このサイトで、とても人気のあるエックハルト・トールさんの記事。改めてニュー・アース(外部リンクAmazonへ)という人気書籍からご紹介したいと思います。
このエピソードは『物語』として、そして『ペインボディのしくみ』として、わかりやすくとても面白いな!と初めて読んだ時に感じました。
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「いまに在る」こと
『不幸』と一体化した女性
三十代の女性が私に会いに来た。初対面の挨拶で早くも、彼女の表面的な微笑みと礼儀正しさの奥にある苦痛が伝わってきた。
話し始めるとたちまち微笑は消え、苦しげな表情が現れた。
こちらのクライアントの女性は、少女時代に暴力的な父親に虐待を受け、とても重いペインボディを抱えていました。
彼女はペインボディと一体化していて、そのペインボディを通して物事を見て、捉えている状態でした。
自分の思考でペインボディを養っていたのです。
苦痛と思考に完全に自分を同一化していたため、自分の重荷は自分自身である、自分で苦痛を作っていることに表面的には気づいていませんでした。
しかし、エックハルト・トールは
自分の重荷は自分自身だと、どこかで気づいていたに違いない。
目覚めの用意はできていた。
だから私のもとに来たのだ。
と綴っています。
目を醒まして生きると決める。その準備ができた人だからこそのタイミングだったのです。セッションが始まります。
エックハルト・トールの個人セッション
私(エックハルト・トール)は、
『身体のなかで何を感じているかを見つめてごらんなさい、不幸な思考、不幸な人生の物語というフィルターを通さずに、直接に思いを感じてごらんなさい』、
と勧めた。『自分は不幸から脱出する方法を教えてもらいに来たので、不幸に沈没するためにきたのじゃない』、と彼女は言い返したが、
『とにかくやってみる』と答えた。やがて涙があふれて、体が震え出した。『それがあなたのいまの思いです』と私は言った。
『それが今のあなたの思いだという事実はどうすることもできません。では、こんなのは嫌だ、そうじゃない状態になりたい、と考えるのをやめて(そんなことを考えても、すでにある苦しみにさらに苦しみが重なるだけですからね)いまの思いを完全に受け入れることはできますか?』。
彼女はしばらく黙っていたが、ふいに頭を上げ、そのまま立ち上がって帰りにそうなそぶりで荒々しく言った。
『いいえ、受け入れることなんかできません』。『そう言っているのは誰ですか?』。私は問い返した。
『あなたでしょうか、それともあなたのなかの不幸でしょうか?不幸な自分を思って不幸になる、それがまた不幸を積み重ねているのがわかりますか?』。彼女はまた沈黙した。
『何かをしなさい、と言っているのではないんですよ。ただ、現にある思いを認めることはできますか、と言っているだけなのです。奇妙に聞こえるかもしれませんが言い換えればこういうことです。
あなたが自分の不幸を気にしなくなったら、その不幸はどうなるんでしょうね?
やってみてはどうですか?』。
一瞬きょとんとしていた彼女は、しばらく口を開かなかった。私はふいに彼女のエネルギー場が変化したのを感じた。
『おかしいですね。私はいまも不幸ですが、でもその不幸のまわりにスペースができたみたいです。前ほど重大に思えなくなりました。』
不幸のまわりにスペースができた、こういう表現を聞いたのは初めてだった。
もちろんそのスペースは、いまこの瞬間に経験していることを全面的に受け入れたときに生じる。
それ以上はあまり言葉をかけず、彼女が今を経験するのに任せておいた。
やがて彼女は、自分のなかに生きている古い苦痛の感情に自分を同一化するのをやめたとき、そしてそれに抵抗せずただ見つめたとき、それはもう彼女の思考の支配者ではなくなり、心のなかでつくりあげた「不幸な私」と言う物語の一部でもなくなる、と気づいた。
彼女の人生に過去乗り越えた新しい側面がーー
「いまに在る」という側面がーー現れたのである。不幸な物語がなければ不幸ではいられないから、これで彼女の不幸は終わった。
それは彼女のペインボディの終わりの始まりでもあった。
感情そのものは別に不幸ではない。感情に不幸の物語がくっついたときにだけ、不幸になる。
エックハルト・トール
気づいてしまうとすぐ起こる目覚め。不幸な物語を自分で作りだして、そこに浸っているときは、自分で不幸を選択している訳なのですね。
エックハルト・トールが途中でクライアントにたずねている『そう言っているのは誰ですか?』=不幸を感じているのはだれですか?という問いかけは、マハラジやラメッシ。そしてラマナ・マハルシにつながっていく言葉です。
彼女はペインボディとグッバイしました。が、その残されたペインボディはどうなるのでしょうか?次号に続きます。
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