ようこそ、京都大学大学院 人間・環境学研究科 認知言語学系研究室へ。

当研究室では、「言語は人間の身体化された認知能力と運用能力に深く根差した存在である」という認知言語学的な視点から、言葉と言葉の背後に存在する認知のメカニズムの解明を目指しています。

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○ お問い合わせについて:
平時、研究室の運営のために用いておりますメールアドレス  taniguchi.info_at_gmail.com (_at_ → @)  へ宛てられたものは、世話係および渉外係を担当する当研究室の院生が閲覧・対応しております。
教員(谷口一美教授)との直接のコンタクトを希望される方は、人間・環境学研究科のホームページ記載の 教員紹介ページ をご参照ください。

※2024年4月にサイトをリニューアルしました。

今後の予定

4月18日 フォーラム

日時:4月18日(木)13:00〜

場所:総合人間学部棟 1107 号室および Zoom

(参加を希望される方は taniguchi.info_at_gmail.com までご連絡下さい (_at_→@) )

タイトル:英語分離不定詞の認知・構文文法的考察

発表者:高田 直人(谷口研 M1)
キーワード:分離不定詞/スキーマ/動詞特定構文/動詞クラス特定構文
概要:この発表では、英語の分離不定詞(split infinitive)について、(i)それが従来の文法書の記述にあるほど避けられる形式ではないということ、(ii)そのうち、to further Vという形態が他の形式と比較して、頻繁に用いられる形式であること、またそれがどのように獲得され、定着したかということ、(iii)to further Vという形式において使われるVに傾向があり、動詞特定構文や動詞クラス特定構文という理論的枠組みを用いることで、その諸相を明らかにできるということを示す。

3月18日 日本語用論学会メタファー研究会「メタファーとコーパス」 (京都言語学コロキアム (KLC) との共催)

日時:3月18日(月)10:00〜17:30
場所:総合人間学部棟 1102 号室および Zoom
※ 感染症の拡大等、状況によってはオンラインのみでの開催になる可能性もあります。ご了承ください。

プログラム:

<10:00-11:40 研究発表>
10:00-10:30
タイトル:「名詞メタファーにおける関係名詞への転換」
発表者:角出 凱紀(京都大学[院])

10:35-11:05
タイトル:「事象構造メタファーにおける「風」と「嵐」」
発表者:丁 昊天(名古屋大学[院])

11:10-11:40
タイトル:「語義情報を利用した古典語文脈比喩の類型化」
発表者:菊地 礼(国立国語研究所)

<13:00-14:40 研究発表>
13:00-13:30
タイトル:「政治言説における概念メタファーの機能について―戦後歴代総理大臣の国会演説を中心に」
発表者:劉 桂萍(中国 東北師範大学)

13:35-14:05
タイトル:「コーパスに基づく感情の動きの可視化:日英語の感情名詞に対する関連事象アプローチ」
発表者:陳 奕廷(東京農工大学)・松中 義大(東京工芸大学)

14:10-14:40
タイトル:「日本語比喩表現コーパス(BCCWJ-Metaphor)の構築と一般日本語話者の有する比喩性の印象」
発表者:加藤 祥(目白大学)・菊地 礼(国立国語研究所)・浅原 正幸(国立国語研究所)

<14:50-16:20 ワークショップ>
タイトル:「メタファーの修辞的効果を記述する:『日本語レトリックコーパス』の展開」
発表者:小松原 哲太(神戸大学)・平川 裕己(神戸市外国語大学)・菊地 礼(国立国語研究所)・松浦 光(横浜国立大学)・佐藤 雅也(京都大学)・田丸 歩実(フリー)

<16:30-17:30 全体討論>

<18:00~ 懇親会>

3月7日 自主ゼミ

 

日時:3月7日(木)13:00〜

場所:総合人間学部棟 1107 号室および Zoom

(参加を希望される方は taniguchi.info_at_gmail.com までご連絡下さい (_at_→@) )

 

タイトル:名詞メタファーの分類と構文的制約──複合名詞[N1+N2] と名詞句[N1のN2] の比較──

発表者:近 大志 (関西大学ほか [非])、角出 凱紀 (谷口研 D2)
キーワード:名詞メタファー、複合名詞、NのN、構文スキーマ
概要:本発表の目的は [N1+N2] と [N1のN2] から成るメタファー表現(e.g. バント職人,言語学の父)を名詞メタファーの文脈から比較することにある。理論的基盤をSullivan(2009,2013) に求め,メタファーを (a) 構文内に被喩辞 (喩えられるもの) がプロファイルされているか,(b) それぞれの名詞がターゲット・ソースドメインのどちらを喚起するのかという2つの基準から事例を分類する。そして,(i)どちらの構文でも生起するタイプ (ii)一方の構文にのみ生起するタイプ (iii)どちらの構文にも生起しないタイプの3パタンについて,それぞれの構文に備わる制約から説明を試みる.

 

1月27日 京都言語学コロキアム (KLC)

日時:1月27日(土)13:00〜15:00
場所:総合人間学部棟 1107 号室および Zoom

(参加を希望される方は taniguchi.info_at_gmail.com までご連絡下さい (_at_→@) )

タイトル:動物園をつくる:園内マップの比較分析
発表者:平川 裕己 ( 神戸市外国語大学 [非] )
キーワード:動物園、園内マップ、地図、イデオロギ、批判的談話分析
概要:本論は,動物園の園内マップが内包する価値体系を,三つの動物園のマップを材料に,批判的談話分析の観点(Fairclough 2012)から分析する。地図という媒体は,ある範囲の地理や地形を正確に写しとる客観性のみでなく,閲覧者に一定の世界観を提示するイデオロギ性も有する(若林 2005)。本論では,神戸市立王子動物園・恩賜上野動物園・アドベンチャーワールドの園内マップを,エリア名の設定や飼育動物のアイコン表示などに注目して比較・分析する。そのうえで,(i) 園内マップは動物たちを一定の序列のもとで眺めるよう要請する,(ii) この序列は飼育動物それ自体の特性ではなく,マップ上の表示がもたらすものである,という2点を示す。加えて,園内マップが動物園という場の眺め方を指定するイデオロギ的装置として果たす機能についても議論したい。

(本論は,昨年12月のPSJで行った研究発表の内容を発展させたものです。)

参考文献
Fairclough, Norman. 2012. “Critical discourse analysis.” In James Paul Gee and Michael Handford (eds.) The Routledge Handbook of Discourse Analysis, 9-20. Routledge.
若林幹夫. 2005. 「思想としての地図:あるいは,「知の地政学」へ」 水内俊雄(編) 『シリーズ〈人文地理学〉4 空間の政治地理』 132-155. 朝倉書店.

1月25日 フォーラム

日時:1月25日(木)15:00〜

場所:総合人間学部棟 1107 号室および Zoom

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タイトル:Frege-Geach Contextを生きる言語行為──条件文は主張の効力を「打ち消す」のか──

発表者:佐藤 雅也 (谷口研 D3)
キーワード:Frege-Geach Point, illocutionary force, conditionals, the unity of the proposition, force/content distinction
概要:「もしもコインが表なら、明日は外出しない」と言うとき、コインが表であるということを主張しているわけではない。にも関わらず、単に「コインが表である」と主張するときと同じように、コインが表であるという事柄についての何か、伝統的に命題と呼ばれてきたものを含むものではある (cf. Geach, 1965, p. 449)。素朴な推論に頼るのであれば、(i) 条件文には主張を主張たらしめるforceが存在せず、(ii) 命題は含まれている、と結論付けられる。近年、これら2つのテーゼは端的に矛盾するものであると指摘されている。Hanks (2015) が強調するように、命題は主張のforceが生み出すものである。このパラドックスを解消しようと試みるHanksの説明によると、条件文は「本来あるはずの」主張のforceをキャンセルするものであるという。しかし、Reiland (2012) が指摘するように、結局forceがキャンセルされてしまうのであれば、命題が条件文に残り続けている理由を説明できていないことになる。より有望なものとしては、「forceを伴う行為全体にはたらきかける条件化を可能にするのが条件文であり、それによりforceを含む行為へのコミットメントが保留になる」というSchmitz (2022) の理論があげられる。本発表では、基本的にはキャンセルの概念を持ち出すことを避けるSchmitzの提案を支持しつつも、擬似条件文を含んだいくらかの言語現象の説明が困難になることを指摘し、ある程度の理論の改訂が必要であることを明らかにしたい。

参考文献

Geach, P. T. 1965. Assertion. The Philosophical Review 74 (4): 449–65.

Hanks, P. 2015. Propositional Content. Oxford: Oxford University Press.

Reiland, I. 2012. Propositional Attitudes and Mental Acts. Thought: A Journal of Philosophy 1 (3): 239–45.

Schmitz, M. 2022. Force, Content and the Varieties of Unity. In Mras, Gabriele, and Michael Schmitz (eds), Force, Content and the Unity of the Proposition, 71–90. New York: Routledge.

1月18日 フォーラム

 

日時:1月18日(木)15:00〜
場所:総合人間学部棟 1107 号室および Zoom

(参加を希望される方は taniguchi.info_at_gmail.com までご連絡下さい (_at_→@) )

 

・第一発表

 

タイトル:スポーツ記事の見出しにみられるメタファーのもつ効果とその機序
発表者:新治 柚季 (谷口研 M2)
キーワード:news headline, conceptual metaphor theory, blending theory, topic-triggered metaphor, context
概要:本研究では、日本プロ野球記事の見出しにみられる比喩表現を事例に、メタファーの実現には記事の本文に書かれた実際の試合内容が影響を及ぼしうることを指摘する。また選択された表現に記事内容──本論文では〈コンテクスト〉と呼ばれる──の含意がどれぐらい付与されているかによって、事例の修辞性に差異があることも主張したい。具体的にいえば、前者にかんして従来の方法をアップデートしたブレンディングモデルによって事例の分析をおこなった。その方法とは、個別的な試合内容を示す〈コンテクスト〉のインプットスペースを試合や勝敗にかんする抽象的な知識構造からなる〈トピック〉を具体化するものとしてそのスペースの内部に配置することである。これにより、ブレンディングに使用されるスペース間の要素について、〈コンテクスト〉が導く限定的な写像関係を丁寧にはかることができる。またその写像関係が何組あるかによって、事例の修辞性に段階的な差のあることが明らかになった。
(例)猛牛、タカ打ち落とす 近鉄7-3ダイエー プロ野球7回戦 (「朝日新聞クロスサーチ」, 2003年5月13日)

 

・第二発表

 

タイトル:述語反復構文の機能に関する考察
発表者:藤原 望織 (谷口研 M2)
キーワード:述語反復構文、スケール、評価、二価志向性
概要:本研究は日本語の述語反復構文の機能を明らかにすることを目的とする。述語反復構文とは同語の反復全体で一つの述語を成す表現のことで、「食べるといえば食べる」や「美味しいことは美味しい」がその一例である。本研究は数ある述語反復構文のうち「XといえばX」「XことはX」「XっちゃX」を分析の対象とする。先行研究では当該の反復語句に関してその程度を下げることを構文の意味として持ち、構文ごとに用法差があることが指摘されている。一方で、それらの指摘に合致しない実例が観察される。そこで、本研究では構文の指定する領域、程度の低さの取り消し可能性、構文の用法差に関して調査を行い、これらをスケールの観点から考察した。それによって、① 述語反復構文はスケールの極大極小を除く中間的範囲を指定する ② 程度に関する尺度含意の取り消し可能性は語句の持つ評価性によって異なる ③ 語句が評価性を持つとき、マイナス評価のヘッジとして機能することが分かった。また構文の用法差について、「XことはX」と「XといえばX」「XっちゃX」を比較すると、前者の方が用法により多くの制約を持つことが分かり、スケールで指定する値をより限定させることが示唆された。

 

※ 公聴会での発表に向けた練習を行います。

 

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