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  • ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は1806年に作曲され、同年12月23日に初演された。独奏を務めたのは、当時26歳のヴァイオリニスト、フランツ・クレメントである。作曲の際、ベートーヴェンはクレメントに助言を仰ぐこともあったという。当時のヴァイオリン協奏曲としてはスケールが大きく、演奏時間は40分から45分、第1楽章だけでも20分を超える。いわば超大作である...

    [続きを読む](2024.04.07)
  • エールの『ムーン・サファリ』の全編再現ライヴが素晴らしいらしい。『ムーン・サファリ』はご存知、ニコラ・ゴダンとジャン=ブノワ・ダンケルのフレンチ・デュオが1998年に送り出し、昨年発売25周年を迎えたデビュー・アルバムだ。ふたりは6作目にあたる『月世界旅行』(2012年/ジョルジュ・メリエス監督のサイレントSF映画のカラー版のために制作したサントラを再構成し...

    [続きを読む](2024.04.19)
  • ロバート・シオドマクは1940年代のハリウッドでフィルム・ノワールを多く手がけた監督である。夜の場面を撮るのが上手く、光と闇のコントラストを自在に駆使し、無駄のない洗練された演出で娯楽性の高いサスペンスを撮り続けた。代表作を5本挙げるとしたら、『幻の女』(1944年)、『らせん階段』(1945年)、『暗い鏡』(1946年)、『殺人者』(1946年)、『大いな...

    [続きを読む](2024.05.05)
  • 終戦の年、古井は山の手大空襲に遭い、疎開先の岐阜県でも罹災した。その体験は古井作品の重要な主題となり、変奏曲のように様々な作品に様々な形で現れる。初期の「円陣を組む女たち」では、円陣をモチーフにした7つのエピソードが語られる。「私」がなぜ円陣にこだわるのか、その原体験は最後に明かされる。空襲時、爆弾が降り注ぐ中、母や姉、そして見知らぬ女たちが幼い「私」を

    [続きを読む](2024.03.03)