※この作品は原作キャラが現実に来たらどういう反応をするだろうかという妄想を基にしています。
遂に来た。
いったいどれほどの時を待ったであろうか。
望み薄と理解しつつも捨て切れなかったこの思い。
この日のため血反吐を吐くような修行も行った。
そしてやっとこの時が来たのだ。
目の前にはトラック。もちろん運転手は居眠り運転。
「テ ン プ レ k t k r!!!!」
この展開はどう考えてオリ主転生、もしくは憑依フラグ!
眼を閉じて静かにその時を待つ。
近づくエンジン音は止まることはない。
通行人の悲鳴さえ俺の旅立ちを祝福しているように思う。
次に眼を開けた時は目の前に神様か死神か。
はたまたは生体ポットの中か。
それとも今からオギャー(なんじゃこりゃぁ!)のイメトレをすべきか。
どちらにしても待ち望んでいたことには違いは無い。
生体ポットの中ならばプレシアの対策をしておかなきゃな。
まあ、それは向こうに着いた時に考えよう
さあ、時は来たれり!
海外のお父様、お母様、逝ってきます、さようなら。
先立つ親不孝者をお許しくださいませ。
ドンッ!
鈍い衝撃音。けたたましい悲鳴。
痛みは、無かった。
なんて思ってた時がありました。
───3分前───
やあ諸君、俺の名前は鈴木一郎。なんてことは無い、ちょっとオタな一般人だ。
今年で二十歳の大学生だったりする。
そんな俺の趣味はリリなののSSを読み漁ること。
数多あるジャンルの中でも特にお気に入りなのがオリ主転生モノ。
美人ばっかりの原作キャラと仲良くなって。
最終的にはあんなことやこんなことも……
>どの娘も魅力的で仕方が無い、ご都合主義の妄想は止まらない。
おっといかんいかん自重しろ俺。
妄想に浸ってニヤついてしまうのは悪い癖だ。
さっさと帰って投稿SSをチェックせねば。
ヤツ(トラック)が現れたのはちょうど横断歩道の中間地点にさしかかった時だった。
───冒頭に戻る───
結果から言うと俺は生きていた。
怪我など一切無く、完全に無傷で。
何故ならそう轢かれてなどいないから。
怖くなって咄嗟に避けてしまった。
ではあの衝撃音は何だったかと言うと、実は俺の傍に少年がいたのだ。
俺は修行で得た反射神経と運動能力で残念ながらうっかり避けてしまったが。
傍にいた少年は反応できず、ミンチより酷いことに……
しかしそんなことよりも俺が気になったのは少年の荷物。
トラックに跳ね飛ばされて散乱した彼の荷物の中にはリリカルなのはのDVDが!
この瞬間俺は理解した、彼は行ったんだと。
くっ!なんて羨ましいヤツ!俺を差し置いてオリ主転生なんて!
その事後処理とかで色々聞かれたがどうでもよかったので適当に答えて今は家の前。
しかし、そこで一旦停止。玄関先に何かあるのを発見したからだ。
割と大きい、あれは……!
「大変です!家の前に誰か倒れてます!」
思わず声に出しちゃったぜ。まぁ、周りに誰もいないから良いけど。
とりあえず傍に寄って様子を確認。
「大変です!女の人です!片ポニでなんか制服っぽいの着てます!」
見た目は俺と同じくらい。あれ?でもこの格好……
ま、さ、か!
「ん、ううん〜」
「お、気がついた?」
「え?あ、あれ?私どうしてこんなとこに…」
大変です!田村○かりボイスです!
「あの〜ここどこですか?ていうかあなたは誰ですか?」
「俺ん家の玄関先、そして俺は鈴木一郎」
聞かれたことには素直に答えないとね。
「鈴木っていうと日本人……?」
「いかにも」
「じゃあここは日本?」
「そのとおり」
「何で私はここに?」
「知らねぇよ」
しかし、見れば見るほど…まさかとは思うけど。
「なんでだろー?確かロストロギアの確保に向かってたはずなのに。」
やはり本物なんでしょうか?
「念話も使えないみたいだし…ボソボソ…」
当人はぶつぶつと考え込んでいるようだ。
>そっとしておこう。
しかし有り余る興味がそうさせない。
ここまで来ると聞かざるを得ない。
「あの〜聞いてもいいですか〜?」
「はい?なんですか?」
「アンタ誰?」
「あ、ごめんなさい、私は高町なのはといいます」
まじっすか。
あとがき
今回初めてSSを書かせて頂きました。普段は読む側メインですが思いついたネタを表現してみたくて勢いで書いてみました。
オリ主がリリなの世界に行くという設定がほとんどですが、逆に原作キャラが現実、あるいはそれに近い世界に来たらどうなるだろうという思い付きです。プロローグ的な部分ばっかりで肝心な部分が全然ありませんが続きを書くかどうかは思いつき次第です。