1話 逞しい桜さん
死んだと思ったら、生まれ変わっていた。
元々大学で就職に全く役に立たないオカルト寄りな民俗学をメインに学んでいたが聊か冗談が過ぎる話だ。
それはまぁいい、精々強くてニューゲームでも楽しんでやろうと思いきや生まれて10も満たない内に人生ベリーハードに突き落とされた。
魔術師の家だか良くわからないが、可愛らしい愛娘を妖怪蟲爺の元に養子に出すのは如何なものか。
魔術師の修行だと言われ日々気色が悪くおぞましい蟲を体内を弄られる日々。
養子に入ったその日いきなり蟲によるレイプ。
どこの18禁エロゲーだと。
全身を犯された時など何度発狂しかけたか。
崩れかける自我。
絶望。
今現在も蟲が体を這いずっている。
よくわからないがトウサカの魔術師からマキリの魔術師にするための肉体改造だとか。
マキリの胎盤にするための処置だとか。
ようは、私は養子という名目で家畜としてこの家に送られたのだ。
嗚呼、気色が悪い。
「桜やこれで今日は終わりじゃ、休んでよいぞ」
今日もとことん肉体と魂を陵辱されつくされ、ノルマが終わったらしく妖怪は蟲倉から去る。
薄暗い蟲倉の中ヌムヌメとした蟲の体液で全身と体内が汚れた私は裸であり、まずはシャワーでも浴びにいくことを決め、まだ肌寒い中、裸足で蟲倉から抜け出す。
涙を枯れるほど出し、目はチカチカとし、叫び続けたせいで喉はカラカラする。
体が火照ってくる。
改造は大分進んだらしく叔父の精を肉体が欲しているらしい。
妖怪が言うには私の肉体の改造のスピードは聊か予想外に進んでるらしく、あと数年で母体として完成をみるらしい。
なんでも陵辱に肉体が恐ろしいほど順応し始めているらしい。
ようはわたしの体は急速な成長期に入っているのだ。
体の火照りが苦しい。
楽になる方法は知っている。
シャワーを浴び終わったら、あの妖怪におじさんに私を抱いて貰うようにいっておこう。
せいぜい助手程度の雑用を任されたに過ぎないあの男も仕事の内といって抱いてくれるだろう。
魔道の素養がないあの男でもマキリの血を受けている。
しょうもない男の精でも鎮静剤ぐらいのかわりにはなるだろう
今受ける苦痛を耐えるためなら汚れても構わない。
もうすでに私は汚泥に漬かりきっているのだから。
しかし私は諦めてはいない。
これ以上もなく私は生きることを諦めないでいる。
私を汚泥に沈めてくれた奴等に一矢報いぬまま終わってはいられない。
私の今の自己は怒りのみで保たれているのだから。
理不尽に奪い貪りつくす奴等にやり返す。
ただそれだけ。
憎悪が私を生かす源である。
シャワーを浴びると体の表面上の汚れが落ちていく。
シャワーの温水を受けながら私は考える、どうやれば私はこの絶望から抜け出せるのか。
過去学んだ知識を探る。
「蟲…蟲といえばこどく。蟲毒といえば……中国の呪法に使われる、呪術のために人為的に作られる特別な生物の総称だったっけ」
中国では犬蟲、蛇蟲、狐蟲、蜥蜴蟲、蝗蟲などのさまざまな種類の蟲毒が伝わっているという。
家に富みを運んでくれる。
定期的に生け贄をささげないと、かわりに食われる。
剣や火では殺せない。
遠くに捨てても戻ってくる。
捨てるには、蟲毒がくれただけの財と同じ価値の財と共に、捨てなければならない、だったか。
「ん………そっか」
素人考えだが、可能かもしれない。
在る一つの方法を思いつく。
それから10年の年月が経つ。
今では立派な魔女に私はなっていた。
「おじいさま、貴方の薀蓄は本当に不味かったです」
企みは想像以上楽だった。
私が幼い頃に行なわれた聖杯戦争というある儀式で得た物を私の体に自分の本体共々植えつけようとした妖怪に対し
私は無防備にアヘ顔を浮かべたフリをして指で捕まえ食べた。
ニョッキよりも遅いお陰で簡単だった。
凄い慎重に慎重を重ねた魔術だったのだろう。
私はこの最大限のチャンスを生かした。
「補完の術はマキリの吸収の魔術と相性がとてもよくてよかった」
15歳で私は既にマキリの業を知識だけ極めていた。
あの妖怪の脳みそを踊り食いをして知識を直接食らったのだ。
「薀蓄とは美味なものってマンガで書いてたけど、流石に500年ものの外道の知識は美味しくないわね」
所謂、補完の術。
補完の術とは私が大好きだったマンガのキャラクターが魔女として第一歩を踏み出したときに使った業だ。
どうやらこの世界にもあったらしい。
この術の基盤は食べること
食べたものは血となり肉となる。
しかし、食物の要素によっては必要な栄養素は肉体のその部位によって異なる。
しかるべき処置をおこなえば、自らの足りない部分を補うことができる。
ワルプルギスの魔女さんは受胎告知の天使さんの薀蓄を食べていた。
「それにしても……ゲームの世界だったとはびっくり」
聖杯戦争と聞いて思い出していた、過去の知識。
月姫とらっきょは原作をちょろっと知ってたけど。FATEはよく知らなかった。
セイバーとか凛とかフィギュアで知ってたけど、桜ってキャラは登場していたのだろうか。
今更ならが、それだけが少し気になる。
ヒロインだろうか、それとも原作前に亡くなっているサブキャラだったのだうか、そもそも登場しているのだろうか。
ありきたりなヒロインの悲しい過去に登場する小道具キャラだったのかもしれない。
そんなものだろう。
「でも此処は現実な訳で、精々好きに楽しい人生を送らせて貰おうかな」
魔術というものは民俗学を専攻していた私には肌に合ったようだ。
学んで飽きない生涯学習目標だ。
「とりあえず、今日は届いた肉でも弄るかな、蟲で作ったキョンシー用刻印蟲試したいし」
すみません妄想をただ書き連ねた文です。
仙木の果実というマンガを読んで思いついたネタです。
宵闇眩燈草紙のキャラクターのご老体的な桜ってどうだろうか、っていう思いつきで考えました。
黒桜ならぬ外道桜モノってないのかなーとか考えて書いて見ました。
原作発生時期。
桜さん
堅気には手を出さないが基本外道、主に死体のリサイクルで生計を立てている高校生。
マキリの伝で裏関係から死体を処理という理由で引き取りお金を貰っている。
最近、ゾォルケンの過去のオリジナルの遺骨を蟲倉から発掘し、500年モノの魔術師の骨だと喜び、売却し、懐ホカホカ。
とりあえず、長生きしたいから死徒にでもなろうかな、とか考え中。
しんじくん。
外道妹を恐れ、めったにマトウの家に帰らない。
家にいると寝ている間に色々絞られている。
ちなみに蟲毒を打ち破るには俗説としてその蟲を食べるとよいらしいです。
蟲のヒエラルキーのトップに立つという手法での解呪らしいです。