朝のドラめもん

2024/04/25

お題「基調的物価や期待インフレで定量勝負をしない方が良いと思うんだが(決定会合プレビュー世間話)などなど」

さあもりあがってまいりました!!!!!!!!!!
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB15BOK0V10C24A4000000/
円、34年ぶり155円台に下落 高まる介入警戒感
グローバルマーケット
2024年4月24日 21:17 (2024年4月24日 21:23更新) [会員限定記事]

介入する→結局介入効果長持ちしない→日銀に遂に着火する→「待つことのリスクは大きくない」という昨年の名言が蒸し返される→植田総裁(日銀とは書かずに植田総裁と書くのがミソ)地獄の業火に焼き尽くされる

までのセットでオナシャス!!!!


〇という訳で決定会合ですがそういえば最近急に基調的な物価を連呼するんだが

昨日もちょっと雑談書いた続きの雑談ですいませんですけどね。

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

全国CPI出たんで出てきた訳ですが、例によって左から刈込平均値、加重中央値、最頻値の前年比%ですな。

Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9

とまあそういう訳ですので、一頃のピークからは落ち着きましたなっていう風情になっているのですが、ゆうて2%じゃんとか思いますし、そもそもその前って

Jan-22 0.8 0.2 0.3
Feb-22 1.0 0.1 0.3
Mar-22 1.1 0.2 0.3
Apr-22 1.4 0.3 0.4
May-22 1.5 0.4 0.5
Jun-22 1.6 0.5 0.5
Jul-22 1.8 0.3 0.7
Aug-22 1.9 0.5 0.8
Sep-22 2.0 0.5 0.9
Oct-22 2.7 1.1 1.3
Nov-22 2.9 1.2 1.5
Dec-22 3.1 1.4 1.6

だった訳で、黒田末期の1年間のまあ初期段階では「まだまだ基調の物価は強くない」って言い張れたと思いますが、どっからどう見たってこんなの基調が変化して定着してきているだろう以外の何物にも見えませんよね。


でもって基調的な物価と言えば展望レポートでもちゃんと図表付で解説があってですね。

展望レポート全文の方
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401b.pdf

本文29ページ、PDFだと31枚目(以下本文とPDFページの関係は同じなのでPDF何枚目と書きますね)からが『2.物価の現状と見通し 』なんですけど、

32枚目からこんなのがありまして、

『消費者物価の基調的な動きを捕捉するための指標をみると(図表 38)15, 16、刈込平均値は、前年の値上げの影響が一巡するもとで、2%台半ばのプラスとなっている。一部品目の動きに左右されにくい最頻値や加重中央値については、それぞれ、2%台半ば、1%台半ばとなっている。除く生鮮食品を構成する各品目の前年比について、上昇品目の割合から下落品目の割合を差し引いた指標をみると、「上昇」超幅は小幅に縮小している(図表39)。』

ということで右側に図表38と39がありますが、これは毎度おなじみのさっきの基調的な物価を把握するための指標の図表として出ているものと同じものになりますわな。

『この間、内需デフレーターの前年比は、2%台半ばとなっている(図表 35)。内訳をみると、個人消費デフレーターは、前年比で3%程度となっている。設備投資等のデフレーターは、幾分鈍化しつつも、高水準の伸びを続けている。GDPデフレーターの前年比は、内需デフレーターが幾分鈍化しつつも高めの伸びを続けるもとで、既往の原油価格高の影響の減衰などを反映して輸入デフレーターが前年比マイナスとなっていることから、足もとでは5%台前半となっている。』

ということで、図表35ってのはPDFの31枚目の右の一番上に『図表35:物価関連指標』としてあるものなんですよね。

・・・・・・・・・いや真面目な話、こういうのだけ並べてて「基調的な物価は2%に達していない」と言われましても定量的な説得力というのものが無い訳です。ただまあこれまでの日銀の説明ではあまりこの「基調的な物価」を前面に出していた訳でも無くて、「賃金の持続的上昇」から「賃金と物価の好循環」というメカニズムを前面に出して政策判断の根拠を説明してたから、まあそれはそれで(好循環とか賃金ターゲットとかアホなのかという議論はさておきますと)話としての筋だけは通っているんですよ詭弁かもしれないですけど。

然るに、最近の植田さんの国会答弁をみているとやたらとこの「基調的な物価が2%行ってないからまだ政策修正のおかわりは時期尚早」的な話をしているように見えるんですが、どっからどう見てもそれは説明がドツボに嵌るコース確定な訳で、そういう話をしていると「じゃあ基調的な物価が幾らであるという定量的な説明をお願いします。あと我々も日銀の政策判断の根拠を理解しておきたいからその基調的な物価の計算方法を教えてください」って言われたらどう返す積りなのでしょうか。

まあですね、急に出てきた「基調的物価」なんですけど、賃金が想定以上に上振れてしまって「賃金と物価の好循環」で政策再修正を先送りすることが出来なくなった、という理由に加えて、前述のように「やっと実際のCPIの数値が落ち着いてきたからこの数字を政策再修正先送りの説明に使える」というしょうもない何時ものその場凌ぎ説明のために前面に出して来た、といういつものゴールポスト変更でしょ、としか黒田日銀末期以降の芸風を見ていると思えない訳ですし(個人の感想です)、そうやってゴールポストの変更を画策している(個人の見解です)ような植田総裁からそんなホーキッシュな発言出る訳ないじゃんとか思いっきりタカを括っているし、なんならそれで円安ぶっ飛んで植田さんが丸焦げになる方がどう見ても面白展開になるのでそっちでオナシャスな所ではありますが、この「基調的物価が2%行ってない」の言い訳は突っ込まれ所が大杉なので使わない方が良いと思うだけどなあ。

いやね、メカニズムに話を持って行って定量的な話にしなければ基調的な物価がどうのこうのというのはそのメカニズムの事です、っていう形で説明できるんですけど、2%という定量的な数値という誤魔化しの効かないものを言ってしまうのは植田さん何言ってるのと思いますし、振付師がそういう振り付けをしているんだったら下手くそにも程があるのですけど、まあこの基調的な物価って何ですかってなもんですよ。



でまあ同じ理屈で「期待インフレ」なんですけどさっきの1月展望レポート全文のPDF33枚目に『(物価を取り巻く環境) 』から始まる部分があるのよね。

『先行きの物価情勢を展望するにあたり、物価上昇率を規定する主な要因について点検する。(以下「第一」の「マクロ的な需給ギャップ」の話があるけど引用割愛します)』

『第2に、中長期的な予想物価上昇率は、緩やかに上昇している(図表 41)。短観の販売価格判断DIは、ひと頃と比べると低下しているが、引き続き高水準となっている(図表 42)。短観における企業の物価全般の見通しも、短期は幾分低下しているが、中長期については、引き続き高水準となっている。(以下割愛)』

でまあこれなんですけど、

『図表41:予想物価上昇率』ってのがあって最初が『@各種調査』なんですけど、

『・市場参加者(QUICK、2年先〜10年後までの8年間)
・エコノミスト@(6〜10暦年先)
・エコノミストA(7〜11年度先)
・家計(生活意識アンケート調査、今後5年間)
・企業(短観、5年後)』

ってのがあるんですけど、ずっと下に外しまくっているESPフォーキャストとかコンセンサスフォーキャストとかのポンコツ予想を並べ捲っているのがもうその時点でアレですし、『家計(生活意識アンケート調査、今後5年間)』でプロットされている数字が妙に低くて、脚注を見ると『2. 家計は、5択選択肢情報を用いた修正カールソン・パーキン法による。』ってなっているんですが、その結果の数字のプロット見ると1%台前半の数字とか言う直感的に信じがたい数字になっているんですよね、これどうやって計算してるのかしら????

いやまあ生活意識アンケートのインフレ見通しの数字に情報バイアスがあるのは分かるんですけど、長期時系列でみて2005年辺りと2013年辺りと今とが全部同じくらいってのは流石にどうなのかという結果になっていて、結果としてこの「予想インフレのサーベイ調査」では何と「企業(短観、5年後)」だけが2%に乗っていて後は全部2%行ってないという大変に面白い結果になっておられます。ついでに『ABEI』とありましてさっきのと並列してるのが物国BEIというのも誠にアレではございますな。


ということで、植田さん予想物価上昇率に関しても2%行ってないみたいな説明を良くしているのですが、そもそもお前その計測本当にそれでいいのか問題が生じる訳で、これがまだメカニズムで説明じゃないですけど、予想物価上昇率は上がってきているが2%でアンカーされているかどうかという点についてはこれまでの長期間のゼロノルムの影響が強かったこともあるので今しばらく見極めたい、みたいな説明にすりゃいいのに、「2%行ってない」とか数字をだしてしまうと、こちらもまた「では日銀は今の時点で予想物価上昇率をいかほどで見ておられるのでしょうか」って聞かれるとどうするのって話なわけよ。

これが例えば中立金利に対して足元の金融政策はどの程度緩和的か、みたいな話なら定量的な話を全部誤魔化しても「現在の状況が緩和的であることは誰も疑いないと思います」で済みますけれども、予想物価上昇率とか基調的な物価の話しって、そもそもCPIが2%を上振れて何か月経過しているんだという状況にあるんだから、そこを定量で勝負しに行ったらツッコミどころ満載でボロがボロボロ出るだけじゃん。と思うのに何で植田さんはあんなに自信満々に基調的な物価も期待インフレも2%行ってませんとか定量勝負しちゃうのかが良く分からんです。アタクシが振付師だったら定量で勝負はさせないけどな〜〜って思います。


・・・・・・ということで、まあ明日のプレビュー雑談的には「どういう屁理屈を繰り出してくるか」というのが興味あるのと、植田さんはどうせホーキッシュな事を言えないし、言った側から両論併記のつもりでハトハト小唄を歌いだして台無しにするから楽しみだなあ(棒読み)という所でございますか。

いや為替受けて急に利上げとか断固たる国債買入大減額とか言い出したらビビるけどw



〇これは曜日性なのか何なのか

東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/23 0.060 0.068 0.041 0.041 0.038 0.037 0.052 
2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033 0.051 

何か知らんけど昨日はトモネが下がって1Mは変わってないけど短めのタームはやや引っ張られた、という格好になっているのですが、これ先週も

2024/4/16 0.044 0.041 0.046 0.047 0.045 0.039 0.050
2024/4/17 0.036 0.019 0.032 0.035 0.037 0.032 0.051

ってなっていまして、水曜になるとトモネのレポ金利が急に下がらないといけないカレンダー要因があるのかしらとは思うのですが。なんせTKRRどマイナスの時は正直そんなに気にしてなかったのですが、水曜日ってちょっと動く場合もあるな、と過去データを今ちょっと物凄く目の子で見てて思ったのですが、別に水曜に金利が下がるとかそういうもんでもなかった(上がった(マイナス縮小)りしてたし)ので、これはプラス金利になってからの現象なのか、たんなる偶然なのかはよくわかりましぇん誰か詳しい人いませんでしょうか(って質問箱じゃないですねサーセン)。


でまあ曜日性のような気がするのは短国の売参ちゃんを見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

基本的に昨日の引けって短国では特に変わった動きをしている訳でもないので、なんか短国に物凄い買いでも入って需給がひっ迫したとかそういう話でもなさそうには思えたのですが、この2週連続水曜日のGC現象は何なんですかねと?????が募るのでありました。


〇そういえば企業向けサービス価格指数って長期的に上がっているんですね

https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cspi_release/sppi2403.pdf
企業向けサービス価格指数(2024年3月速報)

今回はなんと

『付. 2023年度中の企業向けサービス価格指数の動向
 (特別掲載)年度指数(総平均)の長期時系列』

ということで付録付きなのですが、この「(特別掲載)年度指数(総平均)の長期時系列」というのが大変にお洒落でございます。図表を貼るスキルが無いのでまあ上記PDFをみてちょ、という話ですけど。

1ページ目の下に『(指数推移)』ってのがありますが、その凡例「企業向けサービス価格指数・総平均」を見ますとなんかいい感じで実は長期的に着実に上がってはいるんですよね(途中消費増税の影響でグニャっと上方シフトしている場面を除けば割とコンスタントに)。


でまあここで先日の野口審議委員の佐賀金懇を思い出すわけですが、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240418a.htm
わが国の経済・物価情勢と金融政策
佐賀県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年4月18日

『(3)「賃金と物価の好循環」確認のための二つの注目点』の頭にこんな記述があります。

『現時点の日本経済で最も重要なのは、いうまでもなく、物価・賃金のゼロノルムを払拭し、「賃金と物価の好循環」を可能な限り早く実現することです。そのためには、少なくとも以下の二点の確認が必要です。第一は、サービス価格が着実に上昇し続ける状態が復活することです。第二は、製造業でもとりわけ中小企業において、賃上げの販売価格への転嫁がスムーズに進展していくことです。』(この部分直上URL先2024年4月18日野口審議委員佐賀金懇挨拶より)

企業向けサービスは着実に上がっているという長期時系列を見てこれを思い出してしまいました。いやまあ企業向けサービスと消費者向けサービスは違うんで別に揚げ足取りに行ってるわけではなくて、こういう状況でしかもグラフの数値見たら上げ幅は以前よりも強くなっている訳ですから、これは早晩消費者向けのいろんなもんに影響する話ですよねとか思ってしまいました(企業の原価にも関わる話ですもんね)、まあ消費者向けサービス価格に影響するのかはまた別の話だと思うのですけど。






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