらく私を警戒して逃げたのでしょう。 
最後まで残った右端の個体は片足立ちのままです。
まさか怪我した足をかばっているのか?と思いましたが、動くまで待ち切れませんでした。 
おそらく片足ずつ持ち上げて筋肉を休めたり、冷えた足を温めたりしているのでしょう。

2024/04/30

スギ倒木横のタヌキ溜め糞場で未消化の種子を食べる夏の野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

スギ防風林で倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phに監視カメラを設置すると、野ネズミ(ノネズミ)の活動が夜な夜な記録されます。 
今回は倒木の上を渡り歩くシーンを除いてまとめました。


シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
たまたま明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
真夏のスギ林床はシダ植物が繁茂しています。 
真っ直ぐなスギの風倒木が林床に放置され、その左横で立木の下に黒々としたタヌキの溜め糞場phがあります。 


シーン1:8/6・午後23:34(@0:03〜) 
深夜に野ネズミがスギ倒木の下をくぐり抜けて右へ向かいました。 


シーン2:8/7・午前0:59(@0:20〜) 
日付が変わった深夜未明に、スギ立木の根本に野ネズミが登場しました。 
目の前で黒い虫(なんとなくカマドウマの仲間?)がスギの根元から木登りし始めても野ネズミは全く気づいていないようで、暗闇では捕食しませんでした。 
夜に野ネズミが虫を捕食するとしたら、視覚に頼らず聴覚やヒゲの触覚を頼りに狩りを行うのでしょう。
タヌキの溜め糞場phには立ち寄らず、スギの根本を回り込んで手前に徘徊します。


シーン3:8/8・午前0:12(@0:36〜) 
翌日の深夜に林床を左から来た野ネズミがスギ倒木の下に潜り込み、くぐり抜けると反対側にピョンと出てきました。 


シーン4:8/8・午後22:35(@0:50〜) 
同じ日の晩遅くに、スギ立木の背後から右に野ネズミがひょっこり現れました。 
下草の生い茂る林床で少し回り道をしたものの、70分前に跛行タヌキが排泄したばかりの新鮮な大便の匂いを嗅ぎつけたようです。 
溜め糞場phに来ると野ネズミは立ち止まり、何か食事をしました。 
未消化のまま排泄された果実の種子を採食したのか、それとも小型の糞虫を捕食したのか、映像では見極められませんでした。 
食後はスギ倒木の下をくぐり抜けて右に走り去りました。 
林床を糞虫らしき黒い甲虫が溜め糞phに向かってゆっくり歩いてくる様子がついでに撮れていました。 


シーン5:8/14・午前2:05(@1:44〜) 
6日後の未明に野ネズミが奥からやって来ました。
(倒木から右に飛び降りた直後かもしれません。)
シダ植物が繁茂する右の林床エリアで餌を探し歩いています。


シーン6:8/14・午前3:39(@2:03〜) 
スギ立木の左のエリアをウロチョロしています。(探餌徘徊)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
真夏のタヌキ溜め糞場phに野ネズミはあまり通っていないことが分かり、意外でした。
わざわざ不潔な溜め糞の中から食べ物を探さなくても、盛夏の森では他に餌が豊富にあるのでしょう。

この時期に溜め糞場phを現場検証すると、大量の種子が溜め糞に見つかります。
糞分析は今後の課題ですが、ヤマザクラの実を最近タヌキが食べたのではないか?と勝手に想像しています。(この時期ウワミズザクラの果実は未だ熟してないかも?)
せっかくタヌキのおかげで種子散布が成功しかけたのに、野ネズミなど種子捕食者に一部は食べられてしまいます。
秋から冬にかけて餌が乏しくなると、野ネズミはタヌキの溜め糞場によく通って種子を次々に捕食するはずです。(他の地点の溜め糞場で観察した結果に基づく予想)

この溜め糞場phからヤブコウジの実生が育ちつつあるということは、タヌキがヤブコウジの赤い実を冬に食べたのかもしれません。※
陰樹のヤブコウジは日照に乏しいスギ林床でもなんとか育ちますが、陽樹ヤマザクラの種子がタヌキによって運ばれてきても、発芽した実生が暗いスギ林の中で育つのはまず無理でしょう。
タヌキが落果を食べて堆肥に埋もれる形で散布された種子も勝ち組とは限りません。
発芽しても日光が少ない場所では他の植物との競争に負けて生育できないからです。
それこそ暴風や落雷によってスギの木が新たに倒れたり人為的に間伐されたりして林冠ギャップが広がり、日光が射すようにならないと、種子散布は成功しません。
こうして考えると、動物散布型の植物はおそろしく確率の低い可能性に賭けて大量の種子を毎年黙々と生産していることが実感できるようになりました。

※ 元々ヤブコウジの小群落が生えていた地点に後からタヌキが溜め糞を排泄するようになった、という可能性はあります。
真面目に糞分析をして、ヤブコウジの種子が含まれていることを確かめるとともに、ヤブコウジの群落でタヌキが熟果を採食する証拠映像をトレイルカメラで撮る必要があります。

つづく→

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