草津白根山の湯釜火口北側の噴気について、3He/40Ar 比(40Arはマグマ由来の40Arを意味する)に基づきマグマ発泡度の変化が火山活動活発化と関係していること、さらにマグマの発泡で説明できることを示した。発泡度変化のタイミングは浅部熱水だまりの膨張・収縮とよく一致しており、同火山の活動の活発化を駆動するマグマ~浅部活動の物質学的な繋がりが確認できた。草津白根山のような熱水が卓越している火山の活動活発化にマグマ(おそらく熱水系より深部)の寄与を示唆した意義もある。希ガスなので複雑な反応を考える必要がなく、今後、火山活動モニタリングの指標の一つとして活用が期待できる。
長期的SSEの時間発展。(左図)2018年から2022年の間に南海トラフ沿いの非定常地殻変動から推定したプレート境界での累積のすべり量分布(カラースケール)。青い矢印は各地点のすべりの方向と大きさを、赤枠は右図のグラフそれぞれの範囲を示す。(右図)左図の赤い領域ごとの累積モーメントの時間変化。右側の縦軸は、地震モーメントで示した値である。四国中部の縦線は短期的SSEの発生時期を示す。四国中部、豊後水道で2019年始めに長期的SSEが発生したことがわかる。また、日向灘南部では長期的SSEが2020年半ばから2021年半ばにかけて発生したこと、種子島沖では2019年種子島沖地震(M6.4)[黒点線]の余効すべり後に短期的SSEが発生したことがわかった。なお四国中部では、2019年以降、長期的SSEの発生期間中に短期的SSEが発生し、両者が共存していると考えられる。
本事業費を使用して得られた研究結果を論文等に発表する際には、以下を参考にして謝辞に記して下さい。
日本語:本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の支援を受けました.
English: This study was supported by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) of Japan, under its The Third Earthquake and Volcano Hazards Observation and Research Program (Earthquake and Volcano Hazard Reduction Research).