朝のドラめもん

2024/05/04

お題「決定会合レビューネタで総裁会見の基調的な物価と為替円安と輪番に関してネチネチとツッコミである」

どもども、金曜更新するとか大口たたいてましたが結局土曜になってしまいました。

しかしアメリカン市場も情緒不安定ですな
https://jp.reuters.com/markets/us/KT72EZEHJFNSHL3YO7MYFFU7CE-2024-05-03/
NY市場サマリー(3日) ドル/円3週間ぶり安値、株価急伸 利回り低下
By ロイター編集
2024年5月4日午前 6:38 GMT+9

『<為替> ドル/円が3週間ぶりの安値を付けた。4月の米雇用統計で雇用者数の増加が予想を下回り平均賃金の伸びも鈍化したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内に2回の利下げを実施するとの見方が強まった。』

『<債券> 国債利回りが低下した。4月米雇用統計を受け、連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの見方が強まった。指標となる10年債利回りは一時、2週間ぶりの低水準となる4.453%まで低下した。終盤は6.9ベーシスポイント(bp)低下の4.501%となった。週間では16.7bp低下した。2年債利回りは一時4.716%と3週間ぶりの低水準を付けた。終盤は6.7bp低下の4.809%だった。週間の低下幅は19bpとなった。』(以上上記URL先より)

まあとりあえず日銀の追い込まれがちょっと延命したのは残念無念wwwwwww

・・・・というかですね、円安が止まってちょっと円高(水準的にはクソおぶクソの円安だが160円よりはマシ)に振れている今こそ大チャンスなのですから、連休明けの輪番はバサッと減額したら円安トレンドに歯止めかかるかもしれませんので金融市場局の蛮勇を期待したい(円安の暴動を止めようとするよりも円高になりかけているところで背中押す方が効きが良いと思うの)のですが、まあそんな蛮勇があったら4月の頭に輪番減額しているとしか申し上げようがないので、カシュカリ総裁の頭髪程度しか期待をしておりませんけれども輪番減額(7日は中期前半後半と超長期前半ですな)を
したら褒めてつかわす(謎のウエメセ)。

ま、でもこれからネタにする会見の植田発言を踏まえてバッサリ減額ができない状況になっているのでどうしようもないんですけどねw


〇植田総裁定例会見(決定会合のいつもの奴):どう見てもハトハトチキンです本当にありがとうございました

今回の決定内容って、展望のケツに書いてあった政策ガイダンスちっくなもの(ガイダンスなのかというとガイダンスではないんですけどね)だけを取り出すと「見通し通りに推移すれば徐々に政策の調整」なのですから、それって「毎回の展望レポートで見通し通りに推移しているのが確認出来たら政策の調整」になるんですから、何のことはないそのロジックであれば7月10月1月って利上げできるんですよね。

まあそこまで言わなくたって、別に「今後の政策はデータ次第ですから」とだけ言えばよいものを植田さんは今回の会見の冒頭でやらかした、というのは水曜にもネタにしましたが、ご案内の通りのやらかしな訳ですよ。

ということで
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240430a.pdf
総裁記者会見
――2024年4月26日(金)午後3時30分から約65分

・徐々に「確度」の話を誤魔化しにかかっている件について

今回の幹事社は共同通信だったはず。

『(問)幹事社から質問を二問させてください。3 月にマイナス金利政策の解除を決められ、今後は追加利上げの時期が焦点となっております。利上げ判断に影響を与える物価2%目標達成の確度の高まりについては、今後どのような材料などを重視されて点検されるお考えでしょうか。(後半割愛というかのちほど)』

確度が高まったからマイナス金利解除した、といってたんですから、今後確度の高まりで追加の利上げをする、とまあ普通は思いますよね。というかそういう説明してましたよね。


まずは前半。

『(答)まず先ほど申し上げた点ですけれども、これからの金融政策運営は、その時々の経済・物価・金融情勢次第という考え方が基本となります。』

ん???というところですが先に行きますね。

『短期金利の水準については、毎回の決定会合で経済・物価の見通しやリスクを丁寧に点検したうえで、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切に設定してまいります。』

でもってここでは展望レポート通りに説明してるんですけどこの次に、

『これも大体申し上げましたが、先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。更に、経済・物価見通し、リスクが上振れする場合も、政策変更の理由となると考えています。』

それは良いんだが「目標達成の確度」はどうなった??

『この点ですが、基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するものではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。(後半割愛)』

この「基調的な物価」がメインになっている説明なんですが、これがまたなかなかドイヒーなことに、上記の説明ですと「基調的な物価」ってのは総合判断ですっていう事でして、インフレターゲットやってるんじゃ無かったのかよというお話だし、そもそも総合判断なのになんで「2%行ってない」だけは堂々と言えるのかがよく分からんですよね。

でもってさらにアレなのはこの「確度」の話に関して後の方で質問があったんですよ。

『(問)総裁、先ほどから物価見通しがこのまま実現していけば、というお話されていますけれども、今回もそれがされてきたということだと思うんですが、その確度が高まっているということですよね。とすると、総裁が以前からおっしゃってる閾値っていうのはどの程度高まってきているのか、高まっていると考えていいのか、利上げまでの距離ですね。(後半割愛)』

そりゃ質問しますよね。これに対する回答が中々のゴールポスト変更でしてですね、

『(答)見通し実現の確度という点から申し上げますと、このところ継続的に上がってきているということだと思います。そのうえで、3 月の決定会合では、それまでの枠組みを停止するというために必要な閾値を超えたという判断で政策変更したということでございます。閾値自体はそういうもので、ある種、御用済みになったということかと思います。(後半割愛)』

>ある種、御用済みになったということかと思います。
>ある種、御用済みになったということかと思います。
>ある種、御用済みになったということかと思います。

閾値が御用済みってことはつまり次の利上げの際には「確度」は関係ないってことなんでしょうか、ってな話になるわけでして、いやお前行き当たりばったりにもほどがあるだろその説明、ってなもんな訳ですよ。

「見通し通りに推移すれば利上げ」だから確度の閾値は関係ない、ということなのかもしれませんけれども、その割には実はこの前の質疑(さっき引用した質疑の後段)では確度の話をしていて、植田さんの説明って説明の仕方が首尾一貫しているように読めないというか読みにくくて、これがまたコミュニケーションをグチャグチャにしているんですよね。

というか要は植田さんコミュ障ちゃんにも程があるわけですが、それを言い出すと黒ちゃんも別の方向性でコミュ障でしたし、アタクシ個人も結構なコミュ障です(からネット弁慶はすれけど生業の方は市場の片隅で小さくなって生きておる次第な訳でしてwww)のでまあ植田さんの「なんか上手いこと言いたい」ってのも気持ちはわかるんですけど、コミュ障が上手いこと言おうとすると自爆しかしないので注意しましょう。自戒を込めましてorzorz

ということで新たにクローズアップ気味の政策反応関数「基調的な物価」に関してがこれまたわけわからん説明をしよるのよ植田さんったら。


・基調的な物価とは???

でまあ今回の会見ですが、F5で検索すると「基調的」が29個、「確度」は7個しか出てなくて、確かに「確度」は御用済みというのがよくわかるのですが、マイナス金利解除は「確度」でその次の利上げは「基調的物価」かよなんだその使い分けは(そもそも内田副総裁が理事時代に国会で「マイナス金利解除は利上げ」と言ってたのは何だったんだという話でもある)という話ですがその基調的な物価のお話をちょっと確認してみましょう。

さっき引用したように、

(植田総裁の発言を再掲)『基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するのではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。(後半割愛)』

としているんですよね。つまりは総合判断のお気持ちが入った鉛筆舐め舐めということなんですが、幹事社質問のところでこういう説明をしているんですけど、この説明についてパラフレーズしてくれという質問が後の方(ちなみに6ページになります)に来るわけですね。

『(問)二点お伺いします。一点目は、為替の円安の基調的物価への影響についてですけれども、総裁、先ほど来年の春闘まで必ずしも待つかというとそうではなくて、予想できる状況になれば、もっと手前で判断することもあるとおっしゃいましたけれども、併せて単一の指標で判断することではないということも併せておっしゃってますが、これもう少し具体的にどういう状況であれば、もっと手前で判断するという可能性があるのか、少し具体的に伺えればと思います。(後半割愛)』

具体的にはどういうことか、という質問に対して、為替の影響の話はかっ飛ばして「基調的な物価をどう判断するのか」という話を始めます、まあそれ自体はいんですけど・・・・・・

『(答)前半ですが、為替が基調的物価上昇率にどう影響するかという点のご質問だったと思うんですけれども、それを確かめるのにどういう指標をみていくのかというご質問だったと思いますが、』

と来て話を一般論に置き換えるのはまあこれ自体はアタクシ別にインチキとは思わないしむしろ丁寧な説明(ご案内の通りに会見劈頭に近いところで伝説の「(蚊の鳴くような声で)はい」といってしまって円安ぶっ飛びが炸裂したので少し反省していたのかもしれないですけど、

『基本的には一般的に基調的物価上昇率の今後、あるいはそれがわれわれの見通しの姿と整合的な動きをしていくかどうかという際のチェックポイントという意味で話しますと、』

ほうほうそれでそれで?

『やはり春闘で強かった賃金が現実に経済全体の賃金にきちんと跳ねていくかどうかという点。それから、上昇していく賃金がサービス価格にどういうふうに跳ねていくかという点、更にそこに円安や原油高に伴う輸入価格の上昇がサービス価格だけでなくて、広い価格水準にどういう影響をしていくかという観点。更には最初の方で申し上げましたが、企業サイドの賃金・価格設定行動が持続的に前向きになりつつありますけれども、これが今後どういうふうに展開していくか、この辺りをみつつ、今後の基調的な物価上昇率の動きを判断していくということになるかと思います。(後半割愛)』

だそうなのですが、もっと後の質疑に来ると、例の「基調的な物価は2%行ってない」という説明がおっぱじまるのですよ、ここまでの説明だともっと定性的な話にしか見えないわけで、定性判断としてまだ物価が安定的に推移しているわけではない、ということなので達成していない、という説明ならわかるのですが、

12ページの質疑に移りますと、

『(問)ちょっと逆説的な質問になってしまうかもしれないんですけども、今回の展望レポートで 26 年度まで1.9%と予測されましたけども、ある意味でより物価目標の達成確度が高まったようにもみえて、そういう意味ではそれこそすぐ利上げしてもいいんじゃないかというような判断もなきにしもあらずと言えたのかもしれないんですけども。改めてですね、今、中東情勢、円安の物価高、海外経済減速リスクもある中で、今回の利上げの判断を見送ったというのはどういった理由なのかっていうのは、ちょっと改めてお伺いできればと思います。』

先行きのリスクがあって不透明だから、という回答を期待したと思うのですが、植田さん謎回答をぶっこんできておりまして、

『(答)この見通しの数字をみますと、概ね 2%か、あるいは除く生鮮の 24 年度は 2%をかなり超えているわけですけれども。こうした 2%前後、あるいはそれを超える見通しの中には、弱まりつつあるとはいえ、過去の「第一の力」の波及効果が含まれているというふうに考えています。』

??????

『ですから、そこを取っちゃうとここより少し下の数字になる。取っちゃったものが基調的な物価上昇率というイメージです。』

な、なんだってー!!!

いやあのですね、そもそも第一の力第二の力とかいう説明が金融政策運営における物価判断の説明の中でインチキ成分が入っているんですよ。何度か弊駄文で申し上げていますけど、第一第二とかいうのじゃなくて、「物価上昇(または下落)が一時的なショックなどのワンオフなものであればそれに金融政策で対応するのは基本的に不適切」「物価上昇(または下落)が恒常化する見通しならば金融政策で必要な対応を行う」って話であって、問題はワンオフなのかそうじゃないのか、という話だし、これだけ散々っぱら日銀は物価見通しを外していて、しかも外し方が同じ方向で恒常的に外しているんですから、その場合は日銀が今物価見通しの前提として考えているもの(経済モデルとか)が構造変化によってズレているんじゃないの、って話だと思うの。

然るに植田先生、第一の力をとったものが第二の力で、それが基調的物価上昇率ってそれいくら何でも説明がインチキ過ぎないですかという話で、日本の金融政策論の第一人者にしてこれかよというのが日本の経済学ってどうなってるんだよ状態の情けななさ。

まあそれはともかくとして、

『その基調的物価上昇率はまだ 2[%]を下回っているというふうに考えていますので、緩和的な金融環境、現実的には今のところは 0〜0.1%という短期金利の水準が適当であるというふうに考えているということです。(後半割愛)』

という説明になっていまして、これまたなんのこっちゃという感じでして、つまりはどういうことかというと、展望レポートの最後の部分に書いてあったガイダンスもどき文言とその説明では、

(植田総裁会見発言の再掲)『先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。』

となっていて、金融緩和に関しては「見通し通りに推移すれば修正」になっているのですが、直上の説明っぷりですと、むしろ「金融緩和政策を推進していくことによって2%が達成される」という言い方に読める訳でして、いやだからお前らはどっちなのか(2%目標達成の移行期間における遷移過程として緩和が続いているのか、目標達成のためには緩和政策が必要だから頑張って緩和していきますよといってるのか)がまあ不明な訳ですよ。というか説明がその時々で都合の良い方を使う、みたいな使い分けをしているのがわけを分からなくさせているんだと思うのよね。


まあアレです、「2%達成の見通し」というのもこれまたわけわからん状態になっていて、展望の見通しだけで言えばどう見ても「今後は見通し達成の見込み」だし、一方で植田さんの説明は一貫してその「今後は達成見通し」というのを言いたがらないように見えるわけでして、いや一体全体どっちですねんと思うのですが、さてこの「基調的物価」ですが、なんか「総合判断」だったのがさっきの質疑で「物価から第一の力を差し引いた部分」ということにされていますよね。でもってとどめにこの先の質疑を載せるわけですが、


14ページになります。

『(問)基調的な物価の上昇率についてお伺い致します。これ一概に示すのは難しいということだと思うんですけれども、総合的に判断するということになれば、その根拠が曖昧で、政策修正の分かりにくさであったり、あるいは恣意的な判断につながりかねないというふうに考えています。客観性を高めたり恣意性を排除したりするためには、どういう考えでしょうか。』

インフレターゲットをやってる、って豪語してるんだからそれはこういう質問になりますよね。でもって回答なんですけど(回答は15ページの頭からになります)、

『(答)難しいのは、基調的な物価上昇率というのは、申し上げるまでもないとは思いますけれども、全体の物価上昇率から一時的な動きを取り除いた部分ということになるかと思います。』

第一の力と一時的な動きはイコールじゃないですし、そもそも質問の方が仰っていたし、あんさんも最初の方で基調的な物価の話をしたときに、

(これまた先ほどの植田総裁の質疑応答での回答の再掲になりますが)『基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するものではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。』

って言ってるのに、明らかに会見の後半に来て「基調的な物価」の定義が変わっているんですよ。いや黒田日銀というか置物一派が得意としていたのが「説明が全然首尾一貫していないで適当に都合の良い屁理屈をチェリーピッキングする」というのがあるのですが、植田さんの場合は一つの会見の中で「基調的な物価」の説明が会見の頭とケツで違っている、というのは結構これ深刻な話でして、いやまあお前それでも学者かm9(^Д^)プギャーとか茶化している場合でもありませんでして、この調子で同じ会見中でも使ってる言葉の定義が変わってしまうような状況の人たちが金融政策運営していまして、しかも長期国債市場にとんでもないレベルの市場介入を実施している、ということになりますと、長期国債市場の中の人の端くれとしましては、この人たちのとんでもないレベルの介入が今後どうなるかが全くロジカルに読めない、ということになりますので、そりゃ国債市場の流動性が戻らんし、投資家だって回帰しにくいわ、ということになるんですよ、という意味で困ったもんなんですよこの植田日銀ってのは。

『ところが何が一時的かっていうことは、時代、その時点によってどんどん変わっていくということで、あるやり方で、あるいはある項目を外すと、一時的な変動を取った残りの分が出てくるという固定的なやり方がないということが、難しさだと思います。従って、総合的な判断という、ちょっと分かりにくい表現になるわけですが、対応方法としては、いろいろな手法で一時的な変動を除いてみる。そして、作り出したある種の加工された物価指数、これは複数のやり方があると思いますが、それをお示しして、それをわれわれもみるし、皆さんにもみて頂く。あるいは、もうちょっと技術的には難しいモデル分析を使って、基調的な物価がどうかというところを推計してみてその動きをみるような、複数のやり方を重ねて、何とかどの辺にあるかということを見極めていきたいというふうには考えております。』

って説明、明らかに最初の説明(さっき再掲しましたが)と全然違う話を言ってて、経済物価情勢の背景を含めたメカニズムで考えるのではなくて、「基調的な物価」というのが物価の出来上がりから上手いことトリミングをしていくと出てくる、っていう世界での説明をしている訳ですよ、いやもう何なのこの「基調的な物価」という話なのですよね。


・為替円安と基調的な物価

でまあここで冒頭の幹事社質問の後半に戻りますが、

『(問)(前半割愛)二点目が為替です。円安基調が続いています。円安が物価上昇に大きな影響を生じる場合は、金融政策の変更もあり得るとご説明されていますが、現状の円安についての影響をどのようにお考えでしょうか。』

これも水曜にネタにしたようにG20の時の会見で思いっきり言ったんでそれは聞かれますわ。ということで、幹事社の2つの質問(確度と円安の影響ね)、どっちも「ところでついこの前こういう説明してたんで政策反応関数になると思うのですが、その政策反応関数の現状評価を聞きたい」という至極まっとうな質問。

でもって円安に関する方の回答でさっきから引用している「基調的な物価」も出てくるのですが、

『(答)(前半割愛)それから、為替との関係ですけれども、金融政策の主な手段は短期金利になったということで、その水準をどういうふうに決定していくかということですが、その考え方については今申し上げた通りです。』

ということで、

『為替との関係で申し上げますと、まず、金融政策は、為替レートを直接コントロールの対象とするものではありません。しかし、いつも申し上げていますように、為替レートの変動は、経済・物価に場合によっては影響を及ぼす重要な要因の一つになります。仮に、おっしゃられてきましたような基調的な物価上昇率に、無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮あるいは判断材料となるというふうに考えます。引き続き、為替市場の動向やその経済・物価への影響を、十分注視していきたいと思っています。』

ということでですね、そもそもこれ植田さん自ら墓穴を盛大に掘っているわけでセルフ坑儒とは秦の始皇帝もビックリというお話な訳です。当然次の人が畳みかけてきまして、

『(問)為替についてお伺いします。今回の展望レポートを踏まえてですね、現状の基調的な物価上昇率に円安が与えている影響について、どのようにお考えかというところをお願いします。仮に円安に対してですね、金融政策で対応する場合っていうのは、急激な日米の金利差から考えると、急激な利上げが必要になる場合もあると思うんですけども、その場合の利上げのペースみたいなものはどのようなお考えかというところをお伺いできればと思います。(後半割愛)』

と来ましたところ植田さんこう回答するの巻(ちなこれは質問が2ページのケツ、回答が3ページの頭です)。

『(答)まず、為替と物価見通しの関係ですけれども、先ほど発表しました政策委員の大勢見通しというところをみて頂きますと、除く生鮮で、24 年度のインフレ率予想がやや大幅に上方修正となっています。この主な理由は原油高ですけれども、一部円安の影響も、各政策委員がそれぞれ見通しを作りますので、その人次第でどれくらい上昇したかというところは違いますけれども、若干は含まれているというふうに思います。』

ほうほう。

『ただ、その他のところには、見通しの変更、大きなものが今のところ出ていないということで、それだけでということではないですが、基調的な物価上昇率にここまでの円安が、今のところ大きな影響を与えているということではないという判断がここに表れてるかなと思います。』

でもって、

『ただ、全般的に物価情勢が上振れてきているといいますか、われわれの言葉で言えば、見通し達成の確度が上がっているという状況でありますし、』

上振れしているのが「確度が上がっている」だったらそれにもし円安が影響しているなら基調的な物価に円安が影響している、という事になるんだが、なんかこう植田さん一生懸命説明しようとしていろいろな角度から説明しようとしている、というのはまあわからんでもないのですが、それが結果として「一つの会見の中なのに言ってることが違う」とか「これまでの説明と違う」ってことに結果的にはなっているし、ヘッドラインリスクは上げてるしで全く良いことないというか逆効果にも程があるので余計な説明するなやと申し上げたい。

『更にここのところ原油高とグローバルなインフレもインフレ率でみて下がってきたのが、若干下げ止まりから、場合によっては反転という話、あるいは見通し達成の確度が少しずつ上がっているということとも関連しますが、企業の賃金・価格設定行動も前向きの動きが継続しているというようなことから、基調的な物価上昇率にここまでのコストプッシュ、第二段階のコストプッシュ的な動きと呼べるかもしれませんが、それが跳ねるリスクもゼロではないと考えていますので、注視してみていきたいというふうに思っています。(後半割愛)』

なんちゅうかですね、こんなの「足元までの円安で大きく先行き見通しを変えるに至っていないけれども、今後の影響は今後出てくる指標をきちんと精査しながら判断していきたい」とだけ言っておけばいいのに余計な事を言いすぎでして、こういうのは(さっきも申し上げたようにワイもコミュ障(そのうえネット弁慶と来ているからさらにたちが悪いですかそうですかwwwww)だからわかるけど)コミュ障が頑張って話をしてやらかす典型的なパティーンではあるwww


でまあこんな回答をしたら次の人がさらに質問をしてきまして、

『(問)今日、決定会合の結果が出てからですね、為替は 1 ドル 156 円台となっています。3月の時点では総裁、利上げは急がないということをおっしゃっていましたが、為替を含めた環境変化を受けまして、利上げ時期に対する姿勢というのは変わったのかどうかですね。早期の利上げが必要な段階に来ているというふうにみているかどうかというのを教えて頂けますでしょうか。

それからもう一点なんですが、物価にどれぐらい為替が影響を与えるかというところでいいますと、円安ですとか原油高といった「第一の力」、外的要因によるコストプッシュインフレであった場合でも利上げで対応する必要があると考えていらっしゃるのかどうか、この点をお願い致します。』

ということで植田さんですけどね。

『(答)どちらも究極的にはこれまで、今日、お話ししてきたこととの関連で申し上げれば、基調的な物価上昇率についての見方に影響があるかどうかというところに沿って、特に金利引き上げ、短期金利ですね、これをいつやるかっていうところは決まってくるということになるかなと思います。』

で?

『為替変動はインフレ率に影響しますけれども、為替が何円から何円に、若干円安になるということのインフレ率への影響は、通常一時的にとどまるということだと思います。』

まあちなみにこの説明も「昨年対比」という意味ではそうなんですけど、ベースの為替が動くのっていうのはそれ自体は「水準を変える」ものなので、前年比で恒常的に影響するものではないのから関係ない、というのもなんか変な理屈のような気がしますがどうなんでしょうかね。

それはともかくとして先に行きます。

『しかし、これが長期化するという場合も、繰り返しですがゼロではなくて、それはいったんインフレ率に影響が出て、それが例えば、今年であれば 24 年のインフレ率に影響が出て、来年の 25 年の春闘の賃金上昇率に跳ねるようなことになれば、それは影響が長期化する、あるいは「第二の力」に影響する基調的物価の動きに影響するということになるということだと思います。』

ベースの為替レートが動いた後戻らない、というのであればこういう事なんじゃないの??って思いますけどね。

『ちょっと長くなっちゃいますが、仮にそういうルートを考えるとして、来年の春闘まで待たないと判断できないのかと問われますと、そうではなくて、そういう動きが予想できるような状況になれば、それはもっと手前で判断できるということではあるかなとは思います。』

まあこれ聞いたときに「えー来年まで判断しないのかよ」とそっちの方を先に思ったわ。


でまあこれらの質疑が来た後に例の質疑が来るわけですね。

『(問)植田総裁はですね、先日の会見で、円安の進行によって基調的な物価上昇率に無視できない大きさの影響が発生した場合は金融政策の変更もあり得ると、先ほどお話しした通りだと思うんですけども、今回金融政策の変更がなかったということは、これはつまり円安の進行が、これ無視できる影響だという、そういう範疇になるというご認識でしょうか。総裁のご認識、お尋ねしたいです。』

これは見事な日銀詰将棋。

『(答)それは今までの回答とちょっと重なりますけれども、取りあえず基調的な物価上昇率への大きな影響はないと、皆さん判断したということになるかと思います。ただ、申し上げましたように、そこに影響は今後発生するリスクはゼロではないので、注意してみていきたいということでございます。』

「皆さん判断したということになるかと思います。」というのが逃げ口上にみえてしまうのが悲しいですなwwwwww

『(問)つまり今回は、これは基調的な物価上昇率への影響は、まあ無視できる範囲だったという認識でよろしいでしょうか。』

『(答)はい。』

まあこれ「はい」の前に「一呼吸置いてから蚊の鳴くような声で」というのを()書きで入れれば完璧でしたねwwwwwwww


・会見の説明だと輪番減額は6月会合で減額の議決が出るまでノーチャンスにしか見えません&能動的な手段云々

輪番についてですけど、本文2ページの最後(幹事社の次の人の質問の後半ね)で最初に聞かれましてね、

『(問)(前半割愛)もう一点は国債の買い入れについてお伺いします。どこかのタイミングで減額されるということをおっしゃっていますけども、それはどのような考え方で進めて、いつ頃を考えてらっしゃるのか。その場合に、要は経済・物価への影響というものをどの程度考慮されるのか、その点も併せてお願いします。』

『(答)(前半割愛)それから国債の買いオペについて、国会等でもあるいは前回の記者会見でも、将来どこかの時点で減額ということを視野に入れているということを申し上げてきました。その点は今でも同じ考えでありますし、残念ながら今、具体的にいつの時点でということを申し上げられる段階ではありません。』

ここまで総裁が言い切ってしまうと5月(つまり連休明けの火曜日)に減額するという蛮勇モードは普通出てこないと思われますよね、残念無念。

『表現を変えてみますと、3 月に金融政策の枠組みを変更して、それが金融市場等でどういうふうに消化されるかというところを今まだみている段階ということかなと思います。』

輪番については消化どころか腹下し状態だわw

『もしも将来減額をする場合に、そういうことになった場合にということですけれども、それは一つの考え方としては、金融政策の能動的な手段としては使いたくないな、ということでございます。』

これまた困るのは、輪番減額はある程度の段階に来たら何らかのオートパイロットで行う、というのであれば「能動的な手段ではない」という話はまあ分かりやすいのですが、

『ただし、もちろん将来的に買いオペの金額が減っていけば、保有している国債も徐々に減っていく、残高ですね、ということにつながりますので、日銀がたくさん国債を持っているということから発生しています長期金利を下げるという方向でのストック効果がやや弱まるという効果は発生するということになるかと思います。そういうことも考慮に入れたうえで、短期金利の方の調整を適切にやっていくということになるかと思います。』

となると、ストック効果が金融政策の手段として使われている、ということになりますので、「能動的な手段としえては使いたくない」というのと話が思いっきり矛盾するんですよね。頼むからこの位置づけもうちょっとわかりやすくしてくれってお話になりますわ。


でもって4ページのケツからの質疑になりますが長期国債買入に関して、

『(問)今回の対外公表文で、長国の買入れの方針は 3 月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施するということですけども、3 月の、前の対外公表文では、概ね同額の長国を買入れする、更に脚注にはですね、足元では同額ってのは 6 兆円ですというふうになってましたが、今後もですね、3 月に沿って、決定に沿ってっていうことですので、6 兆円程度の国債[買入れ]を当面継続するという、そういう理解でよろしいでしょうか。(後半割愛というか次に)』

とまあこう念を押されるわけですが、

『(答)前半についてはご指摘の通りでございます。3 月の時点でお示ししたものから変更ありません。(後半は次に)』

となっていまして、ここまで言われた日にはまあ普通に考えて輪番を急に減らさんわな、と思うのが妥当というのが結論になりますよね。

でもって今飛ばした後半ですけど、じゃあオペ紙のレンジに関してということで裁量はあるのけ問題についてでして、

『(問)(前半割愛)もう一つ、長国の買入れですけども、仮に同額の買入れを継続するということでは、バランスシート政策上で減らすという意味ではなくて、金融調節で[金融]市場局がやっているようなオペレーションで減らしていくっていう、そういった可能性についてはどうお考えなのかというのですけども。4〜6[月]のオペ紙では、大体 5 兆[円]弱から 7 兆[円]という数字が示されてますけども、例えば市場動向によっては 5兆円弱ぐらいまで減らしていくということが考えられるのか、もしくはその 5 兆[円]から 7 兆[円]っていうレンジってのは、もっと幅を持たせて考えていってもいいのか、その辺を伺えないでしょうか。』

と来ているのですが、

『(答)(前半割愛)それから後半ですけれども、日々の[金融]市場局の調節で、ある程度の幅を持って決定し得るというふうにしていますが、そこはこれまでと同様に、内外の市場の動向とか、国債の需給、例えばオペの応札の状況等をみて、若干の幅の中で[金融]市場局に決めてもらうという程度のことを考えています。』

という説明になっているから、まあ普通に考えて5月に減らさんわなという話だし、この後翌週頭に出たオペ紙もレンジ変更なしだったのはご案内の通り。

『長期的にオペの金額を減らしていくという際には、政策委員会で決定して、きちんとアナウンスをして進めていくということになります。』

はい6月会合までノーチャン。

『(問)確認ですけど、同額というのは 6 兆円ですけど、[金融]市場局に認めている幅ってのはどのぐらいということなのでしょうか。』

『(答)具体的には特に決めておりません。常識的な範囲でという程度でございます。』

wwwwwwwwwwただの丸投げ責任回避ワロリンチョ


ということで、まあ他の論点もあるにはありますが、一応現世利益的にはこの辺をカバーしておけばいいかなと思ったのを詳しく見てみました。要は基調的な物価と為替円安と輪番ですなw


連休明けにネタの山で死ぬのが見えているのでもう少し成敗に関しては検討の余地はあるがまあ一応大型連休ともなるとやることもありますのでとりあえず本日はこれで勘弁ということで。








トップページに戻る