「うっ・・・ぐうっ?」
意識の覚醒と同時に訪れた全身の倦怠感と鈍痛。
経験のしたことの無い感覚に少年はうめき声を漏らす。
混濁した意識の中、誰かの手がそっと額に触れる。
柔らかな掌の感触と、ほんのりと暖かだが、熱を持った体には心地よい冷たさ。
その掌に癒されるように、少年の意識は再び闇へと落ちて行った。
「じいさま」
粗末な布団で眠る少年、その額に手を当てていた少女。
少年が安らかに眠りに落ちたのを確認し、手を放す。
場所は粗末な水車小屋だった。
ガラガラと水車の回る音でそう分かる。
少女は囲炉裏の前に座る老人に声を掛ける。
「ああ、そうだね、ただの子供じゃぁ、ないね」
「うん、でも」
少女の声は暗い。
「今の村には・・・」
「ああ、連中が生かさず殺さず、この村を搾取しているからには、その子を匿い続けるのは難しいね」
「・・・」
「だけど、同時にその子は希望でもあるよ」
「希望?」
「ああ、英傑は英傑を呼ぶ。その子は、神仏の使いかもしれないね」
「じいさま、私やっぱり、英傑を探しに行きたい、村が大変なのはわかってるけど」
「・・・その子が起きたら、一緒に行くと良いよ」
「ありがとう、じいさま」
「礼を言うのはこちらの方さ、吉報を待っているよ」
老人はそう言うと腰を上げ、小屋を出てゆく。
その後姿に、腰を折って深く礼をして見送った。
いつまでも、いつまでも・・・
辺鄙な村を搾取する夜盗の一団。
その影に妖異の影有り。
生かさず殺さず搾取され
困窮してゆく村人達。
一人の少年の来訪は、何を意味するのか。
超時空時代劇RPG天下繚乱
「七人の英傑」
百花繚乱綾錦、いざ開幕!
あとがき
本SSは超時空時代劇TRPG「天下繚乱RPG」の世界観をベースとしたSSです。
タイトルで元ネタが何かなんてすぐ分かってしまいますが
そこは天下繚乱風に味付けしてゆく予定です。
実際のセッションをベースに小説を書き起こしますので、超亀更新になります。
(月1でプレイしたとして、執筆の手間もありますし、そも月1でプレイできない可能性も大ですので)
当然ですがPLの行動、ダイス目によってはバッドエンドもありえます。
そんなSSですが、暇な時にも読んで頂ければ、幸いでございます。