お年玉にも使える! お札で折る「おとなのおりがみ」
(写真上から)<br>1.「レインボー万」<br>2.「カネンライダー」<br>3.「シー万」<br>4.「家政婦は見た!」<br>5.「目玉おやじ」<br>練習は折り紙で
先日コネタで「今時のおりがみ」をお伝えしたが、またまたおりがみ好きにはたまらない折り紙情報をゲット。
“紙幣を折る”という日本では前代未聞の折り紙本『おとなのおりがみ』(1000円 税別)が「山と渓谷社」から出版されたというのだ。
本に収録されているのは全て千円、五千円、一万円と私たちが日常使っているお札を使った作品のみ18種類。
「レインボー万」、「スーパー万」、「金ゴン」、「カネンライダー」、「シー万」、「亀は万円」などお金がらみのダジャレを冠した作品のほか、「家政婦は見た!」、「目玉おやじ」などお札の絵柄があってこその作品などどれもこれも楽しめる作品ばかり。フリーハンドで描かれた折図はなぜかコンピュータで描かれた従来のものより分かりやすい。作品の解説もイラスト入りでお笑いセンスが効いていて読み物としても十分楽しめるという今までになかった折り紙本だ。
著者は日本折紙学会の会員でもあるアル中Masa(あるちゅう・まさ)さんで、もちろん作品は彼のオリジナル。

それにしてもお札でこんな楽しい作品を作ってしまうアル中Masaさんもすごいが、出版社が折り紙やインドア系の趣味とは無縁と思われる山と渓谷社というミスマッチ感も何とも言えない。


山と渓谷社のこの本の担当者である小林由佳さんにお話を聞いてみた。

「出版のきっかけは私がインターネットでアル中Masaさんの作品に出会ったことです。これを本にしたら楽しいだろうなと思って出版のお誘いをしました。自然系の出版物が多い当社でなぜ折り紙本を? と聞かれることも多いですが深い意味はないんですよ。はっきり言って私の趣味の延長というか……(笑)。現在『おとなのおりがみ』はネットと書店とで販売していますが、ご好評をいただいておりまして、書店さんではまだ十分在庫はありますが、ネットでは早くも在庫が切れてしまったというところも出ています」

いやぁ、いいです、いいです、これ。
これからの季節、子どもへのお年玉に使えそうです。

「『お札を折る』という行為に関しては不謹慎だ、と考える方もいらっしゃると思いますが、日本ではお正月に向けてその年の干支などが紙幣で折られていたということもあったと聞いています。五円玉など硬貨で作る工芸品などと同じように日本の文化の一つとして捉えていただければなぁと思っています。『目玉おやじ』は原作者の水木しげる先生にも『よくできている』と大変喜んでいただいています」

それにしてもこんな楽しい作品のアイデアはどこからくるのだろう。著者のアル中Masaさんにもお話を伺ってみた。
「小さい頃から折り紙は好きでしたね。
お札で折る折り紙を始めたのはここ3、4年くらいです。実は友人に“ほいけんた”というバルーンアートなどやるマルチなお笑い芸人がいまして、彼がネタで折り紙を使ったものをやるということで色々考えたのがきっかけです。初めは千円札でシャツを作って『千円シャツ』なんてのをやったんです。あっこのシャツの折り紙はオリジナルではないですけど。『お札から顔がちょこんと覗いているのは作れないか』とかそういったアイデアを彼が出して『家政婦は見た!』などを作っていったわけです」

なるほど。この独特のセンスとユーモアはスタートがお笑いネタだったということにもあるようだ。
まさに駄洒落で織りなす、折り札YENターテイメント。ちなみにこの『家政婦は見た!』はキャバクラなどで一番受けがいいのだとか。

「お札を粗末に扱っているのでは? という懸念をされる方もいらっしゃいますが、お札の折り紙は作品として残すようにして、上手に折れるまでは練習用に普通の折り紙を使っていただけたらと思っています」と小林さん。

さらにアル中Masaさんは作品としてお札を折る前の折り紙での練習ポイントを教えてくれた。
「15センチ四方の一般的な折り紙を半分に切るとほぼ99%千円札と同じサイズになります。ですから折り紙に折る時のポイントとなるお札の肖像画や金額、ホログラムなどを写しておけば、位置を確認しながら練習できますよ」

お風呂につかっている目玉おやじは比較的折りやすいというのでさっそくチャレンジしてみた。
最初はやはり目玉の位置がズレるも何回か折っていくうちにほぼ完璧な状態になった。
よし! 来年の甥っ子姪っ子へのお年玉はこれで決まりだ!
ペロっと二千円をあげるより、千円札の目玉おやじのほうが子どもたちもきっと喜ぶはず……と私は信じています。
お札で折る「おとなのおりがみ」はお札の額面を上回るインパクトがあること間違いなしです。
(こや)

山と渓谷社HP
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