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2024.5.19 Sun

東アジアの少子高齢化と地政学
―― 国際政治はどう変化するか

経済成長を実現することも、社会的セーフティネットを財政的に支え、軍隊を動員することも難しくなり、日本、韓国、台湾は内向きになっていくだろうし、中国も、野心と能力の間の克服しがたいギャップの拡大に直面するはずだ。一方で、高齢化も進む。中国に悪影響を与える東アジアの人口減少が、ワシントンの地政学的利益になるのは間違いないが、東アジアの民主主義国家にも足かせを作り出し、問題も引き起こす。(エバースタット)

大国への台頭を遂げたものの、深刻な人口動態問題を抱え込みつつある中国、人口動態上の優位をもちながらも、さまざまな問題に足をとられるアメリカ。そして、人口動態上の大きな衰退途上にある日本とヨーロッパ。ここからどのような地政学の未来が導き出されるだろうか。(エバースタット)

ゼロ成長やマイナス成長の社会ではいかなる資本主義システムも機能しない。その具体例が、高齢化し、人口が減少している日本だ。人口の成長がゼロかマイナスの世界では、おそらく経済成長もゼロかマイナスになる。人口規模の小さな高齢社会では消費レベルも低下するからだ。(カラベル)

東アジアの少子高齢化と地政学
―― 世界政治はどう変化するか

2024年6月号 ニコラス・エバースタット アメリカン・エンタープライズ研究所 政治経済チェア

東アジアのポテンシャルは、今後、人口減少によって大きく抑え込まれていくだろう。経済成長を実現することも、社会的セーフティネットを財政的に支え、軍隊を動員することも難しくなり、日本、韓国、台湾は内向きになっていくだろうし、中国も、野心と能力の間の克服しがたいギャップの拡大に直面するはずだ。一方で、高齢化も進む。中国に悪影響を与える東アジアの人口減少が、ワシントンの地政学的利益になるのは間違いないが、東アジアの民主主義国家にも足かせを作り出し、問題も引き起こす。これらの国家にとって、アメリカとのパートナーシップの必要性が高まる一方で、ワシントンにとって彼らは魅力的なパートナーではなくなっていくはずだ。

人口動態と未来の地政学
―― 同盟国の衰退と新パートナーの模索

2019年7月号 ニコラス・エバースタット アメリカンエンタープライズ研究所 政治経済担当議長

大国への台頭を遂げたものの、深刻な人口動態問題を抱え込みつつある中国、人口動態上の優位をもちながらも、さまざまな問題に足をとられるアメリカ。そして、人口動態上の大きな衰退途上にある日本とヨーロッパ。ここからどのような地政学の未来が導き出されるだろうか。ヨーロッパと日本の出生率は人口置換水準を下回り、生産年齢人口はかなり前から減少し始めている。ヨーロッパと東アジアにおけるアメリカの同盟国は今後数十年で自国の防衛コストを負担する意思も能力も失っていくだろう。一方、その多くがアメリカの同盟国やパートナーになるポテンシャルとポジティブな人口トレンドをもつインドネシア、フィリピン、そしてインドが台頭しつつある。国際秩序の未来が、若く、成長する途上世界における民主国家の立場に左右されることを認識し、ワシントンはグローバル戦略を見直す必要がある。・・・

人口減少と資本主義の終焉
―― われわれの未来をどうとらえるか

2019年10月号 ザチャリー・カラベル  作家、コラムニスト、投資家

ゼロ成長やマイナス成長の社会ではいかなる資本主義システムも機能しない。その具体例が、高齢化し、人口が減少している日本だ。人口の成長がゼロかマイナスの世界では、おそらく経済成長もゼロかマイナスになる。人口規模の小さな高齢社会では消費レベルも低下するからだ。既存の金融・経済システムが覆されることを別にすれば、これに関して、本質的な問題はない。今後、人口比でみれば、十分な食糧が供給され、潤沢に商品が出回るようになるかもしれない。気候変動への余波も緩和されるだろう。だが、資本主義はうまくいってもぼろぼろになり、悪くすると、完全に破綻するかもしれない。今後、世界の人口が減少してゆけば、経済成長は起きるだろうか。この設問にどう応えるかの準備ができていないだけでなく、どう答えるかさえ考え始めていない。これが世界の現実だ。

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2024年5月号(2024年5月10日発売)

Contents

  • イランの戦略目的は何か
    混乱と変動から利益を引き出せる理由

    スザンヌ・マロニー

  • 中国経済は成長を続ける
    悲観派を惑わす4つの誤解

    ニコラス・R・ラーディ

  • 中国は欧米との衝突コースへ
    実現しない内需主導型モデルへの転換

    ダニエル・H・ローゼン、ローガン・ライト

  • ナレンドラ・モディとインドの未来
    ヒンドゥー・ナショナリズムの長期的帰結

    ラーマチャンドラ・グハ

  • 地政学競争と道徳なき外交の時代
    理念と現実主義をいかに融和させるか

    ハル・ブランズ

  • ヨーロッパが備える脅威の本質
    ドナルド・トランプと米欧関係の崩壊

    リアナ・フィックス、マイケル・キマージ

  • 「グローバルサウス」の問題点
    欧米諸国の思い込みと誤解

    コンフォート・エロー

  • AIが主導する戦争の時代?
    自律型兵器の脅威にどう対処するか

    ポール・シャーリ

他全10本掲載

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