編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ゆめホールシネマ倶楽部

 JR南武線・向河原駅から歩いて5分ほどにあるかわさきゆめホール(神奈川県)で定期的に開催されている催しがあります。「ゆめホールシネマ倶楽部」。ドキュメンタリーや劇映画などを上映するもので、時にはゲストによる講演などもあります。ひょんなことから、この催しにかかわるようになりました。最近は本職が忙しくてなかなか行けてはいませんが、『原発をとめた裁判長』『ニューヨーク公共図書館』などのすばらしい作品を上映してきました。今年1月には『ガザ—素顔の日常』も上映しています。

 そして、4月23日から27日まで5日間にわたって『雪道』が上映されます。15歳の時に日本軍の「慰安婦」にされ、過酷な人生を送った二人の少女が主人公です。フィクションではありますが、多くの日本軍「慰安婦」被害者の証言に基づいています。

 上映は4月23日〜25日が9時・12時・15時の3回、26日〜27日が9時・12時・15時・18時の4回。問い合わせ・申し込みはTEL044(433)3003まで。(文聖姫)

お詫びと訂正

『週刊金曜日』2024年3月1日号9頁「米軍廃棄物パネル展、福岡市では中村之菊さんトークも」の記事に間違いがありました。また、3月11日金曜日オンライン(金曜日公式サイト)及び、3月13日Yahoo!ニュースでそれぞれ配信した「『米軍廃棄物パネル展』福岡市で開催」の記事中にも間違いがありました。お詫びするとともに、以下のとおり訂正します

【『週刊金曜日』3月1日号の訂正】

(1)文中に2カ所登場する「武器類」を「弾薬類」に訂正します。武器という言葉を使うと銃やランチャーなどの起爆装置も投棄されているという誤解を招くためです。

(2)「中村さんなどの調査によると、現地では新品の弾薬や、捨てられて間もないとみられる食品ごみも見つかっており、返還後も米軍が〝ごみ捨て場〟として使用している疑いもあるという」を「宮城さんの調査によると、現地では新品の弾薬や、捨てられて間もないとみられる食品ごみも見つかっており、返還地で米軍が訓練を行なった疑いがあるという」に訂正します。

(3)沖縄の米軍返還地でPCBが検出された件で、「森の生物に奇形などの異変が出ており『無関係とは思えない』とも」と記述している部分は「事実ではない」(当事者)ので、削除します。宮城秋乃さん、中村之菊さんはこのような説明はされていません。中村さんはライターに、「別の場所」の例を出し、「生物の奇形とその生物の生息する場所の汚染物質の因果関係を証明するのは難しい」という話をされていましたが、それをライターが聞き間違えたためにこのような間違いが生じました。なお、本誌3月15日号66頁に、この箇所の訂正として、「異変はあるが、因果関係を証明するのは難しい」としましたが、その訂正も事実ではありませんでした。この返還地での「異変」は確認されていません。

(4)「PCBがダムに流れれば」を「汚染物質がダムに流れれば」に訂正します。

【3月11日の金曜日オンライン記事及び3月13日のYahoo!ニュース配信記事についての訂正】

 いずれの記事にも「森の生物に奇形などの異変が出ており、『異変はあるが、因果関係を証明するのは難しい』」とありますが、これらはすべて事実ではありません。「異変」は確認されていません。また、「PCBがダムに流れれば」とありますが、これは「汚染物質がダムに流れれば」の間違いです。当該記事はすでに削除しました。

 宮城様、中村様には度重なる誤りで多大なご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。読者の皆様にも誤った内容をお伝えしましたことを、深くお詫び申し上げます。今後はこのようなことを二度と起こさないよう対策を講じ、再発防止に努めます。

【おことわり】
 現在配信中の「週刊金曜日アプリ版」「デジタル金曜日」「Kindle版」については、目次を含め3月1日号の当該記事は削除しております。(編集長 文聖姫)

失敗をおそれるな

 最寄り駅近くを流れる川沿いに植えられた桜が少しずつ咲き始めている。毎日通る道なので、つぼみが膨らみだしてから、いつ咲き始めるのかと心待ちにしていた。それだけに、「ああ、もう春なのね」となんだかウキウキする。

 4月から新年度だ。新入生や新入社員など、新しい環境で新たなスタートを切る人々も多いだろう。フレッシュな姿を見ると、私にも数十年前にはそんな時があったことを思い出す。大学に入る時にはさほど緊張しなかったが、新聞社に入社した時には超緊張した。何より仕事を覚えるのが大変だった。失敗をしては先輩たちに叱られた。家に帰って何度涙を流したことか。でも、私は失敗は多ければ多いほどいいと思っている。失敗したら、それは骨身に染みるので、二度と同じことを繰り返さないようになるからだ。そこで気づきをもらえる。「失敗は成功のもと」なのだ。

 本誌も今号が新年度最初の号。気持ちも新たに、これからも読者が待ち望むコンテンツを提供できるよう努めていきたい。(文聖姫)

「不適切にもほどがある!」

 今季、楽しみにしているドラマは毎週金曜日にTBSで放送されている「不適切にもほどがある!」。昭和からタイムスリップしてきた男性が主人公だが、いまではめったに放送されない喫煙シーンがあったり、放送禁止用語が連発されたり……。さすが宮藤官九郎。現代社会への風刺が効いている。

 そして、朝の楽しみだったのがNHKの連続テレビ小説「ブギウギ」である。久しぶりに月~金は欠かさず見ていただけに、終わってしまうのが残念だ。「東京ブギウギ」などをヒットさせ、ブギの女王と呼ばれた歌手、笠置シヅ子がモデルだ。笠置シヅ子の名前はもちろん知っていたが、こんなに波瀾万丈な人生を送った人だというのは知らなかった。それを乗り越えていく姿に元気をもらった。趣里の演技も自然体で、歌も踊りもよかった。

 さて、4月からの「虎に翼」は女性初の弁護士、三淵嘉子さんがモデルだ。今号では彼女と原爆裁判の関係について、佐藤和雄さんが書いている。ご一読を。(文聖姫)

鈴木一さん

 俳優や作家など各界の人々を訪ねてインタビューするシリーズ「編集長が行く」も5回目となった。今回登場いただいた鈴木一さんは、札幌地域労組で長年労働組合運動を支援してきている人だ。インタビューは昨年12月3日(日曜日)、札幌で行なった。鈴木さんは毎週日曜日の午前中は教会で礼拝に出席するので、そちらにも同行した。御自身の母をはじめ、高齢者の送り迎えも買って出るような人柄だ。ベトナム人技能実習生の解雇問題に取り組んだ動機も「許せない。義憤を感じた」からだという。

 礼拝終了後は札幌地域労組の事務所へ。事務所に向かう車中で、また一緒に味噌ラーメンを食べながら、そして事務所で長時間話をうかがった。それでも時間が足りないと思った。この日に東京に戻らなければならなかったから、後ろ髪を引かれる思いで事務所を後にした。掲載できなかったエピソードもたくさんある。鈴木さんとはLINEでつながった。これからもいろいろとお話をうかがっていきたい。(文聖姫)

読者会に思う

 今号の「読者会から」欄でも報告されているが、2月25日に開催された北大阪読者会with youの定例会に、社長兼発行人の植村隆とともに参加してきた。阪急京都線茨木市駅のすぐ近くが会場だ。この日は8人のメンバーが参加した。私が参加するということで、前半はメンバーから寄せられた質問に私が答える形で進んだ。質問は事前に寄せられていたので、答えはあらかじめ作っていったが、私の答えに対してさらに質問がきたりして、活気ある議論が展開できた。後半はいつものように、参加者全員が直近の数冊で感じたことなどを語り合った。本来ならこちらに多くの時間を割くのだろうが、この日は私や発行人がしゃべり過ぎたため、少し時間が足りなかったかもしれない。

 読者会に参加するといつも感じることだが、みなさん、本当に本誌のことを真剣に考えてくださっている。時には厳しい言葉もあるが、元気づけられる。何より直接会って話すのがいい。「読者会から」欄を読むと、いろんな顔が浮かんでくる。(文聖姫)

女子サッカー北朝鮮戦観戦記

 2月28日に東京・代々木の国立競技場で行なわれたサッカーの試合を見に行った。パリ五輪女子サッカーアジア最終予選、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)対日本の第2戦だ。24日にサウジアラビアで行なわれた第1戦はドローだったので、この日の試合で勝った方が出場権を獲得できる。私は北朝鮮の応援席に座った。チームカラーの赤のTシャツやトレーナー、セーターを着た人たちとともに「イギョラ(勝て)!」と書かれたビニール製の応援棒を叩きながら、声援を送った。

 試合は2対1で日本が勝利したが、互角の戦いだった。贔屓目ではなく、北朝鮮の方が実力的には勝っていたと思う。チャンスを着実にものにした日本に勝利の女神が微笑んだ。いい試合を見させてくれた両チームの選手たちに拍手を送りたい。よかったのは、試合結果を伝えるニュースに北朝鮮チームにも好意的なコメントが多く寄せられていたことだ。スポーツは時に政治を動かす。冷え切った日朝関係の雪解けのきっかけになればうれしい。(文聖姫)

「日本語わかりますか」

 先々週末、ガザで医療支援を続ける医師の猫塚義夫さんにインタビューするため、札幌に行った際の話。ホテルでチェックインしようとしたら、パスポートを見せてほしいという。私は、特別永住者なのでパスポートは持ち歩いていないと言ったら、じゃあ在留カードを見せてくれ、と。で、特別永住者証明書を見せた。さらに、ホテルの設備を説明された時の“とどめの一言”。「日本語わかりますか」

 親切心かもしれないが、「ああ、またか」というある種、あきらめムードになった。こんな思いをするのは、子どもの頃から数えて何度目だろう。敗戦後から数えると、在日コリアンは80年近く存在し続けているのに、いまだに知らない人がいる。名前をみて、「中国人? 韓国人?」と聞いてくる人も。韓国人と答えると「日本語お上手ですね」。これも定番の反応だ。「私は在日コリアン2世で、日本で生まれ育ったから、むしろ日本語の方が得意なんです」という説明もこれまた定番。だから何だと言われれば、それまでなんだが。(文聖姫)

ウクライナ侵攻2年

 ロシアがウクライナに侵攻してから明日で2年が経つ。今号では「終わりの見えないウクライナ戦争」を特集した。筆者の一人、丸山美和さんはポーランド在住の大学教員でジャーナリスト。先日、一時帰国中の丸山さんが弊社を訪ねてきた。彼女が持参したたくさんのおみやげの中には珈琲豆もあった。この豆には深い意味がある。ウクライナ南部黒海沿岸の都市ミコライフ在住の女性が、輸入した豆を自宅で焙煎しネットで販売しているのだという。「ミコライフはかなり危険な地域」と丸山さん。それでも彼女の夢は自分のカフェを持つことだという。ゆったりした気分で珈琲を飲めることの幸せを噛みしめた。

 特集のもう一人の筆者、『朝日新聞』論説委員の駒木明義さんも指摘するとおり、停戦の見通しは立たない。国外に逃れた人々も少なくないが、国に残って戦う兵士だけでなく、戦禍の中で日常生活を送る人々も大勢いる。でも、その日常生活は私などが決して想像できない、常に危険と隣り合わせのものだ。(文聖姫)

魔の2月

 今週は年に数回ある魔の週。校了日が月曜日と金曜日の二度あったからだ。

 普段の校了日は月曜日だけだが、11日(月曜日)が休日なので、2月16日号の校了日が前倒しされて、9日(金曜日)となったわけだ。さらに、来週も金曜日が校了日となる。23日(金曜日)が休日なので、23日号の校了日が、これまた前倒しされて16日(金曜日)になった。というわけで、この「編集長後記」も今週は2回書いた。ちなみにこの原稿を書いている今日は2月9日だ。

 読者のみなさんにとってはなんのことやら、と思われるだろうが、まぁ、とにかくしっちゃかめっちゃかな日々が続いたと思っていただければ。この号がみなさんのお手元に届く頃には、だいぶ落ち着いているはずだ。

 ということで、まだ2月が20日も残っているのに、もう月末の号を作っている。ついこの前、新年を迎えたと思ったのに、あっという間だ。なんだか慌ただしい2月も過ぎれば3月。春ももうそこまで来ている。(文聖姫)