技術力で優位でありながら事業で韓国企業や台湾企業に負けるのはなぜか。日本のエレクトロニクス復興には,技術開発の最前線にいるエンジニアが市場動向やビジネスモデル,サプライチェーンなどを常に考えながら技術開発を進めることが必要になる。本コラムでは技術開発を進めるためにエンジニアが知っておくべきMOT(技術経営)を紹介する。
近著:「世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記」
ムーアの法則の終焉がもたらす戦略転換
このコラム、すっかりご無沙汰してしまっていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。私は大学で電気・電子分野の教育・研究に携わっていますが、研究テーマをハードからAIなどソフトの分野に急速に変えようとしており、ドタバタしているうちに記事を書く頻度が下がってしまいました。細々とでもこのコラムは続けてい…
IoTの時代では多様な経験こそが武器になる
ご無沙汰しています。前回の更新から現在までの間、本業の研究では、かねてから準備していたIoT向けの高速ストレージの研究提案「高速ストレージクラスメモリを用いた極低消費電力ヘテロジニアス分散ストレージサーバーシステムの研究開発」がNEDO「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」に採択され、いよ…
次のステップへの準備は就職した時から始まっている
電機業界はこの10年ほどで事業再編やリストラが一巡し、早期退職などで転職を迫られた人も少なからず出ました。ちょうど私のような40代はバブル期に大量に入社しているため、リストラの標的にもなったり、同世代の多くが新卒で入社した会社からは離れました。
終身雇用・年功序列の先にある人事制度
ニュースではシャープや東芝の経営危機、リストラが取り沙汰されていますが、この10年の間、電機メーカーのリストラの話がない時はない、というほどでした。シャープ・東芝だけでなく、三洋電機、パイオニア、ビクター、ソニー、パナソニック、日立、NEC、富士通・・・どの企業も厳しい事業転換とリストラに見舞われ…
個人が主体的に生きることが日本の電機の復活につながる
2016年も電機業界は激動の1年になりそうです。まず経営危機が伝えられるシャープや東芝がどうなるのか。特に手元資金の枯渇が心配されているシャープは3月末に5100億円ものシンジケートローンの返済期限が迫っています。破綻を回避するには早急に再建案をまとめなければいけないと言われています。
2016年は電機産業のリストラ組が新天地で活躍する年に
早いもので今年もあと10日ほどになりました。自分自身を振り返ると、国の財政状況や電機・半導体産業の不振もあり、研究資金を集めるために走り回っていた一年でした。環境が整わなければ研究のスタートにさえ立てないという現実はあるにせよ、研究の本質的を考えることが疎かになっていなかったか、と反省しきりです。
終身雇用が期待できない時代のサバイバル
国の財政状況の悪化や少子化もあり、今後の大学のあり方について様々なことが言われています。大学がこのままで良いのか、大学自身が自らを問い直す必要があることは言うまでもありません。また、学校で学ぶことと仕事の現場が異なることは、多くの方が実感していることでしょう。せっかく大学院で学位を取ったとしても、…
機械を信用できるのか?というMOTの課題
Volkswagenの排ガス試験不正では、ディーゼル車に搭載されたプログラムが排ガス試験を検知すると、試験の時だけ有害物質が削減されるように浄化装置が動作する(その代わりに燃費は悪化する)、というものでした。
キャッシュ・カウと言われた人たち
東芝の不適切会計による決算の修正が発表されました。パソコン、テレビなどの映像、半導体ではシステムLSIとディスクリート、家電、電力関係ではSouth Texas Projectに減損措置が行われ、2014年度の純損益は赤字となるようです。
人が人を評価することの限界
就職・採用活動は実質的にもう終盤戦でしょうか。建前では採用が半年後ろ倒しになった今年の就職・採用活動とはいえ、8月の正式解禁まで多くの企業は待てず、採用活動が水面下になりかえって不透明になったような印象です。
リストラを繰り返し徐々に衰弱する経営の功罪
日立製作所、三菱電機など一時は巨額な赤字を出した日本の電機メーカーはテレビ、パソコン、半導体、携帯電話機、液晶パネルなどの不採算事業を切り離し、電力や社会インフラ事業などに事業の軸足を移すことで収益上は復活を遂げました。
経験値を高めるキャリアパスとは
就職活動のピークの時期になりました。技術や事業が急速に変わる時代、就職した会社だけでなく業界自体があっという間に淘汰されることも珍しくありません。そんな不安定な時代だからこそ、できるだけ安定しているように見える大企業に入社したいと思う気持ちも理解できます。
産業の栄枯盛衰で揺らがない普遍的な技術
今年も就活・採用の時期になりました。今年から採用の時期が後ろ倒しになりましたが、企業も学生も悠長に待てるはずもなく、もう就活が本格化しているようです。面接解禁の8月まで5カ月もあり、それまで何をするのでしょうね。企業の方も「何をするんでしょう?」と戸惑っているよう。本当はさっさと面接した方が企業、…
ハード・ソフト・サービス融合こそが競争力の源泉
アウトプットの前にインプット
もう年の瀬ですね。今年もこのコラムを読んで頂きありがとうございました。製造業、ITの分野はこれから大きな変化を迎えそうな予感がする一年でした。インダストリー4.0、インダストリアル・インターネットと呼ばれるように、ITを活用することで製造業が大きく変わろうとしています。
ローリスク・ローリターンからハイリスク・ローリターンに変わったエンジニアの環境
ノーベル賞を受賞された中村修二さんは2000年に青色発光ダイオードを開発した日亜化学を退職し、アメリカの大学に移られています。国籍もアメリカに変わっているので、ノーベル賞は「日系アメリカ人」に授与されました。
縦割りの打破が次の産業革命を主導するカギ
ITや電機で苦戦している日本ですが、自動車、精密機械、産業用ロボットなど、数多くの機械部品を複雑に組み合わせて一つの製品に作り上げる製造業、匠の技とでも言うべき、すり合わせ型のものづくりは依然として日本が得意とするところです。
フラッシュメモリの原型、浮遊ゲートセルの発明は学術誌に掲載を拒否されていた
技術者や研究者の皆さんは日々新しい技術を求め研究開発をされていることと思います。ただ、画期的な技術は、提案した時の「常識」では荒唐無稽にも見えるもの。ともすると、「そんなことはできるはずはない」と、身近な専門家からも批判されることも多いでしょう。
常に学ぶことが必要な時代では個人も大学も変化を迫られている
STAP細胞の一連の騒動はMOT(技術経営)の観点からも学ぶことが多い教材です。どのような組織でも不祥事は起こり得ます。不祥事自体も問題ですが、問題が起こった時にどのように対処するか、組織のリスクマネジメントが試されるのです。不祥事が起こった時は、できるだけ早く情報を開示し問題を説明するという透明…
ハード・ソフト・サービス融合の時代、競争する土俵も変わった
GoogleやAmazon.comがスマートフォンやタブレットといったハードウエアを販売し、AppleがiTunesを通じて楽曲などのコンテンツを販売する。これらの企業は差異化のために、データセンタのインフラの設計から、CPUの設計、人工知能による音声や画像の認識まで幅広い技術を開発する。以前は別…