朝のドラめもん

2024/03/29

お題「輪番とかその他メモ/決定会合主な意見を鑑賞鑑賞」

なんじゃこりゃ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB26DDI0W4A320C2000000/
「金利ある世界」でコール取引急減 円安リスクも
神山美輝
ポジション
2024年3月28日 17:59 [会員限定記事]

『「金利がある世界」で最も重要な金利指標の一つとなるコール市場の取引残高が減っている。取引残高はマイナス金利下の半分近くに減った。取引が細り続ければ不意の金利急変動のリスクが増す。17年ぶりの利上げを慎重に進める姿勢を示す日銀だが、短期市場の取引が低迷すれば利上げがうまく進められず、円安を止めるすべを失いかねない。』(上記URL先より、以下は会員記事)

・・・・・・・・無課金のため記事の中身がどうなのか分からんのだが何でそういう話になるのでしょうかというのが謎おぶ謎。


〇輪番とかその他備忘メモ

・輪番ェ・・・・・・

案の定減額はなかったのですが・・・・・・・・

オファー (3月28日<木>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240328.htm
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,250 2024年3月29日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,750 2024年3月29日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,500 2024年3月29日
国債買入(物価連動債) 600 2024年3月29日

結果がこれである
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240328.htm
国債買入(残存期間3年超5年以下) 6,070 4,252 -0.013 -0.008 58.7
国債買入(残存期間5年超10年以下) 7,070 4,754 -0.008 -0.006 82.4
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,800 1,505 -0.012 -0.008 18.9
国債買入(物価連動債)         2,306 600 -0.310 -0.335

物国はこれ利回りじゃなくて価格較差なのでアレな結果ですが、これはまあいつもの物国クオリティなので我が道を行っていただくとしまして、なんかもう中期長期の応札の少なさよという感じですが、おかげで昨日の債券市場は堅調推移となりまして、引けてみたらカレンダースプレッドの単価落ちを考慮に入れれば2月末より先物価格上昇で終了、というナンジャソラな展開になってしまいました。

・・・・・・まあ今回輪番減らしにくいのはわかるんだが、現状って「不連続」を意識しすぎて却って長期金利の押し下げをしているし、正常化に対して時間がかかるというのを宣伝しすぎているのも金利引き下げに寄与しているし、折角打ち出した施策は満額回答だったというのに、輪番の運営とやたら緩和的を連呼する情報発信のせいで台無しになっているじゃないかってお話な訳ですよ全くもう。


・東京レポレートはなんか上がったように見えますが

いつものTKRRで左からT+0翌日物、トモネ、トムスタートの1、2、3wと1m
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/3/27 0.006 0.010 -0.017 0.003 0.011 0.022
2024/3/28 0.029 0.005 -0.001 0.011 0.017 0.028

昨日のトモネは末跨ぎなので、末跨ぎレート上がったでございますか(1wも上がっているし)という話ではあるのですが、なぜか1wの方がレート低いという謎推移になっていますな


・短国もヨコですが今日は2年入札

いつもの売参もあんまり変わらず
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.060
国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 -0.060

ということでひきつづき新発3MWIは▲6bpでして、短国特殊事情によるものとは言いましても、期末明けて水曜と金曜に3Mの入札があるというタイムスケジュールになっているのに水曜入札分のWIがこれというお洒落な状態は続くのでした(とほほ)

なお1年カレントだけは何か動いていまして、

国庫短期証券1220 2025/03/21:平均値単利 0.090

ということで前日が7.5bpだったので金利上昇、と言いましても途中での利上げがあるかもしれないという点を相変わらず織り込みに行けない(短国ばっかり書いてますけど2年利付の残存の短い奴なんて売買参考統計値もっと金利低い(来年3月償還で4.5で4月償還で5.0)ですからぬー)という状況ですが、まあそんな中で本日は堂々の

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/yotei/auct20240322.htm
2年利付国債(4月債)の発行予定額等

1.入札予定日 令和6年3月29日
2.発行予定日 令和6年4月1日
3.償還予定日 令和8年4月1日
4.発行予定額 額面金額で2兆6,000億円程度

があるのですがはてさてどうなるのやら(売買参考統計値ベースのWIは複利で0.195%とゆうとります)



〇解除会合の主な意見を拝見してみましょう

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240319.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 3 月 18、19 日開催分)


まずは『T.金融経済情勢に関する意見』から。

・何か色々と謎な説明を見つけたのだが

こんなんありました。

『・実質金利が大幅なマイナスを続けているにもかかわらず、景気の回復ペースが緩やかな理由としては、自然利子率の低さや金融政策の効果の波及ラグなども考えられる。』

という話なんですがまず前段の自然利子率。これは2016年のスタッフペーパーなんですけど。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/data/rev16j18.pdf
日銀レビュー
「総括的検証」補足ペーパーシリーズA
わが国における自然利子率の動向
企画局 岩崎雄斗、須藤直、西崎健司、藤原茂章、武藤一郎
2016 年 10 月

『自然利子率とは、経済・物価に対して引き締め的にも緩和的にも作用しない中立的な実質金利の水準のことである。金融緩和の基本メカニズムは、伝統的金融政策、非伝統的金融政策にかかわらず、実質金利を自然利子率よりも低位にすることであるため、理念的には、金融緩和の効果を評価するには、観察されない自然利子率を推計し、実質金利の動向を自然利子率との相対的な関係で捉えることが必要となる。本稿では、わが国の自然利子率について、いくつかの方法を用いて推計を試みた。その結果、推計の方法により相当の幅を持ってみる必要はあるものの、最近では、概ね0%程度の低い水準で推移している可能性が高いことが示された。』(この部分だけ直上URL先の2016年10月「日銀レビュー」より)

総括的検証、ってのは大規模QQEにマイナス金利を突っ込んだら失敗にも程がある事態になったために、延命措置としてYCCを入れた時に行われたものなので、まあこの辺の補足ペーパーもアレと言えばアレですけれども、自然利子率って元々0近辺という推計になっているんだから、自然利子率がマイナスですとかそういう話でもない限りなんかこの自然利子率がどうのこうのってのよくわからんのですが、どの位だと思っているのかというのが気になりますよね。

まあいずれにせよ実質金利大幅マイナスってのは1年どころじゃなく続いているのですから、後者の「金融政策の効果の波及ラグ」なんじゃなくて、単純に「効いてない」ってだけのような気がするんですけど。まあ資産価格ルートや為替市場ルートからは効いてると思いますけど需要に直接働きかける力はもうなくなっている、ってことじゃないですかねえ。


・物価のご意見もちょっとだけ

最初のは

『・最近のデータやヒアリング情報から、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断できる。』

まあ普通に大本営なのですが以下全部並べると、

『・連合の集計値は予想を上回ったほか、本支店のヒアリング情報によれば、幅広い企業で賃上げが行われる見通しにある。高水準の企業収益のもとで、高めの賃上げと緩やかなサービス価格の上昇が両立すると考えられる。物価は、2%程度で推移しながら、賃金に支えられる望ましい形に次第に移行していくことが展望できる。』

威勢が宜しい。

『・ 今年の春季労使交渉における現時点の結果を踏まえると、賃金上昇に伴う物価上昇などにより、「物価安定の目標」の実現の見通しがある程度立ったと考えられ、目標の達成に向けて大きく前進している。』

大きく前進キタコレ

『・ 今後、一時的な要因等によって、物価上昇率が 2.0%を下回る局面もあり得るが、物価の背後にあるメカニズムは「物価安定の目標」と整合的な状況が続く可能性が高い。』

あら強い。

『・ 春季労使交渉の妥結状況は強いものの、賃金と物価の好循環の強まりを確認するためには、サービス価格の上昇や中小企業の価格転嫁の進展を慎重に見極める必要がある。』

お、中村さんですね。

『・ サービス価格上昇の主因は、食材価格の上昇を背景とした外食の上昇などであり、賃上げによる人件費上昇の価格転嫁の影響はまだ中心的とはいえない。』

じゃあ人件費上場の価格転嫁が起きたら、というかですねえ・・・・・・・

『・ 貯蓄率正常化の過程で消費抑制の影響が強く出る可能性があり、物価上昇に負けない賃金上昇が必要であるため、まだ物価から賃金への好循環が全国レベルで強まっているとは思われない。』

全国レベルで循環したらそれは賃金価格スパイラルって奴になりゃあせんかと思うんだが・・・・・・・・・


ということで弱気3名がいるのが確認されましたな、野口中村は分かるけどあと誰でしょ。


でもって政策面の話が当然面白いので観察していくのだが・・・・・・

『U.金融政策運営に関する意見』になります。

・普通の政策なのか普通の緩和政策なのか問題

最初のは大本営公式見解みたいなやつなので割愛して3つめから参ります。

『・非伝統的手段の総動員から、短期金利操作を主たる手段とする枠組みに移行すること、すなわち、異次元の金融緩和からいわば普通の金融緩和に移行することは、短期的なショックを起こさずに十分可能であり、中長期的にはプラスの効果も期待できる。』

寧ろ金利低下の方のショックを起こしているんですが、というのはさておき、この方は「普通の政策」とは言わずに普通の「金融緩和」と言っていますね。でまあこれがまたややこしいのですが、正常化を展望しているけれども移行過程として現状が緩和、というひとと、そうじゃなくて緩和は継続という人がいて、実は後者だとマイナス金利解除その他は全部ただの副作用対応になってしまうので、思想がだいぶ違ってくるんですよね。

ただまあこれまでの植田さんや内田さんの言い方だとマイナス金利解除ってのは副作用対応ではなく、物価目標達成をフォワードルッキングに考えた場合に達成が展望できるっていう状況だから解除する、って話で、現実問題としてそういう説明をしているので、実はこの意見は大本営よりもハト寄りになっているんですよね。

何か今後このような感じでエイヤーでマイナス金利解除したものの、そもそもこの解除の位置づけについては同床異夢だった可能性もあり、まだまだもめるのかよと思うとゲンナリしてきます。とっとと正常化しやがれと思う訳ですがこちらは。

でまあ今の論点を踏まえているのがまさに次の意見でして、

『・今回の金融政策の枠組みの見直しが、金融引き締めへのレジーム転換ではなく、あくまで「物価安定の目標」の実現に向けた取り組みの一環である点を、各種コミュニケーションによって明確に伝えていくことが重要である。』

ただこの人も「正常化」といわないで「引き締め」って言ってるのが訳分らん所でして、そらお前引き締めだったらここから短期金利3%くらいまでホイホイ上げていく話になるけどそんな話の訳はないのは馬鹿海外投機筋以外だれも考えていないと思うのですが、なぜ「引き締めへの転換」と一足飛びの話をしているのかが謎です。

・・・・・・・というこの2つの意見を見ておりますと、うーん何かマイナス金利解除はできたけどそもそも今の金融政策の基本的な方向性についてちゃんとまとまっていないままエイヤーでぶっこんで行きやがったなということで先行きが思いやられるちゃあ思いやられますが、どうせ為替円安でおいこまれて行くでしょこの調子なら(結局それかよw)。


・まあ解除で金利上昇するというリスクを意識していたのは分かるんだが

でもって次。

『・柔軟化されたイールドカーブ・コントロールの運営のもとで長期金利は安定して推移していること、これまでの情報発信によって、「仮にマイナス金利政策を解除しても当面緩和的な金融環境が維持される」という理解が市場に浸透していることなどから、今回の措置によって金融市場で大きな変動が起こる可能性は低い。』

そもそも買入のやり過ぎで抑圧状態にあるので、実はこれ早くガス抜き(輪番減額)をしていかないと潜在的な金利上昇リスクを却って高めているんですよね。

『・経済・物価情勢に応じて、時間をかけてゆっくりと、しかし着実に金融正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていくためには、これからの金融政策の手綱さばきがきわめて重要である。そのためにも、今回、金融正常化のスタートラインに立つことが適当である。』

何処からどう見ても田村さん(金懇と同じですから)ですけれども、正常化のスタートラインと見ている人と見ていない人がいるからこういう表現になっているんですね、というのは分かりました。

でまあこのゆっくりとか緩和的な環境が維持される、ってのを浸透させたい気持ちはわかるのですけれども、今回は明らかにそれが効きすぎてしまって2月末よりも先物価格が上昇する(昨日の引けの時点で)というようなテイタラクになってしまっているし、輪番もご覧の結果な訳でして、まあ今回は結果的に情報発信でハト色の出し過ぎをした、というのは初回だから仕方ないにしても、明らかにこの市場推移は日銀の少なくとも公式判断である「2%物価目標達成の実現が見通せる状況に至ったと判断した」と判断を前進させたことに対して不整合な動きになっている訳ですから、これはコミュニケーションの軌道修正や、長期国債買入の縮減を検討しないと、ファンダメンタルズから乖離した価格形成に戻ってくれないんじゃないかと思う訳ですわあたしゃ。

とうっかり変な演説になってしまいましたが先に行きます。


・なんでおめーらが盛大に価格を押し上げている市場に新規の参入が来ると思うんだよおめでてーな

これは笑ったw

『・長期国債やCP・社債等の買入れについては、大幅・急激な市場変動を避ける観点から、時間をかけて対応することが適当である。その間、債券市場の参加者拡大を期待する。』

えーっとすいません、日銀が市場介入を続けて価格を押し上げている市場に何で参加者が拡大すると思うんですかあああああ???私らを馬鹿にしてませんかあああああ??????

という話でして、参加者拡大して欲しけりゃとっとと大規模介入を止めろやという話以外の何物でも無い訳ですけどナンナンデスカこの虫のいい意見は?????????


・衝撃のアローワンスなんだがこれは・・・・・・・・・

『国債買入れは、現在と概ね同程度の金額で継続するが、その際、実際の買入れは、これまで同様、調節の現場において、市場の状況に応じて 柔軟に決めていく必要があり、上下に多少のアローワンス(例えば1〜2兆円程度)をもって対応していくことが適当である。』

ちょwwwwwwww

月額6兆の買入に2兆円のアローワンスは中々豪快にも程がありますが、これはそもそもが事務方っぽい話になっている点、そしてこのアローワンスを見た瞬間に思い出すのはYCC導入の時のこれでありまして、

2016年9月の「YCC導入」時の声明文である
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921a.pdf

『長期金利:10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止する。』(この部分だけ直上URL先の2016年9月決定会合声明文より)

「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」と言いつつ、この「保有残高の増加額年間約80兆円」をあっという間に空文化した、という実績をお持ちの人と言えば、当時の企画局長が内田副総裁ということで、これは内田副総裁の作文の香りがプンプンするぜ!!!!(あくまでも個人の妄想ですので違っていても責任は一切取りませんので悪しからずご了承下さい)ってなもんや三度笠な訳でして、これは今回の白眉ともいえる驚異のアローワンスキタコレである。

1兆ならまあそうかなとは思ったのですが、2兆は中々攻めてるわと思ったんだが、なるほど買入を月額4兆円に落とすまではアローワンスの範囲内でやってしまえば次の利上げくらいまでは文言をそのままで行けそうですねオソロシス(褒めてる)


・田村さん!意見の真逆のオペレーションになっていますよ!!!

次のもどう見ても田村さん。

『・国債の買入れは、能動的な金融政策手段としては用いず、長期金利の急変動を避けるという観点から行われることになる。その中で、市場の流動性を回復しつつ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切である。』

仰る通りなのですが今の買入では全然委ねていないので減額待ったなし、とはっぱをかけて頂かないと困りますわ。


・田村さんか田村さんじゃないかどっちだろ??

次が

『・ 本年の賃上げが象徴的な変化として確認されたことから、これまでの市場機能に副作用を及ぼしてきた政策対応を見直し、市場が自律的に機能する局面への転換が必要である。』

でして、これも田村さんかも知れないのですが、そうは言いましてもこのコーナーで3発というのもアレなのでして、田村さんじゃなかったらお洒落だなと思いましたが、副作用とか思いっきり言っているあたりはやっぱり田村さんですかねえ・・・・・・・高田さんには期待したいのだが


・将来じゃなくて今からでお願いします

『・将来の金融正常化を見据えて、ある程度は市場の価格形成に任せた政策運営に切り替えるタイミングだと考えられる。』

将来の、とかある程度は、とかイマイチやる気が足りないですね、趣旨は良いんですが積極性が足りないので顔洗って出直してきてください。


・これは中村さんの意見ですね

『・わが国では、米欧のような賃金インフレに陥るリスクは低く、大企業の改革成果が中小企業に波及し、中小企業の賃上げ分の価格転嫁が進む産業構造への変化等を確認する時間的余裕がある。「物価安定の目標」の実現を確実にするため、大企業に関係するETF買入れや貸出増加支援資金供給等以外の緩和策は、中小企業に準備を促し、賃上げ余力が高まる蓋然性を確認してからの見直しが適当である。マイナス金利を解除する場合でも、急速な利上げが必要な状況ではないため、慎重な姿勢を強調することが必要である。』

まあこれはこれで一つの考え方なのでアタクシは現状認識が違うのでこうは思わないけど考え方としていいたいことは分からんこともない。


・これは野口さんですね

YCC解除に反対したのは野口さんですから。

『・国債買入れの継続による長期金利の抑制が未だに必要であり、イールドカーブ・コントロールとマイナス金利政策の解除を同時に行うことは、長期金利を含む金融環境に非連続的な変化をもたらすリスクがある。』

なんで長期金利の抑制が必要なのか、という話は今度の金懇でよろしく。


・まあこういう懸念をする気持ちは分かるのだが

『・今回の政策変更により、経済実態を反映しない形で先々の政策変更期待が高まり、金融環境が急変した場合、好循環のモメンタムに水を差し、物価目標の達成を遅らせるリスクがある。』

というのは前回1月の議事要旨でもあったんだが、正直メディアのバイアス掛かった報道にちょっと乗せられすぎだと思うの。

でもって結果としては緩和スタンスの強調のし過ぎで却って経済実態を反映しない形の価格形成が債券市場で起きているんじゃねえの、と思う訳でして、あんまり先の決め打ちをしまくっていくスタイルというのはもう今の状況にそぐわないと思うのよね。

FRBはドットチャートを引っ込めるタイミングを逸してしまってあの間抜けチャートを出し続けている訳ですけれども、政策に関してはデータディペンデントという風にしようとしている時期もありましたし、ECBも暫くは先行きのガイダンスを一切なくしていた、というように、そもそも経済がグレートモデレーションじゃなくなっている昨今、先行きのことなんぞ難しくなっているんだから、決め打ちコミュニケーションって百害あってたぶん三里くらいしかない諸刃の剣になりつつあると思うのよ。とは言っても足元でまたFEDもECBも先行き決め打ちの誘惑に引っ掛かっているっぽいので、中央銀行の政策の人達としては「事前織り込ませ決め打ちコミュニケーション」ってのは魅力的に映るんだろうなあ、とは思うのでありまする。

でまあその事前決め打ちコミュニケーションをやり過ぎると今回のようなことになってしまうのですが、それこそ円安に飛んでしまって決め打ちをいきなり覆さないと行けなくなる、みたいなことになりますと、市場のボラを無駄に高めることになってしまいますので、あくまでも「データディペンデント」って形でコミュニケーションをやっていくようにしないと、将来色々とややこしいことになると思うので何とかならんのかね、とは思います。

でもって時間が無くなってしまいましたのでちょっと今日は出来なくなったんですが、田村審議委員の青森金懇の会見がまさにそうで、メディアの質問の殆どが「次の利上げの決め打ち発言を聞きたい」のオンパレードになっていて田村さん最後なんかゲンナリしてたんじゃないかというような感じを受けましたけれども、メディアの方がこれまた決め打ちもとめたがる(そりゃその方がニュースになりますからね)のに植田日銀はちょっと乗り過ぎなんじゃないかな、とその点は危惧される所ではあります。

ということで本日はこの辺で勘弁



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