書籍版 oso的 キノコ擬人化図鑑

2008年から当サイトで続けてきた当コンテンツが2014年9月に「oso的 キノコ擬人化図鑑」として双葉社様より出版されました。 また2016年10月には前作の60種からさらに40種を加え、情報を一新した計100種類掲載の「新版 oso的 キノコ擬人化図鑑」も出版される事になりました。 イラスト集としての意味合いが強いですが、写真や解説等も学術面を重視した内容となっております。是非お手に取ってみて下さい。

書籍版にしか載っていない娘も居ますが、書籍では一般向けとして不適との理由で削除された情報や、書籍完成後に追加された娘も当サイトには掲載されています。 また書籍化する事でこのコンテンツには公開停止等の影響は一切ありません。今まで通り好き勝手にキノコ擬人化を続けて行きます。 と言うか既に書籍版以降に擬人化キャラ増えてますしね。まだまだ増えます!

注意
サイト内情報は常に変化して行くため、書籍や過去のサイト内容から変化する可能性があります。予めご了承下さい。



oso的 キノコ擬人化図鑑
発売日:2014年09月19日
定価:本体1,200円+税
判型:A5判
ISBN 978-4-575-30734-4

新版 oso的 キノコ擬人化図鑑
発売日:2016年10月07日
定価:本体1,600円+税
判型:A5判
ISBN 978-4-575-31178-5

書籍紹介 & 取扱店舗一覧 (取扱店舗一覧リンク集あり)

株式会社双葉社 | oso的 キノコ擬人化図鑑 | (外部リンク)



■oso的キノコ擬人化図鑑


■はじめに
当ページでは当サイトの看板娘であるキノコ擬人化娘達をご紹介します。 学名をアルファベット順でソートし、下記の目次のリンクからもジャンプできます。 あまり触れ合う機会の無い、そして意識しないキノコ達を気軽に知って頂く事。 それがこのページの表向きの目的となっております。なお、表示形式は以下の通り。


■学名:(属名+種小名+命名者名 の順)

■食毒:(食毒を文字と色で表記)
■分類:(科名 属名 の順)
■和名:(和名をカタカナと漢字で表記)
■写真:(当サイトに写真がある場合は個別ページへ)
■娘名:(キノコ擬人化娘名、必要な場合はフリガナ)

■菌解説:
菌類としてのきのこの情報を詳細に記載。基本的に図鑑の正式な表記に忠実に書かれている。 ただし私個人の実際の経験や、それによって感じた独自の意見も数多く含むのでご注意下さい。

■娘解説:
妄想乙。


■備考
如何なる時もキノコの採取、摂取は全て自己責任です。 当サイトから得た知識によって発生した事故について当方は責任を負いません。 用法用量を守って楽しいキノコライフを。それでは。



遅スギル (当サイトTOP)■
oso的キノコ写真図鑑■

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目次 掲載種数 150

□学名と和名の両方が黒文字のキノコは当サイトおよび書籍版の双方に掲載
□学名と和名の両方が灰色文字のキノコは書籍版のみに掲載
□和名だけが灰色文字のキノコは当サイトのみに掲載

■【 A 】
Agaricus aestivalis var. veneris (ハルハラタケ)
Akanthomyces tuberculatus (ガヤドリナガミノツブタケ)
Amanita caesareoides (タマゴタケ)
Amanita chatamagotake (チャタマゴタケ)
Amanita fuliginea (クロタマゴテングタケ)
Amanita grandicarpa (オオオニテングタケ)
Amanita muscaria (ベニテングタケ)
Amanita neoovoidea (シロテングタケ)
Amanita pantherina (テングタケ)
Amanita phalloides (タマゴテングタケ)
Amanita pseudogemmata (イボコガネテングタケ)
Amanita sp. (ハマクサギタマゴタケ)
Amanita verna (シロタマゴテングタケ)
Amanita virosa (ドクツルタケ)
Amanita volvata (フクロツルタケ)
Arcyria glauca (アオウツボホコリ)
Astraeus sp. (ツチグリ)
Aureoboletus mirabilis (オオキノボリイグチ)
Auricularia auricula-judae (キクラゲ)

■【 B 】
Boletopsis leucomelaena (クロカワ)
Boletus edulis (ヤマドリタケ)
Boletus rhodocarpus (バライロウラベニイロガワリ)
Boletus sp. (シロヤマドリタケ)
Boletus violaceofuscus (ムラサキヤマドリタケ)

■【 C 】
Calvatia nipponica (オニフスベ)
Camarops polysperma (クロコバンタケ)
Catathelasma imperiale (オオモミタケ)
Chlorociboria omnivirens (ヒメロクショウグサレキン)
Ciboria batschiana (ドングリキンカクキン)
Ciboria caucus (ハンノキハナホキンカクキン)
Ciboria shiraiana (キツネノワン)
Ciboria sp. (アケビタケ)
Ciborinia camelliae (ツバキキンカクチャワンタケ)
Ciborinia gracilipes (ホオノキキンカクキン)
Coprinellus domesticus (コキララタケ)
Coprinopsis atramentaria (ヒトヨタケ)
Cordyceps farinosa (コナサナギタケ)
Cordyceps militaris (サナギタケ)
Cordyceps roseostromata (ベニイロクチキムシタケ)
Cordyceps tenuipes (ウスキサナギタケ)
Cordyceps tenuipes (ハナサナギタケ)
Craterellus cornucopioides (クロラッパタケ)
Cyttaria darwinii (キッタリア ダーウィニー)

■【 D 】
Dasyscyphella longistipitata (ブナノシロヒナノチャワンタケ)
Discina parma (オオシトネタケ)
Discina perlata (フクロシトネタケ)
Dumontinia tuberosa (アネモネタマチャワンタケ)

■【 E 】
Elaphomyces appalachiensis (コロモツチダンゴ)
Elaphomyces persoonii (クロイボツチダンゴ)
Entoloma rhodopolium (クサウラベニタケ)
Entoloma virescens (ソライロタケ)
Exsudoporus ruber (アカネアミアシイグチ)

■【 F 】
Flammulina velutipes (エノキタケ)

■【 G 】
Galerina fasciculata (コレラタケ)
Ganoderma applanatum (コフキサルノコシカケ)
Gomphidius roseus (オウギタケ)
Grifola frondosa (マイタケ)
Gymnosporangium asiaticum (ナシ赤星病菌)
Gyromitra esculenta (シャグマアミガサタケ)
Gyromitra infula (トビイロノボリリュウ)

■【 H 】
Hapalopilus croceus (オオカボチャタケ)
Hericium erinaceus (ヤマブシタケ)
Humaria hemisphaerica (シロスズメノワン)
Hydnangium carneum (ヒドナンギウム カルネウム)
Hydnocystis japonica (ウツロイモタケ)
Hydnum repandum var. album (シロカノシタ)
Hygrocybe atroviridis (フカミドリヤマタケ)
Hygrophorus russula (サクラシメジ)
Hypholoma fasciculare (ニガクリタケ)
Hypholoma lateritium (クリタケ)
Hypocrea sp. (ウスキヒメヤドリバエタケ)
anamorph of Hypocrea sp. (マユダマヤドリバエタケ)
Hypomyces hyalinus (タケリタケキン)
Hypsizigus marmoreus (ブナシメジ)

■【 I 】
Ionomidotis frondosa (クロハナビラタケ)

■【 L 】
Lactarius hatsudake (ハツタケ)
Lactarius subindigo (ルリハツタケ)
Lactifluus volemus (チチタケ)
Laurobasidium hachijoense (ヤブニッケイもち病菌)
Lentinula edodes (シイタケ)
Leotia rutilans (アカズキンタケ)
Leucocoprinus fragilissimus (キツネノハナガサ)
Lycoperdon perlatum (ホコリタケ)
Lyophyllum decastes (ハタケシメジ)

■【 M 】
Microstoma aggregatum (センボンキツネノサカズキ)
Mitrula paludosa (カンムリタケ)
Mniaecia jungermanniae (ミドリコケビョウタケ)
Morchella conica (トガリアミガサタケ)
Morchella esculenta var. esculenta (アミガサタケ)
Multiclavula mucida (シラウオタケ)
Mycena crocata (アカチシオタケ)
Mycena haematopus (チシオタケ)
Mycena lux-coeli (シイノトモシビタケ)
Mycena sp. (アリノトモシビタケ)

■【 N 】
Neoboletus venenatus (ドクヤマドリ)
Nyctalis lycoperdoides (ヤグラタケ)

■【 O 】
Omphalotus japonicus (ツキヨタケ)
Ophiocordyceps ferruginosa (サビイロクビオレタケ)
Ophiocordyceps formicarum (マルミアリタケ)
Ophiocordyceps neovolkiana (コガネムシタンポタケ)
Ophiocordyceps nutans (カメムシタケ)
Ophiocordyceps odonatae (ヤンマタケ)
Ophiocordyceps ootakii (タイワンアリタケ)
Ophiocordyceps pulvinata (コブガタアリタケ)
Ophiocordyceps purpureostromata (ムラサキクビオレタケ)
Ophiocordyceps rubiginosoperitheciata (オイラセクチキムシタケ)
Ophiocordyceps satoi (クビオレアリタケ)
Ophiocordyceps sp. (ハマキムシイトハリタケ)
Ophiocordyceps sp. (ハトジムシハリタケ)
Ophiocordyceps sp. (イトヒキミジンアリタケ)
Ophiocordyceps sp. (コツブユラギハリタケ)
Ophiocordyceps sp. (シャクトリムシハリセンボン)
Ophiocordyceps superficialis (ジムシヤドリタケ)

■【 P 】
Paraisaria heteropoda (オオセミタケ)
Paralepistopsis acromelalga (ドクササコ)
Peziza ammophila (スナヤマチャワンタケ)
Phallus indusiatus (キヌガサタケ)
Pholiota alnicola (カオリツムタケ)
Pholiota microspora (ナメコ)
Pleurotus ostreatus (ヒラタケ)
Pseudohydnum gelatinosum (ニカワハリタケ)
Pseudotulostoma japonicum (コウボウフデ)
Psilocybe argentipes (ヒカゲシビレタケ)
Psilocybe cubensis (シビレタケモドキ)
Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)
Purpureocillium atypicolum (クモタケ)

■【 R 】
Ramaria botrytis (ホウキタケ)
Resinomycena fulgens (ギンガタケ)
Rhizopogon roseolus (ショウロ)
Russula ryukokuensis (リュウコクヒメベニタケ)
Russula subnigricans (ニセクロハツ)

■【 S 】
Sarcomixa edulis (ムキタケ)
Scleromitrula shiraiana (キツネノヤリタケ)
Shimizuomyces paradoxa (サンチュウムシタケモドキ)
Stromatinia cryptomeriae (スギ黒点枝枯病菌)
Suillus bovinus (アミタケ)
Suillus grevillei (ハナイグチ)

■【 T 】
Taphrina wiesneri (サクラ天狗巣病菌)
Tolypocladium sp. (クビナガクチキムシタケ)
Tolypocladium subsessilis (フトクビクチキムシタケ)
Torrubiella sp. (ハゴロモツブタケ)
Trichoderma cornu-damae (カエンタケ)
Tricholoma kakishimeji (カキシメジ)
Tricholoma matsutake (マツタケ)
Tricholoma portentosum (シモフリシメジ)
Tuber himalayense (アジアクロセイヨウショウロ)
Turmalinea persicina (ウスベニタマタケ)
Tylopilus sp. (ミカワクロアミアシイグチ)
Tylopilus sp. (ミヤマミドリニガイグチ)

■【 X 】
Xylaria polymorpha (マメザヤタケ)



■学名:Agaricus aestivalis var. veneris
          (R. Heim & G. Becker) Wasser

■食毒:食毒不明
■分類:ハラタケ科 ハラタケ属
■仮称:ハルハラタケ (春原茸)
■写真:写真ページ
■娘名:春原 春 (ハルハラ ハル)

■菌解説:
大型のハラタケ属菌。春に草地や林内地上に単生~少数群生する。 現状では海外種の学名が当てられているが正確に同定されたソースが見付けられず、和名も仮称扱い。 変種名は「女神」の意味だが、種小名は「夏の」の意味であり、本種の生態とは一致しない。 傘は白色~帯黄色で表面に褐色の圧着した鱗片を付ける。 ひだは密で幼菌時は淡い桃色だが、成熟すると暗紫褐色になる。 柄は白色で表面は繊維状。つばは薄く脆い膜質で最初ひだを覆っており、後に柄に残るが脱落しやすい。 肉は白色で緻密だが、切断するなどして傷付けると強弱はあるが黄変する性質がある。 市販のマッシュルームに似たキノコらしい粉臭がある。 ハラタケも時期外れの春季に発生することがあるが、傘表面の特徴や傷付けると赤変する性質から容易に区別できる。 食毒は不明。ハラタケに極めて近縁な種と思われるが、不明な点も多いので安易に食すべきではない。 同定にある程度正確性を求めるならば顕微鏡観察が必要。

■娘解説:
春にふらっと現れる神出鬼没の春コーデ女子。 他の目立つキノコ娘らが活動しない時期に動き始めるので神出鬼没でも良く目立つ。 髪は白色で表面に毛先が褐色のくせ毛が貼り付いている。 髪裏は表の白系とは程遠い暗紫褐色で遠目に見ると影も相まって真っ黒に見える。 太眉。まぶたを閉じているので瞳は見えない。 コーデは黄色いニット、白と黄色のグラデーションのワイドパンツに土色のパンプス。 羽織っている薄手のカーディガンは袖を縛り、前立てや裾が部分的に伸びて髪と結んでいる。 袖や裾は裏地が黄色くなっている部分がある。理由は不明だが愛用の白い下着がなぜか黄ばむ。 愛称は「ハルハル」。いつもニコニコしており、性格はマイペースで女神の如き美しい心の持ち主。 原っぱでゴロゴロして春を感じるのが日課だが、新緑を感じる森林浴も嫌いではない。 好きな季節は春だが夏も何となく好き。頑なに目を開かないため、毒キノコかどうかが分からない。 髪から降り注ぐ暗色のフケが自慢の白い衣服に積もるのが気になり、よく汚れたカーディガンを脱いでいる。


■学名:Akanthomyces tuberculatus
          (Lebert) Spatafora, Kepler & B. Shrestha

■食毒:食毒不明
■分類:バッカクキン科 アカンソミケス属
■和名:ガヤドリナガミノツブタケ (蛾寄生長実粒茸)
■写真:写真ページ
■娘名:蛾宿 長実 (ガヤドリ ナガミ)

■菌解説:
小型のアカンソミケス属菌。各種ガ(主にノコメセダカヨトウ)の成虫から発生する。 年中見られるが、成熟するのは梅雨~夏にかけて。 枝や木の幹にとまった状態のガの成虫から発生する気生型の冬虫夏草。 以前はCordyceps属だったがアナモルフの形状から本属菌に統一された。 夏場に感染したガは何かに掴まった状態で死亡し、体内から吹き出した菌糸でその場に固定される。 やがて体表を覆った菌糸膜から棍棒形の子実体を無数伸ばすが、その段階では結実せずに越冬。 翌年梅雨頃から子実体を含めた菌糸膜上随所に無数の黄色い子嚢殻を形成する。 神出鬼没な冬虫夏草で決まった場所に発生しないため探すのは困難。食毒および薬効は不明。 小型のヤガやハマキガに感染した場合はスズメガタケと呼ばれる。 この場合は子嚢殻は形成せずに無数の分生子柄束を伸ばし、その表面に連鎖した分生子を形成する。 子嚢殻の色が褐色のアメイロスズメガタケが存在するが、これは単に老成しただけの可能性がある。

■娘解説:
ボロボロの衣服を纏い、神々しい後ろ髪をなびかせている、仙人みたいな風貌の虫草娘。 髪は真っ白でボリューミーで後ろ髪はある程度の太さにまとめている。 毛先が透明で鮮やかな黄色になる体質であり、膨らんだ毛先一つ一つがが宝石のように輝いて美しい。 瞳の色は黄色で中央部はオレンジ。眉毛もまつ毛も真っ白。 前髪は2ヶ所を触覚のように伸ばしており、左上にノコメセダカヨトウのブローチを着けている。 イヤリングは連鎖した分生子がモチーフ。 横縞の入った茶色のワンピースを着用し、その上から裾がボロボロになったコートを羽織っている。 コートは同じくノコメセダカヨトウをイメージした絵柄。靴は履かずに手と同様にプロテクターを着けている。 本当に神出鬼没でめったに出会えない幻のような存在。どっしりと落ち着いた性格で、急ぐ用事は大嫌い。 暑さ寒さにはめっぽう強く、居場所を決めたら猛暑だろうと大雪だろうとその場を動かずのんびりしている。 趣味は木登り。凄まじい握力と脚力でオーバーハングした場所だろうとずっとしがみついていられる。 ロリっ娘に化けられるとのウワサ。


■学名:Amanita caesareoides Lj. N. Vassiljeva

■食毒:
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:タマゴタケ (卵茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・マゴイデス

■菌解説:
中型~大型のテングタケ属菌。夏~秋にシイやカシ、モミなどの各種林内地上に発生。 以前は「A.hemibapha」だったが、この学名に変更された。 柄に模様がほとんど無いセイヨウタマゴタケ(A.caesarea)に似るのが種小名の由来。 低地に発生する柄に強いだんだら模様があるものは別種の可能性がある。 幼菌は白いつぼに包まれた卵型で、これが和名の由来。 つぼを破って卵型の傘が現れ、最終的には中高の平らに開く。 傘は鮮やかな赤色で周辺部は細かく裂け黄色の肉が見えた溝線となる。 ひだや柄は黄色。柄の上部に橙色の膜質のつばを持つ。 柄の全面に黄色と橙色の目立たないだんだら模様を有する。つぼは白色で大型。 柄に強いだんだら模様があるものとは異なり、つぼの内側が黄色みを帯びる。 有毒種が多いテングタケ属菌の中で異彩を放つ美味な食菌。 つぼは食感が悪いので傘や柄をフライや炒め物などの様々な料理に使用可能。 実際に食したがその旨味に驚かされた。ただし傷みが早いので調理は早めに。

■娘解説:
何となく皇帝っぽい雰囲気だけど、どこか物足りない感じが否めない。 「皇帝に似ている」と言われるようになったので少し浮かれている。 髪は表が赤で裏が黄色。毛先では赤毛に隙間ができて黄色いメッシュが現れる。 ちょっと太眉娘。瞳はオレンジで見開いたようなぱっちりお目々。 つばを模した橙色のマントは金のボタンを用いて左肩部分で留めている。 手首には金の腕輪。爪には赤いマニキュアを塗っている。 ワンピースは腰から下がだんだら模様をイメージした飾りが付いている。 金のコルセットは前後で別れており、体の横で固定する構造。 ボーダーのハイソックスを履き、ブーツは白で内側が黄色い物を使用している。 また靴と胸元にタマゴタケの幼菌のアクセサリが付いている。性格は超前向き。 自分の魅力に自信があり、謙虚さは無いが悪意も無い超天真爛漫娘。 良い意味で裏表が無く、同属菌だけでなく他の娘とも交友関係がある。 あだ名は「タマゴっち」。色の派手から初見時に毒茸だと思われがち。 本人には受け止め難いショックで、毒キノコ呼ばわりされるとガチ泣きする。


■学名:Amanita chatamagotake N. Endo & A. Yamada

■食毒:
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:チャタマゴタケ (茶卵茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・チャチャ

■菌解説:
中型~大型のテングタケ属菌。夏~秋にかけてシイやカシなどの林内地上に発生。 海外でもアジア地域に分布が限定されており、国内でも発生地域が限られる。 旧種小名が「similis(類似の)」なだけあって、タマゴタケに色以外は酷似する。 そのためかつてはキタマゴタケと同様にタマゴタケの亜種とされていた。 傘は幼時暗褐色の卵形で白色のつぼを破って伸び、最終的にはほぼ平らに開く。 傘は帯褐オリーブ色で中央ほど濃色、傘の周囲には放射状の長い溝線が入る。 ひだは黄色。柄は中空で中程に膜質のつばを、基部に白色の大きなつぼを持つ。 柄はつばより下に濃色のだんだら模様があるが、下地と色が近いので目立たない。 本属菌としては珍しく美味な食菌だが、発生量が少なくあまり利用されていない。 また外見的に良く似た有毒種も存在するので同定には慎重を期すべきである。 本種には子実体全体が黄色いタイプと白いタイプがあるとされている。 菌寄生菌のブンゴツボマツタケ(仮称)は本種を宿主とすることが知られる。

■娘解説:
愛称はそのまんま「チャチャ」。パチモン扱いされると嫌な顔をするパチモン娘。 失礼。髪は長く大きく広がり、頭頂部は暗褐色で毛先に行くほど明るい色になる。 前髪の分け目は本人から見てやや中央やや右で、分け目からアホ毛が跳ねている。 瞳の色は茶色で外側が黄色。いつもハの字の太眉で眉間に皺を寄せている。 所々黄色い髪が生えるので、頭頂部から長いメッシュが入っている。 同様に部分白髪が生える事も。毛先は部分的に変色し細かな線が入ったようになる。 襟付きの短いマントを着用し、首元には幼菌を模したペンダントを付けている。 ワンピースは二重構造で、外側の生地はリングが重なったような構造で色が濃い。 靴下はボーダーのハイソックス。真っ白でゆったりした靴を履いている。 性格はやや引っ込み思案。タマゴタケに強いコンプレックスを抱いている。 買い物をすると不思議とコピー商品ばかりを手に取ってしまうのが悩み。 違う色の髪が生えると全部その色に染め、服の色も合わせて楽しんだりしている。 赤松かほり嬢に会うと、嫌いじゃないのに何故か分からないが体が拒否反応を示す。


■学名:Amanita fuliginea Hongo

■食毒:猛毒
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:クロタマゴテングタケ (黒卵天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・フリギネア

■菌解説:
小~中型のテングタケ属菌。シイやカシなどの広葉樹林内地上に発生する。 傘は最初卵型で後に平らに開く。表面は繊維状で中央はほぼ黒色。周囲に行くほど淡くなる。 柄は白色だが表面に暗灰色の繊維状小鱗片を付けてだんだら模様のようになる。ひだは白色で密。 また柄の上部に灰色のつばをつける。この色でクロコタマゴテングタケと区別可能。 基部には袋状の白色のつぼをつける。写真では大きく見えるが、実物は想像以上に小さい。 比較的一般的なキノコで、環境さえ整えば身近な雑木林にもごく普通に生える。 しかし小型である事と色が自然の迷彩色であるため、いざ探すとなると苦労する。 「条線の無い傘」「つば」「つぼ」と致死性猛毒菌の要素を持ち、実際に猛毒菌の1つ。 猛毒御三家の名に隠れて目立たないが、彼らに匹敵する毒性を持つ上位ランカー。 アマニタトキシン類を含み、誤って食すと最悪の場合、肝不全により死亡する。 国内での食中毒事故は少ないが、中国では死亡例が数多く報告されている。

■娘解説:
上半身の露出が多い。髪は頭頂部は真っ黒で毛先に往くほど淡くなる。所々にメッシュ。 「EGG」と書かれた卵型の大型ヘッドフォンを肌身離さない。髪と同化している? シャツはつばを現した物なので灰色のはずだが、コントラストに欠けるので水玉模様入り。 前のボタンを外しているので普通のブラは着用せず、背後から回りこんで固定する物を着用。 本人は低身長がコンプレックスなのだが、スリーサイズはそれを補って余りあるもの。 ベルトは腰から斜めに引っ掛け、途中に十字ボタン付きのMP3プレイヤーを固定している。 聴く曲は様々だが、最近は中国系アーティストが歌う楽曲がお気に入りのようだ。 ジーンズは色もグラデーションも髪と同じ。黒い卵型パーツ付きの白いブーツを履いている。 性格はサバサバしており、社交的でない様子。一匹狼とでも言うべきか。 ずっと音楽ばかり聞いていて話も聞いていないことが多い。てかヘッドフォンで聞こえない。 そろそろ読唇術でも会得すべきか、と本人は割と本気で悩んでいるらしい。 名前がゴツくて女性っぽくないので本人は「フリゴ」と名乗り、周囲にも呼ばせている。


■学名:Amanita grandicarpa Nagasawa
          &, Hatanaka & Matsumoto (ined.)

■食毒:食毒不明
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:オオオニテングタケ (大鬼天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・グランディ

■菌解説:
大型~超大型のテングタケ属菌。広葉樹林地上に散生または単生する。 新種記載されたのが比較的最近であるため、ほとんどの図鑑にまだ載っていない。 と言うかまだ正式に認められていないため学名の最後に「(ined.)」が付く。 むしろもっと早く研究されなかったことが不思議なくらい森の中で目立つ。 傘は白色で表面には無数の褐色トゲ状のつぼの破片を付ける。 傘の直径は最低でも20cm。大きくなると30cmを超え、50cmに達する事もあるとのこと。 その傘の大きさから自重に耐え切れずに倒れてしまう事もある珍しい種。 ひだは密で柄とひだの境目に大くて肉厚な膜質のつばを付けるが脱落しやすい。 柄は淡い褐色で太く、基部では更に太まり、そのせいで表皮に亀裂が入る。 肉質は硬く締まっており、古くなると傘だけが崩れて柄だけが残ることが多い。 食毒は不明だが比較的に近縁なハイカグラテングタケが食用になると言われている。 ただしテングタケ科には毒茸が多いので、安易に食すのは避けるべきである。

■娘解説:
体の大きさは画像ミスでは無く、本当にこの大きさ。巨女。身長が他の娘の2倍以上ある。 瞳の色は茶色らしいのだが、目を開けた姿を見たことが無いので、光を放つかも不明。 髪は汚れた白色でトゲのような毛先が茶色いくせ毛が飛び出している。 額には2本の茶色いツノが生えてるが骨ではなく皮膚が盛り上がった物で軟らかい。 なので力を入れるとポロっと取れるが、痛みも無いしすぐ生えて来るので問題無い。 ドレスは厚手で髪と同色。上部にマントがあり、裏側がトゲトゲになっている。 歩いていて良くマントを落っことすので、胸の露出的に結構危ない事になる。 ドレスの裾は絞られており、そのせいで良く転ぶ。裾は擦れて生地に亀裂が入っている。 一族の中ではブーツはあまり大きくない(比率的に)。性格は非常におっちょこちょい。 雨が降って体が濡れると重くなって立っていられないため、座っていることが多い。 ただし雨が降ってない時でも何も無い場所で突然よろけて転ぶことが良くあるドジっ娘。 目立ちたがりな訳ではないが体が大きすぎて嫌でも目立つ。超重量は乙女の悩み。


■学名:Amanita muscaria (L.: Fr.) Lam.

■食毒:
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:ベニテングタケ (紅天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・ムスカリア

■菌解説:
中~大型のテングタケ属菌。主にカバノキ属の樹下、他にもブナ林、針葉樹林に発生。 針葉樹林に出る全体的に黄色みを帯びる個体は別種の可能性がある。 傘は鮮赤色~橙黄色で周囲には条線あり。表面にいぼ状の白いつぼの破片を付ける。 ひだ、柄、つぼは全て白色。柄の上部に膜質のつばを持つ。 多様な毒成分を含むが、主な毒成分とされるのはイボテン酸とムシモール。 共に神経系に作用し、発汗、散瞳、めまい、錯乱、痙攣など様々な症状が出る。 以前はムスカリン類が有効成分と考えられていたが、現在は改められつつある。 種小名は「ハエの」の意。殺ハエ作用が強く、古くからハエ取りに用いられてきた。 嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸系の症状も起きるが、大抵は1日程度で回復する。 毒キノコとしての知名度は単独TOPである反面、実は毒性は強くない。 しかもイボテン酸はグルタミン酸をはるかに上回る旨味成分であり、極めて美味。 我が国でも長野県では塩蔵して食用とする習慣がある。ダシとしても利用可能。 絵本や神話にも多く登場。海外では「幸福のシンボル」とされている。

■娘解説:
上から下まで白を基調した服装だが、不釣合な真っ赤な日傘をいつも差している。 ちなみに傘は真紅、オレンジ色、黄色い物の3つのコレクションがある。 石突きと手元はシラカンバ材を使用。真っ赤な布地に不規則な白い水玉模様がある。 髪留めはカバノキ属の雄花を模したもの。瞳の色は赤色。実はかなり背が高い。 メルヘンなイメージがあるキノコなので、全体的にゴスロリチックにまとめている。 コルセットと中に着ているドレスがややピンク色だが、ブーツを含めて他は純白。 膜質のつぼは持たないため、ブーツもピッチリした細身の物を愛用している。 性格は毒キノコとは思えないほど温厚で気配りができる理想的なお姉さん。 知名度が高く自分で中毒する人が減った事、また食べてくれる人が居ることが嬉しい。 だが「派手なキノコは毒」と言う迷信の助長に一役買ってしまった事を憂いている。 いつもニコニコ幸せ娘。「ムスカリア」と言う響きは女性っぽいので気に入っている模様。 ハエが死ぬほど嫌いで、見れば満面の笑みで叩き潰す。


■学名:Amanita neoovoidea Hongo

■食毒:
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:シロテングタケ (白天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・シラフィー

■菌解説:
中~大型のテングタケ属菌。針葉広葉を問わず様々な林内地上に発生する。 和名を見ても分かるように傘、ひだ、柄の全てが白色の美しいキノコ。 傘の周囲には条線は無く、表面には白色の粉物質がびっしり付着している。 また傘の頂部には黄土色の大きな膜質のつぼの破片が貼り付いている。 ひだは白色~クリーム色で、幼菌時は白色の粉物質に覆われたつばで守られている。 つばは傘の成長と共に破れて、最終的には傘の縁に垂れ下がるようにして残る。 柄の表面は全体的に粉状で、基部は紡錘状に膨らんで傘と同じ黄土色のつぼがある。 本種の周囲には傘やつば、柄から取れた白い破片が落ちていることが多い。 毒成分としてはアミノ酸の一種の2-アミノ-4,5-ヘキサジエン酸が検出されている。 嘔吐や下痢などの胃腸系中毒の他に、幻覚などの神経系中毒も引き起こす。 ただ地方によっては「シラフタケ」と呼び、毒抜きして食用にしていると言う。 もちろん毒成分が検出されているので、安易に摂取すべきではない。 また猛毒のフクロツルタケと形態的に類似するので、必ず変色性を確認すること。

■娘解説:
名前が名前なので全体的に純白かと思いきや、意外に色が目立つ服装の娘。 帽子と手袋、コートの下部は黄土色。髪は白色で生まれつきの超縮れっ毛。 瞳の色は白っぽい外見に似合う純白で、奥から控え目な赤い光を放つ。 コートの上から短いマントを羽織り、首には羽毛の白いマフラーを巻いている。 真夏のキノコだが、蒸し暑い日でもこの服装でいるので暑さは気にならないらしい。 ブーツはAmanita一族の中では細身な方だが、真夏でもアイゼンを装着している。 じっとしていると周囲に白い雪のような物が積もって歩きづらいからだそうだ。 また彼女の髪や衣服は繊維が自然と絡まってちぎれ、周囲に降り積もってしまう。 厚着で分かりにくいが、意外とスタイルが良い。種小名が到底人名に聞こえない。 本名は地方名を改変しているが、響きが某風の精に似ていて本人は気に入っている。 マイペースで性格も穏やか。毒キノコなのか疑わしい。動きも緩慢。 毒抜きしてまで食べてくれる人がいることが嬉しくてたまらないらしい。


■学名:Amanita pantherina (DC.: Fr.) Krombh.

■食毒:
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:テングタケ (天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・パンセリーナ

■菌解説:
中型のテングタケ属菌。主にブナ科広葉樹林地上、カバノキ属や針葉樹下にも発生する。 傘は灰褐色で周囲に条線を持ち、表面に白いつぼの破片を散在させる。ひだは白色。 柄は白色で上部につばを有し、つばより下はささくれてだんだら模様状になる。 基部には膜質のつぼは無く、塊茎状に膨らんで周囲につぼの名残を襟状に残す。 毒成分はイボテン酸やムシモール、ムスカリンだが、ベニテングタケより毒性は強い。 非常に多様な症状を引き起こすが、主に胃腸系と神経系の中毒症状が起きる。 前者は嘔吐、下痢、腹痛など。後者はよだれ、発汗、めまい、錯乱、幻覚、興奮、痙攣など。 酷い場合は昏睡や呼吸困難を引き起こすが、死に至る例は少なく1日程度で回復する。 またムスカリンを含むため殺ハエ作用が強く、かつてはハエ取りに用いられていた。 種小名は「panther(ヒョウ)」に由来し、古くは我が国でも「ヒョウタケ」と呼んでいた。 現在では別種とされているが、以前はイボテングタケと混同されていた。 大型で針葉樹下に発生するなど様々な相違点があるが、中間的な個体も存在する。

■娘解説:
名前を見ても分かるが、当然ながら全体的にヒョウ柄の衣服をまとっている。 ヒョウ柄になっているのは傘とノースリーブ、スカート、ブーツ部分。 ブーツは底が一本歯下駄状になっているため、バランス感覚は素晴らしい。 だが万一に備えて傘はあまり開かずにステッキ代わりに使用することが多い。 髪は茶色でショート気味。白のリボンやヘッドドレスをランダムに着けている。 これを尖った物に変更すると急にガタイが良くなると言う謎の噂が流れている。 瞳の色は赤色で奥から赤い光を放つ。上半身と下半身の露出度の差が激しい。 ヘソ出しルックで、左下腹部にネコ科動物(恐らく野良猫)に引っかかれた傷痕が残る。 スカートに着けたヒョウのバッジがお気に入り。ズボンは白色で段々になっている。 「パンセリーナ」と言う名前の響きが女性っぽいのでかなり気に入っている様子。 流石は「天狗」、高飛車だが憎めない性格。「天狗茸」の名を冠していることが誇り。 そのため他のテングタケ科菌が一本歯下駄を履く事は許せないらしい。意外と胸が無い。


■学名:Amanita phalloides (Vaill. ex Fr.) Link

■食毒:猛毒
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:タマゴテングタケ (卵天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・ファロイデス

■菌解説:
中~大型のテングタケ属菌。ブナやナラなどの広葉樹林に発生。針葉樹林にも発生する。 傘は中央が濃色のオリーブ色で開き切っても丸みが残る。条線は無く、湿時粘性あり。 柄は白色だがやや傘の色を帯びる。表面はささくれ状。上部には白色のつばを持つ。 また柄は下方に太まり、基部には巨大な膜質のつぼを有する。つぼの色は白色。 我が国での発生は比較的少なく、涼しい地域以外では滅多に見ることができない。 毒素は各種アマニタトキシン類と呼ばれる環状ペプチド。誤食すると数時間で下痢、腹痛が起きる。 その後一度症状は回復するが、毒素は1週間かけて緩やかに肝臓や腎臓の細胞を破壊する。 最悪の場合、肝不全により死亡する。「一家全滅」とまで言われるほど毒性が高い。 ちなみに本種1個体に含まれる致死性の毒成分の量はドクツルタケを上回っている。 海外では「Death Cap(死の帽子)」と呼ばれ、実は「死の天使」より知名度が高い。 国内でも「猛毒御三家」「猛毒三羽烏」の内の一つとしてその名を知られる。

■娘解説:
カラーリングは元となったタマゴテングタケそのもの。髪の毛とジーンズがオリーブ色。長身。 瞳の色はオリーブ色だが、瞳の奥から赤い光を放つ。貴重な太眉娘。八重歯持ち。 巨乳。ややぽっちゃり系だが、背が高いので体系にコンプレックスは抱いていない。 「Death Cap」の呼び名が嫌で帽子は被らない主義だ。何故かftnrを疑われている。 初期デザインでは真ん中分けで大きく横に広がるデザインだったが変更された。 襟のあるマントを羽織り、ストライプのネクタイを卵型の大きなピンで止めている。 マントに青字で印刷されている文字は「POISON」。もちろんマントの元ネタはつば。 へそ出しルックの長袖の白シャツを着用。ズボンは柄を模したオリーブ色のダメージジーンズ。 ブーツは白色。彼女の物は他のAmanita一族のそれよりもズバ抜けて大型。 名前が長くて女性っぽくないので自分では「ファル」と名乗り、また呼ばせている。 邪心は誰にも負けないが、本人としては自身の危険さは理解している模様。 根はのほほん系。付き合い方を間違えなければ問題無いと思われる。


■学名:Amanita pseudogemmata Hongo

■食毒:食毒不明
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:イボコガネテングタケ (疣黄金天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・シュー・レイヨ

■菌解説:
小型~中型のテングタケ属菌。夏~秋にシイ林の地上に単生または少数群生する。 発生が稀な上に本種が掲載されている図鑑自体が少ないため知名度が極めて低い。 種小名は以前ウスキテングタケと呼ばれていた種(A. gemmata)に「pseudo-(似た)」と言う意味。 しかしその種とも和名に含まれるコガネテングタケとも異なる華奢な外見の持ち主。 傘は黄色の下地に濃色粉状のつぼの破片を散りばめている。大きなつぼの破片は上面が白色。 柄は細く中程に膜質で条線のあるつばを持つ。つばの下面は傘同様に鮮やかな黄色。 柄は下方ほど黄色を帯びややささくれ、つぼの付け根で急激にカブラ状に太くなる。 つぼは柄の細さと比べると大型で浅く、つぼの縁部は肥大した柄より下に来る。 そのためあたかもつぼの内部が黄色いかのような外見になる。 発見例自体が少なく食毒は不明だが、本属菌には有毒種が多いので食すべきではない。

■娘解説:
目立つ服装のはずなのに探しても中々視界に入らない黄金色に輝く不思議なお嬢様。 別に隠れているつもりは無いのだが、何故か気付かれにくい空気的な存在。 髪は光沢の強い黄金色で、全体に強いハネぐせがある。 伸びた髪が自然と脱色して白髪になるので、折り曲げて髪に貼り付くように固めている。 麻呂眉。おでこに目立つイボがあるのが悩みで、前髪で上手に隠しているつもり。 瞳の色は金色で瞳の奥から黄色い光を放っている。 胸元に短いマントをあしらったストラップレスドレスを愛用。お胸は控え目。 マントは裏面が濃い黄色で、表面が下方が濃くなるグラデーション。 背中に大きなリボンを結い、マントにもリボンにも白い縦縞が入っている。 ドレスは裾に大きな白い膨らみが設けられ、そこへ繋がるようにドレスが太くなる。 ドレスが体から浮いているので歩くと左右に揺れて妙に不安定。ブーツは白で細身。 性格は穏やかで至ってマイペースで、自由気ままに活動している。 自身の服装は個性的だと自負しているので「○○に似てる」と言われると嫌悪感を示す。 ムカゴ(零余子)が出来る植物全般がイボっぽいからと言う漠然とした理由で好き。


■学名:Amanita sp.

■食毒:食毒不明
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■仮称:ハマクサギタマゴタケ (浜臭木卵茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・プレムナ

■菌解説:
大型のテングタケ属菌。夏にブナ科樹木の樹下に菌輪を描いて多数群生する。 現在学名が決定しておらず、和名もあくまでも「仮称」扱いとなっているので注意。 図鑑にもあまり掲載されておらず、ミヤマタマゴタケやタマゴテングタケと混同される。 和名は子実体全体にハマクサギの葉の悪臭に似た臭気がある事に由来する。 この植物の臭気はハエが嫌うが、本種に関しては虫除けになるかは不明。 傘は卵型から中高の平らに開き、色は白色~アイボリー色で周囲に条線を持つ。 つぼの破片を乗せていることが稀にある。つばと柄は白色で、柄は中空で表面は平滑。 つぼは白色で外皮はやや褐色に色付き、大きくひび割れて亀甲状になる。 また本種はつばとつぼが二重になっていると言う他の同属には少ない特徴を持つ。 つばの下にあるつば、つぼの中のつぼは肉眼でも十分確認可能。 タマゴタケに近縁とされるが、研究が進んでいないため食毒は不明。 猛毒菌の可能性も排除できないため、安易に食すのは避けるべきである。

■娘解説:
全体的に淡い色合いで統一された長身娘。一族の中でも特に身長が高く大人っぽい。 髪は象牙色で毛先は白くなり自然と細かく波打つが、髪を下ろすと毛先が綺麗に揃う。 頭には大中小の白いシルクハット。ボタンなどは象牙製の物を愛用する。 瞳はグレーで瞳の奥からうっすらと黄色い光を放つ。赤ではないので注意信号。 上半身は2枚のマントを重ね着し、下のマントには袖が付いている。 袖の裾は髪と同じ色でハマクサギの花の形を模した5裂するデザイン。 それ以外は身に着けないので風が吹くと下乳が際どく見え隠れする。ちなみに爆乳。 体臭がキツい代わりにハエが寄り付かないため、ムスカリア嬢は憧れている。 ただ本人はあまり良く思っておらず、葉型の車の芳香剤を身に着けているが焼け石に水。 ジーンズはアイボリー色。白いブーツの上に薄茶色のオープンタイプのブーツを履く。 性格は温厚で社交的で輪になって踊るのが大好き。 不思議と子供に好かれるのだが、調子に乗ってボコボコ蹴られるのでたまにキレる。 よほど気になるのか、「・・・もしかして・・・私、臭う?」と頻繁に聞く。


■学名:Amanita verna (Bull.: Fr.) Roques

■食毒:猛毒
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:シロタマゴテングタケ (白卵天狗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・ヴェルナ

■菌解説:
小~中型のテングタケ属菌。針葉広葉両樹林に発生するが広葉樹林で目にする事の方が多い。 比較的低地にも普通に発生し、人家の近くの雑木林にも見られる一般的なキノコ。 小型だが全体的に白色なので非常に目に付く。水酸化カリウム(KOH)で変色しない。 傘は白色で湿時は粘性を持つ。周囲には条線が無く、幼菌時は卵型、後に中高の平らに開く。 ひだは白色で密。柄は白色で上部に膜質のつばを持つ。表面は平滑で基部に膜質のつぼを有する。 つばより下方の柄にささくれがあるか無いかでドクツルタケと大まかに区別できる。 タマゴテングタケの白色変種とする説もあるが、未だ結論には至っていない模様。 毒成分はアマニタトキシン類と呼ばれる環状ペプチド。詳細はタマゴテングタケの項を参照。 やや小型であるため、近縁なドクツルタケに比べると致死量(本数)は多いと思われる。 世界的に猛毒キノコTOP3として認識されており、日本でも当然「猛毒御三家」と呼ばれる一群に身を置く。 本種はその3種の中でも最も目にする機会が多い種だと思われる。

■娘解説:
全身に白色の衣服をまとう。外見は地味だが、インナーは黒色を多用したメタル調。 革やベルト、バックルや銀ボタンなど々、真っ白の外見からは想像できないほど内部はハード。 瞳の色は赤。袖の無いロングコートを着用。左手はファスナーの途中から出している。 めいっぱいファスナーを上げて、あごから鼻の下まで隠している。背の低さがコンプレックス。 背丈に似合わない大きめのブーツはつぼを持つテングタケ属共通の特徴。 また襟の合わせ部分やブーツなど、各部に「白い卵」を模したアクセサリを付けている。 帽子は球形で牙の並んだ大きな口を持つ。こっちが言うことが本音だと言われている。 上の口から胞子の煙を出して自由に動かせるが、あくまでガスなので触ったりはできない。 見た目の通り大人しくて性格はシャイ。上の口で喋る以外はボソボソしか話さない。 内面的にはかなり凶暴、これはコートの中の召し物を見れば一目瞭然である。 感情が高ぶっている時でも表情に出さないので、何を考えているのか良く分からない。


■学名:Amanita virosa (Fr.) Bertill.

■食毒:猛毒
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:ドクツルタケ (毒鶴茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・ヴィロサ

■菌解説:
中~大型のテングタケ属菌。針葉広葉両樹林に発生するが、やや高地、寒冷地に発生。 色は全体的に白色で色彩が無い。傘は最初卵型で白い膜質のつぼを破って現れる。 その後中高の平らに開き、表面は滑らかで湿時は粘性を示す。周囲には条線が無い。 ひだは白色で密。柄は長く、上部に膜質のつばをつける。 つばより上方は滑らかな表面だが、下方は繊維状のささくれを付ける。 また水酸化カリウム(KOH)を滴下すると、肉が黄色に変色する事で同定できる。 毒素は各種アマニタトキシン類と呼ばれる環状ペプチド。詳細はタマゴテングタケの項を参照。 無治療では確実に死亡すると言われ、運良く回復しても後遺症が残る可能性が高い。 我が国での死亡に至ったキノコ食中毒事故の大半は本種によるもの。 その毒性の高さから、海外では「Destroying Angel(死の天使)」と呼ばれ知名度も高い。 我が国では「猛毒御三家」や「猛毒三羽烏」と呼ばれる内の1種に数えられる。

■娘解説:
我が家の看板娘第一号にして、全看板娘のリーダー的存在。(管理人的にもそう認識している。) 服のデザインも全看板娘中最もシンプルになっており、ある意味完成されてる気がする。 全身に白色の衣服をまとう。瞳の色は赤。大きな帽子は傘、髪型は柄の上部のつばを模している。 スカートはジグザグとボロボロを交互に段々になっており、ささくれる柄が元ネタ。 大きめのブーツはつぼを持つテングタケ属共通。「死の天使」なので背中に天使の羽を持つ。 ちなみに羽根が生えてはいるが、筋肉がある訳ではなく、飛べない。アクセサリ的な物。 ドクロのシルバーペンダントを愛用。季節によってデザインを使い分ける。目の内部が赤く光る機構付き。 銀製なのは「煮汁に銀を入れて黒くなれば毒」と言う迷信を皮肉っているつもり。 意外と暑がりで、涼しい場所を好む。人の多い場所はあまり好きではないらしい。 天使のような優しい性格である反面、意外と毒のある発言をするって言うか毒がある。 しかもネチッこく、長引くので注意する。本人は自分の犠牲にならぬよう注意はしている。 「死の天使」と言う呼び名は本人は気に入っている。「天使」と呼ばれてまんざらでもない様子。


■学名:Amanita volvata (Peck) Lloyd

■食毒:猛毒
■分類:テングタケ科 テングタケ属
■和名:フクロツルタケ (袋鶴茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アマニタ・ヴォルヴァタ

■菌解説:
中型のテングタケ属菌。主にブナ科樹木の下に発生し、公園などでも稀に見られる。 全体的に類白色だが、傘や柄の表面に白色~淡紅褐色の粉状~綿毛状の鱗片を付ける。 この鱗片の付き方には個体差が非常に激しく、全くの別種に見える場合もある。 全体的に太ましいのに「ツルタケ」と呼ばれるのは、柄につばを持っていないため。 以前の和名は柄の基部に極めて大きな膜質のつぼを持つ事で、本種最大の特徴。 色は白色だが周囲の土を絡め取り、褐色になっていることが多い。内部は白色を残す。 また本属には珍しく肉に変色性があり、傷付けると緩やかに紅色に変色する。 この特徴は外見的に類似することが多いシロテングタケとの区別に役立つ。 毒成分は詳しく分かっていないが、内蔵を破壊する毒素を有する猛毒菌として知られる。 神経系、胃腸系の中毒症状が現れ、重篤な場合は肝臓や腎臓の細胞が破壊される。 実際に奈良県で本種によると思われる食中毒死亡事故が起きている。 外見的に酷似したシロウロコツルタケとアクイロウロコツルタケが存在する。

■娘解説:
敏感肌で擦るとすぐ肌が赤くなるので、全体的にモコモコした衣服を身にまとう。 露出は少なく、手にも厚手のグローブをはめている。看板娘の中でも服の複雑さは上位に入る。 太ましく見えるが実際は着膨れするタイプなだけで、脱いでみるとかなりの細身。 髪の色は白色だが部分的に褐色の髪が生える。瞳の色はピンクだが、細目でまず見えない。 太眉娘第二号。柄を模した上着は左右の袖の端が伸びて背中側で繋がっている。 スカートはつぼをイメージしたもので、所々に褐色のシミのような模様がある。 以前は下に開いたようなデザインだったが、つぼの形に合わせて変更された。 ブーツはAmanita一族の中でも最も大型の物を愛用。厚手なのでブカブカではない。 全看板娘中No.1クラスの巨乳娘だが、胸だけは着痩せするのかあまり目立たない。 プロポーションは申し分無いが、本人に自覚が無い。見た目でも分かるが、生粋の天然娘。 おっとりしていると言うよりボケている。マスコット的存在?衣服が重いのであまり出かけない。


■学名:Arcyria glauca Lister

■食毒:食毒不明
■分類:ウツボホコリ科 ウツボホコリ属
■和名:アオウツボホコリ (青靭埃)
■写真:写真ページ
■娘名:靭 青維 (ウツボ アオイ)

■菌解説:
極めて小型のウツボホコリ属菌。夏から秋に朽木上に子実体を形成する。 粘菌(変形菌)の一種で、タブノキ上で見付かるとされるが、他の樹種でも見られる。 色の異なるウツボホコリ、キウツボホコリ、シロウツボコリ等が存在する。 変形体は様々な場所を這い回り、十分な栄養を蓄えると子実体形成を開始。 子実体は種小名の意味でもある灰青色で、円錐形の子嚢に短い柄を持つ。 子嚢内部には胞子とともに細毛体と言う網目状の組織が詰まっている。 胞子が成熟すると細毛体が伸張し、未熟時の何倍にも膨れ上がる。 この内部に胞子が含まれており、風に揺られる事で胞子が飛散する。 かの粘菌研究の権威である故南方熊楠氏と非常に縁の深い種として有名。 氏が猿神社跡にて採取した標本が元となり、新種登録されました。 食毒は不明だが、その小ささから食用価値は無いと思われる。 複数ある本属菌の中でも本種は粘菌屋のステータスとされるほどの超珍菌。 もし出会うことができたならラッキーだと思っておこう。

■娘解説:
我が家で初の粘菌擬人化娘。全体的に灰青色で儚い雰囲気のねっとり少女。 髪は灰青色で毛先が濃色。おでこ丸出しのオールバックから幾つも束ねている。 しかし髪が尋常ではない膨張性を持つので根本からすぐにバクハツする。 膨らんだ髪はスポンジのように複雑に絡み合い、風でも形は崩れない。 超太眉。瞳はやや水色寄りの青色で妙に目力を感じる。肌は色白。 バッグの代わりに木製の靭を持ち歩いている。絵柄はタブノキの葉と実。 中身は矢ではなく化粧品やエチケットセットなど。 薄手のドレスは袖や裾へ向かうほど色が白くなるカラーリング。 また表面に不規則に穴が空いており、変形体が這った跡のような構造。 愛用の木靴はタブノキ材を使用しており、これは靭も同様。 引っ込み思案な性格で常に野山に引き篭もり、探しても中々出会えない。 それに加えて言動が奇抜なので若干近寄り難い雰囲気がある。 尊敬する人物は菌類学者で自分の発見者でもある粘菌研究の権威、故南方熊楠氏。 前髪やキリッとした表情を保っているのも氏を意識しての事なのだそうだ。


■学名:Astraeus sp.

■食毒:
■分類:ディプロシスチジア科 ツチグリ属
■和名:ツチグリ (土栗)
■写真:写真ページ
■娘名:土栗 雨 (ツチグリ ウルル)

■菌解説:
小~中型のツチグリ属菌。夏から秋にかけて林内、土が露出した場所に発生する。 条件さえ合えば早春や晩秋にも普通に見られ、発生期間はかなり長い。 また発生場所として緩やかな斜面を好む傾向があるように思われる。幼菌は地中生。 やや潰れた球形で黄褐色、表面には濃色の繊維状菌糸束が走っている。 やがて雨を感じ取ると外皮が開裂して内部の薄い膜質の胞子を蓄えた袋が露出する。 袋の頂部には穴が空き、雨粒の落下による衝撃で上方に赤褐色の胞子を噴出する。 雨を察知して開閉するため「きのこの晴雨計」とも呼ばれる。 外皮の内側は白色だが開くと同時に細かくひび割れ、下地が見えて模様になる。 内部は最初白色だが胞子が熟すと黒色になり、白い内は食用とする地域もある。 「A. hygrometricus」とは別種であることが判明し、現在は種小名は未決定。 また幼菌はタマノリイグチの宿主としても知られているが、発生は極めて稀。

■娘解説:
晴れの時と雨の時とで性格も外見もコロッと変わるお天気屋さん。瞳の色は水色。 髪は外側と内側で色も髪質も異なり、前者は褐色ストレートで濃い目のメッシュ入り。 髪裏は白地に暗赤褐色のチェック柄。後者は毛羽立った髪質で褐色を帯びた灰色。 上着は暗い赤茶色のファーで腕の関節部分のベルトだけで支えている。 首からガラス製の晴雨計をチェーンで下げ、水色に着色した水を入れている。 また両手首のストラップの先には気象観測に用いる精密な晴雨計を付けて持ち歩く。 丸みを帯びたスカートは髪と全く同じカラーリング上部を紐で縛ってある。 雨が降ると紐が解け、中のフワフワしたスカートと、外側のチェック柄が現れる。 また同時に髪の毛も外側に向けて開き、隠れていた目鼻が正しく顔を出す。 愛用の長靴は作業用のしっかりした物で、青系を好んで履く。 性格は晴れている時は大人しく無口、雨を感じると急に活発で饒舌になる。 また嬉しさ余って周囲に「良い雨が振りそうだね」とふれ回る天気予報士的な存在。 雨はどのキノコにとっても重要なので、雨に関しては他種からの信頼も厚い。 特定のキノコによるストーカー被害に遭っており、日々警戒を怠らない。


■学名:Aureoboletus mirabilis (Murrill) Halling

■食毒:
■分類:イグチ科 ヌメリコウジタケ属
■和名:オオキノボリイグチ (大木登猪口)
■写真:写真ページ
■娘名:大木登 ミラ (オオキド ミラ)

■菌解説:
大型のヌメリコウジタケ属菌。夏~秋に亜高山帯針葉樹林に発生する比較的珍しいキノコ。 苔生した腐朽材内を菌糸がよじ登り材上に子実体を発生させるのが和名の由来。 材上生に似た振る舞いをするが、実際には針葉樹に寄生する菌根菌で地上でも見られる。 以前はキクバナイグチ属だった。 同様の性質と似た名前を持つキノボリイグチは同科だが縁遠いヌメリイグチ属である。 傘はワイン色で表面はビロード状。表面に明色の円形斑紋が現れるのが本種の最大の特徴。 管孔はオリーブ色を帯びた黄色で傷付くと黄変する。柄は全体に縦長の強い網目がある。 柄は傘より淡色で、個体差があるが上部が管孔と同色を帯び、基部は白色菌糸に覆われる。 柄の基部は大きく膨らんでおり、傘と同じくらいの不釣り合いな太さになる事もある。 また成長すると傘の縁から管孔部が分離すると言う本属菌に多い特徴も持ち合わせる。 種小名の「mirabilis」は「不思議な」や「素晴らしい」の意味。 その名に見合う奇抜な外見だが、見た目に反して食菌で味も良い。

■娘解説:
木登り大好き掴み所の無い不思議ちゃん。樹上から降りようとしないレアエネミー。 髪は濃いワイン色で気分で脱色剤を用いて色ムラを作っている。 基本適度に色抜きするが、ほとんど抜かない日や抜きすぎて真っ白に近い日もある。 また髪の裏がオリーブ色の癖毛で髪質が異なり、外側の毛と分かれている。 瞳の色は淡いワイン色で瞳の中心は明るい色をしている。太眉娘。 胸元に菊の花を模した金色のブローチを着けているが、半分溶けて崩れている。 ドレスワンピースは腰から上が黄色、下がワイン色で黄色い網目模様が入る。 ドレスの裾は白いファーで飾られ、白のクライミングシューズは底だけ緑色。 腰には黄色のザイルロープを巻き、両手にクライミンググローブを着用。 凄まじい握力と脚力を誇り、趣味は当然木登り。岩には興味が無い。 性格は素晴らしく温厚だが、立ち居振る舞いに掴み所が無く、やや人見知り。 「小指一本で体重を支えられる」とは本人談だが、たまに落ちる姿が目撃される。 周囲からはそのゆったりした服装のせいではないのかと総ツッコミされている。


■学名:Boletopsis leucomelaena (Pers.) Fayod

■食毒:
■分類:マツバハリタケ科 クロカワ属
■和名:クロカワ (黒皮)
■写真:写真ページ
■娘名:黒皮 犇 (クロカワ ヒシメキ)

■菌解説:
中~大型のクロカワ属菌。秋にマツやモミ、トウヒなどの樹下地上に少数群生。 ヒダナシタケ類だが明確な柄と傘を持ち、裏側は管孔で属名的にもイグチ属に似る。 傘は最初灰色だが成長とともに黒くなり、大型の個体では周囲が褐色を帯びる。 管孔は白色で、拡大すると孔口の縁がのこぎり状になっていることが分かる。 管孔は柄に垂生するが、境目で管孔部の白色と柄の傘と同じ黒色が明確に別れる。 肉は白色で中実で脆く簡単に崩れる。またほのかな苦味があるのが最大の特徴。 肉は傷付いたり加熱したりすると赤紫色に変色し、やがて黒くなる。 その見た目に似合わず「通好み」と称される優秀な食菌として有名。 地方名も「ウシビタイ」「ロウジ(老茸)」「ナベタケ」など様々。 苦味に不快さが全く無く味わい深いため、酒の肴として絶大な人気を誇る。 ただ背が低く堆積物に埋もれていることが多い上に色合い的に目立たず発見が困難。 愛好家の間では「目をクロカワモードにする必要がある」と言われるほど。

■娘解説:
圧倒的な牛娘。牛なので巨乳だが乳牛ではなくあくまで黒牛なので母乳は出ない。 髪もドレスワンピースも灰褐色気味の黒色牛革で胸が大きい分細身に見え実際細身。 下着は全て白。眉毛は太く、瞳の色は黒色でハイライトが少ない。 髪裏は真っ白で毛がギザギザしているので乱れているように見える。 前髪は普段真下に下ろしているので毛の隙間から目だけが少し見えている。 肩にかけて同じくギザギザのフリルを重ね合わせた短い飾りを着用。 両耳には金色のイヤリングを着け、鼻には金色の鼻輪を上向きに付けている(貫通)。 首と腰には赤紫色のベルトをアクセントで身に着け意外とオシャレに気を遣う。 ちなみに角と尻尾は自前の人外娘。非常に牛娘だが母乳は出ない。 肩近くまであるロンググローブと薄底ヒールは偶蹄目の蹄を意識したデザイン。 大の酒飲みで日本酒大好き。酒の肴は本種を含め秋刀魚のハラワタなど苦い物。 酔うとひたすらおでこで頭突きしたがるが、骨が丈夫ではなく頭蓋骨陥没に発展する。 性格はババ臭いが優しく、彼女との出会いはほろ苦い。だが母乳は出ない。


■学名:Boletus edulis Bull.

■食毒:
■分類:イグチ科 ヤマドリタケ属
■和名:ヤマドリタケ (山鳥茸)
■写真:写真ページ
■娘名:ヤマドリ・B・ポルチーニ

■菌解説:
中~大型のヤマドリタケ属菌。秋にトウヒなどの高山性針葉樹下に発生する。 発生は高地や高緯度地域に限られ、国内に発生する事自体があまり知られていない。 ちなみに日本の低地で見られる物のほとんどが近縁なヤマドリタケモドキである。 傘は橙褐色で周辺ほど淡くなり、傘の周囲に白い縁取りがあるのが特徴。 また本種の傘の表面はビロード状ではなく、湿時は粘性を持つ。 管孔は最初菌糸に覆われ白色だが、成熟するとオリーブ色に変化する。 肉に変色性は無い。柄は傘より淡色で表面には網目模様がある。 この網目模様は柄の上部ほど明瞭で、下方に行くほど不明瞭になる。 肉質は非常に固く、国によっては「石のように硬い」と表現されている。 乾燥すると独特な香りを放ち、様々な国で高級食材とされる美味な食菌。 イタリアでの呼び名「ポルチーニ」が有名で国内でも乾燥品を購入可能。 様々な料理に使える万能茸だが、特に洋風料理の炒め物や煮物に相性が良い。 あらゆる面でモドキを上回る上位互換のような種である。

■娘解説:
イタリア人のコックさん。だが仕事柄色々な国の言語を話すことが可能。 腕は超一流で、その技術に誇りを持って日々料理を作り続けている。 髪は赤褐色で毛先に行くほど色が淡くなり、先端は白く縮れている。 前髪ともみあげに強烈なクセがあり、クルンと丸まっているが、本人は気に入っている。 首元にはトウヒの毬果のブローチ。いつでもコック姿で生活している。 調理服とコック帽は褐色~白色のグラデで、上の方ほど網目模様が見える。 胸は相当デカい。腰にはヤマドリの尾を模した帯を巻いている。ズボンは黒。 ベルトを付けないので良く半ケツになっているが、おしりが大きいので脱げはしない。 靴はブローチ同様にトウヒの毬果をイメージした模様が入っている。 愛用のフライパンは取っ手が取れるフランス的な物らしいが詳細は不明。 得意料理はパスタやシチューなどの洋風料理だが、シンプルな和食や中華も手掛ける。 性格は明るく陽気で、色んな人に自分の味を知ってもらいたいと熱心に活動中。 ただし暑い場所が苦手で高い山に住んでおり、食べに行くのにそれなりの労力が必要。


■学名:Boletus rhodocarpus Uehara & Har. Takah.

■食毒:猛毒
■分類:イグチ科 ヤマドリタケ属
■和名:バライロウラベニイロガワリ (薔薇色裏紅色変)
■写真:写真ページ
■娘名:色変 薔薇嶺 (イロガワリ バラネ)

■菌解説:
大型のヤマドリタケ属菌。夏から秋にコメツガなどの亜高山帯針葉樹林地上に発生。 主に北海道などの高緯度地域や、長野県や山梨県の標高の高い場所で見付かっている。 菌根を作る樹木の関係でドクヤマドリ同様に発生は比較的国内では珍しい。 傘は最初淡い灰褐色だが成長して傘が開く頃には全体的に紅色を帯びる。 管孔は黄色で孔口部が赤く染まるのが特徴だが、傘周辺は黄色みが残る。 柄は上部が黄色で中央部が赤色、基部には白色菌糸を持つ。 柄の表面は濃色の細点に覆われ網目がある。網目の程度には広い個体差がある。 これらは別種である可能性もあるので、研究が望まれる。 子実体全体に強い青変性があり、管孔は傷付けると速やかに青色に変わる。 中毒例の報告により近年になって存在が知られる事となったイグチ科猛毒菌の一つ。 極めて少量を生で飲み込んだだけで重篤な胃腸系の中毒症状が現れた例がある。 味も非常に良いとされており、摂取量によっては致命的となる可能性がある。

■娘解説:
第一印象はほとんどの者に「ケバい」と称される、薔薇の花飾りだらけのお嬢様。 しかしその立ち居振る舞いは大人しく清楚で見る者を惹き付けて止まない。 髪は頭頂部が白く毛先に行くほど巻いて赤みを帯び、所々に薔薇の花飾りを付けている。 髪の裏側が真っ赤に染まり、傷付いたり髪を掻き分けると分け目が青く染まる。 瞳は紅色で強烈な赤い光を放つ。首から胸にかけてメッシュ生地を使用。中々の巨乳。 マニキュアは照りの強い紅色で、手首には薔薇の腕輪。 ドレスは胸元がオレンジで下方ほど赤色、裾は大きな白薔薇を模したデザイン。 また胸元と腰から下には大きな薔薇の花飾りを多数付けていて実にケバい。 ブーツは細身の白色。下着は黄色と青を使い分け、服の関係でブラは着けない。 外見に反して表情は穏やかで大人しく、人当たりも良い。 ただし傷付くことがあると一気に気持ちがブルーになるのは彼女の悪いクセ。 綺麗な薔薇には何とやらである。赤い薔薇の花と高い山で独りで涼むことが好き。 毒キノコである事を知りながらも会いに来てくれる者には表情を緩める。


■学名:Boletus sp.

■食毒:食(有毒の可能性あり)
■分類:イグチ科 ヤマドリタケ属
■仮称:シロヤマドリタケ (白山鳥茸)
■写真:写真ページ
■娘名:山鳥 眞白(ヤマドリ マシロ)

■菌解説:
中~大型のヤマドリタケ属菌。夏から秋に雑木林、コナラの樹下に少数群生を作る。 掲載時点で掲載が確認されている図鑑は「北陸のきのこ図鑑」1冊のみ。 学名も属名までしか判明しておらず、和名も「仮称」扱いで正式名ではない。 しかし全国的には発見報告が多数あり、分布的にはかなり広いことが予想できる。 傘は白色でつやは無く傷やひび割れが目立つ。周囲には表皮の裂けた余りが残る。 管孔は最初菌糸に覆われて白色だが、成熟すると黄土色になる。 柄も白色で、上から下まで全面に、特に下部に強い網目模様がある。 例えるならばムラサキヤマドリタケを真っ白にしただけような外見をしている。 大きく異るのは肉質。非常に軟質で脆く、摘んだだけで柄の網目が潰れてしまう。 またこの性質のため周囲の枝などの自然物に邪魔され傘が奇形になっていることが多い。 不明種だが図鑑には「美味」と書かれており、実際食した人物も確認できている。 近縁種からも食菌と考えて良さそうだが、正確な情報を待つべきである。

■娘解説:
全身真っ白の気品あふるる美しい娘。風が吹いただけで折れてしまいそうな印象を受ける。 髪は白色でしっとりした毛質だが反面脆く、少し触るだけでブチブチ切れてしまう。 内側の髪ほど黄土色になり髪を掻き分けると層になっている。裏側は超巻き毛状。 まつ毛は長く真っ白で美しいがよく反り返り、逆まつ毛に悩まされている。 瞳は透き通るような純白だが強い光に弱く、明るい場所では薄目を開けていることが多い。 胸はあまり無い。タートルネックのワンピースで胸元から両腕にベルトが伸びている。 ワンピースは網目柄で上半身はタイト、下半身はラフなデザイン。靴は白のベタ靴。 何かに軽くぶつかっただけで怪我をする。何かに躓いただけで複雑骨折をする。 好きな映画キャラは「アンブレイカブル」の「イライジャ(ミスター・ガラス)」。 比較的丈夫な体を持つ山鳥一族の中でも群を抜いて虚弱体質だが暑さにはめっぽう強い。 シャイで無口。人前に出てこないので交友関係は薄いが、同じ一族とは仲は良い。 外見的、属的に「カビてる?」と良く聞かれ、その度に身振り手振りで全力否定。


■学名:Boletus violaceofuscus W.F. Chiu

■食毒:
■分類:イグチ科 ヤマドリタケ属
■和名:ムラサキヤマドリタケ (紫山鳥茸)
■写真:写真ページ
■娘名:山鳥 紫 (ヤマドリ ユカリ)

■菌解説:
中~大型のヤマドリタケ属菌。ブナ科樹木とアカマツの交じる雑木林に発生する。 珍しいと思われがちだが、これは主な発生が夏~秋の中でも特に暑い時期のため。 暑さを嫌って人が中々山に探しに入らないため、発生を見逃すことが多い。 傘は暗紫色だが色合いには個体差があり、黒に近い物から淡い物まで様々。 また表面には黄色い斑紋を生じることがあるが、これも個体によっては存在しない。 ブナ林に発生する傘の色が淡い類似種が確認されており、検討が待たれる。 管孔は初めは純白だが後に黄色みを帯び、幼菌時は白色菌糸に覆われている。 特徴的なのは柄で、表面は傘と同じ暗紫色で強烈な網目模様を持つ。 またこの独特な色合に不釣合いなほど内部の肉は白く、変色性も持っていない。 派手な外見からは想像もできないが、極めて美味な食菌として有名である。 香りや味、食感は抜群で、肉が真っ白なため調理の際の見た目はとても良い。 合わない料理は無いと言っても過言では無いため、調理法に関しては特筆不可。 我が家では毎年クリームパスタの具として活躍してもらっている。

■娘解説:
気品漂う長身娘さん。溢れ出る高級感に出会うと思わずハッとしてしまう。 全体的に暗紫色で統一しており、髪色も同色だがたまに淡く脱色している。 髪には無造作に黄色いバラのアクセサリを付け、これも気分に応じて外している。 髪の裏側は真っ白。強い癖毛持ちで整えても整えても毛先がまとまらない。 肌はギョッとするほど白く、瞳の色は淡い赤紫色。あまり顔色は変えない。 肩から白いポーチを下げている。中にはクシや化粧品などの美容用品がいっぱい。 これでも髪の端は揃っているのだが、傘の裂けやすさをしっかり引き継いでいる。 背景絵で描かれた時は短髪だったが、何となく高級っぽいとの理由から長髪に。 髪色とお揃いの網目模様の入った長いワンピースが彼女のトレードマーク。 底の部分から上に向かって白いグラデーションの入ったハイヒールを履いている。 とにかく暑さには強く、他の娘達がへばっても凛としている姿は尊敬モノ。 性格はとにかく大人で立ち居振る舞いもとても上品。アダルトな魅力に溢れる。



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■学名:Calvatia nipponica Kawam. ex Kasuya & Katum.

■食毒:
■分類:ハラタケ科 ノウタケ属
■和名:オニフスベ (鬼瘤)
■写真:写真ページ
■娘名:鬼原 ふすべ (オニワラ フスベ)

■菌解説:
極めて大型のノウタケ属菌。夏から秋にかけて道端や庭園、竹やぶ地上に発生する。 地方名「ヤブダマ」はこれに由来する。我が国に産する中では屈指の大型菌。 その異様な姿から毎年必ずと言って良いほどニュースや新聞で紹介される。 森や庭に頭蓋骨が落ちている、と騒ぎになる事もしばしば。 子実体は白色の球形。大きい物では直径が50cmを超える。 内部は幼菌時白色で弾力があるが、熟すと綿屑状の褐色の胞子塊に変化する。 その後外皮に亀裂が入り、続いて内皮が破れ風で胞子を拡散する。 基部には太い菌糸束が見られる。転がる事で胞子を拡散すると言う説も存在する。 ホコリタケやノウタケとは異なり無性基部が存在せず最終的には何も残らない。 海外や北海道で見られる近縁種のセイヨウオニフスベは本種の胞子にある刺が不明瞭。 異様な外見だが無毒で、内部が白い若い子実体であれば食用にすることができる。 味は可もなく不可もなし。お吸い物やフライなどに利用可能。 内部が変色した物は刺激臭があり食用には向かない。

■娘解説:
超巨大なスカートに下半身を包む球系女子。 背が高いのではなく身体が一回り大きいが、グランディ嬢ほどの巨女ではない。 体の大きさを自由に変えられると言われているが、真偽は定かではない。 髪は強烈な縮れ毛。風に吹かれると細かく千切れて飛び散る性質がある。 額の中央には大きな角があるが、これは極端に尖った「イボ」なので軟らかい。 茶色いボサボサまつ毛にグルグルおめめ。口を開けると発達した牙が見える。 首には茶色いファー。肩の出た袖の無い着物には竹やぶを模した柄がある。 帯は茶色で渦巻き模様が入っている。スカートは二重構造で内側が茶色で外側が白。 外側のスカートの上部はひび割れて内側が見えており、裾は細く絞られている。 スカートの中は詳細不明だが、「アンモニア臭がする」との噂は本人が強く否定している。 性格は超マイペース。普段は日当たりの良い草原でのんびりしている。 しかし同じ場所に長くは居らず、気付けばどこかに行ってしまっている。 ただ鬼の名を冠するだけあって言動はやや刺々しい。 坂道だと無性に転がりたくなるのだが、恥ずかしいのでグッと我慢している。 人目に付きやすく、良くちょっかいを出されるのは嬉しいような悲しいような。


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■学名:Catathelasma imperiale (Fr.) Sing.

■食毒:
■分類:オオモミタケ科 モミタケ属
■和名:オオモミタケ (大樅茸)
■写真:写真ページ
■娘名:樅野 帝 (モミノ ミカド)

■菌解説:
極めて大型のオオモミタケ属菌。初秋にモミ類の林内地上に発生するが発生は稀。 菌根を形成する樹種は様々だがトドマツやシラビソ、ウラジロモミが一般的。 幼菌時は大半が地中に埋もれた状態で、下方ほど細まり色は全体がほぼ白色。 成長すると柄が伸び、つばが破れて直径20cmを超える逆三角形の傘を広げる。 成長具合にもよるが、大きい時は直径40cm近くになる。 そのため国内でも数少ない巨大化するキノコの一つとして数えられる。 傘は黄褐色から濃褐色に変化し、中央部に放射状の鱗片を持つ。 この様子がマツタケ似ている事から「早松(さまつ)」とも呼ばれる。 柄は中実で地上部は極めて太く、下部ほど細まり地中に深く潜る。 また二段階に分けてつばが破れるため、柄の上部に二重のつばを持つ。 異様な大きさに似合わず食菌。発生量が少なくキノコ狩りでは珍重される。 ただしキノコとしての味は他の食菌と比べると劣ると言われる。 食感を楽しむ利用法や、香りを活かした炊き込みご飯などに利用すると良い。

■娘解説:
身長も頭身も高いクールなお姉様。ほとんどの娘が見上げてしまう頭の高さ。 どことなく貴族を思わせるような服装をしている。 髪は白に褐色のメッシュが部分的に入り、もみあげを伸ばしている。 うしろ髪を2つに分け、片方を頭頂部の上に持ち上げ、もう片方を縛って垂らしている。 瞳の色は淡い褐色。両耳にはウラジロモミの球果のイヤリング。 白い上着は大きな襟と服の縁が褐色に彩られ、襟には複雑な模様がある。 襟に隠れて分かりにくいが肩幅が無い。ネクタイはモミの葉模様の緑色。 タイピンにはインペリアルトパーズがあしらわれている。 インナーは黄土色に白の縦縞で腰と袖からはみ出す長さ。手袋は白、靴は茶色。 スカートは表が放射状の縞、裏が濃褐色で、外側に広がるような構造。 体の左右の裾が長く伸び、その先端を結び付けて形を保っている。 立ち居振る舞いは「帝王」の名に相応しく実に威厳に溢れ、性格は超高飛車。 そのくせ誰かに会うのは苦手で、予期せず出会うと焦って頭から地面に突っ込む。 だが心から自分を理解し好いてくれる者に対しては全力な女の子らしい一面も。


■学名:Chlorociboria omnivirens (Berk.) J.R. Dixon

■食毒:食毒不明
■分類:ビョウタケ科 ロクショウグサレキン属
■和名:ヒメロクショウグサレキン (姫緑青腐菌)
■写真:写真ページ
■娘名:緑青 姫乃 (ロクショウ ヒメノ)

■菌解説:
小型のロクショウグサレキン属菌。夏~晩秋の寒くなるまで、各種腐朽材上に発生。 分布は世界的だが、キノコ全体としては比較的珍しい明確な青色の種の一つ。 かつてはズキンタケ科とされていたが、現在は所属科未決定となっている。 子実体は椀形で中心生の柄を持ち、横から見ると漏斗形をしている。 色は鮮やかな緑青色だが色むらが強く、中心部はほぼ白色になることが多い。 それが特徴なのに種小名の「omnivirens」は「全体が緑色の」の意味なのが不思議。 近縁種にロクショウグサレキンとロクショウグサレキンモドキが存在する。 両種共に緑青色だが色むらは無く、柄が前者は中心生、後者が偏心生である。 ただ幼菌時は肉眼的区別が難しく、ヒメロクショウグサレキンは色で早期に区別可能。 本属菌は菌糸までもが同様の色を持つので、侵された材は緑青色に染まる。 この着色した材を用いた工芸品も存在するが、脆くなっているため一般的ではない。 また色素が安定しているので染め物等にも利用することができる。

■娘解説:
腐っている。本来の意味でも生物的な意味でも腐女子。見た目が地味に怖い青肌娘。 誰が見ても分かるほど血色と言うレベルではない肌の色の青さが目立つ。 不健康そうだがこれが本来の色であり、体調不良と言うワケではない。 手首や肩に濃い色の模様があるが、これは刺青なので取れない。 全体的に緑青色で統一され、瞳の色は鮮やかな水色。髪は濃い青緑色でパッツン前髪。 タジン鍋の蓋のような形状の帽子の飾りを頭の左側に着けている。 髪の毛やスカートの裾が段々に揃えられているのは腐朽した木材の繊維をイメージ。 ボタンは全て本種の子実体を模した中心部の色が淡い皿形の大きな物を使用。 手に持つステッキは青い染色部がある材を用いて自作したお気に入りの一品。 背が低いので少しでも底上げしようと高いヒールのブーツを履いている。 性格は暗いかと思いきや、見た目に反して付き合いは良い。しかし腐女子。 趣味は木の上に登る事だが、高い場所より倒れた木の上が落ち着くらしい。 彼女が触れた木材はみるみる青緑色に染まって腐って行く。色んな意味で。


■学名:Ciboria batschiana (Zopf) N.F. Buchw.

■食毒:食毒不明
■分類:キンカクキン科 キボリアキンカクキン属
■仮称:ドングリキンカクキン (団栗菌核菌)
■写真:写真ページ
■娘名:木堀 団栗 (キボリ マルリ)

■菌解説:
小型のキボリアキンカクキン属菌。秋にナラ類の硬果が変化した菌核から発生する。 主にミズナラの硬果から発生するとされるが、低地のコナラでも普通に見られる。 よって深山でなくともナラ類が多い都会の緑地公園などでも見付かることがある。 ただし発生し得る環境が多いわりには発見例は少なく、比較的稀な種と言える。 逆に発生する場所では1ヶ所で大量に見られ、そのような場所では毎年安定して見ることができる。 前年に落下したドングリに感染し、内部が菌核化した状態で越冬する。 内部の子葉部分が変化して菌核となり、多少原型を留めた黒く萎縮した子座となる。 翌年秋に地中に埋もれた菌核から黒く長い柄を伸ばし地上に現れる。子実体は皿形で茶褐色。 菌核が地表に露出している場合は柄が極めて短く、直接子嚢盤が出ているような外見になる。 子嚢盤にも菌核にも食用価値は無く、主に愛好家の鑑賞向けのキノコと言える。 ちなみに人工的にはカシ類やクヌギ、クリ等のブナ科の硬果への感染も確認されている。

■娘解説:
全体的に茶色系に統一された、地味な色合いの団栗娘。 名前は「ドングリ」とは読まないのだが、皆からは「どんちゃん」と呼ばれる。 ショートの黒髪はかなりのくせ毛で櫛も通らないほどに硬い髪質。 一部褐色で軟らかい髪だけを長く伸ばして三つ編みにし、それを皿状に巻いている。 髪の先端だけは黒くなり、その先にドングリの髪飾りを着けている。 太眉。瞳の色は黒でハイライトが無い。爪の黒いネイルは欠かすことが無い。 ゆったり楕円体状に膨らんだ羽織は茶色でミズナラとコナラの模様が入っている。 着物はミニスカ状で黒く、帯はミズナラの樹皮の柄。 その上から菌核を模した左右で分離できる黒い厚手の丈の長いベストを胸元を開けて着ている。 ニーソックス状の黒足袋を履き、白い鼻緒の黒い菌核形の下駄を履いている。 性格は温厚だが積極的に人(菌)付き合いはしないご様子。 秋にドングリ拾いをするのが趣味。アク抜きしてクッキーにしたりしている。 本人は生でもイケるクチだが、これに関しては周囲から同意が得られていない。 下駄の底が丸いので歩きにくく、良く転んで地面に刺さっている。


■学名:Ciboria caucus (Rebent.) Fuckel

■食毒:食毒不明
■分類:キンカクキン科 キボリアキンカクキン属
■和名:ハンノキハナホキンカクキン (榛木花穂菌核菌)
■写真:写真ページ
■娘名:木堀 榛乃 (キボリ ハンノ)

■菌解説:
小型のキボリアキンカクキン属菌。冬~春にハンノキ属の尾状花序から発生する。 各種ハンノキ属の雄花から発生し、一般的なオオバヤシャブシの樹下で見付かることが多い。 「C.amentacea」と呼ばれてきたが、現在国内産はこの学名が採用されている。 古くから存在を知られているキノコだが、近年になって和名が提唱された。 樹木の花期に合わせて発生するため雪が降るような寒い時期でも見られる。 子実体は椀形で黄褐色。縁部はやや白くなり、中心生の非常に長い柄を持つ。 柄は4cmに達する事もあり、地表や地表に埋もれたハンノキの尾状花序と繋がる。 旧種小名の「amentacea」も「尾状花序様の」とそのままの意味。 同属のキツネノワンとは異なり、本種は明確な菌核は形成しない。 ただし尾状花序が朽ちると、その形状の名残がある菌核に似た黒い芯が残る。 食毒は不明だが極めて小型のため食用価値は元々無いと思われる。 ハンノキ属の樹木は湿地を好む性質があり、休耕田に進出している場所が探しやすい。 ただし地面がぬかるんで侵入が難しく、キンカクキン科としては発見難易度が高い。

■娘解説:
喘息に花粉症と言う持病持ちの和服少女。だが不思議と和物っぽさを感じない。 この名前も仮初めの名であり、自分に相応しい名前を考えている最中。 髪は淡い黄褐色で斜めパッツン。もみあげが長く伸びている。太眉。 瞳の色は赤褐色なのだが普段は目を細めているのでまず確認できない。 頭頂部の髪を長く伸ばしてハンノキの雄花を模したバンドで縛り垂らしている。 長く伸びた毛先は黒くなり跳ねまくるので、何ヶ所もリボンで巻いて束ねている。 着物は白を基調として雄花の垂れたハンノキの柄が入っている。 袖や裾の付近には水を模した柄が入り、根には根粒菌も描かれている。 帯は黒で白い斑点が入っている。この斑点は花粉だと言う噂。 足元のキンカクキン科らしいゴツいスニーカーは根粒をイメージしている。 引っ込み思案で対人恐怖症の気があるが、湿っぽいのは場所的な問題だけ。 性格は明るく、同属の狐野椀とは仲良しで、他の子嚢菌類とも関係良好。 花粉でいつも噎せているが、本人は別に気にしていない様子。



(左)
■学名:Ciboria shiraiana (Henn.) Whetzel.


■食毒:食毒不明
■分類:キンカクキン科 キボリアキンカクキン属
■和名:キツネノワン (狐椀)
■写真:写真ページ
■娘名:狐野 椀 (コノ マリ)

■菌解説:
小型のキボリアキンカクキン属菌。春にクワの樹下、前年に落ちたクワの実から発生する。 実はクワの実菌核病を起こす病害菌で、開花期に合わせて胞子を飛ばして花に感染。 感染したクワの実は黒くならずに白化、地面に落ちて菌核化して冬を越す。 翌年その菌核から新たな子実体を生じてまた花に感染、このサイクルを繰り返し続ける。 子実体は直径1cm程度の椀形で色は褐色。菌核が埋まっている場合は柄が長くなる。 地面を掘ると不規則な形状の黒色の菌核と繋がる。菌核はクワの実の形を若干残している。 養蚕業が盛んだった頃は極めて普通に見られたが、現在では滅多に見れなくなった。 またクワは雌雄異株なので、古い木であっても雄株の樹下では見る事はできない。 逆に小さな木1本であっても雌株であれば生き残っていることがある。 探すのは困難であるがクワの結実の時期に場所を確かめておけば出会える確率は高い。 現在は食毒不明とされているが、そもそも極めて小型なので食用には向かない。

(右)
■学名:Scleromitrula shiraiana (Henn.) S. Imai


■食毒:食不適
■分類:トウヒキンカクキン科 キツネノヤリタケ属
■和名:キツネノヤリタケ (狐槍茸)
■写真:写真ページ
■娘名:狐野 槍 (コノ ウツギ)

■菌解説:
小型のキツネノヤリタケ属菌。形状以外の生態は上記キツネノワンとほぼ同じため省略。 ただし発生時期が前種に比べると遅く、キツネノワン発生ピークに顔を出す。 子実体は頭部と細い柄からなる褐色の棍棒状。柄は頭部より濃色で基部ほど黒い。 頭部は淡褐色で不規則な縦方向の隆起があり、細いアミガサタケのような形状。 味が悪く食用不適だが、そもそも非常に小型なので食用には向かない。

■娘解説:
完全にロリ狐娘。古き良き日本の服装。苗字は同じだが双子でも姉妹でもなく、親戚。 2人ともツリ目で瞳の色は黒。髪とシッポの色はきつね色。こげ茶の着物に白い前掛け。 純和風な服装に似合わず黒くてゴツいスニーカーを履いているのは菌核を模したもの。 相違点としてはまず髪型。椀がおかっぱなのに対し槍は乱れさせながら立ち上げている。 顔付きは椀の方がおっとりした感じ。背丈は槍の方が顔一つ分くらい高い。 手拭いの柄は椀がマグワに対し槍がヤマグワだが、特に意味は無いらしい。 それぞれがお椀とヤリをいつも携帯。お椀に入った赤いクワの実を二人仲良く食べている。 ヤリは頑丈そうだが実際はそれっぽく作ったフェイクで、突くと即全壊する。 性格はシャイで気まぐれ。春の間は元気だが、すぐにふいっとどこかへ行ってしまう。 椀は座っている方が、槍は立っている方が楽らしいが、気の早さは椀の方が上。 好物は熟す前のクワの実と稲荷寿司。趣味は養蚕とクワの実のジャム作り。 雷が大の苦手で、ゴロゴロ鳴り出すと「桑原・・・桑原・・・」と呟いて小さくなっている。



■学名:Ciboria sp.

■食毒:食毒不明
■分類:キンカクキン科 キボリアキンカクキン属
■仮称:アケビタケ (木通茸)
■写真:写真ページ
■娘名:木堀 木通 (キボリ アケビ)

■菌解説:
小型のキボリアキンカクキン属菌。秋に菌核化した前年のアケビの果皮から発生する。 アケビやミツバアケビの果実が落ちている場所を探せば発見は比較的容易。 学名は「C. akebiana」が提唱されている。和名は未だ仮称扱いである。 子実体は有柄椀形で1cmに満たない。若い時は暗赤褐色だがやがて灰紫色にくすむ。 また子嚢盤の外側は赤い鱗片に覆われており、柄の基部は黒色に近くなる。 菌核は果皮をまるごと1つ菌核に置き換えているため5cm程度とかなり大型。 このため一つの菌核から多数の子嚢盤を発生させ、異様な姿になる。 菌核は強靭な肉質で表面は黒色。果皮が萎縮した名残が細かなしわとなって現れている。 特定の植物体を栄養源とする子嚢菌類としては知名度が低くあまり知られていない。 全国的に広く見付かっており、実は一般的なキノコの可能性が高い。 ただし野生のアケビ自体が減少しており、発生環境に出逢うのが難しい。 食毒は不明だが小型のため食用には向かないと思われる。 菌体を培養する際は培地に果糖を加えると生育が良くなることが知られる。

■娘解説:
上から下までアケビまみれ。和の風情漂うアケビ大好き和服娘。 自分の名前が分からず仮の名だが、これで合っていると確信して名乗っている。 髪は黒褐色の縮れ毛で全体に無数の赤~灰紫色の円盤状の髪飾りを付けている。 頭に乗せた笠はアケビの果皮を模したもので、花と蔓の飾り付き。 瞳の色は赤。着物はグレーでアケビの胎座を模した白い模様が入っている。 帯は白。羽織はアケビの実に見える紫色で、襟は白の配色。 足袋は種をイメージした黒で、下駄もアケビの果皮を模した形状になっている。 性格はおっとり系でマイペース。あまり構ってもらえないので寂しいそうだ。 好きな季節は秋で、同属で春好きの狐野椀嬢と意見が割れている。 甘い物が好きだが甘すぎるのは苦手。なのでほろ苦いアケビの味が一番。 涼しい顔をしているが、頭の中は常にアケビの事でいっぱい。 いつでも食べられるようカバンの中にアケビの実を入れている。 下駄が非常に歩きづらく、良くコケて地面に突っ伏しているのを目撃されている。


■学名:Ciborinia camelliae L. M. Kohn

■食毒:食不適
■分類:キンカクキン科 ニセキンカクキン属
■和名:ツバキキンカクチャワンタケ (椿菌核茶碗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:春掘 椿 (ハルボリ ツバキ)

■菌解説:
小型のニセキンカクキン属菌。春にツバキの樹下のみに多数群生する。 特定の植物体のみを宿主として菌核を形成するキンカクキン科の子嚢菌類である。 その中でも本種は非常に身近な存在であり、運が良ければ家の庭で見られる。 子実体は淡褐色椀状で中央はやや凹む。基部に長い柄を持ち、深さ10cmに達する事もある。 子嚢盤から噴出した胞子は樹上あるいは落下したツバキの花に付着する。 そこで発芽した胞子は花の組織を栄養として地中に菌核を形成し越冬する。 そして早春、ツバキの花が咲く頃になると地中の菌核から子嚢盤を伸ばして来る。 柄の長さは様々で、地面に潜れない時は古い落花から直接子実体を出す事もある。 小型菌だが発生条件が限定されているので、見付ける事は極めて容易な種。 毎年地面に花が積もるようなツバキの大木が有れば地面を眺めてみると良い。 本種は小型で食用価値は無く味も悪い。逆に花弁を汚すためツバキの病害菌とされている。 日本原産のツバキは海外にも持ち出されたが、本種は日本と北アメリカのみに分布する。

■娘解説:
黒と赤を基調とした和服に身を包む小柄で物静かなお嬢さん。英語も少し話せる。 キリッとした姿勢で正座していることが多く、立ち上がる姿は滅多に見られない。 髪は褐色で生え際が黒く、立ち上げて浮き上がるようなおかっぱにしている。 頭にツバキの髪飾りを付け、そこから一部黒い髪を三つ編みにして垂らしている。 瞳の色は暗赤色。眉毛は黒い太眉。いつも少し寂しそうな表情をしている。 着物は黒で全体にツバキの柄が入っており、どこかにチャドクガの模様がある。 普段はどこかに引き篭っているが、春になると外に出てツバキの花見をしている。 純粋なツバキなら品種は問わない。花は似ているサザンカには全く興味無し。 性格も何もツバキの花にしか興味を示さないのだが、同時に悩みでもある。 自身が近付くと美しい花がすぐ褐色に汚れてしまうことがコンプレックス。 なので朽ち逝く花を見上げ、また見下ろしては哀しそうな表情を浮かべるのが日課。 好物は椿茶。近い親戚の木蓮や狐野コンビとは服装や嗜好と言った点で仲良し。


■学名:Ciborinia gracilipes (Cooke) Seaver

■食毒:食毒不明
■分類:キンカクキン科 ニセキンカクキン属
■和名:ホオノキキンカクキン (朴木菌核菌)
■写真:写真ページ
■娘名:春掘 木蓮 (ハルボリ モクレン)

■菌解説:
小型のニセキンカクキン属菌。春にモクレン科樹下の地表にのみ多数群生する。 一般にはモクレン、ハクモクレン、コブシ、ホオノキ等の樹下で見ることができる。 子実体は極めて小型で大きくなっても子嚢盤直径5~6mm程度にしかならない。 色は褐色だが赤色の色素を含む組織を持つため、赤みが強いのが特徴。 子嚢盤は茶碗形で平らに開いても中央部のみ凹みを残す。 柄は長くても数cmで細く、これが種小名「gracilipes(細い足)」の由来だろうか。 胞子は花弁に感染して黒色の厚みのある円形~楕円形のしみのような菌核を形成。 その後周囲の花弁は朽ちて平らな菌核だけが残り、来春そこから子実体を発生する。 菌核の表面は黒色で弾力があり、内部は明るい淡褐色。大きさにばらつきがある。 海外種の「C. gracilipes」と同種との説が根強いが、実は別種の可能性が高い。 愛好家の間では長らく「モクレン(コブシ)のキンカクキン」と呼ばれていた。

■娘解説:
上半身は和風に見えて下半身は洋風に見えなくもないデザインの和服の女の子。 春になるとどこからともなく現れてモクレンの花が咲く前から花見のスタンバイ。 髪は赤茶色で前髪ぱっつんのオカッパ頭。頭にはホオノキの花の大きな髪飾りが。 頭頂部の毛は束ねて長く垂らし、毛先を黒い帯で結んで風になびかせている。 瞳の色は真っ黒でハイライトも見えない。春眠暁を覚えずなのかいつも眠そうにしている。 着物は帯より上は黒色で下方に紫色のグラデーション。モクレン科樹木の花柄が入る。 帯より下は裂けて花弁状で、その下に同じ裂け方の白と桃色の襦袢を重ねている。 上からモクレン(紫色)、ハクモクレン(白色)、シデコブシ(桃色)の花を模している。 美しい着物なのだが時間が経つと黒い斑点が浮き上がってくるのが難点。 脚は均整のとれた美しい細さ。美脚に自身があるので太ももまで露出させたいらしい。 キンカクキン科のくせに履物は小型で、黒い漆塗りの厚手の平下駄がお気に入り。 「品行方正」を絵に描いたような娘。自然をこよなく愛す。ただし凄く眠そう。 同じキンカクキン科の狐野コンビと仲が良く、特に近い親戚の椿とは大の仲良し。


■学名:Coprinellus domesticus
          (Bolton : Fr.) Vilgalys, Hopple & Jacq. Johnson

■食毒:
■分類:ナヨタケ科 キララタケ属
■和名:コキララタケ (小雲母茸)
■写真:写真ページ
■娘名:小曽爾 きらら (オゾニ キララ)

■菌解説:
小型のキララタケ属菌。かつてのヒトヨタケ属(Coprinus)から本属に変更となった。 また種小名も「radians」から現行の物に変更となり、学名修正の荒波に揉まれた種。 夏から秋にかけて朽木や切り株上に少数群生するが、発生量は比較的少ない。 「キララ」は鉱物の「雲母」の事で、傘に粒状鱗片を付けるのが名前の由来。 傘は卵型で開き切っても円錐形を維持し、ヒトヨタケのような液化はほとんど無い。 ひだは最初白色で密。成熟すると紫黒色に変化するのは他の近縁種と全く同じ。 柄は下方に太まり白色で滑らか。外見的に似た種に傘に鱗片を持つキララタケが存在する。 この二種の肉眼的に明らかな違いは本種のみが持つ珍しい特徴である菌糸マット。 柄の基部または周囲の樹上にオゾニウム(ozonium)と言う黄褐色の粗毛状菌糸を持つ。 生育環境によっては確認できないが、小型である事、傘の赤みが強いなどの違いがある。 旧ヒトヨタケ属の本種と同サイズの種の多くはアルコールと共に摂取すると毒性を持つ。 キララタケも同様の毒性を疑われているが、本種は珍しく可食とされている。

■娘解説:
純和風でかつての一族であった一夜嬢と同じく和服に身を包む小柄の娘さん。 検査したら別の家系であることが判明してしまったが、今でも大好きなお姉ちゃん。 髪は少し短めの黄褐色で前髪ぱっつん。瞳は前髪に隠れて見えないが髪と同色。 和な見た目に反してラメが大好。着物や口元アイライン、特に髪に多く付けている。 着物は上の方がやや黄色いが全体的に白色で下に行くほど色が淡くなる。 また着物の裾は一夜嬢のように絞っておらず、だぼっと垂らしている。 帯の模様は六角形の雲母の結晶。足元は白足袋に白い下駄を履いている。 だが足元に常に褐色のファーを絨毯のように敷いて引きずっていて見えない。 この毛は着物の裾にも下駄の裏側にも繋がっており、どこを歩いても付いて回る。 そのため誰かに良く踏まれてコケる。たまにキノコが生える。性格は極めて家庭的。 家事全般を卒なくこなし、お嫁さんにしたいキノコ娘No.1との呼び声が高い。 「似てるけど私の方がキャラが立ってる!」と近縁なキララタケを敵視している。


■学名:Coprinopsis atramentaria
          (Bull.) Redhead, Vilgalys & Moncalvo

■食毒:食(アルコール摂取前後は毒)
■分類:ナヨタケ科 ヒメヒトヨタケ属
■和名:ヒトヨタケ (一夜茸)
■写真:写真ページ
■娘名:黒肥地 一夜 (クロヒジ ヒトヨ)

■菌解説:
小~中型のヒメヒトヨタケ属菌。かつてはヒトヨタケ属(Coprinus)とされていた。 発生場所は様々だが、畑地や公園、道傍などの腐植の多い富栄養な土壌を好む腐生菌。 傘は灰色~灰褐色で、幼菌時は卵型だが、成長と共に開いて鐘形になる。 傘の周囲には溝線がある。ひだは最初は白色だが、成熟すると真っ黒に変化する。 柄は白色で下方に落ちやすいつばがあるが、つばの無い物、脱落した物が多い。 本種の傘は短期間でひだごと周辺部から黒く液化して落ち、胞子を拡散する性質を持つ。 その寿命の短さを「一夜で溶ける」と表現した和名だが、実際は2~3日ほど持つ。 主な毒成分のコプリンにはアルデヒド脱水素酵素の活性を阻害する作用がある。 このため本種の食後にアルコール分を摂取すると短時間で悪酔いを引き起こす。 症状は顔の火照り、頭痛、めまい、吐き気などで、酷いと呼吸困難や痙攣に至る。 ただ症状は短時間で回復する。またアルコール分さえ摂取しなければ中毒の危険性は無い。 食用にはひだが黒くない新鮮な物を用い、和洋双方の料理と相性が良い。

■娘解説:
純和風娘で黒と白で統一された和服に身を包む。瞳の色は黒で、弱く赤い光を放つ。 以前は多くの一族を傘下に置いていたが、最近は別家系であることが判明してしまった。 目付きが悪いように見えるが、前髪のせいでそう見えるだけ、実は温和な目。 髪は黒髪ロングで前髪はぱっつん切り揃えられているが、毛先が液化するクセがある。 そのため彼女の周囲には黒いインクがこぼれたような跡が残る。 爪は長く伸ばしており、色は黒。ほお紅をさしているのだが、黒色しか使わない。 襦袢と帯は白で、着物は黒。袖の部分はまるで溶けたようなデザインになっている。 白足袋を履き、黒の高下駄を愛用。歩く様は実に気品に溢れている。 毛先が液化し、丸い水滴となって落ちるのは彼女の2番目のコンプレックス。 1番目は天才的に「酒に弱い」事。一口飲めばたちまち顔が真っ赤になる。 シラフの彼女は冷静沈着で物腰柔らかなのだが、飲酒時にその姿は消え失せる。 そんな醜い一面を知ってか知らずか、飲酒運転撲滅に大いに関心を示している。


■学名:Cordyceps farinosa
          (Holmsk.) Kepler, B. Shrestha & Spatafora

■食毒:薬用
■分類:ノムシタケ科 ノムシタケ属
■和名:コナサナギタケ (粉蛹茸)
■写真:写真ページ
■娘名:粉野 蛹 (コナノ サナギ)

■菌解説:
極めて小型のノムシタケ属菌。夏から秋にかけて発生し、秋遅くにも見られる。 属名がイサリア(Isaria)属から変更となった。 地上または落葉や地中に埋もれた小型の鱗翅類のさなぎから発生する。 土繭から発生することが多く、硬い糸で編まれた繭を破ると中からさなぎが現れる。 世界的に分布しており、極めて身近な冬虫夏草の一つ。 各種林内の土が露出した斜面を意識して眺めていれば高確率で視界に入って来る。 不完全菌類(アナモルフ菌類)であり、子嚢菌類だが無性胞子(分生子)で繁殖する。 分生子柄は宿主から複数発生し、短い黄色の柄の先端に白色の分生子を塊状に付ける。 柄はほとんど分岐せず極めて短いことが普通だが、稀に細長い分生子柄を形成することがある。 小型のキノコだが、真っ白な分生子が目立つため容易に発見可能。 同属のハナサナギタケに似るが、小型で柄が分岐しない点で区別できる。 薬用としての利用が研究されているが、サナギタケやハナサナギタケほど一般的ではない。

■娘解説:
細花蛹嬢の妹分的な存在。普段は落ち葉を布団にしたり地面に埋もれたりしている。 しかし顔だけは常に出しており、通りかかるキノコ娘らに明るさを振り撒く。 髪は黄色で先端が細かく裂けて白い粉状になるので、その境目で縛っている。 前髪が2本大きく前にハネている。瞳は黄色。まつ毛が真っ白でボリュームがある。 背中の大きく開いたタンクトップとショートパンツを着用。首周りにはファーを巻いている。 衣服は全て手袋も含めてモコモコの白い生地で出来ている。 太もも部分の部分的な網タイツは土繭の頑丈な糸を模している。裸足派。 コートは暗褐色で白いストライプが入っており、前を閉じると寝袋状になる。 コートを身に纏っていると落ち着くそうだ。幼児体型で性格も見た目相応。 小柄で目立たないので構って欲しくてやたら存在をアピって来る。 愛らしい外見に反して蛾専門の昆虫食愛好家であり、食事シーンは見ない方が良い。 淡黄花蛹嬢との関係はヴェルナ嬢とヴィロサ嬢との関係に似ている。 呼んでいるのに気付かれずに素通りされると泣くので頑張って気付いてあげたいトコロ。


■学名:Cordyceps militaris (L.) Link

■食毒:薬用
■分類:ノムシタケ科 ノムシタケ属
■和名:サナギタケ (蛹茸)
■写真:写真ページ
■娘名:野之蟲 蛹 (ノノムシ サナギ)

■菌解説:
小型のノムシタケ属菌。初夏~初秋にかけて発生する代表的な冬虫夏草の一種。 地中の鱗翅類のさなぎを宿主として1~複数本発生。稀に幼虫からも発生する。 鱗翅類でも蛾の仲間、特にシャチホコガやブナノアオシャチホコが標的となることが多い。 本種に感染した宿主はそのまま死亡し、死骸の栄養を元に内部で菌糸が広がる。 そこから子実体が地上に伸びて胞子を飛ばし、新たな宿主を探す。 子実体は棍棒状で頭部と柄からなり全体的に橙黄色。白色の菌糸束で地中の死骸に繋がる。 頭部は柄より色が濃く、表面には半埋没した子嚢胞子を含んだ子嚢殻が並ぶ。 頭部表面を拡大すると円錐形の子嚢殻の先端が密生し、この先端部から胞子を飛ばす。 ガの大量発生に合わせて本種も大発生し、ガの個体数調整に一役買っている。 食用価値はほとんど無いが、本属名に由来するコルジセピン(cordycepin)を含有している。 この物質には抗癌作用があるため漢方薬としての薬用価値が高く人工栽培も行われる。

■娘解説:
普段は地面に埋まって派手な頭と手だけを出している引き篭もり娘。 一応引っ張ると出ては来るのだが、やっぱり慣れないのかすぐ潜りたがる。 毛先ほど橙黄色の髪を白いリボンで何ヶ所も縛る独特なヘアスタイル。 前髪の左右2ヶ所だけを大きく縛っているのは蛾の触覚を意識しているため。 太眉娘。瞳は黒色で近くで見ると複眼のように黒目が細かく分かれている。 首からは自分の名前と蛾が刻印された銀色のドッグタグを下げている。 腕には二の腕まであるオレンジ起毛のアームカバーを着用。 衣服は基本着用しておらず、黄ばんだ包帯を胸回りと腰~太ももに巻いている。 下半身は愛用の土中用寝袋に隠れているが、脱ぐ事は無いので裸足。 寝袋は暗褐色の迷彩で大きな襟には2本の白いネクタイを巻く。裏地は白色。 性格は土中引き篭もりのワリには明るく、意外と色んな場所に出かける。 ただ歩く時も足を出さず寝袋を掴んでもぞもぞと這っている。 食事はやっぱり蛾の昆虫食で、食べる姿は他菌には見せたがらない。 身体が柔らかく特技は逆エビ反り。淡黄花蛹嬢とは好物繋がりで仲が良い。


■学名:Cordyceps roseostromata Kobayasi & Shimizu

■食毒:食不適
■分類:ノムシタケ科 ノムシタケ属
■和名:ベニイロクチキムシタケ (紅色朽木虫茸)
■写真:写真ページ
■娘名:朽木 紅美果 (クチキ クミカ)

■菌解説:
小型のノムシタケ属菌。夏~秋にかけてブナ等の広葉樹の朽木から発生する。 甲虫の幼虫から発生する冬虫夏草の一種で、ゴミムシダマシ科を宿主としている。 「roseo-」はラテン語で「淡紅色の」の意味。冬虫夏草の中でも特に美しく可憐な種。 子実体は宿主の頭部や尾部、体節等から直接発生する。発生する数は1~複数本。 宿主が材の浅い場所に居ることが多く、最初から露出している事もある。 宿主が深い場所に居る場合は白色菌糸が材中を進み、表面に出た段階で子実体を形成する。 橙紅色の短い柄の先端部に半裸生型の紅色の子嚢殻を形成する。 子嚢殻は小型で高い透明度を持つため、光に透かすと非常に美しい。 子嚢殻は普通密生しているが、まばらに形成される場合もある。 子嚢胞子は細い糸状で二次胞子に分裂しにくく、子嚢殻先端から放出される。 美しい種だが食用価値も薬用価値も無く、あくまでも観賞用である。 探す場合は暗色に腐朽した材の、苔の生えていない場所を探すと良く見付かる。

■娘解説:
「可憐」と言う言葉が真っ先に浮かぶ、そんな雰囲気の小柄で細身な少女。 冬虫夏草娘らしくない雰囲気ではあるが、良く見ると服がさり気なく虫。 髪は紅色で毛先に行くほど透明感が増してオレンジ色が強くなる。 髪はある程度の本数がまとまるが、塊になっても毛先は光が透け光り輝く。 瞳は鮮やかな橙紅色でやたらとハイライトが強い。 首元の白いファーは同じ物が手首とドレスの裾にあしらわれている。 ドレスは上半身、腕、下半身に分かれ、黄褐色の下地に明色の横線と白い縦線が入る。 横線は幼虫の体節、縦線は白色菌糸を模し、体節部に一部白いリボンを着けている。 襟と裾が暗色なのは幼虫の頭部と尾部をイメージ。ベルトは赤で手袋は髪と同色。 胸の横の白いボタンから伸びた白いリボンは腕と手首と足首に繋がっている。 靴は紅色にオレンジ色の水玉模様入り。 性格は冬虫夏草としては意外と社交的で積極的に顔を見せたがる。 見ると思わず「可憐だ・・・」と言いたくなる、守ってあげたくなる存在。 腐り切った木に座って好物の幼虫をペロペロしている光景は見ない方が良い。


■学名:Cordyceps tenuipes
          (Peck) Kepler, B. Shrestha & Spatafora

■食毒:薬用
■分類:ノムシタケ科 ノムシタケ属
■和名(有性世代):ウスキサナギタケ (淡黄蛹茸)
■写真(有性世代):写真ページ
■和名(無性世代):ハナサナギタケ (花蛹茸)
■写真(無性世代):写真ページ
■娘名:淡黄花 蛹 (ウスキバナ サナギ)

■菌解説:
小型のノムシタケ属菌。発生時期はほぼ一年中だが主に夏、鱗翅類のサナギから発生。 冬虫夏草と呼ばれる子嚢菌類の一種で、比較的普通に見られるものの一つだが、有性世代の発生が圧倒的に少ない。 地中に限らず葉上や樹上のサナギからも発生することがある。 有性世代はウスキサナギタケで、サナギタケの色を淡黄色にしたような子実体を形成する。 子嚢殻は半裸生型で子嚢胞子がヌンチャク型なのが特徴。以前の種小名は「takaomontana」だった。 無性世代は普通種のハナサナギタケで、イサリア(Isaria)属から変更となった。 冬虫夏草の中でも特に美しい姿の持ち主で、外見的にも目立つので発見は難しくない。 黄色い無数の分岐を持つ樹枝状の柄を多数発生、その先端に白い粉状の胞子塊を付ける。 以前は学名そのものが異なっていたが同一種であり、両種が1つの宿主から同時発生することも少なくない。 アナモルフは薬用として利用されており、栽培も容易なので漢方薬として市販もされている。 外見が類似するコナサナギタケはより小型で分岐が少ない点で区別可能。

■娘解説:
埋もれるのが好きではあるが、出歩くのも悪くないと思う半引き篭もり。 木の上に腰かけていたり、そこいらに寝転がっていたりと意外と活発。 髪は黄色で基本的に細い束になって生えるが、毛先に行くと脱色し凄まじい枝毛化が起きる。 枝毛は脆くて風でボロボロ吹け飛ぶが、その光景は美しい。 また極稀にだが、一定の条件が揃うと髪質が変化し、透明感のある太く短い束になる。 瞳の色は黄色。眉毛もまつ毛も真っ白で分厚く、良く目に入るのが難点。 白いファーの見せブラと見せパン、指先に同じくファーの指サックを着用するが、髪質の変化に応じて外している。 サナギを模したコートは暗褐色で裏地は白、下部には体節から溢れた菌糸を模した白い縞模様が入る。 見事な美脚の持ち主で本人は自慢げ。特技はヌンチャク。 性格は明るく華やかで、立ち居振る舞いも実に優雅だが、髪質の変化とともにやや控え目になる。 破廉恥な服装なのに不思議と上品さを感じる。しかし好物はガの蛹とややキモい。 ちなみに粉野蛹嬢にメチャクチャ懐かれており、野之蟲蛹嬢とも仲が良い。


■学名:Cyttaria darwinii Berk.

■食毒:
■分類:キッタリア科 キッタリア属
■和名:- (英名:Darwin's Golf-ball fungus)
■写真:写真ページ
■娘名:キッタリア・ダーウィニー

■菌解説:
小~中型のキッタリア属菌。春にナンキョクブナ科の生きた樹木の幹に発生する。 種小名からも分かるが、標本を持ち帰った自然科学者チャールズ・ダーウィンにちなむ。 我が国には発生せず、世界的にも南アメリカ大陸の南部にのみに発生が限定される。 子嚢菌類にしては異様な形状だが、アミガサタケの凹凸と原理は同じと考えれば良い。 子実体は球形で表面は淡い橙色だが、熟すと表面に鮮やかな橙色の穴が無数に空く。 その穴の子実層から胞子を飛ばして分布を広げ、古くなると落下することがある。 ただ枝に残った子実体は「木こぶ」に変化し、そこからまた新たな子実体を生じる。 これを繰り返して大きくなったこぶの美しい枝は装飾品としても重宝される。 内部は白色で、大きな物では空洞。類似種が多く、同定には検鏡が必要とされる。 見た目が非常にグロテスクだが、先住民のインディオは食用としていた。 「Pan del Indio (インディオのパン)」とも呼ばれ、現在でも食用で売られている。 味や香りはあまり無く、生でも食べられるが、主に酢漬けにしたりサラダに入れたりする。

■娘解説:
日本語がほとんど話せないのでボディ・ランゲージで何とかやってる陽気な南米娘。 そもそも日本に居ないので、会いに行かなきゃその姿を拝めないのが残念な所。 髪とふんわり膨らんだスカートは淡い橙色で、無数の鮮やかなオレンジ色の穴が空く。 スカートはそう言うデザイン、髪はそう言う癖っ毛なのだが、髪の生え際は真っ白。 瞳はオレンジで首と手首には同色の大型ビーズの飾り、腰にはポンポンがある。 常に木の上に居るので靴は履かないが、そのせいで良く落下事故を起こしている。 また軽い打撲でもすぐに大きなコブが出来るので、アフターケアには苦労しているようだ。 普段からぼーっとしていて何を考えているか良く分からないが、実際には何も考えてない。 趣味は木登りで、故郷のナンキョクブナの仲間が特に登り心地が良いのだそうだ。 日本の文化は良く分からないが、アニメ映画「風の谷のナウシカ」だけは気に入っている。 「私に良く似たのが胞子出してる!」とのこと。「キモい」と言われると本気(マジ)で泣く。


■学名:Dasyscyphella longistipitata Hosoya

■食毒:食毒不明
■分類:ヒナノチャワンタケ科 ニセヒナノチャワンタケ属
■和名:ブナノシロヒナノチャワンタケ (橅白雛茶椀茸)
■写真:写真ページ
■娘名:橅白 雛 (ブナシロ ヒナ)

■菌解説:
極めて小型のニセヒナノチャワンタケ属菌。春にブナの殻斗に多数群生する。 近年報告されたばかりの新種だが、春のブナ林では普通に見ることができる。 しかしこの時期は他のキノコが少なく、本種狙いで立ち入らないと出会えない。 子実体は長い柄を持つ椀形で全体的に色は白色。椀の直径は大きくても3mmほど。 子実層面以外のほぼ全体が白色の微毛で覆われているのが最大の特徴。 子嚢の並ぶ椀内部の子実層面は、最初は白色だが成熟すると黄色みを帯びる。 様々な角度で発生し、椀を上に向けるため柄が大きく曲がっている子実体も多い。 また柄の基部も殻斗の色が移ったように褐色を帯びていることが多い。 外見の似た種にヒナノチャワンタケ属のシロヒナノチャワンタケが存在する。 しかしこの種は本種より更に小型で、主にハンノキの集合果に発生する。 また繊毛表面の構造が顕微鏡レベルで異なる点でも区別できる。 キノコの少ない時期に発生するため発見に手間がかかる上に小型で食用にならない。

■娘解説:
全体的にボサボサした白いパーカーに身を包む小柄な娘。 春になるとブナ林を縦横無尽に駆け巡り、背は低くとも白いので良く目に付く。 昔から居たのに不思議と誰の目にも留まらなかったのは本人も不思議らしい。 髪は白色で短く、束になって後ろに流れている。しかしもみあげは超長い。 瞳の色は橙黄色。太眉。パーカーは白のやや粗いファー生地。 首元のブナの実を象ったアクセサリはフードの絞り紐のストッパー。 腰には黒いベルトを巻いているが、別に何も固定していない。 アームドレスはパーカーと同素材で腕の先で急激に広がって椀形になる。 パーカーもアームドレスも裏地は黄色を使用する事でアクセントになっている。 またアームドレスは身体に近い方の端が長く伸びて靴の足首に繋がっている。 そのため足に絡まりやすく、良くコケて地面に突っ伏している。 靴はブナの殻斗と堅果を模したデザインになっている。 性格は温厚なのだが、ブナの話になるとテンションが上ってしまう。 明るく社交的なのだが、お気に入りの場所には不思議と誰も来ないと言う悩みが。


■学名:Discina parma J. Breitenb. & Maas Geest.

■食毒:
■分類:フクロシトネタケ科 フクロシトネタケ属
■和名:オオシトネタケ (大褥茸)
■写真:写真ページ
■娘名:シトネ・パルマ

■菌解説:
小型のフクロシトネタケ属菌。春に各種腐朽材上に発生する。 針葉樹にも広葉樹にも発生するが、一般的には広葉樹材上で多く見付かる傾向がある。 種小名の「parma(丸い盾)」も、和名の「褥(寝る際や座る際の敷物)」も、共に本種の形状を指した命名。 幼菌時は短い柄を持つ椀形だが、やがて縁部が大きく広がり材の表面に貼り付くような形状になる。 十分に成熟すると縁部が外側に反り返り、裏側が見えなくなる。 子実層面は最初褐色だが成熟すると暗赤褐色となり、表面に不規則なしわを持つ。 裏面は柄を中心に放射状のしわを持ち、子実層面と比べて淡色。 同属菌との肉眼的な判別はほぼ不可能であり、顕微鏡によって子嚢胞子を観察する必要がある。 本種の胞子は楕円形で表面に網目を持ち、両端に複数の突起を持っているのが特徴。 しかし未成熟だと胞子はただ楕円形で特徴が無いため、十分に成熟した子実体を採取する必要がある。 地味な外見だが下痢や腹痛などの胃腸系中毒を起こす毒キノコとされている。 管理人が初めて顕微鏡購入を決めたキッカケとも言えるキノコである。

■娘解説:
何となくシャグマ嬢に似た雰囲気を持っている、シックな色合いの大人びたオネエサン。 全体的に暗色でピッチリした服を着ているが、服はいつも皺だらけ。 髪は暗赤褐色で強烈な縮れ毛で、なぜか身体に衣服のように貼り付き、貼り付きながらも流れるように動く。 右目は常に隠れていて見えないが、瞳の色は赤で奥から赤い光を放つ。 まつげに特徴があり、目頭と目尻の毛が多く、それ以外のまつげは編まれたように交差する。 タートルネックのタンクトップワンピースは下方に向けて濃くなるグラデーション。 木製サンダルと白い楕円形の肩掛けバッグを愛用している。 バッグは網目の入った白色で両端にトゲ状の装飾があるのが最大のコダワリ。 好きな季節は春。 色んな場所に出かけて社交的に見えるが、絡まれると急に守りに入ってしまう癖を何とかしたいと思っている。 同属のペルラ嬢とは仲良しだが、お互いを尊重して相手のテリトリーには踏み入らない。 2人の時には「見分けがつかないデショ?」と周囲の菌をからかったりするが、バッグの形ですぐにバレる。


■学名:Discina perlata (Fr.) Fr.

■食毒:
■分類:フクロシトネタケ科 フクロシトネタケ属
■和名:フクロシトネタケ (袋褥茸)
■写真:写真ページ
■娘名:シトネ・ペルラ

■菌解説:
小型のフクロシトネタケ属菌。春に各種腐朽材上に発生する。 針葉樹材に発生していることが多いが、広葉樹材上にも見られるので判断基準にはならない。 種小名の「perlata」は「非常に広い」の意味で、本種の子実体の形状を指している。 幼菌時は短い柄を持つ椀型だが、成長すると材に貼り付くように大きく広がる。 また子実層面には著しいしわを生じ、縁部は整わずうねりを生じることが多い。 裏面は子実層面より淡色で柄を中心とした放射状のしわを持つ。 オオシトネタケと酷似しており、肉眼的な特徴での判別は困難。 比較すると本種のほうが明色、表面のしわが細かい、縁部が外側に反らないなどの一応の差異はある。 しかし正確な同定には成熟した子嚢胞子を観察し、表面のいぼと両端の嘴状突起の確認が必須。 未成熟な胞子はただの楕円形で特徴が無いため、十分に成熟した子実体を観察すること。 胃腸系の中毒を引き起こす毒キノコとされているが、オオシトネタケも同様なので似たキノコは摂取しないように。

■娘解説:
春になると雰囲気の良く似たパルマ嬢と連れ立って遊ぶ、シックな色合いの大人びたオネエサン。 ふんわりした衣装を着ているが、保管の仕方が悪いのか着る頃には皺だらけになっている。 髪は褐色で強烈な縮れ毛で、身体に貼り付いているが不思議と流動的に動く。 パルマ嬢に比べると髪色が明るく、髪の端がめくれ上がるくせっ毛持ち。 瞳の色はオレンジで赤い光を放っている。 まつげは目頭と目尻に太く長い毛が集中し、それ以外の部分は縮れて絡まっている。 タートルネックのタンクトップワンピースは下方ほど濃色となり、裾は反り返る。 ベルトで胸のすぐ下を絞めているので「乳袋」が形成されている。サンダルは木製。 手提げバッグはモコモコした白色で両端に一対の大きなトゲの装飾があるのが拘り。 好きな季節は春。正確は穏やかで菌付き合いも浅く広くで顔は広い。 でも本当に気の許せる親友はパルマ嬢で、適度な距離をとりつつほどよい関係を築いている。 実はバッグの形でどっちがどっちかバレバレだと気付いているが、パルマ嬢に言えないでいる。


■学名:Dumontinia tuberosa (Bull.) L.M. Kohn

■食毒:食不適
■分類:キンカクキン科 タマキンカクキン属
■和名:アネモネタマチャワンタケ (あねもね玉茶椀茸)
■写真:写真ページ
■娘名:アネモネ・D・ツベローサ

■菌解説:
小型のタマキンカクキン属菌。早春にイチリンソウ(Anemone)属植物の周辺に発生。 一般的に野生ではイチリンソウやニリンソウ、各種イチゲなどが宿主となる。 栽培下では同じキンポウゲ科だが別属の植物などにも発生することがある。 子嚢盤は長い柄を持ち肉桂色で椀形。柄は地下にある大きな黒い菌核に繋がる。 ツバキキンカクチャワンタケに似るが大きさも子嚢盤の厚みも本種の方が上。 本種はイチリンソウ属の生きた株の根に感染する。 これにより根が破壊され、最終的には株そのものを枯死させてしまう。 後に朽ちた根に菌糸が広がり、地下に不規則な粒形の黒い菌核を形成する。 そして翌年株が枯れた場所から複数の子嚢盤を生じると言うサイクルを持つ。 種小名の「tuberosa(塊茎状の)」もこの性質に由来する。菌核内部は灰白色。 デュモンティニア根腐病の原因菌として知られ、キンカクキン科としては病原性がかなり高い。 宿主となる植物の分布の関係から出会うことが難しいが、そもそも食用にはならない。

■娘解説:
ミドルネームの「D」は「Dumontinia」の頭文字。別に意志は継いでいない。 全体的にイチリンソウやイチゲの花をイメージしたデザインの服を着ている。 髪は濃い赤茶色で毛先は真っ直ぐに切り揃えておかっぱ状態。 左側にイチリンソウの花の髪留めを着けている。 頭頂部から長い毛を太い三つ編みにし、最後は大きな球体状に丸めている。 髪は長く伸びるほど黒くなる。瞳の色は黒色でハイライトが入っていない。 ドレスは三段構造になっており、一段目は胸までしか無い独立パーツ。 三段目は二段目と繋がっており、胸の少し上で二段目をベルトで留めている。 一段目、二段目、三段目のモチーフは、それぞれ菌核、葉、イチゲの花。 ドレスの下にはおしべを模した黄色の短いスカートを穿いている。 手には黒いロンググローブ。足には股まである長いブーツとプロテクターを着用。 ブーツは底が伸長に不釣合いなほど厚く、下半身が異様にゴツく見える。 性格はやや引っ込み思案で、大好きなイチリンソウ属の花を眺めるのが日課。 だが枯れ行く姿を見るのが好きなだけであり、実は闇堕ち気味?


■学名:Elaphomyces appalachiensis Linder

■食毒:食毒不明
■分類:ツチダンゴ科 ツチダンゴ属
■和名:コロモツチダンゴ (衣土団子)
■写真:写真ページ
■娘名:団 衣 (ダン コロモ)

■菌解説:
小型のツチダンゴ属菌。夏から冬にかけて広葉樹林の地中に埋もれるように発生する子嚢菌類の1種。 ツヅレシロツチダンゴに近縁な灰青褐色の胞子を持つツチダンゴのグループに属する。 地中に埋もれており見付けづらいが、地表にライラック色の菌糸が広がっていることで発生場所を絞り込むことができる。 子実体は大きいものでも直径1cmほどの類球形。 硬質の外皮を欠く子実体の表面を赤紫色~ライラック色の菌糸が覆っているのが特徴。 本種と同じグループはほとんどが白色~黄色の菌糸を纏う種であり、本種の菌糸の色はかなり異質。 菌糸の下には淡灰色の内皮が存在し、その内側に灰青褐色の子嚢胞子を形成する。 子嚢胞子は球形で微細なとげに覆われ、それらが癒着しあうことで形成される亀裂が網目模様のように見える。 食毒は不明だが、菌生冬虫夏草のミヤマタンポタケの特異的な宿主として知られ、セットで数多く見付かっている。 しかし本種単体での発見は皆無に等しく、ネット上でもほとんど情報が存在しない。

■娘解説:
ライラック色の古衣の切れっ端を繋ぎ合わせたコートを羽織った土団子娘。 肌は色白。背は小さいが出るところはしっかり出ているグラマラスボディ。 髪は灰青色で毛先同士がくっついて塊になるくせっ毛。 そのせいで丸く整えた髪型なのに生え際がひび割れ状になる。瞳の色はエメラルドグリーン。 赤紫系の古布を赤茶色の太い紐で繋ぎ合わせ、大きな球体状のコートにし、同じ生地で丸い帽子も手作りしている。 帽子とコートの中身は吸い込まれそうな暗い暗い灰青色。フード紐は天敵である冬虫夏草をあえて意識したデザイン。 衣服は暗灰青色のファー生地全身タイツで、要所要所をベルトで縛って体型を強調している。 ブーツもロンググローブも同じファーで全体的にモコモコしている。 彼女が立っている周囲の地面にはライラック色のフワフワした何かが湧き出す。 性格は極度の引っ込み思案で、独りで行動するのは大嫌い。 お気に入りのコートに包まって地面に埋もれている時間が一番好きだそうだ。 でもコートがすぐに剥がれてしまうのでいつも縫い直している。密かに体臭が気になる。


■学名:Elaphomyces persoonii Vittad.

■食毒:食毒不明
■分類:ツチダンゴ科 ツチダンゴ属
■和名:クロイボツチダンゴ (黒疣土団子)
■写真:写真ページ
■娘名:黒土 疣 (クロツチ ユウ)

■菌解説:
小型のツチダンゴ属菌。夏から冬にかけてミズナラなどの広葉樹下に発生する子嚢菌類に属する地下生菌。 国内で見られるツチダンゴ属菌の中でも最も珍しい種の1つと言っても過言ではないレア度を誇る。 子実体は2cm以下と小型で黒褐色の類球形。表面は微細な背の低いいぼに覆われているのが和名の由来。 切断すると黒い外皮の下に象牙色~褐色の内皮があり、その更に内部には胞子が詰まったグレバがある。 本種はツヅレシロツチダンゴの仲間ではないにも関わらず子嚢胞子が灰青褐色と言う非常にユニークな特徴を持つ。 また球形の胞子表面には規則正しい網目模様が存在し、これが類似種と区別に役立つ。 上下をあまり気にしないツチダンゴ属菌としては珍しく、断面を見ると地面側に無性基部があるのもやや異質。 国内でも数ヶ所でしか見付かっておらず、ネット上に情報が非常に少ない。 また海外でこの学名が当てられている種との相違点が見受けられるため、詳細な比較検討が待たれる。

■娘解説:
黒と灰青を基調としたスタイリッシュなコーディネートの土団子娘。 地下生菌にしてはそこまで引っ込み思案ではなく、露出にはあまり抵抗が無い。 髪型は黒褐色のモコモコアフロヘアーで、インナーヘアはアイボリーとシアンの2色構成。 肌は褐色。瞳は右目が青色で網目模様、左目が光彩がアイボリーで瞳孔がシアンの2色構成。 首からクロイボツチダンゴのネックレスを垂らしている。 巨乳で腰が細くヒップが大きいボン・キュッ・ボン体型。 黒のキャミソールには胞子の模様が入っており、ボタンも網目の入った胞子を模している。 ジーンズも灰青色で手首と足首、腰回りにクロイボツチダンゴを模した装飾がある。 この装飾な内部構造まで再現したコダワリの一品。上述の通り性格は地下生菌のワリにオープン。 ただし無意識に他者の居ない場所に来てしまうようで、面白いほど誰とも出会わない。 そのため他のキノコ擬人化娘らからは「本当に居るの?」とさえ思われている始末。 本人は寂しがっているので、運良く誰かに出会えると嬉しさのあまり鳥肌が立ってしまう。


■学名:Entoloma rhodopolium (Fr.: Fr.) Kumm. s. I.

■食毒:
■分類:イッポンシメジ科 イッポンシメジ属
■和名:クサウラベニタケ (臭裏紅茸)
■写真:写真ページ
■娘名:臭裏 紅 (クサウラ クレナイ)

■菌解説:
中型のイッポンシメジ属菌。夏から秋にかけてブナ科の広葉樹下に多数群生する。 傘は灰色~黄土色で吸水性があり、湿時は粘性を持つが、乾燥すると光沢が出る。 ひだは幼菌時は白色だが、成熟すると「裏紅」の名の通りピンク色を帯びる。 柄は白色で絹糸のような繊維状の光沢を持ち、中空で掴むと簡単に潰れる。 以上は一般的な個体の特徴だが、本種は同一種内での個体差が非常に大きい。 例を挙げると、傘が紫褐色、大型、小型、柄が細い、柄の内部がやや中実、など。 和名の通り全体的に小麦粉様の不快な粉臭を持ち、肉に苦味は無い。 毒キノコとしての悪名が高く、主な毒成分は溶血性タンパクやムスカリン。 嘔吐や下痢などの典型的な胃腸系中毒の他に、神経系の中毒を起こす。 本種は外見的に食菌のホンシメジ、とりわけウラベニホテイシメジに酷似する。 専門家ですら判断を誤るため、地域によっては「名人泣かせ」の異名を持つ。 本種とツキヨタケ、カキシメジの3種を「キノコ食中毒の御三家」と呼ぶ。

■娘解説:
髪も服装も灰色だが、細かな部分まで裏地がピンク色なのが彼女の拘り。 彼女の白系の衣服はブーツを除いて全て絹糸100%。光沢が無いと嫌らしい。 瞳の色は赤でじっとりとした赤い光を瞳の奥から放つ。超が付くほどの釣り目。 赤紫色の丸サングラスをアクセサリとして頭に乗せている。耳には大きなピアス。 大きめのロングコートをベルトから上で弛ませ、いつも何かを背負っている。 これは良く似ていると評判のウラベニホテイシメジに洒落て布袋様を真似ている。 以前はより布袋様に似せようと袋を背負っていたが、実用性からリュックに変えた。 中身は不明だが、化粧道具や飲み物の他に、嫌がらせグッズが入っているとの噂。 細い足にはいつも網目模様のピンクのタイツ。下半身のスタイルには自信がある。 履物は白の細身のブーツで、光沢はなくモコモコした綿毛状になっている。 性格は恐らく全キノコ娘中最凶最悪。ドが15個くらい付くドSの極み。デレは無い。 あらゆる手法で人を騙し、苦しむ姿を見るのが至福の一時かつ日々の日課。 一匹狼で「私にちょっかい出したら、泣かせちゃうよ?」が口癖。


■学名:Entoloma virescens
          (Berk. & M.A. Curtis) E. Horak

■食毒:食毒不明
■分類:イッポンシメジ科 イッポンシメジ属
■和名:ソライロタケ (空色茸)
■写真:写真ページ
■娘名:青居 空 (アオイ ソラ)

■菌解説:
小型のイッポンシメジ属菌。秋に各種林内地上に単生あるいは小規模群生を作る。 形状は同属のキイボカサタケ等とほぼ同じだが、全体が鮮やかな空色なのが最大の特徴。 写真では鮮やかな青色のことが多いが、実際はかなり淡い色合いであまり目立たない。 ハラタケ類でここまで明確に青いのは我が国では本種とルリハツタケ、アオイヌシメジくらい。 傘は平らに開くが中央部が高い形状は保つことが多く、表面には細かな繊毛がある。 ひだは疎で傘や柄よりも青色が濃く見える。柄は細く大抵は少し捻じれている。 また子実体全体に強い変色性があり、老成や傷付く事によって黄色味を帯びる。 このため美しい青色を保った個体に出会える可能性は極めて低いと思われる。 加えて本種は極めて発生量が少なく、そもそも出会う事自体が困難な珍菌。 もし1ヶ所での発生量も少ないので、発生地を見付けた場合は保護に努めたい。 食毒は不明だが近縁種に毒キノコも多数あるので、珍しさも考慮してそっとしておこう。

■娘解説:
晴れでも雨でも曇りでも、何時でもレインコートと雨傘を手放さない小柄な娘。無乳。 全体的に青色で統一し、アクセントに黄色が所々に散りばめられている。 髪は青色でボサボサしており、頭頂部のボリュームが特に多く盛り上がっている。 また毛先は黄色っぽくなるが別に汚れている訳ではない。瞳は鮮やかな空色。 頬は赤味ではなく黄色味を帯びる。また(心が)傷付くと赤くならずに黄色っぽくなる。 レインコートは同じく空色で捻れたストライプが入り、ファスナーも捻じれている。 小学生が履くような黄色のゴム長靴を愛用し、晴れた日暑い日は少し蒸れている。 雨傘は手元と石突が黄色で布は青色。裏側は青空だが、これは模様ではない。 雨であろうと「晴れていた状態」を映し出しているので、日傘の効果は皆無。 彼女の下にだけは雨であろうと日差しが差し込むので皆傘下に入りたがる。 普段ドコに居るのか、あまり姿は見かけないので性格は引っ込み思案。 黄色くなる性質は全身に及ぶので、綺麗な青色が汚れて見える事を気にしている模様。 たまに「・・・AVとか・・・興味・・・無いから・・・」と漏らすらしい。


■学名:Exsudoporus ruber
          (M. Zang) Gelardi, Biketova and Vizzini

■食毒:食毒不明
■分類:イグチ科 Exsudoporus属
■仮称:アカネアミアシイグチ (茜網脚猪口)
■写真:写真ページ
■娘名:網脚 茜 (アミアシ アカネ)

■菌解説:
中型~大型のExsudoporus属菌。夏~秋にかけて亜高山帯の針葉樹林に少数単生する。 分布は長野県や山梨県などで、その中でも極めて狭い範囲に限定されている。 菌根を形成する宿主はコメツガやシラビソなどの針葉樹。 その希少性から「幻のイグチ」として以前から知られており、近年新種登録された。 傘は強烈な暗赤色で強い粘性を持ち、傘周囲は赤色が抜けて黄色くなる。 管孔は黄色だが孔口が赤いため裏返すと全体的に赤く見える。孔口は傷付くと青変する。 また若い時に管孔から液体が染み出すのが本属菌の最大の特徴。 柄の表皮は傘と同じ暗赤色で表面に暗色の網目模様を持つ。 しかし柄が伸びても表皮は同じ速さで伸びないため無数の亀裂が入る。 そのため赤い部分だけに網目がある特徴的な紅白のだんだら模様となるのが最大の特徴。 柄は長く苔や地面に深く埋もれており、柄部には黄色い菌糸を有する。 発生量が少ない上に出ても1本だけの単生が多く、滅多に出会うことができない。 食毒も不明だが、その珍しさを考えて見付けてもそっとしておきたい。

■娘解説:
不規則に裂けた奇妙な着物を愛用する、妖艶な雰囲気漂う茜色のお嬢様。 魅力的な出で立ちなのだが、それをアピールする機会が致命的に無いのが残念。 髪はしっとりヌメヌメで強い光沢を持ち、茜色で毛先だけが黄色く縁取られる。 渦を巻くように伸びた髪は裏側も赤く、水に濡れているので異様な雰囲気を醸している。 髪留めはコメツガとシラビソの毬果をあしらったもの。瞳の色は茜色。太眉。 着物は網目模様の入った茜色だが、腰から下や袖部分が不規則に裂けている。 そして裂けた隙間からやや赤みを帯びた黄色の襦袢が露出する。 要するに常時下着がモロに見えている状態だが、エロくはない。 しかし厚手の着物の上からでもハッキリと大きな胸が確認できるのはエロい。 帯は白でアキアカネの柄が入っているのは本人の趣味。 黄色い足袋を履き、赤い鼻緒の黒い板下駄を履いている。 性格はとんでもないくらい引っ込み思案で、人前には滅多に現れない。 姿を見た者は同じく亜高山帯針葉樹林を愛する娘くらいのもの。 普段はのんびり森の中でふわふわの苔の上で茜色の空を眺めて呆けている。


■学名:Flammulina velutipes (Curt.: Fr.) Sing.

■食毒:
■分類:タマバリタケ科 エノキタケ属
■和名:エノキタケ (榎茸)
■写真:写真ページ
■娘名:榎 ゆき (エノキ ユキ)

■菌解説:
小~中型のエノキタケ属菌。秋から冬から春までと発生時期に特徴がある。 特に晩秋から早春に多く発生し、真冬には雪を頭に乗せた子実体が見られる。 このため「トキシラズ」や「ユキノシタ」など数多くの地方名を持つ。 またヤナギやニセアカシア、ナナカマドなど変わった樹種の枯木から発生する。 そのため比較的低地でも街路樹や庭木に群生を作る事もさして珍しくない。 傘は黄褐色~暗茶褐色で個体差があり、周辺部は淡色。著しい粘性を持つ。 ひだはクリーム色。柄はしっかりした肉質で表面は暗褐色ビロード状の質感。 栽培品は白色品種を光に当てずに育てた「もやし」であり、形状が大きく異なる。 そのため野生品と栽培品で最も形状に差があるキノコと言って間違い無い。 極めて優秀な食菌であり、栽培品でも十分に美味だが野生品には遠く及ばない。 おすすめは傘のぬめりを活かす汁物。味噌汁の美味しさは文字では表現できない。 ただし生の状態ではフラムトキシンと言う溶血作用を持つ成分を含むので注意。

■娘解説:
雪が大好き。寒くなり、他のキノコたちが身を潜めた頃にやたら元気になる。 瞳は暗い赤茶色。髪質はしっとり。実は地毛は茶色なのだが、服装に合わせて脱色している。 室内では全身を細身の白い服装で統一。腕には肩まで繋がる長い手袋。 裾の広がったホワイトデニムを履いている。スタイルは良いが、胸があまり無い。 しかし一度外に出ると地毛色のウィッグを被り、耳にはイヤーウォーマー。 首にはクリーム色のマフラー。ダウンジャケットは腕の部分が白くなっている。 ズボンとブーツは暗褐色のビロード生地のものしか使わないのが彼女のこだわり。 両服装共通なのは左の腰に栽培品のエノキを型どったアクセサリがある事。 性格はとてつもなくのんびり屋でおっちょこちょい。我が道を往くマイペース娘。 友好的なのだが発生時期が時期だけにキノコ娘達より人間の方が彼女を知っている。 他のキノコ達の成長の邪魔をしないよう気配りができる。 なので彼女と同じ時期に発生する娘たちとくらいしか遊べないのが悩み。 栽培品が有名すぎて、本来の姿をエノキと思ってもらえないことが凄く悲しいらしい。


■学名:Galerina fasciculata Hongo

■食毒:猛毒
■分類:ヒメノガステル科 ケコガサタケ属
■和名:コレラタケ (虎列剌茸)
■写真:写真ページ
■娘名:ガレリーナ・コレレ

■菌解説:
小~中型のケコガサタケ属菌。秋遅くに朽木上に発生。特にスギ材を好むと言う説がある。 旧和名は「ドクアジロガサ(毒網代傘)」だったが、現在はこの名前が正式名である。 傘は肉桂色で周囲には条線がある。乾くと中央から色が淡くなる。 個体差はあるが傘が平らに開いても中央部だけは盛り上がることが多い。ひだも傘同様に肉桂色。 柄は繊維状で汚褐色。上部は黄色っぽく、脱落しやすい膜質のつばを持つ。 精密な同定には顕微鏡による観察が必須と言われるほど特有の外見的特徴が存在しない。 毒々しさが無く、古くなった他の食菌の栽培セットにも発生することがあり要注意。 和名が変更になったのも、毒キノコである事を一般に注意喚起する目的がある。 非常に小型のキノコだが、毒素としてアマニタトキシン類を含む致命的な猛毒菌。 誤って食すと数時間後に激しい下痢や腹痛などの症状が現れるのが和名の由来。 症状が進むと肝臓や腎臓の組織が破壊され、最悪の場合は死に至る。 本属菌には同様の毒性を持つ種が他にも知られており、似たキノコは避けるべきである。

■娘解説:
全体的に褐色系の衣服を着用。低身長で痩せており、いつも姿勢と顔色が悪い。 髪は褐色で頭頂部がハネるクセッ毛があるのが嬉しくもあり悩みでもあり。 髪が交差して生えるのは旧和名の名残。「網代」で検索すれば理由はすぐに分かる。 後ろ髪が一部異常に長く、スギの雌花と葉をかたどった髪留めで束ねている。 もちろんこれは和名にもある「Vibrio cholerae(コレラ菌)」の鞭毛を表したもの。 瞳の色は黒で奥から強烈な赤い光を放つ。上着は黄色っぽく、「O1」と「O139」のロゴ入り。 髪、上着、スカートのカラーリングは、それぞれコレラタケの傘、ひだ、柄の色。 性格はかなり暗く、まずしゃべらないし笑わない。リアクションに乏しい。 主な悩みは2つ。1つは慢性的にお腹が弱い事。もう1つは背が低い事。 前者はトイレが近いのが煩わしいそうだ。確かに顔色が悪く不健康そうだ。 後者だが、頭頂部のクセッ毛が嬉しいのは少しでも背が高く見えるため。 でも彼女は珍しくサンダル履き。身長が気になるなら上げ底でもすれば良いのに。


■学名:Gomphidius roseus (Fr.) Fr.

■食毒:
■分類:オウギタケ科 オウギタケ属
■和名:オウギタケ (扇茸)
■写真:写真ページ
■娘名:茨餅 扇 (バラモチ オウギ)

■菌解説:
中型のオウギタケ属菌。秋にマツ林地上に散生し、以前は菌根菌と考えられていた。 実際にはマツの外生菌根菌であるアミタケに寄生し、菌糸を食べて生活している。 そのためアミタケの群生の中にぽつんと混じっていることがある。 傘は薔薇色で幼菌時は丸山形だが成長するとほぼ平らに開く。 湿時傘表面は著しいゼラチン質で強い粘性を持つため「モチキノコ」の別名がある。 ひだは最初灰白色で熟すと暗い灰褐色に変化する。 ひだが柄に対して強く垂生し、横から見ると扇に見えるのが和名の由来。 柄は白色で上部に綿毛状のつばを持ち、ひだとの境界で色がハッキリ別れる。 柄は下方に向かって細まり、基部は黄色を帯びる。 加熱や老成により黒変する性質があるが、見た目に反して食菌である。 「イグチノハナ」や「カヤモタシ」、「マツチョッポリ」等の地方名が存在する。 傘のぬめりを活かした汁物が一般的だが、炒め物や揚げ物にも利用可能。 実際に食したが、やや土臭く肉質も頼りないため食菌としては多少劣る。

■娘解説:
掲載位置をアミタケの次にしてとの要望があったが、他の娘からの苦情により却下。 一人の娘を執拗につけ狙う生粋のストーカー気質和服少女。 髪は薔薇色でやたらベタついており、扇の髪飾りはくっついているだけ。 前髪はぱっつんで後ろ髪は伸ばし、毛先が開いて扇状になるくせ毛持ち。 髪の裏側は灰褐色で毛先ほど暗色になる。瞳はハイライト無しの黒色で目つきが怪しい。 首元にはリブ生地のネックウォーマー。襦袢と帯は黒で、帯には薔薇の模様が入る。 着物は全体が扇柄の白で足元はやや赤みを帯びる。黄色の足袋と黒い下駄を愛用。 左手の小指には本人命名「運命の薔薇色の糸」と言う特殊な力がある。 これは素通あみ嬢のみに効力があり、強制的にぶっ刺して精気を吸い取る。 性格も何も素通あみ嬢にしか興味が無く、その他の娘らはどうでも良い。 あみ嬢無しでは生きられない完全依存で、離れると情緒不安定になる。 優しいあみ嬢は突き放しはしないが、嫌われている事に対する自覚はあるらしい。 「あみちゃん可愛い・・・食べちゃいたい・・・」といつも独り言を呟いている。


■学名:Grifola frondosa (Dicks.) Gray

■食毒:
■分類:シワタケ科 マイタケ属
■和名:マイタケ (舞茸)
■写真:写真ページ
■娘名:水楢 舞 (ミズナラ マイ)

■菌解説:
極めて大型のマイタケ属菌。大きい物では直径50cm、重量10kgを超える。 秋にミズナラやシイなどのブナ科樹木の根本に発生。稀に人の生活圏にも発生する。 生きた樹木を侵して材の白腐れを引き起こし枯死させる白色腐朽菌。 和名の由来には2つの説がある。一つはその形状が大勢の人が舞う姿に見えると言う説。 もう一つは天然物を見付けると嬉しくて舞い躍ってしまうと言う説。真偽は不明。 肉は白色。柄が複雑に分岐し、その先端に扇形~へら型の傘を折り重なるように付ける。 傘には繊維状の模様があり、幼菌時は色が濃いが成長と共に灰褐色になる。 裏面は微細な管孔で白色。成長した個体では孔口が肉眼でも見える。 言うまでも無く非常にポピュラーな食菌であり、スーパーでも栽培品を購入可能。 反面、天然マイタケは幻と言われ、その稀少性はマツタケやホンシメジと同等。 栽培品でも十二分に美味しいが、天然の味や香りには到底及ばない。 タンパク質分解酵素を含み、茶碗蒸しに入れると固まらなくなる(経験者談)。 逆に肉料理に用いれば肉を軟らかくできる。近縁種にトンビマイタケが存在。

■娘解説:
職業は踊り子。ウデは一流で、踊りを見た者はつられて踊ってしまうほど。 彼女の踊りは見るだけで体調が良くなり、免疫力向上やストレス解消もできるとの噂。 髪も衣服も灰褐色で、共に裏側が白色になっているため、裏返ると目立つ。 髪とスカートが不規則に分岐しているため、描く際は線が多くて困る度はNo.1。 瞳の色は水色。ミズナラのどんぐりを加工したペンダントを愛用している。 かなりの長身。スレンダーで意外と胸は無い。身体はかなり柔らかい。 ベルトは緑色で随所にミズナラの葉の形をしたアクセサリがぶら下がっている。 履物はサンダルで白い菌糸をイメージした白い紐で太もも辺りまで縛られている。 踊り子と言う職業もあってか、非常に積極的でポジティブシンキングなおてんば娘。 なのに人前に出ると緊張してしまい、中々大勢の前に顔を出すことができない。 逆に一人で自分に会いに来てくれた人にはこれ以上無い最高の踊りを披露できる。 積極的なシャイガール。彼女の体臭は爽やかで心地良く、本人も自慢のようだ。


■学名:Gymnosporangium asiaticum
          Miyabe ex G. Yamada

■食毒:食不適
■分類:プクキニア科 ギムノスポランギウム属
■和名:ナシ赤星病菌 (ビャクシンさび病菌)
■写真:写真ページ
■娘名:赤星 イブキ (アカボシ イブキ)

■菌解説:
極めて小型のギムノスポランギウム属菌。春~夏にナシの葉に特有の症状を起こす。 葉に感染すると黄橙色の病斑が発生。病斑は拡大すると周辺部が赤みを帯びる。 この表面に無数の精子器が形成されて受精が行われる。 交配が終わると病斑の裏側に淡黄色の毛状体が発達。 これは銹糸毛とも呼ばれ、筒状の内部にはさび胞子が形成される。 飛散したさび胞子はナシではなくカイヅカイブキ等のビャクシン類の葉に感染。 この状態では「ビャクシンさび病菌」と呼ばれるが、原因菌は同一。 翌年春に葉の表面に赤褐色の冬胞子堆と呼ばれる塊を形成する。 冬胞子堆は水分を吸うとゼラチン状に膨張し、発芽した冬胞子は担子胞子を形成。 これが再度ナシの葉に感染すると言う生活環を持つ。 病斑部は最終的には枯死するため、病斑部が多いと葉が落ち、株の枯死をもたらす。 悪名高きナシの病害菌で、条例でビャクシン類の栽培を禁止する地域もある。 また一度感染すると冬胞子堆は毎年形成されてしまう。 よってビャクシン類を胞子の飛散圏内から排除しないと根本的な解決にならない。

■娘解説:
我が家で初の植物寄生菌類擬人化。そして非常に特徴的な服装の持ち主。 冬場は首のオレンジ色のフードを被り、イブキの葉を模したボサボサコートを着込む。 しかし春になるとフードを取って首元に落とし、コートを脱いで急に活発になる。 髪はやや紫がかった淡い黄色。凄まじく細かいドレッドヘアーで筒状になっている。 瞳の色は周辺部が赤色で中央部が黄橙色の2色に別れる。唇がギザギザになっている。 首元にはナシの実を模ったネックレスをぶら下げている。 ドレスは足が見えないほど長く、上から黄色、橙色、赤色、緑色に分かれている。 色の切り替わり部分は星形のグラデで緑色の部分には葉脈の模様がある。裸足。 性格には二面性があり、コートを着ている時は非常に大人しい。 しかし一度コートを脱ぎ捨てると超過激な性格へと豹変する。 大好物はナシ。果実だけじゃなく葉も大好きで見かければバリバリ食らう。 ナシver.の彼女は何故か逆立ちしたがる。目の下のくまを密かに気にしている。


■学名:Gyromitra esculenta (Pers.) Fr.

■食毒:猛毒(加熱処理により食)
■分類:フクロシトネタケ科 シャグマアミガサタケ属
■和名:シャグマアミガサタケ (赭熊網笠茸)
■写真:写真ページ
■娘名:シャグマ・エスクレンタ

■菌解説:
大型のシャグマアミガサタケ属菌。春にアカマツなどの針葉樹林内地上に発生する。 名前に同じ子嚢菌類の「アミガサタケ」の名が含まれるが、ノボリリュウに近い。 全体的な形状としては有柄傘状。傘は類球形で赤褐色~黒褐色で内部は空洞。 表面には著しい脳状のしわを持ち、これが髪型の赭熊に似ているのが和名の由来。 柄は黄褐色で下方ほど色が淡い。表面は不規則に波打ち、内部は空洞になっている。 柄と傘の境目は離れていることが多く、アミガサタケのように完全に癒着しない。 「esculenta」は「食べられる」の意。フィンランドでは一般的な食材である。 毒成分はジロミトリンとその加水分解物のモノメチルヒドラジン。 症状としては胃腸系の中毒の後に肝臓や腎臓に致命的な障害が起きる。 両物質は共に沸点が100℃以下なので、10分の煮沸によってほぼ無毒化できる。 しかし蒸気を吸うと中毒の恐れもあり、煮沸不十分による事故も起きている。 ソースなどに使うと比較的美味と言われるが、自信の無い人は手を出すべきでない。

■娘解説:
春になると元気になる娘さん。同じ子嚢菌類のモリーユ嬢、コニカ嬢と仲が良い。 「春のアミガサ三人娘」の一人で、一番の問題児。いつも二人を困らせる。 全体的にクマをモチーフにしたデザイン。立ち居振る舞いも比較的ワイルド。 ナイスバディ。髪は赤みを帯びた黒色で不規則に波打ち、ボリュームのある赭熊。 本来は入れ毛をして髪の量を増やすのだが、彼女は元々毛が多いので地毛である。 熊耳は飾り。瞳は真紅で強烈な赤い光を放つ。ツリ目で睫毛と眉毛がやたら濃い。 胸元にあるのはクマの足型の刺青。手袋もブーツもクマの手足になっている。 ちなみに何か違うが胸元にある白いV字もツキノワグマのそれだったりする。 ロングスカートのワンピースは胸元ほど色を帯び、裾は不規則に波打っている。 性格は見た目通り凶暴。沸点が低く、ちょっとした事ですぐにキレる問題娘。 腕力、脚力共に強く、怒らせると猛毒御三家もたじろぐほどグロテスク。 しかし熱いお風呂に入ると瞳の光が消え、急にデレて機嫌が良くなってしまう。 でも湯気を吸うと一緒に入った者がご臨終してしまうので、付き合うのは難しい。


■学名:Gyromitra infula (Schaeff.) Quél.

■食毒:食毒不明
■分類:フクロシトネタケ科 シャグマアミガサタケ属
■和名:トビイロノボリリュウ (鳶色昇龍)
■写真:写真ページ
■娘名:ヒグマ・B・カイト

■菌解説:
中~大型のシャグマアミガサタケ属菌。秋に腐朽材上またはその周囲地上に発生。 広葉樹林でも見られるが、多くは針葉樹林で見付かっている模様。 かつては「ヒグマアミガサタケ」と呼ばれていたが、現在はこの和名に落ち着いた。 子実体は有柄傘状。傘は赤褐色なのが「鳶色」と呼ばれる所以。 傘は不規則に波打った鞍形で、端が柄に癒着していることが多い。 柄は白色で細く表面はややビロード状で、大抵上部は傘と同じ色を帯びている。 基部は白色菌糸に覆われ、特に材上に発生した場合は表菌糸が広がる様子が観察できる。 傘も柄も老成すると暗色となり、傘の表面には細かなしわが現れることが多い。 形状的にも色的にも近縁なシャグマアミガサタケに良く似ている。 ただし本種はシャグマアミガサタケよりも和名通りノボリリュウに近い形状。 それ以前に発生時期が違う事から混同する事はまず無いと思われる。 食毒不明だが近縁種にジロミトリンを含む有毒種が多数存在するので有毒と考えた方が良い。

■娘解説:
全体的に名残は有れど「熊」要素がかなり欠落している。シャグマ嬢の妹分。 しかし姉が春派なのに対し自身は秋派なので、あまり気が合うワケではない。 以前はヒグマ系女子(?)を目指していたが、今はイメチェンの真っ最中。 なので右腕から胸にかけて昇龍の刺青を急いで彫った。 髪は鳶色で左右から巻き込んでおり、シャグマ嬢ほどではないがボリューミー。 瞳の色は赤色で赤い光を放っている。胸が意外と無くノーブラ。 手首には熊の名残のモコモコ腕輪。猛禽類の足を意識して爪を伸ばしている。 握力が強く、姉とは異なり木登りも得意な意外な一面がある。 丈の長いワンピースを着用。上半身は赤褐色で下に行くほど白くなる。 裾は不規則に破れて菌糸の広がりを模している。腰にはトビの羽根柄の腰布。 ミドルネームは「Black」の「B」で、トビの英名「Black Kite」に由来する。 性格は姉とは違って落ち着いておりマイペース。自由奔放な娘である。 深い森で倒木に腰掛けたり地面に座り込んだりして物思いに耽っている。 愛着ある「ヒグマ」を名乗っているが、変えるべきかガチで悩んでいる。


■学名:Hapalopilus croceus (Pers.) Donk

■食毒:食不適
■分類:シワタケ科 アカゾメタケ属
■和名:オオカボチャタケ (大南瓜茸)
■写真:写真ページ
■娘名:ジャック・オオ・ラン

■菌解説:
大型のアカゾメタケ属菌。夏~秋に広葉樹の朽木上に発生する。 比較的稀な種であり滅多に出会うことができないレアキノコ。 多年生のため長期間成長を重ね、極めて大型化することがある。 実際に私が見た子実体は複数の傘を展開し、高所だが傘の幅40cm以上と見受けられた。 傘は肉厚で柄は無く、縁部は薄く鋭角的になる。表面はビロード状でオレンジ色。 管孔は傘よりも鮮やかなオレンジ色で傘の縁部より少し離れた場所から形成される。 肉はオリーブ黄色で水分を多く含む。 傘を縦に切断すると基部から傘の先端に向けて年輪のような環紋が存在する。 傘は乾燥すると黒褐色のヤニ状に変化する。またアルカリにより肉が赤変する性質を持つ。 カボチャに似ているのは色だけではなく、香りもカボチャに似ている。 種小名の「croceus」はアカチシオタケのそれと同じ「サフラン黄色の」意。 ナラ類の白色腐朽菌で、特にミズナラの材上で多く見付かる。 毒性は無いようだが肉質が強靭なため食用にはならない。

■娘解説:
ハロウィンチックな眼鏡っ娘。全体的にジャック・オー・ランタンしている。 腰掛けているから分かりにくいが背がかなり高い。 髪はややボサボサのオレンジ色で、毛先に行くほど色が濃く鮮やかになる。 前髪にはランタンの顔をイメージしたリボン。瞳は橙色で年輪のようなぐるぐるお目々。 赤橙色の逆ナイロールフレームの伊達眼鏡がお気に入り。 上半身は左胸に「OH-」のロゴが入った赤みの強いオレンジ色のゴスロリ衣装。 胸元にはサフランの花のブローチ。大きく膨らんだカボチャのスカートを穿いている。 スカートに描かれた笑い顔は三方向に向けて付いている。 管孔を模した網タイツを履き、木登りに不向きそうな黒いハイヒールを愛用。 性格は内向的で、いつも深山のミズナラの木の上で独り座っている。 地味に涙もろく、恥ずかしくなるとすぐ顔が赤くなる。 自慢は肌のしっとり感と見た目通りのカボチャに似た体臭が自慢。 折角なので嗅いで欲しいトコロなのだが、積極的に騒がれるのも嫌なので複雑な気分。 名前の最後に「たん」を付けて呼んであげると「それっぽい♪」と喜んでくれる。


■学名:Hericium erinaceus (Bull.) Persoon

■食毒:
■分類:サンゴハリタケ科 サンゴハリタケ属
■和名:ヤマブシタケ (山伏茸)
■写真:写真ページ
■娘名:山伏 うさぎ (ヤマブシ ウサギ)

■菌解説:
大型のサンゴハリタケ属菌。秋にミズナラなどのブナ科広葉樹の朽木に発生する。 針状の子実層を持つヒダナシタケ型菌が傘を欠き、針だけが極端に発達したような形態で、 子実体は全体的に白色で明確な傘や柄は形成せず塊状に成長し、 その後下方に向けて針状の子実層を発達させる。 この形状が山伏の衣装の梵天(白い毛の装飾)に似ていることからこの和名が付けられた。 またその見た目から「ウサギタケ」や「ハリセンボン」の地方名がある他、 海外では「hedgehog mushroom」とも呼ばれる。また乾燥すると高い吸水性を発揮し、 袖に潜ませて酒を吸わせた逸話があることから「ジョウゴタケ」の異名を持つ。 幼菌は優秀な食菌で世界中で食用として愛され、栽培も行われている。 味を良く吸う上に本来の味は淡白なため、特に汁物との相性が良い。 また薬効が期待される成分を複数種含んでおり、薬用としての研究も行われている。 以前は深山のキノコと言う印象が強かったが、近年は低地での発見報告も散見される。

■娘解説:
モコモコウサギな健脚少女。山伏の衣装をアレンジした服装で山を練り歩いている。 髪は真っ白でロップイヤーのような形に整えて左右に分けており、デコスケ。 後ろ髪はまとめてヤマブシタケのようになっている。サングラスは頭襟を模した十二角形。 瞳の色は真紅で鼻と口元が少しウサギっぽい。首元にモコモコのファーを巻いている。 手甲も同じくファー素材。白の鈴懸はノースリーブとミニスカートに改造され、 白い梵天の付いた黄色の結袈裟を肩から掛けている。数珠とミニ法螺貝も常備。 膝下に脚絆を巻き、足回りウサギの足型の木下駄。 金剛杖は金属製ではなくミズナラ材で作られており、先端部にウサギの装飾が施されている。 性格は至って真面目だがちょっと抜けている。山中を歩き続けている内に自然と自然の力を身に付けたらしい。 ただ本人に宗教的な思想は無く、「何か異常に酒に強くなった」くらいにしか思っていない。 脚力には自信があり、低地から高地まで特に苦もなく歩き回ることができ、 倒木に腰掛けて一服するのが至高のひととき。好きな動物はウサギ。常に酔っている。


■学名:Hydnangium carneum Wallr.

■食毒:食毒不明
■分類:ヒドナンギウム科 ヒドナンギウム属
■和名:-
■写真:写真ページ
■娘名:ヒドナンギウム・カルネ

■菌解説:
小型のヒドナンギウム属菌。早春にユーカリの樹下に埋もれるように発生する地下生菌。 植物検疫が徹底されていなかった時代に菌根を形成するユーカリと同時に国内に侵入した完全な外来種。 子実体は類球形で表面は帯紫肉色繊維状。幼菌時は白色に近いので一見すると薄ピンク色に見えるものが多い。 内部は迷路状の孔のあいた小腔室があるが、密度が低いため子実体全体が見た目以上に軽い。 下方には柄の名残りの無性基部があるが、グレバとの境界部が極端に分離しやすい。 外見的には想像もできないがキツネタケに近縁な種であり、色合いもキツネタケの肉色のひだに似ている。 胞子は球形でとげに覆われている。 子実体の色や質感、胞子や担子器の形状などから地下生菌に進化してまだ間がない印象を受ける。 食毒は不明。本国オーストラリでは普通種で、様々な国に侵入している。 一部例外はあるが一定以上時間の経過したユーカリ林でしか見られず、国内でも見られる場所は限られている。

■娘解説:
まだまだ肌寒い時期なのに薄着でユーカリ林でくつろいでいる異国の原住民的な地下生菌娘。 日本にやって来てまだ日が浅いため、日本語はほとんど話せないが、コミュニケーションは身振り手振りで何とかなる。 髪は淡い肉色で部分的に濃色のメッシュが入る大きなアフロのキツネ耳持ち狐娘。 しかしこの立派なアフロは後頭部付近でごっそり脱落してしまうのが難点。 太眉。瞳の色は褐色。髪と同じ色のキツネチックなしっぽが生えている。 耳飾りは担子器と胞子を模したもの。肌は褐色で部分的にグレバをイメージしたアートを描き入れている。 首や手首、足首に大きなビーズの装飾品を身に着け、衣服はユーカリの幹をイメージしたデザイン。 性格は引っ込み思案で社交性は皆無。余所者なのは自覚しているのであまり目立ちたがらない。 実はその特異な外見から他の娘らは興味津々で絡んでみたいのだが、生活環境が異質すぎて中々近寄れない。 服は薄く剥がれてゆくのだが、不思議とポロリはしない。 本人曰く「まだ狐娘の誇りは失ってはいない!」らしい。


■学名:Hydnum repandum L var. album Quél.

■食毒:食(有毒の可能性あり)
■分類:カノシタ科 カノシタ属
■和名:シロカノシタ (白鹿の舌)
■写真:写真ページ
■娘名:鹿ノ舌 羊子 (カノシタ ヨウコ)

■菌解説:
小~中型のカノシタ属菌。ハリタケ型のキノコ。カノシタ科はカノシタ属一属のみからなる。 秋にアカマツやブナ、ミズナラなどの林内地上に発生。実は非常に一般的なキノコ。 全体的に白色で傘と柄を持つが、ハラタケ類ではなくヒダナシタケ類に入る。 傘はまんじゅう型で縁は内側に巻き込み、成長と共に不規則な形になる。 ひだは存在せず、代わりに柄に垂生する針状の裏面を持つ。針は脆く軽く触るとぱらぱら落ちる。 この特徴的な裏側がシカの舌に似ている事からこの和名が付けられた。 柄はほぼ白色で太く、傘が歪な形状なので中心から少しずれて付いたようになっている。 実は基本種は全体的に卵黄色なのだが、白色変種のシロカノシタの方が発生量が多い。 有名な食菌でフランスでは「pieds de mouton(ピエ・ド・ムートン)」の名で親しまれている。 意味は「羊の足」。肉が脆く、やや薬品臭がするが、加熱調理により食感も香りも向上する。 クリームを用いた料理に合うが、和風料理にも十分対応できる。 ただし近年は細胞毒の存在が指摘されており、毒キノコとして扱う書籍もある。

■娘解説:
初のテングタケ属以外かつ可食菌擬人化。当初は人外娘だった。そこはかとなく執事。 髪は白色で毛先が絡み合って太い棒状になる強烈なクセッ毛持ち。櫛も役に立たない。 シカの角のヘッドドレス?は頭の後ろに回り込むようにして固定されているアクセサリー。 瞳はオレンジ色で瞳孔が横長。若干の毒成分を含むためか奥に微かに赤い光が見える。 スーツはシカをイメージして白い斑点模様が入っている。袖や裾が髪同様棒状のフリンジ形。 後で二股に分かれたスカートは羊毛製。パンツもヒツジの足をイメージした色と形。 蹄に見えるパンツと一体化した超ハイなヒールのブーツを履いており、実は意外と背が低い。 デザイン的には腰から上がシカ、腰から下がヒツジをイメージしており紛らわしい。 性格は非常に大人しく、むしろ臆病なくらいだが、構ってもらうと喜ぶ。 気分によって髪や服装の彩度を上げるが、基本はこの淡い色合いを好むようだ。 味の良さに自信があるのか、毒キノコ扱いされると不機嫌になる。顔つきが動物っぽい。


■学名:Hygrocybe atroviridis Kudo & Nagasawa

■食毒:食毒不明
■分類:ヌメリガサ科 アカヤマタケ属
■仮称:フカミドリヤマタケ (深緑山茸)、ヒスイガサ (翡翠傘)
■写真:写真ページ
■娘名:深緑 翡翠 (フカミ ヒスイ)

■菌解説:
小型のアカヤマタケ属菌。夏に公園の芝生や草地などに単生~少数群生する。 2011年にフカミドリヤマタケの名が日本菌学会にて提唱された。 本種は以前からヒスイガサの名で知られていたものと同種の可能性が高い。 ただし現状ではこの2つが同種と言う確証は無く、どちらもまだ仮称レベルである。 傘は丸山形で平らに開き、深緑色で周辺部は急激に色褪せる。 また幼菌時は色が濃すぎて黒に近い色合いに見える。 傘には吸水性があり、乾燥すると白い放射状のスが入る。粘性は弱い。 ひだは粗で湾生状にやや垂生しており、色は傘よりも明るい。 柄は傘と同色だが植物体に埋もれた基部は色付かず白色に近くなる。 背の高い草本の無い開けた場所を好むが、その色合いから発見は困難。 人の多い自然公園などで良く見付かるが、気付かれたのは最近と言うことが多い。 発見から間も無いため食毒は不明だが、肉質は脆く食用には向かないと思われる。 アカヤマタケ属菌には有毒種も存在するため安易な摂取は控えるべきである。

■娘解説:
傘も髪も瞳も着物も全てが緑色で目に優しい色合いの天真爛漫な女の子。 自分の名前を覚えておらず、とりあえずは思い付きの今の名前で通している。 唐傘は小骨の構造が本種のひだの形状に似ているため気に入っている。 髪は深緑色で横にハネるくせ毛持ち。翡翠の付いた髪留めで押さえている。 また若い見た目に反して部分白髪に悩まされていると言う。瞳は透明感のある翡翠色。 着物は裾や袖に芝の柄が入ったミニスカ風。白タイツとの間に絶対領域が生まれる。 履物は芝を植え込んだ特殊な構造で、人工芝ではなく生きた天然芝を採用。 日々のお手入れが大変だが足裏でいつでも緑を感じていたいと言う彼女のコダワリ。 白タイツが足先で切れているのはこのためでもある。 性格はとにかく明るくて元気。着物の構造が際どいのも走りやすくするため。 公園の芝生で駆け廻ったり、寝転んだりするのが至福のひととき。 ただし寝ているとその迷彩性能の高さから気付かずに踏まれたり蹴られたりする。 ボーイッシュに見えるが乙女である。帯には「www」と草が生えていて草生える。


■学名:Hypholoma fasciculare (Huds.: Fr.) P. Kumm.

■食毒:猛毒
■分類:モエギタケ科 ニガクリタケ属
■和名:ニガクリタケ (苦栗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:苦栗・Ⅰ(~Ⅴ)・マロン (ニガグリ・MN・マロン)

■菌解説:
小型~中型のニガクリタケ属菌。様々な材から発生し、時期も早春から晩秋、真冬にも見られる。 色には個体差があるが、全体的に黄色っぽいのが大まかに見分けられる特徴。 傘は硫黄色で中央部はやや濃色。周囲にクモの巣状の皮膜の痕跡が垂れ下がる。 ひだは最初はオリーブ色を帯びるが、胞子が成熟すると暗紫褐色になる。 柄は傘と同色で基部に近いほど褐色を帯びる。上部に皮膜の名残を持つことが多い。 本種最大の特徴は和名を見ても分かるように肉に強烈な苦味がある事。 これは極めて酷似した食菌のクリタケとの大きさ差異であり、見落としてはいけない。 多様な毒成分を含むが、主要な毒素はファシキュロールE、F。苦味成分でもある。 嘔吐や腹痛などの胃腸系中毒を起こし、酷い場合は痙攣やショックを経て死亡する。 過去の事故例では腹部に紫斑が現れた記録があり、その毒性の高さを物語る。 苦味ゆえか事故例は比較的少ないが、調理によっては苦味が消えるとされている。 また色、地面から生える、苦味が少ないなど個体差が激しく、別種の可能性あり。

■娘解説:
通称「ビター・マロンズ」。五人揃って見事なロリっ娘で非常に背が低い。 ファーストネームは皆同じで、ミドルネームがⅠからⅤまであり、「No.」で呼ぶ。 全体的に黄色っぽい服装で、顔もほぼ同じなので、パッと見では全然見分けられない。 判別方法は数字のヘアピン。見えなくてもアホ毛の数がヘアピンの数字と一致する。 髪は硫黄色。瞳は紫色で赤い光を放つ。舌が紫色で顔色も良くないが体調が悪いワケではない。 全員お揃いの栗のペンダントが付いたクモの巣状のベリーショートマントを着用。 紫褐色のフケが落ちるので、すぐにマントだけが汚れてしまうのが全員の悩み。 仲良しで寄り添って離れない。一応性格に若干の違いがあり、No.1はしっかり者。 No.2は面倒臭がり。No.3はお調子者。No.4は寂しがり屋さん。No.5は天真爛漫。 まぁオマケのようなもので、誰にでも懐き、いたずら好きで言動が子供っぽいのが共通点。 全員に共通する好きな食料品は苦い物全般。見た目に反して舌は大人。


■学名:Hypholoma lateritium (Schaeff.) P. Kumm.

■食毒:食(有毒の可能性あり)
■分類:モエギタケ科 ニガクリタケ属
■和名:クリタケ (栗茸)
■写真:写真ページ
■娘名:栗山・Ⅰ(~Ⅲ)・まろん (クリヤマ・MN・マロン)

■菌解説:
中型のニガクリタケ属菌。秋~晩秋に広葉樹の朽木や切り株に多数群生する。 普及材の地際に発生することが多く、あまり高い場所には出ない傾向がある。 傘は煉瓦色で中央部は濃色、傘の周囲は淡色になる。 傘の周辺に綿毛状の皮膜を付着させるのがモエギタケ科らしい特徴。 ひだは最初白色だが成熟すると灰紫色~チョコレート色に変化する。 柄は褐色で繊維状の鱗片を付け、上部は白色で基部は暗褐色になる。 ひだは最初クモの巣状の不完全なつばに包まれており、破れたつばは柄の上部に綿毛状になって残る。 優秀な食菌として有名で収量も見込めるため、秋のキノコ狩りでは人気を博する。 やや苦味があるが風味が良く、良い出汁が出るため様々な料理に利用できる。 米との相性が良いとされ、炊き込みご飯やリゾットなども美味。 ちなみに苦味成分は微量ではあるが猛毒のニガクリタケと同じファシキュロールF。 海外では普通に毒キノコとして扱われている。

■娘解説:
通称「デリシャス・マロンズ」。 ビター・マロンズよりも2人少ない代わりにちょっとだけ大人っぽいように見える。 ファーストネームは同じでⅠ~Ⅲのミドルネームを持っており、髪留めとおさげの本数で判別可能。 髪は煉瓦色で毛先は色が抜ける。部分的に毛先が白髪になり表面に貼り付いていることが多い。 瞳の色も煉瓦色で瞳の奥からほんのりと黄色い光を放っている。 裾がクモの巣状の白いベリーショートマントを愛用。紫色っぽいフケが良く肩に積もっている。 襟元に栗のペンダントを着用。マントの下は栗色で下方ほど濃色のロングワンピースを着ている。 靴は木製でファーがあしらわれている。 性格はバラバラで、No.1はリーダーシップを持つしっかりもの。 No.2はちょっと血の気の多い元気っ娘。No.3はおっとりマイペース。 共通なのはあまり人見知りせず、寒さが得意で、高所恐怖症だと言うこと。 ビター・マロンズとは仲が悪いどころか超仲良し。見分けられないヤツは嫌いらしい。 8人シャッフルしてすぐに見分けられれば認めてもらえる。 No.3だけ妙に胸が大きい。


■学名:Hypocrea sp.

■食毒:食毒不明
■分類:ニクザキン科 ボタンタケ属
■和名:ウスキヒメヤドリバエタケ (薄黄姫宿蝿茸)
■写真:写真ページ
■娘名:宿蝿 きひめ (シュクヨウ キヒメ)

■菌解説:
極めて小型のボタンタケ属菌。ただしこの分類はあくまでも仮置きと言う扱い。発生は7月ごろ。 沢筋の少し高さのある斜面や倒木上のミズアブ科の幼虫から発生する。 子実体は小さな棍棒状で肉質は強靭、宿主1個体から複数本発生し、子嚢殻を形成する上部と下部の柄に分かれる。 子嚢殻は先端が尖った球形で未熟時はほぼ白色だが、成熟すると和名通りの薄黄色を帯びる。 本種は子嚢細胞の先端に冬虫夏草特有の肥厚部が存在せず、子嚢胞子は2胞子性で2つの円錐形の二次胞子に分裂するなど、冬虫夏草と言うよりはボタンタケの仲間に近い。 「冬虫夏草じゃないハズなのに冬虫夏草のように振る舞う」と言う稀有な特徴を持つ。 このようなミクロの特徴を持つ種は国内では本種とハスノミウジムシタケくらいしか確認されていない。 宿主の長さが5mmほどしか無い極小菌だが、白色が目立つため意外と見付けやすい。 食毒や薬効は不明だが極めて小型なので食用には適さない。 本種のアナモルフはマユダマヤドリバエタケで、同一宿主から同時発生することも少なくない。

■学名:anamorph of Hypocrea sp.

■食毒:食毒不明
■分類:(未決定)科 (未決定)属
■和名:マユダマヤドリバエタケ (繭玉宿蝿茸)
■写真:写真ページ
■娘名:宿蝿 まゆ (シュクヨウ マユ)

■菌解説:
極めて小型の(未決定)属菌。Polycephalomyces型と仮置かれているが、テレオモルフと共に検討を要する。 ウスキヒメヤドリバエタケのアナモルフであることが分かっており、時に同一宿主から両種が発生することがある。 分生子柄束は典型的なマユダマ型で結実部に粘性がある点でも共通している。 しかし分生子が倍近く大きいことや、借り置かれたボタンタケ属のアナモルフと一致しないため現状では分類不可能。 非常に小型のため食用には適さず、薬効も不明。

■娘解説:
小柄の色白二重人格少女。人格によって容姿も少し変化する。 しかし人格はハッキリと分かれるワケではなく、時折入り混じって表面に現れる。 両人格共通の特徴としては、髪は白色で迷彩柄のワンピースを着、ミズアブの幼虫を模した前掛けを着用している。 「まゆ」の状態では帽子、手袋、サンダルに白いモコモコしたものを着用。瞳の色は白色になる。 「きひめ」の状態では瞳が黄色に変化し、髪が不規則に膨らんで黄色みを帯びるほか、帽子や手袋は脱ぎ捨てて手首や足首に髪に似たデザインのバンドを巻く。 メガネは鼻眼鏡を2つ、子嚢胞子を模した両端の尖った1枚レンズのものと、楕円形レンズ2枚の通常のものを使い分けている。 性格は両人格ともにマイペースで「まゆ」のほうが「きひめ」よりその度合が強く、少し性格がねちっこい程度の違いしか無い。 共通して暑さと菌付き合いが苦手。体の硬さにコンプレックスを抱えている。


■学名:Hypomyces hyalinus (Schwein.) Tul. & C. Tul.

■食毒:不食(奇主有毒の可能性あり)
■分類:ニクザキン科 ヒポミケス属
■和名:タケリタケキン (猛茸菌)
■写真:写真ページ
■娘名:下 猛 (シモ タケリ)

■菌解説:
夏から秋にかけてテングタケ属の子実体に感染し、その表面に子嚢殻を形成するヒポミケス属菌。 あくまでも本種の子実体は奇主の表面部分のため、サイズ表記は困難。 一般に「タケリタケ」は本属菌に感染したテングタケ属やベニタケ属、イグチ科のキノコの総称である。 そのため、この和名と学名は「hyalinus」の種小名を持つヒポミケス属菌を指す。 本種はテングタケ属菌に感染すると表面を綿屑状~クモの巣状の白いスービクルで覆い、奇主を奇形化させる。 この形状が勃起した男性器に似ていることが和名の由来。 その後スービクル表面に赤褐色の子嚢殻を密生させ、奇主の大部分を覆ってしまう。 子嚢胞子は紡錘形で表面には凹凸があり、一方の端に寄った位置に隔壁が1つ存在する。 本種自体は不食だが、寄生されたテングタケ属菌が有毒の可能性があるため食すべきではない。 またテングタケ属菌に感染するヒポミケスは複数存在すると思われるので、正確な同定には顕微鏡観察が必要となる。

■娘解説:
白と黄色を基調とした服装を身に纏う、不気味な雰囲気の寄生菌娘。 ネタ的に勘違いされやすいが、男っぽい服装と性格ではあるがftnr要素は一切ない。 髪は白色だが表側にだけ透明感のある赤褐色の毛玉が大量にできる。 赤褐色の起毛の帽子を被っている。瞳の色は赤で、右目は眼球が無く中が真っ暗なので常に閉じている。 白いシャツに黄色のジャケット。赤に白の水玉の入ったネクタイを愛用。 パンツは黄色いジーンズで白いブーツはアマニタ一族のファッションを意識している。 ベルトのバックルには子嚢胞子が3つ並んだデザインがあしらわれている。 血色が悪い上に体中にツギハギ痕が存在し、その境界部で皮膚の色が違う。 普段は帽子を深くかぶり、髪は服が見えなくなるよう真っ直ぐ下ろしている。 その姿は何とも卑猥ではあるが、それは元々その素質がある奇主のアマニタ一族が悪いと思っている。 性格は超粘着質。アマニタ一族を見ると無意識に襲いかかってしまうため、相手からは凄まじい嫌悪感を向けられている。 「そろそろ換え時かなぁ」が口癖のためか不穏な噂がある。 下ネタのたびに引き合いに出されるのは快く思っていない。


■学名:Hypsizigus marmoreus (Peck) H.E. Bigelow

■食毒:
■分類:シメジ科 シロタモギタケ属
■和名:ブナシメジ (橅占地)
■写真:写真ページ
■娘名:ヒプシー・マルモ

■菌解説:
中型のシロタモギタケ属菌。広葉樹、特にその名の通りブナの朽木に発生する。 名前からシメジ属と思われがちだが、実際には全くの別属になっている。 傘は類白色~褐色を帯びたクリーム色。周辺部は色が淡くなる。 最大の特徴は傘の表面に大理石のように見える斑点模様が現れる事。 種小名の「marmoreus」もラテン語で「大理石のような」と言う意味。 これにより以前は混同されていたシロタモギタケと区別できる。 ただ中には中間的な個体もある他、日陰だと全体的に白色になり同定が難しい。 今や正式名でごく普通に販売されているため、知名度はかなり高いと思われる。 食茸としては極めて優秀で、和洋を問わず様々な料理と相性が良い。 しかし以前は「ホンシメジ」と言う商品名で販売されていた歴史を持つ。 当然本種は菌根菌ではなく、木材を養分として成長する腐朽菌である。 ただし抵抗力が弱いため、人工栽培には適切な環境を整える必要がある。 そのためスーパーでは普通に売られていながら、栽培キットは珍しい。 また自然界でも発生量が少なく、群生を作る事自体が珍しい。

■娘解説:
和名が和名なので、全体的にブナをイメージした服装とアクセを身に着けている。 髪型も色も完璧に本種の物で、頭頂部に円形の色ムラが現れる。毛先は淡色。 長期間日光を浴びないと何時の間にやら髪色が淡くなって焦るのだそうだ。 瞳の色は淡いグレー。ブナの果実を繋ぎ合わせたネックレスを着用。 その先端にはブナの葉をあしらったアクセサリがぶら下がっている。 スカートは茶色でブナの実の外皮を模しており、尖ったヒラヒラが無造作に付いている。 タンクトップとズボンは白色で、スカートの下に白のデニムを履いている。 ちなみにデニムの裾にはさりげなく白い綿毛が付いているのが彼女の拘り。 性格はとても明るく、自分の優秀さに自信があるのか、かなりのお嬢様基質。大理石だし。 ただ残念な事に温室育ちなせいか虚弱体質で風邪を引きやすいのがコンプレックス。 スマートで全体的に均整の取れたスタイルだが、胸が破滅的に小さい。 石が好きで、特に大理石の質感が好き。つい頬をすり寄せたくなるらしい。変態である。


■学名:Ionomidotis frondosa
          (Kobayasi) Kobayasi & Korf

■食毒:
■分類:ビョウタケ科 クロムラサキハナビラタケ属
■和名:クロハナビラタケ (黒花弁茸)
■写真:写真ページ
■娘名:五百野 黒花 (イオノ クロカ)

■菌解説:
小型のクロムラサキハナビラタケ属菌。秋から冬にかけて広葉樹材上に発生する。 日本特産種で西日本に多く分布する。 子嚢菌類なのだが外見的にはキクラゲ類を彷彿とさせる外見になる。 気温が下がり他のキノコが姿を消した冬場に見付かることが多い。 子実体は透明感とつやの無い黒紫色。幼菌時椀形だが縁部が分岐して花弁状になる。 分かりにくいが良く観察すると椀形だった名残が確認できる。 子実体表面には顕著なしわが全面に見られる。 またKOH水溶液で紫色の色素が溶出するIonomidotic反応を示す。 湿時は光沢が現れ、キクラゲ型菌のクロハナビラニカワタケとの区別が難しい。 しかし本種と違いKOH水溶液で緑色の色素が溶出する点と平滑な表面で区別可能。 小型の子嚢菌類としては珍しく激しい胃腸系中毒を引き起こす有毒種。 食菌のクロハナビラニカワタケの乾燥時に似るため誤食に注意する必要がある。 同属菌にクロムラサキハナビラタケとムツノクロハナビラタケが存在する。

■娘解説:
全身真っ黒の和服娘。一番活動的になるのは冬場なので冬仕様になっている。 やや紫色を帯びた黒髪で、部分的に巻いて椀状になる強烈なクセの持ち主。 頭の左側に大きな紫色の花飾りを着けている。 髪に艶が無いが雨に濡れると光沢が出る。瞳は漆黒でハイライトが無い。 瞳の奥から赤い光を放っている。顔色が悪く目の下に紫色のくまがあるのが悩み。 着物は髪と同じ紫がかった黒色で、模様は無いが全体に細かなしわがある。 また着物の裾は強く波打ち大きく広がっている。履物は黒の平下駄を愛用。 襦袢は薄紫色。帯は紫色の網目模様入り。 寒いからと着ている羽織は帯と同じ紫色で縦縞が入っている。 足元が寒いので黒色と紫色の横ストライプの長足袋を履いているので温かい。 手元も寒いのでダークグレーの手袋で防寒対策はバッチリ。 性格は大人しくあまり他菌が居ない冬が好きだが、普通に他の季節も出歩く。 趣味は倒木に腰掛けてのんびりする事。高い木にはあまり興味が無い。 水酸化カリウム水溶液に触れると体から紫色の汁が溶け出すのが本人のトラウマ。


■学名:Lactarius hatsudake Nobuj. Tanaka

■食毒:
■分類:ベニタケ科 カラハツタケ属
■和名:ハツタケ (初茸)
■写真:写真ページ
■娘名:松林 初 (マツバヤシ ハツ)

■菌解説:
中型のカラハツタケ属菌。稀に春にも発生するが、主に秋にマツ林地上に発生する。 和名の「初」は「初物」の意味。キノコシーズンをいの一番に告げるキノコの初物。 マツ林の中でも比較的樹齢の若く、地面が整えられた場所を好む性質がある。 傘は黄褐色で同心円状の環紋があるのが特徴的で、湿時は多少粘性を持つ。 ひだは柄に垂生し色はワイン紅色。柄は短く内部は中空、傘と同色でやや赤みを帯びる。 全体的に傷付くと暗赤色の乳液を出す性質があり、乳液は時間と共に青緑色に変化する。 古くから優秀な食菌として全国的に知られており、その歴史も非常に古い。 これは発生時期や外見的特徴、変色性などから紛らわしい毒キノコが存在しないため。 しかしその香りと味は絶品であり、和洋を問わず様々な料理に利用できる。 特にオススメなのは炊き込みご飯「ハツタケご飯」(私は毎年家で食べている)。 松尾芭蕉をはじめ多くの歌人俳人の作品に登場しており、日本らしいキノコと言える。 学名は「L. lividatus」に変更されたが、同一種とする根拠に欠けるので再度変更。

■娘解説:
愛称は「お初さん」。松尾芭蕉の衣服を模した和ゴス娘。 髪は黄褐色で短髪。頭頂部のつむじから同心円状の色ムラがある。 後ろから前に回り込むようなヒラヒラした髪飾りでこの色ムラを強調している。 瞳は虹彩異色症で右目が青緑色で左目がワインレッド。舌は右目と同色。 ちなみに彼女の血液は当然赤いが、空気に触れると青緑色になる。キモい。 ワイン色の長襦袢の上から青緑~黄色のグラデーションの着物を羽織っている。 襦袢の背中「初」の文字がある。下着はサラシとフンドシだがあまり着けない。 健脚でいつも歩いており、マツの葉をイメージした2本のステッキを愛用。 一日400kmは移動可能。靴もそれに耐えうる強化ロングブーツ。 性格はいたって穏やか。普段はのんびりしていて秋になると急に活発になる。 外見的にもソックリな瑠璃椎嬢とは姉妹のように仲が良い。 尊敬している人物は俳聖の松尾芭蕉と、自身の命名者である菌学者の田中延次郎氏。 やはりこの名前が落ち着くと思っています。締め付けているが実は巨乳。


■学名:Lactarius subindigo Verbeken & E. Horak

■食毒:
■分類:ベニタケ科 カラハツタケ属
■和名:ルリハツタケ (瑠璃初茸)
■写真:写真ページ
■娘名:瑠璃小路 初 (ルリコウジ ハツ)

■菌解説:
中型のカラハツタケ属菌。夏~秋にかけて雑木林、特にシイやカシの樹下に少数群生する。 国内には数えられるほどしか存在しない青色のキノコの一つ。 発生自体が極めて少なく、図鑑でも「発生はまれ」と記載されている。 以前は「L. indigo」だったが、検討の結果似た別種であると考えられている。 傘は新鮮な個体だと藍青色。老成や乾燥、個体差によっては淡青色になる。 またハツタケ同様に傘には同心円状の濃色の環紋がある。 ひだは最初鮮やかな藍色をしているが、成熟すると鮮やかさを失い黄緑色になる。 柄は太くひだの付け根が色が淡い。傘と同色、時にあばたのような凹みができる。 子実体全体が傷付くと藍色の乳液を出すが量は少なく、時間が経つと緑色に変化する。 この性質のため老成すると全体的に鮮やかな青色が消えてしまう。 外見の異様さに似合わずハツタケ同様優秀な食菌であり様々な料理に利用可能。 ただ地域によっては絶滅危惧種にも指定されている希少種なので採取は極力控えたい。

■娘解説:
その名の通りインディゴブルーの着物に身を包む、一見和風の上品なお嬢さん。 しかし良く見ると着物は全て藍色のデニム生地で近付くと違和感がある。 髪は青色でつむじから同心円状の色ムラがある。髪裏は目が覚める藍色。 頭の右半分に水色のフリルを着けている。瞳は虹彩異色症で右が緑で左が青。 両耳にシイの実をイヤリングにして着けており、左が若く右が熟した実。 血液が青いので血色が悪く、口内や舌も青緑色なので結構グロい。 襦袢は青緑色で網目模様が入り襟はフリル状、裏地は藍色になっている。 帯や結び紐は青色で、帯は単純に巻いてボタンで止める構造。 着物は上下別構造のデニム生地で出来ており、表面に濃色の丸いシミがある。 襦袢の下にはジーンズ。下駄は鮮やかな青色の板下駄を愛用している。 好きな石はラピスラズリで、着物にアクセントで付けている。 性格は温厚を通り過ぎて引っ込み思案。あまり人付き合いは良くない。 ただし同属の松林初嬢とは姉妹のように仲が良く「ルリルリ」と呼ばれている。 怪我をして流血すると周囲の者が退くのが結構ショック。


■学名:Lactifluus volemus (Fr.) Kuntze

■食毒:
■分類:ベニタケ科 チチタケ属
■和名:チチタケ (乳茸)
■写真:写真ページ
■娘名:露吹 乳子 (ツユフキ チコ)

■菌解説:
中型のチチタケ属菌。夏~秋にブナ科樹木やアカマツの混じった雑木林に発生。 本属を代表する種で、その名の通り子実体全体に傷付くと乳液を出す性質がある。 乳液は白色だが時間経過とともに黄色を帯び、やがて褐色のシミとなって残る。 全体的にオンレジ色で統一されてており、傘がオレンジ褐色で最も色が濃い。 傘表面につやや粘性は無く、極めて微細なビロード状で中央は凹んでいる。 ひだはクリーム色~黄色を帯び密。傷付けて乳液が出る様はひだが一番観察しやすい。 柄は傘と同色かやや淡い色合いで、内部は中空になっていることが多い。 また柄は繊維状ではないので、縦に裂こうとすると不規則に割れてしまう。 そのため本種は「縦に裂けない」食菌の代表例として例に挙げられる事もある。 乾燥すると干したニシンのような臭いを放ち、良いダシが取れるので人気がある。 特に栃木県ではナスと共に「ちたけそば」の具材として利用され熱狂的な人気を誇る。 比較的近縁な種にヒロハチチタケ、チリメンチチタケ等が存在する。

■娘解説:
まぎれもなく我が家のキノコ擬人化娘中で最も巨乳の乳娘。胸がデカイ。 スリーサイズは秘密。しかも妊娠しているワケではないのに母乳が出る特異体質。 ただし常時垂れ流しではなく、ショックを受けたりして心が傷付くと出る。 また血は通っているが、皮膚や髪が切れてもそこから乳液が出るのでややキモい。 髪はオレンジ褐色で髪質は脆くあまりツヤが無い。頭頂部は少し凹む。 髪裏は黄色で所々自然に傷んだ部分から白い乳液が滴り落ちている。 もみあげ部分だけ白く液体のように長く垂れ下がる。「MILK」。 瞳は乳白色であまり透明感が無い。耳には白色の水滴型イヤリング。 ワンピースは髪と同色で、胸元や裾など開いている部分は水滴をイメージ。 ナスとそばの柄が入っており、腰から下は不規則に何ヶ所も破ってある。 下着は履いてない疑惑があるが、少なくとも胸は染みるので乳漏れ対策をしている。 性格はややねちっこいほんわかバカ娘で少し痴女の気がある。 胸を強調したがるので、コンプレックスを持つ娘から若干ウザがられている。 好物は当然ちたけそば。会話中にときたま栃木弁が混ざる。


■学名:Laurobasidium hachijoense
          Y. Otani, Kakishima & Iijima

■食毒:食不適
■分類:モチビョウキン科 ラウロバシディウム属
■和名:ヤブニッケイもち病菌
■写真:写真ページ
■娘名:餅藪 肉桂 (モチヤブ ニッキ)

■菌解説:
大型の菌えいを形成するラウロバシディウム属菌。 梅雨期にヤブニッケイの幹や枝に特徴的なシカの角のような突起を出現させる。 以前はモチビョウキン属(Exobasidium)だったが属名が変更となった。 菌えいは植物寄生菌類の菌糸体と宿主となった植物体の組織で構成されている。 そのため断面を見ると内部に葉緑素を持つ植物組織が確認できる。 菌えいは若い時は赤茶色だが表面に担子器が形成されると白色粉状になる。 梅雨が終わるとこれらは全て脱落して幹に発生した痕跡が残る。 一度発生した場所には翌年も菌えいが形成され、やがてその部位は枯死する。 本種は世界的に見ても日本の八丈島でしか見られない固有種とされてきた。 しかし2017年に小笠原諸島の母島でも発生が確認され、唯一ではなくなった。 ただしこれは八丈島から近年移住した可能性があると考えられている。 ちなみに管理人が菌えいを食したところ、極めて渋いことが分かった。 離島でしか見ることができないため、邂逅難易度が極めて高い種である。

■娘解説:
八丈島の名産、黄八丈の着物を身に纏う、怪しげな雰囲気の植物寄生菌類少女。 普段は目の下のクマが気になる程度の普通の女の子だが、梅雨時になると容姿が一変。 体の様々な箇所からシカの角のような巨大なイボが伸び上がり怪物のようになる。 イボの表面は粉を噴いたようになるが、梅雨が終わるといつの間にか消えてしまう。 髪は深緑色で部分的に3本の明るいメッシュが入っている。 瞳は中央が黄色い茶色。まつ毛だけは一年中シカの角状になっている。目の下のクマが酷い。 唇が少しギザギザになっている。肌は健康的な褐色系。 着物は黄八丈で帯は褐色。白足袋と黒い下駄を履いている。 また身体にシナモンのような芳香があり、髪や手足を擦るとほのかに香る。 しかし梅雨時に出来るイボは舌が痺れるほど苦いので舐めてはいけない。 性格は超絶マイペースで他菌の意見など聞く気は皆無。我が道を行く。 好物はくさやと明日葉。好きな季節は梅雨で、それ以外の時期はうなだれている。 最近は「たまには島を出るか!」と近隣の島への小旅行を楽しんでいる模様。


■学名:Lentinula edodes (Berk.) Pegler

■食毒:
■分類:ツキヨタケ科 シイタケ属
■和名:シイタケ (椎茸)
■写真:写真ページ
■娘名:椎 香 (シイ カオリ)

■菌解説:
中~大型のシイタケ属菌。主に春と秋の二季に様々な広葉樹の朽木に多数群生。 かつてはマツオウジ属とされていたが、菌糸の構造の違いから独立した。 種小名の由来は栽培が始まったとされる江戸時代から「江戸です」と思われがち。 実際はラテン語の「edodimos=(食用となる)」に由来すると考えられている。 さらに科名に関しては現在も複数の説が上がっており、今回はキシメジ科とした。 傘は強く内側に巻き込むみ色は茶褐色。幼菌時は白色の綿毛状鱗片を持つ。 また成長に伴って傘表面に大きな亀甲状のひび割れを生じることが多い。 ひだは白色だが古くなると褐色のシミができる。肉質はしっかりしている。 柄は上部が白色、基部が褐色のグラデーションで、上部に不完全なつばを持つ。 極めて美味な食菌で栽培も容易。一年中スーパーなどで購入することができる。 間違い無く我が国で最も馴染みのある栽培キノコだと言える。 乾燥すると香りが増し栄養素も増加するため、保存食として高い価値がある。 様々な料理に使用でき、生の物は食感を、乾燥品は香りを活かす調理法が良い。

■娘解説:
娘名は「椎茸」と別の書き方である「香蕈」から一文字ずつ拝借したもの。 季節によって春子さんやら秋子さんやら呼ばれるので本人は混乱している。 髪は茶褐色で頭頂部に大きなバツ印のヘッドドレス、サイドには小さなリボン。 前者は調理時に入れる切り込み、後者は傘周囲の白色鱗片を模している。 髪の裏側は白色になっている。色白で瞳の色は淡いグレー。 右目には「椎」、左目には「茸」と描かれたコンタクトが入っている。 首の周りにつばに見立てたファー。服装もモコモコした部分が多い。 腰には帯を巻いており、帯より上は和服、下はグラデーションのスカート。 「江戸です」の間違った解釈に対するささやかな反抗がこの中途半端な和服。 スカートは裾が非常に長く、立つと白いタイトブーツはほとんど隠れてしまう。 趣味は木登り。特にコナラとクヌギの木は登り心地が良いとは本人談。 社交的で活発な性格の持ち主で誰とでも仲良くなれる。口調は江戸っ子。 雷が好きで、鳴り始めると居ても立ってもいられず飛び出してしまう。


■学名:Leotia rutilans (S. Imai & Minakata) S. Imai

■食毒:食毒不明
■分類:ズキンタケ科 ズキンタケ属
■和名:アカズキンタケ (赤頭巾茸)
■写真:写真ページ
■娘名:頭巾 赤璃 (ズキン アカリ)

■菌解説:
小型のズキンタケ属菌。夏に各種林内地上や道端などに発生する。タイプ標本の発見者は故南方熊楠氏。 発生環境は特殊ではないのだが本属菌としては極端に発生が少ない。 そもそも発見例自体がほとんど存在せず、ネット上でもほとんど情報を見ることができない。 発生の珍しさではズキンタケやアカエノズキンタケと比べてかなり珍しいアオズキンタケすらをも凌ぐ。 子実体は有柄頭状の典型的なズキンタケ型だが、子実体全体が赤褐色~ワイン色な点で他の同属菌と決定的に異なる。 頭部は不規則な半球形で縁部は内側に巻き込んでいる。 表面は湿時粘性があり、表面は子嚢と側糸が並ぶ子実層面になっている。 子嚢胞子はズキンタケに似て長楕円形~紡錘形で複数の油球を含む。側糸先端が大きくカールするのが特徴。 柄は頭部と同色かやや明るい色で、表面にはササクレ状の鱗片が存在する。 食毒は不明だが、発見報告があまりにも少ないので不明な点ばかりなのが現状。出会えたら相当ラッキー。

■娘解説:
圧倒的な赤頭巾娘。当然ながら「赤ずきんちゃん」の愛称で呼ばれている。 可愛らしいことは知られているのだが、マジでどこに居るんだってくらいに人前に姿を現さない。 頭のサイズに合わない大きな赤い頭巾をかぶっている。頭巾はペトペトした光沢のあるラテックス製。 髪は薄茶色で凄まじい巻毛。太眉。ぱっちりおめめで瞳の色は赤色。瞳孔は無色で透明感がある。 短めのケープは頭巾と同じ素材。白と黒を貴重としたアレンジチロルドレスを身にまとう。 黒タイツと厚手で毛羽立った記事の赤いロングブーツを愛用。 いつも最大で8本までパンを入れられるバスケットを持ち歩く。パンは4ヶ所に切れ込みがあると嬉しい。 性格は引っ込み思案であまり人目に付く場所には出たがらない。 ただ意外とイイ性格をしており、やや自分勝手な行動を取りがち。自慢は身体の柔軟性。別にオオカミは苦手ではない。 別に隠れ歩いているワケではないのだが、不思議と他者に出会わない。 名前の似たアカエノズキンタケと比べて知名度が低いため「真の『赤』は私なんだけどなぁ・・・」と悶々としている。


■学名:Leucocoprinus fragilissimus
          (Berk. & M.A. Curtis) Pat.

■食毒:食毒不明
■分類:ハラタケ科 キヌカラカサタケ属
■和名:キツネノハナガサ (狐花傘)
■写真:写真ページ
■娘名:唐傘 こはな (カラカサ コハナ)

■菌解説:
小型のキヌカラカサタケ属菌。夏から秋にかけて各種地上に発生する腐生菌。 熱帯性で世界的に見ても熱帯地域に分布するが、我が国では東北でも普通に見られる。 種小名の「最も脆い」の意味に相応しく、極めて華奢で脆い子実体の持ち主。 傘は幼菌時縦長の釣鐘形で表面はレモン色の細鱗片に覆われている。 傘が開くと表面が放射状に細かく裂けて扇面状になり、峰の部分にレモン色が残る。 これが祭りに用いられる無数の花で飾られた「花傘」に見えるのが和名の由来。 踊りの際に頭に冠る小さな「花笠」とは漢字が異なるので注意。 柄は根本は太いが全体は極めて細く淡い黄色で表面に細かな白い微毛が生えている。 柄の中程には小さな膜質のつばが上や下を向いて貼り付いている。 柄は細い上に中空なので風や雨と言ったわずかな衝撃で容易に折れてしまう。 そのため本種を完璧なコンディションで発見するのは難易度が高い。 毒は無いようだが現在は食毒不明。繊弱な種なので、そもそも食用に向かない。

■娘解説:
目に優しくないレモン色の派手な浴衣をいっつも着ている細身の狐っ娘。 夏の暑い時期、お祭りの時くらいしか不思議と見かけない。 愛用するのは骨の部分に花飾りを付けたスカスカの花傘。 石突きの部分に大きな花飾り、骨の花飾りは先端に行くほど色が白くなる。 髪はレモン色で長細いキツネ耳が生えているが、人間型の耳はあるかは不明。 髪には等間隔に白いメッシュが入り、前髪をヘアピンで留めている。 瞳の色はレモン色だがキツい目付きのせいで瞳は見えない。 浴衣は黄色で帯の部分は濃色。襦袢は白だが着物からはあまりはみ出ない。 帯は白でリボン結びしているが、結んだ端が後方から大きく前に回り込んでいる。 着物の臀部には穴が空き、耳同様に妙に細いキツネの尻尾が出ている。靴は草鞋派。 好きな時期は当然夏。お祭りが大好きで傘を見せびらかしに顔を出す。 しかし致命的に体が弱く、ちょっとぶつかっただけで骨が折れ地面に突っ伏す。 あまりの痛々しさから周囲が気遣うのだが、本人はそれでも来たいご様子。 「200本以上骨があるのよ?100本くらい何よ!」が口癖。


■学名:Lycoperdon perlatum Pers.

■食毒:
■分類:ハラタケ科 ホコリタケ属
■和名:ホコリタケ (埃茸)
■写真:写真ページ
■娘名:埃原 茶狐 (アイハラ チャコ)

■菌解説:
中型のホコリタケ属菌。初夏~秋の長い期間に渡り様々な地上に発生する。 近年ホコリタケ科からハラタケ科へと変更になった。有機物を多く含む地面を好む。 また開けた場所を好むようで、自然公園の芝生で良く出会う。 一見すると丸い形をしているが、下に無性基部と言う柄のような物がある。 頭部は球形で頂部がやや盛り上がる。色は白色で無数の褐色のとげを持つ。 このとげは老成と共に剥がれ落ち、表面に網目模様の跡となって残る。 内部のグレバは幼時白色で成熟すると黄褐色の胞子の塊となる。 やがて頂部に穴が開き、そこから胞子を吹き出して遠くへ飛ばす。 内部の白い幼菌は食用となるが、美味しいと言う話は聞かない。 また地方名を多く持ち、代表的な物は別名の「キツネノチャブクロ」。 胞子が目や耳に入ると障害を起こすと言う迷信が存在し、前者は海外にも見られる。 「メツブシ」や「ツンボキノコ(放送禁止用語)」などがその例。 また芝生を円形に枯死させるフェアリーリング病の原因菌の一つでもある。

■娘解説:
全体的にボサボサしていて、近付いただけで咳き込みそうになる煙たい娘。 頭に乗っている褐色の綿毛の帽子は実は全て「フケ」で、頭頂部から噴き出す。 このフケは端から崩れて埃となり、常に彼女の周囲に漂っている。 髪は毛先に向かって褐色~白のグラデで、濃色の癖っ毛が無数のトゲになっている。 全盲のため常に目は閉じており、耳もあまり聞こえていない(耳は飾り)。 が、普通に喋ることはでき、他の娘とのコミュニケーションは意外と活発。 上半身は噴き出した胞子を模した黄褐色のファーをリング状に身に着けている。 スカートは本種の姿を忠実に再現し、頂部に穴が開いて上半身を出している。 穴の部分の生地は裏返って九尾の狐の尾のように見えるデザインになっている。 普段は座っていて分からないが、スカートの下は白いタイツと細身のブーツ。 いつも使い古した茶袋を持ち歩き、気が向いた草むらに座っては茶を嗜む。 ただ彼女が座ると周囲の草や芝が枯れるため、一部からは嫌われているようだ。 性格は社交的で同じ腹菌類や、学名的にも似ている望星嬢とは特に仲良し。


■学名:Lyophyllum decastes (Fr.: Fr.) Singer

■食毒:
■分類:シメジ科 シメジ属
■和名:ハタケシメジ (畑占地)
■写真:写真ページ
■娘名:畑 千野 (ハタケ ユキノ)

■菌解説:
中型のシメジ属菌。秋に道ばたや畑地など人の生活圏内に多く発生する。 まだ名前が決まっていなかった頃はニワシメジ、ササゲシメジとも呼ばれていた。 前者は人家の周囲に発生するため、後者はササゲの栽培環境に発生すると言われたため。 他にも幼菌がシャカシメジに似ているため、ハタケセンボンとも呼ばれていた。 またホンシメジに近縁だが、本種は不朽材に発生し、明確な菌根は形成しない。 現在の和名は海外種の学名があてられているが、別種である可能性も考えられる。 傘は褐色で表面に白いかすり模様を生じる個体が一般的である。 ひだは白色で密。柄は下方にかけて傘と同じ色を帯びるが、傘より色が淡い。 単生の事もあるが、基本的には数本が根元でくっ付く束生で、稀に大株になる。 発生場所的に敬遠しがちだが、ホンシメジに劣らぬ素晴らしい風味を持つ食菌。 近年では栽培法が確立したため、スーパーでも頻繁に目にすることができる。 また野生でも一ヶ所に大群生を作るため、収量が望めるのは魅力的。 特筆すべきは柄のシャキシャキした食感。どんな料理にも相性は抜群である。

■娘解説:
畑仕ことが大好きな日焼け褐色の元気っ娘。人見知りをしない陽気な娘さん。 密かに歌手に憧れているらしいが、その片鱗はどこにも見られないので良く分からない。 髪の色は灰色っぽい褐色で、部分白髪があるが本人はあまり気にしていない。 ちょっと白っぽい麦わら帽子を年中被っている。瞳の色は薄い灰色。 首には農作業中っぽい水色のタオル、両手には農作業っぽい安物の軍手。 農作業っぽく淡い褐色のつなぎを着ているが、下には何も身に着けていない。 つまりノーパンノーブラ。背中が大きく開いた構造なので実はかなりエロい。 ちなみに超ナイスバディなのだが、格好が格好だけにあまり言い寄られない。 寒さに強く年中格好が変わらないが、真冬は流石に中にシャツを着こんでいる。 愛用の鍬は畑を耕すための必需品。好きな作物はササゲとキュウリ。美味しいよね。 性格はいたって温和で人間が大好き。プロポーションも抜群と言う完璧少女。 「味シメジ」と呼ばれるホンシメジと同レベルの味を持つのが彼女の一番の自慢。


■学名:Microstoma aggregatum Otani

■食毒:食毒不明
■分類:ベニチャワンタケ科 シロキツネノサカズキ属
■和名:センボンキツネノサカズキ (千本狐盃)
■写真:写真ページ
■娘名:千本 狐盃 (センモト コツキ)

■菌解説:
小型のシロキツネノサカズキ属菌。秋に地面に倒れたミズナラの細い倒木に多数束生する。 日本固有種であり、北海道と福島県でしか見付かっていない。 しかし近年、福島県では生育環境が破壊され、北海道でも過度な採取により絶滅の危機に瀕している。 子実体は基部で繋がっているため群生ではなく束生。子嚢盤一つ一つはワイングラス形。 子実層面や肉はピンク色~淡サンゴ色だが、子嚢盤の外側と柄に白い毛に覆われている。 最初は子嚢盤開口部がつぼんでいるが、成熟すると大きく開いてピンク色の子実層面が露出する。 その名の通り多数の子嚢盤を密集させるのが和名や種小名の由来となっている。 「千本」の名に恥じない凄まじい数の子嚢盤を形成する様子は他の子嚢菌類とは一線を画す。 北海道にて故袰屋朝雄氏が採取した標本を元に、大谷吉雄氏により1990年に新種記載された。 食毒は不明。世界的にも非常に貴重なキノコだが、前述の通り存続が危ぶまれている。 福島県では2017年に絶滅危惧種に指定され、北海道でも愛好会などが保護を呼びかけている。

■娘解説:
神聖と言うべきか妖艶と言うべきか。怪しさと神々しさを併せ持つ白狐な和服娘。 人前に全然出て来ないので、出会うこと自体が難しく、会ったら会ったで気圧されてしまう。 髪は白色で部分的にグルグル巻く天然パーマ。巻いた内部はピンク色になる特殊な髪質。 耳と尻尾は自前。人間の耳は存在しない。尻尾は狐のしっぽが沢山生えて束になっている。 瞳の色はコーラルピンク。太眉。目の周囲と口元に隈取のようなキツネを意識したメイクをしている。 着物はミズナラの幹の柄が入った振り袖で、上半身にはセンボンキツネノサカズキの模様が入っている。 帯は水玉。ほんのりピンクの足袋を穿いている。 愛用の盃と板下駄はややピンクがかった朱色。 盃に入っているのは天然水で、お酒が飲めるワケではない。 あまり社交的ではなく、むしろ不信感からかヒトを避けているフシがある。 反面、自分を想ってくれる者には普通に接してくれる。趣味は特に無し。 盃の水を飲みながらミズナラの倒木に腰掛けて森を眺めて物思いに耽っている時間が一番幸せらしい。 一部の恐怖症患者から「キモい」と思われていることは密かに気にしている。


■学名:Mniaecia jungermanniae (Fr.) Boudier

■食毒:食毒不明
■分類:ムニアキア科 ムニアキア属
■和名:ミドリコケビョウタケ (緑苔鋲茸)
■写真:写真ページ
■娘名:苔之実 みどり (コケノミ ミドリ)

■菌解説:
極めて小型のムニアキア属菌。主に冬から春にかけて様々な蘚苔類上に発生する。 宿主となるコケ類はツボミゴケ属、ツキヌキゴケ属など、ある程度特異性が存在する。 なお種小名はツボミゴケ属の属名である「Jungermannia」に由来している。 子嚢盤は大きいものでも1mmで、基本的にはそれ以下と、椀形子嚢菌類としては極めて小型。 子嚢盤は厚みのあるクッション形で透明感があり、色は青みの強い青緑色。 コケ類に発生する小型のチャワンタケは一定数存在するが、その中でも特に美しい色合いを持つ。 肉眼では視認しにくいほど小型だが、慣れればこの色合いで気付くこともできる。 探す際は地面に伏せ、ルーペを常時目に当ててコケの生えた地面を見回すと見付けやすい。 比較的普通に発生しているようだが、あまりにも小さいため見付かっていないだけと思われる。 和名が与えられたのは2016年と比較的最近。それ以前は「ルリイロコケチャワンタケ」と呼ばれていた。 食毒は不明だが極めて小型のため、そもそも食不適。

■娘解説:
蘚苔類を意識したギリースーツに身を包み、普段は居るのかすらも分からないモスグリーン迷彩少女。 あまりにも視認率が低いため、周囲の環境に溶け込むとマジでどこに居るのか分からない。 髪の色はモスグリーンで癖のある巻毛。前髪は揃っておらず、メカクレだったり片目隠れだったりする。 瞳の色はエメラルドグリーンで肌の色も青白く、口の中や舌も青っぽい。 服装はサバイバルゲームを意識したスタイルで、グローブ、コルセットリグ、ニーパッド、ブーツを完備。 タンクトップも苔色迷彩でスカートはライトモスグリーン。服装の随所に青緑色の円形板状の装飾がある。 またギリースーツや髪にも同様の装飾があり、その不自然な色合いからバレることも少なくない。 完全なサバゲースタイルではあるが、武器の類は持っておらず、ポーチの中もコスメやエチケットセットなど。 透明感のある瞳が非常に美しく、褒められると嬉しくて照れ臭いようだ。 性格は見た目通りの引っ込み思案で「探さないで・・・」が口癖だが可愛いのでみんなが探す。 でも満更でもないらしい。苔の絨毯にうつ伏せて寝るのが至高の愉しみ。


■学名:Morchella conica Pers.

■食毒:食(生食は毒)
■分類:アミガサタケ科 アミガサタケ属
■和名:トガリアミガサタケ (尖網笠茸)
■写真:写真ページ
■娘名:モリーユ・コニカ

■菌解説:
中~大型のアミガサタケ属菌。発生時期と場所はアミガサに似るが、時期がやや早い。 腐生菌とも菌根菌とも思える振る舞いをし、一般に発生環境が絞れていない。 実際菌根らしきものを形成する事もあるが、樹木に限らず草花にも入り込むことがある。 ただし俗説的にはサクラの樹下やイチョウの樹下に多いと言われ、後者が有力とされる。 傘は円錐形で色は黒褐色。表面には凹凸があるが、凸の部分は成熟すると黒くなる。 また網目は縦方向への脈が発達している。大きく見えるが内部は中空なので軽い。 一般的に和名通り先端が尖っていることが多いが、先端部の潰れた個体も普通に存在。 傘は柄に対して離生しているのが特徴。柄は中空の円筒形で表面は淡褐白色で粉状。 「ブラックモレル」とも呼ばれ、ヨーロッパでは比較的一般的な食材の一つ。 美味であり様々な料理に利用できるが、特にバターやクリームを用いた料理に合う。 ただし生食では中毒する上に微量ながら猛毒成分を含むため、加熱は十分に行う事。

■娘解説:
ちょっとキリッとしたフランス娘さん。喋り方にフランス訛りが強く残っている。 瞳の色は黄緑色で赤い光を放っているが、お風呂に入ると消えるようだ。 髪は暗褐色で顔に触れないよう複雑に編み込みながら上方に立ち上げて固めている。 ただ髪型は不安定で、寝癖で先端が潰れたり大きく曲がったりするが気にしない。 服装はアミガサタケ擬人化の合わせ鏡になっているが、違う点が幾つかある。 全体的に色が濃く表面は粗い生地を好み、首周りにはファーをあしらってある。 右手にだけアームスリーブを身に着け、裸足で靴は履かない主義を貫いている。 下着に関しては「はいてない」らしいのだが、際どいスカートは鉄壁を誇る。 「春のアミガサ三人娘」と呼ばれるメンバーの一人で一番のしっかり者。 三人娘では名前が一部重複するため「モリーユ」「コニカ」「シャグマ」と呼び合う。 モリーユ嬢の姉貴分であり、確かに背丈もプロポーションも上である。 姐さん気質だが、惚れっぽく、気が早いのが玉に瑕。趣味は花見で好物は銀杏。 「カメラメーカーみたいだね」と言うと「私はCよ!」と怒るが、実際にはEカップ。


■学名:Morchella esculenta
          (L.) Pers. var. esculenta

■食毒:食(生食は毒)
■分類:アミガサタケ科 アミガサタケ属
■和名:アミガサタケ (網笠茸)
■写真:写真ページ
■娘名:モリーユ・エスクレンタ

■菌解説:
中型のアミガサタケ属菌。春、サクラが散る頃に様々な地上に単生または群生を作る。 本種の生態は未解明の部分が多く、発生環境は諸説様々で特定には至っていない。 自身の経験ではサクラの樹下に多いと感じる。他にもイチョウとの関係も疑われている。 時に民家の庭や整備された敷地内にも発生する有柄傘状のキノコであり、傘は卵型で淡黄褐色。 表面は網目状に隆起しており、凹部に胞子を作る子実層がある。 内部は傘の上から柄の基部まで完全な空洞になっており、持つと見た目よりも軽い。 柄は円筒形で基部でやや太まり、色はほぼ白色。やや粉を吹いたようになっている。 変種にマルアミガサタケ(var. rotunda)とチャアミガサタケ(var. umbrina)が存在。 共に形状は似ているが、傘部分の色が異なり、前者は淡黄色、後者は黒褐色。 フランス料理では「モリーユ」と呼ばれ親しまれている国民的な食菌。 我が国ではその外見からか利用は少ないが、バターを用いた料理と相性が良い。 和洋を問わず様々な料理に利用できるが、生食や加熱不十分では中毒を起こすので注意。

■娘解説:
のほほんとしたフランス娘さん。日本語を話すが少しフランス語っぽさが残る。 瞳の色は桜色で奥から赤い光を放っているが、この光はお風呂に入ると消える。 髪は黄土色で複雑にからみ合って網目状になっているが、意外とボリュームは無い。 髪色はその日の気分で少し脱色したり、ブラウンに染めたりしている。 柄の形状を模した白い左右非対称の複雑な構造のドレスを着ている。素足派。 左肩と左足は露出しており、左手だけにゆったりしたアームスリーブを着けている。 下着に関しては「はいてない」だの如何わしい噂が流れているが詳細は不明。 性格は穏やかで、その日のノリで動く気分屋さん。神出鬼没で掴み所が無い。 趣味はお花見。春のぽかぽか陽気の下での日光浴は彼女の日課。 アニメや特撮に詳しく、「ウルトラセブン」第9話「アンドロイド0指令」が特に好き。 好きな食べ物は桜餅と銀杏。サクラの他にタチツボスミレの花がお気に入り。 「春のアミガサ三姉妹」リーダー。ふらっと気に入った他人の庭に居座るクセがある。


■学名:Multiclavula mucida (Pers.) R.H. Petersen

■食毒:食不適
■分類:カレエダタケ科 シラウオタケ属
■和名:シラウオタケ (白魚茸)
■写真:写真ページ
■娘名:白魚 緑 (シラウオ ミドリ)

■菌解説:
極めて小型のシラウオタケ属菌。秋に広葉樹材上、特にブナの腐朽材上に多数群生。 本種は材上の緑藻と共生関係を持っており、緑藻類の生じた場所にしか発生しない。 目立つ緑色の場所に多数の白い群生が出来るため小型でも比較的発見しやすい。 この生態のために地衣類とみなす事もあり、その場合は「キリタケ」と呼ばれる。 地衣類と共生する子嚢菌類は多いが、担子菌類は本種を含め数種しか存在しない。 子実体は白色でやや黄色みを帯び、基部は細く上部に比べてやや透明感がある。 高さは1cm程度と小さく、円筒形~棍棒状で枝分かれはしないか、しても2本程度。 この姿が魚類のシラウオを彷彿とさせるためこの和名が付けられた。 肉質は軟らかいが丈夫で力を加えても簡単には形が崩れない。 以前はシロソウメンタケ科と考えられていたが、分子系統解析の結果違うと判明。 実際にはカレエダタケやカノシタと近縁なアンズタケ目に属することが分かった。 毒は無いようだが極めて小型のために食用には適さない。

■娘解説:
小柄だが自身と周囲の色合いで良く目立つ、森の中で緑の絨毯の上を泳ぐ白魚。 藻類の発生した朽木を見ると興奮してしまう、苔ガールならぬ緑藻ガール。 髪は透明感のある純白のしっとりした髪質。髪の先は切り揃えられている。 後ろ髪が大きく伸びまるで魚の尾のように大きく靡いている。 まるで大きな魚の目のように見えるイヤープロテクターを着けている。 瞳は黄色で黒目の部分が極端に大きく、まるで魚類の目のように見える。 白い水着の上に側面に黒いワンポイントの入った透明感のある雨ガッパを愛用。 彼女の足元には常に緑藻が発生しているので緑色の絨毯が出来ている。 しかし彼女が緑藻を呼ぶのか、彼女が緑藻へ好んで行くのかは不明。 木の上から木の上へとしか移動できず、跳ねるように森の中を泳ぎ回っている。 性格は透けてる服を着てるのに恥ずかしがり屋で引っ込み思案。 藻類の生えた場所から移動できないので隠れることができない。 指でツンツンされると「あっ・・・やめっ・・・!」と言いつつ満更でもない。 名前が「緑」なのに本人自身は真っ白けなので妙な違和感がある。


■学名:Mycena crocata (Schrad.) Fr.

■食毒:食不適
■分類:クヌギタケ科 クヌギタケ属
■和名:アカチシオタケ (赤血潮茸)
■写真:写真ページ
■娘名:血潮 アカ (チシオ アカ)

■菌解説:
小型のクヌギタケ属菌。広葉樹の朽木、特にブナの腐朽材上やその周囲に発生する。 その名の通りチシオタケ(M. haematopus)に近縁だが、本種の方が発生は稀。 ブナが高地や高緯度地域に多く、本種自体単生することが多いためと思われる。 傘は淡黄褐色で中央は橙褐色の鐘形、幼菌時はより褐色で子実体の色の差が大きい。 傘の縁部は滑らかでチシオタケのような鋸歯状のフリンジは無い。 ひだは白色で粗、所々に橙色のシミが出来ていることが多い。 柄は鮮やかな橙黄色なので地味な色合いの傘とのコントラストが美しい。 柄の表面は平滑で微毛は見られないが、基部に白色の毛がある。 子実体全体に傷付くと橙色の液が染み出すと言う性質があるのが最大の特徴。 液はチシオタケの方がよっぽど赤いのだが、和名では本種の方が「赤」である。 種小名の「crocata」は「サフラン黄色の」の意味のラテン語女性形容詞。 無毒だが小型で肉質が脆く、オンレジ色の液が出る特徴から食用には適さない。

■娘解説:
全体的に橙色で統一された小柄娘。装飾の少ない日傘を愛用している。 隻眼で前髪に隠れて見えない左目にはオンレジ色のガラスの義眼が入っている。 右側のサイドテールは短めに幼菌の装飾の付いたヘアゴムで縛っている。 髪は淡い黄色で頭頂部ほど褐色。毛先は綺麗に揃えている。瞳の色は橙黄色。 ドレスは無地で乾燥したサフランのめしべの色を彷彿とさせる鮮やかな橙色。 裾の部分は血が垂れたように部分的に長く伸びた構造になっている。 胸元にはめしべが長いリボンで出来たサフランの花のブローチを着用。 動かないと見えないが脚にはモコモコの白い靴下だけを履いている。 出血しやすい体質なので体中に包帯が巻かれていたり絆創膏が貼られていたり。 血が血らしくない鮮やかな色合なので逆に怖いと言うか気持ちが悪い。 傘の返り血はノリで飛ばしたら取れなくなったのでそのまま使っている。 性格はやや引っ込み思案。独りで居ることが好きなロンリーガール。 しかしヘモ嬢とは大の仲良しで、遊びに来るのを楽しみに待っている。 好きな花はサフラン。好きな食べ物はサフランライス。


■学名:Mycena haematopus (Pers.) P. Kumm.

■食毒:食不適
■分類:クヌギタケ科 クヌギタケ属
■和名:チシオタケ (血潮茸)
■写真:写真ページ
■娘名:血潮 ヘモ (チシオ ヘモ)

■菌解説:
小型のクヌギタケ属菌。広葉樹の朽木に発生し、時期は夏~秋、特に晩秋に集中する。 梅雨時にも発生するため、暑さを嫌うと思われる。ほぼ世界中に分布する一般的な種。 傘は赤褐色で鐘形。中央部ほど色が濃く、放射状の長い条線を有する。 また傘の周囲に顕著な鋸歯状のフリンジがあるのが外見的特徴の一つでもある。 ひだは白色だが時間経過とともに赤みを帯びる。柄は中空で傘と同色、表面はやや微毛状。 本種最大の特徴は、子実体全体が傷付くと暗赤色の血のような液体を出す事。 種小名の「haemato-」は「血」を意味しており、和名もこの特徴にちなんで付けられた。 また本種に近縁な種に同属のアカチシオタケ(M. corcata)が存在する。 こちらは子実体が全体的に黄色っぽく、液体が橙色、フリンジが無い点で区別できる。 また本種をそのまま縮めたようなヒメチシオタケ(M. sanguinolenta)も存在する。 こちらは色彩的には似ているが遥かに小型であり、発生環境やひだの縁取りの有無で区別可能。 毒は無いのだが、特別な味や香りも無く、子実体も小型で肉質も脆いので食用不適。

■娘解説:
全体的に赤色で統一された小柄娘。ギザギザフリルの日傘を愛用。実は隻眼。 瞳の色はピジョンブラッドのような鮮やかな血赤色だが毒は無いので光は放たない。 髪も髪飾りもドレスも日傘も全てピンクっぽい赤色。ただし髪の裏側は白。 髪は毛先に行くほど白く、長さが揃わず鋸のようにギザギザになるくせ毛。 ドレスは白い横縞が薄っすらと入り、見えないが白いモコモコ靴下を履いている。 またドレスの裾は血が流れたように細かく分かれ、普段は引き摺って歩く。 とにかく血が出やすい特異体質で、擦り傷切り傷鼻血なんかは日常茶飯事。 すぐ流血するので生傷が絶えず、必ずどこかに包帯か絆創膏がある。 体中に血の滲んだ絆創膏や包帯を巻いている。傘の返り血は実は自分の血。 本人は怖がらせているつもりだが、周囲からは「可愛い♪」と弄られている様子。 性格は真逆で実に温厚。薄着だが夏は嫌いで、涼しい場所でぼんやりしている。 近縁なアカとはお互いを理解し合う親友。だがちゃんと住み分けはしている。


■学名:Mycena lux-coeli Corner

■食毒:食毒不明
■分類:クヌギタケ科 クヌギタケ属
■和名:シイノトモシビタケ (椎の灯火茸)
■写真:写真ページ
■娘名:椎野 灯 (シイノ アカリ)

■菌解説:
小型のクヌギタケ属菌。熱帯性のキノコで、梅雨時~夏にかけてシイの朽木に発生。 日本特産で初発見は八丈島。その後伊豆諸島や紀伊半島などでも発見されている。 発生地が極めて少ないため、国内産のキノコとしては最も貴重なキノコの1つ。 種小名の意味は「天国の光」。とてもロマンティックな名前が与えられている。 傘は淡紫褐色で周囲には条線。傘は開いても円錐形を維持し、中央部は濃色。 ひだは白色で、傘と同色の縁取りがあるのは本種の同定に有効な肉眼的特徴。 柄は白色~淡褐色で上部ほど淡色のことが多い。基部には長い白色菌糸は生える。 世界でも数少ない発光性を持つ種であり、比較的明るく発光する。 子実体全体が発光するが、特に傘とひだ、柄の上部が強く発光する性質がある。 暗闇での見た目はホタルの発光に似るが、点滅しないのですぐに分かる。 菌糸に発光性は無く、光るのは子実体のみ。老成すると光は弱くなる。 食毒に関しては不明。貴重な種であり本種の解明はこれからである。

■娘解説:
かなり小柄の娘さん。明るい場所では全然目立たないが、暗い場所では凄いのよ。 髪の色は淡い褐色で頭頂部ほど色が濃い。髪の裏側には濃色の縦線が入っている。 おでこ付近に強いクセッ毛がある。瞳の色は鮮やかな緑色で暗闇で強く光る。 毒キノコ勢のような奥から湧き上がる光ではなく、瞳全体が発光している。 また首からシイの葉をかたどった蛍光樹脂製のペンダントを下げている。 これは作者が他の発光性のキノコの菌糸と勘違いしていた名残りだったりする。 ロングドレスワンピースは下の方に行くほど髪と同じ色を帯びる。 ドレスの基部には白い綿毛の飾りがあるので、履いている木靴が見えない。 手にはいつも銅製のカンテラを持ち、周囲を優しい光で照らしてくれている。 暗い場所では美しく光り「妖精のようだ」と好評だが、明るい場所では一転。 本来のカラーリングは地味極まりないので、すぐ近くに居ても気付かないレベル。 寒がり。性格はとにかく引っ込み思案で、暗い場所でもそのスタンスは変わらない。 無口で社交性は皆無だが、構ってもらえるのはまんざらでもないご様子。


■学名:Mycena sp.

■食毒:食毒不明
■分類:クヌギタケ科 クヌギタケ属
■仮称:アリノトモシビタケ (蟻の灯火茸)
■写真:写真ページ
■娘名:蟻野 灯 (アリノ アカリ)

■菌解説:
極めて小型のクヌギタケ属菌。梅雨時~夏にかけて広葉樹林地上に点々と発生する。 菌糸の侵入した落葉から発生するが、シイ属の花序から発生していることが多い。 子実体は全体的に淡黄色で傘はやや褐色を帯びる。子実体が極めて小型のため肉が透けて見える。 傘は大きいものでも直径2mm程度と極めて小さく、円錐形~鐘形で平には開かず、周囲に条線を持つ。 柄はやや粗面で淡黄色、周囲の腐植にぶつかって不規則にうねっていることが多い。 発光性を持つのは傘だけであり、柄や基部、菌糸などは発光しない。 子実体が極めて小型のため発見は難しいが、発光自体は強いので真っ暗闇では見付けるのはさほど難しくない。 現状では小型の発光菌を「アリノトモシビタケ」と総称しており、あくまでも仮称扱い。 そのためこの名で呼ばれるものの中には複数種が含まれているので注意。 上記特徴のタイプが典型的なものであると判断した。 まだ研究段階であり食毒は不明だが、極めて小型のため食用には適さない。

■娘解説:
昼間は地味すぎて目立たない上に、目立つはずの夜でも比較的控え目な小柄の発光娘。 比較的小柄の椎野灯嬢よりも頭一つ分くらい背が低い。 全体的に淡い色合いのコーディネートが好き。髪は淡い黄色え毛先はややブラウン。 髪は頭頂部付近のつむじから放射状に波打っており、真っすぐ立つと右目がメカクレになる。 ワンピースは白色だが裾付近はやや黄褐色になる。ネックレスの装飾はアリ。 茶色のグラディエーターサンダルを着用しているが、これはシイの花序を模している。 金属製の手燭を愛用しており、夜は蝋燭の明かりを持って森を散歩するのが趣味。 暗闇で光るのは髪と瞳、アリの装飾だけでワンピースには発光性は無い。 性格は臆病で引っ込み思案。昼間は気配を消していて真横に立っていても気付けないレベル。 同じ発光キノコの椎野灯嬢や銀河嬢とは中が良いが、月夜嬢は何となく怖くて話しかけられない。 アリのペンダントを着けているが昆虫としてのアリはそれほど好きではない。 首や腰の定まりが悪く、いつも身体をゴキゴキくねるのが癖になって困っている。


■学名:Neoboletus venenatus
          (Nagas) G. Wu & Zhu L. Yang

■食毒:猛毒
■分類:イグチ科 Neoboletus属
■和名:ドクヤマドリ (毒山鳥)
■写真:写真ページ
■娘名:山鳥 毒美 (ヤマドリ ブスミ)

■菌解説:
大~超大型のNeoboletus属菌。秋に亜高山帯針葉樹林の地上に単生~少数群生。 樹種はコメツガ、シラビソ、エゾマツ、トドマツなどマツ科の多くの属にまたがる。 また発生地域が亜高山帯に限られるため、国内分布はかなり狭いと考えられる。 傘は淡い黄褐色でビロード状。成長すると表面が滑らかになり、やや粘性を持つ。 また幼時の傘の内側への巻き込みが比較的長い間残っている。 管孔は淡い黄色で傷付くと青変するが、変色性は弱い。柄には網目は無い。 柄は幼菌時白色で成長すると黄色みを帯び、最上部が細く、柄の中程~下部が太い。 柄の上部に赤褐色のしみの環ができるが、個体によっては見られない。 特徴が少ないが、全体的に彩度の低い黄褐色と覚えておくと雰囲気で疑える。 「イグチに毒無し」の迷信を真っ向から否定する代表的な猛毒菌。 誤食すると激しい胃腸系の中毒を引き起こすため高いレベルの注意が必要。 ちなみに種小名の「venenatus」も「毒物性の」の意味を持つ男性形容詞。

■娘解説:
全体的に黄褐色で統一されたビロード生地を身に纏う少しお高くとまった娘さん。 髪は黄褐色でボサボサしており、内側に巻き込む強いクセッ毛持ち。ギザ歯娘。 髪の内側は色が淡く、傷むと青くなる。瞳の色は淡い青色で強烈な赤い光を放つ。 目の周囲の赤いメイクは鳥類の「ヤマドリ」の顔を模したもので非常に目つきが悪い。 腰に巻いた帯を後ろに長く垂らしているのも、ヤマドリの尾を意識している。 マフラーと手袋、ハイヒールはシラビソの毬果の模様の柄になっている。 ワンピースは白→黄のグラデーションで、腰が太く、裾には黄色い綿毛をあしらう。 ちょうど腰の位置に赤い環ができており、着ると勝手に出来てくるらしい。 目と口を閉じていると顔つきは穏やかで、実際性格もそこまで荒々しくない。 人見知りで人前に出る事を好まず、高い山で一人のんびり暮らしている。 ただ自分の仲間に毒キノコは無いと未だ信じている人間は心から軽蔑している。 大きなお尻に悩まされているらしいが、その分一族の中では胸は大きい。 毒キノコと知って会いに行ってあげると素直に喜ぶ意外と純粋な娘。


■学名:Nyctalis lycoperdoides (Bull.) Konrad
          & Maubl. Quél

■食毒:食不適
■分類:シメジ科 ヤグラタケ属
■和名:ヤグラタケ (櫓茸)
■写真:写真ページ
■娘名:櫓屋 望星 (ヤグラヤ ミホシ)

■菌解説:
小型のヤグラタケ属菌。夏~秋にかけて老成したクロハツやクロハツモドキの上に発生。 他のベニタケ科菌にも発生するが、自然界ではほとんど上記2種の上で見られる。 傘、ひだ、柄、全て白色。基部には白色菌糸を持ち、そこから多数群生する菌生菌。 傘は時間が経つと頂部から褐色の厚膜胞子に変化して飛び散る。 本種はひだに胞子を形成する有性世代では「Nyctalis」属に呼び名が変化する。 しかしほぼ確実に傘が厚膜胞子化するためその時は「Asterophora」属になる。 黒い傘に白い斑点ができる事、胞子に星のような突起を持つのが名前の由来。 また胞子の散布方法がホコリタケ属(Lycoperdon)」に似ているのが種小名の由来。 ひだは白色~クリーム色で離生~湾生。やや不完全で互いに連絡する。 またひだが形成されないことがある。柄は白色で表面にやや縦の凹凸がある。 肉質は脆く、強い粉臭を持ち、基礎となるキノコが有毒なので、食用不適。 同様の生態を持つ種に傘に繊維状の模様を持つナガエノヤグラタケが存在。

■娘解説:
いっつも黒い椅子を持ち歩き、歩く時以外は必ず上にいるお座り系白色女子。 モコモコしたファー的な衣服を好み、上から下まで白系で統一している。 髪は白で裏側はややブラウンで乱れる癖っ毛。瞳は黄土色で瞳に「☆」がある。 体質的に凄まじい量のフケが出、頭の上に降り積もって帽子のようになっている。 また彼女のフケは徐々に星形になって飛び散るため、あまり不潔な感じがしない。 星柄のタンクトップは首筋がやや星形。スカートとブーツは白いファー仕様。 光学迷彩のタイツを履いているので向うが透けて浮いているように見える。 ただし脚を組んでも股が隠せないのでパンツが丸見えになる。ちなみに色は黒色。 椅子は普段脚を縮めて持ち歩き、座る際はめいいっぱい上げて足を浮かせる。 二重人格で夜のように暗い性格の「みほし」が居るらしいが、見た者は居ない。 性格は大人しくあまり社交的ではないが、ベニタケ科の娘たちには急にドSになる。 S・ニグリカ嬢には嫌われ、茶狐嬢には好かれている。趣味は天体観測。 パンチラに関しては「素肌見えないから恥ずかしくないもん!」とのこと。


■学名:Omphalotus japonicus
          (Kawam.) Kirchm. & O.K. Mill.

■食毒:猛毒
■分類:ツキヨタケ科 ツキヨタケ属
■和名:ツキヨタケ (月夜茸)
■写真:写真ページ
■娘名:静峰 月夜 (シズミネ ツキヨ)

■菌解説:
早ければ初夏から見られる中~大型のツキヨタケ属菌。広葉樹、特にブナの材上に発生。 以前は「Lampteromyces japonicus」だったが、検討の末、現在の名に落ち着いた。 傘は半円形~腎臓形で紫色を帯びた暗褐色。表面は平滑で多少ろう状の光沢がある。 ひだは白色でやや粗、胞子を飛ばすまでの若い間は暗闇で青白く光るのが和名の由来。 非常に短いが柄が存在し、途中につばがある。ひだがつばの付近まで垂生する。 また子実体を割くと柄の内部に黒いしみを生じていることが多く、同定に一役買う。 主な毒成分はイルジンS、Mなどの細胞毒。食後短時間で典型的な胃腸系中毒を起こす。 症状は嘔吐、下痢、腹痛など。重症化すると痙攣、脱水、ショックを起こす。死亡例もある。 その地味さと他の食菌との紛らわしさ故に食中毒事故が後を絶たない猛毒菌。 稀に柄が傘の中心に付く、内部に黒いしみが無いなど、個体差が大きいのもその理由。 生育環境によってシイタケやムキタケ、ヒラタケに酷似した形状になることがある。 その事故の多さ故に「キノコ食中毒の御三家」の一つと呼ばれる。

■娘解説:
黒を基調としたゴスロリ服に身を包む。何となく和ゴスをイメージ。描くのが難しい。 髪は褐色でヘッドドレスを着用。後ろ髪はぱっつんで裏側が緑色に光る。 三日月型のヒスイのペンダントを愛用。中に着ているドレスも裏側が髪と同様に光る。 瞳は緑色で、毒キノコ擬人化娘の中で唯一瞳が放つ光が赤ではなく緑の娘である。 また隠れた左目は瞳が生まれつき三日月型をしている。 黒いカボチャパンツは、内部に黒いしみを生じる本種の特徴をイメージしている。 不思議といつもどこかしらの方向にパンチラしているため絶対領域が存在する。 ピチピチのロングブーツを履き、ローアングルからの見た目にこだわりを持つ。 趣味は木登りでお月見が大好き。と言うか夜が好き。だが暗い性格ではない。 見た目はおっとりした印象を受けるのだが、御三家の名に相応しく悪さする気まんまん。 食中毒事故TOP3の中では比較的分かりやすい外見なので、間違う方が悪いらしい。 本人から「私そんなに強く光らないよ?カメラさんに騙されないで!」と事。



(右)
■学名:Ophiocordyceps ferruginosa
          (Kobayasi & Shimizu) G.H. Sung,
          J.M. Sung, Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食毒不明
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:サビイロクビオレタケ (錆色首折茸)
■写真:写真ページ
■娘名:首折 錆 (クビオレ ショウ)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルディセプス属菌。夏に朽木中のハエ目の幼虫から発生する。 冬虫夏草の一種で主にアブ(キアブ)の幼虫を宿主とするが、甲虫の幼虫からも発生。 低地から高地まで万遍無く発生が見られる普通種で、発生樹種も多岐に渡る。 子実体は宿主に直結するように発生し、通常は1本で多くても2本程度。 柄は褐色で途中で屈曲し、折れ曲がった部分の外側に結実部を形成する。結実部は錆褐色。 子嚢殻は暗褐色で埋生だが、子嚢殻先端がやや突出するのが特徴。 また稀に結実部が柄をぐるりと取り囲み、突き抜き型のようになる事もある。 食毒は不明だが極めて小型で食用には向かず、薬効に関しても良く分かっていない。 暗色に朽ちた材の表面に鮮やかなオレンジ色が見え、小型だが発見は比較的容易。 ヒトの生活圏近くでも見られ、ときに狭い範囲に大発生する事もある。 外見が良く似た種に大型化し全体が淡色のトカチクビオレタケが存在する。

(左)
■学名:Ophiocordyceps purpureostromata
          (Kobayasi) G.H. Sung, J.M. Sung,
          Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食毒不明
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:ムラサキクビオレタケ (紫首折茸)
■写真:写真ページ
■娘名:首折 紫 (クビオレ ユカリ)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルディセプス属菌。夏に朽木中の甲虫の幼虫から発生。 前種とは首折れ型な点で共通しているが、本種の宿主はコメツキムシの仲間。 また低地でも見られはするが、主に冷涼なブナ林帯を好み、発生もやや稀。 柄は淡紫色で途中で屈曲し、曲がった部分の外側に淡紫色の結実部を作る。 子嚢殻は埋生で先端部も突出せず、紫色の孔口が細点状に並ぶ。 老成すると紫色が薄れ褐色になるため、アシグロクビオレタケと間違えやすい。

■娘解説:
色合いに個性あふれる朽木生冬虫夏草コンビ。二人ともいつも首を傾げている。 仲は良いが実の姉妹や双子と言うワケでもなく、実は会う機会も意外と少ない。 それは暑さが平気な錆とは異なり紫が涼しい場所好きで普段高い山に居るため。 髪色や瞳はそれぞれの名の通りの色合いだが、紫の方がややクセ毛気味。 また紫は右、錆は左に、部分的に色ムラのある大きなクセ毛の塊がある。 ワンピースは紫がコメツキムシ、錆がキアブの幼虫をイメージしたデザイン。 首は曲がった状態がデフォルトなので、まっすぐにしようとするとスジが逝く。 二人ともサンダル愛用。錆の方がやや腰回りが太いような気がする。失礼。 会う際は基本的に錆が動く側だが、たまに気を遣って紫が会いに山から下りてくる。 性格は紫がサッパリ、錆がしっとり。似た者同士だけど不思議な距離感がある。



■学名:Ophiocordyceps formicarum
          (Kobayasi) G.H. Sung, J.M. Sung,
          Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:マルミアリタケ (丸実蟻茸)
■写真:写真ページ
■娘名:蟻生 丸実 (アリウ マルミ)

■菌解説:
小型のオフィオコルディセプス属菌。各種アリの成虫を宿主とする冬虫夏草。 多くはマツなどの針葉樹の朽木に営巣したムネアカオオアリの女王から発生する。 ただミカドオオアリなどの別種や、働きアリ、稀に有翅型のアリにも感染する。 発生時期は多くの冬虫夏草と同じく梅雨~夏だが、関西では早春から見られる。 早ければ4月初旬から見られ、環境によっては狭い範囲に大発生する。 子実体の本数や大きさは宿主の大きさに比例し、1~5本が頭部や胸部から発生。 宿主が大型の場合は腹部からも発生する。子実体は全体が淡い橙黄色。 柄は材の隙間を縫うように進むため長く、不規則に歪んでいる事も多い。 結実部はギボウシ形~球形。子嚢殻は斜埋生型で先端部が濃色の疣状に並ぶ。 アリ生虫草としては一般的な種で、沢の無い比較的乾燥した場所でも見付かる。 近縁種に結実部や子嚢の長さが異なるアリタケが存在するが、同種の可能性もある。

■娘解説:
整った容姿でシュッとした見た目のタキシード虫草娘。身なりはキッチリ。 髪は黒に近い褐色で2本の触覚状のクセ毛がある。左右のおさげはやや淡色。 首筋辺りから髪が急激に橙黄色なり、先端は膨らむのでリボンでまとめている。 あまりに長すぎるので5本中2本はタキシードの中を通して腰から出している。 インナーは褐色のモコモコした生地を愛用し、首筋や袖からハミ出している。 赤いシャツの上に赤いベストを重ね、その上に胸周りの赤いタキシードを着ている。 タキシードの後ろは大きく垂れ、裏地の模様がアリの腹部を模している。 縦縞の入った細身のズボンに裏地が褐色のファーのブーツを穿いている。 性格はマイペースで穏やか。好きな事は寝る事。これに尽きるらしい。 まだ肌寒い時期にも関わらず野外の様々な場所で寝ている。 寝床は木の洞の中だったり落ち葉に埋もれた状態だったりと場所は選ばない。 ただ寝る時は長い髪の方向をキッチリそろえ、良い姿勢で惰眠を貪っている。 同じタキシードを愛用する瘤果嬢とは仲良しではあるが頻繁には絡まない。


■学名:Ophiocordyceps neovolkiana
          (Kobayasi) G.H. Sung, J.M. Sung,
          Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:コガネムシタンポタケ (黄金虫タンポ茸)
■写真:写真ページ
■娘名:黄金山 タンポ (コガネヤマ タンポ)

■菌解説:
小型のオフィオコルディセプス属菌。小型とは言えど冬虫夏草としては大型の部類。 梅雨~初夏に朽木中のコガネムシの幼虫から発生するが、幼菌は早くから見られる。 一般には広葉樹林帯の虫草で、特にブナ林帯では安定して発見できる。 宿主体表は白色の菌糸膜で覆われ、そこから無数の黄色の側枝を生じる。 その内の数本が橙色で不規則な球形の結実部を形成、それ以外は不稔となる。 子嚢殻は埋生で子嚢胞子は糸状で、32個の二次胞子に分裂する。 子実体が大きく色的にも目立つため、目線さえ合えば発見できてしまう。 また子実体が頑丈で宿主が材の浅い場所に居るため採取もかなり容易。 朽木生虫草の入門種的存在と言える。しかし発生が環境に大きく影響される傾向が強い。 そのためある場所には大量にあるが、無い場所には徹底して無い。 食用価値も薬用価値も無いが、外見がとても美しく観察用としては優秀な種。

■娘解説:
比較的穏やかな色彩の娘が多い冬虫夏草の中でもひときわ目立つその髪。 鮮やかな黄金色かつ凄まじいボリュームの髪を持つ虫草お嬢様。 髪はあまりのボリュームゆえに何ヶ所か三つ編みにし、先端は丸めている。 しかし多すぎて束ねきれないため、それ以外の髪はボサボサにハネている。 また前髪ともみあげ、頭頂部の髪だけは暗褐色になっている。 そのワリにまゆ毛とまつ毛は真っ白。瞳の色は鮮やかなオレンジ色。 花の飾りが両側に付いたカチューシャを着けているが、髪と同色で見えづらい。 首にはたるんだグレーのネックウォーマー。腕には褐色のアームカバー。 ゆったりした肩出しワンピースは裾の部分が絞られている。素足派。 胸元の装飾と胴体横のポイントはコガネムシの幼虫を模したもの。 普段は朽木をくり抜いて作った一人分の広さの小さな家に住んでいる。 ただ髪は量的に収まらないため窓から髪だけを出している。 おっとり系女子で性格はマイペース。体を丸めていると落ち着くそうだ。 髪は結んでも結んでも崩れてしまうので会うたびに結び直して髪型が変わる。


■学名:Ophiocordyceps nutans (Pat.) G.H. Sung,
          J.M. Sung, Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:薬用
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:カメムシタケ (亀虫茸)
■写真:写真ページ
■娘名:亀ケ谷 フー (カメガヤ フー)

■菌解説:
小型のオフィオコルジセプス属菌。春~秋にかけてカメムシの死骸から発生。 宿主はクサギカメムシやハサミツノカメムシ、ツマキヘリカメムシ等数十種。 子実体は非常に細長く、宿主の頸部や胸部横から通常1本のみ発生する。 柄は強靭な針金状で細く捻れており、表面には鈍い光沢がある。 先端部は橙紅色でその下は橙黄色となり、黒い柄とのコントラストが美しい。 やがて赤い先端部の先に子嚢殻を持つ橙黄色の結実部が形成される。 結実部は普通先端が丸い円筒形で、成熟すると下方に垂れるのが種小名の由来。 子嚢殻は斜埋生型で先端の孔口は表面にほとんど突出しないため細かな点に見える。 成熟すると孔口部から糸状の子嚢胞子を噴出する。 子実体が目立ち、発生量も多いので発見が容易。 また宿主が落葉に埋もれているだけなので採取やクリーニングも簡単。 福岡県の八女地方では「フーのトウ」の名で薬用として利用されていた。 先端部にエダウチカメムシタケ(Hirsutella nutans)が重複寄生することがある。

■娘解説:
ハサミツノカメムシをイメージしたスケートボードが相棒のスレンダー娘。 冬虫夏草のくせに妙に小奇麗で不気味さをあまり感じない。ただしボードは除く。 髪はオレンジ色で部分的に細かな点が入り、毛先は赤色を経てまたオレンジに戻る。 やたら長く伸びた白髪があるので部分的にリボンで縛っている。 時々髪の一部に変な白いキノコが生えてくる。 最初はウザかったが先端が黄色く可愛いのでアクセントとしている。 瞳はオレンジで中央が赤。胸元には六角形の亀を象ったペンダント。 裾が斜めになったドレスと、腕の長さの倍はあるアームカバーを着用。 デニムパンツやブーツも含めて全て光沢のある生地を用い、全体的に捻れている。 ブーツはファスナーすらも捻れており、靴底部分はカメムシ型になっている。 性格は活発で社交的、愛用のボードに乗って色んな場所に遊びに行く。 ただ妙に頭が低すぎるようで、必要以上に罪悪感を感じ謝ってしまうのは悪い癖。 好物は当然カメムシ。本人は「何故皆あんなに嫌うの?」と不思議に思っている。 実は身体が硬く、スケボーはあまり上手くなかったりする。


■学名:Ophiocordyceps odonatae (Kobayasi) G.H. Sung,
           J.M. Sung, Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:ヤンマタケ (蜻蜒茸)
■写真:写真ページ
■娘名:飛龍 蜻蜒 (ヒリュウ ヤンマ)

■菌解説:
小型のオフィオコルディセプス属菌だが、宿主のサイズによっては中型にもなる。 梅雨~夏にかけて、小枝にしがみついたトンボの成虫から発生する気生型冬虫夏草。 宿主はミルンヤンマやノシメトンボ、アキアカネなど多岐に渡る。 脚と菌糸で枝に固定された宿主の体節部から鮭肉色の子実体(分生子柄束)を多数発生。 圧倒的に無性世代のヤンマタケが多く、有性世代ではタンポヤンマタケとなる。 成熟時期は上記の通りだが、実際の感染は前年で、未熟な状態で越冬する越年生。 ミルンヤンマなどの大型種に感染した場合は非常に迫力があるが、 翅の付け根が菌糸に冒され脆くなるため、翅が脱落していることが大半。 また降雪や風雨によって枝ごと地面に落下していることも多い。 食毒も薬効も不明だが、その発見の難しさから冬虫夏草の花形と言っても過言ではない。 頭上を見ていると普通の冬虫夏草が見付けられないため狙って探すのが難しく、 「偶然出会うしかない」とまで言われる。

■娘解説:
暇があったら捕まりやすそうな木に腕の力だけで掴まっている超腕力娘。 肌の色はやや濃い目で瞳の色はオレンジ。鼻筋と両頬に黒のテーピングをしている。 大きな艶消しシルバーのサングラスを愛用。ベルトのバックルはトンボ柄。 ヘソ出しのジャンパーとスキニーパンツは何種類もの絵柄をコレクションしている。 お気に入りは黒と黄色を主体としたものだが、他にも黄色の面積が多いものや、全体的にオレンジ色のものもある。 腕にはグローブをしているが、足は使わない主義なのでハイヒール固定。 特徴的なクリーム色のボサボサ髪は毛先がオレンジ色になる体質。 髪はジャンパーを通ってパンツの中に入れ、破れた穴と裾からハミ出させている。 翅を模した薄いスカーフを巻いているが、すぐに破れてどこかに落としてしまうので少し困っている。 性格は活発でスラリとしたモデル体型に似合わぬ筋肉バカ。 座右の銘は「上を向いて歩こう」だが目線の高さも悪くないと思っている。 腕力は申し分無いが、彼女が疲れるより先に枝が持たず、良く枝ごと落下して放心しているのが目撃される。


■学名:Ophiocordyceps ootakii
          Araújo, H.C. Evans & D.P. Hughes.

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:タイワンアリタケ (台湾蟻茸)
■写真:写真ページ
■娘名:筑紫葉 ウテナ (チクシバ ウテナ)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルディセプス属菌。ほぼ一年中見られるが、主な発生時期は夏。 葉裏に付いアリの成虫、主にチクシトゲアリの死骸から発生する。 感染したアリは空中湿度の高い沢筋のシダなどの各種植物の葉裏に移動。 そこで葉脈(普通は最も太い主脈)に噛み付いた状態で絶命する。 その後、脚や触覚などの節から菌糸が張り葉裏に固定される。 そして宿主の頸部から灰褐色のストローマが伸び、その途中に結実部を形成する。 結実部は通常1~3個形成され、紫褐色~黒褐色。子嚢殻は埋生で先端部がやや突出する。 複数個体が同一箇所に見られることが多く、1枚の葉の裏に何匹も付いている事もある。 宿主の着生に一定のパターンが見られ、胞子を拡散しやすい位置に必ず発生する。 そのため菌が宿主をコントロールしているのではないかとの説もある。 近縁種に宿主や着生の仕方が異なるイトヒキミジンアリタケやクビオレアリタケが存在。 和名に「台湾」の文字が含まれるが、分布は世界中に及んでいる。

■娘解説:
いつも大きな葉の裏側に逆立ち状態で貼り付いている上下反転系女子。やや褐色系。 髪は黒褐色で基本的にはショートだが、前髪と後ろ髪の一部が極端に長い。 前髪は2ヶ所だけが長く伸びて触覚のようになっている。 後ろ髪は本人の伸長並に長く伸び、一部だけ乱れるのでリボンで巻いて固定。 頭部の左右で三つ編みした髪の束を巻いてたものはアリの目をイメージ。 瞳は灰褐色で濁っており輝きが無い。八重歯持ち。 首に巻いたスカーフは髪留めのリボンと同じでくすんだ紫色の縞模様。 グローブやズボンの裾の茶色いファーは菌糸を模している。 へそ出しルックの黒いシャツの胸元には「ANT」の文字が入っている。 ズボンは黒のデニム生地で膝より下は赤みが強くなっている。 ベルトはスカーフと同じ色と模様で腰の後ろに黒いトゲの装飾がある。 サンダルは茶色で底の大きな爪である程度の太さの物に噛み付きぶら下がることが可能。 性格はマイペースでジメジメした場所と葉っぱの下が大好き。好きな昆虫はアリ。 彼女の周囲ではアリが変な動きをする。糸引ミジン嬢とは親友。


■学名:Ophiocordyceps pulvinata Kepler,
          Kaitsu & Spatafora

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:コブガタアリタケ (瘤形蟻茸)
■写真:写真ページ
■娘名:蟻生 瘤果 (アリウ ルカ)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルディセプス属菌。夏に小枝に噛み付いて死んだアリから発生。 一本の枝や一つの植物体に何体もの着生が見られるほど集中して発生する。 宿主は大半がムネアカオオアリの働きアリだが、ミカドオオアリから発生する場合もある。 本種に感染した宿主は細い枝に噛み付き、しがみついたままの状態で事切れる。 やがて腹部や胸部はしぼみ、頭部と胸部の境目から子実体を生じる。 子実体は暗赤褐色で隣接した結実部は癒着し、襟巻き状になるのが特徴。 柄が存在しないため、当初はTorrubiella属だと思われていた。 実際にはタイワンアリタケに極めて近縁な種であることが判明している。 標高の高い場所や高緯度地域で比較的多く見付かり、アリ生冬虫夏草としてはやや稀。 ただし近年になって発見が相次いでおり、一般的な種である可能性もある。 食用価値も薬用価値も無いが、発生状況が面白いため観賞価値はかなり高い。 また本種にはツブガタアリタケと言う別の冬虫夏草が時たま重複寄生する。

■娘解説:
寝ている時も起きている時も抱き枕を決して手放さない自称「働き者」。 ひっぺがそうとすると凄まじいアゴの力で枕を噛んで離れないほどの枕愛好家。 のんびりしていていつも眠そうだが、噛む力だけは普段から鍛えている。 髪は黒に近い褐色でシニョン部分と触覚部分だけが明るい色。 もみあげは長く伸び、寝返りを打つたびに枕に絡み付く。 また後頭部の髪だけは色が赤褐色で強烈な寝癖でアフロ状に膨らむ。 衣装は胸から腰にかけてが赤いタキシード。中に着ているベストも赤色。 タキシードの裏地には黄色い横縞が入り、アリの腹部のように見える。 縦縞の入った細身のズボンにブーツを愛用。身なりだけは整っている。 性格は起きていても寝ているかのようなおっとりさ。 暇さえ有れば抱き枕にガッチリしがみついてうたた寝をしている。 当然本当の木の枝も丁度良い太さの物が有れば無性に抱き付きたくなるそうだ。 抱き枕カバーは木の枝調の模様の物しか認めない強いコダワリを持つ。 「抱き枕と結婚したい・・・」が口癖。タキシードだが働く気は無いようだ。


■学名:Ophiocordyceps rubiginosoperitheciata
          (Kobayasi & Shimizu)G.H. Sung,
          J.M. Sung, Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:オイラセクチキムシタケ (奥入瀬朽木虫茸)
■写真:写真ページ
■娘名:奥入瀬 冬実 (オイラセ フユミ)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルディセプス属菌。冬虫夏草としては珍しく冬に成熟する。 発見地の奥入瀬にちなむ名前だが、実際には全国的に、特に西日本に多く分布する。 宿主は小型の甲虫の幼虫で、朽木表面に露出していることが良くある。 子実体は太針型で体節部から発生し、基部には短毛が密生している。 子実体は秋頃に発生し、2月頃に成熟し子嚢殻が形成される。 同属菌にはあまり無い紅色を帯びた褐色の子嚢殻がややまとまって裸生する。 子嚢殻の透明度が高いため光に透かすと鮮やかなオレンジ色に見え美しい。 胞子は糸状で7つの隔壁を持ち、二次胞子には分裂しない。 不稔個体が多いのも特徴で、未熟のまま4年もの間生存した記録が残っている。 極めて小型で薬用価値も無いため利用価値は無い。 発生時期が冬場のため服装的に不快度が低く捜索がしやすいのがありがたい。 ただしその小ささと発生する樹種の幅広さから発見は決して容易ではない。

■娘解説:
冬虫夏草が鳴りを潜めた冬場に起き出す、冬虫夏草ならぬ夏虫冬草娘。 そのため比較的露出が多い虫草娘の中でも群を抜いて厚着をしている。 髪は淡黄褐色で毛先ほど白い。後ろ髪が極端に長い。 部分的にオレンジ色になる髪は飾りの付いた白いリボンで束ねている。 また髪表面に大好きなスペサルティンガーネットがちりばめられている。太眉。 瞳の色はオレンジ。茶色い毛糸で編まれた帽子は筒状で髪を通している。 愛用の細身のダウンコートは甲虫の幼虫を模した黄褐色。 たまに縫い目の部分から黄ばんだダウンが漏れてきて困っている。 袖と裾にやや黄ばんだ白いファーがあしらわれている。手袋とブーツは黒。 ストライプ模様のマフラーはまた別の甲虫をイメージしている。 正確が天邪鬼なのは冬虫夏草なのに冬に活発になるため。 他の虫草娘らが大人しくしている時期の方が好き勝手できて気楽だそうだ。 案外目立ちたがり。好きな季節はもちろん冬。好きな都道府県は青森県。 雪の中を歩く姿を見た他の夏派虫草娘らから「信じられない」とのコメントが・・・。


■学名:Ophiocordyceps satoi
          Araujo, H.C. Evans & D.P. Hughes

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:クビオレアリタケ (首折蟻茸)
■写真:写真ページ
■娘名:首折 蟻乃 (クビオレ アリノ)

■菌解説:
小型のオフィオコルディセプス属菌。成熟時期は夏だが発見だけなら年中可能。 細い枝に噛み付き、枝を抱くようにして死んだトゲアリから発生する。 子実体は褐色の首折れ型で、ストローマの複数ヶ所にまばらに歪んだ球形の結実部を形成する。 また基本的にストローマを3本出すのが特徴で、1本は他の首折れ型アリ生種同様に頸部から。 それとは別に前脚の付け根付近から左右に一対ずつ伸ばす。 イトヒキミジンアリタケ同様に非常に気中湿度の低い場所に出る傾向がある。 両種が同じ環境に出ることもあるが、本種は高い場所に出るため更に低湿度環境と考えられる。 見上げて探すのは難しいため、トゲアリの巣を探し、その周囲を探すことで見付けやすい。 以前はタイワンアリタケの変種とされていたが、現在は独立種となっている。 種小名は論文記載に際し標本提供を行った寄生虫研究者の佐藤拓哉氏への献名。

■娘解説:
凄いボリュームの髪をゆさゆさしている猫背な抱きつき魔。なお抱きつき力は相当なもの。 ほど良い太さのものなら何でも抱きついてガジガジ噛んでしまう困り者。 髪は黒で毛先ほど褐色になり、左右の短いサイドテールと触覚状の前髪だけが薄い色合い。 後ろ髪は自然と後ろ3方向に伸び、途中に複数ヶ所のボサボサと乱れた部分が出来る。 この部分は黒いワイヤーで巻いて固定しているが、実はハリガネムシを模している。 服はトゲアリを模したタキシードとスカートで、カラーリングも同様に似せている。 瞳の色は淡い灰褐色で濁っている。四肢の棘付リングと背中に固定した大きなトゲは鋼鉄製。 これと髪が重いため、ずっと猫背で歩くクセが付いてしまっている。 性格はおてんばで気が強く、若干盗み癖があるのが玉に瑕。 冬虫夏草娘にしては乾いた場所が好きなので、他の冬虫夏草娘らとは滅多に出会わない。 他のアリ生気生型娘らとは仲良しだが、特に糸引ミジン嬢とは大親友。 なぜか「佐藤さん」と呼ばれると振り返ってしまう。おかしいな・・・。 ちなみに名字は「首折」だが錆嬢や紫嬢とはあまり付き合いは無い。


■学名:Ophiocordyceps sp.

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:ハマキムシイトハリタケ (葉巻虫糸針茸)
■写真:写真ページ
■娘名:粒針 葉巻 (ツブハリ ハマキ)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルジセプス属菌。地域によって時期が異なるが、主な発生は夏。 モミの葉で作られた巣の中のハマキガなどの小型のガの幼虫から発生する。 子実体は細長い針タケ型で長さは1cmから大きくても1.5cm程度。 柄は白色でやや褐色を帯び、不規則に曲がりながら先端に向かって細まる。 その途中に暗褐色の子嚢殻をある程度まとまって形成する。 子嚢殻は柄に対して裸生し、先端の孔口から糸状の子嚢胞子を噴出する。 小型で細いため地上生の冬虫夏草としては発見難易度が極めて高い。 見付けるためには広い林床を匍匐前進し目線を可能な限り低くする必要がある。 本種が見付けられれば大半の地上生の虫草は発見可能とさえ言われるほど。 外見が似た種にヒゲナガガなどを宿主とするハトジムシハリタケ(Ophiocordyceps sp.)が存在。 こちらはやや大型で宿主が異なり、子嚢殻も色も淡い褐色でまばらに付く。 食用には向かず薬効も無いので、愛好家のステータス的な存在と言える。

■娘解説:
知名度が低い上に目立たないため、存在自体に気付かれないことが多い地味娘。 しかし小柄でありながらじっくり見ると中々に妖しげな雰囲気を持つ。 瞳の色は淡い赤褐色。肌が褐色なので明るい色合いの髪が際立つ。 髪は部分的に茶色くなり、白いリボンで縛った無数の短いおさげは更に暗い褐色になる。 寝ている間に髪が立ち上がると言う不思議な寝癖の持ち主。 そのため起き上がると長い髪が真横になびいた状態になる。 モミの葉をイメージした短いマントを着用。後ろ2本の布だけが長い。 ドレスは複数の布を巻いたような構造になっており、右下に渦巻きの模様が入っている。 普段葉巻を手に持って行動しているが、これはただの葉で作ったダミーで非喫煙者。 靴は履かず素足派。一日の大半を森の中で寝て過ごしている。 髪が立ち上がっているが不思議と気付かれず、たまに上から踏まれて静かに泣く。 性格は大人しく引っ込み思案で、自分目当てに会いに来られると軽くパニックになる。 趣味特技は裁縫。針と糸の扱いには慣れており、衣服は全てお手製と言う凝り様。


■学名:Ophiocordyceps sp.

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:イトヒキミジンアリタケ (糸引微塵蟻茸)
■写真:写真ページ
■娘名:糸引 ミジン (イトヒキ ミジン)

■菌解説:
極めて小型のオフィオコルディセプス属菌。普通種で発生時期は一年中。 主な生育時期は夏期と思われるが、真冬でも成熟した個体が見られる。 宿主はミカドオオアリの場合が多いが、ムネアカオオアリからも発生する。 感染したアリは普通、林内の木の幹のオーバーハングした部分に噛み付いて死亡。 やがて茶色い菌糸が脚や顎の体節部から伸びて落ちないよう幹に固定される。 ストローマは頸部から発生し、灰褐色だが成長点付近は鮮やかな紫色を帯びる。 1宿主につき1~複数本発生し、1本につき1つの結実部を作るが、複数の場合もある。 結実部は黒褐色の円盤型で、子嚢殻は埋生。狭い範囲に大発生することが多い。 タイワンアリタケとは宿主、着生方法、環境が乾燥気味、結実部の形状などが異なる。 しかしタイワンアリタケに酷似し、実際に混同されていた時期もあった。 不思議と雨が当たりにくい場所にいる事から、宿主を操っている可能性がある。 古くなった本種には稀にアリノミジンツブタケが重複寄生する。

■娘解説:
フリークライミングが得意。いつも気に入った木の幹や岩に貼り付いている。 髪は暗灰褐色で毛先が紫色を帯びる。頭頂部左右の髪だけは色が薄い。 前髪は左右に分け、2ヶ所だけ長く伸びて触覚のようになっている。 後ろ髪は異様に長く伸び、途中の乱れた部分だけリボンで平らに留めている。 瞳の色は灰褐色でハイライトが無い。八重歯持ち。腹筋が凄い。 手と肘、袖と首元と足首には褐色菌糸を模した茶色いファー。 ヘソ出しルックの黒デニムでシャツの胸元には「ANT」の文字。 シャツの裾付近が赤いのはムネアカオオアリを意識しているため。 デニムに入った横縞はアリの腹部をイメージしたもの。 スニーカーは裏側に爪がついており、足の指をグッと握ると物を挟むことが可能。 ベルトと襟は黄白色で、しばらく洗わないと褐色のつぶつぶができてしまう。 菌糸手袋は強い力で壁面に貼り付くことができ、靴の爪と合わせて最強の装備。 何と顎の力だけで落ちずに留まる事もできる。性格は大人しくて無表情。 同属の筑紫葉ウテナ嬢とは大親友だが、ジメジメした場所はあまり好きではない。


■学名:Ophiocordyceps sp.

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:コツブユラギハリタケ (小粒揺針茸)
■写真:写真ページ
■娘名:小々粒 ゆらら (ココツブ ユララ)

■菌解説:
小型のオフィオコルディセプス属菌だが、非常に細長いため地下部を含め長さ15cmを超えることもある。 梅雨から夏にかけて地中のコメツキムシの幼虫から発生する地上生の冬虫夏草。 子実体は細長い針タケ型で、地中深くから地上に出て結実部を形成するまで不規則に曲がりくねるのが特徴。 ストローマは地下部が黒褐色で、地上部は先端に向かって紫褐色から茶褐色になる。 結実部は長いストローマに不釣り合いなほど先端に集中して形成され、黒色の丸い子嚢殻を多数裸生させる。 コメツキムシタケに似るが、全体的に細身、子嚢殻が小型で列状にならない、子嚢胞子が小さい等の違いがある。 また1つの宿主から複数年に渡って発生する性質があり、前年のストローマが残っていることが多い。 宿主はボロボロになっていることが多いが、尾部の形状からツヤハダコメツキ属と思われる。 発見例が少なく、古くから知られているが未記載種のままである。食毒や薬効は不明。 コメツキヤドリシロツブタケが重複寄生することがある。

■娘解説:
いつもゆらゆら。風に、場の流れに、その時の気分に、とにかくゆらゆらたゆたう優柔不断虫草娘。 肌はやや褐色気味。紫がかった茶髪だが、長く伸ばした髪は少し黄褐色気味になる。 また長く伸ばした髪には部分的に黒い髪のダマが出来る不思議な癖毛持ち。 瞳は黒色だが普段は超細目なので目の色は見えない。眉毛はゆらゆら変な形をしている。 黒のマニキュアを塗った爪は先端を細く研いで伸ばしており、指先まで自然にゆらゆらさせることが出来る。 紫色のレオタードは布部分も生地の模様もゆらゆらしており、左脚は片側のみのブラックジーンズ、 右脚にはコメツキムシの幼虫を模したブーツを穿いている。ブーツの足先はコダワリの二股構造。 先に述べた通り性格は優柔不断とマイペースの合わせ技で、良い娘なのだが非常に掴みどこが無い。 あっちへゆらゆらこっちへゆらゆら、スルースキルが無いと一緒に居るのは正直キツいと思われる。 ちなみに別に踊りが得意と言うワケでもないので、本当にただゆらゆらしているだけである。 特技は意外にも穴掘り。地面に首あたりまで埋もれていると落ち着くらしい。


■学名:Ophiocordyceps sp.

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:シャクトリムシハリセンボン (尺取虫針千本)
■写真:写真ページ
■娘名:尺取 千針 (シャクトリ チハリ)

■菌解説:
小型のオフィオコルディセプス属菌。越年性で一年中見られるが、主な成長時期は梅雨。 宿主は鱗翅目の中でもシャクガの仲間の幼虫に限られ、感染した個体は後脚で枝などに掴まったまま絶命。 その状態で越冬し、翌年の気温と気中湿度の上昇に合わせて成熟する。 子実体は針タケ型で、主に宿主の側面から複数本のストローマを発生させる。 その体中から針が突き出したかのような異様な姿からハリセンボンと表現される。 成熟するとストローマの表面に暗褐色の子嚢殻をまばらに裸生させる。子嚢胞子は糸状。 その生活環のために耐乾燥性に優れ、役目を終えた古い子実体でも長期間残ることがある。 比較的高い場所に居るため発見が難しく、本種との出会いは運に左右されることが多い。 探す際は気中湿度の非常に高い沢筋の枝などを確認すると良い。 古い子実体には一般的なマユダマタケ意外に、フタイロスカシツブタケが重複寄生することが多い。 冬虫夏草界隈では非常に人気があり、知名度も発見数も十分だが未だ正式に記載が為されていない。

■娘解説:
いつもどこかの枝に足の指の力だけでぶら下がっている小柄な冬虫夏草娘。 でも身体のワリに髪のボリュームが凄いのでパッと見は迫力がある。 髪は少しクリーム色を帯びた白色で太い束になるクセがあり、それを全て襟から服の中に入れている。 肌は健康的な褐色。瞳の色は黒で中心が茶色。白い太眉は肌との対比で良く目立つ。 服装はシワシワでボディラインに張り付く茶色のワンピース。 襟や裾は幼虫の脚を模しており、模様は「一尺」をcm換算した「30.303」のスケール。 ワンピースの側面には布を貫通するポケットがあり、そこから前述の髪を外に出している。 最初は白い髪だが、湿気が高くなると部分的にハネて黒っぽくなる特殊な髪質をしている。 足の指の握力は凄まじく、腕力自慢の飛龍蜻蜒嬢ですらその怪力には一目置いている。 性格はマイペースで行動も神出鬼没。狙って彼女に会うのは難しい。 特技は尺取りで指を開いて正確に長さを測ることができる。ワンピに出来る黒いダマに悩まされているそう。 ずっと逆さ吊り状態だと身体が凝るようで、たまに身体をぐぐっと反らしている様子が目撃される。


■学名:Ophiocordyceps superficialis
          (Peck) G.H. Sung, J.M. Sung,
          Hywel-Jones & Spatafora

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 オフィオコルディセプス属
■和名:ジムシヤドリタケ (地虫宿茸)
■写真:写真ページ
■娘名:ジムシー・ヤードリー

■菌解説:
小型のオフィオコルジセプス属菌。梅雨~夏にかけて林内地上に発生する。 和名にもなっている「地虫」とはコガネムシなどの昆虫の幼虫の俗称。 その名の通り地中深くの甲虫の幼虫を宿主とする冬虫夏草の1種。 発生環境も様々で広葉樹林だけではなくスギの植林などにも発生する。 子実体は太針型で地上付近で急に太くなる。 子嚢殻の形状が球形に近く、丸い粒のように見えるのが特徴。 しかも子嚢殻は裸生で密度もバラバラのため、やや異質な外見となる。ただし子実体先端には子嚢殻ができない。 柄は深く潜って地中のコガネムシの幼虫の頭部や頸部と繋がっており、脆いのでギロチンしやすいので注意。 宿主は特定困難だが、腹部の形状などからハナムグリの仲間の可能性がある。 胞子は糸状で8つと言うあまり多くない数の二次胞子に分裂する。 二次胞子は円筒状で内部に複数の油球が並んでいる。食毒は不明。 重複寄生菌に狙われやすく、シロサンゴタケやコメツキヤドリシロツブタケの犠牲になりやすい。 ただし白くなることで目立ちやすくなり、それが発見に繋がることもある。

■娘解説:
肌や髪はともかく服装までも全体的に褐色気味なのは土に触れる機会が多く、汚れが目立たないように。 土いじりが日課の褐色冬虫夏草娘。愛称は「ジムシー」。 アメリカ出身な気がしていたが、最近良くわからなくなって来ている。 髪は暗褐色、膝まであるロングで部分的に球状のくせ髪の塊ができる。 この球体は髪の毛だけではなく身体の他の部位の毛にもでき、そのため眉毛やまつ毛にも毛玉ができている。 肌は褐色気味。瞳の色は暗褐色で中心部だけはやや明るい赤茶色。防止は先端が尖ったデザイン。 ベアワンピースは上部が黄土色、下部が暗褐色のグラデーション。シロサンゴタケとコメツキヤドリシロツブタケが描かれている。 ベルトは子嚢胞子を模して区切り線が7本入っている。 靴は左がサンダルで右が甲虫の幼虫をイメージしたゴツいブーツを愛用。 趣味は土いじりなので手袋は欠かせない。 性格は言動にすぐホンネが出る、悪い意味では思慮浅い、良い意味では裏表がない感じ。キレやすい。 得体の知れない白い何かに追いかけられる夢をたまに見る。


■学名:Paraisaria heteropoda (Kobayasi)
          Luangsa-ard, Mongkols. & Samson

■食毒:食不適
■分類:オフィオコルディセプス科 パライサリア属
■和名:オオセミタケ (大蝉茸)
■写真:写真ページ
■娘名:蝉谷 大 (セミタニ オオイ)

■菌解説:
小型のパライサリア属菌。春に地中の各種セミの幼虫から発生する。 また湿度の高い沢筋などよりも比較的乾燥した場所を好む傾向がある。 そのため他のキノコを探している時に偶然見付かる事も少なくない。 子実体はタンポ型で地中では細く、黄色い細根状の分岐が存在することが多い。 地上部では柄が太くなり、色は淡黄褐色で基部は褐色。 先端部に不規則な球状の茶褐色の結実部を形成。子嚢胞子は糸状で二次胞子に分裂する。 子嚢殻は埋生で大量の子嚢胞子を飛ばすため、肉眼でも胞子飛散を観察できる。 結実部の色が淡いタイプはウスイロ、結実部が長いタイプはツツナガが和名の前に付く。 宿主はアブラゼミが一般的だが、ミンミンゼミやヒグラシなどからも発生する。 ヒトの生活圏の近くにも普通に発生し、深山よりも公園や庭などでも十分発見を狙える。 冬虫夏草としては大型なので発見や採取が容易で、虫草初心者向けの種とも言える。

■娘解説:
地面に下半身を埋めるのが大好き。上品な感じのなんちゃってお嬢様。 髪は茶褐色で濃色の斑点が浮かび上がっており、ショートでまん丸頭。 フケの量が凄まじく、風下に居ると咽そうになる。太眉娘。 セミの幼虫の装飾の付いた白い帽子を斜めに被っている。瞳は白濁している。 ドレスは全体的に褐色で胸元に向かって色が茶色→黄色→白色と変化する。 上半身は柄、下半身はセミの幼虫を模したデザインで腹部にはコルセット。 随所に結ばれた黄色いリボンは端が不規則に裂けて分岐している。 腰から下には菌糸を模した白いファーがセミ型の装飾品で固定されている。 背中のリボンは白濁したセミの目をイメージ。素足に木靴を履いている。 服装は高貴な雰囲気だが、本人の性格は凄く庶民派で馴れ馴れしい。 やや引っ込み思案が多い虫草娘の中でも社交性が特に高い。 好きな季節は春で、まだ寒さが残る早春辺りからソワソワし始める。 関節が軟らかく、色んな姿勢をとることができるのが隠れた得意技。 たまに思い立っては髪を脱色したり高く立ち上げたりして遊んでいるそうで。


■学名:Paralepistopsis acromelalga (Ichimura) Vizzini

■食毒:猛毒
■分類:キシメジ科 パラレピストプシス属
■和名:ドクササコ (毒笹子)
■写真:写真ページ
■娘名:毒嶋 笹子 (ブスジマ ササコ)

■菌解説:
中型のパラレピストプシス属菌。秋にスギ林、特に竹林に発生するのが和名の由来。 以前はカヤタケ属(Clitocybe)だったが属名変更となった。全体的に褐色系のキノコ。 傘は幼菌時は中央が凹んだまんじゅう型。後に漏斗型になる。 中央ほど色が濃く、表面に指で押したような模様が出来ることが多い。 傘の周囲は内側に巻き込む。ひだは傘より淡色で密、柄に対して顕著に垂生する。 柄は上下同幅だが下方が膨らむ場合が多く、基部には白色繊維状の菌糸を持つ。 毒成分は様々だが、主要とされているのはクリチジンとアクロメリン酸。 前者には血管拡張作用、後者には神経興奮作用があり、学名もこれに関連している。 発症のメカニズムは不明だが、誤って食すと手足の先端が赤く腫れ上がり激痛を生じる。 その痛みの強烈さは「焼け火箸で刺される」と表現され、驚くことに1ヶ月以上も持続する。 強力な鎮痛剤であるはずのモルヒネが効かず、残念ながら完全な治療法は無い。 毒素は致命的ではないが、水冷によって皮膚が剥がれた部位からの感染による死亡。 痛みに耐え兼ねた自殺の例がある。発症までの期間が長く、以前は風土病と思われていた。 恐るべき症状を示す猛毒菌なのだが、地味で香りが良いので誤食が後を絶たない。

■娘解説:
最大の特徴は手足に装着された不釣合な大きさの鋼鉄製のニードル付きアーマー。 赤熱しているが触れても熱くない。しかし忘れた頃に火傷が現れる遅効性なのが恐ろしい。 これでもエネルギーはこのアーマーで抑えられている。KOFのK'のグローブのようなもの。 ほぼ無乳。見た目は普通の女児なので、ゴツいアーマーが異様に目立っている。 伸長は低く、見た目は小学生くらい。髪は頭頂部が凹み、色は褐色で毛先が内側に巻く。 瞳の色は茶色。アーマー以外の衣服はシンプル。上半身は竹を模したタンクトップのみ。 純白のスカートと綿毛状のレッグウォーマーを着用。基部の白色菌糸がモチーフ。 性格は見た目通り子供っぽく無邪気。そのため故意でなくとも周囲に火傷を負わせそうになる。 本人は自分が持つ能力を理解し切れていない様子。無知は恐ろしい。油断禁物な問題児。


■学名:Peziza ammophila Durieu & Mont.

■食毒:食毒不明
■分類:チャワンタケ科 チャワンタケ属
■和名:スナヤマチャワンタケ (砂山茶椀茸)
■写真:写真ページ
■娘名:砂山 茶埋 (スナヤマ チャウズ)

■菌解説:
中型のチャワンタケ属菌。秋~初冬にかけて海岸の砂浜に点々と発生する。 種小名がオオハマガヤ属(Ammophila)と同じなのは発生環境が似る事による偶然。 子実体のほとんどが砂に埋まった状態で発生するので発見が非常に難しい。 一般的に砂浜に発生するキノコにはハラタケ型や腹菌型の種が多い。 そんな中で本種は世界的にも珍しい砂浜に発生する子嚢菌類の一つでもある。 子実体は全体的に橙褐色。幼菌時は中空の洋ナシを逆さにしたような形状をしている。 頂部の穴が裂けるように周囲の砂を押し退けて広がり壺形~深い椀形になる。 このため内部に砂が入りにくく、堆積物によって胞子の飛散を邪魔されにくい。 子嚢盤の外側は粗面。内側の子実層は滑らかで外側より色が濃い。 基部には太い柄が存在し、菌糸と砂が絡み合い断面を見ると多くの水を蓄えている。 これにより保水力の低い砂浜でも水分を確保することができる。 食毒は不明だが砂を多く付着させており肉質も脆いので食用には向かない。

■娘解説:
砂地大好き。引き篭もる場所には強いコダワリを持つ褐色肌の水着娘。自爆はしません。 普段は地下埋没型の寝袋(兼住居)に全身を入れ、袋の口を少しだけ開けて過ごしている。 中には生活に必要な物は全て揃っており、意外と居心地が良いらしいが詳細は謎。 髪は橙褐色で後髪をイネ科植物の茎で縛っており、毛先は潮風で砂が絡まっている。 強烈な風に晒されるので目鼻耳を隠せるようマフラーとゴーグルが手放せない。 瞳は草色なのだが長年の強風で目を細め、目付きが悪くなってしまった。巨乳。 水着はスカートタイプで灰色の砂柄にアメリカンビーチグラスのイラスト入り。 寝袋の中には砂を入れたくないのだが、不思議と彼女の足は砂が付いて落ちない。 性格は極度の引っ込み思案で超人嫌い。人が多い場所と時期は全力で避ける。 彼女に会うためには寒風吹き荒ぶ初冬の浜辺で目立たない寝袋の入り口を探すしか無い。 ノックすると面倒臭そうに顔を覗かせるが、寝袋の中には頑なに入れない。 口を完全に閉めると息ができないが、どうしても多少砂が入るのが悩みの種。


■学名:Phallus indusiatus Vent.

■食毒:
■分類:スッポンタケ科 スッポンタケ属
■和名:キヌガサタケ (衣笠茸)
■写真:写真ページ
■娘名:クイーン・シルキー

■菌解説:
大型のスッポンタケ属菌。属名はDsctyophoraが一般的だが、今回はPhallusを用いた。 梅雨時に竹林地上に発生するが比較的発生は稀。秋にも発生することがある。 幼菌は白色球形の「卵」で、この段階で既に子実体の組織が完成している。 早朝に幼菌頂部が割れ、組織全体が伸長して子実体が形成される。 そのため子実体の伸長速度はキノコの中でも極めて速い(成長ではない)。 また同時に短命でもあり、多くは午前中に萎れて倒れてしまう。 先端には円錐状の傘を持ち、表面は網目状で暗緑色の胞子を含んだグレバを付ける。 グレバは悪臭を放ち、集まったハエに胞子を付着させて遠くへ運ぶ。 托は中空で表面には小さな穴が無数に開いている。 傘の下部から特徴的な白い網目状のマントを広げるのが本種の最大の特徴。 その立ち姿の美しさから「キノコの女王」と呼ばれる。類似種が数種存在する。 悪臭を放つグレバを洗い落とした物を乾燥させて食用とすることができる。 中華風のスープに用いるが、我が国では一般的ではない。

■娘解説:
「クイーン」は名前でもあり称号でもある。皆から「女王陛下」と呼ばれる。 全体的に白くまとめているが、髪は深緑色で所々に網目状の色ムラがある。 髪型がどう見ても巻き●ソなのだが、周囲の者は気を遣って指摘しない。 髪の臭いに自覚はあるが、その他でカバーできているので気にしない。 全体的に貴金属が少なく、高価な装飾品は白金の王冠と卵形のネックレスのみ。 王冠の表面にはタケのレリーフ。肌は色白。胸元にはタケのペンダント。 白いドレスは部分的に丸く生地が薄い部分が存在する。瞳は美しい鮮緑色。 純白シルクの網目状マントを羽織い、下が擦るので前は歩く時は前を手に持つ。 ただ普段は邪魔なので下からクルクル巻いてマフラーとしてに収納している。 見た目通りの女王様。美貌を保つためには毎日のケアは欠かさない。 貴金属をあまり身に付けないのは、無くても十分美しいと言う自身の現れでもある。 気位は高いが性格としては実に温厚。立ち振る舞いも気品に溢れている。 午前中は元気が良いが午後からはグダる。またやたらとせっかちなのが玉に瑕。


■学名:Pholiota alnicola (Fr.) Singer

■食毒:
■分類:モエギタケ科 スギタケ属
■和名:カオリツムタケ (香紡錘茸)
■写真:写真ページ
■娘名:紡錘山 憂香 (ツムヤマ ユカ)

■菌解説:
小~中型のスギタケ属菌。初夏~秋にかけて朽木や埋れ木付近から多数束生する。 種小名は「ハンノキの住人」の意味だが、実際はアカマツやブナの朽木周辺に発生する。 「ツム」は糸を紡ぐための道具「紡錘(ぼうすい)」の古い読み方。 傘は最初まんじゅう形で平らに開き、黄色~黄褐色で多少粘性を持つ。 また古くなると褐色のしみを生じる。ひだは黄色で成長すると褐色になる。 柄は黄褐色繊維状で下方ほど色が濃い。上部に消失性で繊維状のつばを付ける。 また傘周囲にもつばの破片が残っていることが多い。肉にはやや褐変性がある。 和名にもある通り、肉に石けんに似た特有の臭気を持つのが本種最大の特徴。 その臭いは「若いトウモロコシの香り」とも例えられることがある。 地味な外見に似合わず有毒で、誤食すると嘔吐や激しい下痢等の胃腸系中毒を引き起こす。 時に同じスギタケ属のクリタケに似る事もあり注意が必要である。 しかし他の種には無い独特なにおいを持つため見分けるのは難しくない。

■娘解説:
常に周囲にセッケンの泡が舞っているため女子力の高い妖しい香りの持ち主。 地に足着けて歩くのが好きなので紡錘を模したステッキを持ち歩いている。 髪は黄褐色で滑子ほどではないがベタベタする。髪は後ろで幾つも団子状に丸めている。 また髪は傷んで来ると赤みを増すので手入れは欠かさない。髪裏はやや黄色っぽい。 瞳の色はオレンジ色で瞳の奥から赤い光を放っている。 首の周りと袖口は石けんの泡を蓄え、動くたびに千切れ飛んで周囲を舞う。 ドレスは黄褐色で下方ほど色が濃くなるグラデーションで、表面に縦縞がある。 また裾には複数の傘が束生する様子を模した装飾が成されている。靴は薄底。 胸元と腕のベルトはつばをイメージした物だが、お胸が控えめなので少し残念。 胸元にはトウモロコシのリアルなペンダントを着けている。 「紡錘」の名を持つ一族としては珍しい有毒種としての劣等感からいつも憂鬱そう。 体の香りはそれなりに自慢なようで、嗅がれる事はまんざらでもないご様子。 好物は香り的に新鮮なトウモロコシ。石けんで体を洗っている時が至福の一時。


■学名:Pholiota microspora (Berk.) Sacc.

■食毒:
■分類:モエギタケ科 スギタケ属
■和名:ナメコ (滑子)
■写真:写真ページ
■娘名:滑木 滑子 (ヌメリギ ナメコ)

■菌解説:
中~やや大型のスギタケ属菌。晩秋に発生し、雪の積もる冬季にも見られる。 広葉樹、特にブナの倒木を好むが、栽培下では針葉樹にも稀に発生することがある。 学名にも「nameko」が使われていたが、現在は「P. microspora」と同種とされている。 傘は幼菌時は半球形だが、成長するとほぼ平らに開く。色は明褐色で中央は濃色。 表面は著しいゼラチン質の粘液で覆われており、湿時は強烈な粘性を持つ。 ひだは淡黄色で幼菌の段階ではゼラチン質の皮膜で覆われ、後に破れてつばになる。 柄はつばより上はほぼ白色、つばより下は黄褐色で粘液をだんだら模様状に残す。 極めて優秀な食菌であり、ぬめりのある食品を好む日本人には特に好まれている。 また他の菌に対する耐性も強いため、家庭でもキットなどで容易に栽培可能。 ただ栽培品でも十分に美味ではあるが、野生品と比べると足元にも及ばない。 味噌汁やおろし和えなどのぬめりを活かす調理法の他、傘の開いた成菌は網焼きが美味。

■娘解説:
ややぽっちゃりした印象を受ける健康的な肌色の娘さん。実にヌルヌルである。 全身から粘液が出ると言う特異体質が自慢だそうで、常にローション状態。 服はちゃんと着ているのだが、シースルー部分が多いので露出度では上位に入る。 髪は褐色で非常にヌメっている。こげ茶色の小さな帽子のつばはブナの葉を模した物。 パッチリお目々で瞳は褐色。他の擬人化娘たちと比べると瞳の照り輝きが強い。 つばをイメージしたマントは透明感のある褐色の粘液状で、肩と胸元が露出している。 透けているので白い水着を着用。実に見応えのある美巨乳持ちでもある。 柄の粘液を模したスカートも透けているので、茶色のベリーショートデニムを愛用。 ブーツは膝から下が段々になっており、全体的しっとりしている。 非常に友好的で誰とでも仲良くなる。性格はとにかく明るく人懐っこいの一言。 彼女のぬめりを嫌う者は少ないが、触れるとベタつくので少々厄介な事になる。 粘性のためにゴミが付着する事、少し太り気味な事の2つが大きな悩み。 「もう少し脚が長ければ良いのに・・・」と良く呟いているそうだ。


■学名:Pleurotus ostreatus (Jacq.: Fr.) P. Kumm.

■食毒:
■分類:ヒラタケ科 ヒラタケ属
■和名:ヒラタケ (平茸)
■写真:写真ページ
■娘名:平 和歌恵 (タイラノ ワカエ)

■菌解説:
中~大型のヒラタケ属菌。早春や晩秋から様々な広葉樹(稀に針葉樹)上に発生。 近縁種にウスヒラタケが存在するが、こちらは発生時期と傘が薄い事で区別可能。 傘は半円形で表面はつやの無い黒色で、成長と共に淡い色合いになる。 ひだは白色で柄に対して長く垂生するが、線虫が侵入してこぶができることがある。 柄は白色で傘に対して側生あるいは中心からずれて付くが、稀に中心生になる。 また柄の基部に白色の毛が見られることがある。 スーパーでも栽培品を見ることができるように、極めて美味な優秀な食菌の一つ。 街路樹に発生したり、栽培キットが容易に入手できるなど身近なキノコでもある。 「平家物語」などの古い文献にも記述が見られ、縄文人も食したとされている。 味や香りはキノコの中でもトップクラスであり、合わない料理は無いほど。 汁物や炒め物が定番だが、チーズを乗せてオーブンで焼いても美味しい。 ただし猛毒のツキヨタケと外見が似ているため、特徴を覚えておく必要がある。

■娘解説:
気温が低くなるとゴワゴワした暗色のコートを身にまとって現れるクールなお嬢さん。 立つのが嫌いでいっつもどこかに寝っ転がっている。そのせいか良く雪に埋もれる。 髪は灰褐色で頭には何となくロシアっぽい暖かそうな帽子を被っている。瞳はグレー。 左目が前髪で隠れており、周囲からは何となく月夜嬢と似ていると言われている。 コートは帽子と同じ色で髪より暗い灰褐色。ベルトは縄のような模様になっている。 ズボンは灰色で白い縦縞。ブーツは白い綿毛状の生地を用い、靴底には滑り止め。 常にうつ伏せなので分かりにくいが、実は隠れ巨乳でプロポーションは抜群である。 髪の裏側にだけなぜか毛玉ができるクセッ毛持ちで除去にいつも手間取っている。 榎嬢と滑子嬢が特に古くからの親友だが社交性が高いので知り合いは多い。 中々の図太い神経持ちでマイペースを貫く。趣味は木登りと古典鑑賞、海外旅行。 「私シメジじゃないんだけどなぁー・・・」と良く独り言を言っているらしい。


■学名:Pseudohydnum gelatinosum (Scop.) P. Karst.

■食毒:
■分類:(未決定)科 ニカワハリタケ属
■和名:ニカワハリタケ (膠針茸)
■写真:写真ページ
■娘名:猫ノ舌 ゼラ (ビョウノシタ ゼラ)

■菌解説:
小型のニカワハリタケ属菌。秋にスギやカラマツなどの針葉樹の朽木に多数群生。 朽木でも特に腐朽が進み苔生したような古い材に発生することが多い。 一見するとハラタケ類やヒダナシタケ類に見えるが、実際はキクラゲ類に属する種。 全体的にゼラチン(gelatin)質であり、学名も和名もこれにちなんでいる。 傘の表面は微毛状で色は灰褐色~褐色。傘が白色の物は品種(f. album)とされている。 傘の裏側は白色で円錐形の透明感があるとげが密生し、この表面で胞子が作られる。 イボタケ科の針状の裏面とは異なり弾力があるので触っても折れない。 この形状が猫の舌に似ている事から、「ネコノシタ」の地方名が存在する。 傘の側面に短い柄を持つことがあるが、柄の部分にはとげがほとんど無い。 特別な味や香りは無いが食用にできる。寒天のような独特な食感が特徴的。 加熱した物を実際に食したが、硬いような軟らかいような不思議な食感であった。 味がほとんど無いので酢の物にしたり蜜をかけたりして食すが、一般的ではない。

■娘解説:
実は初期から苗字とデザインはあったが、大幅にイメチェンして図鑑入りした。 ゼラチンのようにモニョモニョした立ち居振る舞いの掴み所の無いネコミミ娘。 顔つきも猫っぽい。瞳の色は茶色で猫目。猫背。そして当然だが猫舌でザラザラ。 目の下の赤い化粧は化け猫をイメージして入れている。 頭頂部からはガサガサした茶色い髪が、その下からは透明感のある太く白い髪が生える。 ネコミミに聴力があるかは不明で、本来の耳も髪に隠れて確認することができない。 バンドブラ形の上着を着、その上から透明なオレンジ色のジャケットを羽織っている。 下乳が見えそうで危ういが、ほとんど胸が無いので問題無い。 スカートは茶色い生地を不規則に縫い合わせ、スギの幹を表現したデザイン。 臀部には穴が開いており、そこから白くてぷるぷるした尻尾が生えている。 四肢の爪が異常に軟質化する特異体質の持ち主で、爪で引っ掻く事はできない。 性格はネコそのもので癒し系。気まぐれでマイペースに行動している。 趣味は寒天スイーツ探し。語尾に「~ちん」を付けて「ゼラちん」と呼ばれると照れる。


■学名:Pseudotulostoma japonicum
          (Otani) I. Asai, H. Sato & Nara

■食毒:食毒不明
■分類:ツチダンゴキン科 コウボウフデ属
■和名:コウボウフデ (弘法筆)
■写真:写真ページ
■娘名:筆山 海空 (フデヤマ ミソラ)

■菌解説:
小型~中型のコウボウフデ属菌。秋にシイやカシなどの広葉樹林地上に群生。 以前は腹菌類と思われていたが、近年になって子嚢菌類だと分かった。 幼菌は黄白色の球形~卵型で内部はこの段階で既に灰青色をしている。 成熟すると黄白色の表皮は破れてつぼとなり、そこから灰青色の柄を伸ばす。 この様子が腹菌類を連想させるが、実際には子嚢菌類のツチダンゴに近縁。 柄はある程度伸びると先端部から不規則に崩れ薄青色の胞子塊となって拡散される。 崩れ方は個体や降雨などの自然環境によって様々で子実体の形状にかなり差がある。 この様子が筆に見える事から和名が付いた。命名者は菌類分類学者の故川村清一氏。 ちなみに「弘法」は弘法大師こと真言宗の開祖である僧、空海の事。 図鑑によっては「かなり珍しい」と書かれるほどに発生が珍しいキノコとして有名。 ほとんどの書籍に「まれ」と記載され、出会いは愛好家のステータスとも言える。 食用価値は無いが、食毒を考える事自体が失礼なほどの希少菌。

■娘解説:
書道大好き。袈裟を羽織ってはいるが信仰心は特に無い、なんちゃって仏教娘。 全体的に灰青色で統一されているが、袈裟だけは黄色の物しか使わない。 肩に袈裟を結ぶ紐はあるのだが、普段ははだけさせて足元に落としている。 瞳の色は青緑色。髪は灰青色で物凄くボサボサしており、塊状になって崩れる。 タートルネックの奇妙な着物は袖の部分以外は縦線が入っている。 中々に胸が無いが姿勢とスタイルは良く、本人はあまり気にしていないご様子。 筆はコツの部分に三鈷の装飾があり、彼女が墨を磨ると少し青みを帯びる。 性格は極めておっちょこちょい。立ち居振る舞いの高貴さのワリに抜けている。 また極度の引っ込み思案で人前に出るのは好まないので接触は困難。 普段は深い山の木々に隠れた庵に住み、静かに書道を嗜んでいる。 書道は師範クラスの実力で、筆だろうと鉛筆だろうと見事な文字を書き上げる。 しかし不思議とどこかの「点」が抜け、特に「応」の文字は毎回確実に間違う。 だが遠くからそこに筆を投げ付け、正しく点を書き加える菌類離れした特技も持つ。


■学名:Psilocybe argentipes K. Yokoy.

■食毒:
■分類:モエギタケ科 シビレタケ属
■和名:ヒカゲシビレタケ (日蔭痺茸)
■写真:写真ページ
■娘名:シロシベ・アルゲンティ

■菌解説:
小~中型のシビレタケ属菌。その名の通り庭や公園、林内の半日陰を好んで発生。 有機物が多く富栄養な場所であれば普通に見られるマジックマッシュルーム(M&M)。 腐生菌。傘はやや粘性があり暗褐色だが、吸水性があるので乾燥すると黄褐色になる。 また傘中央部が顕著に突出する性質があるため平らには開かない。 ひだは柄に直生~上生、灰褐色だが胞子が熟すと紫褐色に変化する。 柄は傘と同色で細くて強靭。下方は初め白い繊維状菌糸に覆われている。 柄の伸長とともにこの菌糸が細かく破れて広がり、だんだら模様を形作る。 また子実体全体に強い青変性があり、変色部位は最終的に黒くなる。 この変色性は本種がシロシビンと言う中枢神経系の毒素を持っている事に起因。 摂取すると手足のしびれやまひ、幻覚を引き起こし、短時間で回復に向かう。 以前は合法ドラッグとして流通したが、多くの問題をかかえ現在は違法である。 一般的なキノコであるため、知らずに持ち歩くと処罰されるので注意せねばならない。

■娘解説:
あだ名は「根暗」。常に細かく震えており、なぜか彼女の周囲は暗い。 だが別に病気と言う訳でも、何かに憑かれていると言う訳でもない。 髪の色は暗褐色で生え際は色が淡く、毛先はなぜか白くなり乱れる謎クセッ毛。 また頭頂部に強烈な寝ぐせのハネがあり、ハードムースでも倒れることが無い。 瞳の色は青で奥から強烈な赤い光を放つ。肌は白っぽく顔色もあまり良くない。 一風変わった敏感肌で、少しの刺激でも青あざになってしまうのが悩み。 背中が大きく開いた服を愛用し、背中には「天」的な青い「蔭」の刺青がある。 暗褐色のワンピースのように見えるが、ちゃんと上下で分かれている。 スカートの周囲に巻かれている白い不規則な網目模様のファーがやけに目立つ。 背中と足にある青い羽根の刺青は、かつて起きたM&Mによる事故を模した物。 性格としては比較的活発で社交的だが、この社交性はインドア時のみに限定。 あまり太陽の下には出て行こうとしないため、余計に周囲が暗く見える。 好きな食べ物はくどい物全般。基本的に栄養価高そうな食品しか食べない。


■学名:Psilocybe cubensis (Earle) Singer

■食毒:
■分類:モエギタケ科 シビレタケ属
■和名:ミナミシビレタケ (南痺茸)
■写真:写真ページ
■娘名:シロシベ・キューベンシス

■菌解説:
小~中型のシビレタケ属菌。熱帯種で我が国での分布は沖縄本島など。 これらは本種の亜種である可能性もあるが、法規制の影響で研究が進まない。 マジックマッシュルーム(M&M)として本属の中では世界的に最も有名。 ほぼ年中、動物の糞上に発生。成長は非常に早く、人工的に栽培する事も容易。 傘はやや赤みを帯びた琥珀色。この色合いのため「Gold Caps」とも呼ばれる。 つばの内側は胞子が積もるため暗紫褐色。最初は上向きだが、成長すると垂れ下がる。 柄はつばの下方がやや傘の色を帯びるが、柄より上と基部は白色。 基部には白色菌糸を持つ。また子実体全体で傷付くと青変する性質がある。 この変色性は毒素としてシロシンやシロシビンを含有している証拠。 LSDと構造が類似しており、幻覚や錯乱状態などの中枢神経系の中毒を起こす。 本種は我が国の法律にて麻薬原料植物に指定されているので注意が必要。 以前は合法ドラッグとして出回ったが、事故が相次ぎ現在は違法となっている。 ちなみにyoutubeなどの動画サイトにて海外の栽培動画を見ることができる。

■娘解説:
どこからどう見てもイッている娘さん。恐らく全娘中一番イッている。 でも意外と国際社会に明るい。愛称は「ブーマー」。 髪の色は琥珀色で毛先は淡色。とても綺麗な髪質で光沢感が美しい。 瞳の色は暗紫色で瞳の奥から湧き上がるような赤い光を放っている。 常に散瞳状態でどこを見ているのか分からない。両耳には純金のイヤリング。 顔色が悪くいつも震えている。首にはつばを模したマフラーとマントを着用。 前者は若い時の上向きのつば、後者は成菌時の下向きのつばを模している。 両腕に純金製のブレスレットをはめ、腕の部分に青色の刺青を入れている。 ドレスとマントには縦線が入っており、ドレスの基部には白いファーの装飾。 履物はサンダル。不思議と頻繁に道傍でイヌの糞を踏むので替えをいつも携帯。 性格は「性格」と呼べない崩壊っぷりで、安定した自我があるかも不明。 情緒不安定だが恒常的に活発で後先考えず突っ走ると言う行動パターンを持つ。 趣味は当然麻●。ダメ。ゼッタイ。性癖としてはス●●●。流石に書けない。


■学名:Puccinia graminis Pers.

■食毒:食不適
■分類:プクキニア科 プクキニア属
■和名:ムギ黒さび病菌
■写真:写真ページ
■娘名:ステム・ラスト

■菌解説:
極めて小型のプクキニア属菌。春にさび胞子世代から夏胞子世代、冬胞子世代へと移行する。 さび胞子世代はメギ属植物の葉に形成され、黄色~赤色の病斑の葉裏にコップ状のさび胞子堆を形成する。 ここから飛散したさび胞子はコムギを始めとするムギ類へと感染する。 ムギ植物体上では茎に夏胞子堆が形成されることで茎が淡黄色の粉を吹いた外見になる。 夏胞子は周囲のムギ類への感染を広げ、夏胞子堆が形成された直後に冬胞子世代に移行する。 冬胞子堆は茎の表皮を裂き破るように出現し、柄が黒くなるのが病名の由来。 また他のムギ類のさび病菌に比べ茎を重点的に冒すため海外では「Stem rust (茎の錆)」と呼ばれる。 冬胞子は2胞子性で藁に付いた状態で越冬することができ、翌年春に発芽して担子胞子を形成する。 この担子胞子が再びメギ属植物に感染することでサイクルが一周する。 人類を脅かす極めて危険な作物病害であり、現在進行系で世界中で猛威を奮っている。 ローマ帝国崩壊の原因ともされ、収量減少による食糧難を防ぐため多くの研究者が日々戦っている。

■娘解説:
死神を思い起こさせるような大きな鎌を持った華奢な植物寄生菌類娘。 彼女の鎌の一振りで周囲のムギは真っ黒になって枯れ果てる。 基本的に春先しか活動せず、それ以外の時期はずっと眠っている。 髪は褐色で何ヶ所も藁で縛って冬胞子を模した髪の束を幾つも作っている。 肌は色黒、瞳は黄色で目つきは良くない。唇はギザギザになっている。 黄色に緑色の模様が入った袖と、全体に無数のスリットが開いたドレスを着ている。 袖は夏胞子世代、ドレス自体は冬胞子世代を模したデザインとなっている。 インナードレスは透けている上にノーパンだが、スリットからは見えそうで見えない。 襟は手作りのメギのオブジェ(さび胞子世代付き)で装飾されているが、重いのでたまに外している。 最凶最悪の作物病害の原因と言う自身の評判は知っているが、本人は至って温厚な性格。 マイペースで普段は人目につかずにひっそり暮らしている。 人類がムギを増やそうが自分を狙おうが、自分はただするべきことをするだけだと考えている。 口癖は「Because it's there. (そこに麦があるから。)」ヤバい組織に追われているらしい。


■学名:Purpureocillium atypicolum (Yasuda)
           Spatafora,Hywel-Jones & Luangsa-ard,

■食毒:食不適
■分類:バッカクキン科 Purpureocillium属
■和名:クモタケ (蜘蛛茸)
■写真:写真ページ
■娘名:岸之上 紫蜘 (キシノガミ シクモ)

■菌解説:
小型のPurpureocillium属菌。梅雨時の6月頃に地中のトタテグモ類の死骸から発生する。 我が国では特に巣穴が浅いキシノウエトタテグモが主な宿主になる。 以前はイサリア属とされていたがノムラエア属を経て現在に至る。 また長く日本固有種と思われていたが、近年では海外でも見付報告が上がっている。 本種に感染したトタテグモ類は巣穴の中で死亡、スービクルと言う白色菌糸に覆われる。 やがてそこから生じた子実体は巣穴の外へと伸び、土の蓋を押し開けて頭部を外へ出す。 子実体は柄と頭部からなり境界がハッキリしている。柄の色は白色。 本種は無性世代の不完全菌なので、頭部は淡紫色の粉状の分生子に覆われている。 有性世代のイリオモテクモタケには子嚢殻が形成される。 不完全世代の本種は普通に見付かるのに対し、完全世代は南方に限られる。 薬効成分は無いので薬用としての冬虫夏草的な利用は無い。 トタテグモ類は巣穴を探すことが難しく、本種の存在でクモ自体が発見される事も多い。

■娘解説:
人外率で言うなら我が家のキノコ擬人化娘の中では紛れも無くトップクラス。 上半身は人型、下半身は完全にクモの俗に言う「アラクネ」タイプの体を持つ。 髪は薄紫色で強烈に縮れるくせ毛持ち。前髪を中央で分け紫石の髪留めで留めている。 瞳の色は紫色で太眉。両側の太いもみあげを顔の前に持って来ている。 和服好きで着物にも帯にもトタテグモの柄が入っている。着物には扉の柄もある。 腕は肘から上に薄紫色のファーがあしらわれていて手は指先しか見えない。 チラっと見える指先は非常に気持ち悪い事になっている。下半身は蜘蛛型でキモい。 しかし胴体は足先以外白いファーで覆われキモくない。クールビズではない。 関節部には黒いリボンを巻いて女の子らしさをアピールしている、つもり。 いつも自宅の窓を開けて上半身だけを外に出してぼんやりしている。 普段から人見知りがちだが下半身を見られると恥ずかしがり屋に拍車がかかる。 色恋沙汰には奥手もいいトコで、超が付く初心。下ネタ系の話は好かないご様子。 ずっと着物派だったが、最近は洋服も良いかなと思い始めている。


■学名:Ramaria botrytis (Pers.) Ricken

■食毒:
■分類:ホウキタケ科 ホウキタケ属
■和名:ホウキタケ (箒茸)
■写真:写真ページ
■娘名:箒木山 鼠子 (ホウキヤマ ネネ)

■菌解説:
大型のホウキタケ属菌。秋に各種林内地上に群生する。 時に巨大な菌輪(フェアリーリング)を形成するので、隊列を成すように発生していることが多い。 子実体は白色の太い円柱状で上方で急激に多数の枝分かれを形成しハナヤサイ状になる。 無数の分岐は先端のみが淡紅色となる。この色と形状、分岐の多さからネズミに例えられることが多い。 地方名はネズミタケ、ネズミノテ、ネズミアシなどで、子実体の太さからカブタケの地方名も存在する。 肉は白色で多少の苦味を持つ。 非常に優秀な食菌で食感も風味も良く、和食にも洋食にも相性が良い。 味はホンシメジに匹敵するとも言われ、古くからキノコ狩りのターゲットとなって来た歴史がある。 しかし以前は低地の里山で普通に見られた外生菌根菌だが、現在は環境の変化によって発生量が激減。 やや小型で分岐が基部付近から始まるコホウキタケなど、外見が酷似た類似種が数多く存在する。 この学名自体も正確性が疑われており、別種の可能性が指摘されている。

■娘解説:
「ネズミメイド」と言う新しいのか、そもそも必要かどうかすら分からない謎ジャンルの鼠娘。 だが別にネズミそのものが好きと言うワケではないそう。 髪は白色で枝毛が多く、毛先だけが紅色に染まる性質がある。瞳の色はローズ。 カチューシャとヘッドドレスを着用し、大きなネズミ耳のように髪をセットしている。 頬の付近に左右2対の髪留めを着け、そこから先端がちょうちょ結びになったヒゲを模した装飾が生えている。 クラシカルロングメイド服姿だが、素手素足だけは絶対に譲れないコダワリ。 お尻からはしっぽが生えており、生身なのである程度自由に動かせる。 愛用の箒は白い毛を束ねたものだが、なぜか髪の毛同様先端だけが赤っぽくなる。 また末端が赤くなる特異体質で、手足の指はもちろん鼻先や耳、しっぽの先も赤くなる。 性格は明るく社交的なのだが、最近は人付き合いに疲れて人里離れて住んでいる。 趣味は掃き掃除なのだが、ついつい一直線に掃いてしまうので掃き残しが凄いのが玉に瑕。 ちなみにメイド姿ではあるが家事が得意なワケではない。ただ料理は妙に美味い。


■学名:Resinomycena fulgens
          Har. Takah., Taneyama & Oba

■食毒:食毒不明
■分類:クヌギタケ科 ザラメタケ属
■和名:ギンガタケ (銀河茸)
■写真:写真ページ
■娘名:天夜 銀河 (アマヤ ギンガ)

■菌解説:
極めて小型のザラメタケ属菌。梅雨時にスダジイの立ち枯れや生木の腐朽部に多数群生する。 2016年に新種登録されたばかりだが、以前から同仮称で呼ばれていた。 熱帯性のキノコのため暖地を好み、屋久島と八丈島の他に高知県で発見されている。 子実体は非常に小さく、全体が純白色で明るい時に見ると非常に地味なキノコである。 傘は粉状で条線などは無い。柄は多くの場合傘に対して偏心し、表面は傘同様に粉状。 ひだは数えられるほどの枚数しかなく、縁部が毛羽立ったようになっているのが特徴。 発光性はヤコウタケやシイノトモシビタケなどと比べるとかなり弱く、体感的にはツキヨタケと同程度。 しかし傘の縁部とひだの縁部が特に強く発光するため輪郭が縁取られて見えると言う特徴的な光り方をする。 本種が群生した木は暗闇で見ると本種の光がドットのようになり幹の立体感まで見えてくる。 食毒は不明。発生地域へ行くこと自体が難しく、出会いのハードルは高い。 しかし漆黒の森の中に映し出される「銀河」はその苦労に見合う美しさだと断言しておく。

■娘解説:
明るい時は居ても気付かず、暗い時も目を凝らさないと居ることに気付けない。 しかし目が慣れると目の前に一面の美しい銀河が広がる幻想的な発光娘。 肌以外は髪も衣服も純白。瞳は緑色で最も強く光る。 髪はショートで右に流しており、一部を薄く本種の傘の形にセットしている。 髪は特に縁部が強く発光する性質があるため、暗闇では髪型が縁取られたようになる。 ドレスは左腕の袖と右足の裾が長く伸びており、その両端を結ぶように無数の蛍光物質の装飾が散りばめられている。 これをめいいっぱいまで広げると暗闇に身長よりもずっと長い天の川のような光の帯が現れる。 靴は履かずに一年中裸足。肌にも弱い発光性があるのだが、よほど目が慣れないと分からない。 性格は極度の引っ込み思案であり、同じ発光菌で親しい椎野灯嬢くらいとしか深い付き合いは無い。 普段はお気に入りのスダジイのツリーハウスに住み、昼夜逆転の生活をしている。 趣味は天体観測で深い森の林冠の切れ目から見える狭い夜空が好きらしい。 梅雨になると姿を見せ、梅雨が終わるとふっとどこかへ消えてしまう。


■学名:Rhizopogon roseolus (Corda) Th. Fr.

■食毒:
■分類:ショウロ科 ショウロ属
■和名:ショウロ (松露)
■写真:写真ページ
■娘名:松浜 露香 (マツハマ ツユカ)

■菌解説:
小型のショウロ属菌。春と秋の2回、海岸のクロマツ林の砂地に埋もれるように発生。 一見キノコと思えないが、遺伝子を調べた結果ヌメリイグチに近い種であることが判明した。 昔の人はマツの精気が集まった物だと考えたため、漢字で書くと「松露」となる。 現物を知らない人でも松露と名の付く球形のお菓子などで響きは知っているかと。 子実体は球形で殻皮はかなり薄い。色は白色でやや赤みを帯びる。 地上に出ると黄褐色~赤色となり、傷付けると赤くなるのが種小名の由来。 内部のグレバは迷路状の細かな小室からなっており、見た目には細かなスポンジ状。 若い内は白色だが胞子が熟すとオリーブ色になって溶け出し胞子を散布する。 外生菌根菌でありマツの根と地下で枝分かれした根状の菌糸で繋がっている。 古くから季節の味として日本人に食されてきた優秀な食菌。 まだ内部が白い若い個体を用い、塩焼きやお吸い物は定番の食べ方。 内部がオリーブ色の変化したものは悪臭を放つので食用価値は無くなるので注意。

■娘解説:
初出時は苗字が「浜松」だったが、名前との語呂が悪いので変更となった。 全キノコ擬人化娘中で最も露出度の高い服を着ていると言うか完全に水着である。 無駄にナイスバディだが、普段は完全に砂地に埋まっているので見えない。 瞳の色は赤茶色。髪は黄土色だが所々赤いシミと白い生え際が見える。 敏感肌で擦れると赤くなる。本人としては砂の中が一番肌に良いのだそうだ。 衣服は白のビキニとサンダルのみ。腰にはヌメリイグチのキーホルダーがある。 初春の寒い海岸でビキニなので、他の擬人化娘は「信じられない」と思っている。 ちなみに水着なのは浜辺だからってだけ。また彼女には長い尻尾がある。 尻尾だけは常に地面に埋めていたい性格。生身の一部なのでちゃんと感覚がある。 体臭の爽やかさに自信があるが、気を抜くと臭うので毎日のケアは欠かさない。 性格は生活習慣のためか引っ込み思案で、こちらからアタックしないと反応しない。 ただし点々と住む場所を変えるため、出会うのには少々コツいる。 マツの盆栽に興味があるが、人目を気にして手を出せない歯痒さを抱えている。


■学名:Russula ryukokuensis Shimono & T.Kasuya

■食毒:食毒不明
■分類:ベニタケ科 ベニタケ属
■仮称:リュウコクヒメベニタケ (龍谷姫紅茸)
■写真:写真ページ
■娘名:龍谷 姫紅 (リュウコク ヒメコ)

■菌解説:
極めて小型のベニタケ属菌。夏から秋にかけてシイやカシの樹下斜面に発生する。 菌根菌だが菌糸が腐朽材内部を進み、材上生のような振る舞いをすることがある。 和名の「龍谷」は初めて発見された場所に因み、。 傘の径が5mm~1cmとベニタケ属菌としては異常とも言える小ささが最大の特徴。 これほどまでに小さいベニタケは世界的に見ても他に類を見ない。2021年に正式に記載された。 その際に和名がリュウコクヒナベニタケから変更されている。 傘は鮮赤色で周辺部は淡色。傘中央部は凹み、周辺部にはベニタケ科らしい溝線がある。 溝線は傘が大きく成長すると粒状線に近くなるが、小型のため滅多に見られない。 ひだは白色だが傘が薄いため光が透けて黄色く見える。 柄は赤橙色で中央部はやや黄色っぽく、表面はやや微粉状。柄に透明感がある。 胞子を飛ばしやすいため高所を好むらしく、材上に出るのも同様の理由と思われる。 発見例自体が非常に少なく地域も限られており、食毒等の詳細は不明。

■娘解説:
小さい娘は他にも居るが、本来のサイズから考えて極端に小さい一寸法師的な和装娘。 日本人形サイズだがこれでもれっきとした成菌女性である。瞳の色は濃い紅色。ほっぺが赤い。 髪は紅色で毛先が白っぽくなり、毛先がある程度まとまって束になるくせ毛持ち。 頭頂部はつむじのせいで少し凹む。後頭部に大きなリボンを結っている。 着物と帯は赤~オレンジのグラデーションで、表面には龍の柄が入っている。 襦袢と足袋は白で下駄は苔をイメージしたモスグリーンのぽっくり下駄を愛用。 性格は見た目通り明るく社交的なのだが、あまりに小さいために気付かれないことが多い。 それどころか背の低さ故に踏まれそうになるため、普段は高さのある場所に座っている。 地面に降りることを嫌い、倒木の上などを妖精の如くピョンピョン跳ねて移動している。 手触り座り心地的にザラザラした砂岩と苔生した地面に横倒しの倒木がお気に入り。 名前も見た目もkawaiiので可愛がってあげると喜ぶ。抱いてあげると最高に喜ぶ。


■学名:Russula subnigricans Hongo

■食毒:猛毒
■分類:ベニタケ科 ベニタケ属
■和名:ニセクロハツ (偽黒初)
■写真:写真ページ
■娘名:ルッスラ・S・ニグリカ

■菌解説:
中~大型ベニタケ属菌。東海や関西に多く、広葉樹林内地上、特にシイやカシの樹下を好む。 和名と学名を見ても分かるように「R. nigricans (クロハツ)」に酷似する。 傘は大型で暗灰褐色で表面はややスエード状。成長すると浅い漏斗状になる。 ひだは幅広く、色はクリーム色。柄は下方に細まり、傘と同色かやや淡い。 老成や傷つけられた事によって肉が緩やかに赤変する。 外見が似たクロハツは赤色を経て黒変するので、重要な判別要素となる。 類似種が数種確認されており、今後比較研究が望まれる。 強毒性の種が比較的少ないベニタケ科菌の中でも飛び抜けて毒性が強い。 だが事故例が多いにもかかわらず長年毒成分が判明せず「謎の毒キノコ」と呼ばれていた。 しかし2009年に京都薬科大学准教授らによって2-シクロプロペンカルボン酸と判明。 骨格筋を溶かし、その溶解物が致命的な影響を与えると言う2段階の作用を示す。 比較的短時間で胃腸系の症状が現れ、その後背中の痛みや血尿を経て心臓衰弱に至る。 自然界に存在する有機性の生物毒としては最小分子構造を持つ。

■娘解説:
全体的にグレーで統一。あくまで「黒」ではないのが彼女のこだわり。 キノコ擬人化娘で記念すべき初めてのインテリ風メガネっ娘。ミドルネーム持ち。 タキシードを着こなす男装の麗人。学名が男性形容詞なのでこのような服装に。 「サブちゃん」と呼ばれるのを嫌う。瞳の色は赤で強烈な赤い光を放つ。 髪の色は暗い褐色で髪の裏側はクリーム色。裏側の髪質が妙に荒いのが悩み。 本種をひっくり返したようなデザインの帽子が彼女のお気に入り。 タキシードはパンツの方が色が淡く、表面が傷んで一部白っぽくなっている。 胸元には彼女の代名詞、2-シクロプロペンカルボン酸の構造式が描かれている。 ちなみに身に付けている衣服は全て裏地に赤い生地を使用している。 性格は女性らしさは若干見え隠れするが基本は男勝り。関西弁で話し、一人称は「俺」。 暗器使いの殺し屋で、彼女の手にかかると調べても死因が分からないことが多い。 「そもそもクロハツが毒なんやから、俺に手ぇ出さんといて欲しいね!」とは本人談。


■学名:Sarcomyxa edulis
          (Y.C. Dai, Niemelä & G.F. Qin).

■食毒:
■分類:ガマノホタケ科 ムキタケ属
■和名:ムキタケ (剥茸)
■写真:写真ページ
■娘名:喉焼 剥 (ノドヤキ ムキ)

■菌解説:
中~大型のムキタケ属菌。秋にブナやミズナラの立ち枯れや倒木に多数群生する。 ブナ材に発生するのが一般的だが、自然界でもサクラなどに発生する。 傘は半円形~腎臓形で表面は微毛状、黄褐色をしている。 傘と肉の間にゼラチン層が存在するため、表皮が容易に剥けるのが和名の由来。 ひだは黄白色で密。柄は傘に対して側生し、つばは無く、褐色の毛を密生させる。 肉は白色で稀にほのかな苦味がある。言わずと知れた晩秋を代表する食茸の一つ。 「ノドヤケ」「ハドコロ」「スベラワカイ」など数々の地方名で親しまれる。 キノコの少ない時期に収量が見込め、味や香りはもちろん、優れた食感を持つ。 特に汁物との相性が抜群で、実際に味噌汁で頂いたが極めて美味であった。 ただし本種は同じくブナ材を好む有毒なツキヨタケと外見が似るとされているので注意。 近年、遅い時期に出る傘が緑色のものはオソムキタケ(S. serotina)と言う別種だと判明した。 本種は傘の色にバリエーションが多く、紫色や灰色などは別種か不明。

■娘解説:
寒い場所が大好き。防寒具に身を包んだ冬ガールだが、妙に素肌が見えている。 不思議と何かの拍子に服が吹き飛ぶことがあるとか無いとか。 髪は白色だが、表面は黄褐色。緑や紫に染めていた時期が私にもありました。 髪の表面は部分的に剥げて浮き上がり、下地の白色が見えている。 頭には雪をイメージした白いファーの耳当てを乗せている。 瞳は中心が濃色の黄褐色。首元には白いネックウォーマー。 肩に穴の開いた茶色の毛羽立ったセーターにコルセットを着用。手袋は白。 胸はそこそこある。白いモコモコパンツを履き、不思議と常時パンチラしている。 スカートは表が白で裏が黄色の厚手の上に髪と同じ配色の物を重ねている。 上のスカートと髪は見ていると不思議と摘んでめくりたい衝動に駆られる。 ブーツはセーターと同じ柄。性格は至って温和だが露出狂の気があるとの噂。 好物は熱い物全般だが冷める前に急いで食べるので良く喉を焼く。 晩秋派の娘らとは仲が良いが、逆に月夜嬢には良い感情を抱いていない。 「何であんな黒いのと私を間違うの!?」と半ばキレているご様子。


■学名:Shimizuomyces paradoxa Kobayasi

■食毒:食毒不明
■分類:バッカクキン科 サンチュウムシタケモドキ属
■和名:サンチュウムシタケモドキ (山中虫茸擬)
■写真:写真ページ
■娘名:清水 牛尾菜 (シミズ シオデ)

■菌解説:
小型のサンチュウムシタケモドキ属菌。夏にシオデ属植物の種子から発生する。 ヤマガシュウもしくはサルトリイバラの赤黒い球形の種子を宿主とする。 ミクロ的な観点では昆虫寄生菌であるにもかかわらず、植物体に感染すると言う異質な冬虫夏草。 属名は発見者の故清水大典氏に由来し、種小名は「逆説的な、奇異な、説明のつかない」の意。 子実体は棍棒状で淡黄色。結実部と柄の境界は不明瞭。 結実部は柄の上方に形成され、子嚢殻は埋生型で先端部がやや突出する。 色的にメタリジウム属に似るが子嚢殻が斜埋生型でない点で容易に区別できる。 柄は黄褐色だが地下部はほぼ白色となる。 宿主の種子の表面を部分的に白色菌糸が覆い、そこから柄が直根状に伸びる。 カイガラムシを宿主とするRegiocrella属菌に近縁であり、子嚢の先端に肥厚部が存在する点も昆虫寄生菌起源を思わせる。 国内でのレア度は最高クラスであり「一生冬虫夏草の趣味を続けても見れるとは限らない」と言われるほど。 食毒は不明だが、そんなことを考える余裕が無いほどの珍菌である。

■娘解説:
何となく神々しい雰囲気が漂う冬虫夏草系女子。しかし他の虫草娘らからも珍しがられている。 あまりにも菌前に現れないため、一部には存在そのものを疑問視する声すらある。 髪は淡黄色で部分的に濃色となるが、長く下に垂らした髪は先端ほど脱色して白くなる。 後ろ髪は複数束ねており、こちらは毛先ほど色が濃くなる。 肌は色素が薄く、瞳の色は赤黒い。首、手首、足首にシオデ属植物の種子で作った飾りを着けている。 スカートは赤黒い球形で腰紐はサルトリイバラとヤマガシュウの蔓になっている。 腰回りと裾に白いファーをあしらっており、また髪が不思議とスカートに貼り付いてしまう。 子嚢胞子を模したスリングショットしか身に着けておらず、上半身の露出度が凄まじい。 性格は言い表しいようのない不思議ちゃん。周囲どころか本人も何を考えているか分かっていないレベル。 菌見知りをするワケではないが社交性に関しては最低で、出会えたら奇跡と言ってよい。 好きなものはシオデ属植物の種子。口の中でコロコロしていると幸せ。 腰紐には本当にトゲが付いており、結ぶたびに「痛っ!」と叫んでいる。


■学名:Stromatinia cryptomeriae Kubono et Hosoya

■食毒:食毒不明
■分類:キンカクキン科 カサブタキンカクキン属
■和名:スギ黒点枝枯病菌
■写真:写真ページ
■娘名:黒点 杉枝 (コクテン スギエ)

■菌解説:
小型のカサブタキンカクキン属菌。春、スギの開花期に子座化したスギの古い枝や落葉から多数発生する。 本属菌として一般的に知られている姿はチャワンタケ型の完全世代。和名はまだない。 放たれた胞子はスギの雄花に感染し、梅雨頃に葉の表面に菌糸膜を広げる。 菌糸膜が消失すると病斑が広がり、これが主枝に到達するとそこより先が枯死する。 これらの枝には何も起こらない場合もあるが、分生子や小型の子座を形成するものもあるなど生活環が非常に複雑。 やがて落下した枝枯れ部位は内部が子座化して越冬し、翌年そこから完全世代の子嚢盤を発生。 スギの重要病害の原因となる植物寄生菌類であり、樹の生育に悪影響をおよぼす。 本種に感染したスギは遠目に見てもモザイク状に黒く枯れた枝が確認できるほど。 感染力も高く、感染した雄花が落下した葉にも感染が広がると言う性質がある。 食毒は不明だがスギの雄花を枯死させる性質上、花粉症の対策になる可能性はある。

■娘解説:
重度のスギ花粉症に苦しむ地味な色合いの魔女っ娘。 花粉症の症状は重く、いつも黒いマスクが吹き飛ぶくらいの清々しいくしゃみを連発している。 子嚢盤を模した大きな茶色の魔女帽をかぶり、帽子のリボンより先はスギの葉を象ったデザイン。 髪は黒褐色のボサボサヘアー。後ろ髪はスギの雌花のように束ねている。 瞳の色は黒。首周りには黒いファー、腕には黒いアームドレスを着用。 黒い魔女風ワンピースの上に緑の下地に黒い点が入った迷彩模様のコートを着ている。 愛用のホウキは穂の部分にスギの枯れ枝を使用している。 このホウキには不思議な力があり、空を飛べるだけでなく振りかざすことでスギの枝を枯らせるステッキとしての役割も持つ。 ただしゴミを掃くのには適さない。性格はやや引っ込み思案で、空を飛ぶ時以外は迷彩服で身を隠している。 しかしくしゃみが止まらないため吹き出す飛沫で居場所がすぐにバレてしまう。 好きな時期は春。嫌いな時期も春。でも秋もちょっと好き。 「スギはぶっ●してやる」と意気込んでいるが、居ないなら居ないで寂しいと言う複雑な心境。


■学名:Suillus bovinus (L.: Fr.) Roussel

■食毒:
■分類:イグチ科 ヌメリイグチ属
■和名:アミタケ (網茸)
■写真:写真ページ
■娘名:素通 あみ (スドオシ アミ)

■菌解説:
小~中型のヌメリイグチ属菌。夏~初秋にかけて各種マツ林地上に群生する。 有名な地方名は「イグチ」。裏側が網目状管孔なので「スドオシ」と呼ぶ地域もある。 オウギタケと共生することが多いが、これはアミタケが寄生されていると考えられている。 傘は肉桂色で周辺部はやや白っぽく、本属に相応しい強烈な粘性を持つ。 管孔は大型でオリーブ黄色。放射状の管孔壁が発達している。変色性は無い。 また管孔が柄に対して垂生していることが本種を肉眼的に同定する際に役立つ特徴。 柄は短く、表面は滑らかで傘よりも淡い色合い。基部には白色菌糸が見える。 優秀な食菌であり発生量も多いため、全国的に古くから食されている。 煮ると赤紫色になり見た目は毒々しいが、味や香りは実に美味でぬめりも程良い。 ただ本種は虫に食われやすく、裏返してみて管孔部に穴が開いていたら十中八九アウト。 様々な料理に合うが、特に和え物や汁物などぬめりを強調する料理に合う。 定番は何と言ってもお吸い物。キノコの味を活かす味付けを。

■娘解説:
全体的に肉桂色の和服娘さん。発生時期と場所が同じお初さんと仲が良い。 茨餅扇嬢と最も長く一緒に居るが、単にストーキングされているだけ。 髪はおかっぱでベタベタする。別に汚れている訳ではない。瞳は肉桂色。 松の葉を象ったかんざしを愛用。松ぼっくりの飾りが先端部に付いている。 構造的にどう留めているのかは不明。髪の裏側は不規則に穴が開いている。 襦袢は赤紫色で表面には網目模様。帯も同色でマツカサが描かれている。 着物は髪とほぼ同色だが若干色が薄い。上部にのみ網目模様がある。 髪と同じく着物もなぜかペトペトしているが、洗ってないワケではない。 無乳。白足袋に濃い紫色の高下駄を履いている。不思議と虫が集る。 愛称は「あみちゃん」。超のんびり屋さんでいつもニコニコしている。 「素通し」の名に相応しく、話を聞いても右から左。我が道を突き進んでいる。 体中がぬめっているが、本人は別に気にしておらず、むしろ長所と思っている。 お風呂やサウナで温まると身体が赤紫色になる。 扇嬢とのきな臭い関係については内心結構迷惑しているらしい。


■学名:Suillus grevillei (Klotz.) Sing.

■食毒:
■分類:イグチ科 ヌメリイグチ属
■和名:ハナイグチ (花猪口)
■写真:写真ページ
■娘名:落葉 里子 (ラクヨウ リコ)

■菌解説:
中~大型のヌメリイグチ属菌。夏~秋に落葉針葉樹のカラマツの樹下に発生する。 知名度が高く「ジコボウ」や「リコボウ」、「ラクヨウ」など多数の地方名を持つ。 傘はまんじゅう形からほぼ平らに開き、表面は帯褐橙色~赤褐色。 鮮やかな黄色の傘を持つ場合もあるが、これは別種とする説もある。 傘表面は著しい粘液に覆われており、強い粘性を持つ。 管孔は黄色で幼菌時は傘の裏側が繊維状の膜で覆われている。 傘が開くと伸び切った膜は破れて柄に永存性のつばとして残る。 柄は黄色で成長すると褐色を帯び、つばより上は網目模様を有する。 一方つばより下は繊維状で傘同様に粘性を持ち、つばの上下で性質が異なる。 極めて美味な食菌として有名で、収量も見込めるためキノコ狩りでは人気を博す。 色や形も美しく、日本人好みの強いぬめりに加え、味や香りも格別。 良いだしも取れ、ぬめりを活かした和風料理との愛称は抜群。 実際に食したが、その美味しさは国内の食菌の中でもトップクラスと断言できる。

■娘解説:
純和風の振袖姿。全体に赤~オレンジで統一されたされた日本らしいおてんば娘。 同属菌でぬめり仲間の素通あみ嬢とは大の仲良しだが、場所的に中々出会えない。 髪は赤褐色で粘液に覆われており、雨が降るとズルズルになる。 髪を一部に伸ばして丸い傘を作り、カラマツの毬果をあしらった簪で留めている。 毛先が膜状になって貼り付くので、長い部分は引っ張って帯の中に仕舞っている。 太眉。瞳は黄色で中央部が橙色。瞳の照りが妙に強い。 振袖は上から下に向かって赤から黄色のグラデーション。 帯より上が網目模様で、帯より下にカラマツ林の柄が入っている。 襦袢は淡黄色で裾の部分は白く毛羽立っている。 帯は白色で灰色のカラマツの葉の柄は入り、上に広がるように着けるのがコダワリ。 白足袋を履き、カラマツ材で作った赤い鼻緒の下駄を穿いている。 性格は非常に社交的で明るく、積極的に絡みに行くタイプ。ただしネバつく。 黄色く色付いたカラマツ林の幻想的な景色がたまらなく好き。 ぬめりには自信があるからか、ぬめり仲間で別属の滑子嬢をライバル視している。


■学名:Taphrina wiesneri (Ráthay) Mix

■食毒:食不適
■分類:タフリナ科 タフリナ属
■和名:サクラ天狗巣病菌
■写真:写真ページ
■娘名:天狗木 さくら (テングキ サクラ)

■菌解説:
肉眼的な子実体は形成しないタフリナ属菌。春に感染し、枝に特徴的な病徴を形成する。 本種に感染した枝は無数の小枝を生じ(叢生)、ほうき状や鳥の巣状になる。 これは菌によって増加するサイトカイニンが脇芽の成長を抑制するオーキシンと拮抗するため。 この病徴部位は花がほとんど咲かず、正常なものより小さい葉を展開し始める。 そのため感染した部位は開花期に良く目立ち、目にする日本人は多い。 やがてこれらの葉には早期に褐色の枯死が広がり、その裏側に子実層を形成する。 子実層には無数の子嚢が並び、そこから胞子を噴出して白色粉状になる。 胞子は子嚢内外で酵母のように出芽によって増え、この出芽胞子が新たな感染を産む。 天狗巣はやがて枯死するため、感染部位が増えると樹木全体に悪影響が出る。 対策は感染部位の切除焼却が有効だが、サクラは切ること自体がリスクなので注意。 特にソメイヨシノは感染しやすいとされ、「桜の名所」では積極的な対策がなされている。 よくヤドリギと誤認される。海外では「魔女のほうき(witch's broom)」と呼ぶ。

■娘解説:
花魁風の桜柄の着物に身を包む優雅な身なりの植物寄生菌類お嬢さん。 別に日本特有と言うワケでもないが、ソメイヨシノに惚れ込んでこの衣服を愛用している。 髪は桜色で部分的に緑色と茶褐色のメッシュが入る。 後ろ髪はふわりと膨らみ、天狗巣をかたどったかんざしで留めている。 かんざしの1本に魔女のアクセサリが付いているのがコダワリ。瞳の色は暗紫色で中に桜の花の模様が見える。 唇はギザギザで薄っすらと桜色の口紅を塗っている。首の紐は背中にかけた天狗のお面の掛け紐。 着物は内側から順に白→赤→黒と重ねており、白と黒はサクラの花と葉、赤は葉と子嚢の柄になっている。 下駄は赤の一本歯だがあまり高くない。天狗を全面に押し出さないのはパンセリーナ嬢に気を遣ってのこと。 見た目通り自由奔放で超マイペース。性格は見た目に反して陰湿でイタズラ好き。褒められるとすぐ天狗になる。 満開の桜を眺めて「どの樹を汚してやろうかな♪」と考えている時間が一番好き。



(右)
■学名:Tolypocladium sp.


■食毒:食毒不明
■分類:オフィオコルディセプス科 トリポクラジウム属
■和名:クビナガクチキムシタケ (首長朽木虫茸)
■写真:写真ページ
■娘名:首長 朽樹 (クビナガ クジュ)

■菌解説:
極めて小型のトリポクラジウム属菌。夏に朽木中のハエ目クチキカ科の幼虫から発生。 宿主はカエデ類などの硬い材にフラスコ型の巣穴を作るヤマトクチキカの幼虫。 幼虫の尾部には水管と呼ばれる長い管が材の表面まで伸びているおり、 本菌に感染すると宿主内部を満たした菌糸がこの水管を通って材の表面に現れる。 そのため長い偽柄構造になるのが「首長」の和名の由来となっている。 結実部は円盤状のハスの実型で白色。結実部の縁が材表面に癒着するように形成される。 子嚢殻は半裸生型でやや黄色みを帯びる。 子嚢胞子は糸状で隔壁を多数持ち、円筒形の二次胞子に分裂する。 以前はElaphocordyceps属菌とされ、外見の似たフトクビクチキムシタケと混同されていた。 しかし宿主や結実部の形状、胞子のサイズなどが異なり、現在は別種と考えられている。 宿主の好む環境のためか比較的冷涼なブナ林帯などでしか見られない。 また宿主の好むカエデ類は朽ちてなお硬質で、現地での断面作成はまず不可能。

(左)
■学名:Tolypocladium subsessilis (Petch) (ined.)


■食毒:食毒不明
■分類:オフィオコルディセプス科 トリポクラジウム属
■和名:フトクビクチキムシタケ (太首朽木虫茸)
■写真:写真ページ
■娘名:太首 朽樹 (フトクビ クジュ)

■菌解説:
極めて小型のトリポクラジウム属菌。夏に朽木中の甲虫の幼虫から発生する。 宿主の甲虫はブナ材を好むゴミムシダマシ科の幼虫で、クチキツトノミタケと同種と思われる。 Elaphocordyceps属菌とされていたが、タンポタケ類の属名変更に伴いこちらも変更された。 材の浅い場所に居る宿主から太い柄を伸ばすのが「フトクビ」の和名の由来。 外見はクビナガクチキムシタケとほぼ同じだが、結実部が材に癒着せず分離するのが特徴。 アナモルフは免疫抑制剤のシクロスポリンAを産生する「T. inflatum」と判明した。

■娘解説:
お揃いデザインの帽子を愛用する白色系朽木生冬虫夏草娘コンビ。 しかし名が同じなだけで姓は別。でも比較的近縁なようなので気にせず仲は良い。 帽子は先端が黄色いトゲトゲ状。髪の色も瞳の色もお揃いの白。 ブーツも内側に大きく反った形状が共通しているが、片や尾部で片や頭部を模している。 異なる特徴としては、太首嬢は王冠型でつばが無い。またショートヘアである。 首には白いファーを巻き、上半身はモコモコ生地で太ましい。 下半身はベルトを多用した重厚感のあるジャケットとロングスカート。 首長嬢はロングヘア。帽子は頭に貼り付くようにつばがある。 上半身は体の中心のみストッキング生地で透けた白いタイツ生地。 下半身はダウンになっており、足元に暗色のポケットがある。 また腰の左右から透明なプラスチックの球体が連なったアクセサリを垂らしている。 性格は太首嬢がマイペースで健康志向、首長嬢がしっかり者で頑固。 朽木を掘った家に住んでいるが、材質には両者コダワリがあって住まいは別。



■学名:Torrubiella sp.

■食毒:食不適
■分類:バッカクキン科 トルビエラ属
■和名:ハゴロモツブタケ (羽衣粒茸)
■写真:写真ページ
■娘名:羽衣 粒果 (ハゴロモ リュウカ)

■菌解説:
小型のトルビエラ属菌。現在この属名は有効ではないが、現状このように表記する以外に手段が無い。 宿主はアオバハゴロモの成虫で、枝に止まったまま絶命し、宿主を覆った菌糸は枝にまで広がる。 その状態で越冬し、翌年の夏に成熟する。菌糸は肌色で明確な子実体は形成しない。 菌糸が宿主の大半を覆い、そこに埋もれるように子嚢殻を形成する。 子嚢殻は赤褐色で裸生~半裸生。菌糸が白っぽいため赤みの強い子嚢殻が良く目立つ。 なお黒褐色の裸生子嚢殻を形成したものが本種とされることがあるが、これは完全な別種の重複寄生菌である。 また本種の古くなった子実体には極めて珍しいPseudogibellula属菌が重複寄生することもある。 有性世代の発見例が極めて少なく、非公式のものを含めても数例しか報告が存在しない。 また宿主自体はありふれており、不稔個体と思しきものは数多く見付かっていると言う疑問も生じる。 正式な記載がなされていないためこの属名での掲載だが、今後新たな属に移動する可能性がある。

■娘解説:
メチャクチャシャイでメチャクチャ目つきが悪い色白の冬虫夏草娘。 いつも人目に付くかない場所の木の幹にぺったりとくっ付いており、あまり動こうとしない。 真っ白でぺとぺとした質感のため衣服や周囲の物に張り付く髪と、 先端に行くほど赤茶色を帯びながらくるくると渦を巻く2種類の髪質を持つ。 瞳は赤色で黒目が異様に小さい超四白眼。要はギョロ目。肌は色白で異様に血色が悪い。 衣服は裾の長いドレスの上にアオバハゴロモを模した羽衣ローブを羽織っている。 ただし特徴的な青緑色はほぼ色褪せている。またドレスもローブも裾の部分に周囲の物に張り付く性質がある。 ちなみに背中側を見せていて分かりにくいが、横からはみ出るほどのかなりの巨乳持ち。 性格はシャイで他者と顔を合わすのも苦手。本当の自分を出すことを好まない秘密主義者。 裏で多様で複雑な人脈や菌類関係を持っているとウワサされているが詳細は不明。 好きな樹はツバキだが、別に花が好きなわけではなく、幹の質感が良いらしい。


■学名:Trichoderma cornu-damae
          (Pat.) Z.X. Zhu & W.Y. Zhuang

■食毒:猛毒
■分類:ボタンタケ科 トリコデルマ属
■和名:カエンタケ (火炎茸)
■写真:写真ページ
■娘名:火群 カエン (ホムラ カエン)

■菌解説:
中~大型のトリコデルマ属菌。夏から秋にブナ科樹林の地上に発生するが、やや稀。 近年はナラ枯れで枯死した木の周囲に発生すると言う例が多く報告されている。 形状は様々だが、基本的には棒状~角状。途中で枝分かれして手の指やとさかのようになる。 色は鮮やかな赤橙色で、見た目は正しく「火炎」。肉質は硬く、表面は赤色でも内部は真白。 子座の上部表面に埋没した子嚢殻を形成し、新鮮な個体では表面が胞子で白く汚れる。 本種の毒成分はカビ毒の一種トリコテセン類で、サトラトキシンH類が主要毒素。 動物だけではなく植物にも極めて強い毒性を示し、類似物質が化学兵器としても使用された。 誤って食すと下痢や腹痛などの胃腸系中毒、悪寒や手足のしびれなどの神経系の中毒が起こる。 その後に肝臓、腎臓、脳、循環器、呼吸器など全身に致命的な不全症を起こし死に至る。 更に脱皮や粘膜びらん、脱毛など、人体の表面部にも特徴的な症状が現れる。 また毒素の皮膚刺激性が強いため、汁が皮膚に付くだけでも炎症を起こすので注意せねばならない。

■娘解説:
名前の由来は「木村カエラ」。レザーを用いたヘヴィメタファッション。 全体的に赤と黒で構成されている。シャツはヘソ出しのオレンジ色で「FIRE」のロゴ。 背は高くスタイルも良いが、胸は見た目ほど大きくなく、ヒップも適度な大きさ。 髪は赤色で炎のように昇り立っており、フケが多い。瞳の色は赤で強烈な光を放つ。 炎を模した大きなサングラスで分かりにくいが、実はかなりタレ目で表情は優しい。 また右足から顔まで身体を縦に横断するように炎のタトゥーを彫っている。 見た目通り熱い食べ物に目が無いが、苦い物も好きなので該当食品が少ない。 服装はメタルだが下着は白のごく一般的な物しか着用しないギャップ萌え。 身体が熱いワケではないが、彼女が物に触れると緩やかに焼け焦げてしまう。 そのため周囲の人間を傷付けないように気を遣っている。健気だ・・・。 外見に似合わず性格は穏やかで、自分のために他者が傷付くのは好まないようだ。 これだけ注意喚起しても自分のせいで中毒が起きてしまっている事を憂いている。


■学名:Tricholoma kakishimeji W. Aoki & A. Yamada

■食毒:
■分類:キシメジ科 キシメジ属
■和名:カキシメジ (柿占地)
■写真:写真ページ
■娘名:柿沼 擒子 (カキヌマ トリコ)

■菌解説:
中型のキシメジ属菌。アカマツの入り混じる広葉樹林の地上に多数発生する。 また針葉樹林と広葉樹林とで形態に若干の違いがあり、別種の可能性も考えられる。 傘は赤褐色~栗色で湿時は強い粘性があり、特に幼菌時は傘全体が粘液に覆われている。 傘は成長しても丸みが残るため、その色合いと形状から「柿」と例えられる。 ひだは白色だが部分的に褐色のしみを生じ、この特徴は比較的若い段階から確認可能。 柄は短く白色、繊維質で下部ほど赤みを帯びる。内部は中空になっている事もある。 「派手なキノコは毒」と言う迷信を信じてしまった者による誤食事故が後を絶たない。 主な主成分はウスタリン酸で、嘔吐や下痢、腹痛の胃腸系中毒を引き起こす。 頭痛を伴うこともあるが、致命的な毒素ではないので死亡例はあまり無いようだ。 我が国では本種とツキヨタケ、クサウラベニタケの3種を「キノコ食中毒の御三家」と呼んでいる。 また食菌のクリフウセンタケを「カキジメジ」と呼ぶ地域もあるので混同には注意する。 以前の学名は「T.ustale」だったが、2023年に細分化され新種として独立した。

■娘解説:
頭にはヘタ、腰の周りにもヘタ。パッと見が明らかに柿な大人しい娘さん。 普段はニコニコしていて毒の無い雰囲気だが、それはあくまでも仮の姿。 皮膚に見えるのは塗り固めた化粧で、気を抜くと部分的に崩れて中が見える。 実際の姿は漆黒の肌に真っ赤な眼と口が覗いており、見えないが瘴気が出ている。 右耳には広葉樹、左耳には二針葉マツを象った耳飾りを着けている。 これらの違いは「マツ林に生える物は無毒」と言うウワサを表している。 髪とスカートがテカリのある柿色で、髪にはヘッドドレス、胸にはオレンジのネクタイ。 彼女の悩みは髪が妙にベタつく事。鬱陶しいのでショートカットにしている。 また彼女が着用した白い衣服はいつの間にやら瘴気で茶色のシミが出来てしまう。 故にヘッドドレスのリボンとフリル、襟ありタンクトップ、サンダルは見た目が汚い。 普段はニコニコしているが、実際の性格は最低最悪で悪意に満ちている。 外見的な雰囲気だけで人間を騙して御三家にのし上がる実力は本物。が、力は弱い。 以前は「ウスタりん」と「りん」付けで呼ばれていたが、時代は変わりつつある。


■学名:Tricholoma matsutake(S.Ito & S.Imai) Singer

■食毒:
■分類:キシメジ科 キシメジ属
■和名:マツタケ (松茸)
■写真:写真ページ
■娘名:赤松 かほり (アカマツ カホリ)

■菌解説:
大型~極めて大型のキシメジ属菌。主にアカマツ林単生または混生林の地上に発生。 アカマツにしか生えないと思われがちだが、コメツガやトドマツ樹下にも生える。 傘は最初まんじゅう形で後に平らに開く。色は淡い黄褐色の地に褐色繊維状の鱗片が覆う。 幼菌時ひだは見えないが、ひだを覆っていた皮膜は破れて柄につばとして残る。 柄は中実で下方に太くなる。肉は白色で緻密で繊維質。最大の特徴はその独特な香り。 「香り松茸、味シメジ」と言われ、その独特な臭気は古くから日本人に愛されてきた。 松尾芭蕉や正岡子規などの著名な俳人も本種を秋の季語として句を詠んでいる。 網焼き、吸い物、炊き込みご飯、土瓶蒸しなど、香りを活かす料理に用いると良い。 古くは大量に採れたが、マツノザイセンチュウによる松枯れにより激減。 里山に人の手が入らない事による堆積物による酸欠や、他菌との競争も減少理由。 外見が酷似した近縁種にニセマツタケ、バカマツタケ、マツタケモドキ等がある。

■娘解説:
素晴らしい香り振り撒く「芳香系女子」。若いのだが言葉遣いが非常に古臭い。 和服と近代的な服が混じる不思議な姿。同じ和服仲間のキノコとは昔から仲が良い。 特に松林初と素通あみの二人とはかなり昔からの付き合いで、他にも友人は多い。 髪は淡い黄色の地に不規則な褐色のメッシュが入り、同じ模様が着物にも入っている。 瞳の色は褐色だが糸目なので見えない。襦袢は緑色でマツとサワラの葉の模様が入る。 健脚でいつも歩いているが、ステッキに松葉杖の横を持って歩くのがこだわり。 下半身は軍服を着ており、ズボンは迷彩、軍用のブーツを履いている。 そのため一部では松葉杖の内部にショットガンを仕込んでいるとのウワサがある。 独特な体臭はかなり人気で、ブーツの中の白くつしたは日本国民は跪いて香りを嗅ぐ。 だが外人受けが悪い。以前は社交的だったが最近はどうも人見知りをしてしまう。 笠を乗せている理由は「ちゃんと傘も開くんだと言う事を知って欲しい」からだそうで。 バカっぽい人格、胡散臭い人格、胡散臭いかつ腹黒い別人格が垣間見えることがある。


■学名:Tuber himalayense Zhang & Minter

■食毒:食(?)
■分類:セイヨウショウロ科 セイヨウショウロ属
■和名:アジアクロセイヨウショウロ (亜細亜黒西洋松露)
■写真:写真ページ
■娘名:亜細黒 とりゅふ (アジグロ トリュフ)

■菌解説:
小型~中型のメラノスポルムグループに属するセイヨウショウロ属菌。 秋から冬にかけてブナ科樹木の樹下に発生する。 地下生菌としては珍しく地上に顔を出しているため発見は比較的容易。 子実体は塊状~球状で直径3cmほどだが、大きいものだと握りこぶし大ほどに成長する。 全体的に黒褐色で外皮がピラミッド形のいぼに覆われている。 内部のグレバの断面は不規則に白い筋入った大理石模様。 これは椀形の子嚢盤が複雑に折りたたまれた子嚢菌類の進化形であるため。 子嚢は球形で子嚢胞子は子嚢内部に1~5個含まれ、表面に長いとげを持つ楕円形。 とげの基部は脈状のなって隣のとげと繋がり、部分的に網目模様になるのが重要な特徴。 世界三大珍味の黒トリュフと近縁であり、本種も食菌として同様に利用できる可能性がある。 香りは海苔の佃煮に良く似ており、香り付けに使用するとキノコ臭は消え食材の味を引き立てる。 未成熟の子実体に香りは無く、生米に埋めておくことで追熟させることが可能。 近縁なイボセイヨウショウロとは胞子表面の構造を確認しないと判別は不可能。

■娘解説:
上品な黒い洋風ドレスに身を包み、身のこなしも振りまく香りも色っぽくて優雅な地下生菌娘。 話し方もブレスが多くて妙にエロく、口臭も独特な香りがする。 髪は黒褐色で白いメッシュが部分的に入るため大理石模様になる。 右サイドの毛は長く、丸くまとめているが髪質が硬くデコボコになる。 サイドの髪とファーマフラー、ファーバングル、ブーツの装飾は黒100%。腕にはオペラグローブ。 瞳は髪と同じ配色で同じく大理石模様で、上半身も同じ模様になっている。 肩掛けバッグは白い球状で、表面には網目模様を模した子嚢胞子の柄をあしらっている。 スカートは球状になっており前後左右の4方向にリボンの付いたスリットがある。 スカート表面は平面で、錯覚で立体感が出る模様になっている。 スリット内部は同じく網目模様に見えるが立体感が無く次元の狭間のようになっている。 性格はシャイだが密かに目立ちたいと思っている。寒さは得意。自分の体臭はセクシーだと思っている。 好物はビン海苔。いつもバッグに入れて持ち歩いている。外見は洋風だが生粋の日本人気質。 ソックリなキノコ娘が居るとウワサされている。

■学名:Turmalinea persicina Orihara

■食毒:食毒不明
■分類:イグチ科 トゥルマリネア属
■和名:ウスベニタマタケ (薄紅玉茸)
■写真:写真ページ
■娘名:薄紅 玉美 (ウスベニ タマミ)

■菌解説:
小型のトゥルマリネア属菌。夏から初冬にかけてブナ科広葉樹の樹下に発生する。 特にカシ類の樹下を好む傾向があるように思われる。 地下生菌ではあるが落葉層に子実体を形成していることも多く、表層を熊手などで掻くだけで転がり出てくる。 子実体は不規則な球形。1cm程度で大きくても3cmほどにしかならない。 濃淡に個体差はあるが表面は和名の通りの淡紅色で、地下生菌の中でも特に美しい色合いを持つ。 内部に柄の名残である無性基部を持ち、そこから鮮やかなオレンジ色の菌糸束を伸ばす。 グレバは迷路状に小腔室の開いたスポンジ状で、最初は無色だが成熟すると黒褐色になる。 胞子は褐色で紡錘形。胞子表面に6本ほどの翼が縦方向に走っているのが本属菌共通の特徴。 肉眼での同定が難しい地下生菌ジャンルの中にあって、子実体と菌糸束の色から判別は容易。 食毒は不明だが小型のため食用には不向き。 近縁種に表面が鮮やかなピンク色で黄色い菌糸束の「T. yuwanensis」が南西諸島に分布している。

■娘解説:
ネコではないニャ。何となくネコっぽい雰囲気漂うピンク色を愛するおっとり娘。 猫耳っぽく見えるのはただのくせ毛でハネているだけ。耳はちゃんと顔の横にある。 髪はウェービーボブでピンク色。後ろ髪の一部だけはオレンジに染めて身長より長く伸ばしている。 頭頂部左に胞子を模した6本のギザギザを象った茶色の髪飾りを着けている。 瞳はピンク色で猫目。太眉。鈴の付いた首輪と胞子を模したペンダントを着けている。 オペラグローブとタイツはやや暗色で、チューブトップとタイトミニスカートはやや明色の黒褐色統一。 どれも表面に不規則な網目模様や水玉模様が入っているが、無性基部を模した淡褐色のブーツだけは無柄。 大きな薄ピンクの球形寝袋を愛用し、ふだんはファスナーを閉めて適当に転がっている。 寝袋内部には赤黒いクッションが詰まっている。 オンレジ色の髪が長すぎて寝袋からヒョロっとハミ出している。 正確は極めて引っ込み思案で対人恐怖症レベル。あまり菌付き合いは得意ではない模様。 たまに黄色いオバケに追われる夢にうなされている。語尾に「ニャ」は付かない。

■学名:Tylopilus sp.

■食毒:猛毒
■分類:イグチ科 ニガイグチ属
■和名:ミカワクロアミアシイグチ (三河黒網脚猪口)
■写真:写真ページ
■娘名:二三河 アミ (フミカワ アミ)

■菌解説:
中型のニガイグチ属菌。発生する都道府県も限られる比較的珍しいキノコ。 初夏~夏にかけて雑木林に発生。特にツバキ科の樹木ヒサカキの周囲に発生する。 発見されてまだ間も無いため、本掲載の段階で種小名が未だ決定していない。 そのため当然命名者名も存在しないので、上の学名表記がやや寂しい。 傘は暗紫色~黒色でフェルト状。成長や乾燥によって非常に細かくひび割れる。 管孔は最初ややくすんだ白色だが、老成すると淡い小豆色に変化する。 肉、特に管孔には強い変色性があり、傷付くと赤変の後真っ黒に変化する。 特に老菌になると株全体が真っ黒になって崩れるため、同定はほぼ不可能となる。 本種最大の特徴は柄であり、表面の黒い網目が二重になっている。 このような網目を持つイグチは極めて少ないため同定に役立つ。 毒成分は2002年になって初めて単離されたボレチン及びイミン化合物。 マウスに対して致命的な神経系の急性毒性を示し、ヒトに対しても同様の可能性が高い。 本種は比較的猛毒菌の少ないイグチ科の中でも突出した強い毒性を持っている。 また外見的に似たイグチも多いので、網目の構造や変色性を覚えておくべきである。

■娘解説:
兎にも角にも「謎」。秘密主義者のお姉様。彼女の事を詳しく知る者は居ない。 細身だが胸だけは異常に大きい。カップ評価するなら全娘の中でもトップクラス。 髪はほぼ真っ黒で超アフロ、ボサボサして所々毛羽立ったようにハネている。 前髪の一部が長く伸びているので、体中に上手く絡めて邪魔にならないようにしている。 ちなみに延びた髪は所々赤っぽくなっている。瞳は真っ黒で瞳の奥から赤い光を放つ。 目付きが悪く、いつも不敵な笑みを浮いかべている。ヘソ出しルック。 ドレスは小豆色で表面には彼女が好きなヒサカキの葉と花と果実が描かれている。 全体が穴だらけの暗褐色のジーンズの上から網目状のスカートを履いている。 敏感肌に悩んでおり、どこかで打ったりすると真っ赤に腫れた後すぐ内出血になる。 感情を表に出さないので掴み所が無い性格だが、一応Sなのかズバズバ物を言う。 ただ三河弁訛りが強く、「~だらー」「~だがや」と一応の愛嬌はある。

■学名:Tylopilus sp.

■食毒:食毒不明
■分類:イグチ科 ニガイグチ属
■和名:ミヤマミドリニガイグチ (深山緑苦猪口)
■写真:写真ページ
■娘名:深山 ミドリ (ミヤマ ミドリ)

■菌解説:
中型のニガイグチ属菌。夏から秋にかけて亜高山帯針葉樹林地上に点々と発生する。 コメツガやトウヒなどの針葉樹に菌根を形成していると思われる。 存在自体は以前から知られていたが、掲載段階では種小名が未決定となっている。 傘は黄色寄りのオリーブ黄色で中央部は濃色、表面はややフェルト状で粘性はほとんど無し。 管孔は淡紅色で変色性は無し。老成すると傘が反り返って管孔部が側面からも見えるようになる。 絵は全体的に黄色~オリーブ黄で傘よりも鮮やか。基部はやや橙色を帯びる。 低地に発生するミドリニガイグチと色以外の外見的特徴は酷似している。 違いとしては発生環境や全体的な色合い、特に柄の配色の違いが分かりやすい。 ミドリニガイグチの柄は中程に赤みが差すが、これは本種には見られない特徴である。 属名的には苦そうだが、本種は苦味が無いグループに属する。 しかし味が悪いため食用には適さず、キノコ狩りではターゲットとはされない。 それでも深い森の中に佇む鮮やかな色彩は実に優雅で、鑑賞する分には十分魅力的である。

■娘解説:
全体的に黄色に統一された登山装備に身を包む元気ハツラツ娘。 名前が「ミドリ」なのにどう見ても黄色いので、周囲からは総ツッコミされている。 一応生え際は緑色っぽいらしいのだが、パッと見では分からない。 表面的に見える髪は黄色で頭頂部はやや緑色っぽくなる。 しかし髪の裏側はほんのり赤みを帯びた強烈なくせ毛に満たされ、黄色い髪からハミ出している。 ノースリーブシャツは上部が白で、下方に向かって管孔を模した模様で黄色に切り替わる。 襟は黄土色で上下に色が逆転したボタン部分がある。ベルトは黒。 小型の登山用リュックを背負い、全面のベルトも留めている。 スカートは黄色で裾部分がややオレンジ色、全体に強いシワが寄っていてる。 足元はゴツい黄色と黒の登山靴に登山用のレッグカバーでガチ登山仕様になっている。 趣味は登山。性格はおっとりしておりマイペースで、独りで居る時間を大事にするタイプ。 その派手さから山に居ると遠目からでも分かり、本人は遭難時に役立つと豪語している。

■学名:Xylaria polymorpha (Pers.) Grev.

■食毒:食不適
■分類:クロサイワイタケ科 クロサイワイタケ属
■和名:マメザヤタケ (豆莢茸)
■写真:写真ページ
■娘名:クロズ・デッド・フィンゲル

■菌解説:
中型のクロサイワイタケ属菌。夏から秋にかけて広葉樹材上やその周囲に群生する。 子実体は黒褐色で基部に短い柄を持ち、表面に子嚢殻がビッシリ並んでいる。 外に向いた子嚢殻先端の孔口から黒色の胞子を噴出し、周囲に積もっていることが多い。 欧米では「dead man's fingers(死者の指)」の愛称で呼ばれる。 我が国での和名はその名の通り形状が豆ざやに似ている事に由来する。 内部は白色で中実だが、大型の子実体などでは黒色表面の空洞ができる。 肉質は硬く食用にはならない。またこの肉質のため長期間朽ちずに子実体が保つ。 「polymorpha(色々な形の)」の種小名の通り、形態の変異の幅が非常に大きい。 基本的には棒状~棍棒状だが、扁平の場合や多少枝分かれ気味の場合もある。 サイズも3cm程度の小さい物から10cm近い大型の物まで様々。 そのため正確な同定には顕微鏡による胞子の観察が必須となる。 本種は白色腐朽菌のため材の白腐れを起こし、断面に黒い雲状の帯線を生じる。

■娘解説:
厨二病臭い愛称のせいなのか、かなり格好もハマっているモノクロ調の娘さん。 身体が部分的に、特に四肢の指先が黒くなる特異体質の持ち主。 その様子がペストによる壊疽の症状に似るため普段着はペスト医師を意識している。 別に黒変しても命に別状は無いので心配は要らない。ちなみに黒いのは皮膚だけ。 髪は天パーの黒色で、後ろ髪を束ねて複数本のごん太ドレッドヘアにしている。 このドレッド部分はその日の気分で形状や本数を変えて遊んでいる。 瞳の色はハイライトの無い黒。目の下に子嚢殻を模した黒い涙模様を入れている。 ペストマスクは乾燥した朽木や豆ざやを入れたコレクションを複数所有する。 黒いワンピースの上から裏地が白の黒マントを羽織っている。下着は全部白。 ブーツは上が黒で下が白のグラデーションで、黒い雲形の模様が入っている。 「死者」の通り名を意識しているのか無口で振る舞いも控えめで目立たない。 森の中で出会うと死神が現れたようでビクッとするが、性格は温厚で特に害は無い。 好物は豆製品全般。特に枝豆は食べだしたら止まらない。




■参考文献

・増補改訂新版 日本のきのこ (山溪カラー名鑑)
・きのこ (新装版山溪フィールドブックス)
・日本の毒きのこ (フィールドベスト図鑑)
・東北きのこ図鑑
・カラー版 きのこ図鑑
・原色・原寸世界きのこ大図鑑
・おいしいきのこ 毒きのこ―見分け方がよくわかる!
・きのこ博士入門―たのしい自然観察
・よくわかるきのこ大図鑑―場所 かさ 柄 胞子
・図解 きのこ鑑別法―マクロとミクロによる属の見分け方
・新潟県のきのこ
・名人が教えるきのこ採り方・食べ方
・原色きのこ全科―見分け方と食べ方
・ポケット図鑑 日本のキノコ 262
・新装改版 北海道きのこ図鑑
・新版 北陸のきのこ図鑑
・冬虫夏草生態図鑑
・冬虫夏草ハンドブック
・奇妙な菌類 ミクロ世界の生存戦略
・南西日本菌類誌 軟質高等菌類
・粘菌 ~驚くべき生命力の謎~
・日本産菌類集覧
・地下生菌識別図鑑 日本のトリュフ。地下で進化したキノコの仲間たち
・毒きのこ 世にもかわいい危険な生きもの


■興味と努力と時間と経験

少しでも多くの人が現実のキノコに出会う。
そのための小さな後押しになる事を願って。

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