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No.8816の一覧
[0] (習作)【オリ主→ネギま】『あきら』[心海2000+](2009/05/27 03:46)
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[8816] (習作)【オリ主→ネギま】『あきら』
Name: 心海2000+◆22d0e021 ID:f32bd25a 次を表示する
Date: 2009/05/27 03:46
いつの間にか死んでました(笑)。

笑い事ではないような気もするが実際に死んでました。死因はよく覚えていない。
どうせ死んだし笑って過ごそうとか考えてた。
そしたら魔法使いの子供となって転生してました。輪廻転生とか信じてなかったんだけど何かなった。爆笑物ですよね。


「おんぎゃー」


普通に喋れません。ちなみに気づくとこの子供になってたので生まれた時とかはよく覚えてない。もしかしたら俺がこの体に定着するまで時間がかかるのかもしれない。
ちなみに魔法使いの子供云々と言うのはぶっちゃけ両親を見てわかった。普通に魔法を日常的に使ってるんですけど、良いんですかね。ハリー・ポッターとかだと結構頑張って隠してた気がするんだけど。いや、あの中でも日常的には使ってたけども!普通に杖を振ったりしまくってるんだけど良いの、パパン、ママン。
ちなみに名前は「あきら」としか言われてない。まだ苗字とかわかってない。そして「はいはい」も出来ないような年齢なので自分の苗字もまだわかりません。やったね、笑える。


「おんぎゃー」


とりあえず母親とか知らない人だし、父親も知らない人だし。何か俺は本当にここにいて良いのか少し疑問を感じるけど、別に良いか。生まれ変わるなんて実は結構貴重な体験なのかもしれない。俺みたいのがいっぱいいるとは思えない。どうせなので、楽しんでやるぜ!
まぁ、問題は……。


「あきらちゃん、おしめ変えましょうね~」


これと授乳だ。あぁ、何だかまた死にたくなってきた。

■■

「あきらちゃ~ん、ちょっとおいで~」


「は~い」


「実はね、あきらちゃん……」


「何?」


「お母さんとお父さん、魔法使いだったの!」


「いや、知ってましたけど」


そんな会話があった。ちなみに色々と驚かれた。そう言えば僕が2,3歳になる頃にはあまり魔法を使っていなかった。
どうやら本人達としては隠していたらしい。でも普通に杖とか飾ってたんだけど、誤魔化せてると思ってたんだろうか。結構お茶目さんだなぁ。
そんなわけで魔法を教えられる事となった。なったのだが、どうやらこの世には西洋魔法と東洋魔術、他にも色々とあるらしく、自分達の家系が西洋魔術である事を教わった。
日本に住んでるのに何で西洋魔術?と聞いたら実は先祖が移民していたと言う情報を聞いた。
ルートとしてはドイツから入りフランス飛び越えて一度イギリスまで行って西洋魔術ときっちり勉強して日本に帰ってきたらしい。何で最初にドイツだったの?と聞いたら元は医者の家系だったかららしい。
医者→魔術。すげぇジョブチェンジっぷりに驚いたぜ。両親には大反対を食らったらしく、お蔭様で親戚とかはいないらしい。さすがに2,3代では大家族とかには至らなかった。
子供にそんな話をしてどうするんだろう、普通は理解出来ないし全然興味ないだろう、と思いながらもまじめに聞く。
俺は理解出来るからな!ちなみに嫁さんは日本人らしい。なので完全に僕は日本人らしい。いや、そこは外国で嫁さんをもらっておけば良かったんじゃないの、ご先祖様。


「そう言うわけで、あきらちゃんには魔法を勉強してもらいます。最近の流行だと魔法なんて教えないんだけど、うちは折角ご先祖様が勉強したんだし、覚えておいて損は無いでしょう?と言う感覚で魔法を教えます」


「理由が何かもう凄い適当だよ、母さん」


「あんまり儲からないのよね、魔法使い。大抵はNGOやNPOで活躍するのよ。だから慈善業なのよねぇ……。才能があればそれでも別なんだけど、うち平凡なのよー。だから副業として派遣傭兵やったりしてるけど、それ以外だと基本的に自営業なのよ。ほら、うち酒屋でしょう?」


「最近だと酒屋もどうかと思うけどね~」


「もう、子供らしくないんだから。そんな所も愛してるわよ?」


「いやん、恥ずかしいですよ、母上」

そんな訳で魔法の勉強開始、となったわけだが普通の勉強の方が多かったりする。
何でも、有名な学園都市を抱える魔法使い達の町があるそうだ。そこに入学して欲しいらしい。そんなに魔法使いにしたいのか、とちょっと頑張る気になったが「いや、そこ普通に名門でね?」と言われた。そんな所も好きですよ、母さん。
入学方法は幾つかあるらしく、魔法使いの卵としての入学方法と普通に学生としての入学の二つがあるらしく、どうやら後者を選ぶらしい。
我が母親ながら結構打算的である。夢ばっかり見てくる母親でも困るけど。
だが、しかし。普通の学生としての入学で実は嬉しい。
そう、俺は元々は一度死んで生き返った身だ。2,3年のブランクがあるとは言え、それなりに学力はあるはずだ!
そんな訳で勉強を始める。ちなみに保育園には通っていない。母親が結構時間を取れるからだ。
ちなみに公立の保育園に空きがなかったと言うのも理由の一つらしい。私立のためのお金なんて麻帆良のために貯めてるわ!と叫んでる姿を見たことがある。母は必死です。
なのでインドア派です。そのおかげで小学校入学用試験の問題をやってるわけなんですが簡単で困る。
思うんだけど、数字を書くだけな作業ってこんなに楽なのかー。後は日本語それなりに書ければ良いのか、まぁ、どうにかなるでしょう。
ちなみに字は下手だ。腕の筋肉が発達してないので本当に下手だ。ちょっとずつ上手になるように努力していくが、鉛筆が重いと言う現状はどうにかしたい。
こればかりは時間が立つのを待つしかないかな?魔法で解決できれば良いのに。無理だろうけど。


魔法の勉強に関しては魔法史と子供に覚えさせたい魔法と言う書物の反復を行ってます。これ、案外楽しい。
魔法史は子供に教えるために凄く柔らかいテイストに変換されてるけど裏事情を考えると非常にえげつないから楽しい。
子供に教えたい魔法―――魔法学院教科過程委員会発行。1980円也―――は精霊で物を動かす魔法から占いを経て簡単な火を出す呪文など、本当に基礎の部分は押さえてある。
ちなみにこの教科書の中の魔法は大抵使える。もちろん、適正がなくて使えない物もある。
魔力が多ければどうとでもなるかもしれないけど家系的に無理でした。
その二つをこなしつつ、基本的には小学校までに持っておきたい勉学のほとんどを収めてます。勉強は楽しいね。
反復作業とか本当に大好きです。最初のうちは辛いと思うんだけど"あかさたな"を10回くらい書き始めた頃から反復が楽しくなってきます。人間って都合よく出来てます。

「母さん、終わったよー」


「そう。勉強が終わったらと思っておやつを用意しておいたわ。はい、どうぞ」


「……僕は沢庵はおやつに入れるべきじゃないと思う」


食べるけどね。何かいっぱい食べちゃう。沢庵美味しいです。でもおやつとは認めない。


「私はこれでご飯2杯はいけるわ~」


「うん、いつも通り美味しい。でもおやつでは無い」


「おやつなんて最終的にはお腹が少し膨れれば良いんだから沢庵でも良いじゃない」


「いや、結果そうですけど。でも、こう、デコレートな物が食べたくなる。おやつと聞くと」


「例えば?」


「ケーキ……は良いや。別に食べたくない。それよりもカリカリ梅ですかね。あと、煎餅とか。是非ともぽたぽた焼きは御一考願いたい」


「全然デコレーション関係ないわよ、あきらちゃん。センス渋いわ~、お父さんそっくり」


この人の子供に生まれてそんなんばかり食べてたから味覚がすっかり変な方向に行ってしまった。
育った環境によって子供は大きく変わります。転生した場合も同じです。生前の肉体じゃないからね、今の生活の肉体だからね。
そりゃあ精神も肉体に引っ張られるさ。嫌いじゃないけどね、カリカリ梅。


「お父さんは沢庵でも別に文句は言わないけどね。後、緑茶があれば特に何も言わなそう」


「そうね、あの人はそうでしょうね。夕食聞くといつも"何でもいい"だからね。困っちゃうわー」


困っちゃうの声が全然困ってない辺り良い夫婦だ。裕福じゃないけど、雰囲気良いんだ、この家。
でも麻帆良入ったら寮暮らしになるけど。それだけはちょっと嫌だなぁ。それでも僕の為を思っての行為だってわかるから何もいえないけど。
やっぱりね、子供には自分達より上の道を、そして悔いのない道を行って欲しいのが親の気持ちでしょうしね。人によるけど。


「そう言えば母さん、麻帆良では魔法生徒はお手伝いとかも出来るらしいけど、僕は戦力になるかな?」


「んー、今の状態だとぶっちゃけ戦力外ね。話にもならないと思うわ」


「やっぱりそうなんですか。まぁ、今も魔法はおまけみたいな物ですしねー」


一般的な勉強のが時間を多く取ってますし、それに家系的に才能溢れてるわけじゃないらしいので仕方ない。
一応魔力の扱い方はかなり上手に出来るように訓練はされてるけど、元々の量が少ないから大魔法とかは無理だしね。


「あきらちゃんは早熟だから最初のうちは色々としてもらえるかもしれないけど、他の子が開花し始めたら抜かれると思うわ。それでも本当に頑張れば中堅クラスにはなれるでしょうけど。あ、中堅って言うのはね、真ん中くらいって意味よー」


「真ん中くらいかぁ……」


本当に頑張って中堅じゃあ、割りに合わない。魔法は便利だけど、才能が物を言う。努力だけじゃ覆らない。もちろん勉学も同じだが、僕にはどちらかと言えば魔法よりもこっちの方に優位性がある。前世のかろうじて残っている記憶や常識の数々だ。もちろん、失っている部分の方が多いけど、それでも十分に役に立つ。うん、魔法はほどほどに普通に生きよう。母さんや父さんも別に魔法を中心に生きているわけじゃないみたいだし。


「早く大きくなってママに楽させて欲しいわぁ~……。最近ねー、年なのか腰がねぇ……」


「……魔法でどうにかならないんですか?確か身体強化の魔法があった気がするけど」


「んー、お母さんは使えないわー。お父さんなら使えるわよ。今度帰ってきたら教えてもらいましょうね。あと十日くらいで帰って来るから」


「うん、そうする」

■■


「そうか……身体強化をな。うむ……いや、これ子供に教える技ではないんだ。実践向けだし、ある程度の魔法の才能が必要になるし、まずきちんと倫理観を培ってからでないとな。使い時を誤ると魔法は危険だ。
お父さんとしてはまだ教える時期じゃないと思うんだが、母さんはどう思う?」

「そうねえ。年の割りに……と言うかそれ以上に頭の回る子だから間違ったことに使うことはあまりないと思うけど。
ただ、あまり人と接する機会を作ってあげられてないのが気になるわ」


親がきっちりとした考えの持ち主で助かるわー。そうだよなぁ、子供に危険な物を教えるのは少しリスクが伴うよね。
でも魔法を教える理由は凄い適当だったよね。何でだろう。初歩だと占いとかの比重が大きくてあまり実践的でないとかの理由かな。
……でも、初歩でも使おうと思えば凄い驚異的なのが使えるようになりそうだけどなぁ。
なんか、魔法界の人ってあんまり応用とか考えないのかな。僕なんて基礎中の基礎で凄いの思いついたけどなぁ。危険だから使う気はあんまりないけどね。


「まぁ、まだお前には早いさ。麻帆良に行っても夏休みや冬休みにはこっちに帰って来るんだ」


「そうね、でも新しい魔法の教科書は買ってあげましょう。初歩の本に載ってるのは大体出来るようになったし」


「そうか、そうか!あきら、お前は凄い子だな!」


大きな手で持ち上げられる。そう言えばまだ4歳だった。
こうやって持ち上げられるなんてのは、少し前まであった、だが母だと、そろそろ重たいなぁ、と感じる年頃だし、自分も恥ずかしいのでやってもらわなくなっていた。
うん、やっぱり恥ずかしい。それに少し怖い。高いから喜べるってのは何でだろうな。
無邪気だからか、それとも恐怖に関する知識が少ないからなのか。


「さて、久しぶりの一家団欒だし、何かくれないか」


「はいはい、わかりましたよー」


そう言って出てきたのは沢庵だった。父は別に文句言わずに食べてたし、幸せそうな顔だった。
とりあえず僕も一枚食べた。やっぱり、これがおやつと言い張るのはどうかと思います。母さん。


■■


本が届いたので目を通した。
初歩のと被ってる部分が幾つかある。少し残念かも。それでもレベルは格段に上がってる。
やっぱり興味深い物も多い。
特に属性魔法が載っているのが興味深い。魔法と言えば属性魔法だろう。やっぱり憧れる。男の子だからね。
ただ家系的にそこまで凄いのを期待はしてない。


「そう言えば、僕の属性って何だろう」


確かに出来ない魔法があった。それは闇と水。ただ、他のは一応出来てる。
僕の属性はどれなんだろう。本当に向いてないの以外は苦手でもそれなりに唱えられるから、今まで特に気にしてなかったな。
……とりあえずソレは後においといて、属性関係無いのをやろう。属性の知り方を聞きたいけど、母は仕事中だから邪魔したらいけないよね。


「うん、被ってるけど応用とかも書いてあるのか……」


僕が気になるのはこれだ。子物の動かす魔法。もうね、応用し放題じゃない、これ。脳汁ドバドバ出てくる。これを上手に使えば、そう。


「工場を作って僕一人でライン組める。しかも機械の整備代金や事件費がほぼ必要ない!」


簡易工場だったら出来るよ、これ。物によるだろうけど、機械じゃなくて魔法による大量生産。
必要なのは魔力だし、しかも初歩なので魔力量はそこまで必要ない。うん、いけるんじゃね?ただ、魔法秘匿に引っかかりそうだけど。


「まぁ、後は戦闘にも使えるかな」


僕の考えてる方法が実現可能ならだけど。

まぁ、何にせよ、夢は広がる。例えば工場のライン組はNGOとかで方法を伝授すれば素材だけで衣服などを作れるようになる……かもしれない。元本が凄く少なくて済むようになる……かもしれない。
うん、夢物語だな。工場のラインは忘れよう。そう言う知識が無いのに"こうすれば"とか考えてもしょうがないな。そう言うのはきっちり知識をつけてからだね。
ただ思うのは、魔法は少し形式化されすぎてる。閉鎖された世界だからか、少し限界が出てきてる気がする。新しい発見があまりないみたいだ。まぁ、使用人口が現代の科学とは比べ物にならないからかな。
中世や近代の科学とは所謂、錬金術や自然哲学の延長線上であってあまり人はいなかった。いや、性格には人口が限られていたのか。産業革命後に人口の受け皿が異様に増えた。
だから秘匿していた場合もほぼ同じような人口だった魔法と科学に差が出来たのだろう。いや、魔法界にいる分も増やすと多分魔法の方が多かったのだろうが、あっちは戦争が耐えなかったのだろう。
現実世界では肌の色で差別が起きるのに、別種族のいる魔法界で差別が起きないわけがない。人口の頭打ち感は凄かったんだろう。それに野生の生物もこちらと違って脅威だ。人口が伸びる要素が少なすぎる。
しかも基本的に人口を増やす気がないので実質魔法界にいる人口+αくらいしか使う人がいない。大学などはあるみたいだけど、それでもこっちみたいに多いわけではない。


「んー……夢は広がるけど、現実が見えて来るとなぁ」


どうも足踏みしてしまう。現実世界で普通に生きるってのも良い。夢だけ追いかけられるのは子供の頃だけだよな。今子供だけど、さすがに前世の記憶を引き継いでるから夢に乗り切れない。
もう一度だけ本を見直す。夢と希望がいっぱいありそうな本だ。実際、魔法を知らない世界にいた自分からは未知への好奇心がいっぱいある。ただ、現実はそれだけじゃないだろう。
それでも習っておく事は有用なのかな。属性魔法とかもやはり興味がある。
将来、高校くらいになったら多分普通の勉強で魔法の勉強はあまり出来なくなるかもしれないけど、それまでは勉強を阻害しないくらいには練習をしていよう。
せっかくご先祖様が手に入れた技術だしね。


「そう考えれば、やる気が出てきた。うん、読もう」


パラッとめくり。僕は熱心にそれを読むようにした。今はあまり細かい事を考えないように



■■

「あー、属性魔法。そんな時期か……。俺の時よりもずっと早いな。俺の時は確か7,8歳くらいだったからな」


「そう考えると早いわよね。それにこの子、時々教えてないような文字を読めたりするのよね。ほら、この文章とか小学校の2,3年の漢字じゃない?」


「あー、そう言えばそうだな。我が子ながら色々な才能があってびっくりだな!」


「そうね~」


時々、こういう会話する両親を見てちょっと脂汗が出る。そう言えば僕は生まれてからまだ4,5年だからね。
どんなびっくり人間だろうか。両親があまり鋭い人じゃなくて助かった。いや、我が子の成長が早いのが純粋に嬉しいのか。それでちょっと周りが見えてないのかな。学校に入ったら自重しておこう。


「それで、属性魔法は向き不向きとかは実際どうしたら?」


「あー、と言うか魔法使ってて何となくわからなかったか?」


「とりあえず水と闇は完全に無理です」


「じゃあ土とか光とかかな。大体、極端に苦手な物の反対だからな。まぁ、とりあえず精霊の加護を調べるキットがあるから買っておくよ」


「まぁ、多分土属性だと思いますけどね。私は風だけど、あなたは土だから」


「多分そうだろうな。土か風だとは思う。両親と全く違う属性が生まれる場合も確かにあるが、それは隔世遺伝とか、もしくは本人の出生に特別な物がある場合とかだからな」


特別な場合……。生まれ方は普通だったはず。うん、大丈夫だろう。うん。
それにしても、何かもっと簡単な方法で分かるもんだと思ってた。キットとか売ってるんだ。
まぁ、何となく得意なのはわかるよ、確かに。土と風は確かに相性が良かったなぁ。本の内容の奴も結構出来たし。


「……所で、母さん。この本の内容、結構難しくて俺できないのあるんだけど」


「え?」


「あら、あなたも?私も出来ないのが多いのよー。最近はあきらちゃんにも魔法史ぐらいしか教えられなくて、ほとんど自習なのよね」


「……その本の魔法は、難しいんですか?」


「ん?あぁ……まぁ、難しいといえば難しいな。これ、多分養育過程の高学年用じゃないのか?父さんや母さんは野に下った魔法使いで正式な魔法の教育を受けたわけじゃないからな」


「あら、私は小学校の高学年ぐらいまでは勉強しましたよ?ただ、もうちょっと優しい教科書だったけど。それに、戦闘系の魔法は実践に放り込まれれば自然と覚える物ですしね」


「そうだな。父さんの魔法も大抵は戦場に培った物だな。懐かしいなぁ、あの頃はまだ若造だった」


両親が机に置いた本をもう一度開いて見る。うん、まだ30ページだけど大抵できる物ばかりだ。意外に魔法の才能は期待して良いのかもしれない。
と言うか魔法の精密操作や魔法伝導率が凄い良いのかもしれない。細々した事や反復作業が得意だからなのかな。
基礎はどうやらついてるみたいだ。それで何がどうなる物じゃないけど。


「それじゃあ、そろそろ8時だから寝ようか。ほら、布団に入って」


「あ、うん、お休みなさい」


布団に誘導される。まぁ、とにかく、色々わかるのは麻帆良に入ってからなんだろうな。
僕は少し閉鎖的な空間にいすぎる。魔法使いの常識とかも完全には把握し切れていない。
自分が凄いのか否かを決めるのは、他と競争を始めてからで良い。
それまでは中の下くらいのランクだと思っておけば良いだろう。僕は凄いとか慢心したら事実を知った時に落ち込みそうだし。


「閉鎖された空間ってのは、どうもな……」


情報が薄すぎる。家の外に出るのは自由なんだけど、どうにも家でずっと本とかばかり読んだりしちゃう。
魔法の勉強も普通の勉強も楽しい。前世だと、こんな風に勉強が楽しいとはあまり感じなかったけど、こっちでは楽しいな。
反復が苦にならないというのは強みかな。
……前世で、僕はどんな人間だったかが段々薄れて来てるな。もう、結構立つからな。
そもそも、その知識は僕の脳に刻み込まれた物じゃない。本来は無い物だから、きっと薄くなるのが早いのかな……。



■■


「あきらちゃん、幼稚園に通いましょう」


「……良いけど、その、お金は大丈夫なの?」


「子供がお金に心配をしないの。ほらほら、嬉しいでしょ?」


そう言って出して来たのは制服。黄色と水色のコントラストが眩暈を起こさせる。
僕がこれを着るのか……。いや、きついんじゃないかな。僕には少しきついよ、母さん。


「着るのは良いんだけど、その、何でいきなり幼稚園に?」


「……色々調べたら幼稚園に通っておかないと親が質問された時に困るわよって竹内さんの奥様がっ。あ
の家は小学校受験を経験してるから参考にお話を聞いたらそう言ってきたの。お勉強だけじゃなくて親もしっかりしなきゃダメなのね……」


落ち込んでる。母さん落ち込んでる。とてもブルー。
……平日は基本的に常に働いてるから情報収集があまり上手くいってないんだな、母さん。フォローを入れておかないと。それとなく。


「……えっと、その、初めての子供で勝手がわからないと言うのはよくある事だから気にしないで。ほら、僕も頑張るから!」


「……そうね、頑張るわ。わたしも頑張る。あきらちゃんも頑張ろう!」


「うん、それじゃあちょっと着ますんで、お部屋の外に」


「お母さんはそれじゃあカメラ持って来るわー」


ドタドタと外に出てカメラを探し出す母。いや、それにしても小学校に受験するのって面倒なんだなぁ。
そんなの経験した事ないから知らなかったよ。勉強だけやってれば良いのかと思ってた。


「これは僕の方からも少しアプローチした方が良いかもしれないな……」


まだ時代的にインターネットが普及してない。本屋で探すしかないかな。一応お小遣いを貯めてるから、それで買って色々読んでおこう。
いや、その前に図書館かな。一応図書館の場所は把握してあるから、休みの日にでも借りに行こうか。


「見つかったわ、あきらちゃん。ほら、ピースして、ピース」


「あ、うん」


とりあえずピースしてひたすら撮影される。何にせよ、次の休みに図書館に行く事にしよう。
それにしても幼稚園か。知らない人と話すのは久しぶりだな。でも幼稚園だしなぁ。年相応の知り合いが出来ても僕は楽しめるのだろうか。不安だ。


「ほら、笑って」


「あ、はい」


まぁ、母が嬉しそうなので、良しとしようかな。

■■


やってきました、市立図書館。そして探したけど、無いです。いや、あるんですけど古いです。
受験の情報は常に変動してるんです。ペーパーテストは傾向などを教えてくれますけど、学校側がどんな人材を今年は多く求めてるのが重要な鍵。
とりあえず麻帆良の小等部の入り方で一般以外に何があるのか調べておけばまず間違いないかな。でも魔法関係は秘匿してるだろうからなぁ。どうしようか。


「んー、ソレで入る場合は、もしかしたら事前にコンタクトが必要なのかな?」


僕の予想では魔法使用者の人口ってそこまで大きくないから入る分にはそっちの方が入りやすくはありそうだと思う。
……ん、待てよ。人口が少ない。うん、そうか。


「そうだ、奨学金」


多分、入り方云々よりもそっちだな。麻帆良独自の奨学金。そっちの適正テストや書類審査の方法を調べれば良いかな。
それに返金タイプで貰うとしても無いのと有るとじゃ家計が全然違うしね。
親は普通に入れて普通に生活して欲しいみたいだが、残念ながら子供が僕一人だけであり続けるとは思ってないからね。
それに、手のかからない僕のような存在じゃなくて、手がかかる子も両親として成長するには必要だと思う。勝手な言い分だけどね。まぁ、それに兄弟は欲しいよね。


「それにしても、麻帆良独自の奨学金……」


魔法使いがいっぱいいるとはあんまり思えないし、麻帆良と言う大きな学園都市を運営するに当たって教師だけじゃ無理なのは明白。
学園側も何かしらの学生に関しての組織を作ってるはず。多分、奨学金をもらう代わりにそこで活動するんだろう。
別に珍しい事じゃないし、憶測は出ない。そう言うシステムがあっても"良い"と言う話だ。奨学金を貰う事を前提で、入学は一芸タイプ。
面接やペーパーテストもフェイクであるが、ソレは別のことを探るので、毎年入学者数が安定しない入学方法。


「……ビンゴ、かな。多分これだ」


全学年にある。編入も可能だ。それに麻帆良の学生会に入るのが前提。一芸タイプだし、何より希望でだが奨学金の給付や寮費の年間費の一部を免除がある。
と言うか凄い待遇。本当に人手が足りないんだね、麻帆良。
普通のだと、あんまりそう言うのは無いな。名門だからかな。お金持ちは普通に入れるみたいだ。
後、最近になって科学関係が大盛況らしい。麻帆良祭は毎年凄い盛り上がりを見せる、か。それと図書館に関しては小、中、高、大、島と分かれてるらしい。島って何だ。
「この辺は、まぁ、紹介だからな」
ランクはほぼMAXか。卒業後に異様に明るくなったりする、と書かれている。
……んー、予想が当たったのは良い。後は親がどう言う反応をするかだ。
両親は打算的だけど、僕の事に関してはあまり手を抜かないからなぁ。どうなんだろう。受け入れてくれるのかな。
僕の心遣いは嬉しいと思うだろうけど、それを全部受けてくれるかは別だよなぁ。
ここはやっぱり、機会を待つかな。何となくだけど予感があるし。
「あの日、いつもの終身時間は9時にも関わらず僕が寝かされたのは8時。夜に何時もやるはずの勉強が無かった」
両親は若い。ここから導き出される答え。その時に抱えるであろう悩み。それらを考えると、発覚したら出せば良いかな。
別に発覚しなくても少し時間があるから待てば良い。麻帆良の学費を見たが凄い高い。どこかで行き詰まるかも、と両親は思っている可能性は高い。
そこでササッとこれを見せれば良いわけだ。と言うわけで購入。
袋に詰めてもらってイザ家に帰る。普通に反応してくれる母。まぁ、時間はまだある。今は幼稚園と勉強を重ねつつ、時を伺いましょう。

■■

今現在。麻帆良入学のテスト。もちろん僕の予想していた通りの運び。ほぼ完璧。後は上手に出来るかだね。
他の人たちも結構緊張してる。と言うか全学年なんだね。普通に高校の人とかいる。


いや、それにしても発覚した時の両親の狼狽ぶりは見てて凄かったな。まぁ、若いから仕方ない。一番若いのは僕だけど。
その後、落ち込みつつ喜ぶという意味不明な行動を取る両親に対して、僕が付箋と丸をやって両親に提示。
読んで一瞬だけ悩むもコレっきゃ無いという感じでなし崩し的に決定。
……まぁ、早く寝かされたのはあの日だけじゃなかったしね。父さんがいる時はほぼ毎日だったからね。
体力よく持つよね。本当に若いよ、あの人達。あとゴムはごみ箱はマズい。それと安物を使うなと声高に叫びたかったが自粛。何処で知ったって話になるからね。うん。


「次、星野 晃君」


「はい!」


ペーパーテストは大丈夫だった。あと、何か積み木的な何かをやらされたが何とかなった。面接もどうにかした後はコレだけだ。


「魔法の属性は土が得意だそうだね」


「はい」


「それじゃあ、一番得意な魔法を見せてくれるかな」


得意な魔法。あれしかない!


「土の槍!」

―――こうして麻帆良に入学が決定したのでした。

完!

------------------------------
ごめん。後半飽きてた。つうか入学までを詳細に書くのは何か違う気がした。


まぁ、でも、麻帆良の入学の仕組みとかちょっと考えてみたくて書いた。反省はする。


……続きってさ、いるのかな?


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