「エロいことしてみたいの」
「えっ、していいの?」
幼馴染みの女の子にそんなこと言われたから喰いついたらナジるような目で見られた。
ハニートラップは卑怯だと思う。
「冗談はほどほどにしておくの。せめて年収300万を超えてから月給3カ月分の指輪を用意して言ってくるの」
「そこで1000万とか言ってこないあたりにコナちゃんらしさがあるよね」
「最低限、自分の食いぶちさえ確保してくれるのなら文句はないの」
「高校3年、大学4年、働いてある程度の貯金ができるまでに3年――合計10年待ってくれる?」
「ん、かまわないの」
あっさりとプロポーズに成功しちゃったよ。
嬉しいな。
「ママから連絡あったの。また離婚して、慰謝料たっぷりとせしめてたから2億くらい分けてくれるらしいの」
「また? 吹雪さんってよく大金持ちと別れるよね」
「恋多き女なの」
「ちょっとした生涯年収くらいの金額なの。ぶっちゃけるともう働くどころか学校に行く気にすらなれないの」
「まぁそうなっちゃうよね」
「だから退学届出してきたの」
「フリーダムだね」
「これからはこのマンションから出ることなく引きこもり生活を満喫するの」
「ダメな方向に振りきっちゃったね」
「もう二度と紫外線を浴びることのない色白美人になるの」
「今だって、日焼けしなさすぎる色白美少女なのにさらにだなんて妖精さんになっちゃわないか心配だよ」
「たいていのことは通販でどうにかなるの。どうにかならないものはショウくんにお使いしてもらうの」
「コナちゃんとあえる口実になるのならそれくらいいいけどさ」
「問題は、ショウくん以外の人目に触れない生活を送っていくと確実にだらしなくなることなの」
「異性に見られない女子校とかひどいらしいよね」
「なのよなのよ。だから、わたしはいい女でいるために画期的なことを思いついたの」
「どんなの?」
「私の写真や動画を毎日のようにネットにアップするの。そうしたら見られまくっているのに等しいの」
「……なんか、飛んだよね?」
「学校辞めて今後働かなくていいのなら世間体を気にする必要はないの」
「だからってさ」
「エッチぃことをしまくって気持ちよくなりたいの」
「………………ねぇ、鼻血出していい?」
「退学したけどわたしは高校一年生だったの。もうそろそろエロい娘になったっていい年頃なの」
「男の幼馴染みとして言わせてもらえるのなら大歓迎なんだけどさ。さっきのネットにアップする話と組み合わせると嫌な予感がするんだけど」
「アップするのはわたしのヌードなの。もしくはエロい画なの」
「超複雑なんだけど」
「撮影は任せるの」
「任されたよ!」
「大胆告白して疲れたから今日はここまでなの」
「僕はちょっとひと眠りしていろいろと考えてくるね」
「じゃ、またね――なの」