ビジネス・レーバー・トレンド2024年4月号
毎月25日更新
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職務・役割を基軸とした人事制度に向かう企業
大手企業を中心に、職務・役割を基軸とした人事制度への移行が進んでいる。職務や役割を制度のベースに置くことで、企業は何を実現しようとしているのだろうか。また、それによって、報酬や昇進、配置、育成などはどう変わってくるのか。本号では、人事制度を改定した企業へのヒアリングから、制度移行の「真の狙い」を浮き彫りにする。
目次
企業ヒアリング
職務・役割を基軸とした人事制度を導入している企業をヒアリングした。ヒアリングから浮かび上がった職務・役割をベースとする人事制度の内容や特徴点などを整理したうえで、住友商事(東京都千代田区)、双日プロフェッショナルシェア(東京都千代田区)、富士通(東京都港区)、シスメックス(兵庫県神戸市)、日立製作所(東京都千代田区)、山梨中央銀行(山梨県甲府市)、積水化学工業(東京都港区)、三菱ケミカル労働組合(東京都千代田区)の計8組織の事例を掲載する。(記事はヒアリング実施日の順で掲載)
- 安心して働ける環境のまま自律的にキャリア形成を図る意識を醸成 ――職務・役割に重きを置いた人事制度を導入している企業の実態調査
- 「Pay for Job, Pay for Performance」のコンセプトのもと、管理職には職務等級制度、非管理職には役割等級制度を導入 ――住友商事の新人事制度
- 多様なキャリア・ライフプランの実現を支援するプラットフォーム ――双日が設立した「双日プロフェッショナルシェア(SPS)」
- 「ジョブ型人材マネジメントに基づく人事制度」を導入し、2022年4月には一般社員にも適用 ――富士通におけるジョブベースの人材マネジメント
- グローバル共通のジョブ型人材マネジメントシステムを国内の全社員に導入 ――シスメックス
- 個々のポジションごとのジョブディスクリプションを非管理職含む全社員に導入 ――日立製作所のジョブ型人財マネジメント
- 役割の大きさで等級を決めて評価を実施、報酬に連動させることで職員のモチベーション向上に ――山梨中央銀行の新人事制度
- 適所適材を実現する役割基軸の人事制度を導入 ――積水化学工業
- 職務主義人事制度導入への三菱ケミカル労働組合の対応
提言
ビジネス・レーバー・モニター特別調査
JILPTが年4回実施している企業・業界団体モニター調査では、2月に実施した特別調査で、人材獲得に向けた業界の魅力発信やイメージ向上などの取り組み、企業が近年の採用活動で課題に感じていることや、人材確保に向けた取り組みについて尋ねた。
※ビジネス・レーバー・モニター定例調査結果については本号後段に掲載
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- 経済の好循環の起点となる賃上げの実現が柱。リ・スキリングによる能力向上支援などに重点 ――2024年度の政府予算と厚生労働省予算
- 新設の育成就労制度における就労開始前の評価方法や、本人の意向による転籍要件を明示 ――政府が「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」を閣議決定
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 2024年度に「賃上げを実施予定」の企業割合が6割を超え、昨年度から3.1ポイント増加 ――日本商工会議所・東京商工会議所の「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」
- 2年連続で実質賃金が前年比マイナス ――厚生労働省「毎月勤労統計調査2023年分結果確報」
ビジネス・レーバー・モニター定例調査
雇用動向や人事労務管理面での変化・課題などについて、モニター委嘱先(企業、事業主団体、産業別労組、単組)を対象に、企業・団体には年4回、労働組合には年2回、アンケート調査を実施しています。
<企業・業界団体調査 2023年10~12月期の業況実績/2024年1~3月期の業況見通し>
フォーカス
最近、海外に旅行したという人から、ストに遭遇したという話をよく聞く。ヨーロッパでは鉄道など公共部門をはじめとし各地でストが頻発している。アメリカでも自動車産業の大幅な賃上げ交渉が先ごろ話題を集めた。韓国では国の教育計画に反発した研修医の8割が辞表を提出し、医療現場が混乱した。他方、わが国ではごく一部を除いてストの話はほとんど聞かない。いま各地で繰り広げられている労働運動とはどのようなものなのか。日本とはどう違うのか。各国の個別事情を背景とした現在の労働運動の実態を紹介する。(海外情報担当)
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ①
- 「労働組合と中間層」 ―連邦財務省報告、既存研究論文を幅広く紹介
- アメリカ②
- 大規模労働争議が33件発生 ―2023年、労働統計局集計
- ドイツ
- 労働争議による労働損失日数の状況
- フランス
- 最近のストライキの特徴と動向 ―鉄道、教育部門などで大規模な紛争
- 中国①
- 高齢化社会への対応を強化、シルバー経済に新たな活路
- 中国②
- 若年失業率の発表を再開 ―従来の算出方法を見直し
- 韓国①
- 出生数は過去最低も、育休・時短利用者数は増加
- 韓国②
- 医療大乱、研修医の8割が職場離脱
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2024年3月25日掲載