ようやく目的の組成比になる試料が完成し、TEM(透過型電子顕微鏡)での観察となった。試料名はCo(Pt)-ITOというもので、酸化インジウムと酸化スズ(ITO)に微量の金属元素、Co, Ptを加えたものだ。Ptを加える量によって、この試料の性質が大きく変わる。性質というのは磁気抵抗の値であり、最適な組成比になると、350℃付近で抵抗値がかなり大きくなる。この特性が、近年発達してきている磁気ヘッドと呼ばれるものだ。この温度付近での結晶の変化を、TEMを用いて観察する。私の研究は、次の世代の磁気ヘッドの技術にかかわるものである。

そこで、本題の試料観察。まず、室温から300℃までの間で、組織が変化しないことを確認する。これによって、室温から300℃までの間で磁気抵抗が変化しないことを、組織が同じという点で確認する。その後、試料の温度を20℃ずつ上げ、10分間組織の変化具合を観察する。その後、結晶の様子を写真に取り、回折パターン等を見て組織が変わっているかどうかを確かめる。ところが、380℃までいったところでTEMの調子が悪くなった。見ている場所を変えようとしても、その場から動かなくなってしまったのだ。TEMに詳しい方々はみな帰ってしまっていたので、今日の実験は終わり、明日再開することになった。

明日行うこととしては、まずTEMの修理。助手の方に直していただきたい。その後実験を再開し、400℃、500℃での変化を確認する。その後、写真撮影用として改めて試料を換え、再開する。さまざまな温度で合計50枚程度写真をとった後、現像を行い、スキャナでPCに取り込む。その後、室温と300℃での写真を見比べ、組織が変わっていないことを確認する。そして、400℃までの各温度での組織の変化を見比べる。そして、500℃での組織はどうなっているかを確認する。

これによって、私の論文は完成するはず。考察に関しては明日をお楽しみに。

修士の方々は、今日が最後の締めくくりとなる、修士論文発表だった。この発表は一日行われ、学部を終えてから、2年間自らが研究した成果が発表される。先輩方の発表を聞いて、多くの学ぶべき点があった。発表のしかた、研究内容への理解、質疑応答への準備、すばらしいと思う発表をされる方が数多かった。これによって自分の今かいている卒業論文との比較、またこれから提出するまでの短い期間内でどのようなことをするべきか、再考できるきっかけともなった。

大いに参考になった発表の中からまねしたいと思ったことについて述べると、声の大きさ、間のとり方、レーザーポインターでの聞き手の誘導、時間配分、そして質疑応答用に準備しているスライドの数が半端ではなかったということがあった。初めの4つにおいてはよく言われることなのだが、何度も練習しないと身につかない。空気を吸うようにできるようにならなければならないのだ。私も去年、フランス語での発表が数多くあったのだが、何度も友人や先生の前で練習を重ねた。たかが一回だけの発表といえども、またどのような発表であれども、発表するとなった以上全力で行うものだ。質疑応答用に準備しているスライドの量にも驚いた。あらゆる観点から自分の研究を客観視し、自分の研究を説明できなければならない。本当に驚くほどの量の準備スライドだった。発表に用いた量の3倍はあったのだろうか。また、この発表の後の休憩時間に直接その方に話を聞きに行き、どのように発表練習を行ったかと聞いたら、15回くらいはやったということだ。やはり練習ありきの、すばらしいプレゼンなのだ。

発表の内容に関しては、本当に専門的であった。私の所属する同学年の人たちがやっていること、私が行っていることとも比べても、全く比ではない。加えて、展開が非常に論理的だ。理解するのが遅れて発表についていけなかったものも多々あるのだが、それでも筋が通っていると感じる。この中でも一番驚いたのは、内容は難しいものなのだが、発表の仕方によっては難しい内容も理解できているのではないかと思うほどの発表もあったため、改めて発表のうまさについて認識した。

さらに、教授の方々の知識の多さにも改めて驚いた。まったく他分野のことであるのに、質問できる、そしてそれを聞いている私は何を質問しているのだか分からない。どうすればあのような観点からものを見られるのだろうかと心から感心してしまうような質問等もあった。やはり教授の方々はすごい。

そこで、自分の研究はどのような状態なのかを改めて整理し、修士の方々のものと少し比べてみようとした。しかし、私の研究で非常にクリティカルなことは、期待する結果がでていないこと。これが一番の懸念材料である。また、それぞれの先生方が私に伝える研究目的が未だあいまいなので、ここを明確にしたい。このため、まだすべてを比較しようとしてもできない。実験方法のところまではできるはずなので、そこまではどうなっているのかを確認したい。

私の研究の背景は次世代磁気ヘッドの作成に関するものである。先行研究を受けて、私の研究がある。そのため、緒言の部分ではこの説明ははずせない。そして、実験方法。先行研究との違いは、試料を加熱しながら観察するということである。この点を分かりやすく聞き手に伝えることが初めの課題。次に組織観察の結果、考察をどのような展開にするか。先行研究の結果をヒントに予測しておきたい。おそらく、通常の核発生から始まり、凝集が起こり、析出物が成長していく過程をとるのではないかと思われる。また、その後の母相の析出についても同じように起こるのかもしれない。問題は、金属原子の析出と絶縁物質の析出が非常に近い温度で連続して起こることが予想されるため、この点をどのように実験で観察するかということだ。

また、同時に発表概要と、プレゼン試料の作成にも取り掛かりたい。今手中には是非とも完成させたい。

今日の発表は自分の論文制作の大いなる励みになった。

研究することとは何か、と今日考えた。なぜこのようなことを突然考え始めたかというと、研究発表用の練習会にて、とあることが起きたからだった。私の質問に対して、同席にいる同研究室の、俗に言う「嫌なやつ(Aとする)」から野次を飛ばされたからだ。この野次によって、多少不愉快な思いをしたが、工学部における研究とは何かと考えることができた。また、Aのような存在は常に身の回りにいるほうが、自分の成長になるのではないかと考えることもできた。

経緯の概要はというと、質疑応答のときに私が「研究結果の産業化」についての質問をしたところ、Aが「そんなこときかれないよ」と私に言った。確かに、私のしたような質問を発表当日にされる確立はほとんどないのだが、「工学系の学位を持つ人がこのことを前提に研究を進めていなくてどうする」と、思っていたので不愉快になった。今日の話題は、このことがきっかけになったものである。

工学系の研究者とは何を前提とするべきか。私はこの問いに対して、世の中の暮らしを支えることになる事象を研究し、産業化に役立てることであると答えるであろう。世の中の真理の探究、好奇心の追求は理学系の研究者がすることであると思う。世の研究はこのような定義によって二分されるのだと私は思う。おそらく逆に、世の中の研究というものを、暮らしに役立てることと、好奇心を追求することに分ければ、工学と理学に分類されるのだと思う。そして工学側の研究様式としては、暮らしに役立てることを前提とした上で、ある特定の分野での技術開発を行う。研究の指標はこのような舵取りをし、実際研究内においては、理学的な知識を用いて原因を探求し、解決策を導き出す。さらに次なる発展を求めて、考察を加える。というような形を持つべきなのではないかと思う。このような点を内心秘めていたため、今日のようなAの発言に対し、不愉快というか、これからの世を担う学生に対し危機感を覚えた。できれば、数多くの人と意見を交わし、様々な角度からの意見を聞いてみたいものである。

ここで、Aについての話に戻ってみる。確かに私はAのことを好意的に思ってはおらず、できれば何も言って欲しくないと思っているのが内心である。しかし、上記のようにAの発言によって、自分なりの考え方を多少なりとも深めることができた。この点からすると、Aの発言に感謝するべきなのだろうと思う。また、こういったAのような存在があることで、自分の理解、考え方を深めることができるのではないかと思う。そして、Aによって、どのようなことをいわれると不愉快になるか、何を言われたときAへの評価を見直すことができるか、これらが感じ取れたのではないかと思う。単純ではあるが、研究室での作業が終わり、ぐったりした中「お疲れ様でした」と部屋を出るときにいわれる「おつかれ~」という言葉には、Aであっても高感度があがるのだ。逆に自分にこれができているのかと考えると、できている気がしない。この点、Aは私よりも何歩も進んでいるではないかと思う。

研究室に所属するまでは、浅はかではあるが、どのような人とでも仲良くなれるはずだと思っていた。しかし自分の見ていた世界は、ある限られた一部分だけであったのだと、研究室に所属し、気づいた。もし時間を無限に利用することができれば、この命題は成り立つのではないかと思うが、限られた時間の中では、時間内に仲良くなれる人、ほかと比べて数倍時間をかけないと仲を良くできない人がいることは確かだ。今後、社会にでればありとあらゆる性格を持つ人と会い、共同で仕事をすることにもなる。日本人同士ならまだしも、文化や宗教がまったく変わる相手との付き合いともなれば、と考えると見当もつかない。ある程度は仲良くできるのかもしれないのだが、強い信頼を勝ち取ることができるかというと、まだ分からない。

私にとって、この研究室での暮らしは今後の生き方において大きな役割を果たすだろうことはいうまでもない、、、と将来なにかの本に書くかもしれない。


今日はきままに書いてみます。


今年になってから、学校での研究が本当に本格化した。

年が明ける前も毎日研究室に行っていたのだが、そのころに比べると

実験の数、ゲームしている時間等々大きく変わった。


最近は深夜を過ぎて家に帰ってきて、この日記を書いて寝るだけ。

この瞬間が、たまに辛いかもと思うのだが、自分のことを考えられる唯一の時間かもしれない。

この習慣は社会人になっても是非続けたい。自分の時間を作り、自分について考えてみることは

一生続けたい。まずは、この日記を書くという習慣を通して、決まった時間に自分のことを考えるということを

身に付けたい。


今週の実験で進んだことは、求める試料の組成にもう少しでたどり着けそうだと言うこと。

たどり着ければ、あとは顕微鏡で観察するだけなので、難所を通り越せる。

加えて、21日に提出の論文を書き終えることが課題。今日、結果までの構成を整えたので

あとは書くだけ。しかし、私は英語で書こうと思っているのだが、なかなか良い表現が見つからない。

たぶん、日本語で書いても同じように言葉に困るのは一緒だから英語にした。表現が見つからないことは

絶対にぶつかる問題。英語で書きとおせれば、なにか得られるものがあるはず。


そして研究室以外では、会社から量にすんでも良いという報告を受けた。

これによって、家賃が毎月6000円程度になるので、非常に助かる。すばらしい。

しかも25平米あるので、1人暮らしにしては少し広いかもしれない。

でも50インチのテレビは置けないだろう。学校でプロジェクターが何個か余っていて、それをもらえるかもしれないので、無理やりにでも家に設置するつもり。3月2日に発売されるガンダムクライマックスUCも、もう予約したので、プロジェクターでこのゲームができれば私もカミーユ・ビダンになれる。熱い。わくわく。


私の今思っている卒論後の予定は、海外に旅行に行こうとも思わないので、社会人になる前にやりたいこととしては、3月12日に発売されるFF12を本気でやってみようかと思う。とことん集中してゲームしてみたい。働くとなかなか、まとまった時間をとってゲームをできる時間はないと思われるということと、個人的にも少しやってみたいと思うので、やろう。これもまた、プロジェクターでやりたい。


加えて、サーバーを立てて、プロキシとしたい。また、CGIを受けられるようにして、自分でブログのシステムを構築したい。もうすでにリナックスの入ったPCは手に入れたので、あとはシステムを構築して、CGI、CSS等の言語を素早く習得すること。3月が楽しみだ。


でも、もし旅行するなら、国内にしたい。海外にはこれから行く機会が多くなるだろうから、外国の人たちと、自分の国について話すことになるとしたら、やはり自国のいろいろな場所に行ってみたほうが自分の知見、説得力も増すだろう。日本のすばらしさを外国のかたにも知っていただきたい。


また、留学中に出会った世界中の友人にもまた会うという気がする。それもまた楽しみだ。

ダムを作りたくなったら、あのブラジル人に任せよう。シンガポールで仕事をしたいと思ったら、あの友達に相談してみよう。ルクセンブルグ、フランス、ボツワナ、etc、、、いろいろ楽しみだ。


まずは卒論を書いてしまうこと。この週末に大部分を書き終わらせたい。

今日は書くの休み。 時間あれば明日書くかも。

私の今取り組んでいる研究は、グラニュラー組織を持つ材料の析出化過程のTEM観察である。材料は主にITOという酸化インジウムと酸化スズを焼結したもので、これに金属を様々含めて観察用試料としている。

ITOという材料は近年非常に重要視されている。この材料を数ナノの薄膜にすると、透明で電気伝導性があるという性質を持つ。これらの性質が、近年のフラットパネルや有機ELといった技術を支えている。ここで技術的な問題点が現れる。製膜時の問題点と、電気伝導性の問題点だ。ターゲットITOにより工業的に薄膜を作る技術にはスパッタリングというものを用いている。このとき、ITOバルクからスパッタされた粒子が試料版に吸着するのだが、ターゲットの性質上粒子の勢いが強すぎて薄膜の製作が困難であるというのが、製膜時の問題である。もう一点は、ITO薄膜の持つ磁気抵抗値が、温度の上昇とともに変化するということだ。これらの問題への解決策は、スパッタ中にチャンバーに送り込む酸素分圧をコントロールするということだ。

次に、このITO薄膜にコバルトを加えてみる。コバルトは磁性を持つ材料なので、Co-ITO試料を作成すると、コバルトがITO中に固溶しているときは抵抗値が高いのだが、温度を上げてコバルトを析出させることにより、抵抗値が低くなる。また、このCo-ITOにおいて重要なのは、磁場を変えることによっても抵抗値が変化するということである。この技術も急速に進歩し、ハードディスクを読み取るときのヘッドとして使われている。原理を簡単に説明すると、情報を磁気記録として保存したハードディスクには非常に濃い密度で様々な大きさの磁力を持った箇所が連続している。ここに、Co-ITOのような磁場が変化すると抵抗値が変化するといった性質を持つ材料を近づければ、磁気記録となった情報の内容に応じた抵抗値を示すということである。ただしこの材料にも問題点があり、それは実用化するほどの温度に耐えられないということである。確かに、この原理を用いれば記録された情報の読み取りや、逆操作を行うことにより書き込みができるわけだが、発生する熱が非常に大きい。300℃を超えるほどの温度になると、Co-ITOでは磁気ヘッドとしての機能を示さなくなってしまう。

そこででてきたのがプラチナである。プラチナをCo-ITOに加えることによって、磁気ヘッドとして作動可能な温度を350℃程度まで上げることができる。

当研究室の先輩はこの材料についての磁気抵抗測定、それぞれの熱処理温度でのTEM観察を行い析出化の様子を観察したのだが、この観察から得られたのは飛び飛びの温度でのTEMイメージのみであり、温度上昇とともにどのように析出するかまでの議論には及んでいなかった。そこで私の研究では、先輩と同じCoPt-ITO試料を作成し、磁気抵抗、EDXにより組成を分析することにより同様の試料ができていることを確認し、加熱ホルダーを用いたTEM観察により、温度上昇とともにどのような過程で析出するかを観察することを目的とする。

実験に当たっては、前試料として岩塩上にシリカを100Å積んだものを用意し、DCマグネトロンスパッタ装置を用いてCoPt-ITOを100Åとなるように積層した。この後、水中で岩塩と薄膜を乖離することにより、TEM観察の用の試料、及びEDXの試料とした。磁気抵抗測定用には2000ÅのCoPt-ITOをガラス基板上に作成し、四探針方により抵抗値を測定した。

実験の結果、先行研究と同じ試料を作成することに成功し、TEMにより温度上昇過程での試料からの析出の様子が観察できた。

という話に結び付けたい。うまく実験結果がでて欲しい。明日のTEM観察での結果により、実験が終わるか終わらないかが決まる。加えて、考察を進めたい。

私は今までに日本語を除けば3つの言語を習った。一つ目は英語。二つ目はフランス語。そして三つ目は中国語。英語とフランス語は問題なく話すことができるのだが、中国語は10月から学び始めた。

英語に関しては、義務教育として中学校から始まった。転機は大学二年生のときだった。1人でアメリカを旅行したときに、まったく英語が話せない自分に悔しくなり、英語の勉強に熱を入れた。初めてトイックを受けたときには570点。絶好調のつもりで受けたのだがまったくだめだった。今となっては、トイックに関して難しいと感じるほどでもなくなったが、あのころから勉強を始めなければここまで到達しなかったであろう。

次にフランス語。将来、金属資源開発の仕事でアフリカに行きたいと思っており、フランス語は必須であろうと思い、大学での第二外国語をフランス語にした。実際のところはドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語の中から選ばなければならなかったのだが、一番魅力的に見えたのはフランス語だった。話せるようになるとしたらどれがかっこいいかと思い、選択したと思う。このフランス語での転機は、これまた大学二年生の後期の時だった。三年生になったときには楽をしようと思い、二年生なのに三年生の授業を取った。ここで、半年後にフランスに留学するという先輩に出会った。これが転機であっただろう。話を聞いてみると、大学の協定校留学を使えば学費が免除されるというのだ。初めは気にも留めなかったことだったのだが、徐々に留学をしてみようかという思いが沸き、親しくしていただいている先生に相談しに行った。そこで、留学してみようという決断をした。ここでの留学がフランス語だけにとどまらず、人生に響くこととなった気がする。多かれ少なかれ、自分の視野は広がった。世界中に友達を作ることもできた。大変辛いと感じた留学だったが、自らを窮地に追い込むことにより、よくこねられた人間になったのではないかと思う。

そして中国語。難しい。昨年10月から、内定先の会社が研修として準備してくれた。かれこれ3ヶ月強続いているので語彙も増え、単純な会話ならできるようになったと思っていたら、まったくの間違いだった。日本語は中国語に由来する言語であり、文法も似ている点が多いので、それほど時間をかけなくても学べるだろうと思っていた。しかし、完全に甘かった。発音がてんでばらばらで、4声の区別がうまくつかない。書け、といわれれば書ける単語であっても、口にしてみるとほとんど通じない。研究室にこの前中国からの留学生が来たのだが、聞いてもらっても、申し訳ないほど通じない。そのため、発音の授業でやったことから復習することにした。

加えて、今日は研修の一環としての中国語の授業があった。留学生と練習した発音が少しは身になっていれば良いなと思ったのだが、うまく通じなかった。ギャグすら言えない自分がものすごく情けない気がする。ギャグを言ってみるのだが発音が悪くて通じないので、まさに「理解されないギャグ」といった感じになる。日本語、英語、フランス語であれば、わざと理解されない、されにくいような言い方をしてギャグとなるのだが、このような意図の元に笑いを取れない。このもどかしさがストレスになる。けれども、このようなことは過去に2回経験しているので、へこたれないで勉強を続けたい。英語でも以前あった。フランス語でももちろんあった。

そこで、授業が終わったら学校に戻り、実験待ちの間に授業で行ったことの復習をすることにした。特に発音を正確に言おうとすることに注意をして練習した。

語学の習得は一夜にしてならない。少しは期待するところはあるのだが、英語、フランス語にしてもつらい時期はあった。これを乗り越えなければ、語学は習得できない。

最近、英語は午前中に実験を待ちながらイーラーニングすることにしている。中国語は夕方に復習、発音を中心に練習することにしよう。そして夜、この日記を書きながらフランス語のラジオを聴くことにする。フランス語ならわかるので気が楽だ。やはり、何かを習得するには困難を乗り越えなければ成功しないのだということは、語学の勉強を通して痛感している。そして、何か転機が訪れるのだろう。中国ができるようになったらこの転機が何時きていたのかが分かるのだろう。もしかしたら将来、今が転機だったと思っているかもしれない。

私の作成する試料には多量のプラチナが含まれているため、プラチナ量を減らすことが課題となった。そこで、今週はまず、試料作成用の材料の調整から始まった。この材料はどれくらいの表面積を持つかが重要で、表面積の多さによって作成される材料は異なる。ただ、資料作成用装置内に入れるプラチナを減らせばいいだけなのだが、そのプラチナは0.25πの面積を持っていなければならない。このためには直径1センチの円盤を切り抜くのが手早い。√0.25πの正方形を作るのは困難だ。そこで、先輩に何か方法はないかと聞いてみたところ、油圧ポンチと呼ばれる装置があることを知らされた。この装置は、硬い金属でも切り抜けるような仕組みになっている。例えば、金属円盤に対し、真上から硬い素材でできた中空の金属を押し付ける。切り出した結果、直径1センチの円盤が切り抜かれていれば良いというわけだ。

そこで早速、どこにあるかを探してみた。どうやら他の研究室にあるということが分かり、訪ねてみた。その装置に詳しい先生がまだ見えていなかったので、来られるのを待った。すると先生がお見えになり、曰く、確かにポンチで切り抜くことができるが、切り抜かれてできる円盤はぼろぼろだということだ。私が欲しいものは、真平な円盤である。違う。そこで新たなアイデアとして、電子ビームが放つ熱を用いて金属を切る装置があるというのでそれを使おうということになった。

ここで私は4月から働く会社の配属面談があり、それに行かなければならなかったので少し間を空けてもらうことにした。

面談が終わり研究室に戻ると、早速その装置を使ってプラチナを切ることにした。まったくの新しい装置だったので、そこの研究室の方に切っていただいたのだが、理想とするような形にプラチナが切れた。まさに真ん丸。しかも直径1センチという小ささにもかかわらずきれいに切れていた。これによって私の実験が大きく進む。

当研究室の先輩の先行研究により、この直径1センチのプラチナを使うもので試料ができれば、目的とする組成の試料が作成できる。本当にこれで目的とする結果を得たい。23日中には結果が出るだろう。先輩にどのような組成で材料を使っていたかを聞くのが遅すぎたことを少し悔やむが、現在この位置まで実験が進んだことはすばらしいと思う。

今日は朝からデータ整理をした。昨日遅くに得られたデータを、今日は朝一番で終わらせようとて取り組んだ。意外にも一日で取れたデータの量の多さに、結構時間がかかってしまった。その後、すぐさま先生のところに整理したデータを持っていき、ディスカッションした。やはり、まだ期待する組成の試料が作れていない。その試料にはあまりに金属の量が多すぎて、抵抗値が低く出てしまう。電子顕微鏡でとった、350℃で熱処理を施した試料の写真にも、少しは試料から金属原子の析出が見られるのだが、予想とは違う。

ところで、私の研究では、去年非結晶金属材料の磁気抵抗について論文を提出した先輩がいるのだが、その先輩が作った試料とまったく同じ組成の試料を作成することがまず初めの課題である。次に、その試料が作れると350℃を境に、その温度以前は金属原子の析出、それ以降の温度では非結晶の析出が起こる。この様子をその場観察でビデオ録画しながら観察するというものである。

さて、得られたデータに困ってしまったのである。そこで先輩に連絡をとってみることにした。その先輩はインドネシアからの留学生で、昨年秋に博士号を取得し、その後はアメリカのテキサスにて、半導体メーカーで働いている。テキサスと日本の間で連絡を取らなければならないということで、うまく連絡が取れるのか心配したが、まず電話をしてみることにした。時差を考えると、日本のお昼はちょうど向こうの夜なので「出てくれるかな」と思い電話したところ、すぐに電話に出てくれた。懐かしい、あの先輩の声を久しぶりに聞けてうれしかった。そして試料作成に困っているという話をした。するとメールですぐに詳細を送ってくれるというので、自分の困っていることを詳細にメールに書き、返事を待った。その返事も早かった。ものすごくうれしかった。意外に頼れる先輩なのかもしれないといまさらながらに思ってしまった。

その先輩からのメールに記載してあった試料作成に必要な材料比は以外にもプラチナの量が少なく、私の現在加えている量とは大きく違うものであった。もっと早く連絡しておけばよかったと、また後悔してしまった。しかし、連絡がこのときに取れたことは非常に良かった。これ以上遅くなることを避けられたからだ。まだ卒論提出にも時間があるため、まだ間に合う余裕はある。

そして、先輩が作っていた試料と同じ組成の試料を作るべく、こういった形で実験を進めましょうと、先生に話しに行った。プラチナの量を少なくするだけでよいというのはうれしいのだが、その加工に少し困った点が現れた。如何にしてプラチナを削るか。試料作成に準備している材料とは直径2センチの円盤なのだが、先輩は直径1センチの円盤を用いていたらしい。ただ切ればよいという話なのだが、いかにして切ろうか。はさみなどで切れる代物ではない。何か特殊なものを使って切るのだろう。明日、材料加工をやっている先生のところに相談しに行くことにしよう。

これと同時に行わなければならないのは、加熱ホルダーの信頼性を確かめること。顕微鏡内で温度を上げながら試料を観察するのだが、顕微鏡内すべてにおいて温度を上げるわけには行かない。試料付近だけを加熱するのだ。これもまた他の先生のところに相談しに行ってみよう。

近年、急速にパソコンの市場は拡大し、一家に一台というよりも、一人に一台の時代になりつつある。そのパソコンにはCPUと呼ばれる中央演算装置が組み込まれており、パソコンの頭脳と呼ばれる。また、その演算を補助する役割としてメモリが組み込まれている。CPUが高性能であればそのパソコンの計算処理速度は速いのだが、メモリの量が少ないと、その計算が補助できないため、結果としてあまり良いパフォーマンスは出せない。逆もまたそうである。加えて、突然パソコンに多くの命令を出すと、一つ一つ出せば難なくこなせる命令であっても、そのパソコンの動きが極端に遅くなったりする。CPU使用率100%というものだ。

今日、私の身にも、このパソコンの動きが遅くなることに例えられるような出来事が起こった。ディスカッション用のデータを急に見せる事になり、何から手をつければよいのか分からなくなってしまったのだ。

その成り行きはというと、実験中に一つ疑問が浮かび、助手の方にその実験方法を少し変えてみたらどうかと相談しに行ったときだった。相談していたところに教授が見え、現在の私の実験はどのように進んでいるかという話になり、出ているデータを持ってきなさいということになった。この瞬間私のCPUは使用率100%となってしまった。1月に入ってから実験の量は大幅に増え、後に整理しようとおもっていたため、様々データが色々なところに散らばっていたのだ。また、一つの実験から出るデータ量が多いものもあるため、整理に時間がかかる。

そのとき、どのデータを教授が欲しがっていたかを正確に言えば、磁気抵抗測定においてそれぞれの試料でのResistivityはどのようなデータが出ているかということだった。これは単純な計算で出るのだが、私のCPUが100%となってしまった原因は二つあると思われる。自分がこのような事態になることを予想しておらず、「だめなやつだな」と思われるようなことをしてしまった後悔の念が一点目。付け足すと、仕事で忙しい教授の方々を待たせてしまって申し訳ないという気持ちがあった。二点目は、数多くあるデータのうちからいかにして素早く必要とする場所を探し出し、計算して提出できるかということが同時に頭に浮かんでしまったということである。

これら二点に対して、改善策を考えておこうと思う。まず一点目の教授たちを待たせる事態になってしまったことについて。これに対しては、データが出たらその直後にすぐそのデータを整理しておくということに尽きるだろう。計測器が打ち出したデータはすぐに自分のPCに取り込み、データリストを作っておくこと。またそのデータにより計算したり、比較したりしてできた表やグラフはすぐにでもディスカッションできるようにプリントアウトしてファイリングしておくこと。その日に出てきたデータはその日のうちにまとめて整理しておきたい。二点目のデータ整理のメソッドに関しては、一度落ち着き、頭の中でどのような道を通れば最短で最高の結果が得られるのかを考えたい。処理しなければいけないデータが多いのならなおさらだ。一度進み始めると初めに戻って考えるのは至難だ。最初にエクセルのマクロのようなものを作成し、あとはそこにデータを取り込めばよいといった方法であればいちいちルーチンをする手間も省ける。つまり、ソフトについての知識があれば効率が上がるということだ。

CPUは使用率100%になってしまうと、その間使用者は何もできない。今日の場合、使用者は教授であり、私がパソコンであろう。使用者がパソコンの使用率を100%にしないというのも重要であると思うが、優秀な使用者は優秀なパソコンを使えば、パフォーマンスは最高になると思われる。会社に入ったら、私は使われる身になる。チャンスを逃さないようにまずは優秀なパソコンになりたい。