2008.7.12開設。 ショートショートを中心として、たそがれイリーが創作した文芸作品をご覧いただけるサイトです。 できれば毎日作品を掲載したいと思ってます。これからも創作意欲を刺激しながら書き綴って参ります。今後ともぜひご愛顧ください。 |
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「今度は何の願いかのう・・・まあ、人間のことだ。たわいのないことじゃて」
顎鬚を右手で無造作にいじりながら、神様は眼前の青年につぶやいた。 「神様からご覧になれば、たわいのないことかもしれませんが、私にとっては一大事です」 青い野球帽をかぶった青年は、緑色のビニール傘を開きながら、神に願った。 「私はヤクルトのファンなのです。しかし、今年の成績は・・・」 「ああ、なんだ。今まで阪神とやらのファンが、願ってくるばかりしておったわ」 「お察しいただけますか」 「要するに、今度はヤクルトとやらを、強くすればいいのじゃろ」 「よくぞお察しくださいました。私はそれをお願いにあがったのです」 「わかったわかった。じゃあ、チョチョイとかなえてしんぜよう」 「チョチョイと・・・なんとまあ、あっけない」 「わしもこう見えて、忙しいのでな・・・では早速、ヤクルトが強くなりますように!」 翌日の朝、開けようとしても開かず、砕こうとしても砕けない、鋼のような容器に入ったヤクルトが宅配されて問題になるとは、誰も想像しなかった。 「博士、ついに出来ましたね。クローン人間が」
「そうとも、このまま速成培養すれば、1ヶ月すればもう一人の私が現れる。するとこの研究も加速すると言うものだ」 「本当にすごいですよ。後は機密と違法な行為を少しでも隠蔽して、機が熟するのを待つだけですね」 「そうだな・・・機密を守らねばならんなぁ。そうなると・・・」 「は、博士! 何で私を見るんですか・・・ああっ!」 「悪く思わないでくれたまえ。君がいなくとも、もう一人の私がいる限り、この秘密は私と私のクローンで一生守って・・・うっ!」 「悪く思わないでくださいよ、博士。こういうこともあろうかと、助手は助手なりにクローンを作っておいたわけです。さっき葬ろうとしたのは私のクローンですよ。まあ、後はこの研究データをすべて私のものにさせていただきます・・・あしからず」 夢がかなわないのはどうしてか考えてみると。 評判のいいラーメン屋がある。家から歩いて3分ほどの場所だ。 「参りました」 感動の最終回を迎えたドラマ。 UFOの中は興奮のるつぼと化していた。 もう、およしになったほうがいいですよ。 もうすぐクリスマスイブ。 「俺はこの峠を縦横無尽に乗り切るのさ」 「平次、いや、銭形くん」 いきなりフラれてしまった男の気持ちが、あなたにはわかるだろうか。 「なんで我々の言うことを理解しないのだ!」
「だって、言い分がおかしいですよ。道徳的にも人間的にも疑いますよ」 「何を言う。私たちはボランティアです!世の中のために自分の力を役立てようとしていることの、何が悪いのですか」 「でも、そのために手段も選ばないんでしょ。それに、ボランティアなのに、お金の話をなんでするんです。ボランティアってのは善意の行動でしょう?」 「何を言う。私たちの活動はボランティアですよ。この世が良くなるために、手段とかお金とか、そんなちっぽけなことは議論に値しないのですよ。あなたは偽善者です」 「・・・ちなみに、あなたたちがお互いに似たようなサングラスをかけて、私を取り囲んでいる、それってなんのボランティアなんですか?」 「お金に困ってる組長、いやご老人の生活費を何とかしてあげるボランティアですね。死にたくなかったら、さっさと財布出しなさい」 「こいつ!こいつ!」
俺は懸命に前田を呪った。 数え上げたらきりがないのだが、前田が俺にしてきたこと・・・ねたみ、告げ口、顧客のぶんどり・・・とにかく、俺の仕事、いや人生のすべてに対して、アイツは俺にとって恨むべき、そして呪うべき存在なのだ。 直接、前田に文句の1つでも言えばいいじゃないかと言うかもしれない。だけど文句を言えば問題が解決するわけではない。問題が解決しても、俺の恨みは消えることはない。 「死ね!死ね!」 俺は頭の中にもやもやした恨みを吹きはらすように、金槌を強く握りしめ、そしてわら人形に向かって何度も振り下ろした。 それにしても、なかなか効果がないな。 昔からの言われどおり、前田の頭髪を織り込んだわら人形を、毎日決まった時間に、家の裏山にある小さな神社に置いて、精一杯の恨みを込めて痛打しているのに。 まあいい。今日はこれくらいにしておこう・・・最近帰りが遅いなと、妻が気にしていたからな。 俺は神社の参道を足早に降りた。 降りきって住宅街の道路に降りたとき、妻に出くわした。 「おい、お前」 「あ、あなた、お帰りなさい。どうしたの、神社から?」 「ああ、なんでもないよ、なんでも・・・それにしても、おまえこそ、そんなサンダル履きで、どうしたの?」 「ううん、なんでもないの・・・あなたが帰ってきそうだったっから・・・迎えに来ただけ、そう、迎えに来ただけ」 「そうなの・・・ありがとう」 「どういたしまして」 俺たちは何気ない夫婦の会話をとりあえず済ませ、家路に向かって歩き始めた。 だけど、俺は想像もしなかった。 妻の手から下げられた袋の中に、小さなわら人形が隠れていることなど。 保健の教師は言った。 警官は、いつもより気だるそうに事故調書を書き始めようとしていた。 閻魔大王は目の前の男を凝視した。 ご相談に乗りましょう。 部長。なんですか。
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