©川田喜久治
先月発売になった『風の旅人』、今頃ですが、素晴らしいのでご紹介。言葉が、数学が、そして写真が詩と、音楽となっていく様な体験の詰まった一冊になっています。
"...
手に結ぶ 水にやどれる月影の あるかなきかの 世にこそありけれ
私たちが生きている世界は、手にすくった水に映った月のようなもの。その現実は、あるともないとも確定できない。
面白いことに、千年前の紀貫之のこの表現は、現在の量子力学と非常に似通っている。
古典力学は、ものの状態は、与えられた条件によって必然的に決まると主張する。それに対して、量子力学では、ものの状態は、常に幾つかの可能性が重なり合って存在し、(人間が)条件づけた瞬間に、一つの状態に固定されて認識されるだけだと考えられている。 ..."
『風の旅人』 44号
FIND the ROOT 此岸の際
まほろば SUPERPOSITION
http://www.kazetabi.com/bn/new.html
写真家、劉敏史(ゆうみんさ)さんの作品も掲載されています。素粒子物理学の研究施設である高エネルギー加速器研究所(KEK)の姿を捉えた写真には、遥か彼方へと旅をする視界が焼き付けられています。先人への、未来への静かな問いかけは、美しい贈り物の様。
http://youminsa-news.blogspot.com/2011/10/blog-post.html
『風の旅人』は残念ながら今号で休刊が発表されました。毎号追っている様な熱心な読者ではありませんでしたが、手元にある何冊には特別な思いもあります。冒頭で書いた様に、いつも体験として記憶に残る様なものがありました。何も飾らない一貫した清々しい姿勢には勇気付けられました。この様な形ではありますが節目として、感謝したいと思います。
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ご無沙汰しております。しばらく更新しておりませんでしたが、ここのところ私の周辺で非常に興味深い動きがありますので、ぼちぼち情報を載せていこうと思っております。
第二回 義太夫を聴く会
「壺坂観音霊験記」
http://gidayu.blogspot.com/
開催日時:10月12日(水)19:00開場 19:30開演
場所:アサヒアートスクエア(浅草)
料金: 前売¥4000 当日¥4500
予約・問合:義太夫を聴く会
mail:gidayukiku@gmail.com
tel/fax:03-3621-0406
出演:
竹本駒之助(浄瑠璃)<人間国宝>
鶴澤津賀寿(三味線)
鶴澤三寿々(ツレ)
アラヤヴィジャナ
ヨシダダイキチ(シタール/スルバハール<低音シタール>)
さとう じゅんこ(唄)
川村亘平斎(クンダン)
久野隆昭(ガタム)
藤枝暁(シタール)
神田京子(講談)
義太夫は三味線を伴奏とした語りもので、大胆な節回しが特徴ですが、言葉の発音表現を追求した繊細な面もあり、魅力に溢れる芸能です。
この公演シリーズ「義太夫を聴く会」は、その義太夫に心酔されたシタール奏者のヨシダダイキチさんや、サキソフォン奏者でありながら義太夫を10年稽古されている花井雅保さんらが中心となり、企画されました。今回は彼らにとって念願でもあった、義太夫の人間国宝、竹本駒之助師匠がご出演されます。
駒之助師匠は今では数少ない達人に数えられる方であり、三味線の鶴澤津賀寿さんもきっての手練れです。七五調の言葉を使い、アジア独自の感性をもって制作された最新作『火と薪』を発表した、ヨシダさん率いるアラヤヴィジャナ、そして講談師の神田京子さんも出演されます。
間際のご案内になりすみませんが、貴重な公演になりますので、是非足をお運び下さい。
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ヨシダダイキチ「義太夫とインド音楽と 伝統について」
http://gidayu.blogspot.com/p/blog-page_13.html
ヨシダさんのこの記事も、是非ご覧になって下さい。いささかおごがましいかもしれませんが、私自身が音楽についての考え方を大きく変えていった経過をつい重ねてしまうほど、よく解るお話です。
私たち日本人は大事なものを置き去りにしてきてしまいました。ヨシダさんたちの試みは、それらをもう一度獲得しようということでもあるのだと思っています。
"長い時間、その土地で経験的に蓄積された膨大な物事の連鎖」を否定するのであれば、あえて極端にいうと、どうやって、その人は思考し、どうやって生命活動を行っているのだろう?"
(川)
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