イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2024年3月28日木曜日

最近観たライブ感想その3:絶賛UK ツアー中☆Nick Helm's Super Fun Good Time Show 観ました

【これまでの(ファン的角度からの)お話】

ニック・ヘルムさんについてはこちら。その場限り的な空前絶後のパフォーマンスが得意なので、詳細を記録しときたいという理由からショーの一部始終を書いちゃってるものもあります(こことかこことか)。2017年2019年2022年は鬱三部作と言われていて(*1)、そのうち2022年の作品の感想をまともに書いていないまま今に至ってしまっております。

https://www.nick-helm.co.uk/#live

2024年3月26日からツアーが始まりました。が、チケットは完売していないようです。(今日のグラスゴーもチケットあるらしいよ!)テレビ出演、人気(コメディ)ドラマ出演も多く、知名度は高いはずなんですが、ライブへ客は流れづらい印象。常々書いてましたが、(コメディ)ドラマの役柄イメージとライブパフォーマンスのパーソナとの間に、一見すると果てしないギャップがあるように見えるからなんじゃないかというのが、オレの見解です。表現方法が違うだけで、基盤は同じなんだけどね。それが見えるリテラシーを大衆に求めるもんでもない。というわけで、劇場サイズはでかくても300くらい+完売なかなかしない。

とはいえ、ファン的には、布教活動に勤しむモチベが維持されるし、10年以上前と変わらぬ距離でライブ観れるのは、めっちゃありがたいというのは否めないですが…

【今回の作品について】

過去3作が「気が付いたら鬱」(2017年)、「鬱と自分」(2019年)「パンデミックを潜り抜けた鬱病者(自分)のケーススタディ」(2022年)的なテーマで。今回のテーマはどうしようかなーと思っていた昨今、抗うつ剤をいろいろ試しても鳴かず飛ばずな効果なんで、医者に相談に行ったら、じつは鬱というよりはbipolar(双極性障害?)だって診断されちゃった。

ええええええ! 

「でも先生、オレ「躁」のときの認識がないんですけど・・・?」

「bipolarの種類もいろいろあって、患者さんの場合は躁が💩レベルしかない(→鬱のときとあんまかわらない)」

「・・・・・・」

そんなわけで、bipolarの処方をもらい始めたのだけど、ずいぶん調子がいいらしいんですよ(*2)。観客のみなさんと、心の底から最高に遊べるfun timeを作ろう!って気分になり、今回のショーが誕生です。

ショー自体の長さは「60分」。なんですが、エディンバラのフリンジやそれをそのまま転送できるSOHO THEATRE的なところじゃないかぎり、芸人さんは90-120分の任務を課せられるんですよね。対処法としては、1)前座を1-2人入れちゃう 2)自分で全部時間埋めちゃう 3)(劇場サイズのデカいところでやる大物さんにはよくあるケース)始めからショー自体の長さを45分x2(15-20分インターバル)で構成しちゃう。で、ヘルムさんは迷いもせず(2)なんですよ。なんでかってと、crowdworkの天才だから(*3)。本編ほどに綿密に準備もせず、クオリティを落とさず、量を増し増しにできるんじゃないかと思います。

よって、最初の40分(実際には60分に伸びてた)は「ショーまだ始まってない」と定期的になんどもなんども断りを入れつつ、Super Fun Good Time Showの導入口的な話。薬は効いてていいんだけど、イカないんだこれが! いや、大丈夫、勃起はする!めっちゃ!硬くなる!めっちゃ!めっちゃ!!めっちゃ!!!硬くなる!!! (前に座る男性客指して)大丈夫!ハードファンをがっかりさせるようななよったちんこじゃない!安心して!めっちゃ!めっちゃ!めっちゃ!!!硬くなる!!!だけど、どうにもイカない!!!

からの、「自分90sがティーンエイジャーだったからCOMEって言葉に汚れを感じる世代なんだけど、どうみんな?COMEってなんて言ってる?言ってた?」と、どこに座ってても直撃&つっこまれる、ヘルムさんおなじみの展開に。しかも下ネタ全開。この「ニックヘルムのショーに来たら、どの席座っても安全な場所はない」って緊迫感(?)が最近緩かったんで(*4)ああ、たしかにお薬効いてるのかしら、とほっこり。

多分ネタなんだろうけど、「お前らノリが悪すぎ!おまえもおまえもおまえもCxxxばっかり!!」とか。トイレに立つなどの大きな動きをするお客さんだけじゃなく、、顔にてェあてて感慨深そうに見てた(かなり後方の)お客さんにいきなり突っ込み始めたり。

「ショーは始まってない!!!」とものすごい頻繁に言い張り続けるものの、これらのティーン時代・思春期時代の下ネタ、そしてヘルムさんがいぢってるお客さんたちが、きちんと「ショー」自体(→結局80分くらいの長さに)のなかでストーリーとしてつながりを持ち、高クオリティのメタジョークとなり、またいぢられたお客さんたちはのちに舞台に立たせられ、ネタの落としどころとして役立ち、大活躍していくんですよね。ヘルム氏、4人舞台に立たせられ、客席内でも(前方後方関係なく)3人くらいと一体となって一番のメインネタを作り上げていくってね。神業スキルだな、と思います。ご本人社交性がないんで・・・って言ってますけど、それとこれは別なんですよね。

お客さんたちは素人さんですから使いづらいことも結構多いと思います。でもヘルムさんのすごいところは、素人さんどんなボールも貶してスマッシュ決めるんですよ。スマッシュ決めてかつコントロール下に維持する。今回はフェスティバルでもない平日は水曜日の地元客ばっかりだったので、よっぱらいやスタグナイトのヤバいやつはいなかったけど。

というわけで、20時に始まったショーは15分のトイレ休憩をはさみ、22時35分に終わりました。めちゃくちゃ!疲れたけど最高でした。


(*1)2017年は本人やってるときにまるで気が付いてなかったけど、周囲から「どんよりモードにもほどがある」って言われて認識したらしいです。オレはじつはWiPしかみてないのと、本人が気づく前の者だったに違いないので、「鬱」の印象があんまりないんですよね。ただすげえ暗黒世界の究極のエロ芸術コメディで、感動した記憶が今も残ってます。

(*2)前作も鬱病の薬をもらってよくなったーよくなったーっていってたんだけど、今度はもっと実感してるみたい。

(*3)crowdworkっていうと一番前に座るお客さんを中心に「なまえは?」「どこからきたの?」「職業は?」「そこカップル?」みたいなやりとりでウォームアップというか、場をつないでいく、みたいのが典型的ですが、ヘルムさんのは、もうその域とレベルを完全に超えていて、ナタリー・パラミディスが大絶賛されてる系のクラウニング・スキルです。実際以前ヘルムさんどこかの媒体でクラウニングのレッスンを数カ月受けたって言ってたと思う。ただ数カ月のレッスンからの実践の繰り返しでこの達人レベルに至っているのは、天性の才能があってこそ、と思わざるを、得ません。

(*4)Hot'n Heavy の10周年記念ライブを去年エディンバラフリンジでやったときは除く


2024年3月26日火曜日

待ちすぎた、ガッドさんのBaby Reindeer (邦題は「私のトナカイちゃん」???)Netflixシリーズ、待望の4月11日配信

 日本も同じ日に配信開始でしょうか? 一応チェックしたら日本のネトフリの4月配信リストに入ってました!

スコットランドが産んだ天才リチャード・ガッドさんが、英語圏のコメディ・アワードといえば、のエディンバラのフリンジ・フェスティバルでアワードを受賞した3年後に、第4の壁を流行らせた(→語弊)フィービー・ウォーラー・ブリッジのフリーバッグのプロダクションとタッグを組んで発表、

Stage Awards (2019)でOutstanding Performance

Olivier Awards(2020)でOutstanding Achievement in Affiliate Theatre

Holden Street Theatre Awards (2019)でBest Theatre Show

を受賞した一人芝居Baby Reindeerが、ネトフリドラマシリーズとなったやつです。






イギリスではすでに相当知られているはずなのですが、世界配信ということもあり、今回のPR方法が、ガッドさんの名前だけでは弱いと思われてるみたいで、やたらと The End of Fxxxing Worldチームの制作です、ダケで押し通そうとしているのには、結構ムカムカきてます。しょうがないのかね。
ワーカホリックな天才のガッドさんが、闘魂こめて作ってるこのシリーズは傑作しかないです。ですので、皆さん見て騒いでください。



2024年3月18日月曜日

最近観たイギリスのライブコメディの感想その2。Ian Smith, Dan Tiernan とRob Autonのショーの感想です。

 本当は前のポスティングでエイカスターくん含めてまとめて書いちゃってあげちゃうつもりだったのですが、エイカスターくんの感想だけでとんでもない長さになっちゃったので、分けることにしました。大丈夫。この3人は忘備録程度のボリュームに留まります。


Ian Smith: CRUSHING 


ポスター広告にもシール貼ってあるとおり、2023年のエディンバラ・フリンジのコメディ・アワードにノミネートされてるんですよ。ガッドさんのコメディ観て以降、適度に注目している芸人さんであるため、高評価のレビューが出るたびに、行かないと行かないと、とは思ってたんですが、お昼時のタイムスロットで、なかなか上手に時間が取れない!ってことで、このショーが地元に再訪する、って発表になった時点で速攻チケットを確保しまして(多分半年前くらい)・・・くらいの熱量だけはありました。

内容は、プレッシャーとかストレスとかメンタル弱ってるんだけど、それを乗り越えるのは発散だよね、っていう話で。その主な原因が(たしか昔のショーで結婚したって話を聞いた記憶があるのだけど)パートナーとの別れたことではあるのだけど、その話をしたいのではない、と上手にそっちに関連する可能性の話に一切触れなかったのは、スキルだな、と思いました。後半は、セラピー的なアクティビティとして、スロヴァキアに行って車をぶっ壊すツアーに参加してくるストーリーを展開。ショー自体が芸人さんのセラピーの道具ではなく、芸人さんがセラピー方法を提示している、という意味では、他と確実に一線を画したショーを作ったんだと思いました。

本当に残念だったのが、フリンジではその車をぶっ壊すツアーに参加する映像を流したフィナーレがオレが見た地元のショーでは、なかったことです。これがあるとないだと、締まり感とインパクトが全然違うと思いますし、パワー落ちが否めません。その映像はムッチャクチャ面白かったらしい。SOHO THEATREでは流したのかな? 

というわけで、面白かったし、とてもいい芸人さんだと思うけど、注目度は現状維持かなぁ・・・。


Dan Tiernan: Going Under


この1ー2年で頭角を表してきた新人さんで、BBCのNew Comedy Award 受賞したりLeicester Comedy Awardでノミネートされたり。2023年フリンジで上演したこのショーも超話題になってて、見に行かなきゃ、と狙っている一方どうしても時間の都合がつかず。で、今回見てきました。

ディスプラクシア で、ゲイなんですって。こんな症状を持つ自分の学校での話や義父との関係の話や仕事での試行錯誤、コメディアンを目指し始めた経緯等、そんな中、心の支えだった大切な妹さんが白血病にかかってしまい・・・

と、聞いてると、どこが笑えるんだ?と思うんですけど、いいのか悪いのか、(あくまで本人が言うところの→)ゲイっぽくない外見とディスプラクシアの症状を利用して落としていくんですね。体のバランス崩すとか、声のボリュームの加減間違えちゃうとか、動きのコントロールできなくなっちゃう、とか。極めて善良な客を相手に、罪悪感を感じさせずにこの手の笑いを成立させてるのは、スキルかな、と思います。

イギリスでは、日本ではよく見かけるような、唐突に叫んだり動いたり、というショック的なインパクトで笑わせる笑いはあまり見かけません。なので(障害が原因云々はさておき)ダン・ティエランの笑い自体が新鮮なのだとは思います。

おりしも比較的最近「水曜日のダウンタウン」でチャンス大城さんとインタラスティングたけしさんのドッキリ検証があったのを思い出しました。このショーの笑いは、その検証でみんなが語っていることと物凄く関係していると思います。

ものすごいちなみに、憧れの芸人さんはサムくんらしいです。去年のサムくんのフリンジでの10分ショーの時にオレの真後ろの席に座ってたんですよね・・・なるほど。


Rob Auton: Rob Auton Show (UK & メルボルンのチケット売ってます)

2022年11月にThe Stand Comedyで見た時の感想をどこにもあげていない模様で、困ったな・・・


というのも、今回のショーは2023年のフリンジの見逃し分を見たんですが、その内容が2022年のフリンジの見逃しをその年の11月に見た時と共通する点がすごく多くてですね、リンクを貼って、逃げちゃおうと思ってたんですよ・・・

オートン・コメディに関しては2014年でどんハマり→2015年で一旦放置して熟成期間を設け→2019年で満を時して賛美という経緯を辿っての注目アーティストさんです。元々Spoken Wordというか絵描き&詩人の要素が高かったんですね。今もコメディアン、というよりはアーティスト性が高い。(オレの中で)
過去の感想のリンクを貼っておきます。2019年のを読んでもらえたら。


自分の生い立ちを通してのアイデンティティの模索で、今回はオーディエンスと絡みながらの絶望や落胆の表現がとても素晴らしかったですね。イギリス内でもオーストラリアでもキャッチできるので、ぜひ。

最近観たイギリスのライブコメディの感想その1。James Acaster: Hecklers Welcome 観ました(2024年2月22日のエディンバラ編)

こんにちは。

正月明けた1月に、法事が主な理由で里帰りしてましたが(注:お会いした方々お世話になりました)ほぼほぼジェイムズ・エイカスター最新ツアーのために、本来は1カ月くらい日本滞在したかったところを、3週間弱に切り上げて現実世界に帰ってきました。

その後も、週に1-2本のペースで昨年のフリンジで取りこぼした話題のショーを見に行っていたので、忘備録をつけておかないと、ネタも感想も忘れてしまうと思い、アップにいたります。

オーストラリア在住の方、これからメルボルン等でコメディフェスティバルが開催されるにあたり、ご参考にしていただければ、幸・・・と思ったら、(あれ?今年行かないの? アレ?)

ちなみに2023年のエディンバラフリンジでみたものの感想はこちら


James Acaster: Hecklers Welcome (→UKチケットはんばい中)


先日NY行ってた時に出演したSeth Meyers。もうNY公演は終わっちゃってると思う・・・


【背景的な話と、なんでこんなショー・タイトルになったかについて】

エイカスターくんは、(イギリスだけじゃなくて)英語圏を中心に大きな劇場をお客さんでパンパンにする芸人さんになっているのに、まだJosh Widdicombeのラジオ番組のサイドキックとしてClassic Scrapesの素材をぶちまけていたパーソナと親近感を維持しており、それが魅力と才能とすごさの1つであります。

その一方(ビッグになる過程ではあるあるな話かと思うのですが)、そのせいでオーディエンスのクオリティコントロールのハードルが他の芸人さんより高くなっちゃってるんじゃないかな、と(*1)。

詳しくは今までのオレの忘備録を全部ひっくり返して読んでくださいレベルの「スタンダップ」とは?という規模のデカい話になってしまうんですが。

客層と規模が広がることによって「スタンダップ・ショー」の認識の違いや経験度の違いにズレが生じてきちゃって、ショーの最中に不適切に客にからまれちゃう事件の発生率が高くなっちゃう。

エイカスター・コメディは一語一句、一本一本のネタが蜘蛛の巣のように、ものすっごい 緻密に計算&構築されていて、各フレーズ、1ネタでも機能しそれがクラスタとなっても機能し、さらには全部が収束して1作のアートになり、その1作1作のアートが連作にもなりうるんです。マジで、ゴッドなんです。

その神ショーが観れるのは、その過程に素人の外部がちゃちゃ入れないとき(*2)

しかしこれは、ガチのライブコメディファンの思いであり、現在の規模の客層を魅了する今、その割合ってのは50%以下かと思います。

(満を持して)ドン!ハネし、大きな劇場を数十分でほぼ完売しちゃうレベルに達しちゃったエイカスターくんは、(おそらく今まで以上に)オーディエンスに絡まれる目にあい、そのたびにブチ切れて、コテンパンにその客を叩きのめして(暴力じゃなくて言葉です)、Taskmasterでエイカスター入門したファンはドン引きするなか、ショーマストゴーオン(*3)。で、終了後我に返って、お客さんに悪いことした・・・ってゲロ落ち込む(→基本いい人。じゃないとこんな天才にはなれない)

そんな経験を繰り返すうちにエイカスターくんは、はたと真実に気づくのです。

「オレ、スタンダップ嫌いだったんだ!」

今までずっとスタンダップ・コメディアンとして成功したいと思って頑張ってきたんで全然気が付かなかった!!

ときは運よく(?)パンデミック。ライブをやっちゃいけない状況で、大手を振ってライブやらずに幸せな日々を過ごすエイカスターくん(*4)しかしその一方で、スタンダップコメディアンが自分のアイデンティティでもあり、切っても切れない仲であることも骨の髄までわかってるんです。

時はさらにながれ、世間は元に戻るなか、エイカスターが目指すべきは、彼のライブコメディにおける負のサイクルからの脱出。つまり、ショーが思い通りに進まなくてもハッピーでいられたらいいんです。というわけで、今回のショーが「お客さん、どうぞどんどん!絡んでください。このショーは、お客さんにどれだけ野次を飛ばしてもいいショーです。エイカスターは邪魔されても絡まれても絶対に怒ってはいけない。それどころか、にこやかに対応しないといけません」というものになったわけです。

二部構成。インターバル20分でした。1部でこのショーが出来た背景と、幼少から「人前に立って話す」ことを職業とする今までの自分とスタンダップの愛憎エピソードを語り、糸をあちこちに張り巡らせたところで、後半でいっきに紡いでいく、というものなんだという印象を持ちました。

【感想】

「印象を持ちました」と書いているように、どのように糸を張り巡らせたか、その糸は計画通りに全部張られているのか。後半でどうやって紡いでいくのか、出来上がる作品はどんな形やデザインなのか。

全然わからないやつに観に行っちゃいました(号泣)

ガチのコメディ・ファン、ガチのエイカスター・コメディのファンとっては、当たりはずれが激しいショーかと思います。

厳密にいうと、前半はオッケーでした。まだ会場が「ショーを観よう」の空気で、絡まれるのも話の内容に沿っていた(*5)ので、エイカスター話の続きが聞ける状態だったし、その場だからこその、インタラクティヴ性から笑いも生まれていた。好みはさておき、タイトル通りのバランスのとれたショーになっていたと思います。

ところが後半ほどなく、歯車が外れ、バランスが崩れだしちゃった。開演前からアルコール入れてたスコッツ客が話の腰を折ることを楽しみ始めちゃった。前半を含めたフリの先にある展開に進もうとするたびに、あさっての方向へむかったボールが投げられ、の繰り返しです。全く関係ないコメントを投げてくるし、いきなり質問してきたり。

何しろこれら全部受け入れて、対応するのがテーマのショーなので、客が「エイカスターがショーを邪魔されて続きを話せない」ことを本格的に楽しんじゃうと、なすすべがなくなっちゃう。

エイカスターくんは後半の途中から「ここまでのレベルで話の続きができない状態(客が自分の話の続きを聞く気がない)のは初めて。完敗だよ。なんとかコントロールしようと頑張ったけど、完全に諦めた!」と、そこから、YOUTUBERとかTiktokerがやってるみたいなQ&Aみたいなスタイルになっちゃって。エイカスター返しなんで、どんなボールも面白く返すんですけどね。すいません、ものすごい欲求不満です。

フラストレーションたまりまくって会場でました(*6)エイカスター・コメディは最高級だと思ってるし、このアイディアはある意味斬新で 客次第では素晴らしい作品になると思うし、エイカスターくん自体も新境地開拓になると思うから、心底応援したいけど、リスク高すぎる。本来作り上げていた絶対に裏切らない最高級クオリティの傑作を観れないのは、【バいですって。ってたぶん45%くらいの客は思ってると思います。


お願いです、エイカスターさん。パンデミックのときに、サイモン・.バードが「客が怖い?から客なしでスタンダップやります」ってスタンダップデビューしたやつみたいので収録してください。客に邪魔されなかったバージョンは本末転倒かもしれないけど、みたいんですよ。45%くらいの客はものすごい観たいと思ってると思います。Pateronでもなんでも10£でも20£でもいいんで売り付けてくれれば、観客全体の45%は購入するにきまってます。やって。お願い。じゃないと、このフラストレーションが消えることは一生ないし、リスク高くてもっかい35£だす気もしないです。

【最後に備考】

前方にF1層の女子が結構いたんですが、堂々と写メと映像とりまくってて、マジでビビりました。あんまりelaborateすると失礼にあたりそうな気もするので、書かないけど、いろんな意味で衝撃でした。

まあ今の子たちって映画館でバービーのゴズリンの写メとったりするみたいだけど・・・

この数日後、サムくんのライブを地元のハコで観てるときに前方の女の子たちがフラッシュつきで写メとりまくってて、「やめてくれそんなことされたら二度とここでライブしてくれなくなる」って夢でうなされました・・・そのうち正夢になりそう。こわすぎる。


*1アニキ系のパーソナだとここまでにはならないんじゃないか、と思っています。Russell Howardがめっちゃハネた比較的直後に、Assembly のMusic Hallって800席くらいのキャパで見たことあるけどお客さんに絡まれてなかったもん。あと、ネトフリで配信してる芸人さんたちってボス的な威圧感でてて、あれを無視して絡むってよほどの泥酔客しかないのでは?とはいえ、オレは芸人さんが大きな劇場でやれるようになった段階でほとんどの場合みなくなるので適当なこと言ってるかもだけど。

*2エイカスター・コメディはシアターよりで、クラウニングの要素はないんですよね。悪い言い方をすると、そのスキルはないです。だからガチでキレることでクオリティコントロールしてきたんですよね。

*3オレたまたま(運よく?)一回、エイカスターくんが客のたった一言の絡みにブチ切れて、いい時間使ってボッコボコに叩きのめした(ナイフで例えるならもう死んでるあとも数十回刺してる狂気)のに、きちんともとに戻ってアートを完成させて終わらせる様を見てて、もうわかっていることだけど天才すぎるって思ったことがあります。

*4 その後、調子にのって世間と関わるのがダメだったんだ!と一切のSNSを辞めて、SNSなし生活のおススメ、という本を書き、宣伝のツールが一切なくなってしまったことに気づいてOff Menu相棒のギャンブル氏に泣きつく、という伝説もあります。この本自体はエイカスター・コメディ好きは絶対に期待を裏切られない内容ですね。(読んでるさぁもちろん)

*5 すいません、観たのが一カ月近く前で細かい野次の内容を失念してしまいました。

*6 前から5列目の真ん中ゲットするくらい意気込んで取ってるんで。(いや、今回もテンパってるオレをよそに同行者がとってたんで実質なにもしてないんですが)。


2023年10月7日土曜日

イギリス大人気バラエティ、Taskmaster S16登場だし、オーストラリアだけじゃなくてイギリスでも見事にハネちゃって、布教の必要もなくなってしまったSam Campbellくんこと最近のカンボー情報です。

 【ここ1年のお話】

毎年通常この時期は、最近見たおすすめのTVコメディ的なご紹介をポチポチしているのですが、推して推して推しまくっているサム・キャンベルくんの進撃っぷりがすごいので、エディンバラ・コメディアワードを受賞以降を、なんとなく、忘備録的にまとめようと思いました(注:ご本人のインスタとYOUTUBEのアカウント内容は除く)。

じつは、昨年フリンジでコメディ・アワードを受賞してから、コメディ・ドラマではなく、サム・キャンベルとして、いくつかイギリスではおおおおお!というような、超メジャーの目玉番組に出てくるようになっていたのですが、anxietyがゲロわかりで、メンタルの大変さばっかり気になっちゃって。お母さん、ハラハラしちゃってみてらんないよ(涙)ってものでして。

8月のフリンジでの10分ショーのちょっと前に放送された8 out of 10 Cats の初登場回は、自分見切れちゃってる時のゾーン・アウトっぷりと、台本通りにやっておりますvibeがビンビン!に伝わってきちゃってですね。UKのメジャー進出を喜びながらも、ライブでいつもみてたあのやりたいことを楽しそうにやってる姿がないもんで、複雑な思いで見守っていたんです。


【そんななかの、その1】

Taskmaster S16。

激アツです。

Taskmasterにはカンボー・ワールドをそのまま受け入れる許容力と活かす能力があり、本人も安心しているし、本当に楽しんでいるんで、ファンもめっちゃくちゃ!楽しんで見れてます。


これは、力強く、「ねえみんなちょっとこの天才を見て!!!」って言える・・・

日本でも全部YOUTUBEで見れます。貼り付けます。

Episode 1 超おすすめ。クラシック・カンボーが見れる。


Episode 2 これも良いですが、3話目の方が激アツです。まだリンクできてないんで貼れないけど。

明記しておきたいのは、ジュリアン・クレアリーとルーシー・ボーモントも無茶苦茶面白いです。ジュリアンはオレがティーンだった頃の憧れのウツクシ芸人さん。すごい好きでした・・・。

2話目の直後に、Taskmasterのpodcast(元出演者のエド・ギャンブル氏がやっている、半分以上オフィシャルみたいなポッドキャスト)に、サムくんゲスト回が配信されまして、当時の心境とか、状況を、比較的、事実に基づいて話してるんで、合わせてお聞きください。(Apple でもSpotifyでもあります。普通にTaskmaster Podcast, Ed Gamble, Sam Campbellってググるとすぐ出てきます)

Taskmasterのおかげで、テレビ上でのカンボー・キャラがだんだん上手に作られ(認知を含む)てきていて、非常に嬉しいです。

木曜夜の9時になると、1人でボソボソ、エイカスターに恩恵もらいすぎて、そろそろ次の誰かが欲しいと思ってるテレビ業界に救世主降臨した、って言い続けてます。


【そんななかの、その2】

Taskmaster S16 放送開始のちょっと前に、Never Mind the BuzzcocksのS3が放送開始していて。

Never Mind the Buzzcocksってのは、昔BBCで放送していた音楽(ポップ・ロックカルチャーの方。クラシックではない)をテーマにしたバラエティ番組がありまして。1チーム3人構成、2チーム対抗、各チームのキャプテンとMCが基本的にレギュラーっていうやつで。そのリバイバル、ってことでMCが(Taskmasterの)グレッグ・デイヴィスで、キャプテンにデイジー・メイ・クーパーとノエル・フィールディングを迎えてやってるんですね。

そのS3で、カンボーがデビューしまして。ちょっとだけ、音楽ギークでもないし、音楽に興味の矛先はないはずなのに、なぜここに出た???という疑問があったのですが、その辺りも含めて上手にネタになっていて、

「あ、Taskmaster大丈夫だわ」って確信しました。

どっちかっていうと、グレッグ・デイヴィスのMCとしての敏腕っぷりなんだろーな、と。どんな球も拾い、面白いものをマックスに生かしてくれる。サムくんが、安心して、自分を出して、グレッグ・デイヴィスのいぢりを返すことができる。「これ言っちゃって、番組上大丈夫なんかな?」な不安がない環境を作っていたので、すごく楽しく見れたんですよ。

平場のトークが生きるのも、MC次第ですよね。マジでつくづく思います。上記はカンボーのよりぬきクリップだけど、全編見れたら見るのを一番お勧めします。


【そんななかの、その3】

なんと。奥さん。UKツアーです。

どの日程も1カ所1日なのに、エディンバラだけ5日やってくれるの。

ありがとうございます。マジでありがとうございます。

この喜びを噛み締めるために、2日分チケットはすでに取っているんだが、超平日の方に(静かな客層になりがちだから)いったほうがええのかな、とも、ちょっと悩んでいます。Monkey Barrelさんはとても日程変更は可能にしてくれることは多いのです。い、いや、3日通おうとは流石に思ってないよ…

平日の同行者、募集中!です! contactアットgeeksguidetoscotland.com にご連絡ください。

…グラスゴーの方がよければグラスゴーでもいいです。(→これはこれで気になっている)

ちなみにロンドンはHackney Empire でやります。昨年ComedyShow やった時に同じハコで全席すぐにパンパンにした実績あるから、これくらいすぐいけるだろう、って推測しやすくなってよかったよねぇ。でっかいハコです(1000近くあったと思う)


【そんななかの、その他いろいろ】

かなり真面目に、コメディキャリアについて語ってくれてる、ファンにとってはお宝インタビュー。

いくつか、へええ!と思うくだりがあって、その一つが、なんと、Daniel Simonsenのものすっごい!ファンらしい。オレも大好きだったけど(もうUKほとんどいなくなっちゃったから、全然見れない・・・最後にライブを見たのがなんと2018年だ。)、ものすごいニッシっていうか(汗)そこ??? そこなの???ってマジでいい意味での感動がありました。


あと、オーストラリアでのちょっとしたカメオ出演が拾えてきていて、レーダーにこんなのも引っ掛かってきたので、貼っときます。


こんな感じかなー? 忘備録でした。