暑い日だからこそ来たくなるのがユーランド鶴見だ。
その動機はもちろんキンキンに冷えた水風呂に由来する。
かつてこのユー鶴は関東一と言われた水風呂の冷たさで有名だった。
設定は7℃、当時付いていたデジタルの水温計では「5.9℃」の表示まで見たことがある。
ある日、ある者が自前の水温計を持ち込んで、実際のユー鶴の水風呂は12℃であると喧伝した。
そんなこと、わかってたよ。
無粋だなと思った。
今日のユー鶴は針式の水温計で14℃だった。
手足がしびれるほどではなかったから、実際にそれくらいだと思ったし、それで十分だった。
「『スランプだ』と口にできるのは一流だけ」との格言を聞いたことがある。
俺が聞いたことのある程度の格言だから、きっと名球会員の野球選手が言い残した類のものだろう。
しかし金持ちにも貧乏人にもそれぞれの生活があるように、二流にだって三流にだって四流にだって、それぞれのレベルの中で好不調はあるのだよ。
普段は150キロの球を投げるあなたが、140キロしか出なくなっても、そこは制球と変化球の織り交ぜ方でなんとかできる余地はある。
しかし四流の調子が悪くなったら、もう球がキャッチャーまで届かないのだ。
俺は昨日から論文がまったく進まなくなって、こうしてユー鶴に逃げてきたのだ。
作業スペースがあるのは知っていたんだけど…
調子が悪いとね、なんだかノートパソコンを重たく感じてしまって、持ち歩きたくなくて。
ユー鶴の優待券をもらったのは久しぶりだった。
かつてはこれが何枚も財布に入っている時代もあった。
論文が進まないからうんざりしているのか。
うんざりしているから論文が進まないのか。
昨日、武蔵境で買ったばかりのスニーカーで歩いていたら、さっそく左足首を捻ってしまった。
捻って、捻って、靴に慣れていく。
普通に歩けないこともないけれど、素直に歩くと左足が足首をかばってゆっくりと着地しようとする。
別に誰に見られているわけでもないし、自分で蒔いた種なんだからと、右足を突っかい棒にして左足を踏み出すギッコンバッタンの歩き方で、鶴見駅を目指した。
10年働いたら、やっと神奈川の街と人の雰囲気がわかってきた気がする。
エキスパート部門で、神奈川県民として認定してもらえませんか?
子どものころは横須賀で育った、大学は厚木だった、平塚でよく遊んだ。
そんな感じの、神奈川の人の自分史を聞くのが好きなんだけど、川崎か横浜で育った人は地元と東京で完結するらしく、あまり会ったことがない。
tsumetaimizuburo.hatenablog.com
俺は絶対に医療従事者ではないけれど、神奈川で、新型コロナウイルス感染者数の増加に連動してまずいことになる仕事に携わっていて、実際にまずいことになっている。
毎日暗澹たる思いになる現状と数字が目に入ってきても、空は青いし、サンマーメンは3分で出てくるし、闇営業の居酒屋には行列ができていて、横浜市長選の候補者は駅前で大声でカジノの話ばかりをしている。
(府中白糸台日記「いったいどう暮らしたらいいのかわからない」より)
ひどい夏だったな、2021年は。
あれから固めて睡眠がとれなくなって、そこから派生する相応の不調を抱えながら生きることになってしまった。
その3年前に開いてなくて、入れなかった喫茶店に今日は入ってきた。
佃野の商店街にある「タンゴ」。
この喫茶店で食べたシナモントースト(アイス付き)が、今日の昼メシになった。
鶴見線も前とは顔が違う車両が走り始めたらしくてさ。
ちょっくら海芝浦にでも行ってみるかと思ったけど、論文のことが心をよぎったのでやめた。
あの駅のホームから海に飛び込みかねない、今の俺では。
どうせ飛び込むならもっと青い海がいいしさ。
以上