展覧会・文化財を見てきました。

─展覧会鑑賞・文化財見学に関する勝手な感想─

最終更新日 4月7日

2024年度

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月


3月3日
奈良国立博物館
 特別陳列 お水取り
(2月10日~3月17日)

 前夜、二月堂にて修二会聴聞してから恒例お水取り展へ。本尊光背拓本の表裏を確かめ、仏像館の実物を鑑賞。二月堂曼荼羅と南都絵所の手になる東大寺曼荼羅とをじっくり見る。寛政9年(1797)実忠和尚一千年遠忌法事執行記には遠忌に際して二月堂内に小観音厨子や宝物を配置してご開帳を行っていることがわかる。図録は令和2年発行の同名図録を持って充当。

3月17日
和歌山市立博物館
 企画展 花鳥風月-めぐる四季と花鳥-
(3月16日~5月12日)

 館蔵品の中から花鳥風月を題材とした近世の絵画資料を中心に紹介。坂昇春筆赤坂御庭図画帖、祇園南海筆墨梅図、徳川治宝筆雪中牡丹図、吉野和歌浦真景図巻など多様な佳品をゆったりと展示。図録なし。

3月24日
かつらぎ町役場
 庁内展示vol14 丹生明神とその装い
(1月10日~3月29日)

 丹生都比売神社の天野の御田でかつて使用されたとされる尉と父尉の2面を小さなケースに展示。尉は室町初期ぐらいの大型の尉面、右の父尉は南北町?室町前期ごろの制作。中世天野社の仮面芸能の歴史を今日に伝える。普段は県博寄託で、地元で見る機会は貴重。図録なし。

3月26日
国立中央博物館(韓国)
 스투파의 숲, 신비로운 인도 이야기(ストゥーパの森、見知らぬインド物語)
(12月22日~4月14日)

 南インドのストゥーパを装飾する神々や欄楯等の仏伝図を集約。メトロポリタン美術館から巡回。大英博物館のサタバハナ王像、象の崇拝を受けるストゥーパ、アーンドラプラーデーシュ州考古博のヤクシャ像、アマラヴァティヘリテージセンターの舎利容器を表したストゥーパ、インド博物館の転法輪図、パニギリ仏塔遺跡の塔門の釈迦成道図、ンドナガルジュナコンダ考古博の龍蓋を伴う釈迦を表したストゥーパ、テランガナ州立博物館の釈迦如来立像などなど、インド各地の博物館を中心に重要資料が林立する。タイトルはその林立するさまを森に例えたもの。図録(216ページ)と論考集(180ページ)あり。全資料写真撮影可能。ハンドマイクを使った展示解説ツアーも毎日複数回催行しているようで聴衆多数。すばらしい。

3月27日
湖巌美術館(韓国)
 진흙에 물들지 않는 연꽃처럼(泥に染まらない蓮の花のように)
(3月27日~6月16日)

 東アジア仏教におけるさまざまな芸術表象を通じて、仏教における女性像と女性の祈りのあり方を提示する意欲的な展示。二部構成で、前半「再浮上する仏教徒の女性像」は女性の身体、観音菩薩、女神の世界の3章、後半「女性の宗教的誓いと実践」は敬虔な祈り、儒教社会における女性仏教徒、女性の仕事(繍仏・刺繍)のそれぞれに分ける。ボストン美術館の摩訶波闍波提図(元)や院政期の如意輪観音像(平安)、吉祥天曼荼羅(鎌倉)、メトロポリタン美術館の楊柳観音像(高麗)、維摩不二図(元・1308)、大英博物館弁財天像(鎌倉~南北朝時代)、クリーブランド美術館阿弥陀三尊像(南宋)、薬師三尊十二神将図(朝鮮・1477)、永平寺三帝釈天像(朝鮮・1483)、本岳寺釈迦誕生図(朝鮮)等々数え切れないほどの優品に、国立中央博物館や、湖巌美術館と一体であるリウム美術館の重要資料を組み合わせて展示を構築。扶余で発見された百済時代の可能性がある観音菩薩立像が韓国初公開。若々しく微笑する面貌表現に優れる隋様式の影響を受けた像高26.7㎝の金銅仏。図録あり(392ページ、35,000ウォン)。

3月28日
月精寺聖宝博物館(韓国)
 特別展 五台山月精寺
(1月9日~3月31日)

 三国時代創建の五台山月精寺の歴史と信仰をさまざまな資料から紹介。国立春川博物館での特別展(2023年9月26日~12月25日)に引き続き同寺博物館でも開催。高麗時代の八角九重石塔内に納置された銀造如来立像(10c)、二菩薩・二天を刻出した金銅製方形盒(10~11c)、黒漆地に金泥で諸尊を描いた阿弥高麗太祖崇拝像(1307年)、上院寺本尊文殊菩薩坐像像内納入の発願文(1466年)や赤衫(上半身にまとう袖・襟付きの衣服)など。図録あり(224ページ)。常設展示では八角九重石塔前に安置されていた片膝立ちの供養菩薩坐像(高麗時代)や菩薩半跏像(新羅時代)など展示。

五台山月精寺(韓国)
 博物館から雨中の参道を歩き月精寺へ参拝。八角九重石塔拝観。大雄殿にて三礼。

五台山上院寺(韓国)
 月精寺から五台山頂へ向かって8~9㎞に位置する上院寺へ参拝。梵鐘は新羅聖徳王24年(725)銘を有する重要資料。飛天文や龍頭、細部意匠をじっくり鑑賞。大雄殿内の文殊菩薩坐像をご拝観。

3月29日
国立春川博物館(韓国)

 常設展示を鑑賞。新羅の金銅仏、高麗の鉄仏、蒼嶺寺跡出土の五百羅漢像(朝鮮時代)、襄陽禅林院址出土の梵鐘片のほか同遺跡出土の資料を拝見。

3月30日
僧伽寺(韓国)

 ソウル北方山中の僧伽寺に登る。山上の高麗時代の大磨崖仏にしばし見惚れる。同寺開山の僧伽大師(628~710)の石像を拝観。1024年の造像。近年、表面の補彩を除去し、当初の彫刻面が現れて相貌を把握しやすくなった由。

国立中央博物館(韓国)
 帰国前に短時間だけ同館再訪。走り見る。

4月4
仁和寺霊宝館
 春季名宝展 仁和寺の動物大集合
(3月23日~5月6日)

 仁和寺伝来資料の中から、動物が登場する絵画や古記録、聖教類を展示。南北朝時代の普賢延命像は台座に小さな像がずらり。正保3年(1646)に高野山蓮華三昧院光宥から御室へ寄進。十二支の動物標識を表した白描の薬師十二神将図像をありがたく鑑賞。獣頭像と動物上に座す像が混ざる。安永2年(1779)源證筆の孔雀明王像は精緻で豪華な一幅。鳥獣人物戯画や石山寺縁起の近世模本も伝来。リーフレットあり。

相国寺承天閣美術館
 頂相-祖師たちの絵姿 Ⅰ期
(3月17日~5月12日)

 相国寺と塔頭等に伝来した頂相を一堂に展観。80幅の高僧像が並び懸けられる圧巻の展示空間。相国寺の列祖図は祖師30人を承応4年(1655)に狩野探幽以下の一門が描いたもの。探幽はうまいが、興甫もうまい。夢窓疎石の頂相が南北朝時代のものから江戸時代のものまで初公開資料を含んでずらりと並ぶ空間も圧巻。展示は臨済僧の流派の存在や、僧の出世やライフコースを示して、頂相が必要とされる僧団組織上の事情にも目配りする。Ⅱ期(5月26日~7月21日)も含めて122件の出陳、うち半数の63件が初公開とのこと。空前の頂僧展。必見。図録あり(A5版・64ページ、1200円)。

5月


6月


7月日


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