リバプールがレアルに敗戦した理由はスターリングの守備
2014年10月22日 リバプール対レアルマドリード
現在のレアルの土台となっている選手はモドリッチとクロースの二人です。この二人とマッチアップするリバプールの選手はスターリングとコウチーニョです。
スターリングとコウチーニョ。この二人のモドリッチとクロースに対する守備を順を追って見て行きましょう。
1. 頑張るコウチーニョと傍観者スターリング
まずは前半7分です。黄丸がコウチーニョです。赤丸がスターリングです。今、クロースがボールを持っています。コウチーニョが距離を詰めようとしてます。しかしモドリッチに対するスターリングの守備が甘い。だから簡単にボールが入ります。
クロースからモドリッチにボールが入りました。守備が緩いです。スターリングは棒立ちです。一方でコウチーニョはスターリングの代わりにモドリッチに当たりに行こうとしてます。
この後どうなるかと言うと、
コウチーニョは、ここまでモドリッチを追いかけました。この時モドリッチは顔を上げて前を見てますね。ジェラードの裏のスペースに誰か入ってないか?の確認です。ベンゼマがいます。モドリッチはベンゼマにクサビを打ち込みます。
ベンゼマのポストに対して、右インサイドのヘンダーソンが絞って対応しました。だから黒丸のスペースが空きました。そこでベンゼマはクロースにボールを落とします。ここでクロース(白丸)がフリーになっている。マークはコウチーニョ(黄丸)です。しかし彼はモドリッチを追っていた。だから代わりにスターリングがクロースに付かなきゃならない。
スターリングは何をしているのか?
スターリング(赤丸)は、見てるだけなんですね。フリーなクロースからイスコにパスが出ます。
14番のヘンダーソンが引き出されて、イスコが前を向いてボールを持っています。これは良くない。
2. シューズが気になるバロテッリ
前半8分です。コウチーニョがクロースに当たりにいってます。一方でスターリングは何をしているかというと、まだ画面の上部の赤丸の中にいます。ついでにバロテッリもいます。既にレアルの攻撃が始まっているのに、二人はチンタラ歩いてるんですね。
クロースはコウチーニョを引き付けてヴァランにボールを渡します。ここでペペを見てください。逆サイドを指差していますね。なぜならモドリッチのマークに左インサイドのアレンが来ているから、逆サイドが空いているからです。そこにボールを送れってことです。
ヴァランがサイドチェンジをします。コウチーニョはヴァランに寄せています。その様子を見たアレン(黒丸)は、モドリッチのマークを捨てて急いで左サイドに戻ってます。これは大変です。
一方でスターリング(赤丸)は棒立ちです。さらにバロテッリ(オレンジ)に至っては、何か足を気にしてシューズを触ってます。これは駄目です。せめてペペには当たりにいってないと。チームメイトを無駄走りさせる事になります。
3. スターリングは見て見ぬフリをする
前半9分です。クロースがサイドに開いています。コウチーニョが当たりに行ってます。中央が空いたのでイスコが下がって来ました。
クロースからイスコにパスが入りました。ここでロナウドが下がって来てます。またスターリングのモドリッチに対する寄せが甘い。ケディラじゃないので距離を詰めとかないと駄目です。
イスコがモドリッチにパス。簡単にモドリッチにボールが入ってしまう。この後、モドリッチは左サイドにボールを展開。
左サイドでマルセロがボールを持ちました。ジェラードが引き出されています。そのスペースを狙ってモドリッチが前進します。スターリングはモドリッチに付いています。
しかし、この時点でスターリングはモドリッチに離されています。ジェラードのいない中央はガバガバです。マルセロはベンゼマにクサビを入れます。
ベンゼマがロナウドにボールを落とす。モドリッチが完全にフリー。
ロナウドがマルセロにパス。ここでもモドリッチが完全にフリー。
マルセロが左のアウトでモドリッチにパスを出す。モドリッチが完全にフリー。それを見ているスターリングは動かない。
モドリッチにボールが入る。ここでスターリングが慌てて寄せに入る。そしてジェラードはベンゼマに置いて行かれている。この後、ベンゼマ-モドリッチ間で舐めたワンツーが始まりました。
4. 流星のモドリッチ
前半12分です。ここも同様です。繰り返しになりますが、クロースにはコウチーニョが付いてます。一方でモドリッチに対しては誰も当たりに言ってない。スターリング(赤)はバロテッリ(オレンジ)を見ています。「お前が当たりに行けよ」って事です。どっちでもいいから行けよ。この間隙を突いたモドリットがドリブルをスタートします。
慌ててコウチーニョが寄せに行ってますが、置いて行かれます。モドリッチは、どこまで行くのでしょうか。
ここまで行きました。既にコウチーニョは諦めています。モドリッチは右サイドのハメスにスルーパス。
リバプールの守備陣はラインを上げて、オフサイドを取りました。しかし、モドリッチにはプレッシャーが掛かっていなかったので、かなりの博打です。
5. 圧殺されるジェラード
前半20分。モドリッチがボールを持っています。モドリッチは顔を上げて前を見てます。何を見てるかと言うと、ジェラード周辺のスペースです。ロナウドがポジションしています。モドリッチに対する寄せが甘いのでバイタルに簡単にボールが入ります。
ロナウドにボールが入りました。中央ではマルセロ&ロナウド対ジェラードになってます。ロナウドはジェラードを引っ張ってからマルセロにパス。
マルセロが前を向く。これはキツい。ロナウドを当てられるだけでもジェラードは厳しいのに、2対1の数的不利を形成されたら、もう絶対に無理。
6. 心が折れるコウチーニョ
クロースがボールを受けに下がります。コウチーニョが当たりに行きます。
ペペは下がってきたクロースを飛ばしてヴァランにパス。
ここでコウチーニョが頭を下げてます。まだ前半20分なので精神的に「キツイ」って事です。ここまで頑張っていたコウチーニョですが、ほとんど無駄走りになっています。
7. リバプールの失点
前半22分です。失点シーンです。モドリッチにボールが入る。ここはスターリングが寄せる。
モドリッチはスターリングから逃げながら顔を上げて何かを確認してます。繰り返しになりますが「ジェラードの背後に誰か入っていないか?」の確認です。ロナウドがポジションしてますね。これを見たモドリッチは、
スターリングの寄せを苦にせず、
楽勝でロナウドにパス。この後ロナウドは上がって来たペペにボールを落として、再び受け直します。
中央でベンゼマ&ロナウド対ジェラードの2対1のできあがり。ここでリバプールは失点。
敗因は「この私だ」
リバプールの守備で問題だったのは、レアルのキーマンであるモドリッチのマークを担当しているスターリングの散漫な守備。そして、そこから発生するマークのズレとジェラード周辺のスペースです。リバプールに完勝したレアルは素晴らしかったですが、はっきり言ってリバポの守備が悪かったです。
また厳密には「スターリングが悪い」って言うか「モドリッチにスターリングを当てたロジャーズ」が悪いです。たぶんスターリングは「そんな下がらなくて良い」って言われてたんだと思います。攻撃をしろ、と。もし「守備をしろ」と言われていて、この体たらくだったならスターリングは絶対に代えられていたはずです。つまりロジャーズの選択ミスだった。だから二失点した後、前半30分にロジャーズはスターリングを左サイドに下げました。そしてシステムを451に変更しました。ミスだ、という事です。完全に後手後手です。ベルナベウで行われるリターンマッチに期待です。
笑顔のロナウドとクラシコ
これはロナウドがジェラードにキモイ笑顔を見せているシーンです。ロナウドがバイタル付近でシュートを撃った時、ジェラードのブロックが入ったので「コーナーだろ」って訴えた場面です。かなり楽しそうです。なぜならジェラード相手に終止、気持ち良くプレーが出来ていたからです。
今夜行われるクラシコですが、もしリパプールのようにバルサがモドリッチやクロースのマークを怠り、バイタルの守備が緩ければ絶対レアルが勝ちます。まあ、ないだろうけど。
リバプールの不利な賭け
ロジャーズ対アンチェロッティ。
ジェラード対ロナウド。
ベットは自由だ。
どちらに賭けるか?
デポルが大敗した理由
リアソールの呪い
レアルマドリードとデポルティーボの間には「リアソールの呪い」ってのがあります。リアソールはデポルティーボのホームスタジアムの事です。レアルは、このリアソールで中々デポルに勝てなかった。これが「リアソールの呪い」です。
一体どれくらい勝てなかったかと言うと、
このくらいです。このサイトにレアルとデポルの歴史が綴られています。レアルのような超強豪チームが、いくらアウェイとはいえ、20年で2勝ですから、これは呪われています。
2014年9月20日 リーガ第4節 デポル対レアルマドリード
まあ、そんな呪いですが、最近は発動していません。今回も発動しませんでした。それどころかレアルはリアソールで大勝しました。8対2です。野球のスコアです。
一体、なぜ「呪い」は発動しなかったのか?
端的に言うと、デボルの守備がザル過ぎて「呪い」も発動する気が起きなかったからです。という事で、今日はデポルが大敗した理由を見て行こうと思います。
まずは城彰二だよ!
前半7分頃にあったWOWOWの解説者、城彰二と実況者のやり取りです。
実況「今、見てますと、ベイルが真ん中にいるんですね」
城「そうですね」
実況「しぼっていて、ベンゼマが外に出てるんですね」
城「まあ、この辺は流動的に動いているんじゃないですかね」
これサラッと流されたんですけど、この試合において「ベイルの中への動き」は、凄く重要でした。
ベイルとモドリッチ
この試合のベイルは頻繁に中に入ってきました。なぜかと言うとデポルの中央にスペースが空いていたからです。
白いユニフォームがレアルで左に攻めています。今ロナウドがボールを持っているんですけど、真ん中にポッカリとスペースがありますね。これです。だから右サイドのベイルは中に入ってきたんですね。ここがガバガバだから。そしてベイルが中に入ると、次にフリーになる選手がいます。
モドリッチです。
手を挙げている選手がいますね。モドリッチです。ここを起点にパスを入れます。
デポルの守備の問題
仕組みは簡単です。
デポルの中央にスペースがある→ベイルが入ってくる→モドリッチがフリーになる。ベイル-モドリッチ間におけるDFの綱引きです。
それでは実際に、その様子を見てみましょう。
前半7分です。ハメスがボールを持っています。白丸がモドリッチです。この時、中央にスペースが空いていますね。このスペースを狙います。まずはベイルが中に入ります。
ベイルにDFが付いてきました。そこでベイルはモドリッチにボールを落とします。
モドリッチがフリーでボールを持ちました。この後モドリッチは対面のDFの股を抜いてパスを通しました。この位置でモドリッチにボールを持たれるとヤバイです。
同様に前半13分。
ロナウドがボールを持っています。やっぱり中央が空いていますね。ここにベイルが入ってきます。
DFは完全に遅れてます。急いで中央を埋めに行っています。
すると次はどうなるのか?
まだ画面には映ってないですけど分かりますね?
そうです。モドリッチがフリーになります。
はい。おもいっきりフリーですね。これはヤバイです。
まあ、こんな感じで「中央のスペース+ベイルの動き」だけで「モドリッチがフリーになる」ってのが自動的に分かります。
この直後にも同様の形が起きます。
ラモスがボールを持っています。前でベイルがDFを抑えて、モドリッチがフリーです。手を挙げていますね。
モドリッチにボールが入りました。ここでDFが距離を詰めに行きます。すると中央にスペースが生まれて、ベイルがフリーになります。これが狙いです。
モドリッチはフェイクを使って中を抜きます。
ベイルにボールが入りました。モドリッチからすると楽勝です。この後デポルは細かいパス交換で中央を突破されてしまいました。
ここまで全て前半15分までのプレーです。何度も同じ形が生まれています。守備が上手くいってない証拠です。
変わらないデポル
前半30分の場面です。中央にロナウドがいます。さすがに勘が良いです。そしてモドリッチがまた手を挙げていますね。全然変わってない事が分かります。まだスコアは一点差ですけど、これは時間の問題です。
ゆるゆるデポル
モドリッチが前を向いてボールを持つとベイルやロナウド、ベンゼマにパスが入ります。そして彼らに前を向かれたらデポルのレベルだと厳しいです。どう考えてもレアルの方が個人技は高いです。だからデポルはもっとキツくプレスに行って出所を潰すか?あるいは撤退してスペースを潰さなければいけません。しかし立ち上がりからデポルはゆるゆるでした。格下のチームが、こんな試合の入り方をしては勝てません。結果、デポルは大敗しました。必然です。
では一体、どの時点でデポルはヤバかったのか?
ズバリ!!
前半1分の時点でデポルはヤバかったです。
なんじゃこりゃ!?
もうビックリするぐらいにベンゼマがフリーで飛び出しています。どうせベンゼマの事だから「オフサイドだろ?」とか思ったらオンサイドでした。
マジかよデポル!?
下がるロナウドに敵SBが食い付いたので、裏にベンゼマが飛び出しただけなんですけど、
こうなる。
これはヤバイ。
そしてデポルは、これと同じ形から二点目を食らっています。
さっきと全く同じ形です。ロナウドが下がって、ベンゼマが裏を狙う。デポルのラインはガタガタです。そして、さらに中央ではハメスがフリーです。
この後ベンゼマがサイドに抜けて、折り返しをハメスが決めました。
ここからハメスがミドルシュートを撃ちました。素晴らしいゴールでした。これはデポルにとって少し理不尽なゴールに思えます。しかしサイドの守備はガタガタで、また中央にいたハメスは最初から最後までフリーでした。このレベルの選手を相手に、これだけ時間とスペースを与えれば、そりゃやられるっていう。
そんな訳で「デポルが大敗した理由」でした。ちなみにデポルの今日付けの順位は、絶賛最下位です。
次回は「マルセロが怒った!アルマドリードの守備の問題」です
やっと四節まで来ました。ナショナルマッチがある間に追いつきます。次回は2節のソシエダ戦と4節のデポル戦から、レアルの守備の問題を探っていこうと思います。
さようなら。
アルベロアの、ちょっと良いとこ見てみたい!!
前回はコエントランのカバーリングミスを検討しました。今回はレアルマドリードのクリスチャン・ベールことアルバロ・アルベロアです。
アルバロ・アルベロア
ダークナイトのようにダークな一面を持つアルベロアですが、その最たる特徴は「守備時における中への絞り」です。これを九月に行われたリーガ第三節のレアル対アトレティコ戦から見ていきたいと思います。
前半13分です。白いユニフォームがレアル。画面左側に向かってアトレティコが攻めています。この時、右SBのアルベロアはマンジュキッチに付いてサイドへと戻っています。その様子を中央のコケが確認しています。この時コケの目には「マンジュキッチが壁になってアルベロアを押し込んでいる様子」が映っています。そんな訳で、コケは安心してボール方向に顔を戻します。
コケがボール方向を見ました。すると、この瞬間にアルベロアは方向転換!!
コケがボールをトラップ。この隙にマンジュキッチを捨てて一気にコケとの距離を詰めます。
コケが前を向くと、そこにはアルベロアが!!
ドン!!
クロースがボールを回収。アルベロアの絶妙な寄せのタイミングでした。
アルベロアの攻撃的守備
こういった中へのアタックは自分のマークを捨てる事にもなるので、タイミングを間違うと致命的です。一方でアルベロアのように上手く中に絞る事が出来ると、中盤で「+1」となり、かなり優位に試合を進める事ができます。
レアルの守備の問題とアルベロア
ここからはレアルの守備の問題と絡めてアルベロアを見ていきます。前半26分です。
一枚目と二枚目の違いが分かりますか?
一枚目は前半26分40秒にアトレティコの遅攻を受けた場面です。二枚目は前半26分52秒にアトレティコのショートカウンターを受けた場面です。遅攻でも速攻でもスペースが空いてしまっていますね。特にモドリッチの後ろにスペースが空いています。
この時のレアルは中盤のスペースが埋められなくて非常に困っていました。特にクロースが不当に批判されていましたが、そんな個人の次元の話ではないです。ハメスもかなり守備を頑張っています。しかし、そもそも中盤が三枚だと、どうやってもスペースは埋まりません。これは完全にブラックです。明らかに人数が足りていません。
そこで登場したのがアルベロアです。
先ほどの二枚目の続きです。アトレティコの選手がドリブルで突っ込んできます。中央で腰を落としている選手がモドリッチです。
アトレティコの選手が突っ込んで来ました。モドリッチはパスを読んで右に動きます。
モドリッチの読みは見事に外れて、コースを空けてしまいました。素通りです。これが問題で、モドリッチとクロースの二人は守備専じゃないのに、ここで食い止められないと、後ろにカバーがいない。そして最終ラインが曝されてしまう。
そういう訳で、ここからアルベロアが一気にモドリッチの裏のスペースを埋めに行きます。
グッと詰めてますね。大外のアルベロアが中に絞って中盤のフォローに入ってます。
続いて前半28分のシーンです。
レアルのカウンターです。右に攻めてます。ロナウドがモドリッチにボールを落とそうとしますが、ズレてアトレティコの選手に拾われてしまいます。
あっ。アトレティコの選手にボールを拾われてしまいました。ピンチです。そんな訳で、ここもアルベロアがモドリッチのフォローに入って、
グッと寄せて、
ボールを回収。そしてサイドへと展開。
スペースを埋める
攻撃ではモドリッチにおんぶにだっこのアルベロアですが、守備ではモドリッチを支えていました。そしてバンバンとボールを回収していました。
アンチェロッティは、このようにして埋まらない中盤のスペースを埋めにいきました。まあ結局、この試合は負けたんですけど。
こういった感じで、守備では頼りになる存在がアルベロアです。という事で「レアルのケンカ番長アルベロアの特徴」でした。
次回は「マルセロの性向」か「デボルが大敗した理由」です。さようなら。