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「人事評価は必要か」「まかない」「優秀なエンジニアとは」──ベンチャー経営者が語り合うIVS 2010 Fall(1/6 ページ)

» 2010年12月22日 16時33分 公開
[高杉貴,ITmedia]

 京都で開かれた「Infinity Ventures Summit 2010 Fall」(IVS、2010年12月7〜8日)中のセッション「新進ベンチャー経営者が物申す!『最新の経営とはこういうものだ!』」には、はてな代表取締役の近藤淳也氏、芸者東京エンターテインメント代表取締役CEOの田中泰生氏、コロプラ取締役副社長の千葉功太郎氏、ポケラボ代表取締役の後藤貴史氏と佐々木俊介氏の5氏を迎えた。モデレーターはオプト取締役会長の海老根智仁氏が務めた。「モバゲーとグリーは仲良くしてほしい」(田中氏)、「ベンチャーに人事制度は合ってない」(千葉氏)など忌憚のない意見が次々飛び出し、会場からは拍手や笑い声がこだました。

photo (左から)司会を務めたオプトの海老根氏、はてなの近藤氏、芸者東京エンターテインメントの田中氏

海老根 今日のタイトル(新進ベンチャー経営者が物申す!「最新の経営とはこういうものだ!」)ですが、すごいテーマですね。またセッションに出てほしいと頼まれたんですが、もうわたしの時代じゃないでしょと。だってこうやって急激に成長してらっしゃる企業も多いし、やはり昔と比べて若手の意識も変わっていると。社員として採用する若手の意識もまったく変わっているんで、経営のスタイル違うんじゃないかと思いまして。急成長企業の皆様に集まってもらった次第です。

 まずリラックスしてやってください。では、まず乾杯ということで(グラスビールを掲げ、口をつける)1社1社自己紹介をしていただいてよろしいでしょうか。まずはですね、はてなさんの近藤さん。創業が2001年で、この中で一番古いですね。簡単に会社の紹介をお願いします。

はてな、「T型コミュニケーション」を促進

photo 近藤氏

 近藤 株式会社はてなの近藤といいます。はてなをご存知の方は多いと思いますが「T型コミュニケーションを促進する」というミッションを掲げていまして、人と人とのコミュニケーションを促進するという側面とそれから、コミュニケーションから生まれる情報をいろんな方に届けようという側面。それがTの横棒と縦棒ということで、独自の言葉を作っていますが、そういったカテゴリーのWebサービスを提供している会社です。

 主なサービスがブログサービスの「はてなダイアリー」であるとか、ソーシャルブックマークの「はてなブックマーク」ですね。「はてなブックマーク」のほうは、かなりネットの情報で面白い情報が集まってくるサイトということで、ご覧になられている方多いかと思います。あと、最近ですと任天堂さんと2008年から協業して「うごメモはてな」という少し毛色の違ったサービスをやってまして、ニンテンドーDSiを使ってパラパラ漫画を動かすサイトです。そういったサービスを10個ほどやってまして、位置情報を表示する「はてなココ」ですとか「はてなモノリス」「人力検索はてな」といったサービスをしています。

 創業が2001年ですのでちょっと新進ベンチャーというより老舗の部類に入りつつあるのかなあと思いますが、2001年京都で創業いたしまして、もともと京都の会社です。今回はようこそ京都へといった気持ちでおります。04年に東京に移りました。それから1回シリコンバレーのほうにアメリカの支社を作りまして、僕自身2年ほどそちらにおりました。08年に京都に本社を戻しまして、現在京都の開発拠点と東京の営業拠点という形で活動しています。既存のサービスを伸ばしつつ、世界に通用する技術を作ろうと頑張っています。よろしくお願いします。

海老根 まず、1点近藤さんにお聞きしたいのが、10年会社をやられていて最大の壁っていう障害というか波を一つあげるとすればなんなんでしょう?

近藤 一番大きかったのは、はてななりの経営スタイルをみつけるところまで少し時間がかかったのかなぁと思っています。先ほど申し上げましたアメリカに行ったりとかあったんですが、アメリカに行っていた2年間というのは会社なりの方向性が試される時だったのかなと思っています。

 僕自身がシリコンバレーに行って子会社立ち上げをしている。社長が東京のオフィスにいないというのはどういうことなんだという状況になったんですけど、そういう中でアメリカから世界に通用する新サービスを立ち上げようとする機会があったんですけど、若干そのとき日本の体制とアメリカの体制とで力が分散するようなところがありまして、日本に戻るという選択の際、このままアメリカで立ち上げ続けるか、日本に戻って体制作るかって悩む感じでしたね。その時に日本のメンバーと世界に通用するサービスを作ろうと、開発拠点も京都に移して新しい体制でサービスを作り始めていくことにしたんですね。09年10年と随分その体制作りも確立できたので、ここから挑戦というのが始まっていくと思います。

海老根 ということは、古い言い方になりますけど技術力を生かしたSaaSみたいな感じと考えてもいいんでしょうか?

近藤 そうですね。

目指せ!デジタル世界の地主――芸者東京エンターテイメント

海老根 続きまして芸者東京エンターテインメントの田中さんの方から自己紹介、会社紹介おねがいします。

photo 田中氏

田中 こんにちは、田中泰生といいます。元々東大法学部だったので財務省に行こうと思ってたんですけども、当時ノーパンしゃぶしゃぶ事件ってのがあって、(財務省に)行ったら「ノーパンしゃぶしゃぶに行ってるのは一部の人です」と言われて、こんなプライドのない組織に入れるかボケーと思って民間企業に行きましたと。それで2006年10月に会社を作って、電脳フィギュアというもので世に出たんですけども。買ってない人はアマゾンに出てるんで買ってください。9800円です。

 フィギュアを作った後、いろいろやって今はソーシャルゲームを作ってます。僕ら会社としてしたいことは1日も早くデジタル世界の地主になる。地主になりたいです。はい。最近どんなことをやってるかというと、プラットフォームを選ばず、PCでも携帯でも面白くてもうかったら何でもやるぞという会社です。

photo 芸者東京の製品/サービスの開発思想

 最近ですと「おみせやさん」というのをやっていて会員が300万人ぐらいいて、もうかってます。多分モバゲーとかグリーの30分の1くらい(会場から笑い)もうかってます。(やや小さな声)ミクシィで今テストしているものがあって、めっちゃ僕の中で儲かる予定です。(会場から笑い)。

 僕らの製品開発の思想って、技術の会社とかありますけど、僕らは聞いて面白くて、観て面白くて触って面白くて、伝えずにはいられない、そういった商品を作りたいと思ってます。

海老根 ちょっと1個質問したいんですけど、先ほど田中さん、「プラットフォームを選ばず」っておっしゃってましたけど、現在のプラットフォーム業者をぶっちゃけどう思うのかってのをぶっちゃけていただきたいなと。

田中 今日、海老根さんに「新進経営者、過激なこと言え」と言われて何いってもいいって前提で、「龍馬伝」を観てほしいって話で、「もう狭い日本で争ってる場合じゃないがじゃ」とか言ってたでしょ。なんか、モバゲーさんとGREEさん、ほんと仲良くしてほしいな。(会場爆笑、拍手の渦)

海老根 どうやったら、仲良くできるんですかね。

田中 龍馬伝観たらいいんじゃないですか。モバゲーもGREEも、mixiはちょっと違うけど、僕がやっているソーシャルゲームで言うと世界最高の場だと思うんですよ。集客とかマネタイズとかで。だから、本当に健全に切磋琢磨して、いま日本でやってることを世界で10倍にして、10倍を2で割って5にして。僕らもそっから出てくる、甘い汁を吸いたいなぁ。(会場笑い)。お願いします。

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