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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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『The MANIAC』:科学の探究は人類にとって善となるのか、悪となるのか_b0087556_23525524.jpg
The MANIAC』Benjamín Labatut著、 Penguin Press

『When We Cease to Understand the World』が『恐るべき緑』(松本健二訳、白水社)というタイトルで邦訳が出たベンハミン・ラバトゥッツの長編2作目。前作はスペイン語からの翻訳だったけど、本作は著者が英語で執筆している。

今回も事実を元に構築したフィクションというスタイル。1933年にオーストリアの物理学者ポール・エーレンフェストが、人類が最も深く必要とするものにはまったく無関心な非人間的知性がじわじわと形成されていくことに絶望し、ダウン症の息子を射殺して自殺するまでのエピソードがプロローグ。中心となるストーリーは、幅広い領域で数々の業績を残したジョン・フォン・ノイマンで、彼を取り巻くさまざまな人々の視点からノイマンの人物像を浮かびあがらせる。そして最終章は囲碁に特化したAIであるアルファ碁について語られる。

なぜアルファ碁なのか、というのは読んでいくうちに流れとしてはわかるんだけれども、個人的にはアルファ碁のセクションはあまり興味が持てなかった。それ以前のノイマン(の周囲の人々)の章で描かれるノイマンが強烈すぎてお腹いっぱいになってしまったからかもしれない。ただノイマンは捉え難い人物で、著者もノイマンの断片を集めるのに精一杯という感じはした。そういう意味では、今回はノンフィクション的な印象が強くて、前作に感じた文学的な要素が少ないように思った。計り知れない知性による科学の探究が人類にとって善となるのか、悪となるのかというテーマは共通している。

ノイマンは天才的であると同時に悪魔的でもあり、序章のエーレンフェストじゃないけれど、読者の私もなんか鬱々としてくるというか、とにかくノイマンには危ういオーラがつねにまとわりついている。なにせ子供のように道徳観の欠如した人物であり、ロスアラモスで原爆を設計している時に、リチャード・ファインマンに対して「我々が生きている世界に責任を持つ必要はないのだよ」と言ってしまうような人物なのだ。いくら頭脳明晰でもこういう人に世界を任せていたら、人類は手に負えない危険に遭遇するという不穏な予感しかないし、実際にそうなってしまった。

「夫は人生はゲームだと考えていた」とノイマンの2番目の妻クララ・ダンは話すが、それとは対照的に、ノイマンとともにゲーム理論を考案した経済学者オスカー・モルゲンシュテルンは「人生はゲーム以上のものだ」と語る。豊かで複雑で方程式では捉えられないし、非合理的で、感情的で、矛盾に満ちている。「制御できないカオスを引き起こすが、それはまた慈悲でもあり、理性の狂った夢から私たちを守ってくれる奇妙な天使なのだ」と言う。

AIがどんどん進化していく世界で、奇妙な天使はいつまで人類を守ってくれるのだろう。

# by rivarisaia | 2024-03-24 23:52 | 書籍 | Trackback | Comments(0)

素数日記

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片付け先にて引き出しの中から拾い集めた貝ボタン


片付け中に欲しいものがあれば持って行ってちょうだいと言われたのだけど、私がいいと思うものは本当にどうでもよいものばかり。貝ボタンに古い切手、欧州に行った際に記念に買ったのであろう「ザ・観光地」といった絵葉書や地図とか。


# by rivarisaia | 2024-03-23 23:59 | 素数日記 | Trackback | Comments(0)

素数日記

素数日記_b0087556_23085908.jpg
粘着力がほぼ失われた丸シールがあちこちの引き出しから発掘されたので、捨てる前に貼ってみました。

遠方に住む高齢者が施設に入ることが決まったため、少しずつ荷物を片付けている。整理がされているように見えたけど、収納の中はカオスなことになっており、たいして物がないようでいて実際にはかなりの物量なのだった。終わるのかな。

# by rivarisaia | 2024-03-19 23:09 | 素数日記 | Trackback | Comments(2)

素数日記

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ギリシャ製のロザリオ入れ。大きさは6.5センチ×5センチ。

お世話になった修道士さんからもらったミニロザリオをお財布ポーチに入れて持ち歩いている。金具が切れたら嫌なので家にあった適当な小袋に入れていたが、いい感じのロザリオ入れを手に入れた。突然、堂々とした雰囲気に。ミニだけど。


# by rivarisaia | 2024-03-17 23:17 | 素数日記 | Trackback | Comments(2)

素数日記

以前から我が家にエサをねだりにくる例の地域猫が、最近たまに私の周りをぐるぐる回ってにゃあと鳴いた挙句エサは食べずにご満悦な様子でどこかに去っていくことがあるのだが、あれは何だろう。挨拶回りとか営業みたいなものだろうか。

# by rivarisaia | 2024-03-13 22:32 | 素数日記 | Trackback | Comments(0)