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May 1, 2024

パリ五輪出場権を獲得! U23アジアカップ準決勝 U23ニッポン対U23イラク

●五輪最終予選を兼ねたU23アジアカップ準決勝は、U23ニッポン対U23イラク。準々決勝のカタール戦は「負ければ五輪出場権を失う」という厳しい状況だったが(選手たちは尋常ではない緊張を感じたとか)、この準決勝は勝てば出場決定、負けてもプレイオフがある。そんな余裕を反映してか、選手たちはのびのびとプレイ。相手にも同じことがいえるわけで、見ておもしろい好ゲームになった。結果は2対0で完勝、オリンピック出場を決めた。決勝の相手はサウジアラビアを下したウズベキスタン。
●大岩監督率いるU23ニッポンは4-3-3の布陣。対するU23イラクは本来の4バックではなく、ニッポン対策で5バックを敷いた。有名クラブ所属の選手が多いフル代表ならともかく、U23相手でもニッポンに対して守りを厚くしてくるのは少々意外。ただし、ディフェンスラインは深くなく、「引いて守る」という戦い方ではない。結果的にこれがニッポンに幸いした面はあって、中盤で比較的自由を得た藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)が無双状態。ラインの裏のスペースをたびたび脅かす展開に。藤田はマリノス時代から足元の技術の確かさと視野の広さがすばらしいと思っていたが、順調に成長を遂げている模様。近い将来、フル代表に定着するのでは。あとは左ウイング平河悠(町田)の突破力も印象的。ゴールは細谷真大と荒木遼太郎。イラクでは7番のアリ・ジャシムの突破に迫力あり。
●イラク相手となるとフィジカルではかなわないかと思いきや、このU23は高さと強さで負けていない。大きいのだ。特に序盤は当たりを強くしようと申し合わせていたのでは。技術も高く、スピードもあり、本当にたくましい好チーム。
●でも、このチームから本番のパリ五輪に選ばれる選手は何人いるんだろう。代表ウィークではないので、このチーム自体がベストメンバーではなく、本番となればほかに何人もの有力候補がいる。しかも久保建英みたいなフル代表の選手も入ってくるかもしれない。そして、オーバーエイジ枠3人が加わる。しかも五輪の登録枠はわずか18人。出場権を獲得したこのチームとオリンピックのチームの顔ぶれが大幅に異なることは必至。この大会が五輪予選を兼ねない、純粋なU23アジアカップだったらいいのにな……と思わずにはいられなかった。世の中で「オリンピック」という存在があまりに大きいため、こんな歪んだ仕組みができてしまっているが、本来ならオーバーエイジ枠などあってほしくない。オリンピックがU23の大会ではなく、O35のマスターズ的な大会になってくれればいいのに……といつも思う。

April 30, 2024

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のブラームス、コルンゴルト、ベートーヴェン

●26日はサントリーホールでセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響。プログラムはブラームスの大学祝典序曲、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲(ロザンネ・フィリッペンス)、ベートーヴェンの交響曲第4番。先日の「エレクトラ」で壮絶な演奏を聴かせてくれたヴァイグレと読響だが、今回はそれに比べればぐっと軽やかなプログラム。とはいえ、大学祝典序曲にはその勢いが少し残っていたかも。学生歌由来の曲だが、通俗的というよりは格調高い。この曲、一昔前に比べると聴かれなくなっている気がするが、やっぱり楽しい曲だなと思う。コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲では、ロザンネ・フィリッペンスが明るくすっきりした音色で、終楽章は痛快。オランダ人らしくかなり長身。アンコールにエネスコの「ルーマニアの様式による歌」。ベートーヴェンの交響曲第4番は小ぶりの編成で、スタンダードな正攻法。第2楽章の頂点の築き方がおもしろかった。重すぎず、軽すぎずのバランスで端正だが、キレよりはまろやかさが勝った感。
●2階中央最前列に高円宮妃久子さま臨席。読響名誉顧問なので。サッカー・ファンにとっては日本サッカー協会名誉総裁としておなじみ。スタジアムでお見かけしたことはなんどかあるはずだが、コンサートホールでは初めてかも。
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●radikoで村上春樹の「村上RADIO 特別編~小澤征爾さんの遺した音楽を追って」をオンデマンドで聴いた。本日21:03まで聴取可能みたい。いちばん印象に残ったのは、村上春樹が小澤征爾に「なぜ征爾さんがオペラを指揮すると歌詞が聞きとりやすいのか」と尋ねたら、こんな答えが返ってきたという話。「あれね、簡単なの。歌手が歌い出すときに子音と母音の間に少し隙間があるでしょう。そこに音をすっと入れていけばいいんだよ。それだけ」。えー。

April 26, 2024

ともに前半で退場者が出た五輪最終予選のU23カタール対ニッポン、ACL準決勝のマリノス対蔚山現代

●今週はミッドウィークにサッカーの国際試合が続いた。どちらもライブ配信では観れなかったのだが、奇しくも前半40分頃に退場者が出て延長戦に入るという展開がまったく同じ。



●ひとつはパリ・オリンピックの最終予選を兼ねたU23アジアカップ準々決勝、U23カタール対U23ニッポン。開催地がカタールなので完全アウェイ。これに勝たないとニッポンは五輪に出場できないのだが、近年、カタールはもはやアウェイで勝てる気がしない相手。久々に五輪出場権を逃すかも、と思っていた。が、1対1で迎えた41分にカタールのゴールキーパーがラフプレイで退場。これで楽になったと思いきや、ひとり少ないカタールが2点目を奪ってリード。その後、ニッポンは2対2に追いつくが90分で決着がつかず延長戦へ。さすがにひとり少ないカタールに余力はなく、延長戦でニッポンが2ゴールを奪って勝利。オリンピック出場に王手をかけた。でも、前半にひとり減ってもカタールはこれだけ戦えるのだから、本当に強い。



●もう一試合はアジア・チャンピオンズリーグの準決勝第2戦、マリノス対蔚山現代。先週のアウェイゲームでは韓国の蔚山が1対0でリード。よく1失点で済んだなという内容だったが、ホームでのマリノスは別のチームのように躍動した。前半30分までに植中朝日、アンデルソン・ロペス、植中朝日と立て続けに3ゴールを奪った。が、ここからがカオス。蔚山に1点奪われた後、前半40分にセンターバックの上島にレッドカードが出されて、PKまで与えてしまう。これを決めて蔚山が2点目。2試合の合計得点が3対3になり、あとはひとすらマリノスが耐え続けた。延長に入っても耐えきって、PK戦に。なんとこの試合、蔚山は43本のシュートを打った。しかも枠内シュートが26本! シュート練習かというくらいに打たれまくったが、マリノスのキーパー、ポープ・ウィリアムはPKを除けば1失点しかしていないわけで、鬼神の働き。J1での実績が乏しい選手だったが、マリノスに来て大ブレイクした感がある。
●PK戦もすごかった。マリノスも蔚山も4人目まで全員が成功して、蔚山の5人目をポープがスーパーセーブ。マリノスは5人目でエドゥアルドが決めて決勝進出。現在のリーグ戦の勢いを考えれば、マリノスのACL決勝進出は驚きだろう。決勝の相手はUAEのアル・アイン。アル・アインは西地区の準決勝で、ネイマールらスターを擁するサウジのアル・ヒラルを破った。

April 25, 2024

クリストフ・エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団のシューマン

クリストフ・エッシェンバッハ NHK交響楽団
●24日はサントリーホールでクリストフ・エッシェンバッハ指揮N響。オール・シューマン・プログラムで「ゲノヴェーヴァ」序曲、チェロ協奏曲(キアン・ソルターニ)、交響曲第2番。ときにはかなりアクの強い表現を聴かせるエッシェンバッハだが、今回は作品とぴたりと共鳴して圧倒的なシューマンに。オーケストラからすごい音が出てきた。深くて重厚なのだが、しばしば輝かしい。造形も独特。軋みながら進むといった趣で、どんどん白熱する巨大な音楽。そしてほの暗い。協奏曲のソリスト、キアン・ソルターニは豊かな音色。アンコールに自作を弾くといって、激しいビートに乗せて次々と変化に富んだパッセージを繰り出す。荒っぽい曲だったが、曲名は「ペルシアの火の踊り」と後で知って納得。自身のルーツにちなんだ曲のよう。やはり白眉は交響曲第2番で、胸のすくような爆速スケルツォから、深く没入するような第3楽章へのコントラストが見事。
●で、第3楽章が終わったところで、ホールの天井のほうからゴゴゴゴゴという轟音が聞こえた。あ、地震か、と思ったのだがほとんど揺れを感じない。エッシェンバッハは意に介さない様子で第4楽章に入った。どこか遠くで大きな地震があったのか(また能登じゃないといいけど……)、それとも突風とか竜巻みたいなものが上を通ったのか、いろいろ気になってしまった。でもその場でできることはないので、緊張したまま音楽を聴き続ける。終演後、携帯の電源を入れて、やはり地震だったのだと知るが、茨城県北部震源で大きなものではなかった。東京は震度2だったけど、それであんな音が鳴るとは。
●コンサートマスターを前半は郷古廉、後半は川崎洋介(ゲスト・コンサートマスター)が務めた。前後半で席を入れ替わる珍しい形。後半、しばしば腰を浮かせて全身でリードする川崎氏の姿が熱かった。

April 24, 2024

阪田知樹(ピアノ) B→C バッハからコンテンポラリーへ

阪田知樹 B→C
●23日は東京オペラシティのリサイタルホールでB→C(ビートゥーシー)阪田知樹(ピアノ)。全席完売。このシリーズにふさわしい意欲的なプログラムで、バッハとコンテンポラリーという軸に加えてイタリアがテーマになっている。前半がマルチェッロにもとづくバッハの協奏曲ニ短調BWV974からアダージョ、バッハのイタリア協奏曲、ブゾーニ「エレジー集」から「イタリアへ!」、リストのBACHの主題による幻想曲とフーガ、後半がブゾーニの「偉大なるヨハン・ゼバスティアンによる小ソナチネ」、マイケル・フィニッシーの「我ら悩みの極みにありて」(1992)、ビューロー~リスト編のダンテのソネット「いと優しく、いと誠実な」、ポウル・ルーザスのピアノ・ソナタ第1番「ダンテ・ソナタ」(1970)、ジェラール・ペソンの「判じ絵、ローマ」から「ペンナを読んで」(1991〜95)、アイヴズの「スリー・ページ・ソナタ」。多彩。洗練された技巧と音色表現の妙ですべてが聴きものというべき充実度。
●前半、「イタリア協奏曲」が明快でみずみずしい。後半はモダンな作品が並んだが、もっとも印象的だったのはポウル・ルーザスの「ダンテ・ソナタ」。この日のプログラムのなかでは唯一、長めの作品で、2楽章構成。晦渋な作品ではあって正直長さも感じるのだが、なにしろ「地獄篇」なので。第1楽章では強靭な打撃の連続から硬質なリリシズムが立ち昇り、第2楽章では陰鬱さがやがて宗教的恍惚へと昇華される。力量ある奏者あってこその聴きごたえ。続くジェラール・ペソンの「判じ絵、ローマ」から「ペンナを読んで」は音数の少ない抑制的な表現が微細なニュアンスを作り出す。アイヴズ「スリー・ページ・ソナタ」はあらかじめ本編に組み込まれたアンコールかなとも思ったけど、本物のアンコールがあって、レジス・カンポの「星月夜 〜 マルチェロ・バッハによる」。この日の冒頭に演奏されたマルチェッロ~バッハの協奏曲のアダージョの枠組みにゴッホの「星月夜」のイメージを重ね合わせた抒情的な作品で、円環を閉じるようにきれいに終わった。
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●ベルリン・フィルの2024/25シーズン・プログラムが発表された。25年6月に山田和樹がデビュー!レスピーギ「ローマの噴水」、武満徹「ウォーター・ドリーミング」、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」というプログラム。大成功しますように。ほかに日本人では25年3月のメータ指揮の公演で、ソリストとして2011年生まれのHIMARIが登場、ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第1番で独奏を務める。

April 23, 2024

辻井伸行がドイツ・グラモフォンとグローバル契約

辻井伸行がドイツ・グラモフォンとグローバル契約
●22日はサントリーホールのブルーローズ(小ホール)で辻井伸行とドイツ・グラモフォン(DG)のグローバル契約発表記者会見。登壇者は写真左より藤倉尚ユニバーサルミュージック社長兼CEO、ピアニストの辻井伸行、クレメンス・トラウトマン ドイツ・グラモフォン社長の各氏。辻井伸行はDGとグローバル専属契約を結び、2025年初頭にDGデビュー作となるベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」をリリースする。また、これまでエイベックスに録音された多数のアルバムもDGより再リリースされるのだとか(配信では旧譜が全世界でDGより再リリース、国内の旧譜CDは引き続きエイベックスで流通)。また、今回の契約を記念して、5月18日にDGの配信サービスであるステージプラスでコンサート映像「辻井伸行プレイズ・バッハ、ショパン&ラフマニノフ」が配信される。
●辻井「子供の頃からDGの録音をたくさん聴いて育ったので、こうしてDGと契約できてとてもうれしく、同時に責任感も感じている。デビューとなる『ハンマークラヴィーア』は大変難しい曲だが、歴史に残るアルバムにしたいと思っている。世界に向けてのスタートラインに立ったと思っており、これからも精進したい」。ブルーローズで会見を行っただけあって、辻井さんの演奏も。リストの「愛の夢」と「ラ・カンパネッラ」。力強くスケールの大きな演奏。
●合わせて、トラウトマン社長よりカラヤンの映像&録音をステージプラスで一挙公開するプロジェクトについても発表された。テレモンディアルの全映像作品とユニテルで制作された大部分のカラヤンの映像がステージプラスで公開されること、またその際に日本語のメタデータも整理されるという。カラヤンの映像がこれだけ長く観られることに感嘆せずにはいられない。

April 22, 2024

Jリーグ、冴えないマリノスと躍進する町田

●マリノスが冴えない。予想通りではあるが、選手層が薄くなったうえに、けが人が多い。試合内容から言っても、ハリー・キューウェル新監督にはよい印象がない。4月10日のガンバ大阪戦が象徴的だったと思うが、この試合は2対0で完勝したように見えて、内容的にはガンバに押されまくって山のようにシュートを浴びた。ボール保持率も五分五分に近かった。耐えて耐えて、決定力の差で勝ったのだが、いつからそんなチームになったのか。ポステコグルー監督時代の狂信的で原理主義的なアタッキングフットボールが懐かしい。ケヴィン・マスカット監督はもう少しバランスを重視したが、それでも1点リードしたら2点リードを狙うという哲学は受け継がれていた。たとえ期待値として損だとしても攻撃的に戦う、なぜならそれがフットボールの本質だから、という哲学。ロマン主義のフットボールだ。4月13日の湘南戦は、控え選手中心ながらも先行逃げ切りに成功するかと思いきや、退場者でひとり減った湘南にゴールを奪われてドロー。そして17日、アジア・チャンピオンズ・リーグ準決勝では、蔚山 0-1 マリノス。キーパーのポープ・ウィリアムのビッグセーブのおかげで1失点で済んだというイメージ。ロマンは機能していない。
●一方、今季のJリーグの最大の驚きは、首位に立つ昇格組の町田! 最初の数試合で首位に立った時点では「まだ始まったばかりだし」と思っていたが、9節まで来て首位なのだから、強さは疑いようがない。黒田剛監督は一昨年まで教師として青森山田高校のサッカー部を率いていた(当然プロ選手の経験はない。欧州や南米では珍しくないが、Jリーグではまだ珍しい)。プロ監督デビューの最初の年でJ2優勝と昇格を果たし、今J1で首位を走っている。どう考えても伝説だ。にもかかわらず、そのサッカースタイルがしばしば非難の対象になる。失点をしないために徹底的にリスクを管理し、無用にボールをつながず、やや荒っぽいファウルが多く、インプレイの時間が短く、ロングスローを多用し、あらゆる局面で勝つための最適化を図る。リアリズムのフットボールだ。黒田監督はヒーローのはずなのに、ヒールめいた雰囲気が漂ってきているのがおもしろいところ。しかし、競技である以上、勝てばそれが正解。非難されるいわれはない。われわれは嫉妬しているのだ。
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●Microsoft Edgeを最新バージョンにアップデイトすると、このサイトにアクセスできなくなるようだ(Cloudflare Forbidden HTTP Response Code:403が出る)。このサイトに限らず、httpのサイトはブロックされる模様。原因は、Edgeの設定>プライバシー、検索、サービス>セキュリティの項目にある「Microsoft Edge セキュア ネットワーク」のようだ。ここが「最適化(推奨)」になっているとhttpのサイトをはじく。この項目を「サイトの選択」にするか、「Microsoft Edge セキュア ネットワーク」をオフにすると、アクセスできるようになる。これはどう対応したらいいものか、困ったもの。いや、サイト自体をhttpsにすればいいのだろうが、簡単ではなさそう……。

April 19, 2024

東京・春・音楽祭2024 ヴァイグレ指揮読響のリヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」演奏会形式

東京・春・音楽祭 2024 ヴァイグレ 読響 「エレクトラ」
●18日は東京文化会館で東京・春・音楽祭。セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のリヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」演奏会形式。本来であれば2022年に読響定期で上演されるはずだった「エレクトラ」だが、コロナ禍の入国制限により実現しなかった。それが今回、東京・春・音楽祭の公演として復活! こんな形で機会が巡ってくるとは。演奏会形式の「エレクトラ」といえば、昨年、ジョナサン・ノット指揮東響で鮮烈な演奏を聴いたばかりだが、今年もまたとてつもない「エレクトラ」を体験することになった。
●歌手陣はエレクトラにエレーナ・パンクラトヴァ、クリソテミスにアリソン・オークス、クリテムネストラに藤村実穂子、オレストにルネ・パーペ、エギストにシュテファン・リューガマー。題名役に人間離れした歌唱が求められるオペラだが、パンクラトヴァは堂々たるエレクトラ。強靭さという点ではノット&東響のクリスティーン・ガーキーに一歩譲るかもしれないが、それでも強烈。ガーキーの怪女ぶりに比べれば、声の温もりもあって、復讐心以前の父への愛を感じさせる。最後の場面、控えめながらも踊ってくれた。あの場面は客席でいっしょに踊りたくなる(ウソ)。アリソン・オークスのクリソテミスもエレクトラに負けていない。ふつうのお母さんになりたいとか言っているけど、実は第二のエレクトラ的な存在なのかも、と思わせる。ルネ・パーペのオレストは格調高い。深い声で空気を一変させる。
●ヴァイグレ指揮読響は凄絶。大編成のオーケストラの咆哮が文化会館の空間に響き渡り、演奏会形式ならではのダイナミズムを堪能。はなはだ苛烈な音楽ではあるのだが、一方で柔らかく官能的な響きも印象的で、表現の幅は広い。このコンビの記念碑的な公演になったのでは(まだもう一公演あるけど)。なんというか、ごうごうと燃えていた。

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飯尾洋一(Yoichi Iio)

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